(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
食用の繊維状構成成分が、グルテリン、アルブミン、レグミン、ビシリン、コンビシリン、グリシニンおよびプロラミンから選ばれる1以上の植物タンパク質を含む、請求項1に記載の食肉レプリカ。
植物由来油が、ヤシ油、マンゴー油、ヒマワリ油、綿実油、ベニバナ油、米糠油、カカオバター、パーム核油、ヤシの実の油、パーム油、ダイズ油、ナタネ油、カノーラ油、トウモロコシ油、ゴマ油、クルミ油、扁桃油、アマニ油、ホホバ油、ヒマシ油、グレープシード油、ラッカセイ油、オリーブ油、ルリジサ油、藻類油、真菌油、クロスグリ油、ババス油、シアバター、マンゴーバター、コムギ胚芽油、クロスグリ油、シーバックソーン油、マカダミア油、およびノコギリヤシ油からなる群から選択される、請求項5に記載の食肉レプリカ。
1以上の非動物脂肪が、共役リノール酸油、アラキドン酸強化油、ドコサヘキサエン酸(DHA)強化油およびエイコサペンタエン酸(EPA)強化油からなる群から選択される、請求項1に記載の食肉レプリカ。
フレーバー化合物が、フェニル酢酸、(E,E)−2,4−ノナジエナール、水溶性樹脂タマネギ、油溶性タマネギ、p−クレゾール、酢酸アセトニル、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン、(E,E)−2,4−オクタジエナール、2−メチル−1−ブタンチオール、2−メチル−3−フリルテトラスルフィド、2−メルカプトプロピオン酸エチル、2−メルカプト−3−ブタノール(異性体の混合物)、n−デカン−d22、油溶性ニンニク、スルフロール、酢酸スルフリル、メルカプト−3−ブタノール、スピロミート、1−ペンテン−3−オン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、オレイン酸、ジプロピルトリスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、メチルシクロペンテノロン、3−メチルチオヘキサナール、酪酸、ブチロラクトン、5−メチル−2(3H)−フラノン、フラネオール、1−(1H−ピロール−2−イル)−エタノン、ヘキサン酸、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の食肉レプリカ。
ヘム含有タンパク質が、非共生ヘモグロビン、ヘルズゲート(Hell's gate)グロビンI、フラボヘムタンパク質、レグヘモグロビン、ヘム依存性ペルオキシダーゼ、チトクロムcペルオキシダーゼ、哺乳動物のミオグロビン、アンドログロビン、サイトグロビン、グロビンE、グロビンX、グロビンY、ヘモグロビン、ミオグロビン、エリトロクルオリン、βヘモグロビン、αヘモグロビン、プロトグロビン、シアノグロビン、サイトグロビン、ヒストグロビン、ニューログロビン、クロロクルオリン、切断型ヘモグロビン(例えば、HbNまたはHbO)、切断型2/2グロビン、ヘモグロビン3(例えば、Glb3)、チトクロム、またはペルオキシダーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の食肉レプリカ。
カロテノイドが、β−カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans−β−アポ−8’−カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項20に記載の食肉レプリカ。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本文書は、繊維性、質感の不均一性、牛肉のようなまたは他の食肉の風味、および異臭のないひき肉の調理中赤色から褐色への色の変化を含めた、ひき肉を模倣することができる植物ベースの製品を製造するための方法および材料に基づいている。例えば、本文書は、これらが、調理中の食肉の挙動および品質、すなわち、引き締まり、シネレシス(水の放出)、噛みごたえ(chew texture)、または食感を再現するためにゲル化するおよび/または変性する、温度に基づいて選択されるタンパク質を含む食肉レプリカを提供する。例えば、食肉レプリカの形態になるよう選択されたタンパク質の変性するおよびゲル化する温度は、食肉中に通常見出されるタンパク質(例えば、アクチンおよびミオシン)の温度に類似し得る。さらに、本明細書で提供される植物ベースの製品は、植物ベースの食肉レプリカが、より自然の風味を持ち、異臭がないように肉のような風味を提供することができる、矯味剤(例えば、調味料、風味付け前駆物質、および/または風味付け化合物)を含むことができる。したがって、本文書はまた、矯味剤などを含有する植物ベースの製品を製造するための方法を提供する。
【0005】
一態様では、本文書は、肉の生地約5重量%から約88重量%(例えば、約40重量%から約88重量%、約45重量%から約60重量%、または約15重量%から約55重量%);炭水化物系ゲル約0重量%から約40重量%(例えば、約1重量%から約30重量%、約5重量%から約25重量%、または約15重量%から約25重量%);脂肪約5重量%から約35重量%(例えば、約10重量%から約15重量%、約12重量%から約18重量%、または約20重量%から約25重量%);矯味剤約0.00001重量%から約10重量%(例えば、約3重量%から約7重量%、約0.001重量%から約2重量%、または約0.00001重量%から約2重量%);結合剤約0重量%から約15重量%(例えば、約2重量%から約15重量%または約2重量%から約10重量%);ならびにヘム含有タンパク質および/または鉄塩約0.01重量%から約4重量%(例えば、約0.05重量%から約1重量%、または約0.5重量%から約2重量%)を含む食肉レプリカ組成物を特徴とする。肉の生地は、矯味剤を含むことができる。脂肪は、矯味剤を含むことができる。肉の生地は、組成物の約45重量%から約60重量%であり得る。炭水化物系ゲルは、組成物の約10重量%から約25重量%であり得る。脂肪は、組成物の約10重量%から約15重量%であり得る。矯味剤は、組成物の約3重量%から約7重量%または約0.001重量%から約2重量%であり得る。矯味剤は、1種もしくは複数のフレーバー前駆物質、調味料、または風味付け化合物を含むことができる。矯味剤は、調味料および1種もまたは複数のフレーバー前駆物質の組合せであり得る。結合剤は、組成物の約2重量%から約10重量%であり得る。結合剤は、それらの組織構造上の特性および/または風味特性を改善する、またはそれらの変性およびゲル化温度を修正するために化学的にまたは酵素的に修飾されている1種または複数のタンパク質を含むことができる。ヘム含有タンパク質は、組成物の約0.01重量%から約2重量%であり得る。組成物は、ヘム含有タンパク質および鉄塩を含むことができる。肉の生地は、単離された植物タンパク質、食用の繊維状構成成分、任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含むことができる。結合剤は、コングリシニンタンパク質であり得る。
【0006】
別の態様では、本文書は、肉の生地約5重量%から約80重量%(例えば、約20重量%から約30重量%);脂肪約5重量%から約35重量%(例えば、約15重量%から約25重量%);食用の繊維状構成成分約15重量%から約40重量%(例えば、約15重量%から約25重量%);炭水化物系ゲル約0.1重量%から約18重量%(例えば、約7重量%から約18重量%);矯味剤約0重量%から約10重量%(例えば、約0重量%から約10重量%);結合剤約0.5重量%から約15重量%(例えば、約5重量%から約15重量%);ならびにヘム含有タンパク質および/または鉄塩約0.1重量%から約8重量%(例えば、約2重量%から約8重量%)を含む食肉レプリカ組成物を特徴とする。
【0007】
別の態様では、本文書は、ひき肉レプリカを製造する方法を特徴とする。方法は、(a)生地を150°Fから250°Fまでの温度に加熱するステップであって、生地が、単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含む、ステップと;(b)加熱後、生地を脂肪と合わせるステップであって、脂肪が、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意選択で含有する、ステップと;(c)ステップ(b)からの生地を炭水化物系ゲル、任意選択の食用の繊維状構成成分、任意選択の結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤を合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップとを含むことができる。方法は、炭水化物系ゲル、任意選択の食用の繊維状構成成分、任意選択の結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(b)からの生地を粉砕するステップをさらに含むことができる。
【0008】
別の態様では、本文書は、肉の生地に風味付けする方法を特徴とする。方法は、(a)第1の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第1の鉄塩を1種もしくは複数のフレーバー前駆物質および任意選択の脂肪と合わせるステップと;(b)混合物を加熱して、1種または複数のフレーバー化合物を形成するステップと;(c)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、およびステップ(b)からの混合物を含む生地を作製するステップとを含むことができる。方法は、(d)加熱後、生地を脂肪と合わせるステップであって、脂肪が、任意選択で、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を含有する、ステップと;(e)ステップ(d)の生地を、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップとをさらに含むことができる。方法は、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(d)からの生地を粉砕するステップをさらに含むことができる。
【0009】
別の態様では、本文書は、肉の生地に風味付けする方法であって、(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含む生地を作製するステップと;(b)脂肪を鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第1の鉄塩、および1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせ、混合物を加熱することにより風味を付けた脂肪を作製するステップと;(c)加熱後、生地を、風味を付けた脂肪と合わせるステップとを含む方法を特徴とする。方法は、ステップ(c)の生地を炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップをさらに含むことができる。方法は、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、第2の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または第2の鉄塩、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(c)の生地を砕くステップをさらに含むことができる。
【0010】
本文書はまた、ひき肉レプリカを製造する方法であって、(a)鉄塩を1種または複数のフレーバー前駆物質および任意選択の脂肪と合わせるステップと;(b)混合物を加熱して、1種または複数のフレーバー化合物を形成するステップと;(c)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、およびステップ(b)からの混合物を含む生地を作製するステップと;(d)加熱後、生地を脂肪と合わせるステップであり、脂肪が、矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意選択で含有する、ステップと;(e)ステップ(d)の生地を炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、任意選択の鉄塩、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップとを含む方法を特徴とする。方法は、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、鉄塩、任意選択の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(d)からの生地を粉砕するステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環は、混合物を加熱する前に、鉄塩、1種または複数のフレーバー前駆物質、および脂肪と合わせることができる。
【0011】
さらに別の態様では、本文書は、ひき肉レプリカを製造する方法を特徴とする。方法は、(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含む生地を作製するステップと;(b)脂肪を鉄塩および1種または複数のフレーバー前駆物質と合わせ、混合物を加熱することにより風味を付けた脂肪を作製するステップと;(c)加熱後、生地を風味を付けた脂肪と合わせるステップと;(d)ステップ(c)の生地を炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、鉄塩、任意選択の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種または複数の任意選択の矯味剤と合わせて、ひき肉レプリカを製造するステップとを含むことができる。方法は、炭水化物系ゲル、任意選択の結合剤、鉄塩、任意選択の鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環、および1種または複数の任意選択の矯味剤と合わせる前に、ステップ(c)からの生地を砕くステップをさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環は、混合物を加熱する前に、脂肪、鉄塩、および1種または複数のフレーバー前駆物質と合わせることができる。
【0012】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、鉄塩は、グルコン酸鉄、塩化鉄、シュウ酸鉄、硝酸鉄、クエン酸鉄、アスコルビン酸鉄(iron ascorbate)、硫酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、または任意の他の水溶性の塩であり得る。
【0013】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、ヘム含有タンパク質は、植物由来のヘム含有タンパク質(例えば、レグヘモグロビン)などの非動物ヘム含有タンパク質であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質は、単離するまたは単離および精製することができる。
【0014】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、1種または複数のフレーバー前駆物質は、糖、糖アルコール、糖酸、糖誘導体、油、遊離脂肪酸、アミノ酸もしくはその誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ビタミン、酸、ペプチド、リン脂質、タンパク質加水分解物、酵母抽出物、またはそれらの混合物であり得る。例えば、フレーバー前駆物質は、グルコース、フルクトース、リボース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、スクロース、マルトデキストリン、グリコーゲン、ヌクレオチドに結合された糖、糖蜜、リン脂質、レシチン、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン一リン酸(GMP)、ピラジン、アデノシン一リン酸(AMP)、乳酸、コハク酸、グリコール酸、チアミン、クレアチン、ピロリン酸塩、植物油、藻類油、ヒマワリ油、トウモロコシ油、ダイズ油、ヤシの実の油、パーム核油、ベニバナ油、アマニ油、米糠油、綿実油、オリーブ油、ヒマワリ油、カノーラ油、アマニ油、ヤシ油、マンゴー油、遊離脂肪酸、システイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、グルタチオン、アミノ酸誘導体、尿素、パントテン酸、オルニチン、ナイアシン、グリセロール、シトルリン、タウリン、ビオチン、ルリジサ油、真菌油(fungal oil)、クロスグリ油、ベタイン、βカロテン、B−ビタミン、N−アセチルL−システイン、グルタミン酸鉄およびペプトン、またはそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0015】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、生地中の単離された植物タンパク質は、コムギグルテン、デヒドリンタンパク質、アルブミン、グロブリン、もしくはゼイン、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0016】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、任意選択の食用の繊維状構成成分は、ニンジン、タケ、エンドウマメ、ブロッコリー、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、全粒粉、アルファルファ、ケール、セロリ、セロリの根、パセリ、キャベツ、ズッキーニ、グリーンビーンズ、インゲンマメ、クロマメ、アズキ、白インゲン、ビート、カリフラワー、ナッツ、リンゴの皮、カラスムギ、コムギ、もしくはオオバコ、またはそれらの混合物由来の植物繊維を含むことができる。
【0017】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、食用の繊維状構成成分は、単離された植物タンパク質の押出成形された混合物を含むことができる。押出成形された混合物は、コムギグルテンおよびダイズタンパク質単離物を含有することができ、場合によっては、矯味剤(例えば、酵母抽出物、タンパク質加水分解物、もしくは油などの調味料;フレーバー化合物;またはフレーバー前駆物質)をさらに含有することができる。いくつかの実施形態では、食用の繊維状構成成分は、溶液紡糸タンパク質繊維(例えば、トウモロコシゼイン、エンドウマメプロラミン、カフェリン(kafirin)、セカリン、ホルデイン、アベニン、またはそれらの混合物などのプロラミンを含有する溶液紡糸タンパク質繊維)であり得る。
【0018】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、脂肪は、非動物脂肪、動物脂肪、または非動物および動物脂肪の混合物であり得る。脂肪は、藻類油、真菌油、トウモロコシ油、オリーブ油、ダイズ油、ラッカセイ油、クルミ油、扁桃油、ゴマ油、綿実油、ナタネ油、カノーラ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、アマニ油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、ババス油、シアバター、マンゴーバター、カカオバター、コムギ胚芽油、ルリジサ油、クロスグリ油、シーバックソーン油、マカダミア油、ノコギリヤシ油、共役リノール酸油、アラキドン酸強化油、ドコサヘキサエン酸(DHA)強化油、エイコサペンタエン酸(EPA)強化油、パームステアリン酸、シーバックソーンベリー油、マカダミア油、ノコギリヤシ油、もしくは米糠油;またはマーガリンもしくは他の水素化された脂肪であり得る。いくつかの実施形態では、例えば、脂肪は、藻類油である。脂肪は、矯味剤および/または単離された植物タンパク質(例えば、コングリシニンタンパク質)を含有することができる。
