(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759505
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】フットカバー
(51)【国際特許分類】
A41B 11/00 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
A41B11/00 Z
A41B11/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-135095(P2016-135095)
(22)【出願日】2016年7月7日
(65)【公開番号】特開2018-3220(P2018-3220A)
(43)【公開日】2018年1月11日
【審査請求日】2019年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】内海 創太
(72)【発明者】
【氏名】奥田 洋一
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−023772(JP,A)
【文献】
実開昭59−044702(JP,U)
【文献】
米国特許第03102271(US,A)
【文献】
特開2014−189936(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3162440(JP,U)
【文献】
特開2015−137426(JP,A)
【文献】
特開2014−047434(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3165733(JP,U)
【文献】
特開2007−277779(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3137194(JP,U)
【文献】
特表2009−524744(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足甲および足底を被覆するとともに足首を露出するフットカバーであって、足底部と踵部と足甲部とで形成され、
前記足底部に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部を設け、
前記足底部における土踏まずに対応する部位の伸縮性生地と前記開口部を形成する足甲部の踵側縁の伸縮性生地とに、足裏から足甲までに至る足の横断面を一周するように第1の緊締テープが貼付され、
前記開口部を形成する踵部の上縁の伸縮性生地に、前記第1の緊締テープに接続されるように第2の緊締テープが貼付され、
前記開口部の上縁の全周に、前記第1の緊締テープまたは前記第2の緊締テープが設けられ、
前記第1の緊締テープは、広幅の緊締テープであり、当該広幅の緊締テープを型抜きすることにより切り欠き部を備えていることを特徴とするフットカバー。
【請求項2】
前記第1の緊締テープは、広幅のままで一部が切り欠かれて前記伸縮性生地に貼付されていることを特徴とする、請求項1に記載のフットカバー。
【請求項3】
前記第1の緊締テープは、足の側面、足の足甲面および足の足裏面に切り欠き部が設けられて前記伸縮性生地に貼付されていることを特徴とする、請求項2に記載のフットカバー。
【請求項4】
前記第1の緊締テープおよび前記第2の緊締テープは、エラストマー素材で形成されてサポート性を備えたテープであって、着脱時において伸張されて前記開口部面積が拡張され、着用時において収縮して前記開口部面積が縮小するとともに足の土踏まずのアーチを引き上げることができるサポート性に対応する緊締力を備えることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のフットカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用すると靴(好ましくは足甲部を覆う靴)の内側に隠れるフットカバーに関し、特に、履きやすく履き心地がよく、歩行等の動作によっても脱げたり位置ずれすることが少なく疲れにくかったり運動性能を上げたりすることのできるフットカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
素足にパンプス等の靴を履くことが、ファッションとして定着している。この場合、パンプスと足裏とが直接接していると、足に発生した汗により靴の中が蒸れてしまい不快感がある。
そこで、爪先と踵を含む足底とを被覆するとともに足甲および足首を露出するフットカバーであって、着用時にパンプスから露出することのないよう履き口が大きくカットされた薄手のフットカバーが提案されている。このフットカバーを着用してパンプスを履けば、外観上、素足にパンプスを履いているように見え、足裏とパンプスとの間にはフットカバーが介しているため、汗によって靴の中が蒸れてしまうことを防止することができる。
【0003】
なお、このような足装着具を、本明細書ではフットカバーと記載するが、ソックスカバー、インナーソックス、ヌードソックス、カバーソックス等と記載される場合もある。
