(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759102
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】噴霧可能なサンスクリーン組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/84 20060101AFI20200910BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20200910BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20200910BHJP
A61K 8/362 20060101ALI20200910BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20200910BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
A61K8/84
A61Q17/04
A61K8/34
A61K8/362
A61K8/37
A61K8/35
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-559170(P2016-559170)
(86)(22)【出願日】2015年3月27日
(65)【公表番号】特表2017-509654(P2017-509654A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2015023133
(87)【国際公開番号】WO2015148999
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年3月26日
(31)【優先権主張番号】61/971,370
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511299355
【氏名又は名称】イノレックス インベストメント コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルゴ ロッコ
(72)【発明者】
【氏名】ランプ ロレーヌ
【審査官】
田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第5833961(US,A)
【文献】
特表2014−513105(JP,A)
【文献】
特表2007−509107(JP,A)
【文献】
特表2013−509491(JP,A)
【文献】
特開2007−197412(JP,A)
【文献】
特開2005−036005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の非水性溶媒を含む溶媒基剤と、
UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1種のサンスクリーン活性成分と、 少なくとも1種の有機ジオールと少なくとも1種のポリカルボン酸と官能基を少なくとも3つ有する少なくとも1種のポリオールとのランダム重合の反応生成物であるポリマーと、
を含む組成物であって、
該少なくとも1種の有機ジオールと該少なくとも1種のポリカルボン酸と該少なくとも1種のポリオールとの比率は、約5:5:1〜25:25:1であり、
該ポリマーを含まない以外同じ成分を有する組成物と比較して、該ポリマーが該組成物の濡れた皮膚に対する白浮き現象を軽減する、
組成物。
【請求項2】
前記溶媒基剤が前記組成物の少なくとも約35重量%〜約95重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記溶媒基剤の少なくとも約85%〜約100%が前記非水性溶媒である、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
約0.5%〜約75%の前記少なくとも1種のサンスクリーン活性成分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のサンスクリーン活性成分が、オクトクリレン、オキシベンゾン、オクチサレート、ホモサレート、アボベンゾン、オクチノキサート及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の有機ジオールが1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール及びそれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のポリカルボン酸がプロパン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、及びデカン二酸からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくとも1種のポリカルボン酸が二酸である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種のポリオールが、ダイマージオール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールとヘプタン二酸とグリセロールとのランダムポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
(a)非水性溶媒系と、
(b)少なくとも1種のポリカルボン酸と少なくとも1種の有機ジオールと少なくとも1種のポリオールとのエステル化反応生成物として形成されるポリエステルポリマーと、 (c)UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1種のサンスクリーン活性成分と、
を組み合わせることを含み
該少なくとも1種のポリカルボン酸と該少なくとも1種の有機ジオールと該少なくとも1種のポリオールが、有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比率が約5:5:1〜25:25:1であるように反応される、
溶媒基剤を有するサンスクリーン組成物を作製する方法。
【請求項12】
前記サンスクリーン活性成分がUV吸収剤であり、該UV吸収剤がUVフィルタリング化合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(d)少なくとも1種のエステル油を前記組成物中で混ぜ合わせることを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの前記比が約10:10:1である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
エステル化が約100℃〜約260℃、且つ、約760mmHg〜約1mmHgで起こる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
パーソナルケア配合物における使用に適した組成物であって、該組成物が、UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1種のサンスクリーン活性成分と、少なくとも1種のポリカルボン酸と少なくとも1種の有機ジオールと少なくとも1種のポリオールとのランダム重合の反応生成物であるポリマーとを含み、
該少なくとも1種の有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1であり、
該ポリマーを含まない以外同じ成分を有する組成物と比較して、該ポリマーが該組成物の濡れた皮膚に対する白浮き現象を軽減する、組成物。
【請求項17】