【0019】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、生地は、矯味剤を含むことができる。方法または組成物のいずれかにおいて、生地中の非動物脂肪は、矯味剤を含むことができる。矯味剤は、野菜抽出物、果実抽出物、酸、酸化防止剤、カロテノイド、ラクトン、およびそれらの組合せからなる群から選択することができる。酸化防止剤は、没食子酸エピガロカテキンであり得る。カロテノイドは、ルテイン、β−カロテン、ゼアキサンチン、trans−β−アポ−8’−カロテナル、リコペン、またはカンタキサンチンであり得る。野菜抽出物は、キュウリまたはトマト由来であり得る。果実抽出物は、メロンまたはパイナップル由来であり得る。
【0020】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、炭水化物系ゲルは、融解温度が約45℃から約85℃の間であり得る。炭水化物系ゲルは、寒天、ペクチン、カラギーナン、コンニャク、アルギン酸塩、化学的に修飾されたアガロース、またはそれらの混合物を含むことができる。
【0021】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、ひき肉レプリカは、結合剤を含有することができる。結合剤は、単離された植物タンパク質(例えば、RuBisCO、アルブミン、グルテン、コングリシニン、またはそれらの混合物)であり得る。結合剤の変性温度は、約40℃から約80℃の間であり得る。結合剤は、調理後140°Fから190°Fまでで固くなる炭水化物系ゲルであり得る。炭水化物系ゲルは、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンガム、またはそれらの混合物を含有することができる。結合剤は、卵アルブミンまたはコラーゲンであり得る。
【0022】
本明細書に記載される方法または組成物のいずれかにおいて、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環は、ヘム部分、またはポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン(corphin)、クロロフィリン、バクテリオクロリン、または鉄イオンと錯化されたイソバクテリオクロリン部分であり得る。ヘム部分は、ヘム含有タンパク質(例えば、非共生ヘモグロビン、ヘルズゲート(Hell's gate)グロビンI、フラボヘムタンパク質(flavohemoprotein)、レグヘモグロビン、ヘム依存性ペルオキシダーゼ、チトクロムcペルオキシダーゼ、または哺乳動物のミオグロビン)であり得る。いくつかの実施形態では、ヘム含有タンパク質は、レグヘモグロビンであり得る。レグヘモグロビンは、ダイズ、エンドウマメ、またはササゲ由来であり得る。
【0023】
別の態様では、本文書は、食肉の風味を増すまたは食品中の植物材料からの異臭をマスキングする方法を特徴とする。方法は、食品の10
−3から10
−11の濃度で1種または複数のラクトンを食品に加えるステップであって、ラクトンが、テトラヒドロ−6−メチル−2H−ピラン−2−オン、δ−オクタラクトン、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、ジヒドロ−3−メチレン−2,5−フランジオン、l−ペントイルラクトン、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、6−ヘプチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、γ−オクタラクトン、5−ヒドロキシメチルジヒドロフラン−2−オン、5−エチル−2(5H)−フラノン、5−アセチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、trans−3−メチル−4−オクタノリド2(5H)−フラノン、3−(1,1−ジメチルエチル)−2,5−ウランジオン、3,4−ジヒドロキシ−5−メチル−ジヒドロフラン−2−オン、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、δ−テトラデカラクトン、およびジヒドロ−4−ヒドロキシ−2(3H)−フラノンからなる群から選択される、ステップを含む。いくつかの実施形態では、ラクトンは、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、ブチロラクトン、γ−オクタラクトン、およびδ−テトラデカラクトンであり得る。食品は、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0024】
本文書はまた、食肉の風味を増すまたは食品中の植物材料からの異臭をマスキングする方法であって、食品の0.00001%から0.1%の間の濃度で1種または複数のカロテノイドを食品に加えるステップであり、カロテノイドが、β−カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans−β−アポ−8’−カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、ステップ含む方法を特徴とする。食品は、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0025】
別の実施形態では、本文書は、食肉レプリカの食肉の風味を増す方法を特徴とする。方法は、食肉レプリカに、食肉レプリカの0.0001%から10%までの濃度で野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を、食肉レプリカに加えるステップを含むことができる。野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物(例えば、キュウリもしくはメロン由来の液汁、ピューレ、または抽出物)であり得る。方法の野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、調理することができ、食肉レプリカに加える前に別の方法で処理してタンパク質を変性させることもできる。食肉レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0026】
別の態様では、本文書は、食品の10
−3から10
−11の濃度でヘム含有タンパク質および1種もしくは複数のラクトンを含有する食品または食品レプリカ生成物であって、1種または複数のラクトンが、テトラヒドロ−6−メチル−2H−ピラン−2−オン、δ−オクタラクトン、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、ジヒドロ−3−メチレン−2,5−フランジオン、l−ペントイルラクトン、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、6−ヘプチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、γ−オクタラクトン、5−ヒドロキシメチルジヒドロフラン−2−オン、5−エチル−2(5H)−フラノン、5−アセチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、trans−3−メチル−4−オクタノリド2(5H)−フラノン、3−(1,1−ジメチルエチル)−2,5−ウランジオン、3,4−ジヒドロキシ−5−メチル−ジヒドロフラン−2−オン、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、δ−テトラデカラクトン、およびジヒドロ−4−ヒドロキシ−2(3H)−フラノンからなる群から選択される、食品または食品レプリカ生成物を特徴とする。例えば、1種または複数のラクトンは、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、ブチロラクトン、γ−オクタラクトン、およびδ−テトラデカラクトンであり得る。食品または食品レプリカ生成物は、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0027】
本文書はまた、食品の0.00001%から0.1%の間の濃度でヘム含有タンパク質および1種もしくは複数のカロテノイドを含有する食品または食品レプリカ生成物であって、1種または複数のカロテノイドが、β−カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans−β−アポ−8’−カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、食品または食品レプリカ生成物を特徴とする。食品または食品レプリカ生成物は、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカは、動物性生成物を含まないこともある。
【0028】
別の態様では、本文書は、食品の0.0001%から10%の濃度で、(a)ヘム含有タンパク質、および(b)野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を含有する食品または食品レプリカ生成物を特徴とする。野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物であり得る。ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物は、キュウリまたはメロン由来であり得る。野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、もしくは果実抽出物は、調理されていてもよく、または食品レプリカ生成物に加えられる前に別の方法で処理してタンパク質を変性させていてもよい。例えば、野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、食品レプリカ生成物に加えられる前に約60℃から約100℃の温度に加熱されていてもよい。食品は、動物性生成物を含まないこともある。
【0029】
別の態様では、本文書は、食品の10
−3から10
−11の濃度で1種または複数のラクトンを含有する食品レプリカ生成物であって、1種または複数のラクトンが、テトラヒドロ−6−メチル−2H−ピラン−2−オン、δ−オクタラクトン、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、ブチロラクトン、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、ジヒドロ−3−メチレン−2,5−フランジオン、l−ペントイルラクトン、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、6−ヘプチルテトラヒドロ−2H−ピラン−2−オン、γ−オクタラクトン、5−ヒドロキシメチルジヒドロフラン−2−オン、5−エチル−2(5H)−フラノン、5−アセチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、trans−3−メチル−4−オクタノリド2(5H)−フラノン、3−(1,1−ジメチルエチル)−2,5−ウランジオン、3,4−ジヒドロキシ−5−メチル−ジヒドロフラン−2−オン、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、δ−テトラデカラクトン、およびジヒドロ−4−ヒドロキシ−2(3H)−フラノンからなる群から選択される、食品レプリカ生成物を特徴とする。1種または複数のラクトンは、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、ブチロラクトン、γ−オクタラクトン、およびδ−テトラデカラクトンであり得る。
【0030】
さらに別の態様では、本文書は、食品の0.00001%から0.1%の間の濃度で1種または複数のカロテノイドを含有する食品レプリカ生成物であって、1種または複数のカロテノイドが、β−カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans−β−アポ−8’−カロテナル、リコペン、カンタキサンチン、およびそれらの組合せからなる群から選択される、食品レプリカ生成物を特徴とする。
【0031】
本文書はまた、食品の0.0001%から10%の濃度で野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物を含有する食品レプリカ生成物を特徴とする。野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、または抽出物(例えば、ウリ属(Cucumis)液汁、ピューレ、またはキュウリもしくはメロン由来の抽出物)であり得る。野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、調理されていてもよく、食品レプリカ生成物に加えられる前に別の方法で処理してタンパク質を変性させていてもよい。例えば、野菜ジュース、野菜ピューレ、野菜抽出物、果汁、果実ピューレ、または果実抽出物は、食品レプリカ生成物に加えられる前に約60℃から約100℃の温度に加熱されていてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される食品レプリカ生成物は、動物性生成物、コムギグルテン、ダイズタンパク質、および/または豆腐を含まないこともある。
【0033】
本明細書で提供される食品レプリカ生成物のいずれかは、肉の生地、炭水化物系ゲル、非動物脂肪、および結合剤のうち1種または複数を含有することができる。
【0034】
本明細書で提供される食品レプリカ生成物のいずれかは、食肉レプリカであり得る。食肉レプリカを製造するためのさらなる材料および方法は、例えば、米国特許出願公開第2014/0193547号明細書、およびPCT特許公報国際公開第2014/110532号パンフレットおよび国際公開第2014/110539号パンフレットにおいて見出すことができ、そのそれぞれは、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
本明細書で提供される食品レプリカ生成物のいずれかは、チーズレプリカであり得る。チーズレプリカは、ナッツミルク(nut milk)、架橋結合酵素、またはチーズ培養物を含有することができる。チーズレプリカを製造するためのさらなる材料および方法は、例えば、米国特許出願公開第2014/0127358号明細書、およびPCT特許公報国際公開第2014/110540号パンフレットにおいて見出すことができ、その両方は、その全体を参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
さらに別の態様では、本文書は、(a)単離された植物タンパク質、任意選択の食用の繊維状構成成分、1種または複数の任意選択の矯味剤、および任意選択の脂肪を含有する生地;(b)脂肪、矯味剤を任意選択で含有する脂肪および/または単離された植物タンパク質;ならびに(c)炭水化物系ゲル、結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または鉄塩、任意選択の食用の繊維状構成成分、および1種もしくは複数の任意選択の矯味剤を含有するひき肉レプリカを特徴とする。結合剤は、単離された植物タンパク質(例えば、RuBisCO、アルブミン、グルテン、コングリシニン、またはそれらの混合物)であり得る。結合剤の変性温度は、約40℃から約80℃の間であり得る。
【0037】
別段定義されない限り、本明細書に用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明に関係する当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと類似のまたはそれに相当する方法および材料を、本発明を実行するために用いることができるが、適当な方法および材料は、後述される。本明細書で言及されたすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、その全体を参照により組み込まれる。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および例は、例示的なものにすぎず、限定するものではない。
【0038】
本発明の1つまたは複数の実施形態の詳細は、以下の添付図面および説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、および利点は、説明および図面から、ならびに特許請求の範囲から明らかである。特許請求の範囲における用語「含む(comprising)」は、特許法のおける標準的な慣行に従って「本質的にからなる」によってまたは「からなる」で置き換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
一般に、本文書は、ひき肉レプリカ(例えば、牛のひき肉、鶏のひき肉、七面鳥のひき肉、子羊のひき肉、または豚のひき肉)、ならびに肉および魚の切り身のレプリカを含めた食肉レプリカを生成するための方法および材料を提供する。概して、本文書は、任意選択の食用の繊維状構成成分を含む食肉レプリカ生地(本明細書において「肉の生地」と称する)を調製するステップと、肉の生地を矯味剤および/または単離された植物タンパク質を任意選択で含むことができる脂肪(動物系脂肪が用いられ得ることに留意するべきであるが、通常、非動物系脂肪)と合わせるステップと、炭水化物系ゲル、任意選択の食用の繊維状構成成分、結合剤、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環および/または鉄塩、および1種もしくは複数の矯味剤を加えてレプリカを製造するステップとを含むひき肉レプリカを製造するための方法を提供する。肉の生地を脂肪と合わせた後、混合物は、さらなる成分を加える前により細かく砕くことができる。
【0040】
肉の生地は、食用の繊維状構成成分を取り込んで、ひき肉(例えば、牛のひき肉)の不均一性および質感に類似している食肉レプリカにおいて組織構造上の不均一性および繊維性を達成するのに役立てることができる。矯味剤を食肉レプリカの複数の構成成分(例えば、肉の生地、食用の繊維状構成成分、非動物系脂肪、または組み合わせて作られたレプリカ(assembled replica)のうちの2つ以上)に取り込むことにより、ひき肉の感覚的な特性を模倣するのに役立つ。いくつかの実施形態では、矯味剤は、食肉レプリカの3種の構成成分に取り込まれる。いくつかの実施形態では、矯味剤は、食肉レプリカの4種の構成成分に取り込まれる。
【0041】
本明細書に記載した通り、矯味剤は、フレーバー前駆物質、フレーバー前駆物質を鉄と反応させることにより生成されたフレーバー化合物、または抽出物(例えば、麦芽抽出物、酵母抽出物、キュウリ抽出物もしくはメロン抽出物などの野菜または果実抽出物、またはペプトン)などの調味料または植物性タンパク質加水分解物、ダイズタンパク質加水分解物、酵母タンパク質加水分解物、藻類タンパク質加水分解物、もしくは食肉タンパク質加水分解物などのタンパク質加水分解物または天然もしくは合成のフレーバー化合物であり得る。フレーバー前駆物質は、例えば、鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環または鉄塩中の鉄と、互いに反応させてもよく、加熱後、調味料と反応させてもよい。したがって、本明細書に記載した食肉レプリカにおいて、予め調理された、すなわち、反応させた、風味構成成分、レプリカの調理中(例えば、鉄塩および/もしくは鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環とまたは互いに)反応させることができる調理されていないフレーバー前駆物質、または調味料もしくは反応を必要とせずに風味を導入するフレーバー化合物の組合せは、食肉レプリカに取り込まれて、調理するおよび調理済みのひき肉を食べる感覚的な体験を再現することができる。ひき肉生成物の風味および/または芳香プロファイルは、他の因子の中でもとりわけ、フレーバー前駆物質のタイプおよび濃度、反応のpH、調理の長さ、鉄複合体のタイプおよび量(例えば、ヘム含有タンパク質、または非ペプチド性ポリマーもしくは巨大分子に結合したヘムなどのヘム−補因子)、反応の温度、ならびに生成物中の水分活性の量によって調節することができる。
【0042】
鉄イオンと錯化された高度に共役した複素環式環は、鉄複合体と本明細書で称される。かかる鉄複合体には、ヘム部分または鉄イオンと錯化された他の高度に共役した複素環式環が含まれる。「ヘム」とは、ポルフィリン環の中心で鉄(Fe
2+またはFe
