特許第6759263号(P6759263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6759263高い溶融強度を有する低密度エチレン系ポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759263
(24)【登録日】2020年9月4日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】高い溶融強度を有する低密度エチレン系ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/04 20060101AFI20200910BHJP
   C08F 210/02 20060101ALI20200910BHJP
   C08F 2/34 20060101ALI20200910BHJP
   B29C 48/15 20190101ALI20200910BHJP
【FI】
   C08L23/04
   C08F210/02
   C08F2/34
   B29C48/15
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2018-39993(P2018-39993)
(22)【出願日】2018年3月6日
(62)【分割の表示】特願2015-543028(P2015-543028)の分割
【原出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2018-123327(P2018-123327A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2018年4月5日
(31)【優先権主張番号】61/728,341
(32)【優先日】2012年11月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】オットー・ジェイ・バービー
(72)【発明者】
【氏名】コーネリス・エフ・ジェイ・デン・ドルダー
(72)【発明者】
【氏名】テレサ・ピー・カージャラ
(72)【発明者】
【氏名】カール・ツュルヒャー
(72)【発明者】
【氏名】ジアン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ヒンリクス
【審査官】 久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】 特表平10−509200(JP,A)
【文献】 特許第6325566(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/00−23/36
C08F 2/00−2/60
C08F 210/00−210/18
B29C 48/00−48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの管型反応器を用いる高圧フリーラジカル重合工程により重合される第1エチレン系ポリマーを含む組成物であって、
a)Mw(abs)対I2の関係:Mw(abs)<A×[(I2)]、式中、A=5.00×10g/モル)/(dg/分)、およびB=−0.40;ならびに
b)MS対I2の関係:MS≧C×[(I2)]、式中、C=13.5cN/(dg/分)、およびD=−0.55
の性質を有し、
Mw(abs)、I2、およびMSはそれぞれ、前記第1エチレン系ポリマーの絶対的な重量平均分子量、メルトインデックス(2.16kg、190℃)、および溶融強度(190℃)であり、
前記第1エチレン系ポリマーの密度が、0.910〜0.940g/ccである、前記組成物。
【請求項2】
前記メルトインデックス(I2)が0.3〜4.0未満g/10分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1エチレン系ポリマーは、w<E×[(I2)]、式中、E=0.110(dg/分)−F、およびF=−0.38の関係を満たし、「GPC(abs)により決定されるとおり、ポリマーの総重量に基づき、10g/モルより大きい分子量の重量分率(w)」を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は、さらに第2エチレン系ポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物のメルトインデックス(I2)が2〜50g/10分である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の密度が0.900〜0.955g/ccである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記第2エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはそれらの組み合わせからから選択される、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の組成物から形成される少なくとも1つの成分を含む物品。
【請求項9】
前記物品は、コーティング、フィルム、発泡樹脂製品、ラミネート、繊維、またはテープである、請求項8に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2012年11月20日に提出した米国仮出願第61/728,341号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
紙、板、アルミニウム、その他に行う押出コーティングや押出ラミネート用の低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂は、広いMWD(分子量分布)および低抽出性を備えるよう設計されている。押出コーティングに適用する場合、ポリマーは、通常、260℃以上〜350℃以下の高温状態で処理する。非常に高い分子量分画を有する、分子量分布(MWD)が広い樹脂は、コーティングを行う際、良好な加工性を有しているために使用される(ネックインおよびドローダウン性のバランス)。低抽出性のものは、最終製品から生じる好ましくない感触およびにおいを少なくする必要がある。また、低抽出性のものは、樹脂の加工時、特に高温で行うコーティング工程において、煙の形成を少なくする必要がある。
【0003】
通常、広いMWDを有するLDPE樹脂は、オートクレーブ反応器を使って、またはオートクレーブ反応器および管型反応器の組み合わせを使って作られる。分子がさらに短い(低分子量)またはさらに長い(高分子量)成長経路を経験する固有の滞留時間分布を介して、長鎖分岐を促進することにより、オートクレーブ反応器で広いMWDの樹脂を達成することができる。
【0004】
オートクレーブ反応器システムと管型反応器システムは滞留時間分布に関して互いに異なり、通常、管型反応器ゾーンではそれは均一であり、オートクレーブ反応器ゾーンでは分散される。温度、圧力およびポリマー濃度のような重合条件は、管型反応器システムでは広く変化し、オートクレーブ反応器システムでは、均一であるか、または、あまり差別化されない。
【0005】
管型反応器内での均一な滞留時間は、狭いMWDにつながる。したがって、非常に広いMWDは、大きく異なる重合条件を適用した管型反応器でのみ実現され、例えば、国際出願PCT/US12/064284(2012年11月9日出願)に記載され、および/または分岐剤/架橋剤の適用については、例えば、米国特許第7820776号に記載される。極端な工程条件および/または分岐剤/架橋剤を用いることは、押出コーティングのへの適用に好ましい、高溶融強度を持つ管型で低密度のポリエチレンにつながり得る。これらの管型ポリエチレンは、特定の組成(例えば、密度)、および適用する工程の条件により決定される機能性、分岐剤および/またはコモノマーの種類やレベルを有するであろう。分岐剤または架橋剤の使用によって起こるポリマー中の好ましくないゲルが問題となり得る。
【0006】
押出コーティングに適用する場合、以下の製品の性質および適用の性質:可変の処理速度におけるコーティング性能、基材への接着性、バリア性、およびシール形成は、数ある中でも特に重要なものである。可変の処理速度におけるコーティング性能は、主にポリマーの粘弾性に基づく一方、接着性、バリア性、シール性もまた、粘弾性に加えて、ポリマーの密度や機能性に基づく。
【0007】
EP0792318A1、EP1777238A1、EP2123707A1およびEP2123707A1は、押出コーティングに適用して使用する際に好ましいポリマーの組成物を記載しており、これらの組成物の粘弾性能は、微量のブレンド成分としてオートクレーブ系LDPEにより与えられ、かつ、全体的な密度および適用性能が、大部分の(非LDPE)ブレンド成分により決定される。
【0008】
そのような組成物に用いられるオートクレーブブレンド成分は、非ブレンド押出コーティングの適用において使用される通常のオートクレーブ製品を上回る溶融強度性を有し、したがって、管型LDPE工程に合わせることがより一層難しい。これらのオートクレーブブレンド組成物における、好ましいこの粘弾性能は、非常に広い、いくつかの場合において、二峰性MWDにより実現される。しかしながら、これらの樹脂の超高分子量分画の存在は、最終的な押出コーティングにおける適用で、光学的外観に悪影響を及ぼす。さらに、オートクレーブ工程は、通常低い変換レベルで作動し、管型工程よりも資本/エネルギー集約的である。
【0009】
したがって、押出コーティングへの適用に使用する組成物中のブレンド成分として好ましく(十分な溶融強度)、広いMWDのオートクレーブ樹脂の超高分子量分画を欠く、広いMWDを有する新しいエチレン系ポリマーのニーズがあり、それは管型工程で作られ得る。
【0010】
EP0792318A1は、少なくとも1つのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを重量で、約75〜95パーセント含み、少なくとも1つの高圧エチレンポリマーを重量で、約5〜25パーセント含むエチレンポリマー組成物を開示している。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、実質的に直鎖エチレンポリマー、均一に分岐した直鎖エチレンポリマーおよび不均一に分岐した直鎖エチレンポリマーから成る群から選択され、エチレン/α−オレフィンポリマーは、0.85g/cc〜0.940g/ccの範囲の密度を有することを特徴とする。高圧エチレンポリマーは、6.0g/10分より少ないメルトインデックスI、少なくとも0.916g/ccの密度、少なくとも9cNの溶融強度、少なくとも7.0のM/M比、およびゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される二峰性分子量分布を有することを特徴とする。前記エチレンポリマー押出組成物は、少なくとも1.0g/10分のメルトインデックスIを有する。