濡れた皮膚に塗布した場合にUV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1種のサンスクリーン活性成分を有するパーソナルケア配合物の白浮き現象を低減させる方法であって、該パーソナルケア配合物に、少なくとも1種のポリカルボン酸と少なくとも1種の有機ジオールと少なくとも1種のポリオールとのエステル化反応生成物として形成されるポリエステルポリマーを与えることを含む、方法。
【請求項18】
前記パーソナルケア配合物が噴霧可能なサンスクリーン剤であり、該配合物が非水性溶媒系を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1となるように、前記少なくとも1種のポリカルボン酸と前記少なくとも1種の有機ジオールと前記少なくとも1種のポリオールとを反応させる、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの前記比が約10:10:1である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
エステル化が約100℃〜約260℃、及び約760mmHg〜約1mmHgで起こる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「噴霧可能なサンスクリーン組成物及び方法(Sprayable Sunscreen Compositions and Methods)」と題する2014年3月27日付けで出願された米国仮特許出願第61/971,370号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張するものであり、その開示はその全体が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本発明はサンスクリーン活性のあるパーソナルケア配合物の分野に関するものであり、特にじっとりした、湿った又はそれ以外で濡れた表面の哺乳類動物の皮膚、毛又は爪に塗布されるもの、更に特には噴霧可能なサンスクリーン配合物に関する。
【背景技術】
【0003】
地表面に達する紫外線(UV)スペクトル内の電磁放射線(光エネルギー)はおよそ290ナノメートル(nm)〜400nmの波長範囲内にある。皮膚の紅斑(日焼け)に関与するスペクトル部分は約290nm〜320nmの範囲内にあり、UV−Bと称される。最近になって、UV−B範囲内の太陽光エネルギーが皮膚に有害であり得るというだけでなく、エネルギーが低く、320nm〜400nmの範囲内のより長い波長(UV−Aとして知られる)も問題となる場合があることが研究によって分かってきている。UV−C放射線(約200nm〜290nm)も問題となる場合があり、透過太陽灯又は日焼けマシーン等の人工日焼けに関連するものである。
【0004】
UV−AはUV−Bよりも深く皮膚に浸透することが分かっている。過去20年に亘る研究から、長時間のUV−A曝露の影響により若いうちから皮膚の老化、シワが生じ、UV−Aが皮膚癌を発症する潜在的なイニシエーター(initiator)として関わっていることが分かっている。UV−Aはほとんどの皮膚癌が生じる表皮の基底層の皮膚細胞(ケラチノサイト)にダメージを与える。皮膚に害があることに加えて、UV放射線によって毛等の他の領域にもダメージが生じ、色が変わり、更にカラーリングを施した毛に影響を及ぼし、毛の物理的特性にダメージを与え、艶がなくなり又は手入れしにくくなる。
【0005】
皮膚又は毛のダメージを和らげる又は防ぐために、サンスクリーン剤等の局所的な光防護処理が開発されている。サンスクリーン配合物は、UVによって誘導される皮膚へのダメージから守るために局所塗布されるものであり、クリーム、ローション及び噴霧剤を含む様々な形態で調製される。従来のサンスクリーン配合者は通例、UV放射線を化学的に吸収する有機化学化合物(有機UVフィルター)と、吸収に加えて放射線を物理的に散乱及び/又は反射させる無機化合物(UV遮断剤)とをサンスクリーン製品に組み込んでいる。
【0006】
サンスクリーン剤を効果的に使用するには、指示通り一様に塗布する必要がある。不適切な又は一貫性のない(inconsistent)塗布によるサンスクリーン剤の誤用により、深刻な問題が生じる場合がある。配合物を適切に塗布する能力の欠如による非効率の(Ineffective)塗布によっても、同様の問題が起こる場合がある。使用者は、太陽光線からの防護を感じることができ、衣類又は日よけによる身体の物理的な遮蔽により光への曝露を避けるのに取る工程を少なくすることができる。サンスクリーン製品が審美的に望ましくない(unpleasing)か、又は皮膚にとって過度に脂性である(皮脂孔の詰まり等)と使用者が感じる場合があることから、誤塗布又は過少塗布(under application)となることもある。
【0007】
歴史的に見ると、サンスクリーン剤は主に、日焼け及び関連する激しい不快感を抑えるために配合されてきた。そのため、サンスクリーン剤には主成分としてUV−Bフィルター及びUV遮断剤が含まれていた。所与のサンスクリーン剤の日焼けから守る能力は、日焼け防止指数(「SPF」)システムを用いることで消費者に伝えられている。SPFは日焼けの防止におけるサンスクリーン剤の有効性のin vivoでの研究室評価尺度である。SPFは数値である。SPFが高ければ、サンスクリーン剤によってUV−Bに対するより大きな防護が与えられる。米国食品医薬品局(「FDA」)発行の「Sunscreen Drug Products for Over-the-Counter Human Use」(Final Monograph; 21CFR Parts 310, 352, 700 and 740. Federal Register 64 (98) May 21, 1999. pp. 27666-27693)において、SPFが更に定義され、詳細な試験手順が与えられている。この文献はその内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0008】
UV−A放射線も吸収するフィルターを含むサンスクリーン剤の開発が試みられている。米国では、認可されている有機UV−Aフィルターは、法定要件よりブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン、すなわちAVO)に限定されている。AVOは光分解機構により太陽光の存在下において分解し、その光分解産物は親化合物よりもUV−A放射線を吸収する効果が低いことが分かっている。このことは、AVOがUV−Aフィルターとして使用される場合、UV−Aからの防護が初回塗布の時点から、その後の太陽光への曝露によって低減することを意味する。光分解は、AVOを2−エチルヘキシル(2E)−3−(4−メトキシフェニル)プロパ−2−エノエート(オクチルメトキシシンナメート、オクチノキサート、OMC)と併用した場合に特に顕著である。
【0009】
規制活動は、サンスクリーン剤のラベリング(labeling)、及び日焼けから守るだけでなく、UV−Aによるダメージからも守るサンスクリーン剤の能力を消費者に伝えるのにより良好な方法の開発に集中している。2007年、FDAから、市販の(over-the-counter)ヒト用サンスクリーン製剤のモノグラフの修正版が発行された。この修正版の中で、サンスクリーン製品の有効性を評価する試験手順が改定されている。SPFに加えて、この改定には、UV−A防護及び光安定性を評価するための改定が含まれている。FDAから、in vivo試験法及びin vitro試験法に基づく、優れた(four-star)UV−A防護評点システムも提唱されている。米国食品医薬品局の「Sunscreen Drug Products for Over-the-Counter Human Use」(Proposed Amendment of Final Monograph; Proposed Rule; 21CFR Parts 347 and 352. Federal Register 72 (165) August 27, 2007. 49070-4912)において、これらの値が更に定義され、詳細な試験手順が与えられている。この文献はその内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0010】
