(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記材料は架橋セルロース繊維を含み、前記吸収性物品は、前記架橋セルロース繊維と前記液体不透過性バックシートとの中間に位置付けられた吸収性コアを備え、前記吸収性コアは吸収性材料を含み、前記吸収性材料は、前記吸収性材料の少なくとも85重量%の超吸収性ポリマーを含む、請求項1に記載の吸収性物品。
前記トップシートの前記第1の層は複数の第1の繊維を含み、前記トップシートの前記第2の層は複数の第2の繊維を含み、前記第1及び第2の繊維は異なる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
2つの隣接する孔は、突起部及びランド領域により前記基材の横方向軸線に沿って分離され、2つの隣接する突起部は、孔及びランド領域により前記基材の前記横方向軸線に沿って分離され、2つの隣接する孔は、突起部及びランド領域により前記基材の長手方向軸線に沿って分離され、2つの隣接する突起部は、孔及びランド領域により前記基材の前記長手方向軸線に沿って分離される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記孔は、共に前記基材の第1の線を形成する孔の第1の組と、共に前記基材の第2の線を形成する孔の第2の組と、を備え、前記第1の線は前記第2の線と略平行であり、前記孔は前記第1の層及び前記第2の層を貫いて形成される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記孔の前記大部分の外周部は前記基材の最下部の第1の平面を形成し、前記突起部の前記大部分の頂部ピークは前記基材の最上部の第2の平面を形成し、前記ランド領域は前記第1の平面と前記第2の平面との中間に位置付けられる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
前記トップシートは、前記毛管収着試験に基づき、100%飽和時に10g/gを超える平衡毛管吸引吸着剤容量を有し、前記捕捉材料は、前記毛管収着試験に基づき、100%飽和時に7g/g未満の平衡毛管吸引吸着剤容量を有する、請求項7に記載の吸収性物品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で開示される改善されたトップシート乾燥度を有する吸収性物品の構造、機能、製造、及び使用の原理についての全体的な理解を提供するために、本開示の様々な非限定的な形態を以下で説明する。これらの非限定的実施形態の1つ以上の実施例が、添付図面に示されている。当業者であれば、本明細書で説明され添付図面に例示される改善されたトップシート乾燥度を有する吸収性物品は非限定的な例の形態であり、本開示の様々な非限定的な形態の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの非限定的な形態に関して図示又は説明される特徴は、他の非限定的な形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0011】
序論
本明細書で使用するとき、用語「吸収性物品」とは、乳児、小児、又は大人用おむつ、成人用失禁製品、トレーニングパンツ、生理用ナプキンなどの、着用者の身体に接して又は近接して配置されて、身体から排出される様々な流体を吸収して封じ込める使い捨て装置を指す。典型的には、これらの吸収性物品は、トップシート、バックシート、吸収性コア、任意で捕捉システム及び/又は分配システム(1つ又はいくつかの層からなり得る)、並びに典型的にはその他の構成要素を備え、吸収性コアは通常、バックシートと捕捉システム及び/又は分配システムとの間に少なくとも部分的に配置される。本開示の三次元高坪量液体透過性基材を備える吸収性物品を、以下の説明及び図面にて、トップシートなどのテープ付きおむつの1つ以上の構成要素の形態で更に例示する。しかしながら、この説明におけるいかなる内容も、特許請求の範囲を制限するものと見なされるべきではない。したがって、本開示は、任意の好適な形態の吸収性物品(例えば、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、生理用ナプキン)に適用される。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「不織布ウェブ」は、摩擦、及び/又は粘着、及び/又は接着により結合された、一方向又は無作為に配向された繊維から製造されたシート、ウェブ、又はバットを意味し、紙、及び追加のニードル加工の有無を問わず、織られた、編まれた、タフト加工された、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだステッチボンド、又は湿式粉砕によってフェルト加工された製品を含まない。繊維は、天然又は人工物由来であってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントであっても、又はその場で形成されたものであってもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満〜約0.2mm超の範囲の直径を有することがあり、短繊維(ステープルファイバ又はチョップドファイバとして知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの無撚束(粗麻)、及び連続フィラメントの撚り束(紡績糸)など、いくつかの異なる形態で提供されることがある。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常は、グラム毎平方メートル(g/m
2又はgsm)で表される。
【0013】
本明細書で使用する用語「接合された」、「結合された」、又は「取り付けられた」とは、ある要素を直接別の要素に固着させることによって、ある要素がもう一方の要素に直接固定される構成、及びある要素を中間部材に固着させて、続いてその中間部材をもう一方の要素に固着させることによって、ある要素がもう一方の要素に間接的に固定される構成を包含する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「機械方向」又は「MD」は、基材が製造される際の基材の移動方向と実質的に平行な方向である。「横断方向」又は「CD」は、MDに及び基材によって概ね画定された平面において実質的に垂直な方向である。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「親水性」とは、The American Chemical Society Publication「Contact Angle,Wettability,and Adhesion」(Robert F.Gould編集、1964年に著作権取得)により、90°以下の接触角を有する材料を指す。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「疎水性」とは、The American Chemical Society Publication「Contact Angle,Wettability,and Adhesion」(Robert F.Gould編集、1964年に著作権取得)により、90°以上の接触角を有する材料又は層を指す。
【0017】
吸収性物品の概説
おむつ20形態の例示的な吸収性物品を
図1〜
図3に示す。
図1は、例示的なおむつ20を平らに広げた状態で示した平面図であり、おむつ20の構造をより明確に示すためにその構造の一部を切り欠いている。
図1のおむつ20の着用者に面する表面は見る人に面している。本開示の三次元基材は、トップシートなどの吸収性物品の1つ以上の構成要素として使用され得るため、このおむつ20は、例示目的でのみ示されている。
【0018】
吸収性物品20は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、トップシート24とバックシート25との間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コア28、及びバリアレッグカフ34を備え得る。吸収性物品は、捕捉及び/又は分配システム(「acquisition and/or distribution system、ADS」)50を更に備えてもよく、この捕捉及び/又は分配システム50は、示される実施例では分配層54と捕捉層52とを備えており、これについては下記でより詳細に説明する。この分配層54及び吸収性コア28は、本明細書及び特許請求の範囲では「材料」と呼ばれる場合がある。いくつかの例では、ADSは1つ以上の捕捉層のみを含んでもよい。吸収性物品は、吸収性物品のシャーシに、(典型的にはトップシート及び/又はバックシートを介して)接合され、おむつのシャーシに対して実質的に平坦な弾性体33を含む、弾性ガスケットカフ32を更に備え得る。
【0019】
これらの図はまた、タブ42を備える締着システムなどの典型的なテープ付きおむつ構成要素を示し、タブ42は、物品の後縁部に向かって取り付けられ、吸収性物品の前方でランディングゾーン44と協働する。吸収性物品はまた、例えば、後側弾性腰部機構、前側弾性腰部機構、横方向バリアカフ(複数可)、及び/又はローションアプリケーションなど、図示されていない他の典型的な要素を含んでもよい。
【0020】
吸収性物品20は、前側腰部縁部10、前側腰部縁部10と長手方向に対向する後側腰部縁部12、第1の側縁部3、及び第1の側縁部3と横方向に対向する第2の側縁部4を含む。前側腰部縁部10は、着用時にユーザーの前面に向かって配置されるように意図された吸収性物品の縁部であり、後側腰部縁部12はその反対側の縁部である。吸収性物品20は、
図1のように吸収性物品を平らに配置して物品を上方から見ると、物品の前側腰部縁部10の横方向中点から後側腰部縁部12の横方向中点まで延在して、長手方向軸線80を中心に実質的に対称的な2つの半体に物品を分割する、長手方向軸線80を有し得る。吸収性物品は更に、第1の側縁部3の長手方向中点から第2の側縁部4の長手方向中点まで延在する横方向軸線90を有し得る。物品の長さLは、長手方向軸線80に沿った、前側腰部縁部10から後側腰部縁部12までの長さとして測定され得る。物品の幅Wは、横方向軸線90に沿った、第1の側縁部3から第2の側縁部4までの幅として測定され得る。本物品は、本明細書では、物品20の前縁部10から開始してLの5分の2(2/5)の距離の長手方向軸線上に配置された点として定義される股点Cを含み得る。本物品は、前側腰部領域5、後側腰部領域6、及び股部領域7を備え得る。前側腰部領域5、後側腰部領域6、及び股部領域7は、それぞれ吸収性物品の長手方向長さLの3分の1を画定する。
【0021】
トップシート24、バックシート25、吸収性コア28、及び物品のその他の構成要素は、様々な構成で、具体的には、例えば、糊剤結合又は熱エンボス加工によって組み立てられ得る。吸収性物品の構成の例は、米国特許第3,860,003号、同第5,221,274号、同第5,554,145号、同第5,569,234号、同第5,580,411号、及び同第6,004,306号に概ね説明されている。
【0022】
吸収性コア28は、超吸収性材料の少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%を含む吸収性材料と、超吸収性ポリマーを密閉するコアラップと、を含んでよい。コアラップは、通常、コアの上面及び下面に対して、2つの材料、基材、又は不織布材料16及び16’を備えてもよい。コアは、
図1においては、4つのチャネル26、26’、及び27、27’として図示される、1つ又は2つ以上のチャネルを備え得る。チャネル26、26’、27、及び27’は任意選択的な特徴である。代わりに、コアは、チャネルを全く有していなくてもよく、チャネル26、26’のみを有していてもよく、又は任意の好適な数のチャネルを有していてもよい。
【0023】
例示的吸収性物品のこれらの及びその他の構成要素を、以下でより詳細に説明する。
【0024】
トップシート
本開示において、トップシート(着用者の皮膚に接触し、流体を受容する吸収性物品の部分)は、本明細書に記載の1つ以上の三次元基材の一部分若しくは全体で形成される、並びに/又はそこに位置付けられている、及び/若しくはそこに接合されている1つ以上の三次元基材を有することができ、それによって三次元基材は着用者の皮膚に接触する。トップシートの他の部分(三次元基材以外)も着用者の皮膚に接触し得る。三次元基材は、本明細書で説明されるように、典型的なトップシート24の上部にストリップ又はパッチとして位置付けられてもよい。三次元基材については以下で更に詳細に説明する。
【0025】
当業者には周知されるように、トップシート24は、バックシート25、コア28、及び/又は任意のその他の層に接合され得る。通常は、トップシート24とバックシート25とは、いくつかの箇所(例えば、吸収性物品の周辺部又はその付近)で互いに直接接合され、また他の箇所では、トップシート24とバックシート25とを物品20の1つ又は2つ以上の他の要素に直接接合することによって、これらは間接的に接合される。
【0026】
トップシート24の任意の部分は、当該技術分野で一般に開示されているローション及び/又はスキンケア組成物でコーティングしてもよい。トップシート24は、更に、抗菌剤を含むか、又は抗菌剤処理されてもよく、そのいくつかの例が国際公開第95/24173号で開示されている。
【0027】
トップシート24は、以下で説明するように有孔であってもよい。
【0028】
バックシート
バックシート25は、通常は、吸収性コア28の衣類に面する表面に隣接して位置付けられ、その中に吸収され、封じ込められた流体がベッドシーツや下着などの物品を汚すのを防止するか又は少なくとも抑制する、吸収性物品20の一部である。バックシート25は、典型的には流体に不透過性、又は少なくとも実質的に不透過性である。バックシートは、例えば、約0.012mm〜約0.051mmの厚さを有する熱可塑性フィルムなどの薄いプラスチックフィルムであるか、又はそれを含んでもよい。例示的なバックシートフィルムとしては、Richmond,VAを拠点とするTredegar Corporationによって製造され、CPC2フィルムの商標で販売されるものが挙げられる。他の好適なバックシート材料としては、蒸気を吸収性物品20から逃がす一方で、流体がバックシート25を通過するのを防ぐ、又は少なくとも抑制する通気性材料を挙げることができる。通気性材料の例としては、織布ウェブ、不織布ウェブ、フィルムコーティング不織布ウェブなどの複合材料、Mitsui Toatsu Co.(Japan)から商品名ESPOIR NOで製造される、及びTredegar Corporation(Richmond,VA)が製造し、商品名EXAIREで販売されるものなどの微孔性フィルム、並びにClopay Corporation(Cincinnati,OH)から商品名HYTRELブレンドP18−3097で製造されるものなどのモノリシックフィルムといった材料を挙げることができる。
【0029】
バックシート25は、当業者に既知の任意の取り付け方法によって、トップシート24、吸収性コア28、及び/又は吸収性物品20の任意の他の要素に接合することができる。
【0030】
外側カバー
外側カバー23は、吸収性物品の柔らかい、衣類に面する表面を形成するため、バックシート25の少なくとも一部分又は全体を被覆し得る。外側カバー23は、1つ又は2つ以上の不織布材料から形成され得る。一例として、
図2に外側カバー23が長点で図示されている。外側カバー23は、機械的結合、接着剤結合、又はその他の好適な取り付け方法によって、バックシート25の少なくとも一部分に接合することができる。外側カバー又はその一部が、エンボス加工材料又は三次元的材料であってもよい。いくつかの例では、平面状であろうと三次元状であろうと、外側カバー又はその一部は有孔であってもよい。好適な外側カバーの例が、2012年3月23日出願のXuらの米国特許出願公開第2013/0253461号、及び2015年6月30日出願のXuらの米国特許出願第14/755,810号(P&G代理人整理番号13908)に開示されている。外側カバーは、上記の2特許出願で開示された接着パターンを有することができる。外側カバーは、例えば、坪量試験に基づいて25gsm又は22gsmなどの約18gsm〜約30gsmの範囲の坪量を有してもよい。外側カバーは、例えば、スパンボンド不織布、又は通気カーディング不織布(air through carded nonwovens)を備えてもよい。
【0031】
吸収性コア
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コア」は、吸収能力の大半を有し、吸収性材料、及び吸収性材料を封入するコアラップ又はコアバッグを備える吸収性物品の構成要素を指す。吸収性コアは、特許請求の範囲では「材料」と呼ばれる場合がある。用語「吸収性コア」は、捕捉及び/若しくは分配システム、又は、コアラップ若しくはコアバッグの一体部分ではないかあるいはコアラップ若しくはコアバッグ内に配置されないかのいずれかの物品の他のいかなる構成要素も含まない。吸収性コアは、上記のコアラップ、吸収性材料(例えば、超吸収性ポリマー)、及び接着剤を備えるか、それらからから本質的になるか、又はそれらからなる場合がある。
【0032】
吸収性コア28は、コアラップ内に封入された、大量の超吸収性ポリマー(本明細書では「superabsorbent polymer、SAP」と略す)を有する吸収性材料を含み得る。SAP含有量は、コアラップに含有される吸収性材料の70重量%〜100重量%、又は少なくとも70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、99重量%、若しくは100重量%を占め得る。コアラップは、吸収性コア内のSAPの百分率を見積もる目的で、吸収性材料とは見なされない。コアは、SAPを有する又は有さないエアフェルト又はセルロース繊維を更に含み得る。
【0033】
「吸収性材料」とは、SAP、セルロース系繊維、及び合成繊維など、何らかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。通常、吸収性コアの作製に使用される糊剤は、吸収特性を全く又はほとんど有せず、吸収性材料とは見なされない。SAP含有量は、コアラップに収容された吸収性材料の80重量%超、例えば少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、更には最大で100重量%となり得る。これにより、通常は40%〜60%のSAP及び高含量のセルロース繊維を備える従来のコアと比較して、相対的に薄いコアが得られる。従来のコアもまた、本開示の範囲内である。吸収性材料は、特に、天然のセルロース系又は、合成繊維を15重量%未満、又は10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満含んでもよく、あるいは更には天然のセルロース系及び/又は合成繊維を実質的に含まなくともよい。
【0034】
図4〜
図5の例の吸収性物品20の吸収性コア28を、
図6〜
図8では分離して示す。吸収性コア28は、前側部280と、後側部282と、前側部280と後側部282とをつなぐ2つの長手方向側部284、286とを備え得る。吸収性コア28はまた、概ね平面状の上側部、及び概ね平面状の下側部を更に備え得る。コアの前側部280は、吸収性物品の前側腰部縁部10に向けて配置されるように意図されるコアの側部である。コア28は、