3+)に結合される補欠分子族を意味する。したがって、鉄複合体は、ヘム部分、またはポルフィリン、ポルフィリノーゲン、コリン、コリノイド、クロリン、バクテリオクロロフィル、コルフィン(corphin)、クロロフィリン、バクテリオクロリン、または鉄イオンと錯化されたイソバクテリオクロリン部分であり得る。ヘム部分は、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子;非ペプチド性ポリマーまたはリポソーム、ポリエチレングリコール、炭水化物、多糖類、もしくはシクロデキストリンなどの他の巨大分子に結合されるヘム部分であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、鉄複合体は、単離され精製されるヘム含有タンパク質である。本明細書で使用される場合、タンパク質またはタンパク質画分に関する用語「単離され精製された」は、タンパク質またはタンパク質画分が、原料物質の他の構成成分の乾燥重量により少なくとも50%(例えば、少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%)を含まないように、タンパク質またはタンパク質画分が、原料物質(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類、または細菌タンパク質)の他の構成成分から分離されていることを示す。
【0044】
本明細書で使用される場合、「濃縮された」タンパク質またはタンパク質画分組成物は、原料物質に対してそのタンパク質またはタンパク質画分中で少なくとも2倍(例えば、少なくとも3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、50倍、または100倍)濃縮される。
【0045】
用語「ヘム含有タンパク質」は、「ヘム含有ポリペプチド」または「ヘムタンパク質」または「ヘムポリペプチド」と同義的に用いることができ、ヘム部分に共有結合または非共有結合することができる任意のポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ヘム含有ポリペプチドは、グロビンであり、グロビンフォールドを含むことができ、これは一連の7個から9個のαヘリックスを含む。グロビンタイプタンパク質は、任意のクラス(例えば、クラスI、クラスII、またはクラスIII)のものであり得、いくつかの実施形態では、酸素を輸送または貯蔵することができる。例えば、ヘム含有タンパク質は、ヘモグロビンまたはレグヘモグロビンの非共生タイプであり得る。ヘム含有ポリペプチドは、モノマー、すなわち、単一のポリペプチド鎖であってもよく、二量体、三量体、四量体、および/または高次のオリゴマーであってもよい。ヘム含有タンパク質の酸化したFe
2+状態の寿命は、ミオグロビンの寿命と類似してもよく、ヘムタンパク質含有消耗品が製造される、貯蔵される、取り扱われるまたは消費のために調製される条件下で、それを10%、20%、30%、50%、100%またはそれ以上まで超えてもよい。ヘム含有タンパク質の酸化されないFe
2+状態の寿命は、ミオグロビンの寿命と類似してもよく、ヘムタンパク質含有消耗品が、製造される、貯蔵される、取り扱われるまたは消費のために調製される条件下で、それを10%、20%、30%、50%、100%またはそれ以上まで超えてもよい。
【0046】
ヘム含有ポリペプチドの非限定的な例には、アンドログロビン、サイトグロビン、グロビンE、グロビンX、グロビンY、ヘモグロビン、ミオグロビン、エリトロクルオリン、βヘモグロビン、αヘモグロビン、プロトグロビン、シアノグロビン、サイトグロビン、ヒストグロビン、ニューログロビン、クロロクルオリン、切断型ヘモグロビン(例えば、HbNまたはHbO)、切断型2/2グロビン、ヘモグロビン3(例えば、Glb3)、チトクロム、またはペルオキシダーゼを含むことができる。
【0047】
本明細書に記載したひき肉レプリカにおいて用いることができるヘム含有タンパク質は、哺乳動物(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、雄ウシ、またはウサギなどの家畜)、鳥類、植物、藻類、真菌類(例えば、酵母または糸状菌)、繊毛虫類、または細菌由来であり得る。例えば、ヘム含有タンパク質は、家畜(例えば、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、魚、雄ウシ、またはウサギ)などの哺乳動物または七面鳥もしくはニワトリなどの鳥類由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、ニコチアナ・タバクム(Nicotiana tabacum)またはニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)(タバコ);ゼア・マユス(Zea mays)(トウモロコシ)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、グリシン・マックス(Glycine max)(ダイズ)、ヒヨコマメ(cicer arietinum)(ガルバンゾまたはヒヨコマメ)、エンドウ(garden pea)もしくはスナップエンドウなどのピスム・サティヴム(Pisum sativum)(エンドウマメ)品種などのマメ科植物、グリーンビーンズ、クロマメ、白インゲンマメ、ノーザンビーンズ(northern beans)、もしくはピントビーン(pinto bean)などのインゲンマメのファセオルス・ブルガリス(Phaseolus vulgaris)品種、ヴィグナ・ウングイクラタ(Vigna unguiculata)品種(ササゲ)、ヴィグナ・ラジアタ(Vigna radiata)(リョクトウ)、ルピナス・アルブス(Lupinus albus)(ルピナス)、またはメジカゴ・サチヴァ(Medicago sativa)(アルファルファ);ブラシカ・ナパス(Brassica napus)(カノーラ);トリチカム(Triticum)種(コムギ粒、およびスペルトコムギを含めたコムギ);ゴシピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum)(ワタ);オリザ・サティヴァ(Oryza sativa)(イネ);ジザニア(Zizania)種(ワイルドライス);ヘリアンサス・アンヌウス(Helianthus annuus)(ヒマワリ);ベータ・ブルガリス(Beta vulgaris)(サトウダイコン);ペニセツム・グラウクム(Pennisetum glaucum)(パールミレット);ケノポジウム(Chenopodium)種(キノア);セサマム(Sesamum)種(ゴマ);リナム・ウシタチシマム(Linum usitatissimum)(フラックス);あるいはホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare)(オオムギ)などの植物由来であり得る。ヘム含有タンパク質は、酵母(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、マグナポルテ・オリザエ(Magnaporthe oryzae)、フサリウム・グラミネアルム(Fusarium graminearum)、コウジカビ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ミセリオプテラ・テルモフィル(Myceliopthera thermophile)、クルイベラミセス・ラクチス(Kluyveramyces lactis)、またはフサリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)などの真菌類から単離することができる。ヘム含有タンパク質は、細菌、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、枯草菌(Bacillus subtilis)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、シネコシスティス(Synechocistis)種、アクイフェクス・エオリクス(Aquifex aeolicus)、メチルアシジフィルム・インフェルノラム(Methylacidiphilum infernorum)、またはテルモフィラス(Thermophilus)種などの好熱性細菌から単離することができる。多数のヘム含有タンパク質の配列および構造は、公知である。例えば、Reedy, et al., Nucleic Acids Research, 2008, Vol. 36, Database issue D307-D313およびワールドワイドウェブ(http://hemeprotein.info/heme.php)で利用可能なヘムタンパク質データベースを参照のこと。
【0048】
いくつかの実施形態では、非共生ヘモグロビンは、任意の植物由来であり得る。いくつかの実施形態では、非共生ヘモグロビンは、ダイズ、発芽ダイズ、アルファルファ、ゴールデンフラックス(golden flax)、クロマメ、ブラックアイドピー(black eyed pea)、ノーザンビーン、タバコ、エンドウマメ、ガルバンゾ、リョクトウ、ササゲ、ピントビーン、サヤエンドウ、キノア、ゴマ、ヒマワリ、コムギ粒、スペルト、オオムギ、ワイルドライス、およびイネからなる群から選択される植物由来であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、レグヘモグロビンは、ダイズ、エンドウマメ、またはササゲレグヘモグロビンであり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、単離された植物タンパク質が用いられる。本明細書で使用される場合、タンパク質またはタンパク質画分(例えば、7S画分)に関する用語「単離された」は、タンパク質またはタンパク質画分が、原料物質の他の構成成分の乾燥重量により少なくとも2%(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%)を含まないように、タンパク質またはタンパク質画分が、原料物質(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類、または細菌タンパク質)の他の構成成分から分離されていることを示す。したがって、いくつかの実施形態では、鉄複合体は、単離されるヘム含有タンパク質(例えば、植物ヘム含有タンパク質)であり得る。タンパク質は、これらの分子量に基づき、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、膜による限外ろ過、または密度遠心分離により分離することができる。いくつかの実施形態では、タンパク質は、これらの表面電荷に基づき、例えば、等電沈澱、陰イオン交換クロマトグラフィー、または陽イオン交換クロマトグラフィーにより分離することができる。タンパク質はまた、これらの溶解性に基づき、例えば、硫酸アンモニウム沈澱、等電沈澱、界面活性剤、洗剤または溶媒抽出により分離することができる。タンパク質はまた、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィー、反応染料、またはヒドロキシアパタイトを用いて、別の分子へのそれらの親和性により、分離することができる。アフィニティークロマトグラフィーはまた、ヘム含有タンパク質に対する特異的結合親和性を有する抗体、His−タグ付き組換えタンパク質のためのニッケルニトリロ酢酸(NTA)、糖タンパク質において糖部分に結合するためのレクチン、またはタンパク質を特異的に結合させる他の分子を用いることを含むことができる。
【0051】
実施例2は、植物(例えば、ホウレンソウまたはアルファルファ)からRuBisCOを単離するための方法を記載している。抽出プロセスは、メタ重亜硫酸塩(約2%w/vまたはそれ以上の溶液)などの還元剤を初回の抽出緩衝液に加え、プロセスを通して嫌気条件を維持することにより、および/またはSuperfloc 781G,Magnafloc LT 7989(BASF)、またはTramfloc 863Aなどの0.05〜1%v/v陽イオン性凝集剤を、抽出緩衝液に加えることにより、さらに改善することができる。pH7.0の精密ろ過後、かかる方法からの再懸濁させたタンパク質ペレットは、それでもなお機能し、同じ色を呈し、同じ変性特性を有する。
【0052】
実施例4は、ダイズなどの植物からコングリシニン(7S画分と称することもできる)を単離するための方法を記載している。7Sの他の供給源には、それだけには限らないが、エンドウマメ、ヒヨコマメ、リョクトウ、インゲンマメ、ソラマメ、ササゲ、松の実、イネ、トウモロコシ、およびゴマなどの種子が含まれる。可溶性タンパク質は、脱脂ダイズ粉から抽出し、次いで、混合物を、(例えば、pH4.5まで)酸性にしてタンパク質を沈殿させることができる。コングリシニンは、再溶解させ、例えば、限外ろ過を用いて濃縮することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、単離されたタンパク質は、脱色される。例えば、RuBisCO濃縮物は、活性炭で充てんされたカラムに通すことにより脱色することができる(pH7〜9)。着色料はカラムに結合することができ、一方、RuBisCOは、ろ液中で単離することができる。あるいは、RuBisCO濃縮物は、カラムまたはバッチモードに充てんされたFPX66(Dow Chemicals)樹脂で溶液をインキュベートすることにより脱色することができる。スラリーは、30分間インキュベートされ、次いで、液体は、樹脂から分離される。着色料は、樹脂に結合することができ、RuBisCOは、カラム通過画分中で収集することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、単離されたタンパク質は、実施例3に記載されている通り精製し、脱色することができる。2014年10月1日出願の米国特許出願第62/058,211号「Methods for Extracting and Purifying Native Proteins」も参照のこと。
【0055】
いくつかの実施形態では、脱色された単離された植物タンパク質は、脱色せずに単離された植物タンパク質を含む、対応する食肉レプリカと比較して、食肉レプリカの赤色に対する有効期間の安定性を高めることができる。いくつかの実施形態では、脱色されたタンパク質は、対応する脱色せずに単離された植物タンパク質を含む食肉レプリカにおいて観察されたものと比較して、食肉レプリカの風味プロファイルを改善させる。
【0056】
ヘム含有または他のタンパク質はまた、ポリペプチド発現技法(例えば、細菌細胞、昆虫細胞、酵母などの真菌細胞、タバコ、ダイズ、もしくはアラビドプシス(Arabidopsis)などの植物細胞、または哺乳動物細胞を用いた異種の発現技法)を用いて組み換えによって生成することができる。例えば、レグヘモグロビンは、実施例1に記載されている通り大腸菌(E.coli)またはピキア・パストリス(Pichia pastoris)において組み換えによって生成することができる。場合によっては、標準的なポリペプチド合成技法(例えば、液相ポリペプチド合成技法または固相ポリペプチド合成技法)を用いて、ヘム含有タンパク質を合成により生成することができる。場合によっては、in vitro転写−翻訳技法を用いて、ヘム含有タンパク質を生成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される食肉レプリカは、非動物供給源、例えば、植物、真菌、または微生物ベースの供給源に由来する成分から実質的にまたは完全に構成される。いくつかの実施形態では、食肉レプリカは、1種または複数の動物ベースの生成物を含むことができる。例えば、食肉レプリカは、植物ベースおよび動物ベースの供給源の組合せから製造することができる。
【0058】
食肉レプリカの製造
肉の生地は、単離された植物タンパク質および任意選択の食用の繊維状構成成分、任意選択の矯味剤、および任意選択の非動物脂肪を混合し、水またはブロスなどの水性構成成分を、混合物に加え、手動でもしくは機械的に練り合わせてまたは別の方法で混合し、生地を形成することにより調製することができる。植物タンパク質および繊維状構成成分の混合物に加える前に、水性構成成分は加熱することができる。肉の生地が形成された後、肉の生地を、150°Fから250°F(例えば、160°Fから240°F、170°Fから230°F、180°Fから220°F、または190°Fから212°F)までの温度に加熱する(例えば、蒸すまたはゆでる)。例えば、肉の生地は、炊飯器、スチームキャビネット、またはトンネルスチーマーに置くことにより蒸すことができる。肉の生地は、乾熱を加える、例えば、パン焼き器もしくはオーブンに置くことにより、または熱湯もしくはブロスに浸漬することにより加熱することができる。ブロスでゆでると、有益な風味および異臭マスキング剤を生地に吸収させることができるため、肉の生地の風味を向上することができる。質感特性はまた、調理方法の選択により調節することもできる。
【0059】
本明細書で使用される場合、用語「単離された植物タンパク質」は、タンパク質またはタンパク質画分が、原料物質の他の構成成分の乾燥重量により少なくとも2%(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%)を含まないように、植物タンパク質(例えば、ヘム含有タンパク質、コムギグルテン、デヒドリンタンパク質、アルブミン、グロブリン、コングリシニン、グリシニン、もしくはゼイン、またはそれらの混合物)または植物タンパク質画分(例えば、7S画分)は、原料物質(例えば、他の動物、植物、真菌、藻類、または細菌タンパク質)の他の構成成分から分離されていることを示す。例えば、コムギグルテンは、単独でまたは1種もしくは複数の他のタンパク質(例えば、デヒドリン)と組み合わせて用いることができる。デヒドリンは、ひき肉レプリカにおいて多汁性および質感を高めるために特に有用であり得る。いくつかの実施形態では、食肉レプリカは、グルテンを含まないように配合することができ、例えば、トウモロコシデンプン、タピオカ粉、米粉、およびグアーガムのブレンドは、肉の生地中のコムギグルテンと置換することができる。
【0060】
食用の繊維状構成成分は、植物繊維、単離された植物タンパク質(例えば、コムギグルテンまたは他の単離された植物タンパク質、例えば、グルテリン、アルブミン、レグミン、ビシリン(vicillin)、コンビシリン、グリシニンおよびダイズ、エンドウマメ、レンズマメなどを含めた任意の種子またはマメ由来などのタンパク質分離物など)の押出成形された混合物、または溶液紡糸タンパク質繊維であり得る。いくつかの実施形態では、溶液紡糸タンパク質繊維は、プロラミン溶液紡糸タンパク質繊維である。プロラミンは、任意の植物供給源(例えば、トウモロコシまたはエンドウマメ)由来であり得、ゼイン、プロラミン、カフェリン(kafirin)、セカリン、ホルデイン、またはアベニンを含むことができる。ひき肉生成物(例えば、肉のパテ)の質感は、繊維性および引張強さなどの食用の繊維状構成成分の特性に依存する。本明細書に記載した通り、単離された植物タンパク質または溶液紡糸タンパク質繊維の押出成形された混合物は、結合組織レプリカと称することができ、結合組織レプリカの繊維性および引張強さは、温度、処理量、およびダイ寸法などの押出パラメーターの共変動により制御することができる。例えば、より低い押出温度、中間/低処理量およびより小型のダイの組合せは、引張強さが低い繊維性のより高い組織の生成に好都合に働き、より高い押出温度、より高い処理量およびより大型のダイは、引張強さが非常に高い繊維性の低い組織レプリカの生成に好都合に働く。
【0061】
結合組織レプリカの繊維性および引張強さはまた、押出混合物の組成を変化させることにより調節することもできる。例えば、単離された植物タンパク質(例えば、コングリシニンなどのダイズタンパク質)とコムギグルテンとの比を3:1w/wに上げ、同時に押出混合物の含水量を50%まで減らすことにより、繊維よりが薄く引張強さがより大きい結合組織レプリカを製造することができる。
【0062】
肉の生地の質感はまた、酒石酸水素カリウムを調製に加えることにより改変することもできる。例えば、酒石酸水素カリウムを含有する肉の生地調製は、成形しやすいように、牛のひき肉と類似する挽いた後の形状因子により、より粘着力があってもよい。酒石酸水素カリウムは、0.05%から2.5%の間(例えば、0.5%)で加えることができる。
【0063】
ひき肉レプリカの外観は、食用の繊維状構成成分を、所望のサイズおよび形状の断片に細長く切ることにより調節することができる。いくつかの実施形態では、食用の繊維状構成成分は、市販のシュレッダー、例えば、艶消し刃が付属したCuisineartチョッパー/グラインダー、UM12、Comitrolシュレッダー(Urschel Laboratories、Indiana)または類似のシュレッダーを用いて細長く切ることができる。繊維のサイズは、シュレッダーのタイプ、刃の選択、およびスクリーンのタイプによりならびに細長く切る時間を調整することにより、肉の繊維の外観を模倣するために調整することができる。