欧州化粧品工業会(「COLIPA」)もUV−A防護に関するガイドライン及び試験手順を発行している。これらの文献では、in vitro SPF及びin vitro UV−A防止指数等の更なる数値パラメータが定義されている。「Colipa Project Team IV, in-vitro Photoprotection Methods, Method for the in-vitro Determination of UVA Protection Provided by Sunscreen Products, Guideline, 2007」において、これらのパラメータが更に定義され、詳細な試験手順が与えられている。この文献はその内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0011】
UV−A/UV−B比及び臨界波長等の更なるパラメータが定義されている。UV−A/UV−B比は、UV−B範囲におけるサンスクリーン剤の性能に対するUV−Aにおけるサンスクリーン剤の性能を示すものである。この比は減光曲線のUV−A部分下の面積とUV−B部分下の面積との比として算出され、両面積は関連する波長範囲に対して正規化されている。「Measurement of UV-A/UV-B ratio according to the Boots Star rating system」(2008年改定)、Boots UK Limited, Nottingham, NG2 3AA, UK(2008年1月)において、UV−A/UV−B比が更に定義され、詳細な試験手順が与えられている。この文献はその内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0012】
臨界波長は290nmからのスペクトル範囲の上限として与えられ、その中に290nm〜400nmのUV範囲全体の減光曲線下面積の90%が含まれる。この波長が370nm以上である場合、製品はUV−B範囲及びUV−A範囲に亘るバランスのとれた防護を示す「広域スペクトル」であると考えられる。Diffey BL, et al.,「In-vitro assessment of the broad-spectrum ultraviolet protection of sunscreen products」(J Amer Acad Dermatol 43:1024-35, 2000)において、臨界波長が更に定義され、詳細な試験手順が与えられている。この文献はその内容が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0013】
或る特定のサンスクリーン化学薬品が皮膚を通して吸収され、体循環に入ることが発見されている。ベンゾフェノン−3フィルターが特に注目されている。
【0014】
このようなガイドラインを考慮すると、ほとんどのサンスクリーン配合者が、試験した場合に上記の数値パラメータのいくつか又は全てにおいてより高い値が得られることで、現行のサンスクリーン技術に対する改善を達成するとともに、皮膚浸透を軽減する高分子フィルターを含む、サンケア製品の開発を望んでいる。光安定性、望ましい審美性、より高いSPF及びUV−A防護の増大等の特性が実現するとともに最適化することができるように光防護製品をより良好に配合するのに使用することができる、配合成分及びポリマー等の新しい成分も当該技術分野において依然必要とされている。
【0015】
皮膚、頭皮、唇及び/又は毛に塗布可能なサンスクリーン剤及びサンスクリーン防護を有する他の製品は、光に曝される前に塗布するのが最良ではあるが、通例再塗布が必要となる。これらはクリーム、ローション、又は他の化粧品配合物(例えばリップバーム又はリキッドファンデーション)として塗布される。屋外で太陽に曝される場合の、例えばウォーキング、スポーツへの参加、ランニング、水泳、海辺での活動等に際して使用されるのがほとんどである。上述のように、使用者は一般的に脂性配合物の使用を好まないことから、使用に抵抗が生じ、塗布時により「乾燥した」感覚のある配合物が望まれるが、塗布したサンスクリーン製品が、どのような形であれ、すなわち身体活動による発汗、雨又は水泳等のいずれかにより水分と接触する場合も問題となる。製品が洗い流された場合に、再塗布が必要となるが、濡れると再塗布が困難であり、又は濡れると皮膚表面に対して脂性となることがあり、そのことから製品の効果がなくなるため、製品を油性若しくは脂性に感じるため、又は製品が単純に垂れ落ちるか若しくは皮膚上にまだらに若しくは斑点状に塗布されるためのいずれかの理由により使用者が再塗布しなくなることも使用者は認識しており、(良好な防護が示されることを)望んでいる。
【0016】
より透明な配合物も、使用時にサンスクリーン剤を塗っているように見えなくなることから、使用者が使用するのに好ましい。サンスクリーン剤が皮膚に塗り付けられ、皮膚から拭い取られ、皮膚から垂れ、又は別の形で皮膚から切り離されると、サンスクリーン剤は白く見え、及び/又はじっとりした皮膚上で見た目が油様の斑点の形で凝集することがある。このことは、審美的に望ましくない結果であるだけでなく、皮膚が濡れたときに使用及び/又は再塗布を思い留まらせることになり、皮膚又は毛に対する防護がなくなり、害を及ぼす。
【0017】
透明な製品は一般に、水がほとんどなく、好ましくは水が約5%未満であることを意味する「無水」である。このような配合物はジェル、透明なローション、又は噴霧可能なサンスクリーン製品のように「透明な」製品の形をとる。無水配合物では、活性成分及び不活性成分は一般に、有機アルコール等の基剤溶媒とともに溶液の形をとる。アルコール溶液ベースの噴霧可能なサンスクリーン剤は世界的な成長傾向の製品である。噴霧可能なサンスクリーン配合物の人気はその使い易さ及び塗布し易さによるものである。活動状況において、噴霧可能なサンスクリーン配合物は塗布する時間がほとんどなくても、素早く乾燥し、通例従来のサンスクリーンローション及びクリームに関連する脂性を示すことがない。加えて、噴霧可能なサンスクリーン配合物は別の人又は自分に施与するのがより簡単であり、サンスクリーン剤を自分及び子供に塗布する必要がある親にとって特に有用である。また海辺の状況では、皮膚に塗り込むローションに砂が付きにくい。
【0018】
この特に親における人気を高める最近の展開が噴霧可能なスポーツ用サンスクリーン製品であり、この製品は濡れた皮膚の上に直接噴霧することが意図され、従来のローション及びクリームに比べて被覆がより均一であるという利点をもたらし、より審美的に望ましい見た目及び感覚が得られる。さらに、正確に塗布及び作用すれば、広域スペクトルの日焼け防止及び耐水性の点で有効性は損なわれない。
【0019】
特許文献1は、少なくとも1つのエステル終端ポリ(エステルアミド)ポリマーが複合サンスクリーン防護システムとともに組み込まれた、SPFが向上した改良型サンスクリーン剤並びに噴霧用UV−A及びUV−B防護サンスクリーン剤に関するものである。
【0020】
特許文献2は、任意に異なる第3のビニルモノマーを有する、ビニルモノマー及び酸官能性モノマーからなるコポリマーを有する噴霧可能なサンスクリーン配合物に関するものである。
【0021】
特許文献3は、シェラックを含む成膜ポリマーを用いた噴霧可能なアルコール系サンスクリーン配合物を開示している。
【0022】
特許文献4は、UV−A防護をもたらす量でアボベンゾンと、アルコールと、ビタミン等の抗酸化剤とを有し、マレイン酸アルキル/アクリレートコポリマー等の疎水性の透水ポリマーを更に含み得る、サンスクリーン組成物を教示している。
【0023】
