【実施例】
【0215】
次の例は、本発明の特許請求の範囲を例示するために提供するものであって、制限するために提供するものではない。
【0216】
実施例1. T細胞再指導性二重特異性抗体DOCK−AND−LOCK(商標)(DNL(商標))複合体
例示的な白血球再指導性二重特異性抗体のいくつかの種を、下記のとおりのDNL(商標)複合体として作製した。それらの複合体は、限定されないが、Trop−2
+癌細胞を含む適切な標的細胞に対する免疫応答を誘発するために有効であった。
【0217】
材料及び方法
DOCK−AND−LOCK(商標)(DNL(商標))複合体を作製及び使用するための一般技術を下記の実施例において記載する。CD3及びCD19に対する結合部位を有する例示的な白血球再指導性二重特異性抗体を、(19)−3s(
図1)と称されるDNL(商標)複合体として作製した。抗CD19 F(ab)
2 DNLモジュールを、Fd鎖のカルボキシル末端での二量化及びドッキングドメイン(DDD2)の組換え融合によって構築した。抗CD3−scFvモジュールをOkt3 mAbから、アンカードメイン(AD2)の付加を伴って設計し、V
H−L1−V
K−L2−6H−L3−AD2(「6H」は配列番号105として開示)の形式で組み立てたが、ここで、Vドメインを柔軟なペプチドリンカーによって融合させ、6−Hisリンカー(配列番号105)をAD2ペプチドに先行させた。抗CD3可変領域、リンカー、及びAD2の配列を下記に示す。
抗CD3 scFvのV
H配列
QVQLQQSGAELARPGASVKMSCKASGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYSLDYWGQGTTLTVSS(配列番号96)
L1リンカー
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号97)
抗CD3 scFvのV
K配列
DIVLTQSPAIMSASPGEKVTMTCSASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKLASGVPAHFRGSGSGTSYSLTISGMEAEDAATYYCQQWSSNPFTFGSGTKLEIKR(配列番号98)
L2リンカー
GGGGS(配列番号99)
ポリ−His−L3リンカー
HHHHHHGGGSG(配列番号100)
AD2
CGQIEYLAKQIVDNAIQQAGC(配列番号101)
【0218】
発現ベクター及びDNL(商標)モジュール
様々な疾患関連抗原に対する抗体部分を含み、抗CD3抗体部分に連結されていて、一般に(X)−3s bsAbと略されるDNL(商標)複合体を構築した。独立した産生細胞系をSpESFX−10マウス骨髄腫細胞(Rossiら、2011、Biotechnol Prog 27:766−75)において、(X)−3s bsAbを作製するために使用されるDNL(商標)モジュールのそれぞれのために開発した。Okt3scFv−AD2ポリペプチド(配列番号96〜101)をコードするcDNA配列を合成し、5’Xba I及び3’Eag I制限部位によって、pdHL2発現ベクターにクローニングした。コンストラクトは、構造V
H−L1−V
K−L2−6H−L3−AD2(「6H」は配列番号105として開示)を有するscFvにおいて、V
Lに融合したV
Hドメインを含んだ。発現タンパク質は、本来のOkt3 mAbから2個のアミノ酸置換を有した。CDR−H3中のシステイン残基をセリンに変えた(Kipryanov、1997、J Immunol Methods 200:69〜77)。V
Lの末位から二番目の残基を、アスパラタートからリシンに変えた。
【0219】
Okt3scFv−AD2モジュールを、様々なC
H1−DDD2−Fabモジュールと組み合わせて、(X)−3s三価bsAbのパネルを生成した(表6)。C
H1−DDD2−Fab−pdHL2発現ベクターを、同様のコンストラクトのために以前に記載されたとおりに構築した(Rossiら、2008、Cancer Res 68:8384〜92)。簡単には、対応するIgG−pdHL2発現ベクターから、Sac II及びEag I制限酵素を用いてC
H1−Hinge−C
H2−C
H3ドメインのためのコード配列を切り出し、それを、同じ酵素を用いてC
H1−DDD2−Fab−hA20−pdHL2発現ベクターから切除されたC
H1−DDD2をコードする507 bp配列に置き換えることによって、C
H1−DDD2−Fabをコードする発現ベクターを生成した(Rossiら、2008、Cancer Res 68:8384〜92)。C
H1−DDD2−Fabモジュールは、ヒト化mAb hA19(抗CD19)、ラベツズマブ(hMN−14、抗CEACAM5)、クリバツズマブ(hPAM4、抗mucin)、hMN−15(抗CEACAM6)、hRS7(抗TROP−2)、ベルツズマブ(hA20、抗CD20)、hL243(抗HLA−DR)、及びエプラツズマブ(hLL2、抗CD22)から誘導した。hA19と名付けたmAbを、マウス抗CD19 mAb B43からヒト化した(Uckunら、1988、Blood 71:13〜29)。各発現ベクターを、Sal I制限酵素での消化によって直線化し、電気穿孔によってSpESFX−10細胞にトランスフェクトするために使用した。
【0220】
クローンを、0.2μMメトトレキサート(MTX)を含有する培地中で選択し、ELISAによってタンパク質発現についてスクリーニングした。Okt3scFv−AD2をNi−NTA HisSorbプレート(Qiagen)上で捕捉し、抗AD2 mAbで検出した。C
H1−DDD2−Fabモジュールをヤギ−抗ヒト−カッパ鎖で捕捉し、ヤギ−抗ヒト−F(ab’)
2−HRPで検出した。タンパク質発現の生産性を、3μMまでのMTX濃度の段階的な上昇によって増幅した。ローラーボトル培養のブロスから、アフィニティークロマトグラフィーによって、それぞれNi−SEPHAROSE(登録商標)及びKappa−Select樹脂を使用して、Okt3scFv−AD2及びC
H1−DDD2−Fabモジュールを均一になるまで精製した。DNL(商標)法を使用して、モル当量のOkt3scFv−AD2及びC
H1−DDD2−Fabモジュールの部位特異的コンジュゲーションによって、(X)−3s bsAbを組み立てた。例えば、Okt3scFv−AD2 22mgをC
H1−DDD2−Fab−hA19 80mgと組み合わせることによって、(19)−3s約100mgを生成した。混合物を、1mM還元グルタチオンを用いて室温で終夜還元し、その後、2mM酸化グルタチオンを添加した。Kappa−Select及びNi−SEPHAROSE(登録商標)での連続アフィニティークロマトグラフィーによって、(19)−3sを反応混合物から精製した。追加の(X)−3sコンストラクトを、同様のプロセスに従って様々なスケールで組み立てた
【0221】
【表6】
【0222】
分析法
サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)を、BIOSUITE(商標)250、4−μm UHR SECカラム(Waters Corp)を備えたAlliance HPLC Systemで行った。エレクトロスプレーイオン化飛行時間型(ESI−TOF)液体クロマトグラフィー/質量分析法(LC−MS)を、6210 TOF MS(Agilent Technologies、Santa Clara、CA)に連結された1200シリーズHPLCで行った。(19)−3sを、逆相HPLC(RP−HPLC)によって60℃で、Aerisワイドポア3.6μm C4カラム(Phenomenex)で0.1%ギ酸水溶液中の30〜80%アセトニトリルの14分勾配を使用して分析した。TOF MSでは、キャピラリー電圧及びフラグメンター電圧をそれぞれ、5500及び300Vに設定した。
【0223】
細胞系及び試薬
Raji、Ramos、Daudi、LS174T、及びCapan−1細胞系を、American Type Cell Culture Collection(ATCC、Manassas、MD)から購入し、Nalm−6細胞を、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellinien(DSMZ、Braunchweig、ドイツ)から購入した。Capan−1を除くすべての細胞系を、10%FBS、1%L−グルタミン、1%ペニシリン−ストレプトマイシン、及び1%MEM非必須アミノ酸を含有するRPMI−1640中で維持した。Capan−1細胞を20%FBSで維持した。すべての細胞培養培地及び補充物は、Life Technologies(Carlsbad、CA)から購入した。
【0224】
PBMC及びT細胞単離
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)をドナー全血(Blood Center of NJ、East Orange、NJ)から、UNI−SEP
MAXI管(Novamed、Ltd、Jerusalem、Israel)を使用して精製した。CD3陽性T細胞を、製造者プロトコルに従ってPan T Cell Isolation Kit(Miltenyi Biotec、Auburn、CA)を使用する負の選択によってPBMCから単離した。T細胞単離の効率を、富化T細胞を抗CD3−PE抗体で染色した後に、FACSによって評価した。場合によっては、CD−19及びCD−14でのさらなる染色も行って、汚染性細胞を同定した。
【0225】
T細胞活性化
単離されたT細胞を6ウェル組織培養プレート内で、2.25×10
6細胞/ウェルの最終密度で平板培養した。Daudi細胞を一部のウェルに、1.5×10
6細胞/ウェルの最終密度で添加し、他のウェルは、T細胞のみを含有するままにした。別法では、PBMCを6ウェル組織培養プレートに、6×10
6細胞/ウェルの最終細胞密度で添加した。各ウェルの体積を3mLにした。適切なウェルに、3ng/mLの(19)−3s、(M1)−3s、または(19)−DDD2を添加した。37℃で終夜インキュベーションした後に、各試料1mLを除去した。細胞をペレット化し、氷上で、CD69−APC及びCD3−PEで20分間にわたって標識した。細胞をPBS中の1%BSAで2回洗浄し、FACSCALIBER(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences、San Jose、CA)を使用して分析した。
【0226】
T細胞増殖
PBMCをT25フラスコ内に、1×10
6細胞/mLの濃度で、規定試薬を含有させて播種した。B細胞欠失フラスコについて、B細胞を、製造者プロトコルに従ってMiltenyi製のB細胞単離キットを使用する負の選択によって除去した。選択日に、培地100μLを各フラスコから除去し、氷上で20分間にわたって抗CD7−APCで標識し、一度洗浄し、7−AADを含有する1%BSA/PBS300μL中に再懸濁させた。各試料について、全体積を、FACSCALIBER(商標)フローサイトメーターを使用して分析する。各試料を2連で計数する。分析を、FlowJoソフトウェアを使用して行う。各試料について、死(7−AAD+)細胞、及び砕片(前方散乱対側方散乱に基づく)を除去した。最後に、生CD7+細胞を、Prismソフトウェアを使用して選択及びプロットした。
【0227】
細胞結合アッセイ(Jurkat/Capan−1)
Jurkat細胞を、製造者プロトコルに従ってPKH26 Red Fluorescent Cell Linker Kit(Sigma)で染色した。Capan−1細胞を、製造者プロトコルに従って5μM CFSE(カルボキシフルオレセイン二酢酸スクシンイミジルエステル、Life Technologies)で染色した。標識されたCapan−1細胞を8ウェルチャンバースライド(ThermoWaltham、MA)に添加し、終夜付着させた。翌日、培地を除去し、PKH26標識Jurkat細胞を、0.1μg/mL of(E1)−3s、(M1)−3s、または(19)−3sを含有する培地に添加した。37℃での1時間のインキュベーションの後に、スライドをPBSで洗浄して、いずれの未結合細胞も除去し、蛍光顕微鏡によって観察した。
【0228】
細胞結合アッセイ(Jurkat/Daudi)
Jurkat及びDaudi細胞を、それぞれ抗CD3−PE及び抗CD20−FITCで標識した。次いで、標識された細胞を室温で30分間にわたって(19)−3s0.1μg/mLと共に2.5:1の比で同時インキュベートした。次いで、細胞のアリコットを蛍光顕微鏡によって観察した。
【0229】
細胞毒性アッセイ(血液腫瘍細胞系)
標的細胞を、製造者プロトコルに従ってPKH67 Green Fluorescent Cell Linker Kit(Sigma)で標識した。簡単には、5×10
6個の標的細胞を250μLの希釈液Cに再懸濁させた。第2の管で、PKH26色素1μLを、250μLの希釈液Cに添加する。次いで、細胞懸濁液を色素溶液に添加し、十分に混合し、室温で2分間にわたってインキュベートする。反応を、等体積のFBSを添加することによってクエンチした。次いで、標識された細胞を完全RPMIで3回洗浄した。未刺激の単離T細胞を、エフェクター細胞として使用した。エフェクター細胞及びPKH67標識標的細胞を10:1の比で合わせ、(19)−3sまたは(14)−3sの系列希釈を含有する48ウェルプレートで平板培養した。各ウェルは、5×10