【0064】
他の実施形態では、食用の繊維状構成成分は、携帯型のカーダー(carder)または梳綿機、例えば、Pat Greenカーダーを用いて梳くことにより繊維に分離することができる。サイズを変えるおよびカーディングドラムのピンの間隔を開けることにより、繊維のサイズを調整して、肉の繊維の外観を模倣することができる。
【0065】
他の実施形態では、食用の繊維状構成成分は、ローラー(例えば、KITCHENAID(登録商標)パスタアタッチメント)に通してそれを押し、その後、UM12マシンで、例えば、艶消し刃を用いて、静かに細長く切ることにより繊維に分離することができる。ローラーの番号およびローラー間の間隔を変えることにより、繊維のサイズを調整して、肉の繊維の外観を模倣することができる。
【0066】
結合組織レプリカの繊維性、引張強さ、および外観は、目的に合わせて、特定のひき肉生成物(例えば、牛のひき肉または挽くことができる牛肉の異なる切り身)を模倣して作ることができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、食用の繊維状構成成分には、可溶性または不溶性植物繊維が含まれる。例えば、ニンジン、タケ、エンドウマメ、ブロッコリー、ジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシ、全粒粉、アルファルファ、ケール、セロリ、セロリの根、パセリ、キャベツ、ズッキーニ、グリーンビーンズ、インゲンマメ、クロマメ、アズキ、白インゲン、ビート、カリフラワー、ナッツ、リンゴの皮、カラスムギ、コムギ、もしくはオオバコ、またはそれらの混合物由来の植物繊維は、食用の繊維状構成成分として用いることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、食用の繊維状構成成分には、押出プロセス中に異臭の発生を防止する化合物が含まれ得る。押出混合物が押出プロセス中に曝露される温度が高く水分が少ない条件により、穀物のような(grainy)、木のような、ナッツのような、ゴムのようなおよび他の異臭を伴う化合物を形成する。酸化防止剤またはカロテノイドなどのある特定のクラスの化合物を含むことによって、異臭化合物の形成を低下させるのに役立てることができる。例えば、押出成形された混合物は、穀物のような異臭の発生を防止するためにカンタキサンチンを含むことができる。カロテノイドは、食用の繊維状構成成分の約0重量%から約1重量%であり得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、肉の生地は、単離された植物タンパク質と食用の繊維状構成成分のおおよそ等しい割合を用いて形成される。比は、最終生成物の特性を目的に合わせて作るのに望ましいように変えることができることが理解されよう。
【0070】
いくつかの実施形態では、ブロス、例えば、風味を付けたブロスは、肉の生地に用いることができる。例えば、肉の生地は、単離された植物タンパク質とブロスのおおよそ等しい割合を用いて形成することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、風味ブロスには、肉の生地に加える前にフレーバー前駆物質を予備反応させる(調理する)ことにより創出された風味混合物が含まれる。フレーバー前駆物質分子または組成物は、精製された形態で予備反応混合物に加えられてもよいし、および/または例えばヤシ油、システイン、グルコース、リボース、チアミン、藻類油、乳酸および/または酵母抽出物などの特定のフレーバー前駆物質または組成物のうち1種または複数を含有するかおよび/またはそれらが富化された未調理の肉の生地中の成分に由来するものでもよい。得られた風味および/または芳香プロファイルは、他の因子の中でもとりわけ、フレーバー前駆物質のタイプおよび濃度、反応のpH、調理の長さ、調理の温度、鉄複合体(例えば、タンパク質を含有する鉄、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子、または鉄クロロフィリン)または鉄塩(グルコン酸鉄)のタイプおよび量、反応の温度、ならびに生成物中の水分活性の量により調節することができる。風味ブロスは、非動物性生成物(例えば、植物)を含有してもよく、風味ブロスは、動物および非動物ベースの前駆物質(例えば、ラード)の組合せであってもよい。風味ブロスは、牛肉、ベーコン、豚肉、仔ヒツジの肉、ヤギ肉、七面鳥の肉、鴨肉、鹿肉、ヤクの肉、バイソンの肉、鶏肉の味およびにおいまたは望ましい食肉の風味になる消費できる食品に風味をもたらし得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、風味を付けたブロスは、鉄複合体(例えば、単離されたヘム含有タンパク質)および/または鉄塩(例えば、グルコン酸鉄、塩化鉄、シュウ酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、硫酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、または任意の他の水溶性の塩)を、1種もしくは複数のフレーバー前駆物質および脂肪(例えば、非動物系脂肪)と組み合わせることにより、ならびに混合物を加熱して、1種または複数のフレーバー化合物を含有する風味を付けたブロスを得ることにより作製することができる。適当なフレーバー前駆物質には、糖、糖アルコール、糖誘導体、遊離脂肪酸、トリグリセリド、α−ヒドロキシ酸、ジカルボン酸、アミノ酸およびその誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ビタミン、ペプチド、リン脂質、レシチン、ピラジン、クレアチン、ピロリン酸塩および有機分子が含まれる。例えば、糖、糖アルコール、糖酸、および糖誘導体は、グルコース、フルクトース、リボース、スクロース、アラビノース、グルコース−6−リン酸、フルクトース−6−リン酸、フルクトース1,6−二リン酸、イノシトール、マルトース、マンノース、グリセロール、糖蜜、マルトデキストリン、グリコーゲン、ガラクトース、ラクトース、リビトール、グルコン酸、グルクロン酸、アミロース、アミロペクチン、またはキシロースを含むことができる。遊離脂肪酸は、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸、γリノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ペトロセリン酸またはエルカ酸を含むことができる。トリグリセリドは、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸、γリノレン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ペトロセリン酸またはエルカ酸の脂肪酸エステルを含むことができる。アミノ酸およびその誘導体は、システイン、シスチン、システインスルホキシド、アリシン、セレノシステイン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、リシン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、5−ヒドロキシトリプトファン、バリン、アルギニン、ヒスチジン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、オルニチン、カルノシン、シトルリン、カルニチン、オルニチン、テアニン、およびタウリンを含むことができる。リン脂質は、脂肪酸、グリセロールおよび極性基を含む、複数の両親媒性分子を含むことができる。脂肪酸は、オレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、20:1エイコサン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、18:2共役リノール酸、共役オレイン酸、またはオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、20:1エイコサン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、18:2共役リノール酸もしくは共役オレイン酸のエステル、またはオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、20:1エイコサン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、18:2共役リノール酸もしくは共役オレイン酸のグリセロールエステル、またはオレイン酸、パルミトレイン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ミリストレイン酸、カプロン酸、カプリン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、リノール酸、20:1エイコサン酸、アラキドン酸、エイコサペンタン酸、ドコサヘキサン酸、18:2共役リノール酸、もしくは共役オレイン酸のトリグリセリド誘導体からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、極性基は、コリン、エタノールアミン、セリン、リン酸塩、グリセロール−3−リン酸、イノシトールおよびイノシトールリン酸からなる群から選択される。
【0073】
ヌクレオシドおよびヌクレオチドは、イノシン、イノシン一リン酸(IMP)、グアノシン、グアノシン一リン酸(GMP)、アデノシン、またはアデノシン一リン酸(AMP)を含むことができる。ビタミンは、チアミン、ビタミンB2、ビタミンB9、ビタミンC、4−アミノ安息香酸、コリン、ナイアシン、ビタミンB8、ビタミンB12、ビオチン、ベタイン、ビタミンA、βカロテン、ビタミンD、ビタミンB6、またはビタミンEを含むことができる。酸、例えば、酢酸、コーヒー酸、グリコール酸、アスパラギン酸、パントテン酸、乳酸もしくはグリコール酸などのαヒドロキシ酸、クエン酸などのトリカルボン酸、またはコハク酸もしくは酒石酸などのジカルボン酸。ペプチドおよびタンパク質加水分解物は、グルタチオン、植物性タンパク質加水分解物、ダイズタンパク質加水分解物、コムギタンパク質加水分解物、トウモロコシタンパク質加水分解物、酵母タンパク質加水分解物、藻類タンパク質加水分解物、および食肉タンパク質加水分解物を含むことができる。抽出物は、麦芽抽出物、酵母抽出物、またはペプトンを含むことができる。
【0074】
例えば、いくつかの実施形態では、ブロスは、鉄複合体(例えば、レグヘモグロビンなどの単離され精製されたヘム含有タンパク質)および/または鉄塩(例えば、グルコン酸鉄、塩化鉄、シュウ酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、硫酸第一鉄、ピロリン酸第二鉄、または任意の他の水溶性の塩)を1種または複数のフレーバー前駆物質(例えば、表2または表13に示される前駆物質のミックス)および脂肪(例えば、非動物系脂肪)と合わせることにより、ならびに混合物を加熱して1種または複数のフレーバー化合物を含有する風味を付けたブロスを得ることにより作製することができる。非動物脂肪は、植物由来油、藻類油、または細菌もしくは真菌類由来の油を含むことができる。適当な植物由来油には、ヤシ油、マンゴー油、ヒマワリ油、綿実油、ベニバナ油、米糠油、カカオバター、パーム核油、ヤシの実の油、パーム油、ダイズ油、ナタネ油、カノーラ油、トウモロコシ油、ゴマ油、クルミ油、扁桃油、アマニ油、ホホバ油、ヒマシ油、グレープシード油、ラッカセイ油、オリーブ油、ルリジサ油、藻類油、真菌油、クロスグリ油、ババス油、シアバター、マンゴーバター、コムギ胚芽油、クロスグリ油、シーバックソーン油、マカダミア油、ノコギリヤシ油、共役リノール酸油、アラキドン酸強化油、ドコサヘキサエン酸(DHA)強化油、エイコサペンタエン酸(EPA)強化油、またはマーガリンが含まれる。油は、水素化されていても(例えば、水素化された植物油)、水素化されていなくてもよい。ステアリン(例えば、パームステアリン)またはオレインなどの油画分を用いることもできる。例えば、非動物脂肪は、ヤシ油でも、ヤシ油およびステアリンの組合せでもよい。いくつかの実施形態では、脂肪は、非動物(例えば、植物)生成物を含有してもよく、脂肪は、動物および非動物ベースの前駆物質(例えば、ラード)の組合せ、またはもっぱら動物系脂肪でもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、風味を付けたブロスは、水、ヤシ油などの非動物系脂肪、および酸(例えば、乳酸)などの矯味剤、カロテノイド(例えば、ルテイン)、または酸化防止剤を合わせることにより、ならびに混合物を加熱してブロスを作製することにより作製することができる。
【0076】
前述した肉の生地を加熱後、矯味剤を任意選択で含有する非動物脂肪は、肉の生地と合わせることができる。通常、肉の生地は、肉の生地を非動物脂肪と合わせる前に(例えば、室温まで)放冷する。非動物脂肪は、非動物脂肪を、鉄複合体または鉄塩および(前述の)1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせることによりならびに混合物を加熱してフレーバー化合物を生成することにより風味付けすることができる。非動物系脂肪が固化することができるように加熱された混合物は、冷却することができる。1種または複数の追加の非動物脂肪(例えば、藻類油)、1種もしくは複数のマスキング剤(例えば、ラクトン、例えばブチロラクトン、δ−トリデカラクトン、γデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−オクタラクトン、ジヒドロ−5−メチル2(3H)−フラノン、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、δ−テトラデカラクトン、またはそれらの組合せ)、または1種もしくは複数の風味付け化合物(例えば、アセトイン、カロテノイド、酸化防止剤、野菜ジュースもしくは果汁、ピューレ、または抽出物)は、混合物が固化する前に加えて非動物脂肪の風味を改善することができる。いくつかの実施形態では、5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノン、ブチロラクトン、γ−オクタラクトン、および/またはδ−テトラデカラクトンの組合せは、マスキング剤として用いることができる。(例えば、10
−3から10
−10の濃度で)1種または複数のラクトンを加えると、その結果、穀物、卵、苦味、厚紙、肝臓、またはマッシュルームのように感じる異臭が減り、クリームのような、バターのような、カラメルになった、脂っこい、新鮮な、およびフルーツのようななどの所望の風味を増すことができる。例えば、2種、3種、または4種のラクトンの組合せを用いて、苦味などの特性をマスキングすることができる。さらに、ラクトンはまた、10
−3から10
−11の間の濃度で用いて、クリームのような、バターのような、カラメルになった、脂っこい、新鮮な、フルーツのような、獣脂および肉のような香気などの所望の風味を、食肉レプリカに与えることができる。したがって、ラクトンは、マスキング剤または矯味剤として用いることができる。ラクトンは、それだけには限らないが、牛乳、チーズ、およびヨーグルトなどの乳製品のレプリカ、またはプロテインバーおよびタンパク質粉末などのタンパク質サプリメントを含めた、他の製品においてマスキング剤として作用することができる。ラクトンの組合せは、食肉レプリカなどの食品において肉の風味(例えば、脂っこい獣脂および甘い芳香)を創出するまたは非牛肉食品に牛肉の風味を与える上で重要な独特な風味プロファイルを提供することができる。食肉レプリカは、ラクトンが生成物に加えられる場合、全体的な嗜好および肉のような特質(meatiness)の評価を改善する。いくつかの実施形態では、例えば、ブチロラクトン、δ−テトラデカラクトン、および5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノンの組合せは、肉のような風味を提供するために用いることができる。ラクトンは、植物油に加えて、より動物脂肪に近い脂肪の味を作り、口全体に広がる感じ(perception of mouth coating)を増すことができる。ラクトンはまた、糖含有量を変えずに生成物の甘味を増すために加えることもできる。ラクトンおよびカロテノイドなどの作用物質が、食肉またはチーズレプリカを含めた、食品レプリカ(例えば、植物ベースの食品レプリカ)に風味を付けるために用いることができ、食肉およびチーズなどの食品の風味を変更するために(例えば、食肉またはチーズ風味を増すために)用いることもできることに留意するべきである。
【0077】
いくつかの実施形態では、β−カロテン、ゼアキサンチン、ルテイン、trans−β−アポ−8’−カロテナル、リコペン、およびカンタキサンチンなどのカロテノイドを用いて、所望の風味の創出を制御し、植物ベースの食品(例えば、本明細書に記載した食肉レプリカ)などの食品を創出することによって望まれない風味を防止することができる。カロテノイドは、乳製品のレプリカを含めた、他の食品における植物の異臭を減らすために用いることができる。カロテノイドの各タイプは、所望の風味を創出するおよび異臭を制御する異なる特性を有することが判明した。実施例18および26を参照のこと。カロテノイドは、0.00001%から0.1%の間で加えられる場合、食肉レプリカを改善する甘いおよび脂のような香気を増すことができる。
【0078】
カロテノイドは、風味エマルションまたは風味ブロスにカロテノイドを加えることにより食肉レプリカに加えることができる。カロテノイドは、調理前後に加えることができる。カロテノイドは、0.00001%から0.1%の間で加えることができる。カロテノイドを調理前に加える場合、カロテノイドは、食肉レプリカに加える前に風味を創出する反応風味混合物において基質として作用することができる。カロテノイドはまた、酸化防止剤として作用することによって生成される他の風味についての経路を変える。カロテノイドを加えると、風味エマルションは、風味の質を改善することができ;(ろうのような、魚のような、絵の具のような)質の悪い酸化臭が減少し、(土のような、マッシュルーム、穀物のような、豆のような)他の質の悪い香気が減少し、甘い、脂っこい、肉のような、および新鮮な風味が増す。各カロテノイドは、得られた異なる風味プロファイルを有する。例えば、調理前に風味エマルションにリコペンを加えると、淡泊な風味になり、一方、β−カロテンは、非常に味が良く、対照と比べて脂っこいおよび肉のような香気が加わる。調理前にカロテノイドを加える風味プロファイルは、風味プロファイルに大きな効果を有する。調理後にカロテノイドを加える場合、特に貯蔵で生じる異臭を減じることに関して、さらに有益な効果であり得る。風味エマルションまたは風味ブロス中の他のフレーバー前駆物質分子は、カロテノイドの効果に影響を与える。得られた風味および/または芳香プロファイルは、他の因子の中でもとりわけ、フレーバー前駆物質のタイプおよび濃度、反応のpH、調理の長さ、調理の温度、鉄複合体(例えば、ヘム含有タンパク質などのヘム補因子、または鉄クロロフィリン)または鉄塩(グルコン酸鉄)のタイプおよび量、反応の温度、ならびに生成物中の水分活性の量により調節することができ、そのすべては、カロテノイドがどのように風味プロファイルを変えるかによって変わる。特定の例には、特に油供給源中に金属がある場合、カロテノイドがどのように植物油において生成されるフレーバー化合物の創出を減らすまたは防止することができるかが含まれる。リノール酸、γリノール酸、DHA、およびEPAのようなポリ不飽和脂肪酸を有する脂肪および油を含む風味エマルションに加える場合、カロテノイドは、腐った魚のような、絵の具のような、および野菜風味の香気を抑制し、肉のような特質と甘い香気の生成を促進することができる。
【0079】