使用者により良好に留まり、所望の特性をもたらす噴霧可能な形態のサンスクリーン剤の改良を続けることが重要ではあるが、当業者はサンスクリーン活性物(actives)又は他の添加剤の様々な組合せの開発と、上記の特許及び特許公報で述べられる様々な基剤ポリマーによる実験とに注力している。しかしながら、当該技術分野において改良型配合物が依然必要とされている。
【0024】
本明細書の出願人は、長年サンケア市場に、Lexorez(商標)ブランドにて販売されているポリエステル技術の変化に基づく様々なポリマーを含む成膜技術を提供している。しかしながら、噴霧可能なサンスクリーン配合物等の透明な無水配合物の性能を改善するビヒクル及び配合物が当該技術分野において依然必要とされている。
【0025】
アルコール系の噴霧型サンスクリーン剤は通例、有機UVフィルター、皮膚軟化剤及び成膜剤の単純なエタノール溶液である。この当該技術分野における多くの既存の噴霧可能なサンスクリーン製品の主な不利点は、濡れた皮膚に塗布すると、油性の構成成分が急速に溶液から落ち、合一することである。次いでこれにより、相界面での光の散乱による審美的に望ましくない白浮きが生じる。
図1を参照されたい。
【0026】
直面する別の否定的な結果は、フィルター及び皮膚軟化剤の合一に起因して皮膚表面上での油性感又は脂性感が生じることである。消費者は昔から、上述のように可能な限りサンスクリーン剤には乾燥感があることを望んでおり、脂性感のあるサンスクリーン剤は過少塗布により誤使用されることがある。これによりUV光線によるダメージからの不十分な防護が起こる。
【0027】
このような噴霧剤による別の否定的な審美的影響は、主に皮膚軟化剤及びフィルターの不均一性により引き起こされる皮膚上に残るてかりである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】米国特許第8,778,313号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0017186号
【特許文献3】米国特許出願公開第2014/0348757号
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0170090号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
これらの不利点(deficiencies)が起こらないように、理想的な噴霧可能な又は他の透明な無水サンスクリーン剤を皮膚上に迅速に均一な膜の形で広げる必要がある。加えて、噴霧可能な配合物では、皮膚軟化剤及びフィルターは溶液から落ちたり、合一したりしないようにする。
【0030】
噴霧可能な又は他の溶媒系サンスクリーン配合物等の溶媒系組成物が、当該技術分野における上述の不利点を排除し、特に皮膚が湿気又は水分に曝される場合に、皮膚上で乾燥感、審美的に望ましい見た目及び感覚とともに、均一な膜塗布を達成することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明には、少なくとも1つの非水性溶媒を含む溶媒基剤と、UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1つのサンスクリーン活性成分と、少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリカルボン酸と官能基を少なくとも3つ有する少なくとも1つのポリオールとのランダム重合のポリマー反応生成物とを含む組成物が含まれる。好ましい一実施の形態では、組成物にエステル等の皮膚軟化剤が含まれることも有益である。
【0032】
少なくとも1つの非水性溶媒は、炭素数約1〜約10の有機アルコール;アルキレングリコール;高分子アルキレングリコール;炭素数約6〜約22の分岐鎖炭化水素;有機アルコール、アルキレングリコール、炭素数約6〜約22の分岐鎖炭化水素若しくは高分子アルキレングリコールのアルキルエステル若しくはアルキルエーテル;アルキルエーテル若しくはアルキルエステル;又はそれらの組合せとすることができる。一実施の形態では、非水性溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール及び/又はヘキサノールからなる群から選択される有機アルコールである。更なる実施の形態では、非水性溶媒は、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらのコポリマー;エチレングリコール;プロピレングリコール;ブチレングリコール;ペンチレングリコール;ヘキシレングリコール;ジグリコール;ドデカン;イソドデカン若しくは商品名Isopar(商標)でExxonMobilから入手可能なもの等の分岐鎖炭化水素のいずれか;及び/又はジグリコールからなる群から選択されるアルキレングリコール又は高分子アルキレングリコールである。非水性溶媒はジメチルエーテル又はジエチルエーテルとすることもできる。
【0033】
溶媒基剤は組成物の少なくとも約35重量%〜約95重量%の量で存在することができ、溶媒基剤の少なくとも約85%〜約100%が非水性溶媒であることが好ましい。より好ましくは、溶媒基剤は組成物の約35%〜約65%の量で組成物に存在することができ、溶媒基剤の少なくとも約95%〜約100%が非水性溶媒であることが好ましい。
【0034】
一実施の形態では、少なくとも1つのサンスクリーン活性成分が組成物の約0.5%〜約75%の量で存在し、約5%〜約70%の少なくとも1つのサンスクリーン活性成分が組成物に存在することがより好ましく、約20%〜約50%の少なくとも1つのサンスクリーン活性成分が組成物に存在することが最も好ましい。
【0035】
少なくとも1つのサンスクリーン活性成分は、オクトクリレン、オキシベンゾン、オクチサレート、ホモサレート、アボベンゾン、オクチノキサート及びそれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0036】
ポリマー反応生成物は、少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つのポリオールとのエステル化により誘導することができる。少なくとも1つの有機ジオールは、1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール及びそれらの組合せとすることができ、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが最も好ましい。
【0037】
少なくとも1つのポリカルボン酸は、プロパン二酸、デカン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸及びデカン二酸、並びにそれらの組合せからなる群から選択することができる。一実施の形態では、少なくとも1つのポリカルボン酸は二酸であり、ヘキサン二酸が好ましい。
【0038】
少なくとも1つのポリオールは、ダイマージオール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール、及びそれらの組合せからなる群から選択することができる。ポリマーは2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールとヘプタン二酸とグリセロールとのランダムポリマーであることが最も好ましい。
【0039】
本発明には、(a)非水性溶媒系と、(b)少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとのエステル化反応生成物として形成されるポリエステルポリマーと、(c)UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1つのサンスクリーン活性成分とを混ぜ合わせることを含む、溶媒基剤を有するサンスクリーン組成物を作製する方法が更に含まれる。一実施の形態では、非水性溶媒系は炭素数約1〜約10のアルコール及び少なくとも1つの炭素数約6〜約22の分岐鎖炭化水素を含み、少なくとも1つの分岐鎖炭化水素はイソパラフィン及び/又はイソアルカンを含むことができる。