4個の標的細胞及び5×10
5個のエフェクター細胞を含有した。Jeko−1アッセイを20%RPMI中で行った。プレートを、5%CO
2を含有する37℃インキュベーター内で18〜24時間にわたってインキュベートした。インキュベーションの後に、すべての細胞を48ウェルプレートからフローサイトメーター管に除去し、7AAD1ug/mLを含有する1%BSA/PBS中に再懸濁させて、生細胞を、死細胞及び30,000個のCOUNTBRIGHT(商標)Absolute Counting Beads(Life Technologies)から識別した。細胞をFACSCALIBER(商標)フローサイトメーターで分析した。各試料で、8,000個のCOUNTBRIGHT(商標)ビーズを正規化参照として計数した。データを、FlowJoソフトウェア(Treestar、Inc.、Ashland、OR)を使用して分析した。各試料で、死細胞及び砕片を排除し、全生存標的細胞を計数した。
【0230】
細胞毒性アッセイ(充実性腫瘍細胞系)
PKH23での染色についてと同じ手順に従って、標的細胞をPKH67 Green Fluorescent Cell Linker Kit(Sigma)で標識した。使用したエフェクター細胞は、次のとおりであった:Capan−1アッセイでは、CD8+富化カラム(R&D Systems、Minneapolis、MN)からの精製後に、CD8+富化T細胞を使用した。LS174T細胞では:PBMCをIL−2 25U/mL及びOkt3 Mab50ng/mLを含有する培地中で5日間にわたってインキュベートし、続いて、IL−2 25U/mLのみを含有する培地中で2日間にわたってインキュベートした後に、刺激T細胞を使用した。エフェクター細胞及びPKH67標識標的細胞を3:1の比(5×10
4個の標的細胞及び1.5×10
5個のエフェクター細胞/ウェル)で合わせ、(E1)−3s、(14)−3s、または(19)−3sの系列希釈を含有する48ウェルプレート上で平板培養した。Capan−1アッセイを20%RPMI中で行った。プレートを5%CO
2を含有する37℃インキュベーター内で42〜48時間にわたってインキュベートした。インキュベーションの後に、懸濁細胞を、すべてのウェルからのトリプシン処理済み付着細胞と合わせ、フローサイトメーター管に移した。細胞を1回洗浄し、1ug/mLの7AADを含有する1%BSA/PBS中に再懸濁させ、生細胞を、死細胞及び30,000個のCOUNTBRIGHT(商標)Absolute Counting Beadsから識別した。細胞をFACSCALIBER(商標)フローサイトメーターで分析した。各試料で、8,000個のCOUNTBRIGHT(商標)ビーズを正規化参照として計数した。データをFlowJoソフトウェア(Treestar、Inc.、Ashland、OR)を使用して分析した。各試料で、死細胞及び砕片を排除し、全生存標的細胞を計数した。
【0231】
in vivo有効性
雌のNOD/SCIDマウス(8週齢)をCharles River(Wilmington、MA)から購入した。マウスに、マトリゲルと1:1混合したRaji(1×10
6個)及びヒトPBMC(5×10
6個の細胞)の混合物を皮下注射した。治療を1時間後に開始した。各実験における処置レジメン、投薬量、及び動物数は、結果の節に記載する。動物を、腫瘍増殖の徴候について毎日モニターした。腫瘍が現れたら、それらを週2回測定した。腫瘍体積(TV)を、キャリパーを使用して2つの寸法で測定することによって決定し、体積を、L×w
2/2として定義した[式中、Lは、腫瘍の最長寸法であり、wは、最短寸法である]。Prism GraphPadソフトウェア(v5;LaJolla、CA)をKaplan−Meier曲線で使用し、生存代理終点を1.0cm
3まで腫瘍が進行するまでの時間(TTP)として使用して、有効性を対数順位検定によって決定した。P<0.05で、有意とした。
【0232】
結果
白血球再指導性二重特異性抗体の構築及び生化学分析
DNL(商標)法を使用して、CD19、CD20、HLA−DR、TROP−2、CEACAM5、及びMUC5ACを含む様々な腫瘍関連抗原を標的とするための(X)−3s、白血球再指導性bsAbのパネルを生成した。これらの構造の純度は、SE−HPLC及びSDS−PAGE分析によって実証され、その際、3種の構成成分ポリペプチド(Okt3scFv−AD2、hA19−Fd−DDD2、及びhA19カッパ)を表すバンドのみが明らかであった(データは図示せず)。LC−MS分析によって、Okt3scFv−AD2及び2つのC
H1−DDD2−hA19Fd鎖のそれぞれで予測されたアミノ末端ピログルタマートを含むその演繹アミノ酸配列から計算された(19)−3sの質量(137432.37Da)と一致する逆重畳質量スペクトル(質量確度=11ppm)を有する単一RP−HPLCピークが特定された(データ図示せず)。糖鎖形成を含む追加の翻訳後修飾は示されなかった。
【0233】
(19)−3sによって媒介されたDaudiバーキットリンパ腫とT細胞との間での免疫シナプス形成
CD19
+リンパ腫細胞へのエフェクターT細胞の標的化対する白血球再指導性(19)−3s DNL(商標)複合体の効果を調査した(
図2)。新たに単離されたT細胞をDaudi細胞と、2.5:1のE:T比で合わせた。細胞を(19)−3s DNL(商標)複合体0、1、または5μg/mLで室温で30分間にわたって処理し、その後、フローサイトメトリーによって分析した。抗CD20−FITC及び抗CD7−APCを使用して、それぞれDaudi及びT細胞を特定した。CD20
+/CD7
+イベントの%として、同時結合が示された。(19)−3sで処置した後に、抗体を含まない混合細胞で測定された2%と比較して(
図2B)、フローイベントの45.5%が、CD20/CD7二重陽性であり、これは、シナプス形成したDaudi及びT細胞(
図2A)を示した。(19)−3sの添加は、T細胞とDaudiとの>90%の会合をもたらした(
図2C)。これらの結果は、(19)−3s DNL(商標)複合体が、T細胞を標的化抗原発現リンパ腫細胞に向かわせるために有効であったことを示している。
【0234】
T細胞と標的リンパ腫細胞との間のシナプス形成を蛍光顕微鏡によって実証し(
図3)、Jurkat(T細胞)及びDaudi(B細胞)を1:1比で合わせ、(19)−3s DNL(商標)複合体0.1μg/mLで30分間にわたって処理し、抗CD20−FITC(
図3A)及び抗CD3−PE(
図3B)で染色し、その後、蛍光顕微鏡によって分析した。併合イメージ(
図3C)は、緑色に染色されたDaudiと赤色に染色されたJurkat細胞との間のシナプス形成を明らかにしている。(19)−3sが存在しない状態では、シナプス形成は明らかではなかった(
図3D)。
図3Cは、標的リンパ腫細胞が、標的化T細胞と直接接触していることを実証している。
【0235】
一連の用量反応、例示的なB細胞リンパ腫系へのT細胞の(19)−3s媒介性会合について行った(
図4)。
図4において示すとおり、この実験の条件下で、T細胞と標的細胞との(19)−3s媒介性細胞−細胞会合の飽和は、DNL(商標)複合体0.037〜0.111μg/mlの間の濃度で達成された。
【0236】
図5は、標的化CD19
+B細胞へのT細胞の再指導についてのBITE(登録商標)(
図5A)、DART(商標)(
図5A)、及びDNL(商標)(
図5B)抗CD3×抗CD19複合体の相対的有効性の比較を示している。BITE(登録商標)及びDART(商標)でのデータは、Mooreら(2011、Blood 117:4542〜51)から得た。B細胞リンパ腫へのT細胞の標的化において、0.0005μg/mlの試験された最低濃度で、(19)−3s DNL(商標)複合体は、BITE(登録商標)またはDART(商標)よりも有効であった(
図5)。(19)−3s DNL(商標)複合体はまた、同等のBITE(登録商標)及びDART(商標)複合体よりも、やや高い細胞−細胞会合の最大レベルを誘発した(
図5A)。(19)−3s DNL(商標)複合体で生成された単一データポイントから外挿することは困難であるが、EC
50レベルは、BITE(登録商標)、DART(商標)、及びDNL(商標)について同様であるようであった(
図5)。
【0237】
T細胞と標的腫瘍細胞との(19)−3s、(E1)−3s、及び(M1)−3s−媒介性細胞−細胞会合
T細胞とそれらの標的腫瘍細胞との会合を促進するT細胞再指導性BsAbの能力を評価するために、Jurkat T細胞を標的腫瘍細胞と共に、(X)−3sを含めて同時インキュベートし、フローサイトメトリー及び蛍光顕微鏡によって評価した。Jurkat T細胞は、CD4+T細胞白血病系であり、これを、様々な濃度の(19)−3sの存在下でFITC標識Daudi細胞を消失させずにT細胞結合を示すそれらの能力によって選択し、T細胞−B細胞会合複合体を示す二重陽性(CD3+CD20+)集団の検出のためにフローサイトメトリーによって分析した。明らかな細胞−細胞会合が、(19)−3s0.5ng/mLでの処置の後に見られ、0.1μg/mLでの処置の後には、細胞集団の25%超が、細胞−細胞会合して存在した(
図5)。(19)−3s0.1μg/mLで処理した後に免疫シナプスが明らかであるとおり、蛍光顕微鏡がこのデータを裏付けている(
図4)。(19)−3sの不在下では、シナプス形成は見られなかった(データは図示せず)。
【0238】
この細胞−細胞会合を、膵臓腫瘍系Capan−1でも観察した(
図6)。Capan−1は、高レベルのTROP2及び中レベルのMUC5ACを発現する。したがって、TROP2を標的とするbsAbの(E1)−3s(
図6C)、及びMUC5ACを標的とするbsAbの(M1)−3s(
図6B)の両方を、非標的化対照bsAbの(19)−3s(
図6A)と比較した。CFSE標識Capan−1細胞を、これらのbsAbの存在下で、PKH26標識Jurkatと共に同時インキュベートした。予測されたとおり、蛍光顕微鏡は、(E1)−3sによって媒介された大量のT細胞/Capan複合体、続いて(M1)−3sによって媒介されたより少量であるが、それでもかなりの量の複合体、及び(19)−3s処置後には比較的少ない複合体形成を明らかにした(
図6)。
【0239】
(19)−3sは、T細胞活性化及び増殖を特異的に誘発する。
T細胞を活性化する(19)−3sの能力を、PBMC(
図7A)、またはDaudi B細胞と同時インキュベートされたT細胞(
図7B)において、T細胞活性化の初期マーカーであるCD69の発現レベルを測定することによって評価した。非標的化対照抗体、(19)−DDD2及び(M1)−3s、さらには、Daudi標的細胞なしで(19)−3sで処理されたT細胞と比較して、CD69発現の50倍超の増大によって示されるとおり、(19)−3s3ng/mLでの処置は、Daudi B細胞と共に同時インキュベートされたT細胞においてT細胞活性化を誘発した(
図7B)。抗体を、T細胞及びB細胞の両方を含めてPBMCと共にインキュベートすると、同様の結果が観察され;(19)−3sは、非標的化対照よりも20倍超高く、CD69発現レベルを刺激した(
図7A)。標的細胞の不在下では、(19)−3sで処理した精製T細胞は、活性化を示さなかった(
図7C)。
【0240】
T細胞活性化の別の指標としてのT細胞増殖を、様々なCD3を標的とする抗体でPBMCを処理した後に評価した。3nMまたは30pMの(19)−3sは、陽性対照IL−2/PHAのものと同様のT細胞増殖を誘発した(
図8A)。非標的化対照抗体、(14)−3sは、最高(3nM)濃度で多少の非特異的T細胞増殖を示している(
図8A)。しかしながら、T細胞増殖は、B細胞を欠失したPBMCにおいては観察されず(
図8B)、これは、標的細胞が特異的(19)−3s誘発T細胞増殖に必要とされることを示唆した。
【0241】
悪性細胞系の(X)−3s再指導T細胞媒介性殺傷
各白血球を標的とする分子の細胞毒性を、特定の腫瘍標的細胞の溶解を媒介するその能力によって評価した。血液腫瘍細胞系では、18〜24時間アッセイにおいて未刺激の富化T細胞集団をエフェクター細胞として使用する10:1のE:T比が、最適なアッセイ条件を示した。CD19を標的とするbsAbの(19)−3sは、比較的低いCD19発現細胞系Ramos(IC
50=0.17pM、Lysis
Max=79%)、Daudi(IC
50=1pM、Lysis
Max=60%)、及びNalm6(IC
50=6pM、Lysis
Max=93%)の最も強力な特異的殺傷を誘発した(
図9A)。興味深いことに、高CD19発現細胞系であるNamalwa(IC
50=63pM、Lysis
Max=60%)及びRaji(IC
50=3nM、Lysis
Max=41%)は、(19)−3sに対して感受性が最も低かった(
図9A)。非標的化(14)−3s DNL(商標)コンストラクトは、試験した細胞系のいずれにおいても細胞毒性をほとんど有さなかった(
図9B)。2人の異なるドナーから得られたPBMCで、Nalm−6ALL細胞系に対する(19)−3sコンストラクトの一致する細胞毒性性作用が得られた(