【0011】
US7776987は、高いメルトインデックスの直鎖ポリエチレンとともに、10〜25%の量で、低いメルトインデックスのLDPE(通常0.2〜1.0g/10分の範囲)に基づく組成物を開示しており、直鎖ポリエチレンのメルトインデックスは、20〜100の範囲で、好ましくは、30〜40で、押出コーティングへの使用に好ましい。前記組成物には、一定のレオロジー的およびゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の性質を有し、押出コーティング用いる場合、少ないネックインを示すポリマー材料が含まれる。このネックインは、溶融強度から独立しており、したがって、押出工程の改善を容易にする。
【0012】
EP1777238A1は、押出コーティングへの適用に好ましい組成物中のブレンド成分として、2.5〜10.0g/10分の範囲のメルトインデックスと、一定の動的機械分光レオロジー特性を有するオートクレーブ系LDPEの使用を記載している。関連特許EP2123707A1は、2〜8のメルトインデックスを有する管型LDPEとブレンドした、2〜30wt%の上記オートクレーブLDPEを開示している。
【0013】
米国特許第2007/0225445号において、各ホモポリマーは一緒にブレンドされる前に、反応帯から除去されるという条件で、管型反応器で生産される25〜75wt%のホモポリマーLDPE、および高圧オートクレーブ反応器で生産される75〜25wt%のエチレンホモポリマーLDPEから成るポリマーブレンドを開示している。前記ブレンドは、ネックインおよび接着性の良好な組み合わせを有するように形成される。管型製品を0.7:0.3〜0.3:0.7の異なるブレンド比でオートクレーブ製品と混ぜる場合、ポリマーウェブのネックインは、参照するオートクレーブのネックインに対して、165〜95%の間で変化した。純粋な(100%)管型ネックインは、参照するオートクレーブのネックインの305%倍(305% times)であった。
【0014】
2009年、12th TAPPI European Place ConferenceでのJ. Boschのプレゼンテーション(「The Introduction of Tubular LDPE to the Extrusion Coating Market and the Specifics of the Product」)は、オートクレーブ系樹脂および管型系樹脂の違い、および押出コーティング性能の結果を開示している。さらに、この引例は、押出コーティングに適用するために、非ブレンドの、管状樹脂を開発する必要性を記載している。
【0015】
押出コーティングに好適な組成物に使われる、従来の、溶融強度の高いエチレン系ポリマーは、非常に広いMWDを有し、超高分子量分画が存在するオートクレーブ工程で作られるが、最終的な適用の段階で、光学的外観に悪影響を及ぼす。さらに、オートクレーブ工程は通常低い変換レベルで作動し、管型工程よりも資本/エネルギー集約的である。従来の管型製品は、これらの溶融強度の低い樹脂で作られた押出コーティングの組成物に、所望の粘弾性を提供する溶融強度を欠いている。
【0016】
したがって、押出コーティングへの適用に使用する組成物中のブレンド成分として好ましく、広いMWDのオートクレーブ樹脂の超高分子量分画を欠く、高い溶融強度を有する新しいエチレン系ポリマーのニーズがあり、その新しいポリマーは管型工程で作られ得る。以下に記載する発明は、そのような必要性などを満たしている。
【発明の概要】
【0017】
本発明は、高圧フリーラジカル重合工程により形成される第1のエチレン系ポリマーを含み、a)Mw(abs)対I2の関係:Mw(abs)<A×[(I2)]、式中、A=5.00x10(g/モル)/(dg/分)、およびB=−0.40;ならびにb)MS対I2の関係:MS≧C×[(I2)]、式中、C=13.5cN/(dg/分)、およびD=−0.55の性質を含む組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、重合フロースキームの模式図である。
図2図2は、本発明のLDPE(IE3、IE5)と比較用LDPE(770G、662I、LD450E)ポリマーのGPCクロマトグラムを示す図である。
図3図3は、本発明のポリマーと比較用ポリマーの「重量平均分子量(Mw)対メルトインデックス(I2)」を示す図である。シリーズ1、2、および3の線は、A、すなわち、5.00×10、4.25×10および3.50×10それぞれに選択された以下の値の境界を示す。図3は、両対数プロットである。
図4図4は、本発明のポリマーと比較用ポリマーの「溶融強度(MS)対メルトインデックス(I2)」を示す図である。シリーズ1、2、および3の線は、C、すなわち、13.5、14.5、15.5それぞれに選択された以下の値の境界を示す。図4は、両対数プロットである。
図5図5は、本発明のポリマーと比較用ポリマーの「10g/モル(w)より大きい分子量の重量分率対メルトインデックス(I2)」を示す図である。シリーズ1、2、および3の線は、E、すなわち、0.110、0.090、0.075それぞれに選択された以下の値の境界を示す。図5は、両対数プロットである。
図6図6は、本発明のブレンド組成物および比較例のブレンド組成物の「ネックイン対高MSポリマー成分の重量パーセント」および「ドローダウン対高MSポリマー成分の重量パーセント」の2つの概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述のとおり、本発明は、高圧フリーラジカル重合工程により形成される第1のエチレン系ポリマーを含み、a)Mw(abs)対I2の関係:Mw(abs)<A×[(I2)]、式中、A=5.00×10(g/モル)/(dg/分)、およびB=−0.40;ならびにb)MS(溶融強度)対I2の関係:MS≧C×[(I2)]、式中、C=13.5cN/(dg/分)、およびD=−0.55の性質を含む組成物を提供する。
【0020】
前記組成物は、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0021】
上記の特徴a)において、Mw(abs)は、本明細書に記載されるGPCの方法Aにより決定される。上記b)の特徴において、溶融強度(MS)は、190℃で決定される。本明細書に記載される試験方法を参照のこと。
【0022】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.1g/10分〜6.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する(ASTM2.16kg/190℃)。
【0023】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.2g/10分〜6.0g/10分、さらに0.3g/10分〜6.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する(ASTM2.16kg/190℃)。
【0024】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.4g/10分〜6.0g/10分、さらに0.5g/10分〜6.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する(ASTM2.16kg/190℃)。
【0025】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.1〜4.0未満g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0026】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.3〜6.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0027】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.3〜4.0未満g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0028】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、b)Mw(abs)対I2の関係:Mw(abs)<A×[(I2)]、式中、A=4.25×10(g/モル)/(dg/分)、およびB=−0.40(GPC方法AのMw(abs))を有する。
【0029】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、b)Mw(abs)対I2の関係:Mw(abs)<A×[(I2)]、式中、A=3.50×10(g/モル)/(dg/分)、およびB=−0.40(GPC方法AのMw(abs))を有する。
【0030】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、c)MS対I2の関係:MS≧C×[(I2)]、式中、C=14.5cN/(dg/分)、およびD=−0.55(溶融強度=MS、190℃)を有する。
【0031】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、c)MS対I2の関係:MS≧C×[(I2)]、式中、C=15.5cN/(dg/分)、およびD=−0.55(溶融強度=MS、190℃)を有する。
【0032】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、170℃で140Paと同等かそれより大きいG’値、さらに170℃で150Paと同等かそれより大きいG’値、さらに170℃で160Paと同等かそれより大きいG’値を有する。
【0033】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、190℃で9.0cNと同等かそれより大きい溶融強度、さらに190℃で12.0cNと同等かそれより大きい溶融強度、さらに190℃で15.0cNと同等かそれより大きい溶融強度を有する。
【0034】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、以下の関係:w<E×[(I2)]、式中、E=0.110(dg/分)−F、およびF=−0.38(GPCの方法A)を満たす、GPC(abs)により決定されるポリマーの総重量に基づき、10g/モルより大きい分子量の重量分率(w)を有する。
