(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の態様における感光性樹脂組成物]
第1の態様において、感光性樹脂組成物は、カルボキシル基含有樹脂と、タルクおよびマイカの少なくともいずれか一方と、イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレートと、エポキシ樹脂と、光重合開始剤とを少なくとも含む。
また、感光性樹脂組成物は、タルクおよびマイカ以外の無機充填剤(以下、その他の無機充填剤という。)、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレート、着色剤および有機溶剤の少なくともいずれか1種を含むことができる。
以下、各構成成分について詳細に説明する。
【0022】
[(1)カルボキシル基含有樹脂]
カルボキシル基含有樹脂としては、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。感光性樹脂組成物が、カルボキシル基含有樹脂を含むことにより、感光性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。
特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。
エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、後述するイソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートを併用することによって、組成物を感光性とする。
カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0023】
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
【0024】
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0025】
(3)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0026】
(4)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0027】
(5)前記(2)または(3)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0028】
(6)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0029】
(7)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0030】
(8)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0031】
(9)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p−ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0032】
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0033】
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0034】
(12)前記(1)〜(11)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0035】
カルボキシル基含有樹脂の酸価は、40〜150mgKOH/gであることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の酸価が40mgKOH/g以上とすることにより、アルカリ現像が良好になる。また、酸価を150mgKOH/gを以下とすることで、良好なレジストパターンの描画をし易くできる。より好ましくは、50〜130mgKOH/gである。
【0036】
カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000であることが好ましい。重量平均分子量が2,000以上とすることにより、タックフリー性能や解像度を向上させることができる。また、重量平均分子量が150,000以下とすることで、現像性や貯蔵安定性を向上させることができる。より好ましくは、5,000〜100,000である。
【0037】
カルボキシル基含有樹脂の配合量は、感光性樹脂組成物中において、固形分換算で、20〜60質量%であることが好ましい。20質量%以上とすることにより塗膜強度を向上させることができる。また60質量%以下とすることで粘性が適当となり印刷性が向上する。より好ましくは、30〜50質量%である。
【0038】
[(2)タルクおよびマイカ]
感光性樹脂組成物はタルクおよびマイカの少なくともいずれか一方を含み、これにより、感光性樹脂組成物の密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性を向上することができる。
【0039】
タルクの平均粒径(D50)は、0.1μm〜100μmであることが好ましく、1μm〜50μmであることがより好ましい。上記の粒径の範囲内にすることにより、感光性樹脂組成物中のタルクの分散性をより向上させることができる。
ここで、D50とは、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折散乱式粒度分布測定法を用いて得られる体積累積50%における粒径のことである。より具体的には、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置により、微粒子の粒度分布を体積基準で作製し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、微粒子を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折式粒度分布測定装置としては、株式会社堀場製作所製LA−500等を使用することができる。
【0040】
感光性樹脂組成物におけるタルクの配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
【0041】
本発明において使用されるマイカは、膨潤性のものであっても、非膨潤性のものであってもよく、また、合成のものであっても、非合成のものであってもよいが、種々のマイカの中でも、フッ素含有マイカを使用することが好ましい。フッ素含有マイカを使用することにより、感光性樹脂組成物の耐熱性および冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
【0042】
マイカの平均粒径(D50)は、0.1μm〜500μmであることが好ましく、1μm〜300μmであることがより好ましい。上記の粒径の範囲内にすることにより、感光性樹脂組成物中のマイカの分散性をより向上させることができる。