図9C)。
【0242】
(20)−3s、(22)−3s、及び(C2)−3sT細胞再指導性bsAbのin vitro細胞毒性作用を、数種の細胞系において決定した(
図10)。CD22を標的とするbsAbの(22)−3sは、CD22陽性Daudi細胞系において強力な(IC
50=5pM、Lysis
Max=60%)特異的T細胞媒介性溶解を示したが(
図10C)、CD22陰性Namalwa細胞においては示さなかった(
図10A)。
【0243】
CD20を標的とするbsAbの(20)−3sは、より低いCD20発現のNamalwa細胞系(IC
50=30pM、Lysis
Max=53%)(
図10A)と比較して、CD20高発現の細胞系、Daudi(IC
50=<0.3pM、Lysis
Max=90%)(
図10C)及びJeko(IC
50=1pM、Lysis
Max=90%)(
図10B)において最高の効力を示した。
【0244】
HLA−DRを標的とするbsAbの(C2)−3sを、HLA−DR発現Jeko−1細胞系(IC
50=20pM、Lysis
Max=88%)において試験した(
図10B)。
【0245】
10:1のE:T比で、単離T細胞をエフェクター細胞として使用すると、bsAbは、バーキットリンパ腫(Daudi、Ramos、Namalwa)、マントル細胞リンパ腫(Jeko−1)、及び急性リンパ芽球性白血病(Nalm−6)を含む様々なB細胞悪性病変において強力なT細胞媒介性細胞毒性を誘発した(表7)。非腫瘍結合対照の(14)−3sは、10nM超で中程度のT細胞死滅しか誘発しなかった。抗原/エピトープの性質、特に、そのサイズ及び細胞表面への近接が、T細胞再標的化効力について、抗原密度よりも重要であると考えられる(表7)。それぞれNamalwa及びJeko−1で見られるとおり、CD19またはHLA−DRの発現がCD20よりもかなり高くても、(20)−3sは、(19)−3s及び(C2)−3sよりも一貫して強力であるようである。これはおそらく、CD20エピトープが、細胞表面近くに近接する小さな細胞外ループを含むためである。Daudiを直接的に使用して比較すると、(22)−3sが、最も効力が低かった。CD19及びCD20と比較して、CD22は、最も低い密度で発現され、急速内部移行性抗原であり、そのエピトープは、細胞表面からさらに離れている。これらの要因のそれぞれが、その低減された効力の原因であり得る。最終的に、T細胞再標的化殺傷に対する感受性は、(19)−3sを使用して観察されたとおり細胞系依存性であり、Rajiの方がより高いCD19抗原密度を発現するが、Rajiは主に非応答性(IC
50>3nM)であり、Ramos(IC
50=2pM)は高度に感受性である(表7)。
【0246】
結論として、(19)−3s、(20)−3s、(22)−3s、及び(C2)−3sは、T細胞及び標的B細胞に同時に結合し、T細胞媒介性殺傷をin vitroにおいて誘発する。DNL法のモジュラー性は、追加の組換え操作及びタンパク質生成を必要とせずに、様々なB細胞悪性病変の再指導白血球殺傷のための数種の関連コンジュゲートの迅速な生成を可能にした。細胞表面へのCD20細胞外エピトープの近接が、(20)−3sで最高の効力をもたらした。
【0247】
【表7】
【0248】
白血球再指導性bsAbのin vitro細胞毒性作用をまた、充実性腫瘍細胞において決定した(
図11)。充実性腫瘍細胞系では、最適なアッセイ条件は、42〜48時間アッセイにおいて刺激T細胞を使用して、3:1のE:T比であると決定した。各bsAbは、腫瘍標的細胞の特異的T細胞媒介性溶解を誘発した。CEACAM5発現ヒト結腸腺癌細胞系のLS−174Tは、(14)−3sでの処理後に、強力な特異的溶解(IC
50=2pM)を示しした(
図11A)。(E1)−3sは、TROP2発現Capan−1ヒト膵臓腺癌細胞系の強力な特異的溶解(IC
50=29pM)を媒介した(
図11B)。CEACAM6及びTROP 2の両方を高レベルで発現する胃癌細胞系NCI−N87は、T細胞を標的とする分子、(15)−3s及び(E1)−3sの両方に対して非常に強力な特異的溶解(それぞれIC
50=3pM及び0.85pM)を示した(
図11C)。非標的化対照抗体の(19)−3は、Capan−1及びLS174Tについて、濃度1nM超で低い(20%未満)非特異的溶解を、かつNCI−N87細胞において中程度(約40%)の非特異的溶解を誘発した(
図11A〜C)。様々な腫瘍細胞系における様々な白血球再指導性bsAbでのin vitro細胞毒性データの概要を
図12において示す。様々なコンストラクトが、標的とされた抗原を発現する細胞系について一般に低いピコモル範囲のIC
50値で、最高90%以上の標的とされた腫瘍細胞の最大細胞溶解を示した(
図12)。
【0249】
実施例2. 白血球再指導性DNL(商標)複合体のin vivo研究
小さい(60kDa未満)scFvベースのコンストラクト、例えば、BITE(登録商標)及びDART(商標)の潜在的な限界の1つは、それらの毒性及び循環からの急速なクリアランスによる、長期連続注入による投与の必要である。DNL(商標)bsAbの分子サイズは、腎クリアランスに典型的に関係する閾値を超えているので、循環からのよりゆっくりとしたクリアランスを示すはずである。本発明者らは、(19)−3s bsAb5mg/kgの単回ボーラス静脈内注射後のマウスにおける薬物動態パラメーターを測定した(データ図示せず)。それぞれ1.1及び5.1時間のt1/2α及びt1/2βで、二相クリアランスが観察され、1880pmol
*h/mLの曲線下面積(データ図示せず)が生じ、これは、同じモル濃度で投与されたMT103(抗CD19×抗CD3 BITE(登録商標))で報告された曲線下面積(米国特許出願公開第2010/0303827A1号)よりも約6倍大きかった。主な相違は明らかに、(19)−3sでのより長いt1/2αである(データ図示せず)。(19)−3sの潜在的に有意な特性によって、本発明者らは、動物研究においてBITE(登録商標)のために典型的に使用される毎日の投与ではなく、より少ない頻度の投与スケジュールを使用する可能性を評価した。
【0250】
ヒトPBMCで再構成されたNOD/SCIDマウス中のRajiヒトバーキットリンパ腫異種移植片を使用して、パイロット研究を行った(
図13、
図14)。Raji細胞(1×10
6細胞/マウス)を、1人の健康なドナーから新たに単離されたPBMC(5×10
6細胞/マウス)と合わせ、マトリゲルと1:1で混合し、研究の動物のすべてに0日目に皮下注射した。5匹のマウスからなる群に、(19)−3s合計130μgの静脈内注射剤を0日目に単回投与(
図13B)、43μgの3回投与(0、2、及び4日目)(
図13C)、または26μgの5回投与(0〜5日目)(
図13D)として投与した。同じ細胞混合物を接種されているが、(19)−3sを投与されなかった未処置群(
図13A)は、31日の生存時間中央値(MST)を示した。各治療レジメンは、生存を改善し(P≦0.05)、3回投与(1日おき)スケジュールが、最も高い延命効果をもたらした(MST=91日;対数順位分析でP=0.0018)。
【0251】
追跡研究を、低頻度投与の有効性を決定するために開始した(
図14)。9匹のNOD/SCIDマウスからなる群に、上記と同様の様式でRaji及びPBMCを接種した。この研究では、第1の研究における1週間に対して、治療を2週間に延長した。群に、(19)−3s合計360μgの静脈内注射剤を、2×130μg(
図14B)、4×65μg(
図14D)、または6×43μg(
図14E)投与として2週間にわたって投与した。追加の群には、静脈内の代わりに、2×130μg皮下投与を投与した(
図14C)。比較のために、未処置マウス(
図14A)または非標的化(M1)−3s抗体で処置されたマウス(
図14F)の対照を調製した。28日目時点で、(19)−3s処置群のそれぞれが、未処置対照よりも有意に小さいAUCを有した(P<0.05)。意外にも、皮下経路による2週間の投与は明らかに、より頻繁な静脈内投与と同様に有効であった。
【0252】
in vivo研究をまた、充実性腫瘍を使用して行った(
図15)。LS174T結腸腺癌(
図15A、
図15B)またはCapan−1膵臓癌(
図15C、
図15D)のために、NOD/SCIDマウス異種移植片を上記のとおり調製した。それぞれの場合において、標的化(E1)−3s(
図15B)または(14)−3s(
図15D)bsAb DNL(商標)コンストラクトを投与されたマウスは、対照と比較して改善した生存を示した。
【0253】
結論として、(19)−3s、(E1)−3s、及び(M1)−3s DNL(商標)コンストラクトを含む白血球再標的化bsAbは、それぞれCD3及びCD19への一価及び二価結合によって、T細胞と、それぞれB細胞、結腸腺癌、または膵臓癌細胞との間のシナプス形成を媒介した。T細胞の活性化、増殖、及び標的細胞殺傷は、ex vivo設定ではpM濃度で、DNL(商標) bsAbによって誘発された。二価腫瘍結合及びより低速のクリアランスを含むDNL(商標)bsAbの有利な特性は、動物モデルにおいて、かつクリニックにおいて連続注入として毎日静脈内投与されるBITE(登録商標)またはDART(商標)コンストラクトと比較して、より低頻度の投与及びもしかすると皮下投与を可能にするであろう。DNL(商標)法のモジュラー性は、追加の組換え操作及びタンパク質生成を必要とせずに、様々な悪性病変の再指導白血球死滅のための多数の関連コンジュゲートの迅速な生成を可能にする。
【0254】
CD3または他の白血球抗原に結合する他の抗体、さらには、Trop−2または他の疾患関連抗原に結合する他の抗体が当技術分野で公知であり、任意のそのような抗体を、当技術分野で周知の技術を使用して、F(ab)
2、scFv、または他の抗体断片を作製するために使用することができることを、当業者は了解するであろう。そのような代替の抗体またはその断片を、本方法及び組成物において利用することができる。下で論述するとおり、DOCK−AND−LOCK(商標)(DNL(商標))複合体を作製する方法を、任意の公知の抗体または抗体断片を安定な生理学的に活性な複合体に組み込むために適用することができる。
【0255】
実施例3. インターフェロン−αは、抗Trop−2×抗CD3二重特異性抗体の細胞毒性作用を増強する
ヒトT細胞と混合し、マウスに注入した場合の、hRS7及びOKT3からDNL(商標)複合体として作製された抗ヒトTrop−2×抗ヒトCD3二重特異性抗体((E1)−3s)の治療効力を、Capan−1ヒト膵臓腺癌腫瘍細胞の腫瘍増殖を遅延させるその能力について試験した。この治療と組み合わせた場合のインターフェロン−α(E1
*−2bまたはPEGASYS(登録商標)の形態のいずれか)の効果も評価した。
【0256】
方法
5週齢の雌のNOD/SCIDマウスに、マトリゲルと1:1で混合したCapan−1(5x10
6)及びヒトT細胞(2.5×10
6細胞)の混合物を皮下注射した(1:2のE:T比)。それぞれ8匹のマウスからなる6つの異なる処置群が存在した。処置は、Capan−1/T細胞混合物の投与の1時間後に開始して(E1)−3s47μgを静脈内で毎日5日間にわたって投与される1群からなった。2つの群を、等モル量のIFNで処置し、1つの群には、IFN−α2b−DDD2−CK−hRS7 IgG1から作製されたDNL分子を投与し(E1
*−2b;皮下で週1回2.5μg×4週間)、別の群には、PEGASYS(登録商標)(Roche;皮下で週1回0.6μg×4週間)を投与した。2つの他の群には、(E1)−3s+E1
*2bまたは(E1)−3s+PEGASYS(登録商標)の組合せを投与した。対照群である最後の群は未処置のままであった。表8に、様々な処置群をまとめる。
【0257】
【表8】
【0258】
マウスを、腫瘍増殖の徴候について毎日モニターした。腫瘍が生じ始めたら、すべての動物で、腫瘍を週に2回測定した。それらの腫瘍体積のサイズが1.0cm
3を超えたら、疾患進行のためにマウスを安楽死させた。
【0259】
結果
様々な群での平均腫瘍体積を
図16において示す。明確にするために、PEGASYS(登録商標)群を含有するデータ(
図16B)を、E1
*2b群(
図16A)とは別のグラフに示す。未処置群の最初のマウスを疾患進行のために安楽死させたときである29日目の未処置マウスと比較すると、すべての処置が、曲線下面積(AUC)の点において、腫瘍増殖の制御について有意に良好であった(P<0.0009;AUC
29日)。(E1)−3sをPEGASYS(登録商標)と組み合わせると、腫瘍増殖の点において総じて最高の抗腫瘍応答が生じた(
図16B)。この処置は、どの個々の処置よりも有意に良好であり(P<0.042;AUC)、さらには、(E1)−3s+E1
*−2b(P=0.0312;AUC
53日)の組合せよりも優れていた(
図16A)。(E1)−3s単独ではなく、E1
*2bまたはPEGASYS(登録商標)単独と比較すると(P<0.0073;AUC
46日)、(E1)−3s+E1
*2bの組合せは、腫瘍増殖を有意に制御し得た(
図16A〜B)。(E1)−3s、PEGASYS(登録商標)、またはE1
*−2bで処置されたマウスの間では、有意な差は存在しなかった(
図16A〜B)。
【0260】