図1に示すような上面図で上から見ると、吸収性物品20の長手方向軸線80に実質的に対応する長手方向軸線80’を有し得る。特定の吸収性物品では、前側部にてより高い吸収性が要求され得るため、吸収性材料は、後側部282に向かうよりも前側部280に向かってより多くの量が分配されてもよい。コアの前側部280及び後側部282は、コアの長手方向側部284及び286より短くてもよい。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、又はその他の材料16、16’により形成され得るが、それらは、吸収性コア28の側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止され得る。コアラップは、吸収性材料が吸収性コアラップから実質的に全く漏れ出さないように、その前側部280、後側部282、及び2つの長手方向側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止されてもよい。
図7に示されるように、第1の材料、基材、又は不織布16は、第2の材料、基材、又は不織布16’を少なくとも部分的に包囲して、コアラップを形成してもよい。第1の材料16は、第1及び第2の側縁部284及び286に近接した第2の材料16’の一部を包囲して、Cラップとして知られるものを形成することができる。
【0035】
吸収性コアは、例えば、コアラップ内でSAPが動かないようにするのを助けるため、かつ/又は、特にコアラップが2つ以上の基材から作られる場合にコアラップの一体性を確保するため、接着剤を含み得る。接着剤は、例えばH.B.Fullerから提供されるホットメルト接着剤であってもよい。コアラップは、吸収性材料をその内部に収容するために厳密に必要とされるよりも広い面積に延在してよい。
【0036】
様々なコアの設計を有し、比較的大量のSAPを含むコアが、米国特許第5,599,335号(Goldman)、欧州特許第1,447,066号(Busam)、国際公開第95/11652号(Tanzer)、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)、及び国際公開第2012/052172号(Van Malderen)に開示されている。
【0037】
吸収性材料は、コアラップ内に存在する連続層であってもよい。あるいは、吸収性材料は、コアラップ内に封入された吸収性材料の個別のポケット又はストライプからなってもよい。第1の事例では、吸収性材料は、例えば、吸収性材料の単一の連続層を適用することによって得られてもよい。吸収性材料の、特にSAPの連続層(複数可)は、不連続的な吸収性材料の適用パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによっても得ることができ、結果として得られる層は、例えば米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されるように、吸収性粒状ポリマー材料領域の全体にわたって実質的に連続的に分布している。吸収性コア28は、第1の吸収性層と第2の吸収性層とを備えてもよい。第1の吸収性層は、第1の材料16と、100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第1の層61と、を備え得る。第2の吸収性層は、第2の材料16’と、やはり100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第2の層62と、を備え得る。吸収性コア28はまた、吸収性材料61、62の各層を、それぞれ対応する材料16又は16’に少なくとも部分的に結合する、繊維状の熱可塑性接着剤材料51を含んでよい。これは、
図7〜
図8に一例として図示されており、図中、第1及び第2のSAP層は、組み合わされる前に、対応する基材上の所望される吸収性材料堆積領域と同じ幅を有する横ストライプ、即ち「ランド領域」として適用されている。ストライプは、コア80の長手方向軸線に沿ってプロファイル化された坪量を提供するために異なる量の吸収性材料(SAP)を含み得る。第1の材料16と第2の材料16’とは、コアラップを形成することができる。
【0038】
繊維状の熱可塑性接着剤材料51は、ランド領域において、吸収性材料61、62と少なくとも部分的に接触していてもよく、また、接合区域において、材料16、16’と少なくとも部分的に接触してよい。これによって、それ自体では長さ及び幅方向の寸法と比べると相対的に厚みが薄い、本質的に二次元の構造である熱可塑性接着剤材料51の繊維層に、本質的に三次元の構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、吸収性材料のランド領域を被覆するキャビティを提供することができ、それによって100%以下のSAPであり得るこの吸収性材料を固定化させる。
【0039】
繊維層に使用される熱可塑性接着剤は、SAPが膨潤するにつれて、繊維によってSAP層上に形成されたウェブを伸長させることができるような、エラストマー特性を有してもよい。これらのタイプのエラストマー性ホットメルト接着剤が、1988年3月15日発行の米国特許第4,731,066号(Korpman)により詳細に記載されている。熱可塑性接着剤材料は、繊維として適用されてもよい。
【0040】
超吸収性ポリマー(SAP)
本明細書で使用するとき、「超吸収性ポリマー(SAP)」は、遠心保持容量(Centrifuge Retention Capacity、CRC)試験(EDANA法WSP 241.2−05E)を使用して測定したとき、その重量の少なくとも10倍の0.9%生理食塩水溶液を吸収可能な架橋ポリマー材料である吸収性材料を指す。使用されるSAPは、20g/g超、24g/g超、20〜50g/g、20〜40g/g、又は24〜30g/gのCRC値を有してもよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって作られる任意の範囲内の、全ての0.1g/g刻みが列挙される。本開示で有用なSAPとしては、非水溶性ではあるが大量の流体を吸収することができる、種々の水膨潤性ポリマーを挙げることができる。
【0041】
超吸収性ポリマーは、乾燥状態において流動性があるように、粒子形態であってもよい。粒子状吸収性ポリマー材料は、ポリ(メタ)アクリル酸ポリマーで作られてもよい。しかしながら、澱粉系の粒子状吸収性ポリマー材料、並びに、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン無水マレイン酸コポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールコポリマー、架橋ポリエチレンオキシド、及びポリアクリロニトリルの澱粉グラフトコポリマーも使用できる。
【0042】
SAPは多様な形状であり得る。用語「粒子」は、顆粒、繊維、フレーク、球体、粉末、小板、並びに超吸収性ポリマー粒子の当業者に既知のその他の形状及び形態を指す。SAP粒子は、繊維の形状、即ち、細長い針状の超吸収性ポリマー粒子であってもよい。繊維はまた、織布であってもよい長フィラメントの形態であってもよい。SAPは、球状粒子であってもよい。吸収性コアは、1つ又は2つ以上のタイプのSAPを含んでもよい。
【0043】
大部分の吸収性物品の場合、特におむつの場合、着用者からの液体排出は、主に吸収性物品の前半部で発生する。したがって、物品の前半部(前縁部と前側腰部縁部10又は後側腰部縁部12からLの半分の距離に位置する横断線との間の領域によって画定される)は、コアの吸収能力の大半を備え得る。したがって、SAPの少なくとも60%、又はSAPの少なくとも65%、70%、75%、80%、若しくは85%が、吸収性物品の前半部に存在し得、残りのSAPが吸収性物品の後半部に配置され得る。あるいは、SAPの分布は、コア全体で均一であってもよく、又は他の適した分布を有してもよい。
【0044】
また、吸収性コア内に存在するSAPの合計量は、想定されるユーザーに応じて更に変動してもよい。新生児用のおむつは、乳幼児用、小児用、又は成人用失禁おむつと比較して、必要なSAPが少ない場合がある。コア内のSAPの量は、約5〜60g、又は5〜50gであってもよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される任意の範囲内の、全ての0.1刻みが列挙される。SAPの堆積領域8(又は、複数存在する場合は「少なくとも1つの」)内の平均SAP坪量は、少なくとも50、100、200、300、400、500g/m
2、又はそれ以上であってもよい。吸収性材料堆積領域8内に存在するチャネル(例えば、26、26’27、27’)の面積を吸収性材料堆積領域から推定して、この平均坪量を算出する。
【0045】
コアラップ
コアラップは、吸収性材料の周りに折り重ねられた単一の基材、材料、又は不織布で形成されてもよく、あるいは互いに取り付けられた2つ(又はそれ以上)の基材、材料、又は不織布を含むものとしてもよい。一般的な取り付け方法は、いわゆるCラップ及び/又はサンドイッチラップである。例えば
図2及び
図7に示すように、Cラップでは、一方の基材の長手方向縁部及び/又は横方向縁部を他方の基材に折り重ねてフラップを形成する。次に、これらのフラップは、一般的には糊剤接着によって、他方の基材の外表面に結合される。
【0046】
コアラップは、吸収性材料を受容し収容するのに適した任意の材料によって形成されてもよい。従来のコアを生産するのに使用される一般的な基材材料、特に紙、ティッシュ、フィルム、織布若しくは不織布、又はこれらのいずれかの積層体若しくは複合材料が使用されてもよい。
【0047】
基材は更に、通気性であってもよい(液体透過性又は流体透過性に加えて)。したがって、本明細書において有用なフィルムは微細孔を含んでもよい。
【0048】
コアラップは、吸収性材料がコアから実質的に漏れ出さないように、吸収性コアの全ての側部に沿って少なくとも部分的に封止されてもよい。「吸収性材料が実質的にない」とは、コアラップから脱出する吸収性材料が5重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は約0重量%であることを意味する。「封止」という用語は、広義に理解されるべきである。封止は、コアラップの周辺部全体に沿って連続的である必要はなく、線上で離間された一連の封止点によって形成されるなど、その一部又は全体に沿って不連続であってもよい。封止は、糊剤接着及び/又は熱結合によって形成されてもよい。
【0049】
コアラップが2つの基材16、16’によって形成される場合、4つの封止を用いて吸収性材料60をコアラップ内に封入してもよい。例えば、第1の基材16は、コアの一方の側部(図面に示されるような上側部)に配置され、コアの反対側にある下側部を少なくとも部分的に包み込むように、コアの長手方向縁部の周りに延在してよい。第2の基材16’は、第1の基材16の包み込まれたフラップと吸収性材料60との間に存在してもよい。強力な封止をもたらすため、第1の基材16のフラップを第2の基材16’に糊剤接着してもよい。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ式の封止と比較して、湿潤負荷状態での耐破裂性の改善などの利点を提供することができる。次に、コアラップの前側部及び後側部も、第1の基材及び第2の基材を互いに糊剤接着することによって封止されて、コアの周辺部全体にわたる吸収性材料の完全な封入をもたらしてもよい。コアの前側部及び後側部に関しては、第1及び第2の基材が延在してもよく、実質的に平面方向で互いに接合されて、これらの縁部にいわゆるサンドイッチ構造を形成してもよい。いわゆるサンドイッチ構造では、第1及び第2の基材はまた、コアの全側部において外側に延在してもよく、一般的には糊剤接着及び/又は熱接着/圧着によって、コアの周辺部の全体若しくは一部に沿って平坦に、又は実質的に平坦に封止されてもよい。一実施例では、第1及び第2の基材のいずれも、製造を簡便化するため矩形に切断されてもよいが、その他の形状も本開示の範囲に含まれるように、形状決めする必要はない。
【0050】
コアラップは更に、吸収性材料を風呂敷包み状に封入して、コアの前側部及び後側部、並びに一方の長手方向封止に沿って封止され得る単一の基材によって形成されてもよい。
【0051】
SAP堆積領域
吸収性材料堆積領域8は、吸収性コアの上面から見て分かるように、コアラップ内の吸収性材料60によって形成される層の周辺部によって画定されてよい。吸収性材料堆積領域8は、コアの中央、つまり「股部」領域に向かってその幅に沿ってテーパーを示す、様々な形状、特にいわゆる「ドッグボーン」又は「砂時計」形を有してもよい。このように、吸収性材料堆積領域8は、
図1に図示されるように、吸収性物品の股部領域内に配置されるように意図されたコアの領域で比較的狭い幅を有し得る。これにより、着用時の快適性をより高めることができる。吸収性材料堆積領域8は、例えば
図4〜
図6に示されるように、概ね矩形であってもよいが、矩形、「T」字形、「Y」字形、「砂時計」形、又は「犬の骨」形のような他の堆積領域もまた本開示の範囲内である。吸収性材料は、SAPの比較的高速かつ比較的正確な堆積を可能にし得る任意の好適な技術を用いて堆積することができる。
【0052】
チャネル
吸収性材料堆積領域8は、物品80の長手方向に少なくとも部分的に向けられた(即ち、長手方向のベクトル成分を有する)少なくとも1つのチャネル26を備え得る。他のチャネルは、横方向の向きに(即ち、横方向ベクトル成分を有する)、又は他の任意の方向に少なくとも部分的に向けられてもよい。以下、「チャネル」が複数形で用いられる場合は、「少なくとも1つのチャネル」を意味する。チャネルは、物品の長手方向軸線80上で突出する、物品の長さLの少なくとも10%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%である長さL’を有し得る。チャネルは、様々な方法で形成されてもよい。例えば、チャネルは、吸収性材料、特にSAPを実質的に含まないか、又は全く含まなくてもよい、吸収性材料堆積領域8内のゾーンによって形成され得る。更に又はあるいは、チャネル(複数可)は、吸収性材料堆積領域8全体でコアラップの上側部とコアラップの下側部とを連続的又は非連続的に接着することによって形成することもできる。チャネルは連続的であってもよいが、チャネルが断続的であってもよいことも想到される。捕捉−分配システム若しくは層50、又は物品の別の層が、吸収性コアのチャネルに対応しても又はしなくてもよいチャネルを更に備え得る。
【0053】
いくつかの場合では、2つの長手方向に延在するチャネル26、26’を含む
図1に示すように、チャネルは吸収性物品の股点C又は横方向軸線60と少なくとも同じ長手方向の高さに存在し得る。更に、チャネルは、股部領域7から延在してもよく、あるいは物品の前側腰部領域5及び/又は後側腰部領域6内に存在してもよい。
【0054】
吸収性コア28もまた、3つ以上、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれより多くのチャネルを備えてもよい。より短いチャネルが、例えばコアの後側腰部領域6又は前側腰部領域5において、物品の前側部に向かう
図1の一対のチャネル27、27’によって表されるとおりに、更に存在してもよい。チャネルは、対称に配置されるか、ないしは別の方法で長手方向軸線80に対して配置された、1つ又は2つ以上のチャネルの対を備え得る。
【0055】
チャネルは、非矩形(に形作られた)コアを使用することが不利になる程度までコアの可撓性を改善させ得るので、吸収性材料堆積領域が矩形のとき、チャネルは吸収性コア内で特に有用となることがある。当然ながら、チャネルは、形作られた堆積領域を有するSAP層内にも存在してよい。
【0056】
チャネルは、完全に長手方向に向けられて、長手方向軸線と平行であってもよく、あるいは完全に横方向に向けられて、横方向軸線と平行であってもよいが、少なくとも部分的に湾曲してもよい。
【0057】
流体が漏出するリスクを低減するために、長手方向の主チャネルは、吸収性材料堆積領域8のいずれかの縁部に至るまで延在し得ず、したがって、コアの吸収性材料堆積領域8内に完全に包囲され得る。チャネルと吸収性材料堆積領域8の最も近い縁部との間の最小距離は、少なくとも5mmであってもよい。
【0058】
チャネルはその全長の少なくとも一部に沿って、例えば少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、最大で例えば20mm、16mm、又は12mmの幅Wcを有し得る。チャネルの幅は、チャネルの実質的に全長にわたって一定であってもよく、あるいはその長さに沿って変化してもよい。チャネルが吸収性材料の堆積領域8内の吸収性材料非存在ゾーンによって形成される場合、チャネルの幅は材料非存在ゾーンの幅であると見なし、チャネル内に存在する可能性のあるコアラップは度外視する。チャネルが吸収性材料非存在区域によって形成されるのではなく、例えば主として、吸収性材料区域を通じたコアラップの接着によって形成される場合、チャネルの幅はこの接着部の幅となる。
【0059】
チャネルの少なくともいくつか、又はその全てが恒久的なチャネルであってもよく、これはつまり、乾燥状態及び湿潤状態の両方でその完全性が少なくとも部分的に維持されることを意味する。恒久的なチャネルは、例えば、チャネルの壁内で基材を吸収性材料と接着する助けとなる、接着剤材料の繊維層又は構造用糊剤など、1つ以上の接着剤材料を提供することによって得られてもよい。恒久的なチャネルはまた、チャネル全体を通して、コアラップの上側部及び下側部(例えば、第1の基材16及び第2の基材16’)、並びに/又はトップシート24及びバックシート25を互いに結合することによって形成されてよい。典型的には、チャネル全体を通してコアラップの両側部、又はトップシートとバックシートとを接着するために接着剤が用いられ得るが、圧着接着、超音波接着、熱接着、又はこれらの組み合わせなどの他の既知のプロセスによる接着も可能である。コアラップ、又はトップシート24とバックシート25とは、チャネルに沿って連続的に結合されるか、又は断続的に結合されてよい。吸収性物品が完全に流体で満たされたときチャネルは有利には、少なくともトップシート及び/又はバックシートを通して目に見える状態を維持するか、又は目に見える状態となってもよい。これは、膨潤しないようにチャネルにSAPを実質的に含有させないか、また湿潤時に閉じることがないようにチャネルを十分に大きくすることによって得られてもよい。更に、チャネル全体を通してコアラップをそれ自体に結合させるか、又はトップシートをバックシートに結合させることが、有利となる場合がある。
【0060】
いくつかの例では、チャネルは吸収性材料及び/又はコアバッグにエンボス加工されてもよい。こうした場合では、これらのチャネルは、吸収性材料及び/又はコアバッグの高密度化領域となる。
【0061】
バリアレッグカフ
