(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
排気ガスの洗浄に使用されて排気ガス中の固形成分を含有する液体を貯留するバッファタンクと、このバッファタンクに貯留された前記液体から前記固形成分を回収する回収機構と、この回収機構で回収された前記固形成分を貯留するスラッジタンクとを備える排水処理装置において、
前記回収機構または前記スラッジタンクから前記液体が付随する前記固形成分を供給される減容化機構を備えていて、
前記減容化機構が、前記液体が付随する前記固形成分を供給されて静置状態で保持する容器と、この容器に静置状態で保持される前記液体を加熱して気化させる加熱器と、前記液体を除去されて塊状体となり前記容器から排出される前記固形成分を回収して収容する収容部と、前記容器が設置される設置部と前記容器との間に配置される制振部とを備えることを特徴とする排水処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の排水処理装置および排水処理方法を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1に例示するように本発明の排水処理装置1は、船舶等から排出される排気ガスに海水や清水などの液体を接触させることにより、排気ガス中の煤塵や硫化物などの固形成分を液中に回収する排気ガス処理装置(スクラバ)2に併設されている。
【0013】
この排水処理装置1は、排気ガスの洗浄に使用されて排気ガス中の固形成分を含有する液体を貯留するバッファタンク3と、バッファタンク3に貯留された液体から固形成分を回収する回収機構4と、この回収機構4で回収された固形成分を貯留するスラッジタンク5とを備えている。
【0014】
なおバッファタンク3からスクラバ2に接続される配管にはポンプPが設置されている。ポンプPは排水処理装置1を構成する各配管の必要な場所に適宜設置することができる。
【0015】
回収機構4は、バッファタンク3からスクラバ排水wを供給され、このスクラバ排水wから遠心分離により固形成分を回収する遠心分離機で構成することができる。回収機構4で回収されてスラッジタンク5に送られる固形成分には液体が付随している。この液体および固形成分を以下、スラッジsということがある。
【0016】
回収機構4の構成は上記に限らず、例えば分離膜で構成することができる。また回収機構4はバッファタンク3の内部に設置されて、バッファタンク3の内部から直接に固形成分を回収する機構で構成してもよい。具体的には、バッファタンク3の内部の液面近傍に配置され、液面に浮くスカムを回収するスカムスキマで構成することができる。スカムは、スクラバ排水wに含まれる油分の乳化により発生して、固形成分を内包している。そのためスカムスキマはスカムの回収にともない固形成分を回収することができる。スカムスキマで回収されるスカムはスラッジタンク5に送られる。このスカムを以下、スラッジsということがある。
【0017】
排水処理装置1は、スラッジタンク5の下流側に配置され、スラッジタンク5からスラッジsを供給される減容化機構6を備えている。減容化機構6が配置される位置は上記に限定されない。例えば回収機構4の下流側に配置される構成にしてもよい。またバッファタンク3の下流側に配置される構成にしてもよい。この場合、減容化機構6はバッファタンク3からスクラバ排水wを供給される構成となる。
【0018】
排水処理装置1でスクラバ排水wを処理する際には、まずスクラバ2から排出されるスクラバ排水wがバッファタンク3に供給される。バッファタンク3に貯留されるスクラバ排水wの一部が遠心分離機等の回収機構4に供給される。バッファタンク3に貯留されるスクラバ排水wの大部分はスクラバ2に再度供給される。つまりスクラバ排水wの大部分はスクラバ2とバッファタンク3との間で循環する。
【0019】
回収機構4で回収される固形成分はスラッジsとしてスラッジタンク5に送られる。スラッジタンク5で貯留されるスラッジsは、含水率が例えば90w%程度となる。つまりスラッジの全体の重量に対して液体の占める重量の割合が90%であり、固形成分の占める重量の割合が10%となる。
【0020】
回収機構4がスカムスキマで構成される場合は、バッファタンク3の内部で回収されるスカムがスラッジsとしてスラッジタンク5に送られる。この場合もスラッジタンク5に貯留されるスラッジsは、含水率が例えば90w%程度となる。