【0035】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、以下の関係:w<E×[(I2)]、式中、E=0.090(dg/分)−F、およびF=−0.38(GPCの方法A)を満たす、GPC(abs)により決定されるポリマーの総重量に基づき、10g/モルより大きい分子量の重量分率(w)を有する。
【0036】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、以下の関係:w<E×[(I2)]、式中、E=0.075(dg/分)−F、およびF=−0.38(GPCの方法A)を満たす、GPC(abs)により決定されるポリマーの総重量に基づき、10g/モルより大きい分子量の重量分率(w)を有する。
【0037】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、少なくとも1つの管型反応器内で重合される。更なる実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、オートクレーブ反応器を含まない管型反応器システムで重合される。
【0038】
一実施形態において、前記組成物は、さらに第2エチレン系ポリマー含む。さらなる実施形態において、前記組成物は、2〜50g/10分、さらに3〜35g/10分、および4〜20g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。一実施形態において、前記組成物は、0.900〜0.955g/ccの密度を有する。一実施形態において、前記組成物のMS値は、2.5cN(190℃で)と同等、またはそれより大きい値である。
【0039】
一実施形態において、第2エチレン系ポリマーは、0.860〜0.960g/cc、さらに0.870〜0.955g/cc、さらに0.880〜0.950g/ccの密度を有する。
【0040】
一実施形態において、第2エチレン系ポリマーは、2〜80g/10分、さらに4〜50g/10分、さらに6〜35g/10分のメルトインデックスを有する。
【0041】
一実施形態において、第2エチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。一実施形態において、ポリエチレンホモポリマーは、0.915〜0.935g/cc、さらに0.915〜0.932g/cc、さらに0.915〜0.930g/ccの密度を有する。
【0042】
一実施形態において、第2エチレン系ポリマーは、0.924g/cc(1cc=1cm)と同等またはそれより大きい密度を有するLDPEホモポリマーである。
【0043】
第2エチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0044】
一実施形態において、第2エチレン系ポリマーは、C3−C20α−オレフィン、アクリレート、アセテート、カルボン酸、一酸化炭素、またはイオノマーから選択される少なくとも1つのコモノマーを含む。
【0045】
一実施形態において、第2エチレン系ポリマーは、C3−C10α−オレフィン、アクリレート、アセテート、カルボン酸、または一酸化炭素から選択される少なくとも1つのコモノマーを含む。
【0046】
一実施形態において、第2エチレン系ポリマーは、エチレン/α−オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、またはそれらの組み合わせからから選択される。
【0047】
好ましい第2エチレン系ポリマーには、DOWLEXポリエチレン樹脂、ELITEエンハンストポリエチレン(例えば、ELITE5815エンハンストポリエチレン)、AFFINITYポリオレフィンプラストマー、ENGAGEポリオレフィンエラストマー、ASPUNポリエチレン、AMPLIFY機能性ポリマー、およびINFUSEオレフィンブロックコポリマーが含まれる。
【0048】
直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)には、例えば、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1,4−メチルペンテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1およびオクテン−1のような、しかし、これらに限定されない1以上のα−オレフィンを有するエチレン共重合体が含まれる。
【0049】
一実施形態において、前記組成物は、さらに機能的なエチレン系ポリマー含む。好ましい機能的なエチレン系ポリマーには、例えば、AMPLIFY TY機能性ポリマーなどの、無水マレイン酸をグラフトしたエチレン系ポリマーが含まれる。
【0050】
一実施形態において、前記組成物は、さらにプロピレン系ポリマー含む。好ましいプロピレン系ポリマーにはVERSIFYプラストマーおよびエラストマーが含まれる。
【0051】
一実施形態において、前記組成物は、0.900〜0.955g/cc、さらに0.900〜0.950g/ccの密度を有する。
【0052】
一実施形態において、前記組成物は、2〜50g/10分、さらに3〜35g/10分、さらに4〜20g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0053】
一実施形態において、前記組成物は、170℃で80Paと同等かそれより大きいG’値、さらに170℃で90Paと同等かそれより大きいG’値、さらに170℃で100Paと同等かそれより大きいG’値を有する。
【0054】
一実施形態において、前記組成物は、190℃で2.5cNと同等かそれより大きいMS値、さらに190℃で3.0cNと同等かそれより大きいMS値、さらに190℃で3.5cNと同等かそれより大きいMS値を有する。
【0055】
一実施形態において、前記組成物は、第1および第2ポリマーの重量の合計に基づき、「0wt%より大きく」、15wt%より少ない第1エチレン系ポリマーを含み、前記組成物は、80Paと同等またはそれ以上のG’値を有する(170℃で)。
【0056】
一実施形態において、前記組成物は、第1および第2ポリマーの重量の合計に基づき、「0wt%より大きく」、40wt%より少ない第1エチレン系ポリマーを含み、前記組成物は、80Paと同等またはそれ以上のG’値を有する(170℃で)。
【0057】
前記組成物は、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0058】
前記第1エチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0059】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン系インターポリマーから選択される。
【0060】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーまたはエチレン系共重合体から選択され;エチレン系共重合体のコモノマーは、ビニルアセテート、アルキルアクリレート、一酸化炭素、アクリル酸、カルボン酸を含むコモノマー、イオノマー、モノオレフィンから選択され、またはビニルアセテート、アルキルアクリレート、アクリル酸、またはモノオレフィンから選択される。更なる実施形態において、共重合体の重量に基づき、コモノマーは、0.5〜30wt%のコモノマーが存在する。
【0061】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーのモノマー単位の総モルに基づき、30モルppmより少ない架橋剤(共有結合の形成または2つのポリマー間の分子を結合させる)または架橋能を有するコモノマーを含む。更なる実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、複数の不飽和またはアセチレン機能性を含む、30ppmより少ないコモノマーを含む。
【0062】
微量の不純物がポリマー構造に取り込まれ得るということを理解されたい。例えば、通常のエチレンの規格によれば、供給するエチレンに、非常に微量のアセチレン成分(ポリマー中、20モルppm未満)が存在し得る(例えば、供給するエチレン中に最大5モルppmのアセチレン)。
【0063】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーにおけるモノマー単位の総モル基づいて、10モルppmより少なく取り込まれたプロピレンを含む。
【0064】
望ましくは、第1エチレン系ポリマーは少ないゲルを含む。したがって、架橋剤または架橋能を持つコモノマーの直接的な添加は、本明細書に記載される第1エチレン系ポリマーの重合では望ましくない。
【0065】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、I2≧0.5g/10分を有する。
【0066】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、I2≧1g/10分を有する。
【0067】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、I2≦10g/10分を有する。
【0068】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、I2≦6g/10分を有する。
【0069】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、I2≦5g/10分を有する。
【0070】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、I2≦4g/10分を有する。
【0071】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、G’≧120Pa、さらにG’≧130Pa(170℃で)、さらに、G’≧140Pa(170℃で)、さらにG’≧150Pa(170℃で)を有する。
【0072】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.910〜0.940g/ccの密度を有する(1cc=1cm)。
【0073】
一実施形態において、第1エチレン系ポリマーは、0.915g/ccと同等またはそれより大きい密度、または0.918g/ccと同等またはそれより大きい密度を有する。
【0074】
本発明の第1エチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0075】