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34を備え得る。各バリアレッグカフは、これが吸収性物品の着用者に面する表面から上方に延在して、およそ着用者の胴体と脚部との接合部において流体及び他の身体滲出物の改善された収容を提供し得るように、物品に結合された材料の小片によって形成され得る。バリアレッグカフは、トップシート24及び/又はバックシート25と直接的あるいは間接的に接合された近位縁部64と、着用者の皮膚に接触して着用者の皮膚との封止を形成するように意図された自由端縁部66と、によって境界を定められてもよい。バリアレッグカフ34は、吸収性物品の長手方向軸線80の両側面上で、前側腰部縁部10と後側腰部縁部12との間に少なくとも部分的に延在し、かつ少なくとも股点(C)又は股部領域の高さに存在する。バリアレッグカフは、糊剤接着、溶融接着、又は他の好適な接着プロセスの組み合わせによって実施され得る接着部65によって近位縁部64で物品のシャーシと接合され得る。近位縁部64での接着部65は、連続的又は断続的であってもよい。レッグカフの隆起区間と最も近接する接着部65は、レッグカフの立ち上がり区間の近位縁部64の境界を定める。
【0062】
バリアレッグカフは、トップシート24又はバックシート25と一体であってもよく、あるいは物品のシャーシに接合された別個の材料であってもよい。各バリアレッグカフ34は、より良好な封止を提供するため、自由端縁部66付近に1つ、2つ、又はそれ以上の弾性ストリング35を備え得る。
【0063】
バリアレッグカフ34に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート24及び/又はバックシート25に接合され、かつバリアレッグカフに対して外方に設置された、ガスケットカフ32を備え得る。ガスケットカフ32は、着用者の大腿の周りにより効果的な封止をもたらすことができる。各ガスケットレッグカフは、吸収性物品のシャーシ内のトップシート24とバックシート25との間の脚部開口部の領域に、1つ又は2つ以上の弾性ストリング又は弾性要素33を備え得る。バリアレッグカフ及び/又はガスケットカフの全部若しくは一部を、ローション又は別のスキンケア組成物で処理してもよい。
【0064】
捕捉−分配システム
本開示の吸収性物品は、捕捉−分配層又はシステム50(「ADS」)を備え得る。ADSの一機能は、流体のうち1つ又は2つ以上を迅速に捕捉して、これらを効率的に吸収性コアに分配することである。ADSは、1つ、2つ、又は3つ以上の層を備えてもよく、これらの層は一体の層を形成してもよく、あるいは、互いに取り付けられ得る個別の層として留まっていてもよい。一実施例では、ADSは、2つの層、つまり吸収性コアとトップシートとの間に配置される分配層54及び捕捉層52を備え得るが、本開示はこのようには限定されない。
【0065】
一実施例では、分配層のみ、又は捕捉層のみなど、ADSの一方のみの層が提供されてもよい。本開示の三次元液体透過性基材のうちの1つがトップシートの一部分又は全部として用いられる、あるいはトップシート上に位置付けられる場合は、ADSの1つ又は2つのみの層が存在する場合に三次元液体透過性基材の乾燥性能が改善され得る。これは、流体は、液体透過性基材を通ってADSの1つ又は2つの層内に、続いて吸収性コア内に容易にウィッキングすることが可能であるという事実に因るものである。
【0066】
分配層
ADSの分配層又は「材料」は、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮、加撚、若しくはカールされてもよく、又は捲縮、加撚、及びカールを含むそれらの組み合わせであってもよい。このタイプの材料が、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されている。架橋セルロース繊維は、製品のパッケージ条件下又は(例えば着用者の体重を受ける)使用条件下での圧縮に対する高い反発力、及びしたがって高い耐性を第1の吸収性層に付与する。これによって、より高い空隙容積、透過性、及び液体吸収性がコアに付与されるため、漏れが減少して乾燥状態が改善され得る。
【0067】
本開示の架橋セルロース繊維を含む分配層は、他の繊維を含み得るが、有利には、この層は、層の少なくとも50重量%、又は60重量%、又は70重量%、又は80重量%、又は90重量%、又は更には最大100%の架橋セルロース繊維(架橋剤を含む)を含み得る。かかる架橋セルロース繊維の混合層の例は、約70重量%の化学架橋セルロース繊維、約10重量%のポリエステル(PET)繊維、及び約20重量%の未処理パルプ繊維を含んでよい。別の例では、架橋セルロース繊維の層は、約70重量%の化学架橋セルロース繊維、約20重量%のリヨセル繊維、及び約10重量%のPET繊維を含んでもよい。更に別の例では、層は、約68重量%の化学架橋セルロース繊維、約16重量%の未処理パルプ繊維、及び約16重量%のPET繊維を含んでよい。なお更に別の例では、架橋セルロース繊維の層は、化学架橋セルロース繊維を約90〜約100重量%含み得る。この分配層はまた、不織布材料のような他の材料を含むこともできる。
【0068】
捕捉層
ADS 50は、捕捉層52を備え得る。捕捉層52は、分配層54とトップシート24との間に、あるいは分配層が提供されていない場合はトップシート24と吸収性コア28との間に、配置され得る。捕捉層52は、例えば、カーディング樹脂接合不織布材料、カーディングエアースルー接合不織布材料、又はスパンレース材料などの不織布材料であってもよく、又は不織布材料を含んでもよい。捕捉層52は、本明細書に記載の坪量試験に基づき、例えば約8gsm〜約100gsm、約20gsm〜約100gsm、約20gsm〜約80gsm、約20gsm〜約65gsm、約35gsm〜約55gsm、約40gsm〜約50gsm、約40gsm〜約45gsm、約42gsm、約43gsm、又は約44gsmの範囲の坪量を有してもよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される任意の範囲内の、全ての0.1gsm刻みが列挙される。捕捉層は、1つ以上の層から形成されてもよい。2つ以上の層が設けられる場合、上記で提供された坪量の範囲は、層全体の合計坪量に対するものである。捕捉層52は、約3〜約5、好ましくは約4のデニールを有するPETの中実円形、成形加工、及び/又は三葉状繊維を、約0%〜約60%、約20%〜約50%、約20%〜約40%、約25%〜約35%、約50%、又は約30%含んでもよく、また約0.5〜約3、好ましくは約1.5のデニールを有するPETの中実円形、成形加工、及び/又は三葉状繊維を、約40%〜約100%、約30%〜約90%、約50%〜約80%、約60%〜約80%、約50%、約60%、又は約70%備含んでもよい。上記に特定した範囲内の全ての0.1%刻み、及びその中の又はそれにより形成される全ての範囲は具体的に開示されるが、簡潔にするため省略する。デニールは、9000メートルの繊維長さ当たりの質量(グラム単位)として定義される。三葉状繊維又は成形繊維は、一部の場合で、捕捉層52のマスキング能力を高めるために用いることができる。繊維は、異なる状況では他のデニールを有してもよい。
【0069】
本開示のいくつかの例の捕捉層組成物を、従来技術の捕捉材料と比較して以下の表1に示す。本開示のサンプルの密度は、従来技術のサンプルの密度よりも高い密度を有することに留意されたい。
【0071】
捕捉層52は、繊維を一体に接合又は保持するためにバインダ(例えば、ラテックスバインダ)を含んでもよい。バインダは、捕捉層52の約10重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約20重量%〜約30重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、又は約35重量%であってもよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1%刻みが列挙される。本開示の捕捉材料は、捕捉材料の50重量%未満のラテックスバインダを含んでもよく、捕捉材料の45重量%未満、又は40重量%未満、又は35重量%未満のラテックスバインダを含んでもよい。
【0072】
バインダは、約−60℃〜約0℃、約−50℃〜約−20℃、約−45℃〜約−30℃、約−45℃〜約−35℃、又は−40℃のガラス転移温度(Tg)を有してもよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1℃刻みが列挙される。
【0073】
好適なラテックスバインダは、以下の工程を含むプロセスによって調製することができる。
(1)スチレン、イタコン酸、界面活性剤、及び水溶性フリーラジカル開始剤を含むモノマー混合物を重合してシードを形成する。
(2)エマルション重合条件下で、スチレン、ブタジエン、及びアクリル酸のモノマー混合物の等しい増分を連続的にシードへ添加してスチレン−ブタジエン−アクリル酸コポリマーを形成する。
(3)スチレン−ブタジエン−アクリル酸コポリマーを約4.5〜7のpHに中和してラテックスバインダを形成する。
【0074】
バインダは、自己結合カード繊維ウェブに適用することができる(例えば、前駆体捕捉材料)。次に、熱又は放射線を適用するなど当業者に既知の方法を用いてラテックスバインダを硬化してもよい。用語「硬化」とは、架橋したラテックスバインダを指す。処理された短繊維の硬化は、バインダのガラス転移温度を超える温度の影響を受ける。
【0075】
Schmeingらの米国特許第5,166,259号に記載されるように、ラテックスバインダは、本明細書で開示される1つ以上のエチレン性不飽和モノマー及びポリマー界面活性剤を用いた従来のエマルション重合技術によって調製することができ、また、フリーラジカル開始剤などの追加の従来型の添加剤、任意の連鎖移動剤、キレート剤などを用いてもよい。
【0076】
ラテックスは、スチレン、イタコン酸、界面活性剤、及び水溶性フリーラジカル開始剤を含むモノマー混合物を重合してシードを形成することによって調製される。次いで、モノマー混合物を、エマルジョン重合条件下でシードに漸増式に添加する。モノマー混合物はスチレン、ブタジエン、及びアクリル酸を含む。アクリル酸は、硬化時のバインダの架橋プロセスを助け得る。モノマー混合物をシードに漸増式に添加して、スチレン−ブタジエン−アクリル酸コポリマーを形成することができる。混合物は、全組成の約34重量%〜約70重量%のスチレンを含むことができる。モノマー混合物は、更に、全組成の約0.5重量%〜約2.5重量%のイタコン酸、又は約2重量%のイタコン酸、約20重量%〜約55重量%のブタジエン、及び約6重量%〜約10重量%又は約8重量%の量のアクリル酸を含むことができる。
【0077】
界面活性剤は、約0.05重量%〜約2.0重量%の量でモノマー混合物に添加される。界面活性剤は、当該技術分野で既知であり、ラテックスのpHで好適な任意の好適な乳化剤、石鹸などの大半であってもよい。好適な乳化剤及び界面活性剤の例としては、アルキルサルフェート、アルキルスルホコハク酸、アルキルアリールスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸塩、脂肪族若しくはロジン酸塩のみ、又はエチレンオキシド等のオクチルフェノール反応生成物が挙げられる。使用することができるその他の界面活性剤としては、Surface Active Agents,Schwartz and Berry,Vol.1(Interscience Publishers,Inc.,New York,1958)、Surface Activity,Moilet,Collie and Black(D.Van Nostrand Company,Inc.,New York,1961)、Organic Chemistry,Feiser and Feiser(D.C.Heath and Company,Boston,1944)、及びThe Merck Index,Seventh Edition(Merck & Co.,Inc.,Rahway,N.J.,1960)で確認されているものが挙げられる。
【0078】
次いで、コポリマーのpHを約4.5〜7.0まで中和してラテックスを形成することができる。ラテックスのpHは塩基を添加することによって中和される。好適な塩基の例としては、水酸化カリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。ラテックスに添加する塩基の量は、当該技術分野において一般に知られている所望のpH範囲を得るように調整してよい。
【0079】
重合は、典型的には約65℃〜約75℃で実施される。重合は通常約4〜24時間行われるが、重合条件は、モノマーからコポリマーへの様々な転換度をもたらすために所望に応じて変化してもよい。モノマー混合物は、モノマーの少なくとも99%が転換された時点である、実質的に不変の固体となるまで反応させてよい。
【0080】
平均吸収圧の勾配
本開示の吸収性物品は、一般にトップシートから吸収性コア、又は捕捉層下の材料(例えば、分配層)にかけて上昇する平均吸収圧の勾配を有し得る。トップシートは、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき約1cm〜約4cm、又は約2cm〜約3cmの範囲の平均吸収圧を有し得る。捕捉層は、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき約3cm〜約8cm、又は約4cm〜約7cmの範囲の平均吸収圧を有し得る。捕捉層下の材料(例えば、吸収性コア又は分配層)は、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき約8cm〜約11cm、又は約8cm〜約10cmの平均吸収圧を有し得る。材料が捕捉層下に設けられ、吸収性コアが材料下に設けられる場合、材料及び/又は吸収性コアは、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき約8cm〜約11cm、又は約8cm〜約10cmの平均吸収圧を有し得る。本パラグラフ中の全ての範囲は、その内に形成されるあらゆる小範囲を具体的に含み、指定される範囲内の全ての0.1cm刻みを具体的に列挙する。
【0081】
締結システム
吸収性物品は、締着システムを含んでもよい。締結システムは、テープ付きおむつでは典型的であるように、吸収性物品の周囲に横方向の張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。トレーニングパンツ物品の腰部領域は既に接着されているので、この締結システムはこれらの物品の場合は必須ではない場合もある。締結システムは、例えば、テープタブ、フックとループの締結要素、タブ及びスロットのような係合締結具、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は雌雄同体締結要素などの締結具を含んでよいが、いかなる他の好適な締結機構も、本開示の範囲内である。通常、ランディングゾーン44は、締結具を着脱自在に取り付けられるように、前側腰部領域5の衣類に面する表面上に提供される。
【0082】
前耳部及び後耳部
吸収性物品は、前耳部46と後耳部40とを備え得る。耳部は、トップシート24及び/又はバックシート26からサイドパネルとして形成されるような、シャーシと一体になった部分であり得る。あるいは、
図1に示すように、耳部は、糊剤接着、熱エンボス加工、及び/又は圧着結合により取り付けられる別個の要素であってもよい。タブ42をランディングゾーン44に容易に取り付け、テープ付きおむつを着用者の腰部周りの定位置に保つために、後耳部40は伸縮可能であり得る。後耳部40は更に、最初に吸収性物品を着用者にぴったりとフィットさせ、続いて、弾性の耳部によって吸収性物品の側部が伸縮し得るために、着用時間全体を通して、吸収性物品が流体又は他の身体排泄物で充填されてからかなりの時間が過ぎてもこのフィットを維持することにより、より快適で、体型に合ったフィットを付与するように、弾性又は伸張性であってもよい。
【0083】
弾性腰部機構
吸収性物品20はまた、改善されたフィット性及び封じ込めを提供する上で役立つ、少なくとも1つの弾性腰部機構(図示せず)を備え得る。弾性腰部機構は、弾性的に伸縮して、着用者の腰部に動的にフィットすることが概ね意図されている。弾性腰部機構は、吸収性コア28の少なくとも1つの腰部縁部から少なくとも長手方向外方に延在して、吸収性物品の端縁部の少なくとも一部を概ね形成してもよい。使い捨ておむつは、2つの弾性腰部機構を有するように構成され得る、一方は、前側腰部領域に位置付けられ、他方は、後側腰部領域に位置付けられる。
【0084】
各層間の関係
典型的には、隣接する層及び構成要素は、層表面全体若しくはその一部へのスロットコーティング若しくは吹き付けによる接着剤コーティング、熱結合、圧着結合、又はそれらの組み合わせなど、従来の結合方法を用いて互いに接合され得る。この結合は、明確にかつ読みやすくするために、図には示されていないが(トップシート24とのレッグカフ65の隆起要素間の結合を除く)、物品の層同士の結合は、別段に除外されない限り、存在すると見なされるべきである。バックシート25とコアラップとの間で異なる層の接着性を改善するために、接着剤を用い得る。糊剤は、当該技術分野で既知の、任意の好適なホットメルト糊剤であってよい。
【0085】
生理用ナプキン
本開示の三次元基材は、トップシートの一部分を形成してよい、トップシートを形成してよい、二次トップシートの一部分若しくは全体を形成してよい、又は生理用ナプキンのトップシートの少なくとも一部分に位置付けられてよい、若しくはそこに接合されてよい。
図9を参照すると、吸収性物品は、生理用ナプキン300を含んでよい。生理用ナプキン300は、液体透過性トップシート314と、液体不透過性、又は実質的に液体不透過性のバックシート316と、吸収性コア308と、を含んでよい。吸収性コア308は、吸収性コア28に関して本明細書に記載する特徴部のいずれか又は全てを有し得、いくつかの形態では、先に開示した捕捉分配システムの代わりに二次トップシートを有し得る。また、生理用ナプキン300は、生理用ナプキン300の長手方向軸線380に対して外向きに延在する羽根320を含んでよい。生理用ナプキン300はまた、横方向軸線390を含んでよい。羽根320は、トップシート314、バックシート316、及び/又は吸収性コア308に接合されていてよい。生理用ナプキン300はまた、前縁部322と、前縁部322と長手方向で対向する後縁部324と、第1の側縁部326と、第1の側縁部326と長手方向で対向する第2の側縁部328と、を含んでよい。長手方向軸線380は、前縁部322の中点から後縁部324の中点まで延在し得る。横方向軸線390は、第1の側縁部326の中点から第2の側縁部328の中点まで延在し得る。生理用ナプキン300はまた、例えば、二次トップシート319など、当該技術分野において概ね既知のとおり、生理用ナプキンに一般的に見出される追加の特徴部を備えてよい。
【0086】
三次元基材
本開示の三次元液体透過性基材は、第1のz方向高さを有する第1の要素(例えば、突起部)と、第2のz方向高さを有する、少なくとも第2の要素(例えば、ランド領域)と、を有する基材を含んでよい。基材はまた、複数の孔を有してよい。基材はまた、少なくとも第3のz方向高さを有する少なくとも第3の要素を有してよい。かかる構造により、流体は着用者の皮膚から離れて速やかに移動し得、着用者の皮膚と接触している、第1のz方向高さを有する第1の要素から主として離れ、それによって、着用者により乾燥したように感じさせる。流体は、重力によって、又は毛細管勾配によって第2のz方向高さを有する第2の要素内に流入し、かつ/又は孔に流入し、孔を通って流れてよく、それにより流体は、吸収性物品に吸収される。本開示の三次元基材を提供することにより、流体/皮膚接触と、流体が着用者の皮膚と接触している時間を低減させることができる。更に第1のz方向高さを有する第1の要素は、流体が吸収性物品に吸収されている間、流体と着用者の皮膚との間のスペーサーとして作用してよい。三次元基材は、トップシート又は外側カバー材料として使用してもよい。