【0040】
サンスクリーン活性成分はUVフィルタリング化合物であるUV吸収剤であることが好ましい。本方法は、(d)少なくとも1つのエステル油を組成物中で混ぜ合わせることを更に含み得る。本方法では、少なくとも1つの分岐鎖炭化水素はイソパラフィン及び/又はイソアルカンを含み得る。有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1、より好ましくは約10:10:1となるように、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとを反応させることが好ましい。エステル化は約100℃〜約260℃、及び約760mmHg〜約1mmHgで起こることが好ましい。
【0041】
本発明には、その一実施の形態において、パーソナルケア配合物における使用に適した組成物であって、該組成物が、UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1つのサンスクリーン活性成分と、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとのランダム重合のポリマー反応生成物とを含み、有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1である、組成物も含まれる。
【0042】
UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1つのサンスクリーン活性成分を有するパーソナルケア配合物の日焼け防止指数を増大させる方法であって、該パーソナルケア配合物に、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとのエステル化反応生成物として形成されるポリエステルポリマーを与えることを含む、方法も本発明の範囲内である。パーソナルケア配合物は噴霧可能なサンスクリーン剤とすることができ、該配合物は非水性溶媒系を含むことが好ましい。非水性溶媒系は、好ましい一実施の形態では、炭素数約1〜約10のアルコールと少なくとも1つの炭素数約6〜約22の分岐鎖炭化水素とを含み、組成物中に少なくとも1つのエステル油を更に含むことができる。有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1、より好ましくは約10:10:1となるように、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとを反応させることが好ましい。本方法においてエステル化は約100℃〜約260℃、及び約760mmHg〜約1mmHgで起こることが好ましい。
【0043】
本明細書の発明において更なる方法が提供され、その方法は、UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1つのサンスクリーン活性成分を有するパーソナルケア配合物の耐水性を増大させる方法であって、該パーソナルケア配合物に、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとのエステル化反応生成物として形成されるポリエステルポリマーを与えることを含む、方法である。本方法では、パーソナルケア配合物は噴霧可能なサンスクリーン剤とすることができ、該配合物は非水性溶媒系を含むことができ、該非水性溶媒系には、好ましくは炭素数約1〜約10のアルコールと少なくとも1つの炭素数約6〜約22の分岐鎖炭化水素とを含むものが含まれる。該配合物は少なくとも1つのエステル油を更に含むことができる。有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1、より好ましくは約10:10:1となるように、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとを反応させることが好ましい。エステル化は約100℃〜約260℃、及び約760mmHg〜約1mmHgで起こることが好ましい。
【0044】
本発明には、濡れた皮膚に塗布した場合にUV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1つのサンスクリーン活性成分を有するパーソナルケア配合物の白浮き現象を低減させる方法であって、該パーソナルケア配合物に、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとのエステル化反応生成物として形成されるポリエステルポリマーを与えることを含む、方法も含まれる。本方法では、パーソナルケア配合物は噴霧可能なサンスクリーン剤とすることができ、該配合物は非水性溶媒系を含むことができ、該非水性溶媒系には、好ましくは炭素数約1〜約10のアルコールと少なくとも1つの炭素数約6〜約22の分岐鎖炭化水素とを含むものが含まれる。該配合物は少なくとも1つのエステル油を更に含むことができる。有機ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1、好ましくは約10:10:1となるように、少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリオールとを反応させることが好ましい。エステル化は約100℃〜約260℃、及び約760mmHg〜約1mmHgで起こることが好ましい。
【0045】
上述の概要及び本発明の好ましい実施形態の下記の詳細な説明は添付の図面とともに読むことでより理解されるであろう。本発明を説明するために、図面において現在好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は示されている正確な配置及び手段に限定されないことが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】従来技術の噴霧可能なサンスクリーン剤による白浮きの見た目の拡大写真図である。
【
図2】皮膚上にある油性の構成成分の合一を伴う従来技術のサンスクリーン剤の写真図である。
【
図3】実施例1に記載の試験後の対照例及び本発明例の写真図である。
【
図4】紙やすり上の実施例1の対照配合物の写真図である。
【
図5】紙やすり上の実施例1の本発明例の配合物の写真図である。
【
図6】ヒトの皮膚上の実施例1の対照配合物の写真図である。
【
図7】ヒトの皮膚上の実施例1の本発明例の配合物の写真図である。
【
図8】実施例2に使用される皮膚光沢測定器の操作を示す概略図である。
【
図9】ヒト対象における対照比較(side-by-side comparison)試験における濡れた皮膚に既存の噴霧型サンスクリーン配合物及び実施例1の本発明例を用いた実施例2に記載の特性比較のグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
皮膚は良好な障壁であるとともに疎水性である。そのため、皮膚が濡れると水は一様に分散しなくなる。濡れた皮膚上では、高い局所濃度の水が水滴の形で表面上に存在する。噴霧型サンスクリーン剤を用いる場合、サンスクリーン剤が水滴と相互作用することで、その組成が大きく変わる。サンスクリーン剤の油性の構成成分(皮膚軟化剤、UVフィルター及びポリマー)が非常に水分許容性である場合、油性成分は水により溶液から押し出され、合一する。「水分許容性」は本明細書の場合、サンスクリーン配合物が水に接触すると起こる合一の速度及び量を指す。合一により、油相と水相との間の屈折率の差に起因して白浮き現象が起こる。
図1に、濡れた皮膚上に噴霧された従来技術の濡れた皮膚用のアルコール系噴霧型サンスクリーン剤を示している。
図2に、600グリットのウェット/ドライ紙やすり上に噴霧された従来技術の濡れた皮膚用のアルコール系噴霧型サンスクリーン剤を示している。これらの図は、この典型的な従来技術のサンスクリーン塗布効果を示すものである。