一実施形態において、前記組成物は、設定温度=290℃、コーティング重量=25g/mおよびライン速度=300m/分において、≦120mmの「ネックイン」値を有する。
【0076】
一実施形態において、前記組成物は、設定温度=290℃で、「ドローダウン」値≧400m/分を有する。ドローダウンは、一定のポリマー生産量で、ライン速度を加速させた場合、ウェブの破損またウェブの欠陥/エッジの不整合が発生しない、達成可能な最大ライン速度として定義される。一定のポリマー生産量は、100m/分のライン速度にて稼働させた場合の15g/mのコーティング重量により設定される。ネックインとは、ウェブの最終幅と固定したライン速度でのダイの幅との差である。
【0077】
本発明の組成物は、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0078】
前記第1エチレン系ポリマーは、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0079】
本発明はまた、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成成分を含む物品を提供する。
【0080】
一実施形態において、前記物品は、コーティング、フィルム、発泡樹脂製品、ラミネート、繊維、またはテープから選択される。
【0081】
一実施形態において、前記物品は、押出コーティングである。別の実施形態において、物品はフィルムである。
【0082】
本発明の物品は、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0083】
本発明は、本発明の組成物の形成方法もまた提供し、前記方法には、少なくとも1つの管型反応器を含む反応器構造内のエチレンを重合させることが含まれる。更なる実施形態において、管型反応器は、少なくとも2つの反応帯を含む。更なる実施形態において、管型反応器は、少なくとも3つの反応帯を含む。
【0084】
本発明の方法は、本明細書に記載される2以上の実施形態の組み合わせを含んでも良い。
【0085】
重合
高圧のフリーラジカル開始重合工程では、2つの基本的な種類の反応器が公知である。第一の種類は、1以上の反応帯を有する撹拌式オートクレーブ槽である(オートクレーブ反応器)。第二の種類は、1以上の反応帯を有するジャケット管である(管型反応器)。
【0086】
工程におけるそれぞれのオートクレーブおよび管型反応器ゾーンの圧力は、通常100〜400、さらに、通常120〜360、およびさらに通常150〜320MPaである。
【0087】
工程におけるそれぞれの管型反応器ゾーンの重合温度は、通常100〜400℃、さらに、通常130〜360℃、およびさらに通常140〜330℃である。
【0088】
工程におけるそれぞれのオートクレーブ反応器ゾーンの重合温度は、通常150〜300℃、さらに、通常165〜290℃、およびさらに通常180〜280℃である。オートクレーブ中の温度は、大幅に低くなり、管型反応器のものと区別しづらくなり、したがって、より好ましい抽出レベルが、オートクレーブ系反応システムで生産されるポリマーで通常認められることは、当業者によって理解される。
【0089】
本発明に見られる有利な特性を有するポリエチレンのホモポリマーまたはインターポリマーを生産するための本発明の高圧工程は、好ましくは、少なくとも3つの反応帯を有する管型反応器で行われる。
【0090】
開始剤
本発明の工程は、フリーラジカル重合工程である。本工程で使用されるフリーラジカル開始剤の種類は重要ではないが、好ましくは適用される開始剤のうち、300℃〜350℃の範囲での高温操作を可能にするべき開始剤である。一般に使用されるフリーラジカル開始剤には、例えば、ペルエステル、ペルケタール、ペルオキシケトン、ペルカーボネートおよび環状多官能性の過酸化物のような有機過酸化物が挙げられる。これらの有機ペルオキシ開始剤は、重合可能なモノマーの重量に基づき、通常、0.005〜0.2wt%の従来の量で使用される。
【0091】
他の好適な開始剤には、アゾジカルボン酸エステル、アゾジカルボン酸ジニトリルおよび1,1,2,2−テトラメチルエタン誘導体、および所望の操作温度範囲でフリーラジカルを形成可能な他の成分が挙げられる。
【0092】
過酸化物は通常、好適な溶媒、例えば、炭化水素溶媒における希釈溶液として注入される。
【0093】
一実施形態において、開始剤は重合の少なくとも1つの反応帯に添加され、開始剤は、「1秒の半減期温度」を有し、255℃より大きく、好ましくは、260℃より大きい。更なる実施形態において、そのような開始剤は、320℃〜350℃の重合温度のピークで使用される。更なる実施形態において、前記開始剤には、環状構造に組み込まれる少なくとも1つの過酸化基が含まれる。
【0094】
そのような開始剤の例には、双方ともAkzo Nobelから入手可能であるTRIGONOX 301(3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン(triperoxonaan))およびTRIGONOX 311(3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン)、ならびにUnited Initiatorsから入手可能であるHMCH−4−AL(3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトロキソナン)が挙げられるが、これらに限定されない。国際公開第02/14379号および国際公開第01/68723号も参照されたい。
【0095】
連鎖移動剤(CTA)
連鎖移動剤またはテロゲン(telogen)は、重合工程のメルトインデックスを制御するために用いられる。連鎖移動は、成長するポリマー鎖を停止させ、したがって、ポリマー材料の最終的な分子量を制限する。連鎖移動剤は、通常、成長するポリマー鎖と反応する水素原子供与体であり、鎖の重合反応を停止させる。これらの剤は、飽和炭化水素もしくは不飽和炭化水素からアルデヒド、ケトンまたはアルコールに至る多数の異なる種類であってよい。選択された連鎖移動剤の濃度を制御することによって、ポリマー鎖の長さを制御することができるため、分子量、例えば、数平均分子量Mnを制御することができる。Mnと関連する、ポリマーのメルトフローデックス(MFIまたはI)は、同じ方法で制御される。
【0096】
本発明の工程で使用される連鎖移動剤には、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、ペンテンまたはヘキサンのような脂肪族およびオレフィン族炭化水素;例えば、アセトン、ジエチルケトンまたはジアミルケトンのようなケトン;例えば、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドのようなアルデヒド;および、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールまたはブタノールのような飽和脂肪族アルデヒドアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。連鎖移動剤は、モノマー連鎖移動剤であってもよい。例えば、国際公開第2012/057975号、米国特許第61/579067号(2012年12月10日出願の国際出願PCT/US12/068727号参照)、および米国特許第61/664956号(2012年6月27日出願)を参照。
【0097】
メルトインデックスに影響を及ぼすさらなる方法には、エチレン再利用流におけるメタンやエタンのような流入するエチレンの不純物、tert−ブタノール、アセトン等のような過酸化物解離生成物、および/または開始剤を希釈するために使用される溶媒成分の集積および制御が挙げられる。これらのエチレンの不純物、過酸化物解離生成物、および/または希釈溶媒成分は連鎖移動剤として作用することができる。
【0098】
ポリマー
一実施形態において、本発明の第1エチレン系ポリマーは、立方センチメートル当たり0.912〜0.935、さらに通常0.914〜0.930、一層さらに通常0.916〜0.926グラムの密度を有する(g/ccまたはg/cm)。一実施形態において、本発明のエチレン系ポリマーは、190℃/2.16kgにて10分当たり0.3〜6グラム(g/10分)、さらに190℃/2.16kgにて10分当たり0.5〜5グラム(g/10分)のメルトインデックス(I)を有する。
【0099】
エチレン系ポリマーには、LDPEホモポリマー、およびエチレン/ビニルアセテート(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレンブチルアクリレート(EBA)、エチレンアクリル酸(EAA)、エチレンメタクリル酸(EMAA)、およびエチレン一酸化炭素(ECO)を含む高圧共重合体が含まれる。別の好ましいコモノマーは、Ehrlich, P.; Mortimer, G.A.; Adv.Polymer Science; Fundamentals of Free−radical Polymerization of Ethylene; Vol. 7, pp.386−448 (1970)に記載される。一実施形態において、コモノマーは、例えば、複数の不飽和またはアセチレン機能を含むポリマー鎖を架橋可能なコモノマーを除外する。
【0100】
モノマーとコモノマー
本明細書および特許請求の範囲で使用されるエチレンインターポリマーという用語は、エチレンおよび1以上のコモノマーのポリマーを指す。本発明のエチレンポリマーで使用される好ましいコモノマーには、エチレン性不飽和モノマー、特にC3−20α−オレフィン、一酸化炭素、ビニルアセテート、およびC2−6アルキルアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、エチレン系ポリマーは、例えば、複数の不飽和またはアセチレン機能を含むポリマー鎖を架橋可能なコモノマーを含まない。
【0101】
ブレンド
本発明のポリマーは、例えば、限定するものではないが、グラフト共重合体およびグラフトターポリマーを含む高圧共重合体およびターポリマー;直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE);例えば、限定するものではないが、プロピレン、ブテン−1,ペンテン−1,4−メチルペンテン−1,ペンテン−1,ヘキセン−1,およびオクテン−1などの1以上のα−オレフィンを有するエチレン共重合体;例えば、Dow Chemical社から入手可能なHDPEグレードHD940−970の高密度ポリエチレン(HDPE)などの1以上の別のポリマーとブレンドされ得る。ブレンド中の本発明のポリマーの量は、大きく異なり得るが、通常、ブレンドのポリマーの重量に基づき、5〜90、または10〜85、または、15〜80重量パーセントである。