特にカロテノイドは、穀物のような、木のような、土のような、マッシュルーム、植物臭および酸化臭を減らすことができる。カロテノイドは、植物ベースの製品の異なるパートに加えて、異なる影響を与えることができる。カロテノイドは、コムギグルテンを含めた小麦粉において生成された異臭化合物の創出を減らすまたは防止することができる。例えば、ルテインは、生肉の生地に加え、全体的な風味の強度を低下させ、調理された肉の生地および最終生成物において穀物のような、木のような香気、および酸化臭を減らすことができる。風味の特徴のこれらの変化は、いくつかの場合においてSPMEガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)によって示されている通り、特定のフレーバー化合物の減少によって裏付けられ、他の場合では、フレーバー化合物の変化はないが、穀物の特徴の減少が観察され、起こっている化学反応を変化させることによりおよび特定の風味をマスキングすることによりカロテノイドが作用することが示唆されている。さらに、肉の生地に加えられたカロテノイドによって、試料がカロテノイドを含まない対照よりも脂っこく甘くなったいうことが記載されている。ルテインによって減少した主な化合物には、(Z)−2−ノネナール、(E,E)−2,4−ノナジエナール、および1−ペンテン−3−オールを含めたアルコールおよびアルデヒドのような酸化したフレーバー化合物が含まれ;さらに、硫黄化合物は、メタンチオール、2−アセチルチアゾール、および硫化ジメチルを含めたルテインで減少し;これらの化合物の多くはまた、ガスクロマトグラフィー−嗅覚検査(GCO)により訓練を受けたフレーバーサイエンティストにより穀物のような香気および酸化臭と記載された。
【0080】
没食子酸エピガロカテキン(EGCG)などの酸化防止剤はまた、植物ベースの製品(例えば、食肉レプリカ)などの食品の異臭を減らすために用いることができる。緑茶抽出物において見出される(および緑茶抽出物から精製することができる)、EGCGなどの酸化防止剤は、0.0001%から0.1%で加えることができる。EGCGを含めた酸化防止剤はまた、肉の生地に加え、調理された肉の生地および生地から創出された消費者製品の両方の風味プロファイルを変化させることができる。EGCGは、生地の風味全体を低下させ、特に、訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって記載され、GCMSを用いて確認された通り、穀物のような、および酸化した風味のような異臭を減少させる。
【0081】
野菜または果物(液汁、ピューレ、または抽出物)は、食肉レプリカに加えて、知覚される食肉の風味(例えば、肉のような特質)および生成物の好ましさを高める、ならびに知覚される脂肪質および口全体に広がる脂肪を増すことができる。さらに、これらにより、食肉レプリカの知覚される多汁性を増やして、製品を食べる場合、食味検査員は、唾液分泌が多くなり得る。野菜または果物が増強する食肉の風味のタイプは、タイプおよび加工に依存している。例には、調理で強化されるキュウリおよびメロンに由来する追加の獣脂の脂のような香気;ハネデューに由来する追加の甘い芳香、黒こげの肉(char meat)および香ばしい香気;パイナップルに由来する追加の甘い芳香および新鮮さならびにトマトに由来する追加の香ばしい、きつね色に焼けた食肉の風味が含まれる。
【0082】
野菜または果物は、加圧、搾汁、流動留出物、加圧蒸留、溶媒によって補助された風味抽出、または他の方法から創出された、液汁、ピューレ、抽出物の形態で食肉の再現物に加えることができる。野菜または果物は、調理されていなくても処理されていなくてもよい、または調理されていてもよく、別の方法で処理して(例えば、低温殺菌によってまたは酵素不活性化によって)、タンパク質(例えば、リポキシゲナーゼ)を変性されていてもよい。風味プロファイル、すなわち、果物または野菜の青っぽいもしくは野菜のような香気を含めた、肉のような特質および腐った香気の量の両方は、調理または他の処理に応じて、ならびに調理または他の処理の量およびプロセスに応じて変化し得る。果物および野菜の抽出物、ピューレ、および液汁の風味の多くは、酵素によって創出される。これらの酵素は、望まれるもしくは望まれない風味を創出することができ、所望の風味は、抽出物および液汁の適用に依存している。果物または野菜の適切なタイプの選択および処理によって、食肉レプリカについて適切な風味の創出が可能になる。さらに、加工中、異臭を引き起こす恐れがある酵素を非活性化することが望ましいこともある。食肉の再現のために加えられる場合、抽出物中で異臭を生成し得る特定の酵素は、リポキシゲナーゼであり、リポキシゲナーゼは、果物および野菜の皮に特に活性がある。皮の破損によって、リポキシゲナーゼ活性を高めることができる。したがって、果物または野菜の皮を切る前の酵素不活性化は、異臭を減らすのに役立ち得る。果物および野菜抽出物、ピューレ、または液汁の生成において、酵素は、60℃を超える加熱、高圧低温殺菌、または酵素阻害により非活性化することができる。いくつかの実施形態では、例えば、リポキシゲナーゼは、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)などの阻害物質の添加により、または他の酸化還元活性のある酵素の添加により阻害することができる。いくつかの実施形態では、丸ごとの果物または野菜は、皮を貫通させる前に調理しても処理してもよく、調理は、生成物を切った後行ってもよい。調理または他の処理は、短時間(分)でも長時間(時間)でもよい。調理が用いられる場合、温度は、室温から圧力下120℃を超えるまでわずかに上昇させることができる。例えば、果物または野菜は、60〜100℃(例えば、70〜80℃、80〜90℃、または90〜100℃)の温度で調理することができる。プロセスは、ブレンディング、伸長、およびまたは加圧を含むことができる。種子は、場合によっては除去することができるまたは種子は残すことができる。
【0083】
例えば、食肉レプリカに加えられたキュウリピューレは、追加の脂っこい獣脂の風味を提供することができるが、青野菜の香気をもたらす恐れがある。果物が最初に調理される場合、青っぽい、および強いキュウリの香気の原因である2−ノネナールおよび2,6−ノナジエナールを含むがそれだけに限らない数種の化合物が減少する。さらに、バターのような、脂っこい、および獣脂の風味が増し、これらは、SPME GC−MSによって示されている通りラクトンの濃度の増加から起こり得る。トマトを調理することによっても、青っぽいおよびトマト風味を低減しながら、肉のような香気を強める。
【0084】
果物または野菜風味の液体は、生成物の異なる構成成分に加えることができ、例えば、調理前に肉の生地に加える、調理後または調理前に脂肪エマルションに加える、ゲル状の基質に加える、完全に組み合わせて作られた生成物に加える、または未反応の風味ブロスに加えることができる。抽出物は、抽出物の場合の0.0001%からピューレおよび液汁の場合の最大10%まで加えることができる。
【0085】
乳酸などの酸は、肉の生地に加えて、pHを低下させ、調理および加工で起こる風味反応を変化させることができる。牛肉は、pHがおよそ5.5であり;pH5.5の肉の生地を達成させるために、追加の酸性度が必要とされる。乳酸は、牛肉において示されるものように望ましい新鮮な、酸味をもたらす。
【0086】
他の実施形態では、非動物脂肪は、単離された植物タンパク質を含むことができる。例えば、エマルションは、植物由来の油、藻類油、または細菌もしくは真菌類由来の油および任意選択のフレーバー剤を、単離された植物タンパク質(例えば、ダイズ由来のコングリシニン)の水溶液と合わせること、次いで、例えば、高速ホモジナイザーを用いて混合物をホモジナイズすることおよび短期間、例えば、90℃で5分間これを加熱することにより作製することができる。融解温度、硬度、脆性、色などのエマルションの物理的特性は、異なるタイプの単離されたタンパク質を用いること、タンパク質濃度、油対水の比、ホモジナイゼーションの速度、加熱温度および加熱時間を変化させることにより調節することができる。例えば、油対水の比が高くタンパク質濃度が低いエマルションは、より壊れやすく、融解し易いが、油対水の比がより低くタンパク質濃度がより高いエマルションは、より軟らかく、壊れにくく、より粘着性があり、より高い温度で融解する。
【0087】
いくつかの実施形態では、エマルションは、植物由来の油、藻類油、または細菌もしくは真菌類由来の油および任意選択の矯味剤を、pH>10(例えば、pH12)を有する単離されたタンパク質(例えば、ダイズコングリシニン)の例えば、水酸化ナトリウムを含む水溶液と合わせることにより作製することができる。本混合物を振とう、撹拌またはホモジナイゼーションによって、エマルションが形成される。エマルションが形成された後、pHは、例えば、塩酸または乳酸を加えることにより中性または酸性pHに調整することができる。これらのエマルションの物理的特性は、タンパク質タイプ、タンパク質濃度、ホモジナイゼーション時のpHレベル、ホモジナイゼーションの速度および油対水の比を変化させることにより制御することができる。
【0088】
他の実施形態では、エマルションは、植物由来の油、藻類油、または細菌もしくは真菌類由来の油、塩および矯味剤(例えば、フレーバー前駆物質)の水溶液、ならびに乳化剤を混合することにより作製することができる。例えば、モノ/ジグリセリド、レシチン、リン脂質、Tween界面活性剤、ステアロイル乳酸ナトリウム、またはDATEM(モノグリセリドのジアセチル酒石酸エステル)は、乳化剤として用いることができる。これらのエマルションの物理的特性は、乳化剤タイプおよび濃度、ホモジナイゼーションの速度および油対水の比を変化させることにより制御することができる。
【0089】
固化された、任意選択で風味を注入したおよび/またはタンパク質を含有する脂肪は、肉の生地と合わせることができ、肉の生地および非動物脂肪の混合物は、例えば、みじん切りにする、挽く、切断する、ミンチにする、剪断する、または引きちぎることにより、より細かく砕くことができる。いくつかの実施形態では、剪断は、加熱しながら生地に適用することができ、その結果、生地が固まり、最終的に、調理プロセス中粉砕される。したがって、粉砕するための別のステップは必要ないはずである。
【0090】
炭水化物系ゲルおよび任意選択の結合剤は、生地−脂肪混合物に加えることができる。炭水化物系ゲルはまた、食肉レプリカの質感を生じるおよびべとべとせずに最終生成物に多汁性をもたらすために有用である。通常、融解温度が約45℃から約85℃の間である炭水化物系ゲルが用いられる。適当な炭水化物系ゲルの非限定的な例には、寒天、ペクチン、カラギーナン、(グルコマンナンとしても公知の)コンニャク、アルギン酸塩、化学修飾されたアガロース、またはそれらの混合物が含まれる。
【0091】
結合剤は、単離された植物タンパク質でも炭水化物系ゲルでもよい。適当な植物タンパク質の非限定的な例には、RuBisCO、アルブミン、グルテン、グリシニン、コングリシニン、レグミン、グロブリン、ビシリン、コンアルブミン、グリアジン、グルテリン、グルテニン、ホルデイン、プロラミン、ファゼオリン、プロテイノプラスト、セカリン、コムギ連(triticeae)グルテン、ゼイン、オレオシン、カロレオシン(caloleosin)、ステロレオシン(steroleosin)、またはそれらの混合物(例えば、アルブミン画分)が含まれる。植物タンパク質は、ダイズ、エンドウマメまたはレンズマメを含めた、任意の供給源から得ることができる。いくつかの実施形態では、有用な結合剤は、非植物ベースの供給源から得ることができる。例えば、卵アルブミンまたはコラーゲンは、いくつかの実施形態において結合剤として用いることができる。
【0092】
結合剤がタンパク質である場合、タンパク質の変性温度が炭水化物系ゲルの融解温度より低いため有用である。例えば、適当なタンパク質結合剤(例えば、RuBisCO、アルブミン、ダイズコングリシニン、もしくはグルテン、またはそれらの混合物)の変性温度は、約40℃から約80℃の間であり得る。これによって、タンパク質結合剤が変性した後に炭水化物系ゲルが融解することが可能になり、一緒になって食肉レプリカが結合され、より良い質感がもたらされ、食肉レプリカが形成される。
【0093】
いくつかの実施形態では、結合剤として用いられるタンパク質は、化学的にまたは酵素的に修飾されて、これらの組織構造上の特性および/または風味特性を改善することができる。例えば、タンパク質を、パパインなどの食品用酵素を用いて部分的にタンパク分解して、ゲル化および調理中に、より優れた水放出プロファイルをもたらすことができる。いくつかの実施形態では、結合剤として用いられるタンパク質は、化学的にまたは酵素的に修飾されてタンパク質の変性およびゲル化温度を変更し、例えば、特定のゲル化温度(例えば、ミオシンを模倣するためには52℃またはアクチンを模倣するためには68℃)に達してもよい。いくつかの例では、プロテアーゼなどのタンパク質は、精製されたタンパク質画分に存在し得る苦味を減らすために用いることができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、結合剤は、炭水化物系ゲルである。例えば、140°Fから190°F(例えば、150°Fから180°F)まで調理後固くなる炭水化物系ゲル。炭水化物系ゲルの非限定的な例には、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの改質されたデンプン、グアーガム、イナゴマメガム、キサンタンガム、またはそれらの混合物が含まれる。
【0095】
さらに、鉄−複合体および/または鉄塩および矯味剤は、食肉レプリカに加えることができる。鉄−複合体および/または鉄塩は、肉の生地、結合組織レプリカ、または非動物系脂肪に風味を付けるために用いられる鉄−複合体および/または鉄塩と同一でも異なっていてもよい。調理後、食肉レプリカ、鉄−複合体および/または鉄塩ならびにフレーバー前駆物質が反応し、フレーバー化合物を生成することができるように、矯味剤は、フレーバー前駆物質または(前述の通り)フレーバー前駆物質の混合物であり得る。矯味剤はまた、酵母抽出物、加水分解されたタンパク質、またはフレーバー化合物などの調味料であり得る。フレーバー化合物には、例えば、フェニル酢酸、(E,E)−2,4−ノナジエナール、水溶性樹脂タマネギ、油溶性タマネギ、p−クレゾール、酢酸アセトニル、4−ヒドロキシ−2,5−ジメチル−3(2H)−フラノン、(E,E)−2,4−オクタジエナール、2−メチル−1−ブタンチオール、2−メチル−3−フリルテトラスルフィド、2−メルカプトプロピオン酸エチル、2−メルカプト−3−ブタノール(異性体の混合物)、n−デカン−d22、油溶性ニンニク、スルフロール、酢酸スルフリル、メルカプト−3−ブタノール、スピロミート(spiromeat)、1−ペンテン−3−オン、2−メチル−3−フランチオール、2−メチル−3−テトラヒドロフランチオール、オレイン酸、ジプロピルトリスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、メチルシクロペンテノロン、3−メチルチオヘキサナール、酪酸、ブチロラクトン、5−メチル−2(3H)−フラノン、フラネオール、1−(1H−ピロール−2−イル)−エタノン、ヘキサン酸、およびそれらの組合せを含むことができる。追加のフレーバー化合物は、Sigma Aldrich(St.Louis、MO)、Penta Manufacturing Co.(Fairfield、NJ)、Advanced Biotech(Totowa、NJ)、Firmenich(Meyrin、Switzerland)、Givaudan(Vernier、Switzerland)、International Flavors and Fragrances(New York、NY)、およびWild Flavors(Erlanger、KY)などの会社から市販品として購入することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、シーズニング剤、例えば、食用塩(例えば、塩化ナトリウムまたは塩化カリウム)、ニンニク、またはハーブ(例えば、ローズマリー、タイム、バジル、セージ、またはミント)、乳化剤(例えば、レシチン)、追加の繊維(例えば、ゼインまたはイヌリン)、鉱物(例えば、ヨウ素、亜鉛、および/またはカルシウム)、肉の保存期間延長剤(meat shelf life extender)(例えば、一酸化炭素、亜硝酸塩、メタ重亜硫酸ナトリウム、ボンバル(Bombal)、ビタミンE、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物、カテキンおよび他の酸化防止剤)は、食肉レプリカに取り込むことができる。
【0097】
本明細書に記載した食肉レプリカはまた、ウコンもしくはビート液汁などの天然着色剤、またはアゾ染料、トリフェニルメタン、キサンテン、キニン、インジゴイド、二酸化チタン、赤色3号、赤色40号、青色1号、もしくは黄色5号などの人工着色剤、または天然および/もしくは人工着色剤の任意の組合せを含むこともできる。
【0098】
本明細書に記載したレプリカのいずれかは、所望の使用に成形する、例えば、パテ、ローフ、チャブ(chubs)、ミートボール、またはナゲットに形成する、ひき肉が用いられる食品の任意のタイプにおいて、例えば、タコスの具(taco filling)として、またはキャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、ミートボール、またはミートローフにおいて用いることができる。いくつかの実施形態では、食肉レプリカは、例えば、ミートボールまたはナゲットに形成し、次いで、利便性をよくするためにパン粉、コメ、または小麦粉(例えば、カラスムギ粉もしくはココナッツ粉)でコーティングすることができる。
【0099】
食肉レプリカ
本明細書に記載した食肉レプリカは、食肉レプリカ生地約5重量%から約88重量%(例えば、約10重量%から約40重量%、約25重量%から約35重量%、約40重量%から約88重量%、または45重量%から約60重量%);炭水化物系ゲル約0重量%から約40重量%(例えば、約15重量%から約25重量%);非動物脂肪約3重量%から約35重量%(例えば、約10重量%から約15重量%);矯味剤約0.00001重量%から約10重量%;結合剤約0重量%から約15重量%(例えば、約2重量%から約15重量%または約2重量%から約10重量%);ならびにヘム含有タンパク質および/または鉄塩などの鉄複合体約0.01重量%から約4重量%(例えば、約0.05重量%から約1重量%、または約0.2重量%から約2重量%)を含むことができる。矯味剤の量は、矯味剤のタイプに応じて変わり得る。いくつかの実施形態では、矯味剤は、食肉レプリカの約0.5%から約7%であり得る。例えば、フレーバー前駆物質の混合物などの矯味剤は、食肉レプリカの約0.5%から約7%(例えば、約1%から約3%;約3%から約6%;約4%から約7%)であり得る。いくつかの実施形態では、風味付け化合物などの矯味剤は、食肉レプリカの約0.00001%から約2%であり得る。
【0100】
本明細書に記載した通り、構成成分の1種もしくは複数、2種以上、3種以上、または4種以上は、矯味剤を含むことができる。例えば、肉の生地は、矯味剤(例えば、鉄複合体または鉄塩を1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせ加熱することにより生成された風味付け化合物)を含むことができる、または食用の繊維状構成成分中の酵母抽出物などの調味料を含むことができる。非動物脂肪はまた、矯味剤(例えば、鉄複合体または鉄塩を1種もしくは複数のフレーバー前駆物質と合わせ加熱することにより生成された風味付け化合物)を含むことができる。レプリカはまた、レプリカを調理する際に反応して、レプリカを調理する感覚的な体験を強化することができる、鉄複合体または鉄塩および1種もしくは複数のフレーバー前駆物質を含むことができる。さらに、レプリカは、調味料または風味付け化合物を含むことができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、構成成分を、所望の粒度で生成させ、次いで、5分間から24時間(例えば、10分間から2時間、1から4時間、4から8時間、6から12時間、または12から24時間)一緒に圧縮して、構成成分を食肉レプリカに付着させる。次いで、食肉レプリカを挽いて、ひき肉の特質を再現することができる。食肉レプリカを、任意の所望の形態に圧縮して、例えば、ステーキ、テンダーロイン、チョップ、またはヒレ肉の形状および密度を再現することができる。食肉レプリカはまた、ソーセージなどの加工肉にさらに加工することができる。
【0102】
本発明は、以下の実施例にさらに記載されており、これは、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定しない。
[実施例]
【実施例1】
【0103】
レグヘモグロビンの単離および精製