【0048】
これにより、濡れた皮膚上に噴霧した場合にアルコール系サンスクリーン剤が透明な状態を維持するためには、水分許容性を最大にする必要があると判断された。水分許容性を増大させるためにサンスクリーン配合物にポリエステル成膜剤を含ませることの効果を評価するのに、ハンセン溶解度パラメータ、密度、及び他の類似する特性等の因子を評価した。
【0049】
この調査結果として、とりわけアルコール系配合物(特に噴霧型サンスクリーン配合物を含む)の水分許容性を大きく改善させるとともに、優れた耐水性という利益をもたらす配合ポリマーを開発した。
【0050】
本発明の組成物はサンスクリーン剤含有製品として有用であり、本組成物は乾燥感があり、及び/又は実質的に「透明であり」(皮膚に使用した場合に色がほとんど付かないように配合されていることを意味する)、及び/又は噴霧剤として塗布され、及び/又はサンスクリーン剤を含む化粧品に用いられ、本組成物により、使用時の審美的に望ましくない油性感又は脂性感が最小限に抑えられ、皮膚又は毛等の濡れた角質表面上に塗布することで配合構成成分の喪失又は分離が妨げられる。本組成物は濡れたヒトの皮膚に使用する噴霧型サンスクリーン配合物に特に適しているが、これに限定されない。
【0051】
本組成物は、少なくとも1つの溶媒、好ましくは非水性溶媒と、UV遮断剤及び/又はUV吸収剤である少なくとも1つのサンスクリーン活性成分と、少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのジカルボン酸と官能基を少なくとも3つ有する少なくとも1つのポリオールとのランダム重合のポリマー反応生成物とを含む。このような組成物は、当該技術分野において知られるような、又は下記に更に記載されるように開発された様々な任意の化粧品及び/又はサンスクリーン配合構成成分も含むことができる。
【0052】
本明細書の他に述べられているように、本組成物は実質的に無水であることが好ましいが、完全に非水性の溶媒系である必要がないことから、いくらかの水を含んでいてもよい。好ましくは、本組成物は少なくとも約35%〜約95%の溶媒基剤を含み、溶媒基剤の少なくとも約85%〜最大約100%が非水性溶媒である。より好ましくは、約35%〜約65%の溶媒基剤が存在し、その約95%〜約100%が非水性溶媒である。水は許容されるが(好ましくは、約0%超〜最大約15%)、好ましい実施形態では水は排除されるか、又は溶媒基剤の微量成分にすぎない。
【0053】
好適な非水性溶媒としては、限定されないが、有機アルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール等を含む炭素数約1〜約10の有機アルコール;可変長のポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコール(PEG)等の高分子グリコール、及びこのような高分子グリコールのコポリマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジグリコール及び同様の化合物等のグリコール化合物、ソルビトール又はイソソルビトール;Isopar(商標)の名でExxonMobilから入手可能なもの等の可変長のイソアルカン及びイソパラフィン(例えばC10〜13、C13〜14、C13〜16イソパラフィン又はC8〜13又はC9〜12イソアルカン)、イソオレフィン、イソドデカン等といった炭素数約6〜約22の分岐鎖炭化水素;上記のアルコール、グリコール又は炭化水素化合物のいずれかのアルキルエステル又はアルキルエーテル;エーテル溶媒等の揮発性溶媒、例えばジメチルエーテル又はジエチルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。アルコールの使用は、ヒトのスキンケア製品及び噴霧型配合物に一般的に使用されるような変性アルコールの使用を含むことが好ましい。
【0054】
非水性溶媒を含む溶媒基剤は本明細書の組成物においてサンスクリーン活性剤及び他の構成成分に対する担体化合物として作用する。
【0055】
本組成物では、少なくとも1つのサンスクリーン活性成分はあらゆる形態の任意の許容可能なUV遮断剤及び/又はUV吸収剤とすることができ、これは好ましくは水分、発汗、水等を伴う又はそれらに曝される皮膚上での初回使用及び/又は再塗布が意図される所望のサンスクリーン製品に有用である。これには限定するものではないが、溶媒系又は溶媒/水系ローション、クリーム、噴霧剤若しくは他の形態のサンスクリーン製品、化粧品、又はあらゆる形態のサンスクリーン剤を含むヘアケア製品及び類似の製品が挙げられ、本発明は使用者の皮膚又は毛の表面が湿っている、じっとりしている、濡れている等の場合の噴霧型サンスクリーン剤及びサンスクリーン剤を含む毛用製品に特に有用であるが、これに限定されない。このようなサンスクリーン活性物は有機又は無機化合物、UV吸収ポリマー等とすることができる。UV吸収ポリマーは例えば本出願と同時係属中の米国特許出願公開第2011/0104078号に開示されており、該特許文献は関連部分が引用することにより本明細書の一部をなす。
【0056】
他の好適なUV遮断剤及び/又は吸収剤としては、非高分子化学UVフィルター、例えばオクチルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、イスコトリジノール、ジメチコ−ジエチルベンズアルマロネート、ポリシリコーン−15、イソペンテニル−4−メトキシシンナメート、エチルヘキシルメトキシシンナメート、エチルヘキシルトリアゾン、p−アミノ安息香酸(PABA)、オクチルジメチル−PABA、PEG−25 PABA、エチルヘキシルジメチルPABA、メチレンビス−ベンズトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(bisodium)、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、2−エトキシエチルp−メトキシシンナメート、ベンゾフェノン−8、ベンゾフェノン−5、ベンゾフェノン−4、ベンゾフェノン−3、サリチル酸ホモメンチル、メラジメート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート、オキシベンゾン、オクチサレート(octisalate)、ホモサレート、アボベンゾン、オクチノキサート、サリチル酸オクチル、スルイソベンゾン、サリチル酸トロラミン、アボベンゾン、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、4−メチルベンジリデンカンファー、テレフタリデンジカンファースルホン酸、ベンジリデンカンファースルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、4−メチルベンジリデンカンファー、3−ベンジリデンカンファー、サリチル酸エチルヘキシル、ビスオクトリゾール、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン、ビスジスリゾール二ナトリウム、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン−15、ナトリウムジヒドロキシジメトキシジスルホベンゾフェノン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ジメチコ−ジエチルベンザルマロネート、ドロメトリゾールトリシロキサン、及びUV遮断剤、例えば二酸化チタン、シリコーン処理二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、タルク、酸化セリウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、赤色ワセリン(red petrolatum)、並びに当該技術分野において知られている又は開発されているような他のものとともに又は他のものを含むこれらの材料(フィルター/吸収剤又は遮断剤)の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