【0102】
添加剤
本発明のポリマーを含む組成物に、1以上の添加剤を添加してもよい。好ましい添加剤には、安定剤;クレー、タルク、二酸化チタン、ゼオライト、粉末金属、有機または無機の繊維を含む有機または無機粒子などの充填材が含まれ、炭素繊維、窒化ケイ素繊維、スチールワイヤもしくはメッシュ、ならびにナイロンもしくはポリエステルのひも、ナノサイズ粒子、クレー、その他などが含まれる;粘着付与剤;およびパラフィンもしくはナプテレン油(napthelenic oils)を含む油展剤が含まれる。
【0103】
応用
本発明の組成物は、押出コーティング;フィルム;およびブロー成形、射出成形または回転成形などによる成形品;発泡樹脂製品;ワイヤーおよびケーブル;繊維;ならびに織物または不織布を含む種々の有用な物品を生産する従来の熱可塑性製品の製造工程に使用してもよい。
【0104】
定義
明記されない限り、文脈からの暗示または当該分野での慣行、全ての部およびパーセントは、重量に基づき、すべてのテスト方法は、本開示の出願日現在のものである。
【0105】
「組成物」という用語は、本明細書において使用する場合、組成物を構成する材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を含む。
【0106】
使用する「ブレンド」または「ポリマーブレンド」という用語は、2種以上のポリマーの本質的な物理的混合物を指す(つまり、反応しない)。ブレンドは、混和性であってもよいし混和性でなくてもよい(分子レベルで層分離していない)。ブレンドは、層分離していてもよいし、していなくてもよい。ブレンドは、当分野で公知の透過電子顕微鏡法、光散乱法、X線散乱法、およびその他の方法によって決定されるように、1つまたはそれ以上のドメイン配置を含んでいてもよいし含まなくてもよい。ブレンドは、マクロレベルで(例えば、溶融ブレンド樹脂または配合)またはミクロレベルで(例えば、同じ反応器内で同時に形成する)2種以上のポリマーを物理的に混合することによって影響を受けてもよい。
【0107】
「ポリマー」という用語は、同一または異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合することにより調製される化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマー(微量の不純物をポリマー構造に含むことができるという理解のもとで、1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指す)という用語を含み、「インターポリマー」という用語は、以下に定義される。ポリマーに、および/またはポリマー内部に微量の不純物が含まれても良い。
【0108】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により調製されるポリマーを指す。インターポリマーという一般的な用語は、共重合体(2つの異なるモノマーから調製されるポリマーを指す)、および2つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0109】
「エチレン系ポリマー」または「エチレンポリマー」という用語は、ポリマーの重量に基づき、大部分の量の重合エチレンを含むポリマーを指し、任意に少なくとも1つのコモノマーを含んでも良い。
【0110】
「エチレン系インターポリマー」または「エチレンインターポリマー」という用語は、インターポリマーの重量に基づき、大部分の量の重合エチレンを含むインターポリマーを指し、少なくとも1つのコモノマーを含む。
【0111】
「エチレン系共重合体」または「エチレン共重合体」という用語は、共重合体の重量に基づき、大部分の量の重合エチレンを含むインターポリマーと、1つのみのコモノマー(よって、2種のモノマーのみ)を指す。
【0112】
「オートクレーブ系製品」または「オートクレーブ系ポリマー」という用語を本明細書において使用する場合、少なくとも1つのオートクレーブ反応器を含む反応器システムで調製されたポリマーを指す。
【0113】
「高圧フリーラジカル重合工程」という表現を本明細書において使用する場合、少なくとも1000バール(100MPa)の高圧で行われるフリーラジカル開始重合を指す。
【0114】
「含む」およびその派生形の用語は、何らかのさらなる成分、工程または手順の存在を除外することを意図するものではなく、このことは同じものが本明細書中で開示されているか否かにかかわらない。あらゆる疑念を避けるため、「含む」という用語の使用を通じて本明細書中で主張される全ての組成物は、反対のことが述べられない限り、ポリマーであるかそうでないかにかかわらず、任意のさらなる添加剤、補助剤または化合物を包含することができる。対照的に、「から本質的になる」という用語は、あらゆる後続の列挙の範囲から、あらゆる他の成分、工程または手順を、操作性に必須でないものを除いて、除外する。用語「からなる」は、具体的に記述または列挙されていない、あらゆる成分、工程または手順を除外する。
【0115】
テスト方法
密度:密度を測定するためにASTM D1928に基づき試料を調製した。ポリマー試料を190℃、30,000psi(207MPa)で3分間、次いで、21℃、207MPaで1分間プレスした。ASTMD792、方法Bを用いて、試料のプレスから1時間以内に測定を行った。
【0116】
メルトインデックス:メルトインデックス、つまりI(グラム/10分またはdg/分)は、ASTM D 1238、190℃/2.16kgの条件によって測定する。I10は、ASTM D 1238、190℃/10kgの条件で測定する。
【0117】
GPCの方法A:三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(TDGPC):高温三重検出器GPC分析を、ALLIANCE GPCV2000機器(Waters社製)で145℃に設定して行った。GPCの流量は、1mL/分であった。注入量は、218.5μLであった。カラムセットは、4つのMixed−Aカラム(20−μm粒子;7.5×300mm;Polymer Laboratories 社製)から成る。
【0118】
CH−センサー;λ=488nmで操作する30−mWのアルゴンイオンレーザーを備えたWyatt Technology Dawn DSP多角度光散乱(MALS)検出器(米国カリフォルニア州、サンタバーバラのWyatt Technology Corp.);およびWatersの3キャピラリー粘度検出器を備えたPolymerChARのIR4検出器用いて検出を行った。TCB溶媒の散乱強度を測定して、MALS検出器を較正した。光ダイオードの正規化を、32,100g/モルの重量平均分子量(Mw)と1.11のポリ分散度(MWD)を持つSRM1483、高密度ポリエチレンを注入することによって行った。HDPE SRM1483は、米国標準技術局(米国メリーランド州、ゲイザースバーグ)から得られる。TCB中のポリエチレンについての、−0.104mL/mgの比屈折率の増分(dn/dc)を使用した。
【0119】
580〜7,500,000g/モルの範囲の分子量を持つ20の狭いPS標準(Polymer Laboratories Ltd.)によって従来のGPCの較正を行った。ポリスチレン標準ピーク分子量は、以下の方程式を使って、ポリエチレン分子量に換算された。
【0120】
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン、ここで、A=0.39、B=1である。Aの値は、Mwが、115,000g/モルの直鎖高密度ポリエチレンホモポリマー(HDPE)を用いて算出される。HDPE参照物質も用いて100%の質量回収と1.873dL/gの固有の粘度を想定することによってIR検出器および粘度計を較正した。
【0121】
200ppmの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(Merck, Hohenbrunn、ドイツ)を含む、蒸留した「Baker Analyzed」グレード1,2,4−トリクロロベンゼン(J.T.Baker, Deventer, オランダ)を、三重検出器GPCのときと同様に、試料調製用の溶媒として用いた。
【0122】
LDPEの溶液は、160℃で3時間、穏やかに撹拌しながら試料を溶解することによって調製した。PS標準は同一条件下で30分間溶解した。三重検出器GPCの実験のための試料の濃度は、1.5mg/mLで、ポリスチレン濃度は、0.2mg/mLであった。
【0123】
MALS検出器は、様々な散乱角θのもとで試料におけるポリマーまたは粒子から散乱されたシグナルを測定する。基本的な光散乱式(M. Anderson, B. Wittgren, K.−G. Wahlund, Anal. Chem. 75, 4279 (2003))は、下記の通り示される。
【0124】
【数1】
【0125】
式中、Rθは過剰なレイリー比であり、Kは光学定数であり、それは、とりわけ、比屈折率の増分(dn/dc)に依存し、cは溶質の濃度であり、Mは分子量であり、Rは回転半径であり、λは入射光の波長である。光散乱データから分子量および回転半径を計算するには、ゼロ角度へ外挿する必要がある(P.J. Wyatt, Anal. Chim. Acta 272, 1 (1993)を参照)。これは、いわゆるDebye plotと呼ばれる(Kc/Rθ1/2をsin(θ/2)の機能としてプロットすることにより行われる。分子量は縦座標による切片から計算することができ、回転半径は曲線の最初の傾きから計算することができる。第2のビリアル係数は無視できると仮定する。固有の粘度数は、比粘度の比率を利用することによる粘度と濃度の検出器のシグナルおよび各溶出片の濃度の双方から算出される。
【0126】
ASTRA4.72(Wyatt Technology Corp.)ソフトウェアを用いてIR検出器、粘度計、およびMALS検出器からのシグナルを回収し、計算を実行した。
【0127】
述べられる1以上のポリエチレン標準に由来する光散乱定数および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを用いて、算出された分子量、例えば、Mw(abs)および分子量分布(例えば、Mw(abs)/Mn(abs)が得られた。一般に、質量検出器の応答および光散乱定数は、約50,000ダルトンを上回る分子量を持つ線形標準から決定されるべきである。粘度計の較正は、製造元によって記載される方法によって、または代わりに標準参照物質(SRM)1475a、1482a、1483または1484aのような好適な線形標準の公開された値を用いて達成することができる。クロマトグラフの濃度は、対処する第2のビリアル係数効果(分子量に対する濃度効果)を排除するために十分低く仮定される。