ダイズ(Glycine max)レグヘモグロビンC2(Uniprot KB P02236)をN−末端His6エピトープタグおよびTEV切断部位でコードする核酸を、pJexpress401ベクター(DNA2.0)にクローン化し、大腸菌(E.coli)BL21に形質転換した。形質転換細胞を、カナマイシン、0.1mM塩化第二鉄および5−アミノレブリン酸10μg/mlを補充した流加発酵(fed-batch fermentation)により増殖させた。0.3mMイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)によって発現を誘導し、細胞を30℃で24時間増殖させた。細胞を遠心分離によって濃縮し、20mMリン酸カリウム(pH7.8)、100mM NaClに再懸濁させた。高圧ホモジナイゼーションによって細胞を溶解させ、遠心分離および精密ろ過によって澄ませた。レグヘモグロビンを、亜鉛によって荷電された(zinc-charged)IMACセファロース高速流動樹脂(GE Healthcare)を用いて可溶性ライセートから精製した。結合されたレグヘモグロビンは、500mMリン酸二水素カリウム、100mM NaClで樹脂を溶出させた。精製されたレグヘモグロビンを、中和させ、限外ろ過を用いて濃縮した。濃縮されたレグヘモグロビンを20mM亜ジチオン酸Naで還元した。亜ジチオン酸Naを、ダイアフィルトレーションにより除去した。レグヘモグロビン濃度を、ソーレーピーク(soret peak)吸収度によって決定し、60〜70mg/mlに調整した。最終レグヘモグロビン生成物を、液体窒素で凍結し、凍結乾燥し、−20℃で貯蔵した。レグヘモグロビンの純度(部分存在量)を、SDS−PAGEによって分析し、約80%と決定した。UV−VISスペクトル(250〜700nm)の分析によって、ヘムを負荷したレグヘモグロビンと整合したスペクトルの痕跡が明らかになった。
【0104】
(表1に列挙される)ダイズ(Glycine max)レグヘモグロビンC2および8つのピキア・パストリス(Pichia pastoris)ヘム生合成遺伝子を、pAOX1メタノール誘導プロモーターの制御下で、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)発現ベクターpJA(BioGrammatics Inc.;Carlsbad、CA)にクローン化した。ピキア・パストリス(Pichia pastoris)株Bg11(BioGrammatics、Inc.)を、線形化されたプラスミドで形質転換し、安定した成分を、抗生物質抵抗性によって選択した。
【0105】
【表1】
【0106】
形質転換されたピキア(Pichia)細胞を、流加発酵によって増殖させ、レグヘモグロビン発現を、メタノールで30℃で120時間誘導した。細胞を遠心分離によって濃縮し、水に再懸濁させ、高圧ホモジナイゼーションにより溶解させた。固体を、Tramfloc 863Aによる処理、遠心分離、および0.2μm精密ろ過(Koch Membrane Systems)により除去した。可溶性ライセートを濃縮し、3kDa限外ろ過(Spectrum Laboratories)を用いて水で透析ろ過した。配合されたライセートを、HPA25L陰イオン交換樹脂(Mitsubishi)を用いて、最終純度約40%まで部分的に精製した。部分的に精製されたレグヘモグロビン溶液を、濃縮および3kDa限外ろ過(Spectrum Laboratories)を用いた水ダイアフィルトレーションによって再配合し、Q高速流動陰イオン交換樹脂(GE Lifesciences)を用いてさらに精製した。最終レグヘモグロビン生成物を、3kD限外ろ過を用いて濃縮し、−20℃で凍結した。最終生成物は、純度約80%であり、80g/Lのレグヘモグロビンを含有した。
【実施例2】
【0107】
RuBisCOの単離
新鮮なホウレンソウの葉1kgを、0.1M NaClを含有するリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で1:1の比で Vita−prep 3 blender(Vitamix Corp、Cleveland、OH)に浸軟した。抽出を、最高設定(3HPモーター)で10分間行った。温度を30℃未満で維持した。10M NaOH溶液を用いて挽いた後、pHを7.4に調整した。ホモジネートを3500gで5分間遠心分離し、スケールで(供給量約1gpmでGEA Westfalia decanter GCE−345を用いて)条件をシミュレートした。ペレットを捨てた。次いで、遠心分離液(liquid centrate)(約1.6L)を、中空糸形式(Spectrum Laboratories Inc. Rancho Dominguez、CAのKrosFlo K02E20U−05N)の0.2μm改変されたポリエーテルスルホン(mPES)膜を用いてマイクロフィルターにかけた。残余分(約0.25L)を、抽出緩衝液約1.5Lを用いて透析ろ過した。このろ過ステップからの透過物(約3L)を、10kDa mPES膜(Spectrum Laboratories Inc. Rancho Dominguez、CAのMiniKros N02E010−05N)を用いて約0.1Lまで濃縮した。タンパク質濃縮物は、pH約7.4であった。6M塩酸などの濃酸溶液を、濃縮物にゆっくりと加えて、pHを5まで下げた。混合物を、マグネチックスタープレートまたはホモジナイザーを用いて30分間激しく撹拌し、次いで、3500gで5分間遠心分離して、オフホワイトのペレットおよび褐色の遠心分離液を得た。遠心分離液を捨て、タンパク質ペレットを脱イオン水で洗浄した。ペレットを0.05〜0.1LのDI水に再懸濁させた。溶液を、一様のスラリーに激しく混合し、10M水酸化ナトリウムなどの濃縮された基礎液を用いて、pHを11までゆっくりと上げた。得られた溶液は、清澄な黄色であった。次いで、pHを9まで下げて、清澄な混合物を維持した。生成物を、噴霧乾燥機を用いて乾燥させた、または凍結乾燥器を用いて凍結し乾燥させた。この材料を、AAOC法(AOAC、2000)によりLeco FP−528 Nitrogen Combustion Analyzer(Leco、St.Joseph、MI)を用いて分析した。タンパク質を、%窒素×6.25として算出し、タンパク質86%と算出した。得られた生成物は、わずかに脱色し、低温変性特性を保持した。
【実施例3】
【0108】
RuBisCOの単離および脱色
新鮮なホウレンソウの葉1kgを、8%(w/v)PEG(Carbowax Sentry PEG 8000;Dow Chemicals、Midland、MI)および0.1%(w/v)陽イオン性凝集剤(863A;Tramfloc、Inc.、Houston、TX)を含有するリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)で1:1(w/w)の比でVita−prep 3 bender(Vitamix Corp.、Cleveland、OH)で浸軟した。抽出を、すべての時間で30℃未満の温度を維持しながら最高設定(3HPモーター)で3分間行った。挽いた後10M NaOH溶液を用いてpHを7.4まで調整した。ホモジネートを、ベンチトップ遠心分離機(Allegra X15R、SX4750ローター;Beckman Coulter、Inc.、Pasadena、CA)を用いて、3500gで5分間遠心分離した。ペレットを捨て、上澄み(約1.6L)を別々に収集した。硫酸マグネシウム七水和物の塩(K+S KALI GmbH、Kassel、Germany)を上澄みに加えて、1M濃度にした。溶液を完全に混合し、ベンチトップ遠心分離機(Allegra X15R、SX4750ローター;Beckman Coulter、Inc.)を用いて、5451gで3分間遠心分離した。3つの層が遠心分離ボトル中に形成され、残りの緑色の固体を、ペレット(約0.1L)として分離した。PEG層(約0.3L)を分離し、最上層を形成し、着色化合物および臭気化合物を選択的に分画した。次いで、中間層に残存する清澄な生成物を、中空糸形式(Spectrum Laboratories Inc.)で0.2μm改変されたポリエーテルスルホン(mPES)膜を用いてマイクロフィルターにかけた。残余分(約0.25L)を、1M硫酸マグネシウム溶液約0.75Lを用いて透析ろ過した。このろ過ステップからの透過物(約3L)を、70kDa mPES膜(Spectrum Laboratories、Inc.)を用いて約0.1Lに濃縮した。これを、5つのステップで約0.5LのDI水でさらに透析ろ過した。タンパク質濃縮物は、pH約7であり、導電率は、5mS/cm未満であった。得られたタンパク質濃縮物は、清澄な淡黄色であった。生成物を、噴霧乾燥機を用いて乾燥させた、または凍結乾燥器を用いて凍結し乾燥させた。この材料を、標準の660nm Pierceタンパク質アッセイおよびSDSゲルデンシトメトリーを用いて分析した。乾燥固形物を、IR湿度計を用いて分析した。最終生成物中の凝集剤およびPEG濃度を、滴定法を用いて分析した。タンパク質濃度は、約91%(w/w)であり、全固形分は、約95%(w/w)であった。PEGおよび凝集剤濃度を、0.2%(w/w)未満で分析した。生成物は、純度90%を超え、プロセスを通じて90%を超える回収であった。得られた生成物は、脱色し、低温変性特性を保持した。
【実施例4】
【0109】
可溶性ダイズコングリシニンの単離
ダイズタンパク質の可溶性コングリシニン画分(7S画分)を、以下の方法を用いて得た。脱脂ダイズ粉(CHS HONEYSOY(登録商標)PDI 90)1kgを、オーバーヘッドミキサーを取り付けた容器で10Lの脱イオン水で混合した。ダイズ粉の凝集塊が分散した後、スラリーのpHを、2N NaOHを用いて8まで調整した。混合物を、4℃で1時間撹拌して、すべての可溶性タンパク質を抽出した。次いで、混合物のpHを2N H
2SO
4を用いて5.8まで調整し、4℃でさらに1時間混合した。次いで、混合物を、JLA 8.1ローター(JHC遠心分離機、Beckman Coulter Inc.)において10000gで10分間遠心分離して、不溶性炭水化物およびタンパク質(グリシニン)を除去した。可溶性の上澄みを、2N H
2SO
4を用いてpH4.5までさらに酸性にし、4℃で1時間混合した。次いで、酸性化混合物を10000gで10分間遠心分離して、沈殿したタンパク質を収集し、リポキシゲナーゼ、ダイズレシチンおよびトリプシン阻害物質を含有する上澄みを捨てた。4体積の水(およそ2L)にペレットを再懸濁することにより、pH4.5の沈殿したタンパク質画分中のコングリシニンを溶解化し、2N NaOHを用いてpH8まで調整した。混合物を、4℃で1時間撹拌した。混合物のpHを2N H
2SO
4を用いて再度5.8まで下げて、汚染物タンパク質の同時精製を最小限にした。混合物を15000gで20分間遠心分離して、上澄み中の可溶性コングリシニンを収集した。コングリシニン画分を、限外ろ過(70kDa mPES限外ろ過膜、2600sq. cm、Spectrum Laboratories Inc.)を用いて濃縮した。得られたタンパク質溶液(10%タンパク質濃度でおよそ0.5L)は、65℃で55〜65%純コングリシニンおよびゲルを含む。次いで、タンパク質を、凍結乾燥し、食肉レプリカの製造に用いられるまで室温で貯蔵した。
【実施例5】
【0110】
肉の生地を予め風味付けするための生地ブロスの調製
生地ブロスを、1×前駆物質のミックス1(表2を参照のこと)、0.5%レグヘモグロビン(LegH、実施例1に記載されている通り単離され精製された)、および18%純化、漂白、脱臭された(RBD:Refined、Bleached、and Deodorized)ヤシ油(Shay and company、Milwaukie、OR)を混合し、溶液が沸騰するまで加熱しながら撹拌し、次いで、ぐつぐつと(at a low boil)10分間煮立たせることにより創出した。この溶液を、「生地ブロス」と称し、実施例10の肉の生地を創出するために用いた。ヤシ油をLegHおよび前駆物質の混合でインキュベートすることにより、カラメルになった、脂っこい、牛肉のような、ナッツのような、硫黄、金属に似た、バターのような、甘い、香ばしい、およびうま味を含めて、ブロス中の香ばしいまたは肉のような風味が生成される。
【0111】
【表2】
【実施例6】
【0112】
風味を注入された脂肪レプリカの調製
風味を付けた脂肪レプリカを、0.5%の(実施例1からの)LegH、1×前駆物質のミックス1(表1)、および30%RBDヤシ油(Shay and company、Milwaukie、OR)の溶液を混合し、沸騰するまで加熱しながら撹拌し、次いで、10分間ぐつぐつと煮立たせることにより創出した。溶液を冷却して油を固化させた。油が固化した後、これを水層から分離し、実施例11に記載のハンバーガーを調製するのに用いた。ヤシ油をLegHおよび前駆物質のミックスでインキュベートすることにより、香ばしい、肉のような、牛肉の脂肪、わずかに甘いおよび硫黄を含めて、油中に風味の香気が注入される。
【実施例7】
【0113】
「軟らかい結合」組織レプリカの調製
軟らかい結合組織レプリカを、ダイズタンパク質単離物(SUPRO(登録商標)EX38(Solae))、Vitalコムギグルテン(131100、Guisto’s Specialty Foods、San Francisco、CA)、および水を用いて調製した。Nano16押出機((Leistritz Advanced Technologies Corp.、Somerville、NJ)を、特注の冷却ダイ(円形、ID 6.5mm、長さ300mm)、冷却水サーキュレーター、および高圧水ポンプ(Optos、Eldex Laboratories Inc.)と共に用いた。
【0114】
ダイズタンパク質単離物50gおよびコムギグルテン粉末50gを、5分間手動混合および混転で完全に混合し、次いで、押出機の原料投入機(batch feeder)の装填管(loading tube)に添加した。乾燥混合物を2.4g/分の速度で押出機に送った。3.6ml/分の速度で押出機のバレルの第2のゾーンにポンプにより水を送った。押出機のスクリュー速度を、120RPMで維持した。温度勾配を、押出機バレルに沿って次の通り設定した。供給ゾーン−25℃、ゾーン1−30℃、ゾーン2−60℃、ゾーン3−110℃、ゾーン4−110℃。ダイプレートは、能動的に加熱も冷却もされなかった。冷却ダイを、24℃でダイを維持する冷却水サーキュレーターにより冷却した。
【0115】
本方法によって生成された軟らかい結合レプリカは、色がオフホワイトであり、繊維性の高い/糸状であり、味および風味がはっきりしなかった。この材料の引張強さは低く、柔らかい牛肉のローストの引張強さに匹敵した。
【実施例8】
【0116】
「硬い繊維性の結合」組織レプリカの調製
硬い繊維性の結合組織レプリカを調製するために、ダイズタンパク質単離物50gおよびコムギグルテン粉末50gを、5分間手動混合および混転で完全に混合し、押出機の原料投入機の装填管に添加した。乾燥混合物を、3.6g/分の速度で押出機に送った。5.4ml/分の速度で押出機のバレルの第2のゾーンにポンプにより水を送った。押出機のスクリュー速度を120RPMで維持した。温度勾配を押出機バレルに沿って次の通り設定した。供給ゾーン−25℃、ゾーン1−37℃、ゾーン2−61℃、ゾーン3−135℃、ゾーン4−135℃。ダイプレートを、能動的に加熱も冷却もしなかった。冷却ダイを、26℃でダイを維持する冷却水サーキュレーターにより冷却した。
【0117】
本方法によって生成された硬い繊維性の結合レプリカは、薄褐色であり、はっきりしない味および風味を有する繊維状/層状材料であった。この材料の引張強さは、高く、調理された牛肉の腱の引張強さに匹敵した。
【実施例9】
【0118】
予め風味付けされた「軟らかい結合」組織の調製
風味を付けた軟らかい結合組織レプリカを調製するために、ダイズタンパク質単離物50g、コムギグルテン粉末50g、酵母抽出物番号9(Flavor house Inc.、X11020)1g、および酵母抽出物番号21(Biospringer 1405/40 MGl)を、5分間手動混合および混転で完全に混合し、押出機の原料投入機の装填管に添加し、実施例7に記載されている通り押出成形した。予め風味付けされた軟らかい結合組織は、香ばしい味がし、実施例7で生成された軟らかい結合組織に比べて、風味の複雑性が増し、腐った香気が減った。
【実施例10】
【0119】
「肉の生地」の調製
牛のひき肉−レプリカのための「肉の生地」を、以下の成分を用いて調製した。
a.Vitalコムギグルテン(番号131100、Guisto’s Specialty Foods、San Francisco、CA)
b.軟らかい結合組織レプリカ(実施例7を参照のこと、実施例9の予め風味付けされた軟らかい結合組織もまた用いられ得る)
c.生地ブロス(実施例5を参照のこと)
【0120】
肉の生地の一部100gを以下の通り調製した。第一に、軟らかい結合組織レプリカ25gを、1本の長さおよそ1インチに、縦方向に手で細かくちぎった(hand shredded)。細かくちぎられた軟らかい結合レプリカを、ミキシングボウルにおいて乾燥コムギグルテン25gと合わせ、手で静かに軽く混ぜて、均等に混合した。別々の容器において、生地ブロス50mLを沸騰させ、10分間弱火で煮立てた。熱い生地ブロスを、乾燥グルテン−結合組織レプリカミックスに加え、スタンドミキサー(例えば、生地を混合する付属品が付いたKITCHENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl−Lift Stand Mixer model KP26M1XER、速度2に設定)で30秒間練って、肉の生地を形成した。
【0121】
練った後、肉の生地を平板に形成し、蒸すために別の容器に移した。肉の生地を、(Aroma Rice cooker Model No.ARC−1030SB中で)で内部温度が、およそ200°Fになるまで蒸し、さらに20分間その温度で保持した。蒸した後、生地を、氷上の容器に移して、室温まで冷却した。蒸した肉の生地はまた、この時点で4℃で最大1週間まで貯蔵することができる。牛肉パテのレプリカを形成する前に、蒸した肉の生地を、手でおよそ1インチ角に細かく裂いた。混合物は、牛肉パテのレプリカ(実施例11および12に記載されている)の形成において、すぐに用いることができる状態である。
【実施例11】
【0122】
ハンバーガーの組み立ておよび調理
表3の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。1%寒天調製物を、ガラスビーカー中で水99mlに寒天粉末(品目6410、Now Foods Bloomingdale、IL)1gを加えることにより作製した。混合物を撹拌しながら100℃まで加熱することにより寒天を完全に可溶化し、次いで、堅固なゲルが固まるまで氷浴で20〜30分間冷却した。次いで、ゲルをコーヒーグラインダー(Cuisinart(登録商標)Model番号CUI DCG−20N)に移し、20秒間挽いて、混合するために細かく砕いた。
【0123】
【表3】
【0124】
肉の生地(実施例10)および風味を付けたヤシ油(実施例6)をボウル中で手で混合した。典型的なバッチサイズは、100gから2000gであった。次いで、混合物を、食品グラインダー付属品を取り付けたスタンドミキサー(KITCHENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl−Lift Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHENAID(登録商標)Food Grinder model FGA、St.Joseph、MI)を用いて、速度設定1で挽いた。混合物を、固定孔プレートの前に据え付けられた回転ナイフを通り過ぎてスクリューコンベヤーにより送った。挽いた組織をボウルに収集した。
【0125】
次いで、以下の成分を、表3に示される比:1%寒天調製物、RuBisCO(およそ50重量% RuBisCO)、16×前駆物質のミックス2、およびLegH(350〜650mg/g)で加えた。成分を、ここに列挙された順序で加え、それぞれ加えた後、材料を静かに混合した。次いで、挽いた組織の部分30gまたは90gを、手で円形のパテ形に形成した。パテ30gの典型的な寸法は、50mm×12mmであった。パテ90gの典型的な寸法は、70mm×18mmであった。組み立て、挽くおよび形成する間、すべての材料を、低温(4〜15℃)に保った。パテを調理するまで冷蔵した。パテを、予熱した(325〜345°F)焦げ付かないフライパン(non-stick skillet)で調理し、2分ごとにひっくり返しながら、内部温度160°Fまで加熱した。典型的な調理時間は、12から15分に及んだ。調理されたパテは、訓練を受けた官能試験調査員によって判断される通り、外観、質感、および風味が、牛のひき肉に類似した。パテ形式で調理するほかに、未形成の材料はまた、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、またはローフなど様々な料理に用いることもできる。