このようなフットカバーはパンプスから露出しないよう履き口が大きくカットされているため、歩行中の摩擦等によって履き位置がずれたり、脱げたりすすることがある。一方、履き口を小さくしてしまうとパンプスから露出してしまう。このような問題点に鑑みて開発されたフットカバーが、以下の先行技術文献に開示されている。
【0004】
特開平10−292206号公報(特許文献1)は、歩行時におけるパンプスとフットカバーとの摩擦によってフットカバーが素足から脱げてしまったり、パンプスの脱ぎ履き時にフットカバーが脱げてしまったり履き位置がずれてしまったりすることを防止するために、踵当接部内面に摩擦付与体を取り付けたフットカバーを開示する。
実用新案登録第3165733号公報(特許文献2)は、特許文献1に開示されたフットカバーの開口部の周縁に沿ってゴム紐を設けたのでは、ゴム紐が足に食い込むため、足にゴム紐の型が付いてしまったり、痛みを感じたり、履き心地が良くないという問題があったことに鑑み、開口部の周縁に沿って平ゴムを設けて一面が足に接するようにした帯状伸縮部を形成したフットカバーを開示する。
【0005】
このようなフットカバーではないが、同じように足に装着する足装着具の一例であるソックスに関して、特開2003−227005号公報(特許文献3)は、足の動きの激しいスポーツにおいてはシューズと足とのずれを防止するサポート性と疲労を軽減するためのフィット性とが重要になることに鑑み、シューズと足とのフィット性とサポート性とを高めたソックスを開示する。このソックスは、少なくとも中足趾節関節から船状骨にかけての足背部にパイル組織を設けて厚みを持たせた拘束部を有することを特徴とする。パイル組織を設けて厚くすることにより、シューズを着用したときに特に中足趾節関節から船状骨に加わる面圧をその他の部分よりも大きくでき、激しい動きをしたときにも、足がシューズ内部で足先方向や捻れ方向にずれることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−292206号公報
【特許文献2】実用新案登録第3165733号公報
【特許文献3】特開2003−227005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に開示されたフットカバーの摩擦付与体だけでは十分でない場合があり、この場合には、歩行時、靴の脱ぎ履き時にフットカバーが脱げてしまったり履き位置がずれてしまったりする。特許文献2に開示された平ゴムでは、開口部の周縁の全体に
亘って平ゴムを設けているため(平ゴムの伸縮性にもよるが)、フットカバーを履くときに開口部が十分に開かないで履きにくい場合があることに加えて、特許文献1に開示されたフットカバーと同じく、靴の脱ぎ履き時にフットカバーが脱げてしまったり履き位置がずれてしまったりする問題もある。
【0008】
さらに、特許文献3に開示されたように、歩行する場合であっても足の動きの激しいスポーツをする場合であっても、靴(男性用女性用を問わず、歩行に関しては靴全般、スポーツに関してはスポーツシューズ、スニーカー等)と足とのずれを防止するサポート性と疲労を軽減するためのフィット性とが重要であることは、特許文献1および特許文献2に開示されたフットカバーであっても同じである。しかしながら、特許文献3のようにソックスの全体を編地で編成して一部分にパイル組織を設ける技術は、特許文献1および特許文献2に開示されたようなパンティストッキングに用いられる薄手の伸縮性生地でフットカバーを形成する場合に適用することができない。
【0009】
本発明は、従来技術の上述の問題点に鑑みて開発されたものであり、その目的とするところは、足に発生した汗により靴の中が蒸れてしまう不快感を解消するとともに、疲れにくかったり運動性能を上げたりすることのできるフットカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るフットカバーは以下の技術的手段を講じている。
すなわち、本発明に係るフットカバーは、足甲および足底を被覆するとともに足首を露出するフットカバーであって、足底部と踵部と足甲部とで形成され、前記足底部に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部を設け、前記足底部における土踏まずに対応する部位の伸縮性生地と前記開口部を形成する足甲部の踵側縁の伸縮性生地とに、足裏から足甲までに至る足の横断面を一周するように第1の緊締テープが貼付され、前記開口部を形成する踵部の上縁の伸縮性生地に、前記第1の緊締テープに接続されるように第2の緊締テープが貼付され、前記開口部の上縁の全周に、前記第1の緊締テープまたは前記第2の緊締テープが設けられていることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、前記第1の緊締テープおよび前記第2の緊締テープは、エラストマー素材で形成されてサポート性を備えたテープであって、着脱時において伸張されて前記開口部面積が拡張され、着用時において収縮して前記開口部面積が縮小するとともに足の土踏まずのアーチを引き上げるように構成することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフットカバーによれば、足に発生した汗により靴の中が蒸れてしまう不快感を解消するとともに、疲れにくかったり運動性能を上げたりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係るフットカバーの全体斜視図(3方向)である。