【0128】
TD−GPCから得られたMWD(abs)曲線は、3つの特徴的なパラメータ:Mw(abs)、Mn(abs)、およびwと共に要約され、その際、wは、「ポリマーの総重量に基づいて、GPC(abs)によって決定される、10g/モルより大きい分子量の重量分率として定義される」。
【0129】
図2は、いくつかの比較例および本発明の実施例3および4のMWD(abs)を示す。さらに、この図で示すような縦線は「w」を決定するための積分の下限を示す。従って、「w」は事実上、この縦線の右までの曲線下面積である。
【0130】
方程式の形態では、パラメータは以下のように決定される。「logM」および「dw/dlogM」の表からの数値積分は通常、台形法則によって行われる:
【0131】
【数2】
【0132】
g’のパラメータは、LDPEの固有粘度および上記の参照物質の直鎖HDPEの固有粘度の重量平均の比として定義される(Mw、115,000g/モル)。
【0133】
GPCの方法B:三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(TDGPC)−従来のGPCのデータ
2角レーザー光散乱(LS)検出器モデル2040(Precision Detectors社、現在は、Agilent社)、Polymer Char社(ヴァレンシア、スペイン)のIR−4赤外線検出器、および4キャピラリー溶液粘度計(DP)(Viscotek社、現在は、Malvern社)を備えた、Polymer Laboratories社(現在は、Agilent社)の高温クロマトグラフモデル220から成る三重検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(3D−GPCまたはTDGPC)システムを用いた。データの収集は、Polymer Char DM 100データ収集ボックスおよび関連するソフトウェアを用いて行った(バレンシア、スペイン)。このシステムは、Polymer Laboratories社(現在は、Agilent社)のオンライン溶媒脱気装置もまた装備していた。
【0134】
Polymer Laboratories社(現在は、 Agilent社)製の4つの30cm、20umのMixed A LSカラムから成る高温GPCカラムを使用した。試料カルーセルコンパートメント(sample carousel compartment)を140℃で操作し、カラムコンパートメントを150℃で操作した。試料を、50ミリリットルの溶媒中、0.1グラムのポリマーの濃度で調製した。クロマトグラフィー用溶媒および試料調製溶媒は、200ppmの2,6−ジ−tert−ブチル−4メチルフェノール(BHT)を含有する1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)であった。この溶媒を窒素でスパージした。前記ポリマー試料を160℃で4時間軽く撹拌した。注入量は、200マイクロリットルであった。GPCを通じた流量は、1.0ml/分に設定した。
【0135】
Polymer Charの「GPC One」ソフトウェアを使って、カラムの較正および試料の分子量の計算を行った。21の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いてGPCカラムの較正を行った。ポリスチレン標準の分子量は、580から8,400,000g/モルの範囲であり、個々の分子量間に少なくとも1桁の隔たりがある6つの「カクテル」混合物で用意された。
【0136】
以下の式(例えば、Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6, 621 (1968)に記載)を用いて、ポリスチレン標準のピーク分子量をポリエチレン分子量に変換した:
ポリエチレン=A(Mポリスチレン
【0137】
式中、Bは、1.0の値を有し、および実験により決定されたAは0.38〜0.44の値である。
【0138】
上記式と、得られた溶出体積から求められた各ポリエチレンに相当する較正点に、一次多項式をフィットさせることにより、カラム較正曲線が得られた。
【0139】
数、重量、およびz平均分子量を以下の式に従って計算した:
【0140】
【数3】
【0141】
式中、Wfは、i番目の成分の重量分率であり、およびMは、i番目の成分の分子量である。分子量分布(MWD)を、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比として表した。
【0142】
A値は、上記式および対応する保持量多項式を用いて計算した重量平均分子量であるMwが、115,000g/モルの公知の重量平均分子量を有する直鎖ホモポリマー基準物質によって得られる独立して決定されたMw値と一致するまで、WilliamsおよびWardの式のA値を調整することによって決定した。
【0143】
レオロジーG’
G’の測定に使用される試料は圧縮成形プラークから調製した。アルミホイルの片をバックプレート上に置き、鋳型または金型をバックプレートの一番上に置いた。およそ12グラムの樹脂を金型に入れ、アルミホイルの第2の片を樹脂および金型の上に置いた。次いで、第2のバックプレートをアルミホイルの一番上に置いた。全ての集合体を、圧縮成形プレスに入れ、以下の条件:10バールの圧力、150℃で3分間、次いで、150バールの圧力、150℃で1分間、次いで、150バールの圧力、「1.5分」の焼入冷却により室温まで冷却、で稼働させた。圧縮成形プラークから25mmの円板を打ち抜いた。この円板の厚さはおよそ2.0mmであった。
【0144】
G’を決定するためのレオロジーの測定は、170℃および10%の歪みで窒素環境にて行った。ARES−1(Rheometrics SC)レオメータオーブンに設置した2つの「25mm」の平行な板の間に打ち抜いた円板を置き、それを少なくとも30分間170℃で予熱し、「25mm」の平行な板のギャップを1.65mmにゆっくり減らした。次いでこれらの条件で正確に5分間、試料をそのままにした。次いでオーブンを開け、板の縁の周辺で過剰な試料を慎重に切り取り、オーブンを閉じた。100〜0.1rad/秒(0.1rad/秒にて500Paより低いG”値を得ることができる場合)または100〜0.01rad/秒の低下する周波数掃引に従って、小振幅の振動せん断を介して試料の貯蔵弾性率と損失弾性率を測定した。各周波数掃引については、周波数ディケード当たり10点(対数間隔で)を用いた。
【0145】
データは、対数/対数尺度で(G’(Y軸)対G”(X軸))にプロットした。Y軸の尺度は10〜1000Paの範囲を対象にする一方で、X軸の尺度は100〜1000Paの範囲を対象とした。ソフトウェアAには、Orchestratorソフトウェアを用いてG”が200〜800Paの間である領域でデータを選択した(または少なくとも4つのデータ点を用いて)。適合方程式Y=C1+C2ln(x)を用いてデータを対数多項式モデルに適合させた。Orchestratorソフトウェアを用いて、G”が500Paと同等であるときの、G’を内挿によって算出した。
【0146】
ソフトウェアBのために、3次区分的多項式フィットのAkima スプライン補間アルゴリズムを使って、データを補間した。この詳細は、Hiroshi Akima “A new method of interpolation and smooth curve fitting based on local procedures”, J. ACM, 17(4), 589−602 (1970) に記載されている。
【0147】
いくつかの場合、150℃および190℃の試験温度にてG’(G”が500Paの場合)を算出した。170℃での値はこれら2つの温度での値からの線形補間によって算出した。
【0148】
溶融強度
Gottfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターに取付けられたGottfert Rheotens 71.97 (Goettfert Inc.; Rock Hill, SC)で、溶融強度の測定を行った。ポリマー溶解物(約20〜30グラム、ペレット)を、平坦な入り口角(180度)、2.0mmのキャピラリー直径、および15の縦横比(キャピラリー長さ/キャピラリー直径)であるキャピラリーダイを通じて、押し出した。
【0149】
190℃で10分間、試料を平衡にした後、ピストンを0.265mm/秒の一定のピストン速度で稼働させた。標準試験温度は、190℃であった。試料を、2.4mm/秒の加速度でダイの下100mmに位置する加速ニップ一式へ一軸方向に延伸した。ニップロールの巻き取り速度の機能として、引張力を記録した。溶融強度は、ストランドが破断する前のプラトー域の力(cN)として記録した。溶融強度の測定に、以下の条件:プランジャー速度=0.265mm/秒;ホイール加速度=2.4mm/s;キャピラリー直径=2.0mm;キャピラリー長さ=30mm;およびバレル直径=12mm、を用いた。
【0150】
核磁気共鳴(13C NMR)
約「0.025MのCr(AcAc)を含むテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼン50/50の混合物3g」を10mmのNMR管の「0.25〜0.40gのポリマー試料」に添加して、試料を調製した。開管を窒素環境に少なくとも45分間置いて、試料から酸素を除去した。次いで、加熱ブロックおよび加熱ガンを用いて、管、およびその内容物を150℃に加熱して、試料を溶解、均一化した。溶解した各試料は、均一性を確かめるために、目視検査した。分析の直前に試料をよく混合して、放冷せずに、加熱したNMR試料ホルダーに挿入した。
【0151】
全てのデータを、Bruker 400MHz分光計を使用して集めた。データは、125℃の試料温度で、6秒のパルス繰り返し遅延、90℃のフリップ角、および逆ゲートデカップリングを用いて、取得した。測定は全て、ロックモードでの非回転試料で行った。試料を7分間、熱平衡化し、その後、データを取得した。13C NMR化学シフトは、30.0ppmでのEEEトライアド(EEE triad)を内部参照とした。C6+値は、LDPE中のC6+分岐部の直接的尺度であり、ここでは長い分岐部は「鎖末端」と識別されない。6個以上の炭素の全ての鎖または分岐部の末端から第3番目の炭素を表す32.2ppmのピークを、C6+値を決定するために使用した。
【0152】
核磁気共鳴(1H NMR)
試料の調整