通例、このような材料は所望の遮断又は吸収の組合せを達成するための効果又は相乗効果にとって有用なように組み合わせて使用される。本発明は組成物中でこのような材料及び他の添加剤を保持することを更なる目的としているが、使用するサンスクリーン活性成分(複数の場合がある)を限定することは意図していない。
【0058】
サンスクリーン活性剤(複数の場合がある)は、組成物の所望のSPFに相当するサンスクリーン防護をもたらすのに効果的な量で存在することが好ましく、組成物の約0.5%〜約75%、好ましくは組成物の約5%〜約70%、最も好ましくは組成物の約20%〜約50%とすることができるが、この量は所望の最終効果に合わせて、当該技術分野において知られるように選択された活性成分に基づき調整することができる。
【0059】
本明細書の組成物に用いられる新規のポリマーは、少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのジカルボン酸と官能基を少なくとも3つ有する少なくとも1つのポリオールとのランダム重合の1つ又は複数の反応生成物であることが好ましく、少なくとも1つの有機ジオールと少なくとも1つのポリカルボン酸と少なくとも1つのポリオールとのエステル化により誘導される反応生成物であることが好ましい。このようなポリマーは通例、架橋ポリマー(cross-polymers)であるポリエステル又はポリエーテルポリオールを形成する、すなわちこのようなポリマーは架橋密度が約0.1〜約2.0の架橋ポリマー鎖である。架橋は反応へのモノマー投入量におけるポリオールの量を調整することにより制御することができる。
【0060】
好適な有機ジオールは、分岐及び/又は直鎖、飽和及び/又は不飽和、脂肪族及び/又は芳香族とすることができ、2つのヒドロキシル基を有する長さが炭素原子約2個〜約54個であるような1つ又は複数のジオールであり、これらのジオールとしては例えば、エチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1−3ペンタンジオール、1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;1,3−ブチレングリコール;1,4−ブタンジオール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;ジエチレングリコール;テトラエチレングリコール;1,5−ペンタンジオール;ネオペンチルグリコール;1,6−ヘキサンジオール;ジプロピレングリコール;1,2−オクタンジオール;ダイマージオール、及び上記構成成分の組合せが挙げられる。好ましい化合物はペンタンジオール及びアルキルペンタンジオールである。
【0061】
少なくとも1つのポリカルボン酸は酸又はその無水形態とすることができるが、ランダム重合のために酸であることが好ましい。さらに、3つ以上のカルボン酸基を有するポリ酸(又はその無水形態)を使用することができ、二酸が好ましい。好適なポリ酸は、分岐及び/又は直鎖、飽和及び/又は不飽和、脂肪族及び/又は芳香族とすることができ、また約2個〜約54個の炭素原子、及び2個〜4個、但しより好ましくは2個のカルボン酸基及び/又は無水物基を有することができ、二酸が特に好ましい。このような酸は0〜2個のスルホン酸基(及びその酸塩)を有していてもよい。好ましいポリ酸の例は、限定するものではないが、炭酸、プロパン二酸、デカン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸(アジピン酸)、ヘプタン二酸、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸、ダイマー酸、トリマー酸、テトラマー酸、フタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、ナフチレンジカルボン酸、スルホフタル酸ナトリウム及びそれらの組合せである。
【0062】
上述のポリ酸及び/又は有機ジオールは、米国特許出願公開第2011/0104078号に記載のように任意のUV吸収部分を除いても又はUV吸収体(entity)を含有していてもよい。
【0063】
ポリオールは架橋部位及び反応性官能基を得るために3つ以上のヒドロキシル基を有するものであることが好ましい。好適なポリオールとしては、ダイマージオール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,3−プロパントリオール及びそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ポリオールはグリセロールであることが好ましい。
【0064】
ランダムポリマーは、ジオール:ポリカルボン酸:ポリオールの比が約5:5:1〜約25:25:1、最も好ましくは約10:10:1となるように組み合わせることが好ましい。ポリマーは、約100℃〜約250℃及び約760mmHg〜約1mmHgの圧力での高温エステル化により形成されることが好ましい。
【0065】
他の成分を組成物に与えてもよく、他の成分にはサンスクリーン配合物分野において、又はサンスクリーン剤を必要とする化粧品等のパーソナルケア組成物における使用のために知られているものが含まれる。エステル等の皮膚軟化剤が特に好ましい。組成物には、任意に例えば界面活性剤、緩衝剤、香料、着色剤、染料、粘度調整剤、水、油、乳化剤、保存料、抗酸化剤、皮膚軟化剤、増粘剤、ゲル化剤、ビタミン、保湿剤、アルコール、植物抽出物及び粉末が含まれていてもよい。他の好適な添加剤又は成分としては、例えば扁桃油、ヒマシ油、ココナッツ油、コーン(トウモロコシ)油、綿実油、菜種油、亜麻油、麻実油、堅果油、オリーブ油、パーム油、落花生油、紅花油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ホホバ油及びこれらの油の組合せ等の製品中の1つ又は複数の植物油が挙げられ得る。
【0066】
界面活性剤がパーソナルケア組成物に含まれていてもよく、例えばアニオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びこれらの組合せ等がある。他の例示的な成分又は添加剤としては、脂質、更なるアルコール、ワックス、色素、ビタミン、香料、漂白剤、抗菌剤、抗炎症剤、抗真菌剤、増粘剤、ガム、デンプン、キトサン、高分子材料、セルロース材料、グリセリン、タンパク質、アミノ酸、ケラチン繊維、脂肪酸、シロキサン、植物抽出物、研磨剤及び/又はスクラブ剤(化学的又は機械的)、固化防止剤、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、充填剤、キレート剤、化学的添加剤、変性剤、外用鎮痛剤、成膜剤、保湿剤、乳白剤、pH調整剤、保存料、推進剤、還元剤、日焼け止め剤、皮膚黒化剤(skin darkening agents)、エッセンシャルオイル、皮膚知覚剤(skin sensates)、及びこれらの組合せが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0067】
本発明のパーソナルケア組成物は米国特許出願公開第2011/0104078号に記載の1つ又は複数の蛍光増白剤を含んでいてもよい。この特許文献はその関連部分が引用することにより本発明の一部をなす。また蛍光増白剤には、例えばトリアジン−スチルベン(ジ−、テトラ−又はヘキサ−スルホン化)、クマリン、イミダゾリン、ジアゾール、トリアゾール、ベンゾオキサゾリン、及びビフェニルスチルベンが含まれる。
【0068】