【
図2】
図1のフットカバーの側面図(A)、裏面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係るフットカバー100を、図面に基づき詳しく説明する。なお、フットカバーの構造には様々なものがあり、本発明は特定の構造に限定されるものではなく、後述する特徴を備えたものであれば、どのようなフットカバーの構造であっても、フットカバー100を構成する生地の種類、生地の型紙およびその生地の接合方法がどのようなものであっても基本的には構わない。そのため、以下に示すフットカバー100の構造自体は単なる例示でしかない。
【0015】
なお、このフットカバー100を形成する生地は、ベア天(ベア天竺:ポリウレタン糸を軸にして他の素材の糸(綿、ウール等)を巻きつけた糸(カバード・ヤーン等)を用いて編んだ平編みの生地)、トリコット(経編み機の一種であるトリコット機で編んだ経編みの生地)、パンティストッキング用の生地(ポリウレタン糸とナイロン糸とを含む編地)等が好ましく用いられる。特に、これらの中でもベア天は、(1)伸縮性にすぐれている点、(2)形状安定性がよく洗濯後の形状変化が少ない点、(3)風合いが柔らかくフ
ィット感にすぐれている点、(4)シワや折り目がつきにくい点、(5)多孔性の構造なので通気性がある点、(6)綿を含む場合には肌触りおよび吸湿性がよい点、でフットカバーに好ましい。
【0016】
さらに、本実施の形態に係るフットカバー100は、足甲および足底を被覆するとともに足首を露出する。このフットカバー100の生地は上述したようにパンティストッキング等に用いられる薄手の伸縮性生地を含んで編成された、足底部104と踵部108と足甲部102とで形成される。足底部104に対して上下反対側に足を出し入れするための開口部が設けられ、足底部104における土踏まずに対応する部位の伸縮性生地と開口部を形成する足甲部102の踵側縁の伸縮性生地とに、足裏から足甲までに至る足の横断面(横断面とは
図2(A)に示すA−A断面)を一周するように第1の緊締テープ(より詳しくは足甲緊締テープ112、足裏緊締テープ114)が貼付されるとともに、開口部を形成する踵部108の上縁の伸縮性生地に、第1の緊締テープ(より詳しくは足甲緊締テープ112)に接続されるように第2の緊締テープ118が貼付されている。そして、このように第1の緊締テープおよび第2の緊締テープ118が貼付されることにより、開口部の上縁の全周に第1の緊締テープまたは第2の緊締テープ118が設けられていることになる。
【0017】
さらに、第1の緊締テープおよび第2の緊締テープ118は、エラストマー素材で形成されてサポート性を備えたテープであって、フットカバー100の着脱時において伸張されて開口部面積が拡張され、フットカバー100の着用時において収縮して開口部面積が縮小するとともに足の土踏まずのアーチを引き上げる。
また、限定されるものではないが、以下に示すフットカバー100は左右共用であって、左右共用であるために左右を履き間違いすることがない点で好ましい。なお、フットカバー100が左右共用でない場合には、左足用と右足用とは左右対称の形状を備える。
【0018】
そして、足甲部102と踵部108とを、接着テープにより接合することにより縫い目を備えないで立体的な形状に形成され、これらの足甲部102および踵部108が足底部104にその足裏の全周に亘って縫製により接合されてフットカバー100が形成されている。足甲部102と踵部108との接着テープによる接合は、詳しくは、第2の緊締テープ118と第1の緊締テープである足甲緊締テープ112との重なり部分、および、踵部108と第1の緊締テープである足甲緊締テープ112との重なり部分が接着テープにより接合される。なお、接着テープによる接合ではなく縫製による接合であっても構わないし、縫製による接合ではなく接着テープによる接合であっても構わない。このように、生地の接合については限定されるものではないが、縫合による接合ではない場合、帯状部材の一面または両面に接着材が塗布された接着テープであって、加熱することにより接着材が溶融して、緊締テープどうしまたは生地と緊締テープとが熱接着して接合するものが好ましい。なお、この接合には、熱圧着によるもの、熱溶着によるもの、熱融着によるもの等を含む。また、緊締テープ自体が両面接合タイプであって、たとえば、限定されるものではないが、表側から踵部108の生地−第2の緊締テープ118−足甲部102の生地−(第1の緊締テープである)足甲緊締テープ112という接合構造を備えても、表側から踵部108の生地−第1の緊締テープである)足甲緊締テープ112−足甲部102の生地−(第1の緊締テープである)足甲緊締テープ112という接合構造を備えても構わない。
【0019】
以下において、より詳しく、本実施の形態に係るフットカバー100について説明する。
図1(A)〜(C)に本発明の実施の形態に係るフットカバー100の全体斜視図を、
図2(A)にこのフットカバー100を側面図を、
図2(B)にこのフットカバー100の裏面図を、それぞれ示す。ここで、