【0021】
図2に例示するように減容化機構6は、スラッジタンク5からスラッジsを供給される容器7と、容器7で保持されるスラッジsを加熱する加熱器8と、加熱により液体を除去された固形成分を回収して収容する収容部9とを備えている。
【0022】
容器7は、例えば上下方向を軸方向とする円筒形状に形成することができる。容器7の形状はこれに限らず、例えば角筒形状に形成してもよい。容器7の天面7cは天板等が配置され閉止状態としている。天面7cは開放状態としてもよい。
【0023】
容器7の天面7cには、容器7の内部の気体を排出するための配管が接続されていて、この配管の途中部分には気体を吸い出すためのブロアBが配置されている。天板7cとブロアBとの間には、気体が容器7の中に逆流することを防止するための逆止弁Cが配置されている。
【0024】
この実施形態では加熱器8が、容器7の周面7aに沿って配置され熱媒を循環させるジャケットで構成される。本明細書において容器7の周面7aとは、容器7の側壁面をいう。この実施形態では加熱器8を構成するジャケットは、容器7の周面7aに加えて容器7の底面7bにも配置されている。
【0025】
加熱器8に供給される熱媒hは、例えば船舶の主機の冷却水を利用することができる。この冷却水の温度は例えば80℃程度である。船舶で使用される蒸気を熱媒hとして利用してもよい。船舶で使用される蒸気が100℃以上である場合には、熱媒hとしての蒸気の温度が100℃程度となる状態に、加熱器8に供給する蒸気の流量を制御することが望ましい。
【0026】
加熱器8の構成は上記に限らず、容器7の中に供給されるスラッジsを加熱できる機能を有していればよい。例えば電気の供給を受けて熱を発生させる電気ヒータで加熱器8を構成してもよい。
【0027】
図2に例示する実施形態では容器7の周面7aおよび底面7bの外側に加熱器8が配置されているが、加熱器8の構成はこれに限定されない。容器7の周面7aおよび底面7bの内側に加熱器8が配置される構成にしてもよい。
【0028】
収容部9は、容器7で液体を除去され残った固形成分を回収する構成を有する。収容部9は例えば布状物で形成されるフレキシブルコンテナで構成することができる。
【0029】
減容化機構6でスラッジsの減容化を行なう際には、まずスラッジタンク5から容器7にスラッジsが供給される。容器7に供給されるスラッジsは、液体が付随する固形成分で構成されている。スラッジsは液体を含んでいるので比較的流動性が高い場合がある。
【0030】
容器7はこのスラッジsを静置状態で保持する構成を有している。本明細書において静置状態とは、容器7の中でスラッジsを積極的に撹拌させる動作が行われない状態をいう。望ましくはスラッジsがほとんど動かない状態をいう。容器7は例えばスラッジsを撹拌する撹拌機等を備えていない。
【0031】
スラッジsの静置状態を維持しつつ、加熱器8によりスラッジsを加熱する。加熱器8によるスラッジsの加熱は、スラッジsに含まれる固形成分が燃焼しない温度で行われることが望ましい。具体的には例えば200℃以下となる温度範囲で加熱器8がスラッジsを加熱する。固形成分が燃焼しないので減容化を行なう工程での安全性を向上するには有利である。
【0032】
加熱器8によるスラッジsの加熱は、スラッジsに含まれる液体が沸騰しない温度で行われることがさらに望ましい。具体的には例えば100℃より低い温度範囲で加熱器8がスラッジsを加熱する。液体が沸騰しないので液体の内部に気泡が生じて、この気泡によりスラッジsが撹拌されることを防止できる。スラッジsの静置状態をより良い状態で維持するには有利である。加熱器8により加熱されるスラッジsの温度範囲の下限は、例えば30度以上、望ましくは50度以上とすることができる。
【0033】
スラッジsの加熱中にはブロアBを作動させる。外部の空気がブロアBに吸われるとともに、容器7の中の水蒸気が逆止弁Cを経由してブロアBに吸われる。この構成により、容器7の中で発生する水蒸気が容器7の外に排出される。
【0034】
図2に例示するように、減容化機構6が容器7の中のスラッジsの温度を測定する温度センサ10と、この温度センサ10の値に基づき加熱器8からスラッジsに供給される熱量を制御する制御部11とを備える構成にしてもよい。
【0035】
この場合の減容化機構6は、加熱器8を構成するジャケットに熱媒hを供給するためのポンプPを備えている。制御部11は、温度センサ10およびポンプPとそれぞれ有線または無線の信号線で接続されている。