【0087】
図10〜
図13を参照すると、三次元液体透過性基材400(本明細書では三次元基材又は液体透過性基材の両方で称される)が、吸収性物品402上に示されている。
図10は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品402の上面図である。
図11は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品402の斜視図である。
図12は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品上の液体透過性基材(liquid preamble substrate)400の一部分の上面図である。
図13は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品402上の液体透過性基材400の一部分の別の上面図である。
【0088】
一形態では、液体透過性基材400、又は本明細書に記載の他の液体透過性基材は、吸収性物品402のトップシートに位置付けられた、及び/又はこれらに接合されたパッチ又はストリップを含んでよい。パッチ又はストリップは、トップシートに結合されてよい、トップシートに接着剤で取り付けられてよい、トップシートに冷間圧接されてよい、トップシートに超音波結合されてよい、及び/又は他の方法でトップシートに接合されてよい。あるいは、本開示の液体透過性基材は、トップシート(例えば、トップシート24)を含んでよい、トップシート全体を形成してよい、又はトップシートの一部分を形成してよい。また、トップシート24は、本開示の液体透過性基材のうちの1つ以上のみで構成されてよい。各種構成のいずれにおいても、本開示の液体透過性基材は、吸収性物品の着用者に面する表面の少なくとも一部分を形成し、着用者の皮膚と少なくとも部分的に接触することを意図する。
【0089】
図14〜
図16を参照すると、トップシート24に接合されたパッチ又はストリップ形態である液体透過性基材400又は本明細書に記載の他の液体透過性基材は機械横断方向幅W1を有してよく、トップシート24は機械横断方向幅W2を有してよい。W1は、幅W2よりも小さくてよい、幅W2と同一でよい、幅W2と実質的に同一でよい、又は幅W2よりも大きくてよい(図示なし)。幅W1はまた、液体透過性基材の長手方向長さを通じて変動しても、一定であってもよい。更に
図14〜
図16を参照すると、パッチ又はストリップ形態である液体透過性基材400又は本明細書に記載の他の液体透過性基材は機械方向長さL1を有してよく、トップシート24は機械方向長さL2を有してよい。L1は、長さL2よりも小さくてよい、長さL2と同一でよい、長さL2と実質的に同一でよい、又は長さL2よりも大きくてよい(図示なし)。長さL1は、液体透過性基材の幅W1にわたって変動しても、一定であってもよい。
図14〜
図16に図示されていないが、トップシート24及び液体透過性基材の長さ及び幅は同一でよい、又は実質的に同一でよい。
【0090】
図14〜
図16において、液体透過性基材400のパッチ又はストリップは矩形として図示されているが、本開示の液体透過性基材はまた、前側/後側輪郭形状(即ち、前側がより広い、後側がより広い、及び/又は股部がより狭い)、正方形、卵形、又は他の好適な形状など任意の他の好適な形状を有してよい。液体透過性基材400の側縁部404及び/又は端縁部406は、それらから切り取られた1つ以上の弓形部分、デザイン、及び/又は形状を有して、液体透過性基材400に審美的に魅力がある外観をもたらしてよい。一方の側縁部404は、トップシート24の長手方向軸線408に対して、他方の側縁部404と対称又は非対称であってもよい。同様に、一方の端縁部406は、トップシート24の横方向軸線410に対して、他方の側縁部406と対称又は非対称であってよい。
【0091】
液体透過性基材400は、1つ以上の層を含んでよい。1つ以上の層が設けられる場合、層は、機械的結合、接着剤結合、圧力結合、熱結合、両層に加熱気体を通過させること、又は接合して多層基材400を形成する他の方法により、一緒に接合されるか、互いに取り付けられてよい。あるいは、層は、第1のタイプ及び第2のタイプのステープル繊維のための第1及び第2のカーディング操作など以降の繊維レイダウン工程、又は添加物を含む高分子フィラメントの、2つの連続するスパンレイのビームにて形成される。第1の層は、1つ以上の疎水性材料を含んでよいか、完全に疎水性であってよく、第2の層は、1つ以上の親水性材料を含んでよいか、完全に親水性であってよい。一方の層が疎水性材料を含み、他方の層が親水性材料を含むのではなく、一方の層が、他方の層を構成する材料よりも疎水性又は親水性が高い材料を含んでよい(例えば、両層が親水性であるが、一方の層がより親水性が高い、又は両層が疎水性であるが、一方の層がより疎水性が高い)。第1の層は、疎水性層を含んでよい、第2の層は、親水性層を含んでよい、又はその逆であってよい。第1の層は、吸収性物品の着用者に面する表面の一部分又は全体として使用されてよい。あるいは第2の層は、吸収性物品の着用者に面する表面の一部分又は全体として使用されてよい。
【0092】
第1の層(即ち、着用者に面する層)が疎水性材料からなることの根本的理由は、2要素からなる。第1に、液体透過性基材が有孔の場合、疎水性層は親水性の第2の層ほど液体を保持しないため、着用者の皮膚と直接接触する流体(例えば、尿)はより少ないであろう。第2に、第1の層及び第2の層内の突起部(以下に記載)は、一般に、液体透過性基材の衣類に面する側にADS又はコアと直接接触しない中空部分又はアーチを形成し、したがって流体は中空アーチ内に捕捉され得る。ADS又はコアに対する中空アーチの良好な接続性がない場合、液体透過性基材はより多量の流体を保持し、着用者はより濡れた感触を有し得る。しかしながら、疎水性の第1の層を有する場合、中空アーチ内に毛管作用で逃れる全ての液体は、ほとんどが衣類に面する、つまり液体透過性基材の下方に向いた親水性側上に存在し、それにより第1の疎水性層をより乾燥した状態で残留させる。原則的に、このことは、第1の層から第2の層への親水性又は毛細管勾配(例えば、同一の親水性特性(即ち、液体との接触角)を有する第2の層内のより微細な繊維)により達成することができる。基材内の孔は、第1の疎水性層にもかかわらず、初期の、かつ急速な流体流(裏抜け)を可能にする重要な役割を果たし得る。したがって、第1の疎水性層は、突出部、中空アーチ、及び孔と協働して、液体透過性基材の着用者に面する表面の湿潤を低減する。別の場合では、第2の層は、着用者に面する表面の一部分として使用されてよい。
【0093】
第1の層は、複数の第1の繊維及び/又はフィラメント(本明細書で以後、共に繊維と称する)を含んでよい。複数の第1の繊維は、同一の、又は実質的に同一の、又は異なるサイズ、形状、組成、デニール、繊維径、繊維長さ、及び/又は重量の繊維を含んでよい。第2の層は、複数の第2の繊維を含んでよい。複数の第2の繊維は、同一の、又は実質的に同一の、又は異なるサイズ、形状、組成、デニール、繊維径、繊維長さ、及び/又は重量の繊維を含んでよい。複数の第1の繊維は、複数の第2の繊維と同一、実質的に同一、又は異なっていてよい。追加の層は、同一又は異なる構成を有してよい。
【0094】
第1の層及び/又は第2の層は、シース及びコアを有する2成分繊維を含んでよい。シースはポリエチレンを含んでよく、コアはポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでよい。シース及びコアはまた、当業者に既知の任意の他の好適な材料を含み得る。シース及びコアはそれぞれ繊維の約50重量%の繊維を備え得るが、その他の変更例(例えば、シース60%、コア40%;シース30%、コア70%など)もまた本開示の範囲内である。第1及び/又は第2の層を形成する2成分繊維又は他の繊維は、約0.5〜約6、約0.5〜約4、約0.5〜約3、約1〜約3、約1.0〜約4、約1.5〜約4、約1.5〜約3、約1.5〜約2.5の範囲、又は約2のデニールを有してもよく、具体的には指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1デニール刻みを含む。デニールは、9000メートルの繊維長さ当たりの質量(グラム単位)として定義される。別の場合では、第1の層の繊維のデニールは、約1.5デニール〜約6デニール又は約2デニール〜約4デニールの範囲であってよく、第2の層の繊維のデニールは、約1.2デニール〜約3デニール又は約1.5デニール〜約3デニールの範囲であってよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1デニールの増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。特定の場合では、第1の層の繊維は、特定の吸収性物品中で使用されている特定の捕捉及び/又は分配システムに少なくとも部分的に応じて、第2の層の繊維のデニールよりも少なくとも0.5デニール、少なくとも1デニール、少なくとも1.5デニール、又は少なくとも2デニール大きくてよい。第2の層の繊維のデニールよりも大きいデニールを有する第1の層の繊維を提供することにより、液体透過性基材中に細孔勾配が設けられる。この細孔勾配は、より良好な乾燥状態、及び/又は液体透過性基材中の捕捉をもたらし得る。第1の層中のより大きいデニールを有する繊維は、第2の層中のより小さいデニールを有する繊維よりも大きい細孔を提供し、それにより層の間に細孔勾配をもたらす。
【0095】
複数の第1の繊維及び第2の繊維はまた、例えば、ポリ乳酸、熱可塑性澱粉含有持続性樹脂、他の持続性樹脂、バイオ−PE、バイオ−PP、及びバイオ−PET、ビスコース繊維、レーヨン繊維、又は他の好適な不織布繊維などの、PET以外の、ポリプロピレン繊維、他のポリオレフィン、他のポリエステルなどの任意の他の好適なタイプの繊維を含んでよい。これらの繊維は、任意の好適なデニール若しくはデニール範囲、及び/又は繊維長さ若しくは繊維長さ範囲を有してよい。複数の第1の繊維及び第2の繊維が同一又は実質的に同一である場合、複数の第2の繊維は、界面活性剤などの親水性剤で処理されて、複数の第2の繊維を親水性、又は少なくとも、より低い疎水性としてよい。複数の第1の繊維は、それらの天然の疎水性状態に留まるように、界面活性剤で処理されなくてよい、又は複数の第1の繊維は、界面活性剤で処理されて、疎水性が低下してよい。
【0096】
第1の層は、約10gsm〜約25gsmの範囲の坪量を有してよい。第2の層は、約10gsm〜約45gsmの範囲の坪量を有してよい。基材(第1の層及び第2の層の両方)の坪量は、例えば、約20gsm〜約70gsm、約20gsm〜約50gsm、約20gsm〜約60gsm、約25gsm〜約50gsm、約30gsm〜約40gsmの範囲、約30gsm、約35gsm、又は約40gsmであってよい。
【0097】
一形態では、基材の坪量は、約30gsm〜約40gsm又は約35gsmであってよい。かかる例では、第1の層は、約10gsm〜約20gsmの範囲、又は約15gsmの坪量を有してよく、第2の層は、約15gsm〜約25gsmの範囲、又は約20gsmの坪量を有してよい。別の例では、基材の坪量は、約20gsmであってよい。かかる例では、第1の層は約10gsmの坪量を有してよく、第2の層は約10gsmの坪量を有してよい。更に別の例では、基材の坪量は、約60gsmであってよい。かかる例では、第1の層は約24gsmの坪量を有してよく、第2の層は36gsmの坪量を有してよい。第1の層及び第2の層、並びに基材に関する全ての他の好適な坪量範囲は、本開示の範囲内に含まれる。したがって、層及び基材の坪量は、特定の製品の必要条件のために設計されてもよい。
【0098】
具体的には、上記に特定した坪量の範囲内の全ての0.1gsm刻み、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を本明細書に列挙する。
【0099】
場合によっては、第2の層と比較して第1の層がより大きい坪量を有することが望ましいことがある。例えば、第1の層の坪量は、第2の層の坪量の少なくとも約1〜約4倍、少なくとも約1〜約3.5倍、約1.5〜約3倍、約1.5倍間〜約3倍、約2倍、約2.5倍、又は約3倍であってよい。場合によっては、例えば、第1の層の坪量は約20gsm〜約30gsmの範囲であってよく、第2の層の坪量は約10gsm〜約20gsmの範囲であってよい。具体的には、上記に特定した坪量の範囲内の全ての0.1gsm刻み、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を本明細書に列挙する。第1の層(疎水性)に第2の層(親水性)よりも大きい坪量を提供することにより、親水性材料よりも多量の疎水性材料が液体透過性基材中に提供される。情報及び確信に基づいて、液体透過性基材中の、より多量の疎水性材料及びより少量の親水性材料によって、より良好な捕捉及び/又は乾燥がもたらされる。親水性層の表面張力は、液体透過性基材が1つ以上の流出物を受容すると、少なくとも親水性層(第2の層)が疎水性層(第1の層)を汚染する(また疎水性層をより親水性とする)ことを阻害するまで低減されてよい。
【0100】
本開示の液体透過性基材はまた、バックシート25の少なくとも一部分に接合される外側カバー23の一部分又は全体を形成してよい。別の場合では、外側カバー23は、本開示の液体透過性基材に外観が同一、又は類似したパターン(例えば、エンボス加工パターン、印刷パターン)及び/又は三次元構造を含んでよい。一般に、着用者に面する表面の液体透過性基材の少なくとも一部分の外観は、少なくとも外側カバー23の一部分又は吸収性物品の他の部分と一致してよい、又は実質的に一致してもよい。
【0101】
図17は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の正面図である。
図18は、
図17の三次元液体透過性基材の一部分の正面斜視図である。
図19は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の別の正面図である。
図20は、
図19の液体透過性基材の一部分の正面斜視図である。
図21は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の背面図である。
図22は、
図21の三次元液体透過性基材の一部分の背面斜視図である。
図23は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の別の背面図である。
図24は、
図23の液体透過性基材の一部分の背面斜視図である。
図25は、液体透過性基材の断面図である。
【0102】
概して
図17〜
図25を参照すると、液体透過性基材400は、第1の層及び第2の層、又は2つを超える層若しくは1つの層を含んでよい。基材400は、複数のランド領域412、複数の陥没部414、及び複数の突起部416を含んでよい。上述したように、複数の突起部416は、第1のz方向高さを有する第1の要素を形成してよく、ランド領域412は、第2のz方向高さを有する第2の要素を形成してよい。複数のランド領域412、複数の陥没部414、及び複数の突起部416は、共に、基材400の第1の側418に第1の三次元表面を形成してよい。複数のランド領域412、複数の陥没部414、及び複数の突起部416はまた、基材400の第2の側420に第2の三次元表面を形成してよい。突起部416は、液体透過性基材400の着用者に面する表面で概ねドーム形状であってよく、液体透過性基材400の着用者に面する表面で中空アーチ形状であってよい。陥没部414の全て若しくは大部分(即ち、50%超、又は75%超)、又はその実質的に全ては、隣接する突起部416の頂部ピーク425から最も遠位の位置において孔422を画定してよい。孔422の大部分、又はその全ての外周部423は、基材400の最下部又は平面を形成してよく、一方、突起部416の大部分、又はその全ての頂部ピーク425(即ち、最上部)は、基材400の最上部又は平面を形成してよい。他の場合では、基材は陥没部414内に孔を有さなくてよく、突起部416の頂部ピーク425から最も遠位の陥没部414の一部分は、基材400の最下部又は平面を形成してよい。孔422は、基材400の第1の層及び第2の層を通って延在してよい。
【0103】
ランド領域412は、(1)隣接する突起部416と、(2)隣接する陥没部414及び/又は隣接する孔422との間に位置付けられてよい。ランド領域412はまた、陥没部414及び/又は孔の大部分若しくは全ての少なくとも一部、又は全てと、突起部416の少なくとも大部分、若しくは全てを包囲してよい。ランド領域412は、孔422の少なくとも大部分の外周部の平面と、突起部416の頂部ピーク425の少なくとも大部分の平面との間に位置付けられてよい。
【0104】
突起部416は、陥没部414及び/又は孔422と、液体透過性基材400の横方向軸線424と概ね平行な方向に交互に配置されてよい。横方向軸線424は、
図14〜
図16に図示された横方向軸線410と概ね平行である。突起部416はまた、陥没部414及び/又は孔422と、液体透過性基材400の長手方向軸線426と概ね平行な方向に交互に配置されてよい。長手方向軸線426は、
図14〜
図16に図示された長手方向軸線408と概ね平行である。かかる構成では、横方向軸線424と概ね平行な方向に、又は長手方向軸線426と概ね平行な方向に、突起部416、並びに陥没部414及び/又は孔422は交互になっている(即ち、突起部、陥没部及び/又は孔、突起部、陥没部及び/又は孔)。この特徴は、隣接する陥没部414及び/又は孔422の大部分、又はその全ての間に柔らかな突起ピーク425があるという点で、基材400に対してより良好な柔らかさを提供する。この特徴はまた、突起部416が皮膚と流体との間にスペーサーを本質的に形成するために、着用者の皮膚をランド領域412及び/又は陥没部414内の流体から離れる方向に維持することに役立つ。
【0105】
2つ以上の隣接する突起部416は、横方向軸線424に概ね平行な方向に、又は長手方向軸線426に概ね平行な方向に、陥没部414及び/又は孔422並びに1つ以上のランド領域412によって互いに分離されてよい。2つ以上の突起部414及び/又は孔422は、横方向軸線424に概ね平行な方向に、又は長手方向軸線426に概ね平行な方向に、突起部416及び1つ以上のランド領域412によって互いに分離されてよい。ランド領域412は、孔422及び突起部416を完全に取り囲んでよい。ランド領域412は、基材400を通って概ね連続的な格子を形成してよく、一方、突起部416及び陥没部414及び/又は孔422は、基材にわたって別個の要素であってよい。
【0106】