【0043】
感光性樹脂組成物におけるマイカの配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の耐熱性、密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
【0044】
[(3)イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレート]
感光性樹脂組成物はイソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレートを含み、これにより、感光性樹脂組成物の耐熱性、密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性を向上することができる。
【0045】
使用することができるイソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレートおよびこれらのカプロラクトン変性体が挙げられる。
【0046】
感光性樹脂組成物におけるイソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレートの配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、5〜40質量部であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の耐熱性、密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
【0047】
[(4)エポキシ樹脂]
使用することができるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
市販されるエポキシ樹脂としては、例えば、三菱ケミカル株式会社製のjER828、806、807、YX−8000、8034、jER834、新日鐵住金株式会社製のYD−128、YDF−170、ZX−1059、ST−3000、DIC株式会社製の830、835、840、850、N−730A、N695および日本化薬株式会社製のRE−306等が挙げられる。
【0049】
感光性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂のエポキシ基の当量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基の当量1に対して0.3〜3.0であることが好ましい。0.3当量以上とすることで、硬化被膜におけるカルボキシル基の残存を防止して、良好な耐熱性や耐アルカリ性、電気絶縁性等を得ることができる。一方、上記配合量を3.0当量以下とすることで、低分子量の環状(チオ)エーテル基が乾燥塗膜に残存することを防止して、硬化被膜の強度等を良好に確保することができる。
【0050】
[(5)光重合開始剤]
使用することができる光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤:1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤;ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2−メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル等のベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、p−メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;アントラキノン、クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン系光重合開始剤;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール系光重合開始剤;エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p−ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル系光重合開始剤;1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(2−(1−ピル−1−イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン系光重合開始剤;等を挙げることができる。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
市販されるα−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 379等が挙げられる。
市販されるアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、IGM Resins社製のOmnirad TPO、Omnirad 819等が挙げられる。
【0052】
また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる。
【0054】
上記式中、Xは、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)を表し、Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、ナフチル基(炭素数1〜17のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1〜8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換されている)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、Arは、炭素数1〜10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5−ピロール−ジイル、4,4’−スチルベン−ジイル、4,2’−スチレン−ジイルを表し、nは0または1の整数である。
【0055】
特に上記式中、X、Yが、それぞれ、メチル基またはエチル基であり、Zがメチルまたはフェニルであり、nが0であり、Arが、フェニレン、ナフチレン、チオフェンまたはチエニレンであることが好ましい。
【0056】
上記した光重合開始剤以外にも、ベンゾイン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、3級アミン化合物、およびキサントン化合物等を光重合開始剤として使用するができる。
しかしながら、これらは、単独で光重合開始剤として、使用するより、上記した光重合開始剤と併用して、光重合開始助剤または増感剤として使用することが好ましい。