図2では説明のため信号線を一点鎖線で示している。
【0036】
温度センサ10は、例えば容器7の中に配置されスラッジsの温度を直接的に測定する構成にすることができる。また温度センサ10は、例えば容器7の外面に配置されスラッジsの温度を間接的に測定する構成にしてもよい。
【0037】
制御部11は、温度センサ10の値に基づき、ポンプPを制御して加熱器8に供給される熱媒hの流量を制御する。これにより制御部11は加熱器8からスラッジsに供給される熱量を制御することができる。
【0038】
熱媒hが船舶の主機の冷却水など加圧状態で流れてくる場合は、ポンプPの代わりにバルブを設置して、バルブの開度を制御部11で制御することにより加熱器8に供給される熱媒hの流量を制御する構成にしてもよい。
【0039】
加熱器8が例えば電気ヒータで構成される場合は、制御部11は加熱器8に供給される電気の電圧や電流を制御する。これにより制御部11は加熱器8からスラッジsに供給される熱量を制御することができる。
【0040】
上記の温度センサ10および制御部11等は本発明の必須要件ではない。船舶の主機の冷却水など一定の範囲内の温度となる熱媒hを、温度を監視することなくジャケットで構成される加熱器8に供給し続ける構成にしてもよい。主機の冷却水は例えば75℃〜85℃の温度範囲でほぼ一定となる。
【0041】
容器7の中に静置状態で保持されているスラッジsは周囲から加熱器8により加熱される。この実施形態ではスラッジsは容器7の周面7aおよび底面7bから熱を供給される。加熱器8による加熱にともないスラッジsに含まれる液体が徐々に気化する。
【0042】
スラッジsの液体の気化が進むと、スラッジsに含まれている油分およびスクラバで用いられる中和剤の少なくとも一方がバインダとなり固形成分が互いに密着して塊状体(ペレット)となる。
図3に例示するように容器7が上下方向を軸方向とする円筒形状である場合、容器7の周面7a等の周囲から加熱されるスラッジsは、容器7の中心軸に向かって移動しつつ液体が気化していく。そのため残る固形成分は容器7の中心で固まった状態となり、略円柱形状のペレットmとなる。
【0043】
このペレット化した固形成分は、
図2に例示される収容部9に回収される。収容部9へのペレットmの回収は作業員が手作業で行ってもよい。
【0044】
上記を繰り返してスラッジタンク5の中のスラッジsを順次減容化機構6で減容化する。
【0045】
減容化機構6によりスラッジに含まれる液体のほとんどを除去できるので、スラッジsの体積を小さくするには有利である。スラッジタンク5はスラッジsを一時的に貯留できればよいため、その容積を小さくすることができる。機器を設置できる容積が限定されている船舶では特に有利である。
【0046】
スラッジを静置状態で加熱することにより、固形成分をペレット化することができる。ペレット化した固形成分は、取り扱いや保管や運搬が容易となる。容器7が撹拌機を備えていないので、撹拌により固形成分が塊状にまとまらなかったり、塊状となった固形成分が撹拌機により破壊されて小さく分離される不具合が発生しない。
【0047】
ペレット化した固形成分は液体を含まないので、布で構成した袋体で固形成分を保管および運搬することが可能となる。そのため収容部9は例えばフレキシブルコンテナで構成することができる。フレキシブルコンテナは船舶に設置されているマシナリークレーン等で港に荷卸しできる。そのため船舶から港に固形成分を荷卸しする際にその作業を容易に行なうことができる。
【0048】
船舶から流動性のあるスラッジsを荷卸ししようとすると専用のポンプ等が必要となる。そのため専用のポンプ等を備えていない港ではスラッジsを荷卸しできなかった。本発明によりペレット化した固形成分は、特殊な設備等がない場合であっても容易に船舶から荷卸しできる。
【0049】
容器7を角筒形状とすると略直方体形状の塊状体(ペレットm)が形成される。ペレットmが円筒形状の方が角の少ない塊となるので、保管や運搬にともないペレットmが崩れる可能性を抑制するには有利である。ペレットmが崩れたりせずある程度の大きさを保っている場合の方が、固形成分が舞い上がったりすることを抑制できるので、固形成分の取り扱いが容易となる。
【0050】