図1および
図2は、着用者の足Fにフットカバー100を着用している状態を想定している。すなわち、本発明の実施の形態に係るフットカバー100は、パンティストッキング等に用いられる伸縮性生地で形成されているために、このように想定して図示しない場合には縮んだ状態となり、形状を理解することが困難なため、上述のように想定している。
【0020】
このフットカバー100は、着用者の足Fの足甲および足底を被覆するとともに足首を
露出するフットカバーである。このフットカバー100は、着用時に靴(スポーツシューズ、スニーカー等)から露出することのないよう履き口である開口部が設けられ、足首を覆わない薄手の伸縮性生地(パンティストッキング等に用いられる生地)で形成される。ここで、着用時に靴から露出することのないとは、フットカバー100が靴に隠れて、見えなくなることも、見えにくくなることも含む。
【0021】
そして、このフットカバー100の特徴は、
図1および
図2に示すように、足底部104における土踏まずに対応する部位の伸縮性生地と開口部を形成する足甲部102の踵側縁の伸縮性生地とに、足裏から足甲までに至る足の横断面を一周するように第1の緊締テープ(より詳しくは足甲緊締テープ112、足裏緊締テープ114)が貼付されるとともに、開口部を形成する踵部108の上縁の伸縮性生地に、第1の緊締テープ(より詳しくは足甲緊締テープ112)に接続されるように第2の緊締テープ118が貼付されている。
【0022】
これらの緊締テープは、このフットカバー100が立体的に接合(縫合による接合であっても接着テープによる接合であっても構わない)される前の平面状の生地の状態で、足甲部102に第1の緊締テープのうちの足甲緊締テープ112が、足底部104に第1の緊締テープのうちの足裏緊締テープ114が、踵部108に第2の緊締テープ118が、それぞれ貼付されている。この緊締テープは、エラストマー素材で形成されてサポート性を備えた帯状部材のテープであって、帯状部材の一面(上述したように両面でも構わない)に接着材が塗布され、加熱することにより接着材が溶融して生地と熱接着して接合されていることが好ましい。この場合において、このフットカバー100の生地がパンティストッキング等に用いられる薄手の伸縮性生地であって表面が滑らかであるので、生地に緊締テープを容易に接合することができる。
【0023】
なお、緊締テープは、フットカバー100を履いた状態におけるフットカバー100の内側(足Fが接する側:肌側)に設けられる。緊締テープは、フットカバー100の外側(足Fが接する側とは逆側:靴側)に設けるようにしても構わない。また、緊締テープは、フットカバー100を立体的な形状に接合してから貼付するようにしても構わない。
この緊締テープの素材としては、原材料に加硫剤を混錬したのち加熱することで得られる加硫ゴム系であっても、ウレタンゴムの一部、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の熱硬化性樹脂系であっても、スチレン系、オレフィン系、塩ビ系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性樹脂系であっても、これらの複合体であっても構わない。ただし、この緊締テープは、サポート性を備え、フットカバー100の着脱時において着用者の手により伸張されて、開口部面積が拡張されてフットカバー100が足に履きやすく足から脱ぎやすく、フットカバー100の着用時において収縮して、開口部面積が縮小してフットカバー100が足からずれないし脱げないで、かつ、足の土踏まずのアーチを引き上げることができる程度のサポート性に対応する緊締力(伸張力)を備える必要がある。ここでは、この緊締テープは、ナイロン製テープであるとする。
【0024】
そして、このように第1の緊締テープおよび第2の緊締テープ118が貼付されることにより、開口部の上縁の全周に第1の緊締テープまたは第2の緊締テープ118が設けられていることになる。開口部の上縁の全周に亘ってフットカバー100の内側(足Fが接する側:肌側)に第1の緊締テープまたは第2の緊締テープ118が設けられている。このフットカバー100を履くときに第1の緊締テープまたは第2の緊締テープ118を伸張させると開口部が大きく開くために履きやすく、かつ、このフットカバー100を履いた後は第1の緊締テープまたは第2の緊締テープ118が収縮して開口部が小さくなるために歩行時にフットカバー100が脱げることがない。なお、緊締テープは、フットカバー100の内側(足Fが接する側:肌側)に設けられているが図においては理解を容易にするためにグレーで色付けしている。
【0025】
さらに、このフットカバー100が備える緊締テープは、以下のような特徴を備える。
第1の緊締テープを構成する足甲緊締テープ112は、足甲部102を形成する伸縮性生地に一定幅を備えたまま設けられているのではなく、その一部を切り欠いて設けられている。足Fの側面においては切り欠き部102Aが設けられ、足の足甲面においては切り
欠き部102Bが設けられている。それらの切り欠き部には緊締テープを構成する帯状部材のテープが切り欠かれているために足横側の肌は伸縮性生地に当接する。
【0026】