上記した中でも、深部硬化性という観点から、チオキサントン化合物および3級アミン化合物が好ましく、チオキサントン化合物がより好ましい。
また、上記化合物2種以上を併用してもよい。
【0057】
感光性樹脂組成物における光重合開始剤の配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。これにより、深部の硬化性を向上することができる。
また、感光性樹脂組成物が、上記ベンゾイン化合物等を光重合開始助剤等として含む場合、その配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。
これにより、深部の硬化性を向上することができる。
【0058】
[(6)その他の無機充填剤]
本発明による感光性樹脂組成物は、タルクおよびマイカ以外のその他の無機充填剤を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
【0059】
その他の無機充填剤としては、無定形シリカ、結晶性シリカ、溶融シリカおよび球状シリカ等のケイ素酸化物、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、フライアッシュ、脱水汚泥、天然シリカ、合成シリカ、カオリン、クレー、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ウォラストナイト、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウム、セピオライト、ゾノライト、窒化ホウ素、ホウ酸アルミニウム、シリカバルーン、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカ、製鉄スラグ、銅、鉄、酸化鉄、センダスト、アルニコ磁石、各種フェライト等の磁性粉、セメント、ガラス粉末、ノイブルグ珪土、珪藻土、三酸化アンチモン、マグネシウムオキシサルフェイト、水和アルミニウム、水和石膏、ミョウバンおよび硫酸バリウム等が挙げられる。その他の無機充填剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記した中でも、ケイ素酸化物および酸化アルミニウムの少なくともいずれか一方を含むことが好ましく、さらに、球状シリカおよび酸化アルミニウムの2種とを組み合わせて使用することで、感光性樹脂組成物の耐熱性および冷熱サイクル耐性が顕著に向上することからより好ましい。
【0060】
その他の無機充填剤の平均粒径(D50)は、0.1〜100μmであることが好ましく、0.1〜50μmであることがより好ましい。
【0061】
感光性樹脂組成物におけるその他の無機充填剤の配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜500質量部であることが好ましく、10〜300質量部であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性をより向上できる。
また、感光性樹脂組成物の密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性の観点から、感光性樹脂組成物における硫酸バリウムの配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、含まないことが特に好ましい。
【0062】
感光性樹脂組成物が、球状シリカおよび酸化アルミニウムを含む場合、タルクおよびマイカとの含有量比(タルクおよびマイカの含有量の和:球状シリカ:酸化アルミニウム)は、質量基準で、1:0.1〜99:0.1〜99であることが好ましく、1:0.1〜9:0.1〜9であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の耐熱性および冷熱サイクル耐性をより向上できる。
【0063】
[(7)イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレート]
本発明による感光性樹脂組成物は、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の耐熱性および冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
【0064】
使用することができるイソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートおよびこれらのカプロラクトン変性体が挙げられる。
イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
感光性樹脂組成物におけるイソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレートの配合量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の耐熱性および冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
【0066】
[(8)着色剤]
感光性樹脂組成物には、着色剤が含まれていてもよい。着色剤としては、赤、青、緑、黄等の公知の着色剤を使用することができ、顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
【0067】
赤色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等があり、具体的には以下のようなカラ−インデックス(C.I.;ザ ソサイエティ オブ ダイヤーズ アンド カラリスツ(The Society of Dyersand Colourists)発行)番号が付されているものが挙げられる。
【0068】
モノアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 1,2,3,4,5,6,8,9,12,14,15,16,17,21,22,23,31,32,112,114,146,147,151,170,184,187,188,193,210,245,253,258,266,267,268,269等が挙げられる。また、ジスアゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 37,38,41等が挙げられる。また、モノアゾレーキ系赤色着色剤としては、Pigment Red 48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,52:2,53:1,53:2,57:1,58:4,63:1,63:2,64:1,68等が挙げられる。また、ベンズイミダゾロン系赤色着色剤としては、Pigment Red 171,175,176、185、208等が挙げられる。また、ぺリレン系赤色着色剤としては、Solvent Red 135,179,Pigment Red 123,149,166,178,179,190,194,224等が挙げられる。また、ジケトピロロピロール系赤色着色剤としては、Pigment Red 254,255,264,270,272等が挙げられる。また、縮合アゾ系赤色着色剤としては、Pigment Red 220,144,166,214,220,221,242等が挙げられる。また、アントラキノン系赤色着色剤としては、Pigment Red 168,177,216、Solvent Red 149,150,52,207等が挙げられる。