NORELL1001−7、10mmのNMR管中の0.001MのCr(AcAc)を含む「50/50のテトラクロロエタン−d2/ペルクロロエチレン、重量で3.25g」を、約130mgの試料に加えることによって試料を調製した。酸化を防ぐために、管に挿入したピペットを介して、およそ5分間、溶媒を通じたN2バブリングにより試料をパージした。各管には、キャップが付けられ、TEFLON(登録商標)テープでシールし、次いで、室温で一晩浸漬させ、試料の溶解を促した。酸素への暴露を最小限にするために、試料は、保管の間、および調製の前後に、窒素パージ箱内に置いた。試料を加熱し、均一性を確保するために、115℃で、ボルテックスした。
【0153】
データ取得のパラメータ
Bruker Dual DUL高温クライオプローブを備えた、Bruker AVANCE 400MHz分光計で、120℃の試料温度で1H NMRを行った。2通りの実験を行い、スペクトルを取得した。前記2通りの実験は、総ポリマープロトンを定量化する対照スペクトル、および二重の事前飽和実験であり、それにより、強いポリマー骨格ピークを抑制し、末端基を定量化するための感度の高いスペクトルが得ることができる。対照を、ZGパルスで、4スキャン、SWH 10,000Hz、AQ1.64秒,D1 14秒で行った。二重の事前飽和実験を、修正パルス系列、TD32768、100スキャン、DS4、SWH10,000Hz、AQ1.64秒、D1 1秒、D13 13秒で行った。
【0154】
データ分析−1H NMR計算
TCE−d2の残留1Hからのシグナル(6.0ppmで)を積分して100の値に設定し、3から−0.5ppmまでの積分値を対照実験におけるポリマー全体からのシグナルとして使用した。事前飽和実験は、TCEシグナルを同様に100に設定し、不飽和に対応する積分値(約5.40から5.60ppmにビニレン、約5.16から5.35ppmに三置換体、約4.95から5.15ppmにビニル、および約4.70から4.90ppmにビニリデン)を得た。
【0155】
事前飽和実験のスペクトルで、シスビニレンおよびトランスビニレン、三置換体、ビニル、およびビニリデンの領域を積分した。対照実験からのポリマー全体の積分値を2で割って、X千個の炭素を表す値を得た(すなわち、ポリマーの積分値=28,000であれば、これは14,000個の炭素、およびX=14を表す)。
【0156】
この積分値に寄与する、対応するプロトンの数で割った不飽和基の積分値は、X千個の炭素当りの各タイプの不飽和のモル数を表す。各タイプの不飽和のモル数をXで割ると、炭素1000モル当りの不飽和基のモル数が得られる。
【0157】
実験
A.第1エチレン系ポリマー
本発明(IE1)
重合は、3つの反応帯を有する管型反応器内で行われた。各反応帯では、反応器のジャケットを通じて、この水を循環させて、反応媒体の冷却および/または加熱用に加圧水を使用した。注入口圧力は、2100バールで、管型反応器システム全体に対する圧力降下は、約300バールであった。各反応帯は1つの注入口と1つの排出口を有する。各注入流は、先の反応帯および/または添加されたエチレンに富む供給流からの排出流から成る。エチレンを、仕様書にしたがって供給した。ここで、エチレン中の微量(最大5モルppm)のアセチレンは許容される。したがって、ポリマーに含まれ得るアセチレンの最大量は、エチレン系ポリマーのモノマー単位の総モル量に基づき、16モルppmと同等またはそれ未満である(表3の変換レベルを参照)。図1に示すフロースキームに基づき、反応器排出口の、非変換エチレンおよび他のガス状成分を高圧および低圧再循環を通じて、再循環させ、ブースター、主要なおよびハイパー(第2)コンプレッサーを通じて圧縮、分散させた。有機過酸化物を、各反応帯に供給した(表1を参照)。アセトンを連鎖移動剤として使用した。アセトンは、新たに注入されたCTAを構成するストリーム#7および/またはストリーム#6に加え、低圧および高圧のリサイクルフロー(#13および#15)からの各反応帯注入口に存在した。前記ポリマーは、3.3g/10分のメルトインデックスで作製された。
【0158】
反応帯1で、第1のピーク温度(最大温度)に達した後、加圧水を使って反応媒体を冷却した。反応帯1の排出口で、反応媒体を、新たな、冷却した、エチレンに富む供給流(#20)を注入して、さらに冷却し、有機過酸化物を供給することにより、反応を再開させた。この工程を第2反応ゾーンの最後に繰り返し、第3の反応帯でさらなる重合を行えるようにした。溶融温度約230〜250℃で、「単軸スクリュー」押出機を使って、ポリマーを押し出し、ペレット化した(グラム当たり、約30ペレット)。3つの反応帯に対する、エチレンに富む供給流の重量比(9:20:21)は、1.00:0.75:0.25であった。R2およびR3の値は、それぞれ2.22であった。R値を、米国仮出願第61/548996号に基づき、計算した(2012年10月10日出願、国際特許出願PCT/US12/059469)。Rn(n=反応帯番号、n>1)は、「1番目の反応帯(RZ1)へ供給される新しいエチレンの質量分率」と「n番目の反応帯(RZn)へ供給される新しいエチレンの質量分率」の比、またはRn=RZ1/RZnである。内部工程の速度は、第1、第2、および第3の反応帯でそれぞれ、約12.5、9および11m/秒であった。
【0159】
この本発明の実施例では、CTAを構成するストリーム#7および#6の重量比は、3.6であった。さらなる情報は、表2および3に記載される。
【0160】
本発明2(IE2)
重合は、上述のとおり、3つの反応帯を有する管型反応器内で行われた。ピーク温度を、わずかに調製し、メルトインデックスを2.0に下げた。この本発明の実施例では、CTA(アセトン)を構成するストリーム#7および#6の重量比は、1.1であった。さらなる情報は、表2および3に記載される。
【0161】
本発明3(IE3)
重合は、上述のとおり、反応器前方供給流4に送られた主要なコンプレッサーの排出流(2と3)両方を除外して、3つの反応帯を有する管型反応器内で行われた。3つの反応帯に対する、エチレンに富む供給流の重量比(9:20:21)は、1.00:0.75:0.25であった。前記ポリマーは、1.5g/10分のメルトインデックスで作製された。
【0162】
R2およびR3の値は、それぞれ無限大(∞)に近づいた。この本発明の実施例では、CTAを構成するストリーム#7および#6の重量比は、0.09であった。さらなる情報は、表2および3に記載される。前記CTAは、プロピオンアルデヒド(PA)であった。
【0163】
本発明4(IE4)
重合は、上述のとおり、反応器前方供給流4に送られた主要なコンプレッサーの排出流(2と3)両方を除外して、3つの反応帯を有する管型反応器内で行われた。3つの反応帯に対する、エチレンに富む供給流の重量比(9:20:21)は、1.00:0:0であった。前記ポリマーは、0.58g/10分のメルトインデックスで作製された。
【0164】
R2およびR3の値は、それぞれ無限大(∞)に近づいた。この本発明の実施例では、CTAを構成するストリーム#7および#6の重量比は、2であった。さらなる情報は、表2および3に記載される。前記CTAは、プロピオンアルデヒド(PA)であった。
【0165】
本発明5(IE5)
重合は、上述のとおり、反応器前方供給流4に送られた主要なコンプレッサーの排出流(2と3)両方を除外して、3つの反応帯を有する管型反応器内で行われた。3つの反応帯に対する、エチレンに富む供給流の重量比(9:20:21)は、1.00:0:0であった。前記ポリマーは、0.37g/10分のメルトインデックスで作製された。
【0166】
R2およびR3の値は、それぞれ無限大(∞)に近づいた。この本発明の実施例では、CTAを構成するストリーム#7および#6の重量比は、1.35であった。さらなる情報は、表2および3に記載される。前記CTAは、プロピオンアルデヒド(PA)であった。
【0167】
要約すれば、通常低い、またはより低い溶融強度成分とともに、押出コーティング組成物のブレンド成分として好ましく、高い溶融強度を有する管状樹脂を実現するためには、重合条件を注意深く選択してバランスを取る必要がある。重要な工程パラメータには、最大重合温度、注入口反応器圧、変換レベル、および、連鎖移動剤の種類、レベル、および分布が含まれる。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
【表3】
【0171】
ポリマーの性質を下記の表4および5に示した。
【0172】
【表4】
【0173】
【表5】
【0174】
表6は、13C NMRで測定した1000C当たりの分岐を示す。これらのLDPEポリマーには、アミルまたは、C5分岐が含まれ、これらはDow Chemical社で生産されるAFFINITY Polyolefin Plastomers、またはDOWLEX Polyethylene Resinsなどのチーグラーナッタ触媒を用いたLLDPEなどの実質的な直鎖ポリエチレンには含まれない。表6に示す本発明の各LDPEは、1000炭素原子あたり2.0と同等、またはそれより大きいアミル基(分岐)を含む。表7は、H NMRによる不飽和度を示す。
【0175】
【表6】
【0176】
【表7】
【0177】
B.ブレンド組成物
表8に、本発明の組成物に使用される第2エチレン系ポリマーのいくつかの例を列挙する。
【0178】
【表8】
【0179】
ブレンド成分を「18mm」の二軸押出機を使って配合した(マイクロ−18)。二軸押出機はLeistritz社製の機械で、HAAKEソフトウェアにより制御した。前記押出機は、5つの加熱ゾーン、供給ゾーン、および「3mm」のストランドダイを有する。残りのゾーン1−5およびダイを電気的に加熱し、120、135、150、190、190、および190℃までそれぞれ空冷する一方、供給ゾーンは、川の水で冷却した。ペレット化したポリマー成分をビニール袋で合わせ、手でかき回し混ぜ合わせた。押出機を予熱した後、ロードセルおよびダイ圧トランスデューサーを較正した。押出機の駆動装置は、ギア伝達による250rpmのスクリュー速度によって、200rpmで稼働させた。次いで、ペレットオーガを使って、二軸オーガ K−Tronフィーダー(モデル#K2VT20)を通じて、乾燥したブレンドを押出機に供給した(6〜8lbs/時間)。フィーダーのホッパーに窒素を充填し、供給コーンから押出機をホイルで覆い、空気の侵入を最小化し、ポリマーの酸素による劣化を可能な限り最小化した。得られたストランドを水中急冷し、エアナイフで乾燥させ、次にConairチョッパーでペレット化した。
【0180】
第1のブレンド一式の組成物をEO1と、LDPE770GまたはIE3のいずれかをさまざまなブレンド比で用いて作製した。表9は、これらのブレンドのレオロジー的性質および分子量の性質を示す。LDPE770Gを、実際に、EO1のような第2の成分とともに押出コーティングでブレンド成分として使用した。IE3を含むブレンドは、重量比70/30で、LDPE770Gを含む比較例と比較して、より高い溶融強度を有するが、より高いG’値をも有することが判明した(70/30重量比)。さらに、本発明のブレンドの溶融強度(MS)、および結果としてG’値(貯蔵弾性率)は、ブレンド比を変化させることによりさらに最適化され得る。