生存の点において、未処置マウスと比較すると、すべての処置が、有意な延命効果をもたらす(P<0.0112;対数順位)(
図17)。81日目時点で、(E1)−3s+E1
*−2bの組合せで処置されたマウスと、(E1)−3s+PEGASYS(登録商標)で処置されたマウスとの間で、生存時間中央値(MST)に有意な差はなかった(それぞれMST=79.5及び>81日)(
図17)。(E1)−3s+PEGASYS(登録商標)で処置されたマウスは、どの個々の処置よりも生存結果の有意な改善を示した(P<0.0237)(
図17)。(E1)−3s+E1
*2bで処置されたマウスは、E1
*−2b単独で処置されたマウスと比較すると(MST=53日;P<0.0311)、延命効果を有したが、(E1)−3sまたはPEGASYS(登録商標)単独で処置されたマウス(それぞれMST=68及び53日)と比較すると、延命効果を有さなかった(
図17)。(E1)−3sでの処置は、E1
*−2bで処置されたマウスと比較すると(P=0.0406)、生存に有意な改善をもたらしたが、PEGASYS(登録商標)単独で処置されたマウスと比較するともたらさなかった(
図17)。E1
*2bのみで処置されたマウスと、PEGASYS(登録商標)単独で処置されたマウスとの間で、有意な差は存在しなかった(
図17)。
【0261】
この結果は、白血球再指導性bsAbと組み合わせた場合に、インターフェロン−αの添加が、生存のかなりの増大及び腫瘍増殖の減少をもたらすことを実証している。タイプIまたはタイプIIIインターフェロン(インターフェロン−α、インターフェロン−β、またはインターフェロン−λ)の添加で観察される有効性の改善は、特異的(E1)−3s bsAbに限られず、DNL(商標)複合体として、または他の形態、例えば、BITE(登録商標)若しくはDART(商標)で作製された他の白血球再指導性bsAbでも観察されるであろうことを、当業者は了解するであろう。
【0262】
実施例4. 白血球再指導性二重特異性抗体とのインターフェロン−α併用療法についてのさらなる研究
上記実施例において、(E1)−3s+PEGASYS(登録商標)の組合せは、腫瘍増殖の制御における非常に有効な処置であることを実証した。これらの結果を確認し、それを拡大するために、2つの新たな群を加えた研究を行った。初めに、等モル量のTF12を動物に投与する(E1)−3sのための対照群を含ませた。TF12は、1個の非標的化679Fab(抗HSG)に連結された2個のhRS7−Fab分子からなる。加えて、Capan−1はIFNに対して感受性があるので、T細胞の利点なしで、Capan−1腫瘍増殖に対するPEGASYS(登録商標)の効果を評価する別の群を加えた。
【0263】
マウス(40匹)にCapan−1/T細胞混合物を注射した後に、それらを5つの処置群に無作為割り当てした。1時間後に、11匹のマウスからなる1つの群に、(E1)−3s47μgを毎日静脈内投与したが、これを腫瘍細胞注射の1時間後に開始して、さらに連続4日間継続した(1日4回×5)。7匹の動物からなる1群に、PEGASYS(登録商標)の形態のインターフェロンを、週1回ベースで4週間にわたって皮下投与した。別の群には、(E1)−3s(静脈内)+PEGASYS(登録商標)(皮下)の組合せを皮下投与した。未処置対照動物には、Capan−1/T細胞を投与したが、処置はしなかった。さらなる対照群には、TF12を、モルの点において(E1)−3sと同量で投与した(57μg、1日4回×5)。群6のマウス(8匹の動物)には、Capan−1細胞のみ(すなわち、T細胞なし)の別の注射を投与し、PEGASYS(登録商標)で処置した。治療用の注射剤はすべて、100μLの体積であった。表9に、様々な群をまとめる。
【0264】
【表9】
【0265】
マウスを、腫瘍増殖の徴候について毎日モニターした。腫瘍が生じ始めたら、すべての動物で、腫瘍を週に2回測定した。それらの腫瘍体積のサイズが1.0cm
3を超えたら、疾患進行のためにマウスを安楽死させた。
【0266】
結果
平均腫瘍体積(
図18)及び生存曲線(
図19)を示す。相互には異ならないが、(E1)−3s、PEGASYS(登録商標)、またはPEGASYS(登録商標)(T細胞なし)で処置されたマウスは、TF12及び未処置対照群と比較すると、有意な抗腫瘍作用を示した(P<0.0102;AUC)。この実験を終了した日(59日目)に、(E1)−3s+PEGASYS(登録商標)の組合せで処置されたマウスでの平均腫瘍体積は、0.083±0.048cm
3であった。総じて、この処置群は、他の処置群すべてと比較して、有意な抗腫瘍作用を示した(P<0.0072;AUC)。
【0267】
それぞれ個々の処置(PEGASYS(登録商標)、T細胞なしのPEGASYS(登録商標)、及び(E1)−3s)は、TF12及び未処置対照群の両方と比較して、有意に生存を改善した(P<0.0059;対数順位)(
図18、
図19)。(E1)−3s+PEGASYS(登録商標)の組合せを除くすべての群が、それらの個々のMSTに達した。この組み合わせ群では、疾患進行(TV>1.0cm
3)によって、動物を安楽死させることはなかった。重要なことに、(E1)−3s+PEGASYS(登録商標)の組合せは、すべての他の処置と比較して、有意な延命効果をもたらした(P<0.0007;対数順位)(
図18、
図19)。
【0268】
実施例5. ヒト胃癌におけるT細胞再指導性二重特異性抗体とのインターフェロン−α併用療法の効果
先行する2つの実施例において開示した方法及び組成物を、IFN−難治性NCI−N87ヒト胃腫瘍系における、単独か、またはインターフェロン−α(PEGASYS(登録商標))と組み合わせての白血球再指導性bsAbの効果を研究するために使用した。マウスの群(各群N=8)に、マトリゲルと混合した5×10
6個のNCI−N87細胞+2.5×10
6個のT細胞(1:2のE:T比)を皮下注射し、治療を1時間後に開始した。処置群を表10において示す。
【0269】
【表10】
【0270】
単独か、またはインターフェロンと組み合わせた白血球再指導性bsAb(E1)−3sの作用を
図20及び
図21において示す。(E1)−3s bsAbは、胃癌において腫瘍増殖を低減し、及び生存を増大させるのに有効であった。重要なことに、インターフェロン−αとの組合せは、インターフェロン抵抗性腫瘍においても、白血球再指導性bsAbの作用を増強した。併用療法は、単独で添加されたいずれの作用物質よりも有効であった。単独か、またはインターフェロン−αと組み合わせたTF12 bsAbで処置されたマウスでの対照は、未処置動物と比較して、腫瘍増殖または死亡率に対してほとんど作用を示さなかった。
【0271】
実施例6. ヒト膵臓癌または結腸癌の前臨床モデルにおける抗体−薬物コンジュゲート(ADC)のin vivo治療用途
CL2A−SN−38−抗体コンジュゲートを、すでに記載されているとおりに調製した(例えば、米国特許第7,999,083号及び同第8,080,250号を参照されたい)。皮下ヒト膵臓または結腸腫瘍異種移植片を持つ免疫不全の無胸腺ヌードマウス(雌)を、特異的CL2A−SN−38コンジュゲートまたは対照コンジュゲートのいずれかで処置するか、または未処置のままとした。特異的コンジュゲートの治療有効性を観察した。Capan1膵臓腫瘍モデルでは、hRS7(抗TROP2)、hPAM4(抗MUC5ac)、及びhMN−14(抗CEACAM5)抗体の特異的CL2A−SN−38コンジュゲートは、対照hA20−CL2A−SN−38コンジュゲート(抗CD20)及び未処置対照(図示せず)よりも良好な有効性を示した。同様にヒト膵臓癌のBXPC3モデルにおいて、特異的hRS7−CL2A−SN−38は、対照処置よりも良好な治療効力を示した(図示せず)。同様に、ヒト結腸癌の進行性LS174Tモデルにおいて、特異的hMN−14−CL2A−SN−38での処置は、非処置よりも有効であった(図示せず)。
【0272】
実施例7. ADC hMN−14−[CL2−SN−38]、IMMU−130を使用しての、ヌードマウスにおけるGW−39ヒト結腸腫瘍の肺転移のin vivo治療
結腸癌の肺転移モデルをヌードマウスにおいて、GW−39ヒト結腸腫瘍懸濁液の静脈内注射によって定着させ、治療を14日後に開始した。特異的抗CEACAM5抗体コンジュゲート、hMN14−CL2−SN−38、さらには非標的化抗CD22 MAb対照コンジュゲート、hLL2−CL2−SN−38、ならびにhMN14及びSN−38の等用量混合物を4日に1回×8の投与スケジュールで異なる用量を使用して注射した。選択的治療効果がhMN−14 ADCで観察された(図示せず)。250μgの投薬量では、hMN14−CL2−SN−38で処置されたマウスは、107日超の生存期間中央値を示した。肺癌細胞を特異的に標的としない対照コンジュゲート化抗体hLL2−CL2−SN−38で処置されたマウスは、77日の生存期間中央値を示し、非コンジュゲート化hMN14 IgG及び遊離SN−38で処置されたマウスは、43.5日の未処置生理食塩水対照に匹敵する45日の生存期間中央値を示した。非コンジュゲート化抗体及び遊離化学療法薬単独よりもかなり有効であったコンジュゲート化癌細胞標的化抗体−SN−38コンジュゲートの有効性の有意で意外な増大が明らかに見られた(図示せず)。コンジュゲート化抗体の治療効果の用量−反応性も観察された(図示せず)。これらの結果は、同じin vivoヒト肺癌系における、非コンジュゲート化抗体及び遊離SN−38の両方の合計効果と比較して、SN−38−抗体コンジュゲートの明らかな優位を実証する。
【0273】
実施例8. 治療不応性転移結腸癌(mCRC)を治療するためのADC(IMMU−132またはhRS7−SN−38)の使用
患者は、2012年1月に転移性疾患を初めに示したmCRCを有する62歳の女性であった。女性は、診断の2週後に第1の治療として腹腔鏡による回腸横断結腸切除を受け、次いで、4サイクルのFOLFOX(ロイコボリン、5−フルオロウラシル、オキサリプラチン)化学療法をネオアジュバント設定で投与され、その後、肝臓の右葉の転移病変を除去するために2012年3月に右肝切除を受けた。これに、2012年6月に開始される合計12サイクルのFOLFOXでのアジュバントFOLFOXレジメンが続いた。8月に、オキサリプラチンが、神経毒性の悪化によってレジメンから外された。5−FUの女性の最終サイクルは2012年9月25日であった。
【0274】
2013年1月に行われたCTは、肝臓への転移を示した。その後、女性は、IMMU−132(hRS7−SN−38)調査研究に登録するための良好な候補者として評定された。女性の病歴における共存症には、喘息、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症、心雑音、裂孔ヘルニア、甲状腺機能低下症、手根管症候群、緑内障、うつ病、レストレスレッグ症候群、及び神経障害が含まれた。女性の手術歴には、卵管結紮(1975)、甲状腺除去(1983)、胆嚢摘出(2001)、手根管解離術(2008)、及び緑内障手術が含まれる。
【0275】
この治療へのエントリの時点で、女性の標的病変は、肝臓左葉内の3.1cm腫瘍であった。非標的病変には、肝臓内のいくつかの低減弱腫瘤(hypo−attenuated masses)が含まれた。女性の基線CEAは、781ng/mLであった。
【0276】
IMMU−132を、週1回スケジュールで注入によって連続2週間にわたって投与し、次いで、1週休止し、これが、処置サイクルを構成した。これらのサイクルを、許容されるかぎり繰り返した。IMMU−132(8mg/kg)の第1の注入を2013年2月15日に開始し、特記すべき事象なく完了した。女性は、第1のサイクルの経過中に悪心(グレード2)及び倦怠(グレード2)を経験し、以降は、主要な有害事象なしに、処置を継続している。女性は、2013年3月に脱毛症及び便秘を報告した。2013年4月8日の1回目の応答評価(6回の投与後)は、コンピュータ断層撮影(CT)によると、標的病変の29%の縮小を示した。女性のCEAレベルは、2013年3月25日に230ng/mLに低下した。2013年5月23日の2回目の応答評価(10回投与後)において、標的病変は39%縮小し、したがって、RECIST基準による部分的応答を構成した。女性は、処置を継続し、8mg/kgでのhRS7−SN−38(IMMU−132)の12回の投与からなる6回のサイクルを受けている。この調査処置を開始してから、女性の全身健康及び臨床症状はかなり改善した。
【0277】
実施例9. 転移固形癌のためのIMMU−132でのADC治療
IMMU−132は、pH感受性リンカー(平均薬物−抗体比=7.6)によって、Trop−2に結合すると急速な内部移行を示すhRS7抗Trop−2ヒト化モノクローナル抗体にコンジュゲートされたCPT−11の活性代謝産物、SN−38を含むADCである。IMMU−132は、高い普及率及び特異性で多くの癌腫によって発現されるTrop−2、タイプI膜貫通タンパク質を標的とする。この実施例では、中央値3の先行処置(一部はトポイソメラーゼ−I及び−II阻害薬を含む)に失敗した後の種々の転移癌(膵臓癌、7;三種陰性乳癌[TNBC]、4;結腸直腸癌[CRC]、3;胃癌、3、食道癌、前立腺癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌[SCLC]、腎臓癌、扁桃癌、膀胱癌、各1)を有する25人の患者の第I相治験を報告する。