また、キナクリドン系赤色着色剤としては、Pigment Red 122,202,206,207,209等が挙げられる。
【0069】
青色着色剤としてはフタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられ、例えば、Pigment Blue 15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,60。染料系としては、Solvent Blue 35,63,68,70,83,87,94,97,122,136,67,70等を使用することができる。上記以外にも、金属置換若しくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。
【0070】
黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が挙げられ、例えば、アントラキノン系黄色着色剤としては、Solvent Yellow 163,Pigment Yellow 24,108,193,147,199,202等が挙げられる。イソインドリノン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 110,109,139,179,185等が挙げられる。縮合アゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow
93,94,95,128,155,166,180等が挙げられる。ベンズイミダゾロン系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 120,151,154,156,175,181等が挙げられる。また、モノアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,9,10,12,61,62,62:1,65,73,74,75,97,100,104,105,111,116,167,168,169,182,183等が挙げられる。また、ジスアゾ系黄色着色剤としては、Pigment Yellow 12,13,14,16,17,55,63,81,83,87,126,127,152,170,172,174,176,188,198等が挙げられる。
【0071】
その他、紫、オレンジ、茶色、黒、白等の着色剤を加えてもよい。具体的には、Pigment Black 1,6,7,8,9,10,11,12,13,18,20,25,26,28,29,30,31,32、Pigment Violet 19、23、29、32、36、38、42、Solvent Violet13,36、C.I.Pigment Orange 1,5,13,14,16,17,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73、PigmentBrown 23,25,カーボンブラック、酸化チタン等が挙げられる。
【0072】
感光性樹脂組成物における着色剤の含有量は特に限定されるものではないが、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜3質量部とすることが好ましい。但し、酸化チタンなどの白色着色剤の含有量は、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1〜200質量部とすることが好ましい。
【0073】
[(9)有機溶剤]
本発明による感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含むことができ、これにより、粘度を調整することができる。
使用できる有機溶剤としては、特に制限はないが、例えば、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤等が挙げることができる。より具体的には、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(カルビトールアセテート)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤等である。このような有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
【0074】
有機溶剤の揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用い乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0075】
感光性樹脂組成物における有機溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物を構成する材料に応じ適宜変更することが好ましいが、例えば、固形分換算で、カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して10〜1000質量部とすることができる。
【0076】
[第2の態様における感光性樹脂組成物]
第2の態様において、感光性樹脂組成物は、第1の組成物と、第2の組成物と、からなる2液型感光性樹脂組成物である。本発明において「2液型感光性樹脂組成物」とは、第1の組成物と、第2の組成物との組み合わせ、すなわち、これら組成物の混合前のものを指す。
このように、感光性樹脂組成物を2液型とすることにより、感光性樹脂組成物の密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性をより一層良好とすることができる。
なお、2液型感光性樹脂組成物は、その使用時は、第1の組成物と第2の組成物とを混合し、均一になるまで撹拌してから用いることが好ましい。
【0077】
[第1の組成物]
第1の組成物は、カルボキシル基含有樹脂および光重合開始剤を少なくとも含む。
また、第1の組成物は、タルクおよびマイカの少なくともいずれか一方を含むことが好ましい。第1の組成物がタルクおよびマイカの少なくともいずれか一方を含むことにより、感光性樹脂組成物の冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
また、第1の組成物は、イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことができる。