場合によっては、2つ以上の、例えば4つの突起部416が、陥没部414及び/又は孔422の少なくとも大部分、実質的にその全て、又はその全ての周囲に位置付けられてよい(これは、突起部416と陥没部414及び/又は孔422との間のランド領域412を含まない)。2つ以上の、例えば4つの陥没部414及び/又は孔422が、突起部416の少なくとも大部分、実質的にその全て、又はその全ての周囲に位置付けられてよい(これは、陥没部414及び/又は孔422並びに突起部416の間にあるランド領域412を含まない)。突起部416、陥没部414、孔422、及びランド領域412は全て、基材の第1及び第2の層の一部分から形成されてよい。2つを超える層が基材に設けられる場合、突起部416、陥没部414、孔422、及びランド領域412は全て、基材の第1、第2、及び第3の層の一部分から形成されてよい。特定の基材に3つを超える層が設けられている場合も同様であり得る。別の場合では、ランド領域412は、第1の層のみに形成されてよい。
【0107】
孔422及び/又は陥没部414は、基材400に第1の線を共に形成する、第1の組の孔及び/又は陥没部414と、基材400に第2の線を共に形成する、第2の組の孔422及び/又は陥没部414と、を含んでよい。第1の線は、概ね第2の線と平行であるか、又はこれに対して概ね垂直であってもよい。第1の線はまた、第2の線と鋭角又は鈍角を形成してもよい。突起部416は、基材400に第1の線を共に形成する、第1の組の突起部416と、基材400に第2の線を共に形成する、第2の組の突起部416と、を含んでよい。第1の線は、概ね第2の線と平行であるか、又はこれに対して概ね垂直であってもよい。第1の線はまた、第2の線と鋭角又は鈍角を形成してもよい。
【0108】
基材400は、横方向軸線424に関して概ね対称であってよく、及び/又は長手方向軸線426に関して概ね対称であってよい。他の場合では、基材は、横方向軸線424及び/又は長手方向軸線426に関して対称でなくてよい。
【0109】
一形態では、基材400は、横方向軸線424に平行な方向に延在する、交互の孔422及び突起部416を含む第1の線と、横方向軸線424に概ね平行な方向に延在する、交互の孔422及び突起部416を含む第2の隣接する線とを含んでもよい。これらの線は、孔422及び突起部416の中心を通ることになる。例として、
図17の線A及びBを参照する。線Cが、長手方向軸線426と略平行であり、かつ線A及びBと交差する方向に引かれると、孔422は線AとCの交点に位置することになり、突起部416は線BとCの交点に位置することになる。
図19に図示されるように、線A及びBが長手方向軸線426に平行な方向に引かれ、線Cが横方向軸線424に概ね平行な方向に引かれた場合も同じである。線が異なる位置で引かれる場合、線A及びCの交点が突起部416を有してよく、また線B及びCの交点が孔422を有してよい。主な点は、孔の列及び突起部の列が互い違いになっていることである。この様式で孔及び突起部を互い違いにすることにより、柔らかい突起部又は突起部頂部が2つの孔の間にあるために、基材400の着用者に面する表面においてより良好な柔らかさが得られる。
【0110】
三次元基材(又はトップシート)のパラメータ
本開示の吸収性物品は、全て本明細書に記載の改質流体捕捉試験に基づき、約250秒未満、約200秒未満、約175秒未満、約160秒未満、約150秒未満、約140秒未満、約135秒未満、約130秒未満、約125秒未満、約120秒未満、約115秒未満、約110秒未満の、あるいは約50秒〜約250秒、約70秒〜約200秒、約70秒〜約175秒、約70秒〜約150秒、約70秒〜約140秒、約80秒〜約140秒、約90秒〜約135秒、又は約100秒〜約130秒の範囲であってもよい改質流体捕捉性を有してもよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.5秒刻みが列挙される。
【0111】
本開示の吸収性物品は、全て本明細書に記載のコラーゲンリウェット試験に基づき、約140mg未満、約130mg未満、約120mg未満、約110mg未満、約100mg未満、約90mg未満、約80mg未満、約75mg未満、約70mg未満、約68mg未満、約65mg未満、約63mg未満の、あるいは約25mg〜約140mg、約30mg〜約120mg、約30mg〜約110mg、約30mg〜約100mg、約35mg〜約90mg、約40mg〜約80mg、約50mg〜約75mg、又は約55mg〜約70mgの範囲であってもよいコラーゲンリウェットを有してもよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mg刻みが列挙される。
【0112】
本開示の吸収性物品は、全て本明細書に記載の軽触乾燥度試験に基づき、約100mg未満、約90mg未満、約80mg未満、約70mg未満、約60mg未満、約55mg未満、約50mg未満、約45mg未満、約40mg未満、約36mg未満の、あるいは約10mg〜約90mg、約15mg〜約80mg、約20mg〜約70mg、約20mg〜約60mg、約20mg〜約50mg、約25mg〜約45mg、又は約30mg〜約40mgの範囲であってもよい軽触乾燥度を有してもよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mg刻みが列挙される。
【0113】
突起部416の全て又は大部分は、約300μm〜約6000μm、約500μm〜約5000μm、約500μm〜約4000μm、約300μm〜約3000μm、約500μm〜約3000μm、約500μm〜約2000μm、約750μm〜約1500μm、約800μm〜約1400μm、約900μm〜約1300μm、約1000μm〜約1300μm、約1100μm〜約1200μmの範囲、約1165、約1166、約1167、又は約1150μm〜約1200μmのz方向高さを有してよく、具体的には、上記に指定した範囲、及びその範囲内、及びその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1μm刻みが列挙される。突起部416のz方向高さは、本明細書に記載の突出部高さ試験に従って測定される。
【0114】
陥没部414の全て又は大部分は、約200μm〜約3000μm、約300μm〜約2000μm、約100μm〜約2000μm、約500μm〜約2000μm、約500μm〜約1500μm、約700μm〜約1300μm、約800μm〜約1200μm、約900μm〜約1100μm、約900μm〜約1000μm、約970μm、又は約950μm〜約1000μmの範囲のz方向高さを有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される任意の範囲内の、全ての1μm刻みが列挙される。陥没部416のz方向高さは、本明細書に記載の陥没部高さ試験に従って測定される。
【0115】
基材(又はトップシート)400、又はその部分は、約500μm〜約6000μm、約600μm〜約6000μm、約750μm〜約4000μm、約1000μm〜約6000μm、約1500μm〜約6000μm、約1000μm〜約3000μm、約1500μm〜約2500μm、約1750μm〜約2300μm、約1900μm〜約2300μm、約2000μm〜約2300μm、約2100μm〜約2250μm、約2136μm、又は約2135μmの範囲の全z方向高さを有してもよく、具体的には上記に指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の全ての1μm刻みが列挙される。基材400又はその一部分の全z方向高さは、本明細書に記載の全基材高さ試験に従って測定される。
【0116】
トップシート24は、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき、100%飽和時に10g/gを超える平衡毛管吸引吸着剤容量(Capillary Suction Sorbent Capacity、CSSC)を有してもよい。トップシート24は、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき、100%飽和時に10g/g超、かつ100%飽和時に35g/g未満のCSSCを有してもよく、具体的には指定された範囲内の全ての0.1g/g刻みが列挙される。捕捉層52又はトップシート下の層は、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき、100%飽和時に7g/g未満のCSSCを有してもよい。捕捉層52又はトップシート下の他の材料は、本明細書に記載の毛管収着試験に基づき、100%飽和時に7g/g未満、かつ100%飽和時に1g/g超のCSSCを有してもよく、具体的には指定された範囲内の全ての0.1g/g刻みが列挙される。トップシート24は、100%飽和時に、捕捉層52又はトップシート下の他の材料の100%飽和時のCSSCよりも高いCSSCを有してよい。
【0117】
孔422の大部分又はその全ては、約0.4mm
2〜約10mm
2、約0.5mm
2〜約8mm
2、約0.5mm
2〜約3mm
2、約0.5mm
2〜約4mm
2、約0.5mm
2〜約5mm
2、約0.7mm
2〜約6mm
2、約0.7mm
2〜約3mm
2、約0.8mm
2〜約2mm
2、約0.9mm
2〜約1.4mm
2の範囲、約1mm
2、約1.1mm
2、約1.2mm
2、約1.23mm
2、約1.3mm
2、又は約1.4mm
2の有効孔面積を有してよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm
2刻みが列挙される。孔の有効孔面積は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0118】
孔422の大部分又は全ては、約0.5mm〜約4mm、約0.8mm〜約3mm、約1mm〜約2mm、約1.2mm〜約1.8mm、約1.4mm〜約1.6mmの範囲、約1.49、又は約1.5mmのフェレ径(孔の長さ)を有してもよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm刻みが列挙される。孔のフェレ径は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0119】
孔422の大部分又は全ては、約0.5mm〜約4mm、約0.7mm〜約3mm、約0.8mm〜約2mm、約0.9mm〜約1.3mm、約1mm〜約1.2mmの範囲、約1mm、約1.1mm、約1.11mm、約1.2mm、又は約1.3mmの最小フェレ径(孔の幅)を有してもよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm刻みが列挙される。孔の最小フェレ径は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0120】
孔422の大部分又は全ては、約0.3〜約2.5、約0.5〜約2、約0.8〜約1.6、約1〜約1.5、約1.1〜約1.5の範囲、約1.2、約1.3、約1.35、約1.4、又は約1.5の最小フェレ径に対するフェレ径の比率を有してよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1刻みが列挙される。フェレ径比は、孔のフェレ径を孔の最小フェレ径で除算することにより計算される。
【0121】
突起部を横切って測定される、隣接する孔の大部分又は全ての、横方向軸線中心−中心の平均孔間隔は、約2mm〜約20mm、約2mm〜約15mm、約3mm〜約12mm、約3mm〜約10mm、約3mm〜約8mm、約3mm〜約7mmの範囲、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約4mm〜約6mm、約5mm〜約6mm、約4.8mm、約4.9mm、約5.0mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、又は約5.9mmであり、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm刻みが列挙される。隣接する孔の横方向軸線中心−中心の平均間隔は、本明細書に記載の平均孔間隔試験(横方向軸線孔間隔)に従って測定される。
【0122】
突起部を横切って測定される、隣接する孔の大部分又は全ての、長手方向軸線中心−中心の平均孔間隔は、約2mm〜約20mm、約2mm〜約15mm、約3mm〜約12mm、約3mm〜約10mm、約3mm〜約8mm、約3mm〜約7mmの範囲、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約4mm〜約6mm、約5mm〜約6mm、約4.8mm、約4.9mm、約5.0mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、又は約5.9mmであり、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm刻みが列挙される。隣接する孔の長手方向軸線中心−中心の平均間隔は、本明細書に記載の平均孔間隔試験(長手方向軸線孔間隔)に従って測定される。
【0123】
突起部416の大部分又は全ては、吸収性物品の横方向軸線に平行な方向で取って、約1mm〜約15mm、約1mm〜約10mm、約1mm〜約8mm、約1mm〜約6mm、約1.5mm〜約6mm、約2mm〜約5mmの範囲内の最大断面直径を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm刻みが列挙される。
【0124】
突起部416の大部分又は全ては、吸収性物品の長手方向軸線に平行な方向で取って、約1mm〜約15mm、約1mm〜約10mm、約1mm〜約8mm、約1mm〜約6mm、約1.5mm〜約6mm、約2mm〜約5mmの範囲の最大断面直径を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm刻みが列挙される。
【0125】
本開示の基材又はトップシートは、約1%〜約50%、約1%〜約40%、約3%〜約35%、約5%〜約25%、約5%〜約20%、約6%〜約18%、約5%〜約15%、約5%、約8%、約9%、約9.5%、約10%、約10.5%、約11%、又は約12%の範囲の有効開口面積%を有してよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1%刻みが列挙される。基材の%有効開口面積は、本明細書に記載される孔試験に従って測定される。
【0126】
本開示の基材又はトップシートは、約1mm〜約50mm、約1mm〜約30mm、約2mm〜約20mm、約2mm〜約15mm、約2mm〜約10mm、約3mm〜約8mm、約4mm、約5mm、約5.42mm、約6mm、又は約7mmの範囲の外周部を有する孔を有してよく、具体的には、上記で指定した範囲内、及びその範囲内に又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1mm刻みが列挙される。孔の外周部は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0127】
本開示の基材400の第1の側418は、約2〜約4.5、約2.5〜約4、約3〜約4、約3.1〜約3.5の範囲、約3.2、約3.3、約3.31、約3.35、約3.4、又は約3.5の幾何学的粗度値を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1刻みが列挙される。本開示の基材400の第1の側418の幾何学的粗度値は、本明細書に記載の記述分析粗度試験に従って測定される。本開示の基材400の第1の側418は、約0.2〜約0.4、約0.25〜約0.35、約0.27〜約0.31の範囲、約0.27、約0.28、約0.29、約0.30、又は約0.31の摩擦係数値を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.01刻みが列挙される。本開示の基材400の第1の側418の摩擦係数値は、本明細書に記載の記述分析粗度試験に従って測定される。本開示の基材400の第1の側418は、約0.010〜約0.025、約0.015〜約0.020の範囲、約0.015、約0.016、約0.017、約0.018、又は約0.019のスリップスティック値を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全て0.001刻みが列挙される。本開示の基材400の第1の側418の摩擦係数値は、本明細書に記載の記述分析粗度試験に従って測定される。
【0128】
本開示の基材400の第2の側420は、約2〜約4.0、約2.3〜約3.5、約2.5〜約3.3、約2.6〜約3.1の範囲、約2.6、約2.7、約2.8、約2.83、約2.9、又は約3.0の幾何学的粗度値を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1刻みが列挙される。本開示の基材400の第2の側420の幾何学的粗度値は、本明細書に記載の記述分析粗度試験に従って測定される。本開示の基材400の第2の側420は、約0.2〜約0.4、約0.25〜約0.35、約0.27〜約0.31の範囲、約0.27、約0.28、約0.29、約0.30、又は約0.31の摩擦係数値を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.01刻みが列挙される。本開示の基材400の第2の側420の摩擦係数値は、本明細書に記載の記述分析粗度試験に従って測定される。本開示の基材400の第2の側420は、約0.010〜約0.025、約0.011〜約0.018の範囲、約0.012、約0.013、約0.014、約0.015、又は約0.016のスリップスティック値を有してよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.001刻みが列挙される。本開示の基材400の第2の側420の摩擦係数値は、本明細書に記載の記述分析粗度試験に従って測定される。
【0129】
比率
%有効開口面積に対する突起部の高さ(μm)の比率は、約70〜約160、約80〜約150、約100〜約145、約95〜約150、約100〜約140、約110〜約130、約115〜約130、約118〜約125の範囲、約120、約121、約122、約122.74、約123、又は約124であってよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1刻みが列挙される。
【0130】
%有効開口面積に対する全基材高さ(μm)の比は、約125〜約350、約150〜約300、約175〜約275、約200〜約250、約215〜約235、約220〜約230の範囲内、又は約225であってよく、具体的には、上記に指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全て0.1刻みが列挙される。
【0131】
三次元基材の突起部高さ(μm)と表面(例えば、第1(418)又は第2(420))の幾何学的粗度との比は、約250〜約600、約300〜約500、約325〜約450、約325〜約425、約350、約352、約410、又は約412の範囲であってよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全て0.1刻みが列挙される。
【0132】