【0278】
IMMU−132を繰り返し21日サイクルで投与し、各処置を1日目及び8日目に投与した。投与を8mg/kg/投与(すなわち、16mg/kg/サイクル)で開始し、用量限定性好中球減少症に遭遇する前に、3+3試験デザインで18mg/kgに漸増させた。倦怠、脱毛症、及び時折の軽度から中程度の下痢が、比較的共通する非血液毒性のいくつかであり、2人の患者が発疹を報告した。24人の評価可能な患者の80%超が、CTによると最良の応答として、様々な転移癌のなかで安定疾患または腫瘍縮小(SD及びPR)を示した。3人の患者(CRC、TNBC、SCLC)は、RECISTによるPRを有し;膵臓癌の患者を除くすべての患者での中央値TTPは、18週超である。好中球減少症は、8〜10mg/kg/投与(16〜20mg/kg/サイクル)に用量を低減することによって制御されている。
【0279】
免疫組織化学は、多くの保管患者腫瘍においてTrop−2の強い発現を示したが、血清中では、これは検出されない。血液腫瘍マーカー力価(例えば、CEA、CA19−9)における対応する低減が腫瘍応答を反映した。繰り返し投与にもかかわらず、抗抗体または抗SN−38抗体は検出されていない。血清中のIMMU−132濃度のピーク及びトラフ評価は、コンジュゲートが7日以内に完全に排除されることを示しており、これは、50%のSN−38が血清中に毎日放出されることを示すin vitro研究に基づき予測された所見である。これらの結果は、1サイクルあたり16〜24mg/kgの範囲の用量で投与されたこの新規のADCが、多様な転移固形癌において高い治療指数を示すことを示している。
【0280】
実施例10. CEACAM5を標的とするSN−38ADCであるIMMU−130は、転移結腸直腸癌(mCRC)において治療活性である
pH感受性リンカー(7.6の平均薬物−抗体比)によってヒト化抗CEACAM5抗体(ラベツズマブ)にコンジュゲートされているSN−38のADCであるIMMU−130は、2つの第I相試験を完了しつつある。両方において、進行mCRCを有する適任の患者は、その1つがトポイソメラーゼ−I阻害薬、CPT−11(イリノテカン)である標準的な処置に失敗/再発していて、高い血漿CEA(5ng/mL超)を有することが必要とされた。
【0281】
IMMU−130を、第1のプロトコル(IMMU−130−01)では2.0mg/kgから開始する用量で、14日ごと(EOW)に投与した。24mg/kgで、熱性好中球減少症が、3人の患者のうちの2人で起こり;それ以外では、16mg/kg以下で、好中球減少症(グレード2以上)が、7人の患者で観察され、1人も、血小板減少症を経験した。1人の患者[4回投与(2サイクル)以上を投与された8人のうち]は、4.7カ月間で肝臓(7cmで開始)及び肺標的病変の40.6%減少(RECISTによるPR)を主な毒性なしで示し、16mg/kgで合計18回投与を許容した。研究は、1週おきで12mg/kgで継続中である。
【0282】
SN−38はS期細胞において最も有効であるので、より遷延性の曝露は、有効性を改善し得るであろう。したがって、第2の第I相試験(IMMU−130−02)では、投与を週2回に増強し、3+3試験デザインで6mg/kg/投与で開始して2週間(4回投与)、次いで、1週間の休止を1処置サイクルとした。4.0mg/kgで週2回に用量を低減するまで、好中球減少症及び管理可能な下痢が主な副作用であり、初期の結果は、複数サイクルが良好に許容されることを示した。現在、4回以上投与(1サイクル)を完了した6人の患者のうち、腫瘍縮小が3人の患者で生じ、1人は、RECISTによるPR(約46%)を継続中である。両方の試験において、CEA血液力価は腫瘍応答と相関し、高レベルが治療を干渉することはなかった。ELISA試験に基づくと、抗抗体または抗SN−38抗体反応は存在していない。各研究において、ADCは、最初の24時間以内に50%除去されたが、これは、親分子、CPT−11の典型的な投与においてよりもかなり長い。これらの結果は、平均約16〜24mg/kg/サイクルで種々のレジメンにおいて投与されたこの新規のADCは、進行mCRC患者において高い治療指数を示すことを示している。CEACAM5は乳房及び肺癌、さらには他の上皮性腫瘍において高い発現を示すので、他の癌においても有用な標的であり得る。
【0283】
実施例11. 単独か、または抗Trop−2×抗CD3 bsAb、IFN−α、または抗Trop−2 ADCと組み合わせたチェックポイント阻害物質抗体の抗腫瘍活性
例示的なチェックポイント阻害物質抗体であるイピリムマブ(抗CTLA4)の抗腫瘍活性が、他の治療薬の添加と相乗的であるか、またはそれによって阻害されるかを決定するために、マウス腫瘍モデルにおいて、CTLA4 mAbを単独で、または例示的なT細胞再指導性bsAb(E1)−3s、インターフェロン−α(PEGINTERFERON(登録商標))、または例示的なADC hRS7−SN−38(IMMU−132)と組み合わせて評価する。様々な作用物質及びCTLA4遮断に対する異なる感受性に基づき、M109肺癌、SA1N線維肉腫、及びCT26結腸癌モデルを選択する。ヒトT細胞を抗体と同時投与する。
【0284】
すべての化合物を、それらの最適な用量及びスケジュールで試験する。組み合わせて使用する場合、CTLA4 mAbを、IMMU−132、(E1)−3s、またはインターフェロン−αの初回の投与の1日後に開始する。有効性を評価するために、腫瘍増殖阻害率及び標的腫瘍サイズに達するまでの日数を使用する。抗腫瘍活性を下記のとおりスコアリングする:完全な退縮(CR;触診不可能な腫瘍)または部分的な退縮(PR;腫瘍体積の50%低減)。相乗作用を、各作用物質での単独治療の活性よりも有意に優れた抗腫瘍活性(p<0.05)と定義する。
【0285】
CTLA4遮断に対して感受性であり、かつ(E1)−3s、インターフェロン−α、及びIMMU−132に対して中程度に感受性であるSA1N線維肉腫腫瘍モデルにおいて、境界相乗作用が、CTLA4 mAb及び(E1)−3sの組合せで明白である一方で、インターフェロン−αでは、効果は観察されない。IMMU−132単独治療は、有意なSA1N抗腫瘍活性をもたらさない。しかしながら、IMMU−132をCTLA4 mAbと組み合わせると、相乗作用が生じる。M109肺転移モデル及びCT26結腸癌モデルでは、IMMU−132、(E1)−3s、及びインターフェロン−αのそれぞれと組み合わせたCTLA4 mAbについて、相乗作用が検出される。
【0286】
まとめると、インターフェロン−α、IMMU−132、または(E1)−3sにCTLA4 mAbを添加すると、モデル依存性相乗活性が生じる。腫瘍の免疫原性にかかわらず、治療の少なくとも1種が活性である場合にのみ、相乗作用が観察される。すべての組合せレジメンが良好に許容され、併用療法が、CTLA4 mAb活性を阻害するようには見えない。CTLA4 mAb単独には応答しない腫瘍において、相乗作用が観察され、これは、他の治療薬が免疫原性細胞死を誘発し得るであろうことを示唆している。
【0287】
実施例12. 難治性転移非小細胞肺癌を治療するための抗Trop−2 ADC(IMMU−132)及びインターフェロン−α(PEGINTERFERON(登録商標))での併用療法
患者は、非小細胞肺癌を有すると診断された60歳の男性である。患者に、カルボプラチン、ベバシズマブの化学療法レジメンを6ヶ月間にわたって投与すると、応答を示し、次いで、進行の後に、カルボプラチン、エトポシド、タキソテール(登録商標)、ゲムシタビンを含む化学療法のさらなるコースを次の2年間にわたって投与するが、時折の応答は、2カ月以上は持続しない。次いで、患者は、6.5×4cmと測定される左縦隔腫瘤及び胸膜滲出を示す。
【0288】
インフォームドコンセントへの署名の後に、患者に、18mg/kgの用量で隔週でIMMU−132を投与する。処置の第1週の後に、患者に、IMMU−132及びPEGINTERFERON(登録商標)の併用療法を投与する。初めの2回の注射中に、短期間の好中球減少症及び4時間以内に4回の便通で下痢が経験されるが、これらは、2日以内に解消するか、または対症薬物に応答する。合計6回のIMMU−132の注入及び5回のPEGINTERFERON(登録商標)の注入の後に、インデックス病変のCT評価は、部分応答未満の22%の低減であるが、明確な腫瘍縮小を示す。患者は、この治療をさらに2カ月継続し、そのとき、インデックス病変の直径の合計の45%腫瘍縮小の部分応答がCTによって示されるので、RECIST基準による部分応答を構成する。併用療法は、別々に投与される2種の作用物質と比較して、相乗的応答を提供すると考えられる。
【0289】
実施例13. 進行結腸癌を治療するためのADC(IMMU−130)及びT細胞再指導性bsAb(MT100)での併用療法
患者は、転移結腸癌(ステージIV)と当初診断された75歳の女性である。女性は、右部分結腸半切除及び小腸の切除を受け、次いで、FOLFOX、FOLFOX+ベバシズマブ、FOLFIRI+ラムシルマブ、及びFOLFIRI+セツキシマブ治療を1年半にわたって投与され、そのとき、女性は、後盲嚢、網への疾患の展開、骨盤内の腹水及び女性の胸腔の右側での胸膜滲出液で、疾患の進行を示す。この治療の直前の女性の基線CEA力価は、15ng/mLである。女性に、IMMU−130 6mg/kg(抗CEACAM5−SN−38)を週2回、連続2週間にわたって投与し、次いで、1週休止する(3週サイクル)。1回目のサイクルの後に、患者に、IMMU−132及び白血球再指導性bsAb MT110での併用療法を投与するが、これを、同じ3週サイクルで連続注入によって投与する。いずれの重症の血液または非血液毒性も伴うことなく非常に良好に許容される5サイクルの後に、女性の血漿CEA力価は、1.3ng/mLまで中程度に縮小するが、8週評価では、女性は、インデックス腫瘍病変の21%縮小を示し、これは、13週目には27%縮小まで上昇する。意外にも、患者の腹水及び胸膜浸出液の両方が、この時点で減少するので(後者は消失)、患者の全身状態は顕著に改善する。併用療法は、別々に投与される2種の作用物質と比較して、相乗的応答を提供すると考えられる。
【0290】
実施例14. ステージIV転移疾患を有する胃癌患者を治療するためのADC(IMMU−130)、抗Trop−2×抗CD3 bsAb((E1)−3s)、及びインターフェロン−αでの併用療法
患者は、6年間にわたる胃の不快感及び食事に関連する疼痛によって、医学的処置を求めていて、過去12か月の間に体重減少を示している52歳の男性である。胃領域の触診によって、硬い腫瘍が明らかになり、次いで、これを胃鏡検査すると、男性の胃の下部に潰瘍性腫瘤が明らかとなる。これは生検され、胃腺癌と診断される。検査室試験では、具体的な異常変化は明らかとならないが、ただし、肝機能試験は別で、LDH及びCEAが上昇し、後者は10.2ng/mLである。次いで、患者は、全身PETスキャンを受け、これによって、胃腫瘍に加えて、左腋窩及び肝臓の右葉の転移疾患が明らかとなる(2つの小さい転移)。患者は、異腫瘍を切除され、次いで、転移腫瘍の基線CT測定を受ける。外科手術から4週後に、男性は、3コースの、シスプラチン及び5−フルオロウラシル(CF)のレジメンからなる併用化学療法を投与されるが、これを良好に許容しないので、ドセタキセルでの処置に変更される。疾患は、CTスキャンに基づき約4か月間にわたって安定化されていると考えられるが、次いで、さらなる体重減少、腹部疼痛、食欲不振、及び著しい倦怠の患者の愁訴によって、CT調査を繰り返すと、合計20%の転移のサイズの増大と、元の胃切除の部位での病変の疑いとが示される。
【0291】
次いで、患者に、IMMU−130(抗CEACAM5−SN−38)での実験的治療を8mg/kgの週1回スケジュールで投与する。第1週の後に、IMMU−130、(E1)−3s及びインターフェロン−αでの併用療法を開始する。患者は、続く4週間にわたって、下痢または好中球減少症の証拠を示さない。次いで、患者は、男性の転移腫瘍サイズを測定し、胃切除の元の面積を調べるためにCT試験を受ける。放射線医師が、RECIST基準に従って、治療前の基線と比較して、23%の転移病変の合計の低減を測定する。元の胃切除の領域に何らかの明らかな病変は存在しないようである。この時点での患者のCEA力価は7.2ng/mLであり、これは、14.5ng/mLの基線値からかなり低減している。患者は、週1回併用療法を継続し、合計13回の注入後に、男性のCT研究によって、1個の肝臓転移が消失していて、すべての転移病変の合計が41%低下し、RECISTによる部分応答を構成していることが示される。患者の全身状態は改善し、男性は、3週ごとに維持療法を受けることを継続しつつ、通常の活動を再開している。血液CEAの最新の測定では、その値は4.8ng/mLであり、これは、この患者が該当する喫煙者での正常範囲内である。
【0292】
実施例15. Dock−and−Lock(商標)のための一般技術
開示の方法及び組成物を使用して、任意の抗体または抗原結合性抗体断片に結合したADまたはDDD部分を有するDNL(商標)複合体を生成するために、下で論述する一般技術を使用することができる。