また、第1の組成物は、その他の無機充填剤を含むことが好ましい。第1の組成物がその他の無機充填剤を含むことにより、感光性樹脂組成物の冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
また、第1の組成物は、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。第1の組成物がイソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことにより、感光性樹脂組成物の耐熱性をより向上できる。
さらに、第1の組成物は、着色剤および有機溶剤の少なくともいずれか1種を含むことができる。
これらの構成材料の具体例は、上記した通りであり、またその含有量は、第1の組成物と第2の組成物を混合した際に、上記した含有量となることが好ましい。
【0078】
[第2の組成物]
第2の組成物は、エポキシ樹脂を少なくとも含む。
また、第2の組成物は、タルクおよびマイクの少なくともいずれか一方を含むことができる。
また、第2の組成物は、イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。第2の組成物が、イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことにより、感光性樹脂組成物の冷熱サイクル耐性をより向上することができる。
また、第2の組成物は、その他の無機充填剤を含むことができる。
また、第2の組成物は、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレートを含むことができる。
さらに、第2の組成物は、着色剤および有機溶剤の少なくともいずれか1種を含むことができる。
これらの構成材料の具体例は、上記した通りであり、またその含有量は、第1の組成物と第2の組成物を混合した際に、上記した含有量となることが好ましい。
【0079】
無機充填剤が第1の組成物に、イソシアヌル環を有する、(メタ)アクリレートは第2の組成物に含まれることが好ましい理由としては、必ずしも明らかではないが、以下のとおり、推測される。
すなわち、エポキシ樹脂とイソシアヌル環を有する、(メタ)アクリレートの相溶性が良好で十分にイソシアヌル環を有する、(メタ)アクリレートの分散がなされていると考えられる。一方、無機充填剤はカルボキシル基含有樹脂を含む組成物に含むことで、有機成分との相溶性においてイソシアヌル環を含む(メタ)アクリレートと比較するとカルボキシル基含有樹脂の方が良く、硬化したときに十分に分散されているためと考えられる。しかしながら、あくまで推測の域であり、必ずしもこの限りではない。
【0080】
[用途]
本発明による感光性樹脂組成物は、プリント配線板において、特に硬化膜を形成するために好適に使用され、ソルダーレジスト層形成、層間絶縁材、マーキングインキ、カバーレイ、ソルダーダム、プリント配線板のスルーホールやビアホールの貫通孔や凹部の穴部を穴埋めするための充填材として使用することができる。これらのなかでも、ソルダーレジスト層形成用として好適に使用することができる。
【0081】
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは、フィルムと、上記感光性樹脂組成物または混合、撹拌した上記2液型感光性樹脂組成物により形成された樹脂層を備える。
また、ドライフィルムは、樹脂層上に保護フィルムを備えることができる。
【0082】
フィルムおよび保護フィルムの材質は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、銅箔、アルミニウム箔等を使用することができる。これらフィルムの表面には、コロナ処理等の表面処理が施されていることが好ましい。これにより、樹脂層との密着性を向上することができる。
【0083】
フィルムおよび保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5μm〜50μmとすることができる。
【0084】
ドライフィルムは、上記フィルム上に、上記感光性樹脂組成物または混合、撹拌した上記2液型感光性樹脂組成物をスクリーン印刷法等の従来公知の方法により、塗布し、乾燥させることにより作製することができる。また、乾燥方法も特に限定されるものではなく、熱風循環式乾燥炉等を使用することにより行うことができる。
【0085】
[プリント配線板]
本発明によるプリント配線板は、上記感光性樹脂組成物または混合、撹拌した上記2液型感光性樹脂組成物または上記ドライフィルムの樹脂層により形成された硬化物を有する。
【0086】
本発明によるプリント配線板としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物を、上記有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、60〜100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させることで、タックフリーの樹脂層を形成する。また、ドライフィルムの場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、キャリアフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成する。
【0087】
上記基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル,ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR−4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
【0088】
本発明の硬化性樹脂組成物を塗布した後に行う揮発乾燥は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
【0089】
基材上に樹脂層を形成後、所定のパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光し、未露光部を希アルカリ水溶液(例えば、0.3〜3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像して硬化物のパターンを形成する。さらに、硬化物に活性エネルギー線を照射後に加熱硬化(例えば、100〜220℃)、もしくは加熱硬化後に活性エネルギー線を照射、または、加熱硬化のみで最終仕上げ硬化(本硬化) させることにより、密着性、硬度等の諸特性に優れた硬化膜を形成する。
【0090】
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350〜450nmの範囲で紫外線を照射する装置であればよく、さらに、直接描画装置(例えば、コンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)も用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350〜450nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には10〜1000mJ/cm