【0181】
【表9】
【0182】
第2のブレンド一式を、LDPE770GまたはIE3のいずれかをさまざまなブレンド比で用いて、LDPE751Aを作製した。表10は、ブレンドのレオロジー的性質および分子量の性質を示す。IE3を含むブレンドは、重量比80/20で、LDPE770Gを含む比較例と比較して、より高い溶融強度を有することが判明した(80/20)。これらのブレンドは、約0.923g/ccの密度を有しており、それらのI2および溶融強度(MS)を考慮すると、コーティングへの適用は好ましい。しかしながら、本発明のブレンドは、低いブレンド比で所望の溶融強度に達する(本発明IE3より少ない)。さらに、本発明のブレンドの溶融強度は、ブレンド比を変化させることによりさらに最適化され得る。
【0183】
【表10】
【0184】
第3のブレンド一式をLD410E、LD450E、またはIE3をさまざまなブレンド比で用いてEO2作製した。表11は、ブレンドのレオロジー的性質および分子量の性質を示す。IE3を含むブレンドは、同様のメルトインデックス(I2)であるLD410EまたはLD450Eを含むブレンドよりも、大幅に高い溶融強度(MS)値およびG’値を示すことが判明した。LD450Eは、高い溶融強度が必要とされる、発泡樹脂製品へ適用するために設計された樹脂である。ここで、IE3を含むブレンドは、IE3を含まないブレンド組成物よりも大幅に高い溶融強度(MS)値およびG’値を有していた。また、IE3を含むブレンド組成物は、より高いメルトインデックスであるにもかからず、LD410EおよびLD450Eをそれぞれ40wt%含む各ブレンド組成物と比較して、IE3を20wt%のみを含むブレンド組成物は、より高い溶融強度(MS)および、より高いG’値を達成した。これらの予想外の結果により、少ないLDPEを必要とし、改善された溶融強度(MS)値およびG’値を有し、および第2のポリマー成分と関連する良好な機械的特性およびシール性にもつながる新しいコーティング組成物を提供する。
【0185】
【表11】
【0186】
4番目のブレンド一式を、AMPLIFY EA 103とともにさまざまなブレンド比で、IE3を用いて作製した。表12は、これらのブレンドのレオロジー的性質および分子量の性質を示す。IE3を含むブレンドは、押出コーティングに好ましい溶融強度(MS)値を示すことが判明した。第2のブレンド成分として、AMPLIFY EA 103を使用することにより、エチルアクリレートの極性官能基は、ブレンド組成物に組み込まれた。
【0187】
【表12】
【0188】
5番目のブレンド一式を、ASPUN 6835Aとともにさまざまなブレンド比で、IE3を用いて作製した。表13は、これらのブレンドのレオロジー的性質および分子量の性質を示す。IE3を含むブレンドは、ブレンド組成物の高い密度において、押出コーティングに好ましい溶融強度(MS)値およびG’値を示すことが判明した。
【0189】
【表13】
【0190】
6番目のブレンド一式の組成物は、EO3と、LDPE662iまたはIE4またはIE5のいずれかを使って、EO3を85%およびLDPEを15%のブレンド比で作製した。表14は、これらのブレンドのレオロジー的性質および分子量の性質を示す。LDPE662iを、実際に、EO3のような第2の成分とともに押出コーティングでブレンド成分として使用した。IE4またはIE5を含むブレンドは、LDPE662iを含む比較例と比較して、同様またはより高い溶融強度を有することが判明した。
【0191】
【表14】
【0192】
C.押出コーティング
以下の温度設定:押出機のバレル−200/250/280/290/290/290℃;フランジ/アダプター/配管−290℃(6ゾーン);およびダイ−290℃×10ゾーン、で単層の押出コーティングを行った。
【0193】
25g/mの量(コーティング重量)で、70g/mのクラフト紙の上に、直径に対する長さ(L/D)の比32で、「3.5インチ」直径のスクリューに、ブレンド組成物を押し出した。アダプターに設置した熱電対によって融解圧および融解温度を記録した。名目上0.6mmの金型ギャップに設定されたDavis Standard/Er−We−Paの柔軟なリップエッジビードを減らした金型、Series510Aを介して融解物を送達した。溶融延伸および移動する基材への融解物の縦の適用は、加圧ロールに向かって250mmのエアギャップと15mmのニップオフセットで実施した。艶消し面仕上げの「水冷」チルドロールに接触しているゴム表面層を有する加圧ロールの接触点である、ラミネーターニップにて、融解物を移動する基材に塗布し、15℃〜20℃の温度を維持した。エアギャップは、ダイリップおよびラミネーターニップの間の縦の距離により定義される。ニップオフセットは、ラミネーターニップに対する金型ニップの位置の横のオフセットとして定義した。質量式混合装置Maguire WSB−240Tを使って乾燥したブレンドを調製し(室温で)、押出前に、それぞれのブレンド成分の重量パーセントを管理可能にしている。
【0194】
固定されたさまざまなライン速度(100m/分および300m/分)は、コーティング重量15g/mおよび25g/mで、ネックインを決定するために使用した。ドローダウンは、一定のポリマー生産量で、ライン速度を加速させた場合、ウェブの破損またウェブの欠陥/エッジの不整合が発生しない、達成可能な最大ライン速度として定義される。一定のポリマー生産量は、100m/分のライン速度にて稼働させた場合の15g/mのコーティング重量により設定される。ネックインとは、ウェブの最終幅と固定したライン速度でのダイの幅との差である。より小さいネックインおよびより高いドローダウンは、双方とも望ましい。より小さい「ネックイン」はウェブの良好な製品の寸法安定性を示し、それは同様に基材へのコーティングの良好な制御を提供する。高いドローダウンは高いライン速度可能性を示し、それは同様に良好な生産性を意味する。EO1とLDPE770GまたはIE3のブレンドのネックインとドローダウンの結果は、表15に示される。
【0195】
微量成分として、30wt%のLDPE770G(オートクレーブ)に基づくブレンド組成物は、低いネックインを有しており、押出コーティングの応用に適用されていた。通常、管型LDPEで、小さなネックインを達成することは難しい。IE3は、EO1を伴っても、伴わなくても、770Gと同様の溶融強度(MS)を有することを示した。IE3は、AC系のブレンドのベンチマークとして(EO1/770Gブレンド)、同様または改善されたコーティング性能につながるということが、発見された。本発明の組成物は、AC系の実施例(EO1/770Gブレンド)と比べて小さなMw(abs)でも、良好な押出しコーティングを提供する。本発明の組成物は、オートクレーブ工程と比較すると、改善された変換レベルかつ低いエネルギーの投入で、一連の管型反応器で作られ得る。さらに、本発明の組成物により、高い透明性のフィルムおよび押出コーティングの生産が可能になる。高い透明性を持つフィルムに適用するには、ゲルレベルを極めて低くする必要がある。低いゲルレベルを達成するには、特に、低いメルトインデックスにおけるポリマーの形成において、架橋剤、および/または架橋能を持つコモノマーは通常望ましくない。
【0196】
【表15】
【0197】
EO2およびLD410EまたはLD450Eを含む比較組成物は、溶融強度(MS)が低いため、良好なコーティングウェブとして製造できず、過剰なネックインにつながり得る。表16は、良好なネックインデータと優れたドローダウン値を示す、EO2をIE3とブレンドした場合のコーティングの結果を示している。
【0198】
【表16】
【0199】
図6に示すとおり、IE3を含むブレンド組成物は、LDPE770Gを含むブレンド組成物と比較して、大幅に良好(高い)なドローダウンを有する。ネックイン性能は、ブレンドおよび特定のポリマー成分中のポリマー成分の重量比による。IE3を含むブレンド組成物は、同じ重量比で、匹敵するネックイン値を有する。加えて、ネックインの値は、より良いドローダウン性能を維持する一方、ポリマー成分の重量比を調整することによりさらに改善し得る。
【0200】
Black−Clawson押出コーティング/ラミネーションラインで、さらなる単層押出コーティングを行った。押出機には、150馬力および3.5インチの直径のスクリューを、約90rpmのスクリュー速度で使用して、ポリマー生産量114kg/時間(250lb/時間)の結果となった。押出機の各反応帯の温度は、それぞれ、177、232、288、および316℃(350,450,550および600°F)であり、目標溶融温度は、320℃である。名目上のダイ幅、76cm(30インチ)を開放側のダイ幅が61cm(24インチ)になるようディッケル調整した。クラフト紙の幅は、61cmであった(24インチ)。15cmのエアギャップを134m/分(440fpm)および268m/分(880fpm)のライン速度で用いて、それぞれ25ミクロン(1ミル)および13ミクロン(0.5ミル)のコーティングとなった。ネックインおよびドローダウンを、上記のコーティング法と同様の方法で測定した。最大速度は、457m/分(1500fpm)であった。ペレットを量り分けて、さまざまな成分のブレンドが生産され、均一なブレンドが得られるまで、試料を回転してかき混ぜた(各試料、約30分間)。EO3とLDPE662iまたはIE4またはIE5のブレンドのネックインとドローダウンの結果を表17に示す。
【0201】
微量成分として、15wt%のLDPE662i(オートクレーブ)に基づくブレンド組成物は、低いネックインを有していた。通常、管型LDPEで、低いネックインを達成することはすることは難しい。IE4およびIE5は、EO3を伴っても、伴わなくても、662iと同様の溶融強度(MS)を有することを示した。高いメルトインデックスのブレンド、低レベルの管型LDPEを有する直鎖低密度エチレン‐オクテン共重合体(例えば、IE5)は、AC系のブレンド(EO3/662iブレンド)のベンチマークに匹敵する良好なコーティング性能につながることが発見された。当業者は、さらにブレンド比を調節することにより、ネックイン/ドローダウンバランスを最適化することができる。特に、ネックインの改善は、好ましいLDPE成分の量を徐々に増加させることによって、達成され得る。
【0202】
【表17】
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図2
図3
図4
図5
図6