【0293】
発現ベクター
いくつかの抗体及び抗体ベースのコンストラクトを生成するために、プラスミドベクターpdHL2が使用されている。Gilliesら、J Immunol Methods(1989)、125:191〜202;Losmanら、Cancer(Phila)(1997)、80:2660〜6を参照されたい。ジシストロン性哺乳動物発現ベクターは、IgGの重鎖及び軽鎖の合成を指示する。ベクター配列は、多くの異なるIgG−pdHL2コンストラクトでほぼ同一であり、唯一の差異は、可変ドメイン(V
H及びV
L)配列に存在する。当業者に公知の分子生物学ツールを使用して、これらのIgG発現ベクターを、Fab−DDDまたはFab−AD発現ベクターに変換することができる。
【0294】
Fab−DDD発現ベクターを生成するために、ヒンジ、重鎖のCH2及びCH3ドメインのためのコード配列を、ヒンジの最初の4残基、14残基リンカー、及びDDD部分、例えば、ヒトRIIαの最初の44残基(DDD1と称される、配列番号1)をコードする配列に置き換えた。Fab−AD発現ベクターを生成するために、IgGのヒンジ、CH2、及びCH3ドメインのための配列を、ヒンジの最初の4残基、15残基リンカー、及びAD部分、例えば、AKAP−ISと呼ばれる17残基合成AD(AD1と称される、配列番号3)(これは、生物情報学及びペプチドアレイ技術を使用して生成され、非常に高い親和性(0.4nM)でRIIα二量体に結合することが示されている)をコードする配列と置き換えた。Altoら、Proc. Natl. Acad. Sci.、U.S.A(2003)、100:4445〜50を参照されたい。下記のとおり、IgG−pdHL2ベクターからFab−DDD1またはFab−AD1発現ベクターのいずれかへの変換を促進するために、2つのシャトルベクターを設計した。
【0295】
CH1の調製
CH1ドメインをPCRによって、pdHL2プラスミドベクターをテンプレートとして使用して増幅した。左PCRプライマーは、CH1ドメインの上流(5’)末端と、CH1コード配列の5’であるSacII制限エンドヌクレアーゼ部位とからなった。右プライマーは、ヒンジの最初の4残基(PKSC、配列番号102)と、それに続く4個のグリシン及びセリンをコードする配列と、Bam HI制限部位を含む最後の2個のコドン(GS)とからなった。410bpのPCRアンプライマーをPGEMT(登録商標)PCRクローニングベクター(PROMEGA(登録商標),Inc.)にクローニングし、クローンをT7(5’)配向のインサートについてスクリーニングした。
【0296】
BamHI制限部位を含む最初の2個のコドンと共に、リンカーペプチドの11残基が先行するDDD1のアミノ酸配列をコードするために、二重鎖オリゴヌクレオチドを合成した。停止コドン及びEagI制限部位を3’末端に付加する。コード化ポリペプチド配列を下記に示す。
GSGGGGSGGGGSHIQIPPGLTELLQGYTVEVLRQQPPDLVEFAVEYFTRLREARA(配列番号103)
【0297】
3’末端上の30塩基対が重複するRIIA1−44トップ及びRIIA1−44ボトムと名付けられた2つのオリゴヌクレオチドを合成し、174bp DDD1配列の中央154塩基対を含むように組み合わせた。それらのオリゴヌクレオチドをアニーリングし、Taqポリメラーゼでのプライマー伸長反応に供した。プライマー伸長の後に、二重鎖をPCRによって増幅した。アンプライマーをPGEMT(登録商標)にクローニングし、T7(5’)配向でのインサートについてスクリーニングした。
【0298】
BamHI制限部位を含む最初の2個のコドンと共に、リンカーペプチドの11残基が先行するAD1のアミノ酸配列をコードするために、二重鎖オリゴヌクレオチドを合成した。停止コドン及びEagI制限部位を3’末端に付加する。コード化ポリペプチド配列を下記に示す。
GSGGGGSGGGGS
QIEYLAKQIVDNAIQQA(配列番号104)
【0299】
AKAP−IS Top及びAKAP−IS Bottomと名付けられた上記のペプチド配列をコードする2つの相補的重複オリゴヌクレオチドを合成し、アニーリングした。二重鎖をPCRによって増幅した。アンプライマーをPGEMT(登録商標)ベクターにクローニングし、T7(5’)配向でのインサートについてスクリーニングした。
【0300】
DDD1とCH1とのライゲーション
DDD1配列をコードする190bp断片を、BamHI及びNotI制限酵素でPGEMT(登録商標)から切り出し、次いで、CH1−PGEMT(登録商標)の同じ部位にライゲートして、シャトルベクターCH1−DDD1−PGEMT(登録商標)を生成した。
【0301】
AD1とCH1とのライゲーション
AD1配列をコードする110bp断片を、BamHI及びNotIでPGEMT(登録商標)から切り出し、次いで、CH1−PGEMT(登録商標)の同じ部位にライゲートして、シャトルベクターCH1−AD1−PGEMT(登録商標)を生成した。
【0302】
このモジュール設計を用いて、CH1−DDD1またはCH1−AD1のいずれかを、pdHL2ベクター中の任意のIgGコンストラクトに組み込むことができる。pdHL2からSacII/EagI制限断片(CH1−CH3)を除去し、それを、個々のPGEMT(登録商標)シャトルベクターから切り出したCH1−DDD1またはCH1−AD1のSacII/EagI断片と置き換えることによって、全重鎖定常ドメインを、上記コンストラクトの1つと置き換える。
【0303】
C−DDD2−Fd−hMN−14−pdHL2
C−DDD2−Fd−hMN−14−pdHL2は、14アミノ酸残基Gly/Serペプチドリンカーを介してhMN−14のFdのカルボキシル末端に結合されるDDD2の二量化及びドッキングドメイン配列(配列番号2)を持つC−DDD2−Fab−hMN−14を生成するための発現ベクターである。分泌される融合タンパク質は、DDD2ドメインの非共有結合相互作用によって一緒に保持されるhMN−14 Fabの2つの同一のコピーからなる。
【0304】
発現ベクターを、次のとおりに操作した。リンカーペプチドの一部のためのコード配列及びDDD2の残基1〜13を含む2つの重複相補的オリゴヌクレオチドを合成によって作製した。オリゴヌクレオチドをアニーリングし、T4 PNKでリン酸化すると、それぞれ制限エンドヌクレアーゼBamHI及びPstIで消化されるDNAとライゲートするために適合した5’及び3’末端上にオーバーハングが生じた。
【0305】
二重鎖DNAを、BamHI及びPstIでの消化によって調製されたシャトルベクターCH1−DDD1−PGEMT(登録商標)とライゲートさせて、シャトルベクターCH1−DDD2−PGEMT(登録商標)を生成した。SacII及びEagIでCH1−DDD2−PGEMT(登録商標)から、507bp断片を切り出し、SacII及びEagIでの消化によって調製されたIgG発現ベクターhMN−14(I)−pdHL2とライゲートさせた。最終発現コンストラクトを、C−DDD2−Fd−hMN−14−pdHL2と名付けた。いくつかの異なるヒト化抗体のFab断片のDDD2−融合タンパク質を生成するために、同様の技術が利用されている。
【0306】
h679−Fd−AD2−pdHL2
h679−Fab−AD2を、C−DDD2−Fab−hMN−14と対合するように設計した。h679−Fd−AD2−pdHL2は、14アミノ酸残基Gly/Serペプチドリンカーを介してCH1ドメインのカルボキシル末端に結合されるAD2(配列番号4)のアンカードメイン配列を有するh679−Fab−AD2を生成するための発現ベクターである。AD2は、AD1のアンカードメイン配列に先行する1個のシステイン残基及びそれに続くもう1個のシステイン残基を有する。
【0307】
発現ベクターを、次のとおりに操作した。AD2のためのコード配列及びリンカー配列の一部を含む2つの重複相補的オリゴヌクレオチド(AD2トップ及びAD2ボトム)を合成によって作製した。オリゴヌクレオチドをアニーリングし、T4 PNKでリン酸化すると、それぞれ制限エンドヌクレアーゼBamHI及びSpeIで消化されるDNAとライゲートするために適合した5’及び3’末端上にオーバーハングが生じた。
【0308】
二重鎖DNAを、BamHI及びSpeIでの消化によって調製されたシャトルベクターCH1−AD1−PGEMT(登録商標)とライゲートさせて、シャトルベクターCH1−AD2−PGEMT(登録商標)を生成した。SacII及びEagI制限酵素でシャトルベクターから、CH1及びAD2コード配列を含有する429塩基対断片を切り出し、同じ酵素での消化によって調製されたh679−pdHL2ベクターとライゲートさせた。最終発現ベクターは、h679−Fd−AD2−pdHL2である。
【0309】
TF2 DNL(商標)コンストラクトの生成
TF2と名付けられた三量体DNL(商標)コンストラクトを、C−DDD2−Fab−hMN−14とh679−Fab−AD2との反応によって得た。TF2のパイロットバッチを、次のとおり収率90%超で生成した。プロテインL−精製C−DDD2−Fab−hMN−14(200mg)を、h679−Fab−AD2(60mg)と1.4:1のモル比で混合した。合計タンパク質濃度は、1mM EDTAを含有するPBS中1.5mg/mlであった。その後のステップは、TCEP還元、HICクロマトグラフィー、DMSO酸化、及びIMP 291アフィニティークロマトグラフィーを伴った。TCEPの添加前に、SE−HPLCは、a
2b形成のいかなる証拠も示さなかった。5mM TCEPの添加は、二元構造で予測される157kDaタンパク質と一致するa
2b複合体の形成を迅速にもたらした。TF2を、IMP 291アフィニティークロマトグラフィーによってほぼ均質になるまで精製した(図示せず)。IMP 291は、679Fabが結合するHSGハプテンを含有する合成ペプチドである(Rossiら、2005、Clin Cancer Res 11:7122s〜29s)。IMP291非結合画分のSE−HPLC分析によって、生成物からのa
4、a
2、及び遊離カッパ鎖の除去が実証された(図示せず)。
【0310】
TF2の機能性を、BIACORE(登録商標)アッセイによって決定した。TF2、C−DDD1−hMN−14+h679−AD1(非共有結合a
2b複合体の対照試料として使用)、またはC−DDD2−hMN−14+h679−AD2(非還元a
2及びb構成要素の対照試料として使用)を1μg/ml(全タンパク質)に希釈し、HSGで固定化されたセンサーチップ上を通過させた。TF2での応答は、これら2種の対照試料の応答の約2倍であったが、これは、対照試料中のh679−Fab−AD構成要素だけが、センサーチップに結合し、その上に残存することを示している。WI2 IgG、hMN−14についての抗イディオタイプ抗体のその後の注入によって、追加のシグナル応答によって示されるとおり、TF2だけが、h679−Fab−ADと緊密に関連するDDD−Fab−hMN−14構成要素を有したことが示された。センサーチップ上に固定化されたTF2とのWI2の結合から生じる応答単位のさらなる上昇は、それぞれC−DDD2−Fab−hMN−14の1個のサブユニットによって与えられる2個の完全機能的結合部位に対応する。これは、WI2の2個のFab断片を結合するTF2の能力によって確認された(図示せず)。
【0311】
TF10 DNL(商標)コンストラクトの生成
同様のプロトコルを使用して、C−DDD2−Fab−hPAM4の2つのコピー及びC−AD2−Fab−679の1つのコピーを含む三量体TF10 DNL(商標)コンストラクトを生成した。上記のとおりの(抗CEA)
2×抗HSG bsAb TF2を生成するために開示された方法を使用して、TF10二重特異性([hPAM4]
2×h679)抗体を生成した。TF10コンストラクトは、2つのヒト化PAM4 Fab及び1つのヒト化679 Fabを有する。
【0312】
2種の融合タンパク質(hPAM4−DDD2及びh679−AD2)を、安定的にトランスフェクトされた骨髄腫細胞において独立して発現させた。組織培養上清液を合わせると、2倍モル過剰のhPAM4−DDD2が生じた。反応混合物を室温で24時間にわたって、1mM還元グルタチオンを使用する穏やかな還元条件下でインキュベートした。還元の後に、2mM酸化グルタチオンを使用する穏やかな酸化によって、反応を完了させた。h679Fabに対して高い特異性で結合するIMP291−アフィゲル樹脂を使用するアフィニティークロマトグラフィーによって、TF10を単離した。
【0313】
実施例16. 多数の抗体からのAD−及びDDD−連結Fab及びIgG融合タンパク質の生成
先行する実施例において記載した技術を使用して、表11に示すIgG及びFab融合タンパク質を構築し、DNL(商標)コンストラクトに組み込んだ。融合タンパク質は、親抗体の抗原結合特性を保持し、DNL(商標)コンストラクトは、組み込まれた抗体または抗体断片の抗原結合性活性を示した。
【0314】
【表11】
【0315】
実施例17. NK−標的化白血球再指導性bsAbの使用
白血球を再標的とするためのbsAbの使用は、T細胞に対する抗体に限定されない。代替の実施形態では、単球、NK細胞、または好中球に結合するbsAbも、再標的化の目的のために使用することができる。