2、好ましくは20〜800mJ/cm
2の範囲内とすることができる。
【0091】
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
【実施例】
【0092】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0093】
<合成例:カルボキシル基含有樹脂ワニスAの調製>
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、EOCN−104S、エポキシ当量220g/eq)220質量部(1当量)、カルビトールアセテート140.1質量部、およびソルベントナフサ60.3質量部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72質量部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5質量部、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱し、約12時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸80.6質量部(0.53モル)を加え、90℃に加熱し、約6時間反応させ、固形分酸価が85mgKOH/g、固形分濃度65.8%の樹脂溶液を得た。以下、カルボキシル基含有樹脂ワニスAと称する。
【0094】
<合成例:カルボキシル基含有樹脂ワニスBの調製>
下記一般式(1)におけるXがCH
2、平均の重合度nが6.2であるビスフェノールF型エポキシ樹脂380質量部と、エピクロルヒドリン925質量部とを、ジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH60.9質量部(1.5モル)を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。
【0095】
【化2】
【0096】
反応終了後、水250質量部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物を、メチルイソブチルケトン750質量部に溶解させ、更に30%NaOH10質量部を加え、70℃で1時間反応させた。
反応終了後、水200質量部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。
得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールF型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310質量部およびカルビトールアセテート282質量部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。
得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72質量部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5質量部、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140質量部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、固形分酸価が100mgKOH/gになるまで反応を行い、固形分濃度65%の樹脂溶液を得た。以下、カルボキシル基含有樹脂ワニスBと称する。
【0097】
<合成例:カルボキシル基含有樹脂ワニスCの調製>
上記一般式(1)におけるXがC(CH
3)
2、平均の重合度nが6.2であるビスフェノールA型エポキシ樹脂380質量部と、エピクロルヒドリン925質量部とを、ジメチルスルホキシド462.5質量部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH60.9質量部(1.5モル)を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。
反応終了後、水250質量部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750質量部に溶解させ、更に30%NaOH10質量部を加え、70℃で1時間反応させた。
反応終了後、水200質量部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。
得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールF型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310質量部およびカルビトールアセテート282質量部を、フラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。
得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72質量部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5質量部、トリフェニルホスフィン2質量部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。
これにテトラヒドロ無水フタル酸140質量部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、固形分酸価が100mgKOH/gになるまで反応を行い、固形分濃度65%の樹脂溶液を得た。以下、カルボキシル基含有樹脂ワニスCと称する。
【0098】
<合成例:カルボキシル基含有樹脂ワニスDの調製>
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管および撹拌機を取り付けた四ツ口フラスコに、メタクリル酸42質量部、メチルメタクリレート43質量部、スチレン35質量部、ベンジルアクリレート35質量部、カルビトールアセテート100質量部、ラウリルメルカプタン0.5質量部およびアゾビスイソブチロニトリル4質量部を加え、窒素気流下で75℃・5時間加熱して重合反応を進行させて、共重合体溶液(固形分濃度50質量部)を得た。
これに、ハイドロキノン0.05質量部、グリシジルメタクリレート23質量部およびジメチルベンジルアミン2.0質量部を加え、80℃で24時間付加反応を行った後、カルビトールアセテート35質量部を加えて、固形分濃度50質量%の芳香環を有する共重合樹脂溶液を得た。以下、カルボキシル基含有樹脂ワニスDと称する。
【0099】
実施例1−1
<感光性樹脂組成物の調製>