本発明の範囲内には、上記の組成物を皮膚、毛又は爪に塗布することにより哺乳類動物の皮膚、毛、及び/又は爪をUV波長の光に曝されることで引き起こされるダメージから守る方法も含まれ、この方法は皮膚、毛又は爪がじっとりしている、湿っている又はそれ以外で濡れている場合に特に有用である。「皮膚」には生きた哺乳類動物、爬虫類動物、両生類動物、鳥類動物及び他の動物の外皮、並びに革又はスエード等の加工皮が含まれる。「毛」には哺乳類動物及び他の動物の毛髪、毛皮、羊毛及び他の線維角質構造が含まれる。同様に、「爪」には哺乳類動物及び他の動物の鉤爪、馬蹄及び類似の構造が含まれる。
【0069】
本発明の範囲には、皮膚がじっとりしている、湿っている又はそれ以外で濡れている場合に、成分の実質的な喪失又は分離なく油性感及び/又は脂性感を避けるために本組成物を使用することにより光防護配合物の審美性を改善する方法も含まれる。
【0070】
これより本発明を下記の非限定的な実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0071】
実施例1
本実施例では、下記表1で特定される相A成分を40℃に、又は固形分が溶解するまで加熱し、均一になるまで混合した。
【0072】
表1の相B成分を均一になるまで混合した。
【0073】
相A成分の混合物を室温に冷却した後、均一な相B成分を相A成分に添加し、全ての成分を十分に混合して、サンスクリーン配合物を形成した。
【0074】
スクリーニング手段として、単純な水分散性試験を開発した。この試験では、0.1グラムのサンスクリーン配合物を200ミリリットル容のビーカー内の100グラムの脱イオン水に滴下した。これはサンスクリーン剤の微細な霧状滴が皮膚上の大きい水滴の上に置かれたときに起こる極度の希釈を模したものである。
図3に、対照配合物と、本明細書の本発明によるポリマーを含有する実施例配合物との比較を示している。
図3の写真は、本発明のポリマーを実施例配合物に添加するだけで希薄水溶液における油相の構成成分の水分許容性及び分散性がどれだけ劇的に改善したかをはっきりと示しており、このことが製品を擦り込む前の白浮き防止効果(non-whitening efficacy)の鍵となる。
【0075】
【表1】
【0076】
本発明例の配合物により与えられる対照に対する改善を更に説明するために、SPF 30の対照及びSPF−30+の本発明例の配合物を濡れた600グリットの黒色の紙やすりの上に同じように噴霧した。紙やすりはヒトの皮膚を置き換えたものではないが、その結果はin vivoで起こるが、写真の形で確認することがかなり容易であった類似の挙動をはっきりと示していた。
【0077】
図4に対照配合物を示している。対照配合物はより大きい液滴のサイズ、及び合一する液滴内の白浮きが明らかであり、油性の構成成分の沈着が起こっている。
図5は、本発明例のポリマーを添加することで、どのように合一が低減し、任意の白浮き現象が実質的に排除されるかを説明している。
【0078】
図6及び
図7はヒトの皮膚上の2つの配合物の比較を示している。
【0079】
実施例2
実施例1の配合物を用いて、更なる評価を行い、配合物の様々なパラメータを測定した。
【0080】
乾燥後のin−vivoでの白浮き及び光沢:
白浮き:
Minolta Chroma Meter CR−300は表面の色の客観的評価に有用なツールであり、皮膚の色の変化を定量化する研究に使用されることが多い。典型的な使用用途は抗刺激剤、日焼け剤(tanning accelerators)及び制汗剤の有効性の判定である。このツールは反射型色差計であり、表面の色データはL
*a
*b
*色座標系の形で出力される。L
*の値は皮膚の明度に関するものであり、a
*(赤色/緑色)及びb
*(青色/黄色)の値は皮膚の色の評価基準である。個々の対象の基色が様々であることから、L
*座標とa
*座標とb
*座標との組合せを用いて、皮膚の色の変化が期待される任意の製品の塗布前後での色の変化を判定することが重要である。全体像を表す値であるΔE
*は皮膚の明度及び色の両方の変化の一次結合である。ΔE
*は下記方程式を用いて算出する:
【数1】
(式中、ΔL
*、Δa
*及びΔb
*は製品塗布の前及び後に得られた値間の差である)。ΔE
*の変化が小さければ、皮膚の色はあまり変わらない。
【0081】
てかり:
皮膚の表面の光沢は表面にとどく光の直接反射によって表すことができる。ケルンのKhazaka製の皮膚光沢測定器GL−200は、Khazakaにより提供された
図8の概略図に示されるように、光沢に関連する直接反射した光の部分(反射チャネル、R)と、表面からの散乱部分(拡散チャネル、D)との両方を測定するプローブである。得られる値である皮膚光沢値(SGV)には単位はなく、プローブ設計に応じたものである。加えて、皮膚光沢測定器GL−200は、拡散散乱補正(DSC:diffuse scattering correction)を用いて皮膚の表面の光沢を評価するように特別に設計されており、それによって皮膚の色又は配合物の色の干渉を受けることなく正確に様々な皮膚型から得られた光沢測定値の比較が可能となる。
【0082】
手順
ボランティアは22℃〜24℃、15%〜20%の相対湿度の制御状況下に20分間待機させることにより環境に馴化させた。前腕の手のひら領域をイソプロパノールで洗浄し、ペーパータオルを用いて拭き取り乾燥させた後、製品の対照塗布及び処理塗布に十分な4センチメートル径の円の印を付けた。それから対照のカラーインデックス値L
*、a
*及びb
*を得た。次いで試験領域に0.3グラムの水を噴霧した後、0.3グラムのサンスクリーン剤を一様に噴霧した。その後、対象を待機場に20分間拘束し、その間サンスクリーン剤を完全に乾燥させた。再び対照のカラーインデックス値L
*、a
*及びb
*を得た。
【0083】
上記に加えて、0〜10の評点システムを用いて視覚的観察を行った。値がより高いことは白浮きがより強いことに関連している。
【0084】
最後に、光沢測定器GL−200を用いて皮膚光沢値を得た。上記情報をSPF 30+の本発明例の配合物に対して得て、活性部で3%のアボベンゾン、8%のホモサレート、4%のオクチサレート、8%のオクトクリレン、5%のオキシベンゾン及び様々な不活性成分(変性アルコール、ジメチルエーテル、オクチルドデシルシトレート架橋ポリマー、アクリレート/オクチルアクリルアミドコポリマー、エチルメチコン、セチルジメチコン、ジメチコン、アクリレート/ジメチコンコポリマー、香料、酢酸トコフェリル、ビニルジメチコン架橋ポリマー、ネルンボ・ヌキフェラ(nelumbo nucifera:ハス)の花粉末、ジエチルヘキシル−2,6−ナフタレート、パルミチン酸アスコルビル及びパルミチン酸レチニル)を配合物に含む濡れた皮膚に合わせて設計された現在主力の市販アルコール噴霧型配合物と比較した。結果を
図10のグラフに示している。
【0085】
実施例3
本実施例では、静的SPF値及び耐水性SPFをパネリストの皮膚上での臨床試験により得た。ISO規格24444(引用することにより本明細書の一部をなす)を用いて、乾燥皮膚上のin−vivo SPF及び耐水性を評価した。静的SPF及び耐水性を濡れた皮膚上で測定したISO 24444の改定版も用いた。改定は、サンスクリーン剤を塗布する直前に2mg/cm
2の水を皮膚に事前噴霧することからなるものであった。この配合物は配合物Aとして下記の表2に示されている。
【0086】
【表2】
【0087】
この結果を下記の表3に示す。静的SPF及び耐水性の値は3つの対象のデータの平均を表す。
【0088】
【表3】
【0089】
このデータから、本配合物は乾燥した皮膚及び湿った皮膚の両方に塗布した場合に同等のSPFを有し、乾燥した皮膚及び湿った皮膚の両方に塗布した場合に耐水性であることが示唆される。
【0090】
広い発明概念から逸脱することなく上記の実施形態に対して変更を行うことができることが当業者に理解されよう。そのため、本発明は開示された特定の実施形態に限定されないが、添付の特許請求の範囲に記載されるような発明の趣旨及び範囲内での変更が包含されることが理解される。