三次元基材の全基材高さ(μm)と表面(例えば、第1(418)又は第2(420))の幾何学的粗度との比は、約500〜約900、約600〜約800、約645、約650、約700、約750m、又は約755の範囲であってよく、具体的には、指定したで範囲、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全ての範囲内の、全ての0.1刻みが列挙される。
【0133】
本開示の基材又はトップシートは、1つ以上の色、染料、インク、しるし、パターン、エンボス、及び/又は図形を含んでもよい。色、染料、インク、しるし、パターン、及び/又は図形は、基材の審美的外観を補助し得る。
【0134】
本開示の基材は、ふきん、ワイプ(湿潤又は乾燥)、化粧落とし基材、ペーパータオル、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、医療用ガウン、外科用基材、ラップ、濾過基材、又は任意の他の好適な製品などの任意の好適な製品の一部分又は全体として使用されてよい。
【実施例】
【0135】
【表2】
【0136】
上記の表2から分かるように、3種の市販製品を試験して本開示の吸収性物品と比較した。試験した吸収性物品は全てサイズ2であった。本開示の吸収性物品は、最速の改質流体捕捉試験と、優れたコラーゲンリウェットと、低い軽触乾燥度(「LTD」)(即ち、トップシートの乾燥度)とを達成した。改質流体捕捉試験、コラーゲンリウェット、及び軽触乾燥度のための方法を以下に記載する。
【0137】
三次元基材又は三次元基材を含む吸収性物品の作製方法
本開示の三次元基材、及び三次元基材を含む吸収性物品は、当該技術分野において既知の任意の好適な方法により作製されてよい。具体的には、物品は手作りであってよい、又は高速で産業的に生産されてよい。
【0138】
図26は、本開示の基材の形成プロセスの一例の概略図である。
図27は、第1及び第2のロールの一部分の噛み合い係合の図である。
図28は、第1のロールの一部分の図である。
図29は、第2のロールの一部分の図である。
【0139】
図26〜
図29を参照すると、本開示の基材は、1つ以上の層基材399(非三次元)を、2つの噛み合いロール504及び506によって形成されるニップ502に通過させ、三次元基材400を形成することによって形成することができる。ロール504及び506は、加熱されてよい。第1のロール504は、(第2のロールと組み合わされて)基材400に孔422及び陥没部414を形成してよく、第2のロール506は、(第1のロールと組み合わされて)基材400に突起部416を形成してよい。第1のロール504は、第1のロール504から径方向外側に延出する複数の円錐形状の突出部508を含んでよい。第1のロール504はまた、第1のロール504の径方向外側表面に形成された複数の陥没部510を含んでよい。第2のロール506は、第2のロール506から径方向外側に延出する複数のドーム形状の突出部512を含んでよい。第2のロール506はまた、第2のロール506の径方向外側表面に形成された複数の陥没部514を含んでよい。第1のロール504上の突出部508は、第2のロール506上の突出部512とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有してよい。第1のロール504に形成された陥没部510は、第2のロール506に形成された陥没部514とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有してよい。第1のロール504の陥没部510は、ドーム形状の突出部512を少なくとも部分的に受容するように構成され得、それにより基材400に突起部414を形成する。陥没部510は、突起部414及び突起部ピーク425を形成している基材の部分が圧縮されないように、又は十分に圧縮されないように、十分深くてよい。具体的には、ドーム形状の突出部512が陥没部510に係合するとき、径方向の表面間に十分な深さの空間が残留するため、突起部414での基材の厚さは、陥没部510の厚さよりも大きい。この特徴により、突起部414を形成している基材の部分を圧縮するのと比較して、より柔らかい感触及びより大きい高さを有する突起部414が提供される。第2のロール506の陥没部514は、円錐形状の突出部508を少なくとも部分的に受容するように構成され得、それにより基材400に陥没部414及び孔422を形成する。
【0140】
本開示の基材はまた、当業者に既知の任意の他の好適な方法により形成されてよい。
【0141】
トップシート
パッケージ
本開示の吸収性物品はパッケージに入れられてもよい。パッケージは、高分子フィルム及び/又は他の材料を含んでよい。吸収性物品の特性に関する図柄及び/又は表示部は、パッケージの外側部分に形成され、印刷され、位置付けられ、及び/又は配置されてよい。それぞれのパッケージは、複数の吸収性物品を含んでよい。吸収性物品は、1パッケージ当たり妥当な量の吸収性物品を依然として提供しながら、パッケージのサイズを低減するように圧縮下で包装されてもよい。吸収性物品を圧縮下で包装することによって、介護者は、パッケージを容易に扱い、保管することができると共に、パッケージのサイズによる流通コストの削減を製造業者にもたらすことができる。
【0142】
したがって、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書に記載のバッグ内スタック高さテストに基づいて、約110mm未満、約105mm未満、約100mm未満、約95mm未満、約90mm未満、約85mm未満、約80mm未満、約78mm未満、約76mm未満、約74mm未満、約72mm未満、又は約70mm未満のバッグ内スタック高さを有してもよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全範囲内の、全ての0.1mm刻みを含む。あるいは、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書に記載のバッグ内スタック高さテスト基づいて、約70mm〜約110mm、約70mm〜約105mm、約70mm〜約100mm、約70mm〜約95mm、約70mm〜約90mm、約70mm〜約85mm、約72mm〜約80mm、又は約74mm〜約78mmのバッグ内スタック高さを有してもよく、具体的には、指定した範囲内、及びその範囲内で又はその範囲によって形成される全範囲内の、全ての0.1mm刻みを含む。
【0143】
図30は、複数の吸収性物品1004を含む例示的なパッケージ1000を示している。パッケージ1000は、複数の吸収性物品1004が置かれる内部空間1002を画定している。複数の吸収性物品1004は、1つ以上のスタック1006として配置されている。
【0144】
試験方法
試験前に、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、全てのサンプルを約2時間調整する。
【0145】
孔試験
孔寸法、有効孔面積、及び有効開口面積%の測定は、反射モードにおいて6400dpiの解像度及び8ビットグレースケールでスキャン可能なフラットベッドスキャナを使用して、生成された画像上で実施する(好適な走査装置は、Epson Perfection V750 Pro(Epson,USA)である)。分析は、ImageJ software(National Institutes of Health,USAのv.s.1.46)を使用して実施し、NISTによって認定された定規に対して較正される。試験片を取り付けるために鋼製フレーム(100mm
2、1.5mm厚、60mm
2開口部付き)を使用し、黒のガラスタイル(HunterLab(Reston,VA)から販売されるp/n 11−0050−30)を走査画像の背景として使用する。
【0146】
スチールフレームを取って、内部開口を取り囲む底面上に両面接着テープを貼る。試験片を取得するために、着用者に面する表面を上向きにして吸収性物品を作業台上に平らに置く。テープの剥離紙を除去し、鋼製フレームを吸収性物品のトップシートに接着する(本明細書に記載の基材は、例えば、トップシート上に配置されることによりトップシートの一部分のみを形成してもよく、三次元材料がサンプルとなるものである)。かみそりの刃を用いて、フレームの外周部の周りの吸収性物品の下層からトップシートを切り取る。長手方向及び横方向の拡張部が維持されるように、試験片を丁寧に取り除く。必要であれば、低温スプレー(Cyto−Freeze(Control Company,Houston TX)など)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。5つの実質的に同様の吸収性物品から取得した5つの複製試験片を、分析に備えて準備する。
【0147】
定規を走査装置ベッドに置き、蓋を閉じて、6400dpi及び8ビットグレースケールの解像度にて反射率モードで定規の50mm×50mmの較正画像を取得する。画像を圧縮前のTIFF書式ファイルとして保存する。蓋を持ち上げて定規を取り除く。較正画像を取得した後、全ての試験片を同じ条件下で走査して同じ較正ファイルに基づいて測定する。次に、試験片の着用者に面する表面を走査装置のガラス面に対向させた状態でフレーム付きの試験片を走査装置ベッドの中心に置く。黒のガラスタイルを、試験片を覆うフレーム上に置き、蓋を閉じて、走査画像を取得する。同様に、残りの4つの複製試験片を走査する。
【0148】
ImageJ内の較正ファイルを開き、画像化した定規を使用して、較正がその後の試験片に適用されるようにスケールをGlobalに設定したまま線形較正を行う。ImageJ内の試験片画像を開く。ヒストグラムを見て、孔の暗画素ピークと不織布材料のより明るい画像ピークとの間に位置する最小母集団のグレーレベル値を特定する。画像の閾値を最小グレーレベル値に設定して二値画像を生成する。処理した画像では、孔は黒く、不織布は白く見える。
【0149】
分析粒子機能を選択する。最小孔面積排除限界を0.3mm
2に、かつ、分析のために、縁部孔を除外するように設定する。有効孔面積、外周部、フェレ径(孔の長さ)及び最小フェレ径(孔の幅)を計算するようにソフトウェアを設定する。平均有効孔面積を0.01mm
2単位で、また平均外周を0.01mm単位で記録する。再度、分析粒子機能を選択するが、今回は有効孔面積を計算する際に縁部穴を含むように分析を設定する。有効孔面積(全体及び部分の孔を含む)を合計して、画像内に含まれた総面積(2500mm
2)で除算する。%有効開口面積を0.01%単位で記録する。
【0150】
同様に、残りの4つの試験片画像を分析する。5つの複製試験片について、平均有効孔面積を、0.01mm
2単位で、平均孔外周部を0.01mm単位で、フェレ径及び最小フェレ径を0.01mm単位で、及び、%有効開口面積を0.01%単位で計算し、報告する。
【0151】
高さ試験
基材突起部高さ及び全基材高さを、GFMesstechnik GmbH(Teltow/Berlin,Germany)から市販されるGFM MikroCAD Premium計器を用いて測定する。GFM MikroCAD Premium計器は、以下の主要構成要素を含む:a)直接デジタル制御マイクロミラーを備えるデジタル光処理(DLP)投影装置;b)少なくとも1600×1200ピクセルの解像度を有するCCDカメラ;c)少なくとも60mm×45mmの測定領域に適合された投影光学系;d)少なくとも60mm×45mmの測定領域に適合された記録光学系;e)小さな硬石プレートに基づく三脚台;f)青色LED光源;g)測定、制御、及び評価用のコンピュータ実行ODSCADソフトウェア(バージョン6.2又は等価物);並びに、h)供給メーカーから入手可能な、横方向(x−y)較正及び垂直方向(z)較正用の較正プレート。
【0152】
GFM MikroCAD Premiumシステムは、デジタルマイクロミラーパターン縞投影技術を用いてサンプルの表面高さを測定する。解析の結果は、x−y平面内の変位に対する表面高さ(z方向つまりz軸)のマップである。このシステムは、およそ40マイクロメートルのx−yピクセル解像度を伴う、60×45mmの視野を有する。高さの解像度は、±15mmの高さ範囲で、0.5マイクロメートル/カウントに設定される。全ての試験は、約23±2℃及び約50±2%の相対湿度に維持された調湿室内で行われる。
【0153】
スチールフレーム(100mm平方、厚さ1.5mmで、70mm平方の開口部を有する)を使用して試験片を乗せる。スチールフレームを取って、内部開口を取り囲む底面上に両面接着テープを貼る。試験片を得るために、着用者に面する表面を上向きにして吸収性物品を作業台上に平らに置く。テープの剥離紙を除去し、鋼製フレームを吸収性物品のトップシートに接着する(本明細書に記載の基材は、例えばトップシート上に配置されることによりトップシートの一部分のみを形成してもよく、三次元材料がサンプルとなるものである)。かみそりの刃を用いて、フレームの外周部の周りの吸収性物品の下層からトップシートを切り取る。長手方向及び横方向の拡張部が維持されるように、試験片を丁寧に取り除く。必要であれば、低温スプレー(Cyto−Freeze(Control Company,Houston TX)など)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。5つの実質的に同様の吸収性物品から取得した5つの複製試験片を、分析に備えて準備する。
【0154】
製造者の仕様書に従って、供給メーカーから入手可能な、横方向(x−y軸)及び垂直方向(z軸)用の較正プレートを用いて計器を較正する。
【0155】
鋼製プレート及び試験片を、着用者に面する表面をカメラに向けてテーブル上のカメラの真下に置く。試験片の表面だけが画像内で見られるように、試験片の中心をカメラの視野内に合わせる。試験片を、しわを最小限にして平らに置く。
【0156】
計器製造者の推奨する測定手順に従って、試験片の高さの画像(z方向)を収集する。以下の操作パラメータを有する技術的表面/標準測定プログラムを選択する:3フレームディレイを用いた高速録画の使用。デュアル位相シフトを、1)ピクチャー数12を有する16ピクセルストライプ幅、及び2)ピクチャー数8を有する32ピクセルストライプ幅、と共に用いる。ピクセル2で開始し、ピクセル512で終了するフルグレイコード。測定プログラムを選択した後、測定システムの焦点合わせ及び輝度調整の実施に関して、引き続き計器製造者の推奨手順に従う。3D測定を実施した後で、高さ画像及びカメラ画像ファイルを保存する。
【0157】
高さ画像を、クリップボードを介してソフトウェアの分析部分に取り込む。続いて、各画像に対して以下のフィルタリング手順を実施する:1)不正な点の除去、2)頂部(小さな局部的上昇)の除去、3)n=5のランクを有し、材料部分から頂部の30%及び谷部の30%を排除した、5サイクルの、材料部分の多項式フィルタリング。
【0158】
突起部高さ試験
一連の突起部のピークを接続する線を引く。この線は、突起部のそれぞれの間に位置する、無孔のランド領域を通る。描いた線に沿って、高さの画像の断面画像を生成する。断面線に沿って、突起物の頂点と隣接するランド領域の谷部との間の垂直高さ(z方向)の差を測定する。高さを0.1μm単位で記録する。10個の異なる突起物の頂点からランド領域までの高さの測定値をまとめて平均化し、この平均値を0.1μm単位で報告する。これが突起物高さである。
【0159】
陥没部高さ試験
全基材高さから突起部高さを減じて、陥没部高さを得る。これは、突起部高さ試験及び全基材高さ試験からの各10個の測定値で行う必要がある。10個の陥没部高さを平均し、この値を0.1μm単位で報告する。これが陥没部高さである。
【0160】
全基材高さ試験
一連の突起部のピークを接続する線を引く。この線は、突起部のそれぞれの間及び陥没部に位置する、孔の中心を通る。描いた線に沿って、高さの画像の断面画像を生成する。断面線に沿って、突起部のピークと隣接する陥没部の底部との間の垂直高さの差を測定する。高さを0.1μm単位で記録する。10個の異なる突起部ピークから陥没部の底部までの高さ測定値を平均し、この値を0.1μm単位で報告する。これが全基材高さである。
【0161】
平均孔間隔試験
横方向軸線孔間隔及び長手方向軸線孔間隔を、反射モードにおいて6400dpiの解像度及び8ビットグレースケールでスキャン可能なフラットベッドスキャナを使用して、生成された画像上で実施する(好適な走査装置は、Epson Perfection V750 Pro(Epson,USA)である)。分析は、ImageJ software(National Institutes of Health,USAのv.s.1.46)を使用して実施し、NISTによって認定された定規に対して較正される。試験片を取り付けるために鋼製フレーム(100mm
2、1.5mm厚、60mm
2開口部付き)を使用し、黒のガラスタイル(HunterLab(Reston,VA)から販売されるp/n 11−0050−30)を走査画像の背景として使用する。試験は、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%にて行う。
【0162】
スチールフレームを取って、内部開口を取り囲む底面上に両面接着テープを貼る。試験片を取得するために、着用者に面する表面を上向きにして吸収性物品を作業台上に平らに置く。テープの剥離紙を除去し、鋼製フレームを吸収性物品のトップシートに接着する。かみそりの刃を用いて、フレームの外周部の周りの吸収性物品の下層からトップシート(即ち、着用者に面する表面の全体又は一部分を形成する三次元基材)を切り取る。長手方向及び横方向の拡張部が維持されるように、試験片を丁寧に取り除く。必要であれば、低温スプレー(Cyto−Freeze(Control Company,Houston TX)など)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。5つの実質的に同様の吸収性物品から取得した5つの複製試験片を、分析に備えて準備する。試験前に約2時間かけて約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、サンプルを調整する。
【0163】
定規を走査装置ベッドに置き、蓋を閉じて、反射率モードにおいて6400dpiの解像度及び8ビットグレースケールで定規の50mm×50mmの較正画像を取得する。画像を圧縮前のTIFF書式ファイルとして保存する。蓋を持ち上げて定規を取り除く。較正画像を取得した後、全ての試験片を同じ条件下で走査して同じ較正ファイルに基づいて測定する。次に、試験片の着用者に面する表面を走査装置のガラス面に対向させた状態でフレーム付きの試験片を走査装置ベッドの中心に置く。黒のガラスタイルを、試験片を覆うフレーム上に置き、蓋を閉じて、走査画像を取得する。同様に、残りの4つの複製試験片を走査する。
【0164】
ImageJ内の較正ファイルを開き、画像化した定規を使用して、較正がその後の試験片に適用されるようにスケールをGlobalに設定したまま線形較正を行う。ImageJ内の試験片画像を開き、以下の測定を行う。
【0165】
横方向軸線孔間隔
1つの孔の中心点から、2つの孔の間に配置されている突起部の反対側の、隣接する孔の中心点までを測定する。測定値は、突起部を横切って、試験片の横方向軸線に平行な方向に取得される。各距離を0.1mm単位で報告する。試験片内で5つのランダムな測定値を取得する。5つの値を平均し、横方向軸線中心−中心間隔の平均を0.1mm単位で報告する。この手順を、更に4つのサンプルにて繰り返す。