上記のようにして得られたカルボキシル基含有樹脂ワニスAと、富士タルク株式会社製LMP−100タルクと、イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A9300)と、熱硬化性成分であるエポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、N−695)およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、RE−306)と、光重合開始剤として、IGM Resins社製Omnirad 907、日本化薬株式会社製DETX−Sおよび大同化成工業株式会社製EABと、その他の無機充填剤として、結晶性シリカ(Unimin Corporation社製、イムシルA8)と、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、DPHA)と、着色剤として、DIC株式会社製FASTOGEN GREEN Sと、有機溶剤として、カルビトールアセテートおよび石油系溶剤(昭和化学工業株式会社製、ソルベッソ150)と、を下記表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0100】
実施例1−2〜1−12および比較例1−1〜1−3
感光性樹脂組成物の組成を表1に記載の通り変更した以外は、実施例1−1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
【0101】
【表1】
【0102】
なお、表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
(1)カルボキシル基含有樹脂
・ワニスA〜D(いずれもワニスとしての配合量)
(2)タルク
・LMP−100タルク:富士タルク株式会社製
(3)イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレート
・A9300:新中村化学工業株式会社製、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート
・A9300−CL:新中村化学工業株式会社製、カプロラクトン変性エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート
・M−215:東亜合成株式会社製、エトキシ化イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート
(4)エポキシ樹脂
・N695:DIC株式会社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
・RE−306:日本化薬株式会社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂
・jER834:三菱ケミカル株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・TEPIC−S:日産化学工業株式会社製、トリアジン環エポキシ樹脂
(5)光重合開始剤
・Omnirad 907:IGM Resins社製、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン
・Omnirad TPO:IGM Resins社製、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド
・カヤキュア DETX−S:日本化薬株式会社製、2,4−ジエチルチオキサントン
・EAB:大同化成工業株式会社製、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン
(6)その他の無機充填剤
・イムシルA8:Unimin Corporation社製、結晶性シリカ
・アドマファインSO−C5:株式会社アドマテックス製、球状シリカ
・A−26:住友化学株式会社製、アルミナ
・B−30:堺化学工業株式会社製、硫酸バリウム
(7)イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレート
・カヤキュア DPHA:日本化薬株式会社製、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート
・M−350:東亜合成株式会社製、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
(8)着色剤
・FASTOGEN GREEN S:DIC株式会社製
(9)有機溶剤
・ソルベッソ150:昭和化学工業株式会社製
【0103】
実施例2−1
<2液型感光性樹脂組成物の調製>
上記のようにして得られたカルボキシル基含有樹脂ワニスAと、富士タルク株式会社製LMP−100タルクと、光重合開始剤として、IGM Resins社製Omnirad 907、日本化薬株式会社製DETX−Sおよび大同化成工業株式会社製EABと、その他の無機充填剤として、結晶性シリカ(Unimin Corporation社製、イムシルA8)と、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、DPHA)と、着色剤として、DIC株式会社製FASTOGEN GREEN Sと、有機溶剤として、カルビトールアセテートおよび石油系溶剤(昭和化学工業株式会社製、ソルベッソ150)と、を下記表2に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、第1の組成物を調製した。
イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A9300)と、熱硬化性成分であるエポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製、N−695)およびフェノールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、RE−306)と、有機溶剤として、カルビトールアセテートおよび石油系溶剤(昭和化学工業株式会社製、ソルベッソ150)と、を下記表2に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、第2の組成物を調製した。第1の組成物と、第2の組成物とからなる2液型感光性樹脂組成物を得た。
その後、第1の組成物と第2の組成物を混合して、均一になるまで攪拌した。
【0104】
実施例2−2〜2−14および比較例2−1〜2−3
第1の組成物および第2の組成物の組成を表2に記載の通り変更した以外は、実施例2−1と同様にして、2液型感光性樹脂組成物を調製した。その後、第1の組成物と第2の組成物を混合して、均一になるまで攪拌した。
【0105】
【表2】
【0106】
実施例3−1
<感光性樹脂組成物の調製>