【0316】
CD16は、NK細胞のCD56
dimサブセットによって高度に発現されるIgGでの活性化低親和性Fc−γ受容体である(Gleasonら、2012、Mol Cancer Ther 11:2674〜84)。NK細胞再標的化におけるそれらの使用に加えて、抗CD16抗体構成要素を含むbsAbは、CD16の直接的なシグナル伝達によって、NK媒介性細胞毒性を活性化する能力を有し、溶解顆粒の指導分泌及び標的細胞の死を誘発する(Gleasonら、2012)。
【0317】
CD16/CD19二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)及びCD16/CD19/CD22三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKe)を、(Gleasonら、2012、Mol Cancer Ther 11:2674〜84)によって、以前に報告されたDNAシャッフリング及びライゲーション技術(Valleraら、2005、Clin Cancer Res 11:3879〜88)を使用して調製する。発現されたBiKE及びTriKEを、連続するイオン交換及びサイズ排除カラムクロマトグラフィーによって精製する。休止PBMCを、CD16/CD19 BiKEまたはCD16/CD19/CD22 TriKE(10μg/mL)の存在下で原発性ALL及びCLL腫瘍細胞に曝露する。再標的化抗体を伴わない細胞と比較して、BiKEまたはTriKEの存在下では、腫瘍細胞に対する細胞毒性の有意な上昇が観察される。PBMCの不在下ではBiKEまたはTriKEに曝露された腫瘍細胞において効果は観察されない。TriKEは、BiKEと比較して腫瘍細胞毒性に対してより大きな効果を有し、これは、追加の腫瘍細胞抗原への結合が、再標的化効果を増強し得ることを示している。PBMCの代わりにNK細胞を使用して、同様の結果が得られる。
【0318】
CD16/CD33 BiKEを、Wiernikら(2013、Clin Cancer Res 19:3844〜55)において開示されているとおりに調製する。BiKEを、ヒトHL60前骨髄球性白血病異種移植片細胞を注射されたヌードマウスに投与し、ヒトPBMCを同時投与する。BiKE処置マウスは、対照bsAbで処置されたマウスと比較して、死亡率及び腫瘍増殖速度の低下を示す。抗CD33−SN−38 ADCの添加は、BiKEの細胞毒性作用をさらに増強する。
【0319】
実施例18. 治療用途のための三価抗体
三価三重特異性細胞ターゲティングコンストラクトを、欧州特許第1309795B1号において記載されているとおり作製するが、これは、(i)欧州特許第1309795号の請求項1に記載のFabが由来する、米国特許第618728号において記載されているとおりのマウス抗CD16mabをキメラ化またはヒト化すること;(ii)米国特許7,238,785号に記載のヒト化抗Trop−2抗体のFvからなる単鎖抗体を構築し、そのscFvを、リンカーによって(i)の抗CD16 Fabの軽鎖のカルボキシル末端に合わせること;及び(iii)米国特許第8486395号に記載のヒト化抗CD19のFvの単鎖を構築し、そのscFvを、リンカーによって(ii)の抗CD16 FabのCH1のカルボキシル末端に合わせることを含む。
【0320】
上記三価コンストラクトを、転移膵臓癌を有する対象に、IMMU−132と組み合わせて投与する。部分的応答が観察され、腫瘍はサイズの退縮を示し、それが12か月間にわたって続く。
【0321】
実施例19. 抗Trop−2×抗CD3二重特異性抗体
CD3結合によってT細胞を、Trop−2ターゲティングを介して腫瘍細胞、特に癌腫に再指導するためのタンデム単鎖可変フラグメント(scFv)として、二重特異性抗体(bsAb)を生成した。Trop−2は、様々な上皮癌を標的とするのに高度に有効であり得る腫瘍関連抗原(TAA)である。しかしながら、これはまだ、T細胞再指導治療のためのいずれのbsAb形式においても調査されていない。Trop−2は、膵臓癌及び胃癌を含む様々なヒト癌において、正常組織と比較して過剰発現される35kDaの膜貫通糖タンパク質であり、発現の増大は、不十分な予後と相関している(Fongら、2008、Br J Cancer 99:1290〜5;Iacobuzio−Donahueら、2002、Am J Pathol 160:1239〜49;Kapoor、2013、Tumour Biol 34:1967〜8;Muhlmannら、2009、J Clin Pathol 62:152〜8;Steinら、1993、Int J Cancer 55:938〜46;Steinら、1993、Int J Cancer 55:938〜46)。元のマウス抗Trop−2mAb、RS7のヒト化バージョンであるhRS7に由来する可変ドメイン(VH及びVK)を、マウス抗CD3 mAb、Okt3の可変ドメインと組み合わせて、E1−3 bsAbを生成した。
【0322】
哺乳動物細胞においてE1−3を発現するためのプラスミドベクターの構築
二本鎖DNA配列(配列番号106)を合成し、pUC57プラスミドベクターに組み立てた。配列番号106をXba I及びEag I制限エンドヌクレアーゼでの消化によってpUC57から切り出し、同じ酵素での消化によって調製したpdHL2哺乳動物発現ベクターにライゲートした。コード配列は、リーダーペプチドを含む単一ポリペプチド(配列番号107)、hRS7VK(配列番号108)、L1(配列番号109)、hRS7VH(配列番号110)、L2(配列番号111)、Okt3VH(配列番号112)、L3(配列番号113)、Okt3VK(配列番号114)、及び6−His(配列番号105)の合成を指示する。タンデムscFv E1−3の略図を
図22において示す。
E1−3インサートを含む合成DNA配列
tctagacacaggccgccatcatgggatggagctgtatcatcctcttcttggtagcaacagctacaggtgtccactccgacattcagctgacccagtctccatcctccctgtctgcatctgtaggagacagagtcagcatcacctgcaaggccagtcaggatgtgagtattgctgtagcctggtatcagcagaaaccagggaaagcccctaagctcctgatctactcggcatcctaccggtacactggagtccctgataggttcagtggcagtggatctgggacagatttcactctcaccatcagcagtctgcaacctgaagattttgcagtttattactgtcagcaacattatattactccgctcacgttcggtgctgggaccaaggtggagatcaaaggtggaggagggtccggtggaggagggtctggtggaggagggagccaggtccagctgcagcaatctgggtctgagttgaagaagcctggggcctcagtgaaggtttcctgcaaggcttctggatacaccttcacaaactatggaatgaactgggtgaagcaggcccctggacaagggcttaaatggatgggctggataaacacctacactggagagccaacatatactgatgacttcaagggacggtttgccttctccttggacacctctgtcagcacggcatatctccagatcagcagcctaaaggctgacgacactgccgtgtatttctgtgcaagaggggggttcggtagtagctactggtacttcgatgtctggggccaagggtccctggtcaccgtctcctcaggtggcggagggtccgatatcaagctgcagcagtctggagcagagctcgctcgaccaggagctagtgtgaagatgtcatgtaaaacaagtggctatactttcacccggtacactatgcactgggtcaagcagcgcccaggacagggtctggaatggatcggctacattaaccccagcaggggatataccaactacaatcagaagttcaaggataaagccaccctgactaccgacaagtcctctagtacagcttatatgcagctgtcaagcctcacttccgaggactctgcagtgtattactgcgccagatattacgacgatcattattgtctggattactggggccagggaacaactctcacagtgtcctctgtcgaaggtggcagtggagggtcaggtggcagcggagggtccggtggagtggacgatatccagctgacccagtctcctgccattatgagcgcttccccaggcgagaaggtgacaatgacttgccgggccagttcaagcgtcagctatatgaattggtatcagcagaagtctggaaccagtcctaaacgatggatctatgacacatctaaagtggcaagcggggtcccatacaggttctctgggagtggttcaggcactagctattccctgaccatttcctctatggaggccgaagatgcagccacctattactgtcagcagtggagttcaaatccactcaccttcggagcaggcactaaactggaactcaagcaccaccaccaccaccactaaggcggccg(配列番号106)
E1−3の演繹アミノ酸配列
DIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSSGGGGSDIKLQQSGAELARPGASVKMSCKTSGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSVEGGSGGSGGSGGSGGVDDIQLTQSPAIMSASPGEKVTMTCRASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKVASGVPYRFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLELKHHHHHH(配列番号107)
hRS7 VKのアミノ酸配列
DIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIK(配列番号108)
リンカーL1のアミノ酸配列
GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号109)
hRS7 VHのアミノ酸配列
QVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSS(配列番号110)
リンカーL2のアミノ酸配列
GGGGS(配列番号111)
Okt3 VHのアミノ酸配列
DIKLQQSGAELARPGASVKMSCKTSGYTFTRYTMHWVKQRPGQGLEWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLSSLTSEDSAVYYCARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSS(配列番号112)
リンカーL3のアミノ酸配列
VEGGSGGSGGSGGSGGVD(配列番号113)
Okt3 VKのアミノ酸配列
DIQLTQSPAIMSASPGEKVTMTCRASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWIYDTSKVASGVPYRFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTFGAGTKLE(配列番号114)
【0323】
SpESF骨髄腫細胞における安定的産生クローンの開発
E1−3−pdHL2ベクターをSal I制限エンドヌクレアーゼでの消化によって直線化し、30μgを、850V及び10μFでの2つのパルスを使用する電気穿孔によって1×10
7個のSpESFX骨髄腫細胞(Rossiら、2011、Biotechnol Prog 27:766〜75)に安定的にトランスフェクトするために使用した。選択及び産生培地に、0.2μMメトトレキサート(MTX)を補充した。トランスフェクタントクローンを、96ウェル組織培養プレートにおいて選択し、Ni−NTA 96ウェルプレートを使用するELISAによってE1−3発現についてスクリーニングした。Nickel−SEPHAROSE(登録商標)樹脂を使用する固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)、続いて、サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SE−HPLC)によって、E1−3タンパク質をローラーボトル培養の培養ブロスから精製した。精製生成物は、単一SE−HPLCピーク(図示せず)及びSDS−PAGEによって単一ポリペプチドバンド(図示せず)として分析され、相対可動度は、53,423Daの算出分子サイズと一致した。
【0324】
実施例20. ex vivoでのTrop−2発現充実性腫瘍細胞の再指導T細胞殺傷
末梢血単核細胞(PBMC)を2人の健康なドナー(Blood Center of NJ)の血液試料の軟膜から調製し、CD8