スラッジsの温度が例えば90℃以下となる温度範囲で加熱器8による加熱を行なう場合は、スラッジsを構成する液体は沸騰しない。そのため沸騰により発生する気泡で液体が撹拌されることがない。固形成分をより大きなペレットmにするには有利である。またスラッジタンク5から容器7に供給するスラッジの体積が多くても、沸騰により容器7からスラッジがこぼれ出す等の不具合が生じない。
【0051】
本発明を完成させるにあたり行った実験では、含水率95w%のスラッジsを60℃で7日間加熱することにより、固形成分をペレット化できることを確認している。含水率が95w%と比較的高い場合であっても固形成分をペレット化することができる。
【0052】
そのためバッファタンク3の下流側に減容化機構6を配置して、バッファタンク3の例えば底面から容器7にスクラバ排水wを供給する構成としても、固形成分のペレット化を行なうことは可能となる。バッファタンク3のスクラバ排水wを減容化機構6が直接処理できるので、この場合は排水処理装置1が回収機構4およびスラッジタンク5を備えない構成にしてもよい。
【0053】
回収機構4の下流側に減容化機構6を配置する構成とした場合には、排水処理装置1がスラッジタンク5を備えない構成にしてもよい。
【0054】
回収機構4などにより処理されたスラッジであり含水率が60w%程度であれば、上記の7日間よりも短期間で固形成分をペレット化することができる。
【0055】
貨物船等の大型船舶は、国際ルール等により例えば所定の国の港から200カイリの範囲ではスクラバ2を作動させて排気ガスを処理するが、公海上ではスクラバ2を停止させることができる。国際航路を航行する船舶では、例えば出港後2日間スクラバ2を作動させ、その後20日間スクラバ2を停止させる等の運転が行われる。
【0056】
本発明の減容化機構6は、スクラバ2が停止している20日間の間にスラッジsを処理できればよい。そのため実際の船舶においてもスラッジタンク5の中のスラッジsを減容化する時間を十分に確保することができる。
【0057】
図4に例示するように容器7の底面7bを下方に凸となる湾曲面で構成してもよい。この構成によれば加熱により液体を除去される固形成分が、互いに密集してより密度の高いペレットmとなる。このペレットmは強度が比較的強くなり崩れ難くなるので、ペレットmの取り扱いがさらに容易となる。
【0058】
容器7が設置される設置部12と容器7との間に配置される制振部13を減容化機構6が備える構成にしてもよい。
【0059】
この実施形態では制振部13が、容器7から水平方向に延びる支軸14を軸支して上下方向に延在する支柱15と、船舶の機関室の壁面等で構成される設置部12から水平方向に延在して支柱15を懸吊する状態で軸支する梁16とを備えている。つまり制振部13は機関室の壁面から容器7を吊下げる構成を有している。
【0060】
支柱15に対して容器7が傾動可能に構成される。容器7は支軸14を中心に、支軸14の軸方向と直交する面内で傾動可能となる。梁16に対して支柱15が傾動可能に構成される。支柱15は梁16を中心に、梁16の軸方向と直交する面内で傾動可能となる。
図4に例示する実施形態では容器7の傾動方向と支柱15の傾動方向とは直交する。
【0061】
梁16に対して支柱15が傾動可能であり、支柱15に対して容器7が傾動可能であるため、機関室に設置される主機の振動や船舶の揺動が容器7に伝達されることを制振部13は抑制できる。制振部13は水平方向の振動が容器7に伝達されることを抑制できるので、容器7の中のスラッジの静置状態を維持し易くなる。固形成分をまとまりよくペレット化するには有利である。
【0062】
支柱15の上方であり梁16に軸支される部分の下方となる位置に、上下方向に伸縮するシリンダ17を設置する構成にしてもよい。シリンダ17により上下方向の振動が容器7に伝達されることを抑制できる。容器7の中のスラッジの静置状態をさらに維持し易くなる。シリンダ17を上下方向に伸縮するバネ部材で構成してもよい。
【0063】
制振部13の構成は上記に限定されない。機械室の床面等で構成される設置部12と容器7の底面7bとの間に配置されるゴム部材や水平方向にスライド可能に構成されるステージ等で制振部13を構成してもよい。制振部13は床面の水平方向の変位が容器7に伝達されることを少なくとも抑制できればよい。この制振部13に上下方向に伸縮するシリンダやバネ部材を組み合わせて、上下方向の振動が容器7に伝達されることを抑制する構成にしてもよい。
【0064】
この実施形態では加熱器8は、容器7の周面7aと底面7bに設置される電気ヒータ18と、この電気ヒータ18に電気を供給する電源19とを備えている。電気ヒータ18は温度センサを内蔵している。電源19は制御部11により電気ヒータ18に供給する電力を制御される。