【実施例12】
【0126】
フレーバー分子のハンバーガーへの添加
表4の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0127】
【表4】
【0128】
味が付いていない肉の生地(コムギグルテン、味が付いていない軟らかい結合組織、および水)およびヤシ油を、ボウル中で手で混合し、実施例11に記載されている通り挽いた。次いで、以下の成分を、表4の比:1%寒天調製物、RuBisCO(およそ50重量%)、16×前駆物質のミックス2、およびLegH(350〜650mg/g)で加えた。フレーバー化合物およびニンニク油を1×10
−2まで希釈し、次いで、表4に列挙された濃度で加えた。成分を、ここに列挙された順序で加え、それぞれ加えた後、材料を静かに混合した。次いで、挽いた組織の部分100gを手で円形のパテ形に形成した。組み立て、挽くおよび形成する間、すべての材料を、低温(4〜15℃)に保った。パテを、予熱した(325〜345°F)焦げ付かないフライパンで調理し、2分ごとにひっくり返しながら、内部温度160°Fまで加熱した。パテは、通常、12から15分で調理した。調理されたパテは、外観、質感、および風味が牛のひき肉に類似にした。これらのパテは、予め風味付けされた生地および脂肪で創出されたハンバーガーと同じくらいの風味の深みがなかったが、これらのハンバーガーは、訓練を受けた官能試験調査員によって判定された通り、牛肉に伴う追加の風味の香気を有した。
【実施例13】
【0129】
結合組織レプリカについての溶液紡糸ゼイン繊維の調製
溶液紡糸ゼイン繊維を、ゼイン粉末(Prairie Gold Inc.、Bloomington、IL)、エタノール(Luxcoによる190 proof Everclear)、水酸化ナトリウム(Fisher Scientific)、グリセロール、(Fisher Scientific)、および水を用いて生成した。ゼイン粉末50g、グリセロール10g、エタノール36g、および水4gを、ホモジナイザーを用いて5分間ガラス製広口びん中で混合した。溶液のpHを、水酸化ナトリウムのエタノール1M溶液で7.0まで調整した。溶液を、30ゲージ針を有する1ml注射器に装填した。注射器をシリンジポンプ(New Era Syringe Pumps、Inc.)に取り付け、Delrinスプールを有する特注のファイバースプーラーに対して、針を下に向け、これを垂直に据え付けた。スプーリングロッドを3RPMで回転するように設定した。
【0130】
シリンジポンプを、0.12ml/hに設定して作動させた。溶液の液滴が針の先端で形成された場合、これをへらですくい取り、繊維に広げた。繊維の端を、付着するまでスプーリングロッドに接触させた。次いで、繊維アタッチメントの位置でスプーリングロッドに面している加熱ファンにスイッチを入れ、繊維乾燥を容易にした。繊維を、注射器が空になるまでスプールに巻き、その後、注射器に再装填し、上記の手順を繰り返した。スプールに巻いた後、繊維を110℃のオーブンで1時間早期硬化させ、次いで、175℃で5分間焼くことにより完了した。
【0131】
本プロセスによって得られたゼイン繊維は、光学顕微鏡により測定された通り、60〜80マイクロメータ厚のやや清澄な、薄黄色に着色された繊維であった。これらは、空気および水に非常に柔軟性があり、数時間の水浸後でも、動物の結合組織(10〜15MPa)に類似の高い引張強さを維持した。
【実施例14】
【0132】
予め風味付けしている肉の生地についてのグルコン酸鉄による生地ブロスの調製
生地ブロスを、1×前駆物質のミックス1(表2を参照のこと)、1mMグルコン酸鉄、および18%純化、漂白、脱臭された(RBD)ヤシ油(Shay and company)を混合し、溶液を沸騰するまで加熱しながら撹拌し、次いで、ぐつぐつと30分間煮立たせることにより創出した。この溶液を、「グルコン酸鉄生地ブロス」と称し、実施例10の肉の生地において用いられる「生地ブロス」の代わりに用いることができる。ヤシ油をグルコン酸鉄および前駆物質のミックスでインキュベートすることにより、ブロス中の豚肉、牛肉のような、硫黄、金属に似た、甘い、香ばしい、およびうま味を含めて、ブロス中の香ばしいおよびまたは肉のような風味が生成される。
【実施例15】
【0133】
風味を注入された脂肪レプリカのグルコン酸鉄による調製
グルコン酸鉄を含有する風味を付けた脂肪レプリカを、0.25%のLegHの溶液、1mMグルコン酸鉄、1×前駆物質のミックス1(表1)、および30%RBDヤシ油(Shay and company)を混合し、沸騰するまで加熱しながら混合物を撹拌し、次いで、ぐつぐつと10分間煮立たせることにより創出した。溶液を4℃まで冷却して、油を固化させた。油が固化した後、これを水層から分離し、実施例13に記載されているハンバーガーを調製する際に風味を付けた脂肪レプリカの代わりに用いた。ヤシ油をLegH、グルコン酸鉄、および前駆物質のミックスでインキュベートすることにより、香ばしい、肉のような、牛肉の脂肪の香気、甘い、金属に似た、および硫黄の香気を含めて、油において風味の香気を注入する。
【実施例16】
【0134】
酒石酸水素カリウムを含有する肉の生地の調製
肉の生地を、表5に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0135】
【表5】
【0136】
第1に、水、ヤシ油、1M乳酸溶液、および加水分解された植物性タンパク質を、混合し、60℃まで加熱してブロスを作製した。融解させ、ヤシ油を分布させるのを助けるために加熱を行った。グルテン粉(vitalコムギグルテン番号131100、Guisto’s Specialty Foods、San Francisco、CA)および酒石酸水素カリウムを、別々の容器において混合した。次いで、温かいブロスを、乾燥混合物に加えて、スタンドミキサー(例えば、生地を混合する付属品が付いた、KITCHENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl−Lift Stand Mixer model KP26M1XER、速度2に設定)で30秒間練って、肉の生地を形成した。練った後、肉の生地を平板に形成し、蒸すために別の容器に移した。内部温度がおよそ88℃になるまで、肉の生地を、(例えば、Aroma Rice cooker Model No.ARC−1030SB)で蒸した。蒸した後、生地を氷上の容器に移して4℃まで冷却した。酒石酸水素カリウムは、有利な方法で生地の質感を改質した。実施例10の肉の生地と比較した場合、本実施例の肉の生地は、より粘着性であり、挽いた後、牛のひき肉により類似した形状因子であり、成形しやすくパテを形成しやすかったため、未加工の取扱い特性を改善した。
【実施例17】
【0137】
ルテインを含有する肉の生地の調製
肉の生地を表6に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0138】
【表6】
【0139】
第1に、水、ヤシ油(Shay and company、Milwaukie、OR)、およびルテイン(FloraGLO Lutein 20%SAF、DSM Nutritional Products、Overland Park、KS)を混合し、25℃を超えるまで加熱してブロスを作製した。融解させ、ヤシ油およびルテインを分布させるのを助けるために加熱を行った。次いで、温かいブロスを、グルテン粉(vitalコムギグルテン PROLIGHT(登録商標)LF、ADM、Chicago、IL)に加え、速度「2」で設定したスタンドミキサー(例えば、生地を混合する付属品が付いたKITCHENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl−Lift Stand Mixer model KP26M1XER)で30秒間練って、肉の生地を形成させた。練った後、肉の生地を平板に形成し、実施例16と同様に、蒸すために別の容器に移し、次いで、氷上の容器に移して4℃まで冷却した。肉の生地の対照バッチを、ルテインを加えなかったことを除いて前述した通り作製した。ルテインを含有する肉の生地は、穀物のような風味が少なく、対照の肉の生地よりも牛肉に近いと記載された。
【実施例18】
【0140】
カロテノイドの添加による穀物の風味および異臭の低減
肉の生地を表7に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0141】
【表7】
【0142】
第1に、融解したヤシ油(50℃)をカロテノイドで混合し、次いで、これを水に混合した。ブロスを、激しく撹拌し、次いで、速やかにコムギグルテン粉をブロスに加え、スプーンでよく混合した。形成した生肉の生地を、実施例16に記載されている通り、蒸すために金属製ラミキンまたはガラスビーカーに移し、次いで、氷上の容器に移して4℃まで冷却した。
【0143】
カロテノイドを加えて、有利な方法で生地の風味が改質され;カロテノイドを含まない肉の生地(実施例10)と比較した場合、5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストは、カロテノイドを含む肉の生地が、4品の試食では穀物の風味が少なく、酸化臭が弱く、全体的な異臭が少ないと記載した。表8は、穀物の風味に関して5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって評価された、異なるカロテノイドを含む試料のパネルにより得られたまとめられた感覚についての結果を示す。訓練を受けたフレーバーサイエンティストは、穀物の風味に対して試料を1から5で評価し、1は穀物の風味が最も低く、5は最も高かった。ルテインを含む肉の生地中の異臭の減少は、SPMEガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)データによって裏付けられた。さらに、カロテノイド(リコペン、β−カロテン、ゼアキサンチン、カンタキサンチン、およびルテイン)を肉の生地に加えると、試料が、より脂っこいおよびより甘いということが記載された。
【0144】
肉の生地にルテインを加えることによって、大部分のフレーバー化合物は、ルテインの濃度に応じて低下した。表9を参照のこと;ルテイン濃度は、なし、0.0005%、および0.005%であった。カロテノイドにより低下した主な化合物には、(Z)−2−ノネナール、(E,E)−2,4−ノナジエナール、および1−ペンテン−3−オールを含めた、アルコールおよびアルデヒドのような、酸化したフレーバー化合物が含まれ;さらに、メタンチオール、2−アセチルチアゾール、および硫化ジメチルを含めた、硫黄化合物も低下し;これらの化合物の多くはまた、ガスクロマトグラフィー−嗅覚検査(GCO)による訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって、穀物のような香気および酸化臭と記載された。
【0145】
【表8】
【0146】
【表9】
【実施例19】
【0147】
酸化防止剤の添加による穀物の風味および異臭の低減
肉の生地を、表10に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0148】
【表10】
【0149】
EGCG(没食子酸エピガロカテキン)を、水に可溶化し、次いで、融解したヤシ油(50℃)を、水に混合した。ブロスを激しく撹拌し、次いで、速やかにコムギグルテン粉をブロスに加え、スプーンでよく混合した。形成した生肉の生地を、実施例16に記載されている通り、蒸すため金属製ラミキンまたはガラスビーカーに移し、次いで、氷上の容器に移して4℃まで冷却した。
【0150】
訓練を受けたフレーバーサイエンティストにより記載された、EGCGを添加した肉の生地中の異臭の減少は、SPME GC−MSデータによって裏付けられる。GCMSデータでは、GCOによって穀物のような香気および酸化臭であると記載された、化合物2−ペンチル−フラン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン、1−ペンテン−3−オール、2−ペンテン−1−オール、メチル−ピラジン、ブタナール、5−エチル−2(5H)−フラノン、5−エチルジヒドロ−2(3H)−フラノン、2−ノネナール、フェニルアセトアルデヒド、および3,5−オクタジエン−2−オンを含めて、もはや検出不可能であるまたは少なくとも2倍減少した複数のフレーバー化合物が示された。
【実施例20】
【0151】
コムギグルテンを洗浄することによる穀物の風味を低減した肉の生地の調製
肉の生地を、表11に示される成分を用いて以下の通り調製した。
【0152】
【表11】
【0153】
コムギグルテン粉(ADM PROLITE(登録商標)Low Flavor Vital Wheat Gluten)を、10×洗浄溶液(50mM NaCl)を含有する溶液中へゆっくりと撹拌し、次いで、十分に混合して凝集塊を形成するのを防いだ。溶液を5分間氷上に置き、その間、コムギグルテンは底に沈んだ。第2の洗浄ステップ後、第1の洗浄溶液を除去し、10×新鮮な洗浄溶液中に撹拌した。第2の溶液を捨て、続いて、水道水で最後の洗浄を行った。水洗浄溶液を捨て、次いで、洗浄したコムギグルテンを測定して、水の正確な量が取り込まれたことを判定した。コムギグルテン生地の重さが、量り分けた最初のコムギグルテン粉の量および理論水量に等しくなるように、水を加えたまたは圧搾した。融解したヤシ油を加え、生地を30秒間手練りして、油を取り込んだ。形成した生肉の生地を、実施例16と同様に蒸すために金属製ラミキンまたはガラスビーカーに移し、次いで、氷上の容器に移して4℃まで冷却した。
【0154】
洗浄ステップによって、有利な方法で生地の風味が改質され;洗浄していない肉の生地と比較した場合、5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストは、洗浄した肉の生地が、4品の試食では穀物の風味が少なく、酸化臭が弱く、全体的な異臭が少ないと記載した。洗浄した肉の生地の異臭の減少は、洗浄していない肉の生地を、洗浄した肉の生地と比較したGCOと一緒に、SPME GC−MSによって裏付けられる。洗浄した肉の生地において、フレーバー化合物は、アルコールおよびアルデヒドなどの酸化したフレーバー化合物、ならびに1−(2−フラニル)−エタノン、メチル−ピラジン、ペンタン酸、3−メチル−1−ブタノール、2,3−ブタンジオン、ベンジルアルコール、(E,E)3,5−オクタジエン−2−オン、(E)−2−ノネナール、(E,E)−2,4−デカジエナール、および1−オクテン−3−オンを含めた特定の化合物を含めて減少し、GCOにより臭気活性化合物と決定され、これらの化合物の検出は、洗浄した肉の生地において減少したまたは検出されなかった。
【実施例21】
【0155】
血液寒天の調製
血液寒天を、表12に示される成分を用いて調製した。
【0156】
【表12】
【0157】
寒天粉末(Now Foods、Bloomingdale、IL)を、撹拌ビーカー中で100℃まで加熱することにより、乳酸および風味ブロスの混合物(表13からの10%ヤシ油およびマジックミックス1を用いたことを除いて、実施例5と同様に作製した)に溶解した。溶液を、氷浴に浸漬することにより65℃まで冷却した。次いで、17×液体マジックミックス(表13からのマジックミックス2)およびレグヘモグロビンをどちらも4℃で加え、混合物の温度を50℃まで下げた。レグヘモグロビンを変性させないようにするために、レグヘモグロビンを加える前に、混合物を冷却することが重要である。次いで、乾燥RuBisCOを加え、混合物を、手で激しく撹拌した。RuBisCOを加える場合、40℃から60℃の間の温度であることが重要である。温度が非常に高い場合、RuBisCOは、変性する恐れがあり、最終生成物の調理中、固化剤(firming agent)として機能しない。温度が非常に低い場合、寒天は、固化し、均質な混合物の生成を妨げる。
【0158】
【表13】
【実施例22】
【0159】
血液寒天の調製
血液寒天を、表14に示される成分を用いて調製した。
【0160】
【表14】
【0161】
寒天粉末(Agar100、TIC Gums、White Marsh、MD)を、撹拌ビーカー中で少なくとも91℃まで加熱することにより、水および乳酸の混合物に溶解した。加熱を行って、寒天を完全に可溶化した。次いで、溶液を50〜70℃まで冷却し、レグヘモグロビン(発現したピキア(Pichia)、実施例1)および17×液体マジックミックス(表12)の予備混合物を加えた。温度が非常に高い場合、レグヘモグロビンは、変性する恐れがあり、風味反応化学を目的としたとき機能しない。温度が非常に低い場合、寒天は、固化し、均質な混合物の生成を妨げる。次いで、混合物を撹拌し、さらに、4〜25℃まで冷却した。完成された生成物は、外観および質感がケチャップのようである。
【実施例23】
【0162】
溶融性、接着性および食感特性を改善した脂質レプリカエマルションの調製
脂質レプリカ100gを調製するため、乾燥前駆物質の混合1(表12)1gを、水18.8mlに溶解し、pHを濃縮NaOH溶液で6まで調整した。レグヘモグロビン(5.5%)の凍結した溶液を前駆物質溶液に加え、回転速度250RPMで、160℃で維持した撹拌ホットプレートに入れた。
【0163】
別々の容器において、ヤシ油(Shay and company、Milwaukie、OR)35gおよびパームステアリン35gを、60℃の水浴で一緒に融解した。融解した油混合物を、撹拌速度を450RPMまで上げながら、ゆっくりと(約12ml/分)前駆物質およびレグヘモグロビンの溶液に加えた。
【0164】
油を加えた後、得られた高濃度のエマルションを、同じ温度および撹拌速度で23分間維持した。次いで、エマルションを600mlビーカーに移し、急冷のために氷上に置き、冷蔵庫に入れた。エマルションが25℃に達した場合、藻類植物油0.35gおよびアセトイン0.35gを、エマルションに加え、へらで急速に混合した。(実施例31に記載されている通り)風味を改善し、異臭をマスキングするためのラクトンを、以下の量で加えた。5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノンを、最終濃度2.5*10
−5%まで加え、ブチロラクトンを、最終濃度2.5*10
−8%まで加え、δ−テトラデカラクトンを、最終濃度5*10
−9%まで加えた。エマルションを、設定6で携帯型ホモジナイザーを用いて、2.5分間ホモジナイズした。エマルションを、完全に固形化するまで、4℃でインキュベートした。
【0165】
凝固した後、脂質レプリカエマルションは、オフホワイトからわずかに褐色であり、室温でろう状の固形物であり、風味は、香ばしい、肉のような、血液のような、および鶏脂様と特徴付けられた。牛のひき肉レプリカに取り込まれる場合、レプリカの取り扱われるおよび成形される能力と同様にレプリカの粘着性は高まった。
【実施例24】
【0166】
ダイズコングリシニンタンパク質によって安定化された脂質レプリカエマルションの調製
脂質レプリカ100gを調製するため、実施例4からの単離されたダイズコングリシニン粉末1.5gを水28.5mlに溶解し、熱撹拌プレート(hot stir plate)に置いた。別々の容器において、ヤシ油(Shay and company)70gを 60℃の水浴で融解した。融解した油混合物を、一定の撹拌で、精製されたタンパク質の溶液にゆっくりと(約12ml/分)加えた。得られたエマルションを最高90℃の温度まで加熱し、この温度で5分間維持した。次いで、エマルションを、600mlビーカーに移し、急冷のために氷上に置き、冷蔵庫に入れた。エマルションが25℃に達した場合、藻類植物油0.35gをエマルションに加え、へらで急速に混合した。(実施例31に記載されている通り)風味を改善し、異臭をマスキングするためのラクトンを、以下の量で加えた。5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノンを、最終濃度2.5*10−5%まで加え、ブチロラクトンを、最終濃度2.5*10−8%まで加え、δ−テトラデカラクトンを最終濃度5*10−9%まで加えた。エマルションを、設定6で携帯型ホモジナイザーを用いて2.5分間ホモジナイズし、完全に固形化するまで、4℃の冷蔵庫でインキュベートした。凝固した後、脂質レプリカエマルションは、白色からわずかにオフホワイト色であり、室温で固体であり、刺激の少ない、非常にはっきりしない風味であり、質感は、与えられた牛肉の脂肪と類似するものと特徴付けられた。