さらに、第1の緊締テープを構成する足裏緊締テープ114は、足底部104を形成する伸縮性生地に一定幅を備えたまま設けられているのではなく、その一部を切り欠いて設けられている。足Fの側面側においては切り欠き部104Aが設けられ、足の足裏面においては切り欠き部104Bが設けられている。それらの切り欠き部には緊締テープを構成する帯状部材のテープが切り欠かれているために足裏側の肌は伸縮性生地に当接する。
【0027】
このような切り欠き部は、たとえば、広幅の緊締テープを型抜きすることにより形成される。そして、このように切り欠き部を備えるために、通気性が好ましく維持できるために、フットカバー100の本質的な目的である足に発生した汗により靴の中が蒸れてしまうことを回避することができる。
そして、このような緊締テープの中で第1の緊締テープ(足甲緊締テープ112および足裏緊締テープ114)が足裏から足甲までに至る足の横断面を一周するように設けられ、かつ、緊締テープが足の土踏まずのアーチを引き上げることができる程度のサポート性に対応する緊締力(伸張力)を備えるために、このフットカバー100を着用して歩行したり足の動きの激しいスポーツをしたりしても、土踏まずのアーチを引き上げられているので疲れにくかったり運動性能を上げたりすることができる。さらに、第2の緊締テープ118は第1の緊締テープに接続されるように設けられているために、第2の緊締テープ118が第1の緊締テープを介して足の土踏まずのアーチを引き上げることができるのでさらに好ましい。
【0028】
このように、このフットカバー100においては、足裏から足甲までに至る足の横断面を一周するように第1の緊締テープが貼付され、開口部を形成する踵部の上縁の伸縮性生地に、第1の緊締テープに接続されるように第2の緊締テープ118が貼付されているので、フットカバー100の着用時においてこれらの第1の緊締テープおよび第2の緊締テープ118が収縮して足の土踏まずのアーチを引き上げることができるので、疲れにくかったり運動性能を上げたりすることができる。また、このように第1の緊締テープおよび第2の緊締テープ118が設けられていることにより開口部の上縁の全周に緊締テープが設けられていることになるために、フットカバー100の着脱時において着用者の手により伸張されて、開口部面積が拡張されてフットカバー100が足に履きやすく足から脱ぎやすく、フットカバー100の着用時において収縮して、開口部面積が縮小してフットカバー100が足からずれないし脱げない。
【0029】
さらに、このフットカバー100の踵部108の上縁であってフットカバー100の内側(足Fが接する側:肌側)には、シリコン樹脂等の薄い透明のシートで形成された踵部滑り止めを設けることも好ましい。これにより、足Fの踵との密着性を高めてフットカバー100が足Fの踵の部分からずれることをさらに防止することができる。なお、この踵部滑り止めは、本発明に係るフットカバーにおいて必須の構成ではない。
【0030】
さらに、足底部104において、足Fが接する側と反対側(パンプスを履いたときにパンプスの内底に接する側)には、シリコン樹脂等の薄いシートで形成された足底部滑り止めを設けることも好ましい。これにより、パンプスの内底との密着性を高めてパンプス内におけるフットカバー100の位置がずれることを防止できる。なお、この足底部滑り止めも、本発明に係るフットカバーにおいて必須の構成ではない。
【0031】
なお、このフットカバー100において、このフットカバー100を形成する、足甲部102を形成する伸縮性編地と、足底部104を形成する伸縮性編地と、踵部108を形成する伸縮性編地とが、同じ共生地で形成されていても構わない。すなわち、接着テープ、緊締テープおよび縫合糸を除いて、このフットカバー100は、全て同じ種類の伸縮性生地(パンティストッキング等に用いられる伸縮性生地)で形成されていても構わない。
【0032】
また、フットカバー100において、このフットカバー100を形成する、足甲部102を形成する伸縮性編地と、足底部104を形成する伸縮性編地と、踵部108を形成する伸縮性編地とが、3つとも同じ種類の伸縮性生地でなく異なる種類の伸縮性生地で形成されていても構わないし、いずれか2つが同じ種類の伸縮性生地で形成され他の1つの生
地が異なる種類の伸縮性生地で形成されていても構わない。
【0033】
以上のようにして、本実施の形態に係るフットカバー100によると、フットカバーの本質的な作用効果である(1−1)足に発生した汗により靴の中が蒸れてしまうことを回避しつつ、(1−2)履きやすく履き心地がよく、(1−3)歩行等の動作によっても脱げたり位置ずれすることが少なく、(2)疲れにくかったり運動性能を上げたりすることができる。
【0034】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、素足で履くフットカバーに好適であり、履きやすく履き心地がよく、歩行等の動作によっても脱げたり位置ずれすることが少ない点で好ましく、疲れにくかったり運動性能を上げたりすることのできる点で特に好ましい。
【符号の説明】
【0036】
100 フットカバー
102 足甲部
104 足底部
108 踵部
112 足甲緊締テープ(第1の緊締テープの一部)
114 足裏緊締テープ(第1の緊締テープの一部)
118 第2の緊締テープ
F 足