【0166】
長手方向軸線孔間隔
1つの孔の中心点から、2つの孔の間に配置されている突起部の反対側の、隣接する孔の中心点までを測定する。測定値は、突起部を横切って、試験片の長手方向軸線に平行な方向に取得される。各距離を0.1mm単位で報告する。試験片内で5つのランダムな測定値を取得する。5つの値を平均し、長手方向軸線の中心から中心までの間隔の平均を、0.1mm単位で報告する。この手順を、更に4つのサンプルにて繰り返す。
【0167】
坪量試験
三次元基材の秤量は、いくつかの利用可能な技術によって判定され得るが、単純な代表的な技術では、吸収性物品を取ることと、存在する恐れがある一切の弾性を除去することと、吸収性物品を全長まで伸張させることと、を含む。その後、45.6cm
2の面積を有する打抜き型を使用して、存在する恐れがある任意の他の層にトップシートを固着するために使用され得る任意の接着剤を可能な限り回避する場所において、おむつ又は吸収性製品のほぼ中心から、トップシートを形成する、トップシート上に配置される、又はトップシートの一部分を形成する基材(この方法では「トップシート」)片を切り取り、(必要であればCyto−freeze(Control−Company(Houston,Tx))など、低温スプレーを使用して)トップシート層を他の層から除去する。その後、サンプルを秤量して打抜き型の面積で割ると、トップシートの秤量が得られる。結果を、5つのサンプルの平均として、0.1グラム/平方メートル単位で報告する。
【0168】
記述分析粗度法
表面幾何学的粗度を、粗度センサ(Kato Tech Co.(Japan)から入手可能)を有するKawabata評価システムKES FB4摩擦試験機を使用して測定する。この計器は、表面摩擦及び幾何学的粗度の両方を同時に測定するが、本明細書では、幾何学的粗度(SMD値)のみを報告する。全ての試験は、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%にて行う。サンプルを、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度にて試験前に約2時間かけて予備調整する。計器は、製造者の指示に従って較正される。
【0169】
着用者に面する表面を上向きにして実験台に吸収性物品を置く。吸収性物品のカフを鋏で切り取って物品を平らに置きやすくする。鋏又は小刀を用いて、吸収性物品の長手方向にて長さ20cm、吸収性物品の横方向にて幅10cmで、トップシートの試験片を切り取る。長手方向又は横方向に寸法を歪ませないように試験片を取り去る際に注意するべきである。試験片は、合計5点の実質的に全く同じ物品から収集する。
【0170】
KES FB4をオンにする。器具は、使用前に少なくとも10分かけて暖機させるべきである。計器をSMD感度2×5、試験速度0.1、及び圧縮面積2cmに設定する。粗度コントラクタ(contractor)圧縮(接触力)を0.1N(10gf)に調整する。着用者に面する表面を上向きし、長手方向の寸法が計器の試験方向と整合された状態でトップシート試験片を試験器上に置く。0.2N/cm(20gf/cm)の初期張力で試験片を挟持する。試験を開始する。計器は、試験片について3回測定を自動的に行うことになる。3つの測定値のそれぞれからMIU(摩擦係数)、MMD(スリップスティック)、及びSMD(幾何学的粗度)値を0.001マイクロメートル単位で記録する。残りの4つの試験片についても同様に繰り返す。
【0171】
摩擦係数を15個の記録値の平均として、0.01の単位で報告する。スリップスティックを15個の記録値の平均として、0.001単位で報告する。幾何学的粗度を15個の記録値の平均として、0.01マイクロメートル単位で報告する。
【0172】
バッグ内スタック高さ試験
吸収性物品のパッケージのバッグ内スタック高さは、以下のとおりに判定する。
【0173】
機器
平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さテスタが使用される。厚さテスタは、水平スライディングプレートが平坦な剛性の水平ベースプレートの直ぐ上で水平の向きに常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成される。厚さテスタは、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の間隙を±0.5mm以内で測定するのに好適な装置を含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(即ち、全ての方向で各プレートは吸収性物品パッケージの接触表面を越えて延在する)。水平スライディングプレートは、8.34N(850±1重量グラム)の下向きの力を吸収性物品パッケージに加えるが、これは、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上面の中央に好適な重しを置いて、スライディングプレートの合計質量に付加重量を足したものが850±1グラムとなるようにすることによって達成されてもよい。
【0174】
試験手順
吸収性物品パッケージを、測定前に、23±2℃及び50±5%の相対湿度で平衡化する。
【0175】
水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平方向になるような形で、吸収性物品パッケージを水平スライディングプレート下で中央に配置する(
図30を参照)。プレートのどちらかに接触するであろうパッケージの表面上にある任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限にする。水平スライディングプレートを、パッケージの上面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の間隙を±0.5mm以内で測定する。5つの同一パッケージ(同じサイズのパッケージ及び同じ吸収性物品数)を測定し、算術平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内スタック高さ」=(パッケージ幅/1スタック当たりの吸収性物品数)×10を計算し、±0.5mm以内で報告する。
【0176】
厚さ試験
±°10μmの分解能、及び直径56mmの平底円形面を有する円形「足部」を有するダイヤルゲージ又はデジタルの等価物を用いて材料サンプルの厚さを測定する。ゲージを、足部の底面全体がベース部の上面と接触するように、水平平面の堅い上面を有するベース部に搭載する。
【0177】
足部によって、ベース部、又は足部とベース部との間に挿入された材料サンプルに加えられた下向きの力は、足部の重量に依存する(即ち、用いられる機器そのものに依存する)。
【0178】
ゲージ足部に加えられた重量は、台としての秤皿がゲージと同じ相対位置にあるように、ゲージを好適な上乗せ式天秤に搭載することで測定できる。これは材料サンプルの厚さには依存しない。力は、合計重量が518gとなる(即ち、直径56mmの足部によって加えられる圧力が2065±10Paとなる)ように、足部に重りを追加することによって調節する。
【0179】
ゲージは製造業者の指示書に従って較正される。
【0180】
材料サンプルは対応するトップシート又は捕捉層前駆材料から直径6cmの円として切り取られる。こうした材料サンプルを、足部が完全に材料サンプルと接触するようにベース部に置く。
【0181】
材料サンプルの厚さは、足部をベース部に乗せた状態でゲージを読み取ることによって決定する(G0)。続いてゲージ足部を持ち上げて、材料サンプルをベース部上に平らに敷く。足部を材料サンプル上にゆっくりと下ろし、足部が材料サンプルと接触した5秒後にゲージを読み取る(GT)。この位置での材料サンプルの厚さは、2つの読み取り値の間の差異である(GT−G0)。厚さは3回の反復実験の平均であり、0.01mmの単位に四捨五入してミリメートル単位で報告する。
【0182】
毛管収着試験
毛管収着の現象は、良く理解されている。吸収性構造体の毛管収着の考察については、A.A.Burgeni及びC.Kapur著「Capillary Sorption Equilibria in Fiber Masses」、Textile Research Journal,37(1967),pp.356〜366、並びにP.K.Chatterjee著のAbsorbency,Textile Science and Technology Vol.7,Chapter II,「Mechanism of Liquid Flow and Structure Property Relationships」,pp.29〜84(Elsevier Science Publishers B.V.,1985)を参照されたい。
【0183】
多孔質ガラスフリットは、遮られていない流体の柱を介して、秤でモニターされた流体リザーバに接続される。試験流体は、脱気した0.9%生理食塩水である。多孔質ガラスフリット上に取り付けられたサンプルは、実験中、一定の制限圧力を受けて維持される。多孔質構造体が流体を吸収/脱着するにつれて、秤リザーバの重量が記録される。そのデータは、毛管吸引高さの関数として平衡容量を決定するのに使用される。吸収は、フリットの増分下降(即ち、毛管吸引高さの低下)の間に生じる。脱着は、フリットの増分上昇(即ち、毛管吸引高さの増加)の間に生じる。データは、多孔質フリットの毛管収着と実験中の流体の蒸発とに対して補正される。
【0184】
図31に示すように、毛管収着装置を準備し、実験室条件下(23±2℃、50±5%RH)で作動させる。秤2007の上に静置された流体リザーバ2006に液圧的に接続された、移動可能なサンプル組立体2002の中にサンプルを置く。秤2007は、±0.001g以内の精度で読み取られるべきであり、またデータ収集のためのコンピュータシステム2010に接続可能であるべきである。好適な秤は、Mettler ToledoからPR1203として入手可能である。システムの具体的な流体経路は以下のとおりである。サンプル組立体2002の底部が、Tygon(登録商標)管2003経由でガラス製三方ストップコック2004aに接続される。ストップコック2004aは、ドレーン、又はガラス管2004c経由で第2のガラス製三方ストップコック2004bのいずれかに接続される。このストップコック2004bは、充填リザーバ2005間又は秤リザーバ2006の間で切り替えを行う。
【0185】
秤リザーバ2006は、直径11cmでプラスチック製カバー2008を有する軽量の皿である。カバー2008はその中央に孔を有しており、この孔を通ってガラス管2004dが秤リザーバ2006内の流体に接触する。孔はガラス管2004dの外径よりもわずかに大きい。ガラス管2004dはカバー2008に触れてはならず、触れた場合は秤読み取りが無効になる。秤2007及び秤リザーバ2006は、Plexiglas(登録商標)ボックス2012で更に包囲し、これによってリザーバ2006からの試験流体の蒸発を最小限にし、かつ手順中の秤の安定性を向上させる。ボックス2012は頂部及び壁部を有しており、頂部は管2004dが挿入される孔を有する。孔は蒸発を最小限にするために、実用可能な限りに小さい。
【0186】
図32に示すとおり、サンプル組立体2002は、ガラス製フリットディスク2009bを取り付けたブフナー式漏斗2009a、及び試験サンプル2009gに小さな封圧を提供する重り/シリンダ装置2009c、2009dを備える。フリットディスク漏斗2009aは約500mLの容量を有し、10〜16μmの細孔を有すると指定されたガラス製フリットディスク2009b(ROBUからVitaPOR(登録商標)Glasfilter POR4として入手可能)を備える。孔は、指定されている毛管吸引高さでフリットの表面を濡れた状態に保つほど十分に細かい(即ち、フリットディスクは、空気が、フリットの下の試験液体の連続柱に入り込むのを許容しない)。
【0187】
シリンダ装置2009dはLexan(登録商標)又は類似の剛性材料から製作され、外径7.0cm、内径6.0cm、及び高さ6.5cmを有する。重り装置2009cは2.1Kpa(0.3psi)の圧力を加え、シリンダ2009dの内径よりも約0.020cm小さい直径を有する。試験流体の過剰な蒸発を防ぐために、蓋2009fでフリットディスク漏斗2009aを覆う。圧力を平衡化させるために、蓋2009fはフリットディスク漏斗2009aと共に気密封止を形成するべきではない。これは、蓋に針孔又は等価の小開口部を必要とする場合がある。
【0188】
図31に示すように、サンプルの垂直高さを調整するように用いられる垂直スライド2001に、サンプル組立体2002を搭載する。垂直スライド2001はコンピュータ制御によるロッドレスアクチュエータであってもよい。好ましいアクチュエータ及び電動機駆動制御インターフェースユニットが、Parker Hannifin Corp(5500 Business Park Drive,Rohnert Park,CA 94928)から、品目Compumotor SX83−135として入手可能である。
【0189】
毛管収着実験の開始から終了まで、秤からのデータはコンピュータ2010経由で収集される。秤の読み取りは、サンプルがそれぞれの毛管吸引高さにある間に、5秒間毎に読み取られる。5秒間隔で20回の連続間隔に対して、秤リザーバ2006の重量変化が0.008g未満であるとき、システムは平衡に達していると見なされる。
【0190】
トップシート又は捕捉材料が本試験方法に用いられる。これらの材料の試験片を、アーチパンチ(arch punch)を用いて直径6cmの円を材料から打ち抜くことによって得る。ほとんどの場合において、最初に凍結スプレーを用いて吸収性物品から材料を分離しなければならない。
【0191】
吸収性製品を、トップシート面を上向きにした緊張平面構成で平坦面に取り付けることにより、使い捨て吸収性物品から分配材料の試験片を更に得る。吸収性製品が平坦に敷かれるように、全ての脚部弾性体又はカフ弾性体を切断する。製品の長手方向中心線の中点に印を付ける。ハサミを用いて、貯蔵コア(即ち、吸収性材料の総重量に基づいて20%超の超吸収性ポリマーを収容する層)より上の全ての層に、おむつの全長に沿って2つの長手方向の切り込みを入れる。同じ層の前後腰部縁部付近に、2つの横方向の切り込みを入れる。続いて、構造体を摂動させることなく、トップシート及び貯蔵コアより上の全ての他の層の中央部分を除去する。凍結スプレー(例えばCRC Industries,Inc.(885 Louis Drive,Warminster,PA 18974,USA)製CRC Freeze Spray)、又は等価の助剤を用いて吸収性製品からの最上位層の除去を促進することができる。続いて、必要に応じて、凍結スプレーを用いて、分配層を他の全ての層から分離させる。物品の長手方向中心線の中点に中心を合わせた分離した分配層から、アーチパンチを用いて直径6cmの円を打ち抜くことによって、分配層の試験片を得る。
【0192】
吸収性コアより上の全ての層が除去された後、必要に応じて、凍結スプレーを用いてフィルムバックシート及び不織布外側カバーをコアから取り外す。物品の長手方向中心線の中点に中心を合わせた分離したコア層から、アーチパンチを用いて直径6cmの円を打ち抜くことによって、コアの試験片を得る。
【0193】
トップシート、捕捉層、分配層、及び吸収性コアの試験片の厚さを、厚さ試験に基づき測定する。試験片の厚さが0.50mm以上である場合は、試験片はそのままの状態で試験する。試験片の厚さが0.50mm未満である場合は、続いて上記で説明したとおりに同一の吸収性製品から4つの追加試験片を得て、5つの試験片を、製品中で実施する場合と同じ向きで積層する。続いて、5つの層の積層体を試験片として用いる。
【0194】
本試験方法において、用語「試験サンプル」とは、トップシート、捕捉層の試験片、又は分配層の試験片を指す。
【0195】
毛管収着試験を、トップシート用試験片、捕捉層用試験片、分配層用試験片、及び吸収性コア用試験片に対して行う。
【0196】
実験の準備
生理食塩水の脱気処理
1.超音波水浴中の水(例えばBandelin Sonorex Super 10P DK514BP、容量18.7L、325×300×200mm)を50℃まで加熱する。
2.約9Lの0.9%生理食塩水溶液で充填して、Parafilm(登録商標)で軽く蓋をした10Lの測容フラスコを、50℃の超音波水浴中に置く。生理食塩水溶液の約2/3が50℃の水で覆われるべきである。少なくとも90分間、超音波を適用する。
3.使用前に、脱気した生理食塩水を室温に冷却する。
【0197】
フリットディスク漏斗9aの脱気
1.脱気した0.9%生理食塩水で充填した大きなプラスチック容器を真空乾燥機内に置く。
2.洗浄したフリットディスク漏斗2009aを容器内に置いて、脱気した生理食塩水で完全に覆う。次に0.8kPa(8mbar)以下の真空を適用する。
3.時々乾燥機の真空を解放して、ガラスフリット2009b内の気泡を逃がす。ガラスフリット2009bより下の気泡を、フリットを上下逆さにすることにより除去する。
4.5時間後、脱気が完了する。
【0198】
準備
1.サンプル組立体2002を除いて、
図31に示すとおりに装置構成部品を準備する。
2.秤リザーバ2006を秤2007の上に置く。Plexiglas(登録商標)ボックス20012を秤及び流体リザーバ上に置いて、ガラス管2004dが秤リザーバ2006又はカバー2008に触れることなくボックス2012を通し、かつカバー2008を通して挿入され得るように、孔を位置決めする。
3.充填リザーバ2005に、脱気した0.9%生理食塩水を充填する。ストップコック2004a及び2004bを回して、管2003、2004c、及び2004d、並びに秤リザーバ2006に液体を充填させる。ストップコック2004aのドレーンから全ての気泡を逃がす。ストップコック2004a及び2004bを閉じる。
4.洗浄して脱気したフリットディスク漏斗2009aを、気泡を導入することなくTygon(登録商標)管2003に接続する。ストップコック2004a及び2004bを開いて、充填リザーバ2005からの生理食塩水溶液でフリット2009bをフラッシュする。フラッシュ手順の間、フリット2009bは充填リザーバ2005よりも低い高さに維持する。漏斗を反転させることで、流体を漏斗2009aから除去する(フリット2009bを通過した後で)。約150mLの流体を用いてフリットをフラッシュする。
5.フリットディスク漏斗2009aを垂直スライド2001に取り付ける。
6.サンプル漏斗2009aの内部及びガラスフリットの実表面上にフィットし得る小さい水準器を用いて、ガラスフリット2009bを再び水平にする。
7.ストップコック2004a、2004bを開いてフリットディスク漏斗2009aと秤リザーバ2006とを接続する。