【実施例25】
【0167】
pH逸脱方法によるダイズコングリシニンタンパク質によって安定化された脂肪レプリカエマルションの調製
脂肪レプリカ100gを調製するために、実施例4からの単離されたダイズグリシニンタンパク質粉末0.5gをビーカー中の水29.5mlに溶解した。水酸化ナトリウム2M溶液を用いて、タンパク質溶液のpHを12に調整した。別々の容器において、ヤシ油(Shay and company)70gを60℃の水浴で融解した。融解した油混合物を、一定の撹拌で、精製されたタンパク質の溶液にゆっくりと(約12ml/分)加えた。藻類植物油0.35gを、エマルションに加え、へらで急速に混合した。水酸化ナトリウム2M溶液を用いて、タンパク質溶液のpHを12に調整し、エマルションを、設定6で携帯型ホモジナイザーを用いて30s(30秒)間ホモジナイズし、完全に固形化するまで4℃でインキュベートした。凝固した後、脂質レプリカエマルションは、白色からわずかにオフホワイト色であり、室温で固体であり、刺激の少ない、非常にはっきりしない風味であり、カッテージチーズ様の質感であった。
【実施例26】
【0168】
風味エマルション中にカロテノイドを加えて肉のような風味を高める
各カロテノイド(カンタキサンチン、β−カロテン、ルテイン、またはリコペン)(Shay and company、Milwaukie、OR)を、溶解性に応じて、10%でヤシ油または水に個別に溶解した。0.5%のLegHの溶液、1×前駆物質のミックス1(表1)、30%RBDヤシ油、および個別の10%カロテノイド溶液(エマルション中の最終カロテノイド濃度は、0.025%であった)を混合し、沸騰するまで加熱しながら混合物を撹拌し、次いで、10分間ぐつぐつと煮立たせることにより、カロテノイドを調理前に風味エマルションに加えた。0.7%の追加の藻類植物油を、実施例32に記載されている通り、風味の創出のための追加の前駆物質について加えた。(実施例31に記載されている通り)風味を改善し、異臭をマスキングするためのラクトンを、以下の量で加えた。5−エチル−4−ヒドロキシ−2−メチル−3(2H)−フラノンを最終濃度2.5*10−5%まで加え、ブチロラクトンを最終濃度2.5*10−8%まで加え、δ−テトラデカラクトンを最終濃度5*10−9%まで加えた。エマルションを、設定6で携帯型ホモジナイザーを用いて2.5分間ホモジナイズし、次いで、完全に固形化するまで4℃でインキュベートした。次いで、エマルションを、実施例30に記載されている通り調製したタコスミートに加えた。次いで、試料を、カロテノイドを加えない対照と異なるカロテノイドと比較した。試料は、少なくとも5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって評価された。結果を表15にまとめた。
【0169】
【表15】
【実施例27】
【0170】
ハンバーガーの組み立ておよび調理
表16の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0171】
【表16】
【0172】
冷却した肉の生地を、食品グラインダー付属品(KITCHENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl−Lift Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHENAID(登録商標)Food Grinder model FGA、St. Joseph、MI)を取り付けたスタンドミキサーを用いて、速度設定1で挽いた。本装置において、材料を、固定孔プレートの前に据え付けられた回転ナイフを通り過ぎてスクリューコンベヤーにより送った。軟らかい結合組織を、鈍い刃を取り付け、低速で20〜30秒間運転したUniversal Machine(UM−12、Stephen Machinery GmbH、Schwarzenbeck、Germany)を用いて細長く切った。風味を付けたエマルションを、−20℃まで冷却し、次いで、一段階プロセスにおいて、ミニチョッパー(Mini−Prep(登録商標)Plus Processor model DLC−2L Cuisinart、Stamford、CT)で刻んだ。エマルションおよそ400gを、ミニチョッパーに入れ、細断設定で60秒間処理して、長さ1〜3mmの切片を得た。
【0173】
次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らかい結合組織、および風味を付けたエマルション片を混合した。混合中、混合物を−5から4℃で維持して、脂肪を溶融しないようにした。次いで、血液寒天を加え、完全に取り込まれるまで混合した。合計バッチサイズは、1kgであった。次いで、挽いた組織の部分50gまたは150gを、手で円形のパテ形に形成した。パテ50gの典型的な寸法は、55mm×15mmであった。パテ150gの典型的な寸法は、100mm×22mmであった。パテを調理するまで冷蔵した。パテを、予熱した(325〜345°F)焦げ付かないフライパンで調理し、2分ごとにひっくり返しながら、内部温度160°Fまで加熱した。調理されたパテは、牛のひき肉と類似の外観、質感、および風味であった。パテ形式で調理するほかに、未形成の材料はまた、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、またはローフなど様々な料理に用いることができる。
【実施例28】
【0174】
ハンバーガーの組み立ておよび調理
表17の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0175】
【表17】
【0176】
冷却した肉の生地を、食品グラインダー付属品(KITCHENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl−Lift Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHENAID(登録商標)Food Grinder model FGA、St.Joseph、MI)を取り付けたスタンドミキサーを用いて、速度設定1で挽いた。軟らかい結合組織を、鈍い刃を取り付け、低速で20〜30秒間運転したUniversal Machine(UM−12、Stephen Machinery GmbH、Schwarzenbeck、Germany)を用いて細長く切った。風味を付けたエマルションを、−20℃まで冷却し、次いで、SALADSHOOTER(登録商標)National Presto Industries、Inc. Eau Claire、WI)で刻んで、長さ1〜3mmの切片を得た。次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らかい結合組織、風味を付けたエマルション片、および乾燥ダイズコングリシニンを混合した。混合中、混合物を−5から4℃で維持して、脂肪を溶融しないようにした。次いで、水和液体(実施例22に記載されている通りレグヘモグロビンおよび17×液体マジックミックスが1:1の混合物)を加え、混合物を最低15分間4℃で保持して、乾燥ダイズコングリシニンを水和させた。最後に、血液寒天を加え、完全に取り込まれるまで混合した。合計バッチサイズは、200gであった。次いで、挽いた組織の部分50gを、手で円形のパテ形に形成した。パテ50gの典型的な寸法は、55mm×15mmであった。パテは、調理するまで冷蔵した。パテを、予熱した(325〜345°F)焦げ付かないフライパンで調理し、毎分ひっくり返しながら、内部温度170°Fまで加熱した。調理されたパテは、牛のひき肉と類似の外観、質感、および風味であった。パテ形式で調理するほかに、未形成の材料はまた、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、またはローフなど様々な料理に用いることができる。
【実施例29】
【0177】
10%の肉の生地を有するハンバーガーの組み立ておよび調理
表18の成分を含有するレプリカハンバーガーを調製した。
【0178】
【表18】
【0179】
冷却した肉の生地を、食品グラインダー付属品(KITCHENAID(登録商標)Professional 600 Series 6 Quart Bowl−Lift Stand Mixer model KP26M1XERおよびKITCHENAID(登録商標)Food Grinder model FGA、St.Joseph、MI)を取り付けたスタンドミキサーを用いて、速度設定1で挽いた。軟らかい結合組織を、鈍い刃を取り付け、低速で20〜30秒間運転したUniversal Machine(UM−12、Stephen Machinery GmbH、Schwarzenbeck、Germany)を用いて細長く切った。風味を付けたエマルションを、−20℃まで冷却し、次いで、SALADSHOOTER(登録商標)National Presto Industries、Inc. Eau Claire、WI)で刻んで、長さ1〜3mmの切片を得た。次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らかい結合組織、風味を付けたエマルション片、および乾燥ダイズコングリシニンを混合した。混合中、混合物を−5から4℃で維持して、脂肪を溶融しないようにした。次いで、水和液体(実施例22に記載されている通りレグヘモグロビンおよび17×液体マジックミックスが1:1の混合物)を加え、混合物を最低15分間4℃で保持して、乾燥ダイズコングリシニンを水和させた。最後に、血液寒天を加え、完全に取り込まれるまで混合した。合計バッチサイズは、200gであった。次いで、挽いた組織の部分50gを、手で円形のパテ形に形成した。パテ50gの典型的な寸法は、55mm×15mmであった。パテを調理するまで冷蔵した。パテを予熱した(325〜345°F)焦げ付かないフライパンで調理し、毎分ひっくり返しながら内部温度170°Fまで加熱した。調理されたパテは、牛のひき肉と類似の外観、質感、および風味であった。パテ形式で調理するほかに、未形成の材料はまた、タコスの具、キャセロール、ソース、トッピング、スープ、シチュー、またはローフなど様々な料理に用いることができる。
【実施例30】
【0180】
「タコスミート」の組み立ておよび調理
表19の成分を含有する「タコスミート」レプリカを調製した。
【0181】
【表19】
【0182】
冷却した肉の生地を挽き、軟らかい結合組織を細長く切り、風味を付けたエマルションを実施例28に記載されている通り刻んだ。次いで、ひき肉生地、細長く切られた軟らかい結合組織、および風味を付けたエマルション片を混合した。混合中、混合物を−5から4℃で維持して、脂肪を溶融しないようにした。次いで、水和液体(実施例22に記載されている通りレグヘモグロビンおよび17×液体マジックミックスが1:1の混合物)および血液寒天を加え、混合した。合計バッチサイズは、20gであった。次いで、混合した組織を、予熱した(325〜345°F)焦げ付かないフライパンで160°Fまでで調理した。調理された組織は、牛のひき肉と類似の外観、質感、および風味であった。この物質は、外観がタコスミートに似ており;7Sタンパク質を含まなくても、この肉は、共に等しく硬くならず固着しなかった。
【実施例31】
【0183】
マスキング剤としてのラクトンの使用
ラクトンを、溶解性に応じて水または油に希釈した。次いで、希釈したラクトンを、表20に示される通り、風味を付けたエマルション(実施例23)に加え、ホモジナイズした。ラクトンの最終濃度を、表20に示す。風味を付けたエマルションを、ひき肉(例えば、タコスミート)(食肉レプリカのすべての構成成分は、RuBisCOを含まない)の最終の20%のために加えた。風味を付けたエマルションを、例17に示した通りであるがRuBisCOを含まず、肉の生地、結合組織、マジックミックスおよびヘムと混合した。次いで、ひき肉は、全体的な味、異臭の任意の減少、および全体的な改善について、5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって試験された。まとめた結果を、表20に示す。特定のラクトンおよびラクトンの組合せを加えると、穀物、卵のような、苦味、肝臓のような、およびマッシュルームを含めた、異臭が低減された。苦味のような特定のマスキング特性のために独自の組合せを必要とした。ラクトンはまた、クリームのような、バターのような、カラメルになった、脂っこい、新鮮な、およびフルーツのような所望の風味を増した。
【0184】
【表20-1】
【0185】
【表20-2】
【0186】
【表20-3】
【実施例32】
【0187】
肉のような脂肪風味の創出のための多価不飽和脂肪の添加
藻類植物油(DSM life’s omega 45 02412−0100)を、食肉レプリカ中の最終濃度0.07%について、風味を付けたエマルション(実施例23)に加え、次いで、ホモジナイズした。風味エマルションを、実施例27に記載されている通り、レプリカに加えた。藻類植物油を加えると、訓練を受けたフレーバーサイエンティストによって記載された通り、獣脂の味、脂肪質、および全体的な肉のような特質が増したレプリカになった。
【0188】
藻類油を添加すると、脂っこいフレーバー分子の創出のために必要であるエイコサペンタエン酸およびドコサヘキサエン酸を含めた、前駆物質が増加した。SPMEガスクロマトグラフィー−質量分析(GC−MS)によって検出された通り、藻類油を含まない対照と比較して、藻類油を前駆物質のミックスおよびヘモグロビンに添加することにより、ノナン、(E,E)−3,5−オクタジエン−2−オン、1−ヘプテン−3−オール、1−ペンテン−3−オン、2−プロピルフラン、n−カプロン酸ビニルエステル、3−エチル−2−メチル−1,3−ヘキサジエン、1−エチル−5−メチルシクロペンテン、trans−2−(2−ペンテニル)フラン、1−ペンテン−3−オール、4,7−ジメチル−ウンデカン、1−オクタノール、3−エチル−ピリジン、3−エチルシクロペンタノン、(Z)−2−オクテン−1−オール、2−n−ヘプチルフラン、(Z)−2−デセナール、ヘキサン酸、(E,E)−2,4−ノナジエナール、6−メチル−2−ヘプタノン、(Z)−2−ヘプテナール、(E,E)−2,4−ヘプタジエナール、1−ヘキサノール、(E,E)−2,4−デカジエナール、(E,Z)−2,6−ノナジエナール、および1−オクテン−3−オールを含めた風味を創出した。
【実施例33】
【0189】
食肉レプリカのためのウリ属(Cucumis)スラリーの創出
ゆでたキュウリスラリーを創出するため、(皮を剥かずに、または別の方法でばらばらにして)浸透させなかった新鮮な種類のキュウリを丸ごと用いた。水浴は、80〜90℃まで加熱し、キュウリを丸ごと水浴に入れ、キュウリの内部温度が水浴の温度と平衡するまで、本実施例の場合およそ30分間調理した。次いで、水浴からキュウリを引き上げ、キュウリの皮を身から完全に取り除いた。キュウリの身を種子とブレンドし、次いで、ふるいにかけて、より大きい微粒子物のいずれかを分離した。次いで、ブレンドしたキュウリの身をスラリーとして用い、食肉レプリカに加えた。ハネデューメロンおよびカンタロープを含めたウリ属(Cucumis)の他の品種でこの同じ方法を用いた。
【実施例34】
【0190】
溶媒によって補助された風味抽出を用いたウリ属(Cucumis)抽出物の創出
抽出物を、溶媒によって補助された風味抽出(SAFE:solvent assisted flavor extraction)、および溶媒として水を用いて創出した。SAFEは、圧力を加え、温度をわずかに上昇させた材料の外にフレーバー化合物を引き出すことにより行われる。
【0191】
抽出物を、新鮮な種類のキュウリの皮をすべて取り除き、キュウリを細断することにより創出し、次いで、特効薬とブレンドした。次いで、キュウリスラリーを、Edwards 12床用電気掃除機(floor vacuum)を用いて圧力下にある、SAFEガラス製品の試料の注入口に注ぎ入れ、温度を、水ポンプおよび試料丸底フラスコのための温水浴で40℃に設定した。少量(試料2〜4mL)のキュウリスラリーを、試料丸底フラスコに入れた。試料丸底フラスコに移動させたとき、スラリーは、直ちに沸騰するようにみえた。目に見えて沸騰が停止したとき、より多く試料体積を試料丸底フラスコに加えた。試料全体がSAFEガラス製品装置に入るまで、これを続けた。試料全体がなくなったら、水浴が40℃に達するにつれて試料を抽出し続け、次いで、さらに20分間抽出した。抽出が行われるとき、収集丸底フラスコを、液体窒素に沈め、コールドフィンガー注入口を、液体窒素で満たした。次いで、抽出物を、収集丸底フラスコから収集した。
【実施例35】
【0192】
ゲル状の基質に加えることにより肉のような特質および脂肪質を増加させるためのウリ属(Cucumis)液体の食肉レプリカへの添加
実施例22で概説した血液寒天を、DI水の代わりにウリ属(Cucumis)液体を加えることを除いて記載された通り、作製した。ウリ属(Cucumis)液体は以下のうち1つであった。(i)DI水2%で加えた、カンタロープメロン由来の市販の水抽出物、(ii)〜(v)実施例33に記載されている通り、ハネデューメロン(6.25%)またはキュウリ(3.2%)の調理済みもしくは調理されていないスラリー、または(vi)実施例34に記載されている通り、キュウリ(加圧蒸留物)の溶媒によって補助されたフレーバー抽出物。これらのキュウリおよびメロン抽出物を加えることにより、肉のような風味プロファイルのある特定の要素が、レプリカの全体的な嗜好および肉のような特質を増強した。SPME GC−MSによって実証され、訓練を受けたフレーバーサイエンティストによりGCOを用いて臭気活性化合物と確認された通り、化合物の多くは、アルデヒド、ラクトンであり、それらの多くは、牛肉において見られる。牛肉とウリ属(Cucumis)との間で類似する化合物には、それだけには限らないが、ノナナール、2−デセナール、2−ノネナール、2−ヘプテナール、2,6−ノナジエナール、2,4−デカジエナール、2−ウンデセナール、2−オクテナール、2−ノネナール、ドデカナール、2,4−ヘプタジエナール、2,6−ノナジエナール、2,4−ノナジエナール、2,4−オクタジエナール、デカナール、5−(メチレンシクロプロピル)−ペンタナール、6−ノネナール、3,7−ジメチル1,6−オクタジエン−3−オール、2−ノネン−1−オール、3−ノネン−1−オール、3,5−オクタジエン−2−オン、2,3−ブタンジオン、2−メチル−シクロペンタノン、2−ブタノン、a−イオノン、6−オクテン−2−オン、ジヒドロ−5−ペンチル−2(3H)−フラノン、l−メントン、n−カプロン酸ビニルエステル、4−メチルオクタン酸、および酢酸エテニルエステルが含まれる。
【0193】
抽出物を含む血液寒天が、実施例30に記載されている通り、食肉レプリカに加えられる場合、甘い芳香、脂肪質、いくつかの場合において、獣脂および牛肉のような風味が高まった。5名の訓練を受けたフレーバーサイエンティストによる、対照および盲検の対照において示されなかった追加の風味の香気の十分な説明について、表21を参照のこと。さらに、これらのメロンおよびキュウリ抽出物の添加によって、穀物のような、土のような、木のような、および渋みのある臭いを含めた異臭の認識も減ったことが観察された。
【0194】
これらの抽出物のうちの3つを、8名の訓練を受けたパネリストを含む正式な記述的パネルで試験し、対照、80:20牛肉、およびウリ属(Cucumis)液体を含む3種の追加の試料(調理済みのキュウリスラリーは最終タコスミートの0.37%で試験され、調理済みのハネデュースラリーは最終タコスミートの0.73%で試験され、カンタロープ抽出物(TREATT製)は最終タコスミートの0.24%で試験された)とは表示されない盲検対照として表示された1つの対照レプリカと比較した。結果では、3つすべての試料は、脂肪質および甘い芳香が高く、土のような、穀物のような、渋みのある、および青っぽい腐った香気が減ったと評価されたことが示された。カンタロープ抽出物は、牛肉において味わわれるものと違って甘いメロン風味の対照からの追加の腐った香気を有した。他の2つの試料である、実施例33に記載されている通り作製された、調理済みのハネデュースラリーおよびキュウリスラリーは共に、両方の対照よりも肉のような特質および脂肪質が高く、記載された追加の腐った香気を有さなかったと評価された。
【0195】
【表21】
【0196】
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と併せて記載されており、前述の説明は、例証であり、本発明の範囲を制限するものではなく、添付した特許請求の範囲の範囲によって定義されるものと理解されるべきである。他の態様、利点、および修正は、以下の特許請求の範囲内である。