図4では説明のため制御部11から電源19に信号を送る信号線を一点鎖線で示し、電源19から電気ヒータ18に電気を供給する電線を実線で示している。
【0065】
この実施形態では
図5に例示するように、制振部13に懸吊される容器7を傾けることで、固形成分のペレットmを容器7から収容部9に回収する構成にしてもよい。
【0066】
図6に例示するように容器7が天面7cを閉止状態とする場合には、気体置換部20を備える構成にしてもよい。気体置換部20は、容器7の上部に形成されて気体gを外部から供給される気体供給口21と、容器7の上部に形成されて容器7の内部の気体gを外部に排出する気体排出口22とを備えている。
【0067】
気体供給口21からは、湿度が100%よりも小さい空気等の気体gを供給することができる。望ましくは湿度が50%以下の比較的乾燥した気体gを供給する。この構成により容器7の中に静置されているスラッジsに含まれる液体の気化を促進することができる。固形成分をペレット化する際の時間を短縮するには有利である。
【0068】
気体置換部20が、気体供給口21に供給される気体gを加熱するガス熱交換器23を備える構成にしてもよい。この構成によれば気体gの供給にともない容器7の中の温度が低下することを抑制できる。容器7の中で加熱されているスラッジsの温度低下を抑制することにより、効率よくスラッジsを減容化できる。
【0069】
気体置換部20が、気体排出口22から排出される気体gを希釈する別の気体を供給する気体希釈部24と、この気体希釈部24から気体を吸い出すブロアBとを備える構成に
してもよい。気体排出口22から排出され水蒸気を多分に含んだ気体gに、空気等の別の気体を混合させることにより、気体gの湿度が低下する。湿度の低下により気体gの中の水分が凝縮し難くなるので、凝縮水が容器7の中に戻ることを抑制できる。容器7の中から水を効率よく除去できるので、効率よくスラッジsを減容化できる。
【0070】
気体希釈部24およびブロアBの代わりに、気体排出口22およびその下流側の管路に保温部材を配置する構成にしてもよい。気体排出口22から排出される気体gの温度が低下し難いので、水分が凝縮して容器7の中に逆流することを抑制するには有利である。
【0071】
本発明は容器7の周面7aおよび底面7b以外の部分からスラッジsを加熱する構成を除外するものではない。
図6に例示するように電気ヒータ等の加熱器8を周面7aおよび底面7bに加えて、容器7の中心軸の近傍に配置する構成にしてもよい。この実施形態の減容化機構6は、電気ヒータに電気を供給する電源19と、この電源19を制御する制御部11とを備えている。
【0072】
図7に例示するように容器7の中に上下方向に延在する板状部材を消波板25として複数枚、組み合わせて配置して、容器7の中におけるスラッジsの移動を制限する構成にしてもよい。船舶の揺動等によりスラッジsが波立ったり撹拌されたりすることを抑制できる。容器7の中に保持されるスラッジsの静置状態を維持するには有利である。
【0073】
このとき消波板25は容器7の底面7bの近傍を避けて配置することが望ましい。ペレット化する固形成分が消波板25に付着して容器7から取り出し難くなることを回避するには有利である。
【0074】
振とう機により船舶の揺れを再現して、容器7を揺らしながら加熱する実験を行なった。容器7の揺れが比較的小さい場合にはスラッジsが静置状態を維持しつつも、容器7の中で若干移動するので熱効率が向上して、固形成分のペレット化までの期間が短縮されることがわかった。
【0075】
容器7の揺れが比較的大きくスラッジsの静置状態を長期間維持できない場合には、固形成分の塊が一つの大きな塊とならないことがわかった。このような場合であっても上記消波板25を配置すると、静置状態が維持し易くなり一つの大きな塊のペレットが形成される。
【0076】
本発明は船舶の主機等に併設される排水処理装置1に限定されるものではなく、陸上の工場の発電機等に併設される排水処理装置1にも適用することができる。
【0077】
またスラッジsに油分等のバインダが含まれていない場合であっても、本発明を適用することができる。スラッジsに油分等が含まれていない場合は減容化機構6において固形成分がペレット化せず粉末状となるものの、スラッジsの容積を十分に小さくすることは可能である。