上記のようにして得られたカルボキシル基含有樹脂ワニスAと、片倉コープアグリ株式会社製の合成マイカMK−100と、イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A9300)と、熱硬化性成分であるエポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、N−695)と、光重合開始剤として、IGM Resins社製Omnirad TPOおよび日本化薬株式会社製DETX−Sと、その他の無機充填剤として、球状シリカ(株式会社アドマテックス製、アドマファインSO−C5)と、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、DPHA)と、着色剤として、DIC株式会社製FASTOGEN GREEN Sと、有機溶剤として、カルビトールアセテートと、を下記表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、感光性樹脂組成物を調製した。
【0107】
実施例3−2〜3−7および比較例3−1〜3−3
感光性樹脂組成物の組成を表3に記載の通り変更した以外は、実施例3−1と同様にして、感光性樹脂組成物を調製した。
【0108】
【表3】
【0109】
なお、表3中の各成分の詳細は以下の通りである。なお、表1重複するものについては記載を省略する。
(2)マイカ
・MK−100:片倉コープアグリ株式会社製、合成マイカ、KAl
2(AlSi
3O
10)F
2、平均粒径3.4μm
・M−HF:レプコ株式会社製、天然マイカ、KAl
2(AlSi
3O
10)(OH)
2、平均粒径4μm
【0110】
実施例4−1
<2液型感光性樹脂組成物の調製>
上記のようにして得られたカルボキシル基含有樹脂ワニスAと、片倉コープアグリ株式会社製MK−100マイカと、光重合開始剤として、IGM Resins社製Omnirad TPOおよび日本化薬株式会社製DETX−Sと、その他の無機充填剤として、球状シリカ(株式会社アドマテックス製、アドマファインSO−C5)と、イソシアヌル環を有しない、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、DPHA)と、着色剤として、DIC株式会社製FASTOGEN GREEN Sと、有機溶剤として、カルビトールアセテートと、を下記表4に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、第1の組成物を調製した。
イソシアヌル環を有する、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物として、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(新中村化学工業株式会社製、A9300)と、熱硬化性成分であるエポキシ樹脂として、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製、N−695)と、有機溶剤として、カルビトールアセテートと、を下記表4に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、第2の組成物を調製した。第1の組成物と、第2の組成物とからなる2液型感光性樹脂組成物を得た。
その後、第1の組成物と第2の組成物を混合して、均一になるまで攪拌した。
【0111】
【表4】
【0112】
<評価基板の作製>
上記実施例および比較例により得られた各樹脂組成物(実施例2−1〜2−14、比較例2−1〜2−3、実施例4−1〜4−9および比較例4−1〜4−3については、第1の樹脂組成物と第2の樹脂組成物の混合物)を、銅厚35μmの回路パターン基板上に、スクリーン印刷で、全面塗布し、80℃で30分間乾燥し、室温まで放冷し、厚さ20μmの樹脂層を形成させた。樹脂層に対し、高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いて、最適露光量でベタ露光し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で、60秒間現像を行った。
基板に対し、UVコンベア炉において積算露光量1000mJ/cm
2の条件で、紫外線を照射した後、160℃で60分加熱することにより、樹脂層を硬化させた。
【0113】
<はんだ耐熱性>
上記のようにして作製された評価基板に、ロジン系フラックスを塗布した後、260℃のはんだ槽へ30秒間、2回浸漬させた。次いで、変性アルコールにより、フラックスを洗浄した後の外観を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1〜4にまとめた。
(評価基準)
○:はんだ槽への浸漬をおこなっても、硬化した樹脂層の剥離が観察されなかった。
△:はんだ槽への浸漬をおこなうと、硬化した樹脂層の剥離が少し観察された。
×:はんだ槽への浸漬をおこなうと、硬化した樹脂層の著しい剥離が観察された。
【0114】
<冷熱サイクル耐性>
2mmの銅ラインパターンが形成された基板上に、上記実施例および比較例により得られた各樹脂組成物をスクリーン印刷で、全面塗布し、80℃で30分間乾燥し、室温まで放冷し、3mm角のレジストパターン17個が形成された評価基板を作製した。
この評価基板を、−65℃と150℃の間で温度サイクルが行われる冷熱サイクル機に入れ、TCT(Thermal Cycle Test)を行った。そして、1000サイクル時の外観を観察し、クラック数を数え、以下の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1〜4にまとめた。尚、分母の数値「68」は、3mm角のレジストパターンの4つの角(4つ)×17個で、68箇所の角を意味し、分子の数値「30」等は、クラックの発生数を表す。
(評価基準)
◎:20/68以下
○:21/68以上30/68以下
△:31/68以上40/68以下
×:41/68以上
【0115】
<密着力低下防止性>
上記のようにして作製した評価基板を、ヤマト科学株式会社製の熱風循環式乾燥炉DN610を用いて、150℃で2000時間加熱した。その後、各評価基板にコーテイングテスター株式会社製の自動クロスカット試験機No.807−KS2を用いて1mm
2の正方形が100個となるように傷を付けた。その後、テープピールにより樹脂層の剥がれを確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。評価結果を表1〜4にまとめた。
(評価基準)
◎:剥がれ、欠け無し
〇:剥がれ、欠けの数が1個以上15個以下
△:剥がれ、欠けの数が15個超35個以下
×:剥がれ、欠けの数が35個超65個以下
××:剥がれ、欠けの数が65個超
【0116】
実施例から明らかなように、本発明の感光性樹脂組成物は、耐熱性、密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性のいずれもが顕著に良好となっていることがわかる。
また、感光性樹脂組成物を2液型とすることにより、密着力低下防止性および冷熱サイクル耐性はさらに良好となっていることがわかる。