8.秤リザーバ2006内の流体の表面がガラスフリット2009bの頂部表面と高さが合うように、ガラスフリット2009bをゼロ設定する。これは、内径約2006mmの好適なガラス管を、フレキシブルチューブを介してストップコック2004aの「廃棄物」排出口に接続することによって達成され得る。ガラス管を漏斗2009aと平行にして垂直に保持し、流体がリザーバ2006からガラス管及びフリットディスク漏斗内に流れるようにストップコック2004aをセットする。ガラスフリット2009bの頂部表面が、ガラス管の流体と同じ高さ、又はガラス管の流体よりも1mm未満高くなるように調節する。これを達成するためには、秤リザーバ2006内の液体の量を調節するか、又は垂直スライド2001上でゼロ位置を再セットするか、のいずれかを行う。(これによって、フリットのゼロ毛管吸引高さ位置が確定される)。この位置からフリットを10cm引き上げることで、高さ10cmの毛管吸引高さが作られる。毛管吸引高さは、フリットの頂部表面が秤リザーバの流体と同じ高さ又はそれより上にあるときの、ガラスフリット2009bの頂部表面と秤リザーバの流体表面との間の垂直距離である。ガラスフリット200bの高さを一旦調節したら、フリットディスク漏斗2009aのみを秤リザーバ2006と接続するようにストップコック2004aを再セットする。フリット高さの調節の補助に用いたガラス管及びフレキシブルチューブは取り外してもよい。
9.フリットディスク漏斗2009aの頂部を蓋2009fで閉じる。
10.平衡に達するまで10分待ち、続いて高さ0cmでの秤2007の値をグラム単位で記録する。
【0199】
毛管収着手順
1.フリットディスク漏斗2009aを80cm毛管吸引高さに配置する。ストップコック2004a及び2004bがフリットディスク漏斗2009aと秤リザーバ2006とを接続していることを確認する。(充填リザーバ2005はストップコック2004bによって隔離され、ドレーンはストップコック2004aによって隔離される)。フリットディスク漏斗2009aを10分間平衡化させる。
2.試験サンプル2009gをシリンダ2009d内で同心円状に配置し、この両方をガラスフリット2009bの表面上で同心円状になるように配置する。重り2009c(サンプルと同じ直径を有する)をシリンダ2009d内に挿入する。
3.秤及び時間読み取りを開始する。
4.平衡に到達した後(上記のとおり決定される)、平衡秤読み取り値(g)、サンプル時間(s)、及び毛管吸引高さ(cm)を記録し、サンプル組立体2002の高さを、吸収/脱着サイクル中の次の毛管吸引高さに合わせて調節する。それぞれの毛管吸引高さにおける最後の秤読み取りが、その高さについての平衡秤読み取りとして選ばれる。それぞれの指定された毛管吸引高さにおける最初の秤読み取りと最後の秤読み取りとの間の経過時間が、その高さについてのサンプル時間である。毛管吸引高さは以下のとおりである(全ての高さはcm単位):80、70、60、50、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5、0。
【0200】
毛管吸引高さが80cmから0cmに低下する間に得たデータから平衡毛管吸収値を導く。0cmの毛管吸引高さで最大毛管収着値を得る。脱着データは、上記の毛管吸引高さを逆の順序(即ち、0cmから開始して80cmで終了する)で用いた類似手順によって得ることができる。
【0201】
蒸発速度
上記に列挙したあらゆる適切な予防措置を講じた後でさえ、いくらかの蒸発損失が起こる。新たに設置された各ガラスフリット2009bに対して蒸発速度を測定する。
1.サンプル組立体2002をガラスフリット2009bが0cmに来るように移動させる。ストップコック2004a及び2004bを開いてガラスフリット2009bと秤リザーバ2006とを接続する。システムを10分間平衡化させる。
2.シリンダ2009dをガラスフリット2009bと同心円状に置く。
3.秤読み取り値及び時間を5.0時間記録する。
【0202】
ガラスフリット補正
ガラスフリット2009bは多孔質構造であるため、毛管吸引高さにおけるサンプルの絶対平衡毛管収着値を得るために、それぞれの毛管吸引高さにおけるその平衡毛管収着値を決定して、測定された平衡毛管収着値から差し引かれなければならない。ガラスフリット補正は、使用される新しいガラスフリット毎に実行されるべきである。指定された各毛管吸引高さ(cm)におけるブランク平衡秤読み取り(g)及びブランク時間(s)を得るために、試験サンプルがないことを除いては、上記のとおりの毛管収着手順を実行する。
【0203】
計算
上記の毛管収着手順の項に従って測定される。
毛管吸引高さhにおける平衡毛管収着値(g)=風袋秤読み取り値(g)−吸引高さhにおける平衡秤読み取り値(g)
【0204】
上記の蒸発速度の項に従って測定される。
【0205】
【数1】
【0206】
上記のガラスフリット補正の項に従って測定される。
毛管吸引高さhにおけるブランク毛管収着値(g)=風袋秤読み取り値(g)−吸引高さhにおけるブランク平衡秤読み取り値(g)
高さhにおけるフリット補正値(g)=ブランク毛管収着値(g)−(ブランク時間(s)×蒸発速度(g/sec))
【0207】
平衡毛管吸引吸収剤容量(CSSC):
毛管吸引高さhにおけるCSSC(g/g)=(平衡収着値(g)−(サンプル時間(s)×サンプル蒸発(g/sec)−フリット補正値(g))/サンプルの乾燥重量(g)
CSSCは乾燥サンプルのグラム当たりに吸収された試験液体のグラム単位で表され、それぞれの毛管吸引高さの吸収に関して計算される。
【0208】
最大平衡毛管収着容量は、毛管吸引高さ0cmにおけるCSSC値である。
【0209】
平均吸収圧:
平均吸収圧(MAP)は、材料が測定の吸収段階における最大平衡毛管収着容量の50%を有する毛管吸引高さであり、(試験流体の)cm単位で表される。
【0210】
改質流体捕捉試験
改質流体捕捉(「Modified Fluid Acquisition、MFA」)試験は、2.07kPaで圧縮された吸収性物品に0.9%生理食塩水が吸収される速度を測定するように設計される。既知の体積を4回導入する。毎回、前の用量が吸収されてから5分後に、次の用量を開始する。各用量を吸収するのに必要な時間が記録される。全ての試験もまた、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で維持された室内で行う。試験流体は0.9%w/v生理食塩水溶液であり、これは、9.0g±0.05gのNaClを坪量ボート内で計量してから1Lの容積測定フラスコに移して、容積まで脱イオン水で希釈することによって調製される。
【0211】
MFA装置を
図33〜
図35bで描写する。MFA装置はゴム嚢アセンブリ3001と、堆積アセンブリ3100を含むトッププレートアセンブリ3200と、を備える。コントローラ3005は、1)電極3106全体でインピーダンスを監視して、0.9%生理食塩水溶液がシリンダ3102内にある時間間隔を記録し、2)液体ポンプ3004と接続して分注を開始/停止し、3)投与の間隔を測る、ために用いられる。コントローラ3005は、時間事象を±0.01秒で記録することができる。住宅用空気源3014を好適な流量/圧力で空気を送達可能な圧力調節器3006に接続して、ゴム嚢アセンブリ3001内で2.07kPaを維持する。流量3〜15ml/sで10〜80mlの流れを送達可能な液体ポンプ3004(Cole Palmer(Vernon Hills、IL)から入手可能なIsmatec MCP−Zギヤポンプ、又は同等品)を、Tygon管3015を介して、堆積アセンブリ3100の鋼製チューブ3104に取り付ける。
【0212】
ゴム嚢アセンブリ3001は、12.7mmのプレキシグラスで作製され、全体の寸法は、長さ80cm、幅30cm、高さ10cmである。アセンブリ内の圧力を測定するマノメータ3007と、アセンブリへの空気導入を調節する圧力計3006が、右側を通る2つの穴を通して取り付けられる。ゴム嚢3013は、50mm×100mmのシリコーンフィルム片(厚さ0.05cm(0.02インチ)、ショアAデュロメータ値20、McMaster−Carr(Cleveland,OH)から部品番号86435K85として入手可能)をドレープ状にすることによって箱の上に組み立てられ、これは、フィルムが箱の底部の中心点に触れるように十分なたるみを有する。フランジを備えたアルミニウムフレーム3003を、フィルム上部に取り付け、機械的クランプ3010を使って定位置に固定する。定位置にあるとき、このアセンブリは圧力3.45kPaで漏れが生じない状態であるべきである。前側3008と後側3009のサンプルサポート(5cm×30cm×1mm)を使用して、サンプルを固定する。接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかを使って、吸収性物品をサンプルサポートの上面に取り付ける。これらの支持具は、単純なピン及び穴のシステムによって、アルミニウムフレーム3003の長さに沿って調節して、様々なサイズの吸収性物品に対応させ、これらの搭載点を正確に揃えさせることができる。
【0213】
トッププレートアセンブリ3200は、剛性を高めるためにアルミニウムフレーム3109で補強された12.7mmのプレキシグラスの80cm×30cm片から作製される。このプレートは、堆積アセンブリを取り付けるために、プレート3201の170mm前方に、プレートの横方向に中心を置いた幅170mm×長さ201mmの切り欠きを有する。加えて、トッププレートには直径3.2mmの穴36個が、
図35Aに示すように分散してドリルで穴開けされている。この穴により、ゴム嚢が膨張するときに、空気がトッププレートの下にトラップされることが防止される。トッププレートアセンブリ3200は、2つのヒンジ3012によってゴム嚢アセンブリ3001に接続されている。使用中、トップアセンブリはゴム嚢アセンブリの上に閉じられ、機械的クランプ3011を用いて定位置にロックされる。
【0214】
堆積アセンブリ3100はトッププレート3200に嵌め込まれ、1)液体導入シリンダ3102と、2)吸収性物品の搭載点に湾曲面3101と、3)シリンダ3102内の流体を検出するために使用される電極3106と、を含む。湾曲構成要素の詳細な寸法は
図34A〜
図34Eに示す。
図34Aは湾曲構成要素の側面図である。
図34Bは湾曲構成要素の端面図である。
図34Cは湾曲構成要素の底面図である。
図34Dは湾曲構成要素の底面斜視図である。
図34Eは湾曲構成要素の上面斜視図である。この湾曲構成要素は圧延又は3D印刷することができる。導入シリンダの上部は外形50.8mmである。プレキシグラスシリンダ3102は内径38.1mmである。これを湾曲構成要素に嵌め込み、導入シリンダの全高を100mmとする。埋め込まれた電極は、湾曲構成要素の上面のコネクタから延び、シリンダの底部から2mmにある、導入シリンダの内壁とぴったり重なって終端する。2つの電極は、180度離れて位置付けられる。ナイロン製スクリーン3107を切断して、シリンダの底部とぴったり重なるように取り付け、サンプルが膨潤してシリンダに入り込むことのないようにする。スクリーンの2つの電極に隣接する領域で5mmの半円を切り取る。堆積アセンブリを、
図35Aに示すようにトッププレートに挿入し、湾曲面がトッププレートアセンブリ3200の底部とぴったり重なるようにする。導入シリンダ3102に緩いナイロン製キャップ3103で蓋をする。キャップは、その中心に挿入された外径6.35mmの鋼製チューブ3104を有する。キャップを定位置に嵌めると、チューブの底部はスクリーン3107から20mm上で終端する。キャップは更に空気穴3105を有し、陰圧によって吸収速度が妨げられないようにする。
【0215】
試験前に、23℃±2℃、及び約50%±2%の相対湿度で2時間、全てのサンプル物品を調整する。最初に、吸収性物品を、物品のコア領域の上にあるトップシートに影響を及ぼさないように気を付けながら、全ての内側若しくは外側レッグカフ、腰部キャップ、弾性耳部、又はサイドパネルを切除することで調製する。吸収性物品を実験台上に平坦に配置し、長手方向中心線とサイズ依存性の搭載点(表3で定義される)との交点を特定する。
【0216】
【表3】
*男女兼用おむつには男子の搭載点を使用する。
【0217】
吸収性物品の前端部を、接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかを使用し、トップシートを上に向けて、前側サンプルプレート3008の上面に取り付ける。この配置により、シャーシだけが(吸収性コアではなく)プレートに重なる。トッププレートアセンブリが閉じられたときに、吸収性物品のサイズ依存性搭載点(表2に定める)がシリンダ3102内で長手方向及び横方向の中心に置かれるように、サンプルプレート3008をアルミニウムフレーム3003に取り付ける。吸収性物品の裏端部を、接着テープ又は機械的「フック」締着具のいずれかによって裏側サンプルプレート3009に固定し、ここでも、吸収性コアではなくシャーシのみがプレートに重なるようにする。次に裏側サンプルプレート3009をアルミニウムフレーム3003に取り付け、物品がピンと張っている(taunt)が延伸していないようにする。トッププレートアセンブリを閉じて締着し、ゴム嚢を2.07kPa±0.07kPaまで膨らませる。試験の搭載シーケンス全体で圧力をこのレベルに維持する。
【0218】
ポンプ3004を準備し、続いて較正して、表2から選択されたサイズ依存性の体積及び流量を送達する。体積と流量は標的の±2%以内でなければならない。キャップ3103をシリンダ3102に嵌める。コントローラ3005を始動させると、0.9%生理食塩水溶液の最初の用量が供給される。この体積が吸収された後、コントローラは5.0分間待ってから、次の用量を追加する。このサイクルは合計4回の用量について繰り返し行われる。流体が物品外又は物品周囲に漏出する(即ち、物品に吸収されない)場合は、試験を中止する。また、捕捉時間が1200秒を超えた場合も、試験は中止される。取得時間は、開始時間(例えば、0.9%塩水が最初にシリンダ内に導入され、導通流体が電極間の回路を完了させたとき)と停止時間(即ち、流体がシリンダから完全に排出され、電極間の回路が破壊されたとき)との間の差として定義される。コントローラにより各用量の捕捉時間が0.01秒単位で記録される。最後の用量が得られた後、更に10分間圧力が加えられる。圧力開放弁3016を開いてゴム嚢を収縮させた後、捕捉システムからサンプルを除去する。
【0219】
同様に、評価対象の各吸収性物品に対して合計5回の複製を実施する。各用量に対する捕捉時間(秒)を、複製の算術平均として0.01秒単位で計算して報告する。
【0220】
軽触乾燥度試験
MFA試験の直後に軽触乾燥度(「Light Touch Dryness、LTD」)試験を実施する。この試験は、MFAプロトコルによる搭載後の圧力下で吸収性物品から圧出される流体の量を測定することを含む。ワットマン1番濾紙をリウェット基材として用い、使用前に、23℃±2℃及び約50%±2%相対湿度で終夜調整する。全ての試験もまた、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で維持された室内で行う。
【0221】
本試験用の装置は、プレキシグラスディスク(直径70.0mm、厚さ20mm)、及びその上に乗せられたステンレス鋼製の拘束重り(confining weight)を含む。ディスクと拘束重りとを組み合わせた質量は、2.07kPaの圧力に対応する812g±2gである。ワットマン1番濾紙を直径70.0mmの円形にダイカットし、4枚組み合わせたスタックをリウェット試験中に使用する。乾燥濾紙スタックの質量を測定・記録して、0.0001g単位で記録する。
【0222】
MFA試験終了後秒30秒以内に、吸収性物品を捕捉装置から取り外し、トップシートを上向きにしてベンチトップ上に平坦に配置する。搭載点(MFA試験で予め決定された)を中心にして予秤量したワットマン1番濾紙のスタックを載置し、スタック上にプレキシガラスディスクを載置し、ディスク上に緩やかに拘束重りを配置する。30.0秒±0.5秒間待ってから重り及びディスクを取り除く。すぐに湿式濾紙の質量を測定し、0.0001g単位で記録する。スタックの湿潤重量と乾燥重量との間の差として改質リウェット値を算出し、0.1mg単位で記録する。
【0223】
同様に、評価対象の各吸収性物品に対して合計5回の複製を実施する。各用量に対する軽触乾燥度(mg)を、複製の算術平均として0.1mg単位で計算して報告する。
【0224】
コラーゲンリウェット試験
MFA試験の直後にコラーゲンリウェット試験を実施する。コラーゲンリウェット試験は、MFAプロトコルによる搭載後の圧力下で吸収性物品から圧出される流体の量を測定することを含む。コラーゲンシートをリウェット基材として使用する。好適なコラーゲンは、Naturin Coffiコラーゲンシート(Naturin GmbH & KG(Germany)から入手可能)又は同等品である。コラーゲンシートは、受け取り次第、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で試験前の2時間保管する。全ての試験もまた、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%で維持された室内で行う。
【0225】
本試験用の装置は、プレキシグラスディスク(直径70.0mm、厚さ20mm)、及びその上に乗せられたステンレス鋼製の拘束重りからなる。ディスクと拘束重りとを組み合わせた質量は、23.2kPaの圧力に対応する9100g±2gである。コラーゲンシートを直径70.0mmの円形にダイカットし、4枚組み合わせたスタックをリウェット試験中に使用する。乾燥濾紙スタックの質量を測定・記録して、0.0001g単位で記録する。
【0226】
MFA試験終了後秒30秒以内に、吸収性物品を捕捉装置から取り外し、トップシートを上向きにしてベンチトップ上に平坦に配置する。次に、搭載点(MFA試験で予め決定された)を中心にして予秤量したコラーゲンのスタックを載置し、スタック上にプレキシガラスディスクを載置し、ディスク上に緩やかに拘束重りを配置する。15.0秒±0.5秒間待ってから重り及びディスクを取り除く。すぐに湿式濾紙の質量を測定し、0.0001g単位で記録する。スタックの湿潤重量と乾燥重量との間の差としてコラーゲンリウェット値を算出し、0.1mg単位で記録する。
【0227】
同様に、評価対象の各吸収性物品に対して合計5回の複製を実施する。各用量に対するコラーゲンリウェット(mg)を、複製の算術平均として0.1mg単位で計算して報告する。
【0228】
本明細書にて開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図したものである。
【0229】
相互参照される又は関連特許若しくは出願のいずれをも含めた、本明細書に引用されている全ての文書は、明示的に除外される、又は特に限定されない限り、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書で開示若しくは請求される任意の実施形態に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは任意の他の参照(単数又は複数)との任意の組み合わせで任意のこのような実施形態を教示、提案、若しくは開示することを認めるものではない。なお、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に割り当てられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0230】
本開示の特定の実施形態が図示及び説明されたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは、当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内に属する全てのこのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。