+T細胞(Miltenyi)を単離するために使用した。Capan−1(膵臓癌、157,000 Trop−2/細胞)、BxPC3(膵臓癌、500,000 Trop−2/細胞)、及びNCI−N87(胃癌、247,000 Trop−2/細胞)細胞系(ATCC)を、低レベル、高レベル、及び中レベルのTrop−2を発現する標的細胞として使用した。BxPC3及びNCI−N87は、10%FBSを補充されたRPMI1640培地中で維持し、Capan−1細胞は、20%FBS/RPMI1640中で維持した。CD8
+T細胞(1.2×10
5細胞/ウェル)を標的細胞(2×10
4細胞/ウェル)と6:1の比で、96ウェル組織培養プレート内で組み合わせた。用量設定のE1−3及び(E1)−3sをアッセイプレートに添加した。37℃での48時間のインキュベーションの後に、プレートをPBSで2回洗浄してT細胞を除去し、次いで、30%MTS試薬(CELLTITER 96(登録商標) Aqueous One Solution、Promega)を補充された新鮮な培地150μLを各ウェルに添加した。37℃での1〜2時間の後に、490nmでの吸光度を、ENVISIONプレートリーダー(登録商標)で測定した。
【0325】
3種のTrop−2発現細胞系(BxPC3、Capan−1、及びNCI−N87)において、各細胞系について3人のドナーからのT細胞を使用して、E1−3二重特異性抗体のin vitro効力を同等のDNLコンストラクト、(E1)−3sのin vitro効力と比較した(
図23)。同じドナーからのT細胞と比較した場合に、そのE1−3に対する相対的感受性がTrop−2−抗原密度と相関していると考えられる3種の細胞系すべてにおいて、IC
50値に基づき(表12)、E1−3は、(E1)−3sよりも少なくとも5倍強力である。しかしながら、効力は、使用したドナーT細胞の間では変動した。in vitroで、E1−3は、BxPC3[IC
50=0.09(±0.04)pM]、Capan−1[IC
50=1.2(±1.1)pM]、及びNCI−N87[IC
50=1.2(±1.2)pM]標的細胞の高度に強力なT細胞溶解を媒介した。
【0326】
【表12】
【0327】
実施例21. E1−3対(E1)−3sでの充実性腫瘍のin vivo治療
雌の4〜8週齢NOD/SCIDマウスに、等体積のMATRIGEL(登録商標)と混合したPBMC及びNCI−N87(2:1)の混合物の皮下注射剤を投与した。治療は、1及び4日目のでE1−3 50μgの静脈内注射、または1〜5日目での(E1)−3s47μgの毎日の注射からなった。非処置群は、bsAbなしでNCI−N87及びPBMCの混合物を投与された。腫瘍体積(TV)を、キャリパーを使用する2寸法の測定によって週2回決定し、体積をL×W
2/2と定義した[式中、Lは、腫瘍の最長寸法であり、Wは、最短寸法である](
図24)。腫瘍増殖の統計的解析は、曲線下面積(AUC)に基づいた。個々の腫瘍増殖のプロファイルを、線形曲線モデリングによって得た。F検定を使用して、増殖曲線の統計的解析の前に、群の間の分散同一性を決定した。生存データでの限界Z検定(Critical Z test)は、最終データ分析から検閲されたP<0.05を有する所与の処置群内のいずれの異常値も特定した。片側t検定を使用した未処置対照を除いて、両側t検定を使用して、様々な処置群と対照群との間の統計的有意性を評価した。加えて、PrismソフトウェアをKaplan−Meier曲線で使用し、生存代理終点を1.0cm3まで腫瘍が進行するまでの時間として使用して、有効性を対数順位検定によって決定した。すべての比較について、P≦0.05で有意性を判断した。
【0328】
E1−3(P)及び(E1)−3sは両方とも、NCI−N87腫瘍の増殖を有意に遅延させた(P≦0.001;AUC
25日)(
図24)。E1−3は、(E1)−3sよりも優れていた(P=0.0324、AUC
36日)(
図24)。in vivoで、3日空けて投与された2回のE1−3の50μg投与は、NCI−N87異種移植片を持つマウス(N=8)のすべてを治癒させた(P=0.0005;対数順位)。対照群(PBMCのみ)の腫瘍は、39.5日目に終点(TV>1cm
3)に達した。78日後に、E1−3群では、すべてのマウスが腫瘍非含有であった。
【0329】
実施例22. 抗CD3×抗Trop−2二重特異性抗体によって誘発されるトロゴサイトーシス
Trop−2は、正常組織では存在が限定されているが、多様な上皮癌で高度に発現される。上の実施例において論述したとおり、(E1)−3sは、Trop−2ターゲティングFabの安定化二量体に共有結合で連結された抗CD3 scFvを含むT細胞再指導性三価二重特異性抗体(bsAb)DNL(登録商標)複合体である。本発明者らは、本明細書において初めて、bsAb−媒介性両方向トロゴサイトーシスが、標的細胞とT細胞との間で起こり、免疫シナプスの形成を伴うことを示す。
【0330】
方法
BxPC3細胞を、トリプシン(Trop−2に影響を及ぼさない)で剥離し、精製T細胞と混合した。細胞混合物を、0.1nmol/LのbsAbで、37℃で1時間にわたって処理した。細胞を、(i)抗Trop−2 MABC518、続いて、GAM−FITC、または(ii)抗Trop−2−PEクローンのMR54及び抗CD4−APCのいずれかで染色した。単一BxPC3及びT細胞を、前方散乱対側方散乱、さらにはTrop−2及びCD4蛍光によって、細胞コンジュゲートからゲートした。
【0331】
結果
(E1)−3sは、T細胞と標的細胞との間の免疫シナプスの形成を誘発する。これは、Capan−1膵臓癌細胞を使用して示された(Rossiら、2013、MAbs 6:381〜91)。ここでは、(E1)−3s0.1μg/mLを、それぞれ赤色及び緑色蛍光で膜標識された精製CD8
+T細胞及びNCI−N87胃癌細胞の混合物に添加すると、蛍光顕微鏡によって明らかなコンジュゲートの形成が生じた(図示せず)。それぞれT細胞またはNCI−N87のみと結合する(19)−3s(図示せず)またはTF12(図示せず)の存在下では、コンジュゲートは観察されなかった。(19)−3sまたはTF12を含有するウェルでは、生理食塩水中にスライドを浸すと、T細胞の大部分は洗浄除去されたが、(E1)−3sで処理されたウェルでは、多くのT細胞は、付着NCI−N87細胞に結合したままであった。
【0332】
(E1)−3sでのBxPC3(500,000 Trop−2/細胞)及び精製T細胞混合物の処理は、トロゴサイトーシスを特異的に誘発し、それによって、Trop−2は、BxPC3からT細胞に移動した(
図25)。(E1)−3s処理は、Trop−2
+T細胞40%をもたらしたが、Trop−2(TF12)若しくはCD3のみに結合する対照bsAb[(20)−3s]、またはBxPC3細胞の不在下での(E1)−3sでの処理後には、T細胞の5%未満が、Trop−2
+ゲートにおいて計数された。T細胞によるTrop−2の取込みは、BcPC3細胞でのその低減と同時に起こった(
図26)。短いインキュベーション時間中に、T細胞(97.5%生存)及びBxPC3(94.5%生存)は高い生存度で残存し、これは、T細胞が、死細胞の膜断片への付着によってではなく、トロゴサイトーシスによって腫瘍抗原を獲得したことを示している(図示せず)。CD4について実証されたとおり、T細胞膜構成要素がBxPC3細胞に移動したので、(E1)−3sによって媒介されるトロゴサイトーシスは二方向性であった(データは図示せず)。
【0333】
実施例23. 二重特異性抗CD3×抗Trop−2抗体及びサイトカイン放出
上記実施例において論述したとおり、本発明者らは、ヒト胃癌及び膵臓癌細胞系の(E1)−3s媒介性T細胞殺傷に対するインターフェロン−α(IFNα)の効果を研究した。末梢血液単核細胞(PBMC)またはT細胞を、標的細胞としてのNCI−N87胃癌と共に使用して、T細胞活性化、サイトカイン誘発、及び細胞毒性をex vivoで評価した。標的細胞及びPBMCの存在下で、(E1)−3sは、過剰のサイトカイン産生をもたらさなかった。(E1)−3sと組み合わせると、ペグインターフェロンアルファ−2a(単独では、T細胞活性化を増大させないか、または基線を超えてサイトカインを上昇させなかった)は、CD69発現を増大させたが、サイトカイン誘発を有意に増大することはなかった。他のサイトカインの産生を、サイトカイン放出症候群(CRS)を誘発し得るレベルまで上昇させることなく、IFNαは、(E1)−3sの治療効力を増強させた。IFNα、または他のサイトカインでのアジュバント治療は、T細胞免疫療法の有効性の増強ために普遍的に適用可能であろう。
【0334】
方法
終夜付着させたNCI−N87またはRajiのいずれかを5×10
5細胞/0.5mL/ウェルで使用して、サイトカイン放出をex vivoで測定した。新たに単離されたPBMC(5×10
6細胞/0.4mL/ウェル)を各ウェルに添加した。(19)−3s、19−3 BiTE、(E1)−3s、ペグインターフェロンアルファ−2a、または(E1)−3s+ペグインターフェロンアルファ−2aを含む処理(100μL、10×)を、各試薬で0.1nmol/Lまで添加した。別法では、1pmol/L〜10nmol/Lの範囲の用量設定を用量−反応研究のために使用した。穏やかに振盪しながら37℃で20時間インキュベートした後に、上清液を1:2希釈し(または必要な場合にはそれ以上で)、TNFα、IFNg、IL2、IL6、及びIL10の濃度を、製造者プロトコルに従ってSingle−Analyte ELISArrayキット(Qiagen)を使用して測定した。
【0335】
結果
Trop−2×CD3 BiTE(または同等物)を、(E1)−3sと比較するために利用することはできなかった。しかしながら、(E1)−3sと同じ(X)−3s分子配置を有する(19)−3sと、CD19×CD3 BiTE、ブリナツモマブと同一のアミノ酸配列を有する19−3 BiTEとの両方の利用可能性は、それら2種のbsAb形式の相対的サイトカイン誘発効力を評価するための直接比較を可能にした。
【0336】
初めに、用量設定の(19)−3s及び19−3 BiTEをPBMC(2人の独立したドナー)、及びRaji NHL細胞の混合物に添加し、20時間後に、TNFα、IFNγ、及びIL6のレベルを測定した(図示せず)。bsAbを添加していても、PBMC単独からは、軽微なサイトカインレベルしか検出されなかった。しかしながら、RajiとドナーPBMC(ドナーAの方が強い)との間で混合リンパ球反応が生じたので、未処置細胞混合物におけるサイトカインレベルは、TNFα(200及び50pg/mL)、IFNγ(600及び200pg/mL)、及びIL6(190及び220pg/mL)のそれぞれで上昇した。TNFα及びIL6のレベルは、1nmol/L超の(19)−3sでのみ、未処置のレベルを超えて上昇した。明らかに、より低い濃度では、(19)−3sは、TNFα及びIL6産生を阻害した。比較すると、TNFα及びIL6は、試験されたすべての濃度の19−3 BiTE(1pmol/L以上)で、1,000pg/mL超に上昇した。(19)−3sによって、有意にIFNγのレベルは上昇しなかったが、19−3 BiTEは、2,000pg/mL超までの用量依存性上昇を示した。
【0337】
さらなる比較すべてで、作用物質を、BiTEでの同様の研究(Brandlら、Cancer Immunol Immunother 2007、56:1551〜63)において使用されたものに近似する0.1nmol/Lで試験した。本発明者らは、4人の異なるドナーを使用して、PBMCと混合されたRajiから、(19)−3sまたは19−3 BiTE0.1nmol/Lによって誘発されたTNFα、IFNγ、IL2、IL6、及びIL10のレベルを比較した(
図27A)。4人のドナーそれぞれで、5種のサイトカインのそれぞれのレベルが、(19)−3sと比較して、19−3 BiTEで有意に高かった。19−3 BiTEでの平均TNFα濃度(2,284±1,483pg/mL)は、(19)−3sでの平均TNFα濃度(280±188pg/mL)よりも8倍高かった(P=0.0001)。19−3 BiTEでの処理は、(19)−3sと比較して、IFNγ(3,002±560pg/mL対416±169pg/mL)、IL2(13,635±2,601pg/mL対1,024±598pg/mL)、IL6(981±364pg/mL対168±96pg/mL)、及びIL10(4,006±2,520pg/mL対493±242pg/mL)のレベルをもたらし、これらはそれぞれ、19−3 BiTEが7倍、13倍、6倍、及び8倍高かった(それぞれP<0.0001)。これらの結果は、(X)−3s bsAb形式はBiTE形式と比較して、サイトカイン放出のかなり効力の低い誘導因子であることを示している。
【0338】
一般に、PBMC及び標的細胞の存在下での(E1)−3sは、(19)−3sよりもさらに少ないサイトカイン産生をもたらし、これは、基線レベルを上昇させる混合リンパ球反応が存在しないためである(
図27B)。5人のドナーのうちの4人で、炎症誘発性サイトカインIFNγ(100pg/mL未満)、TNFα(100pg/mL未満)、及びIL2(250pg/mL未満)のレベルは低いままであった。IL6は、5人のドナーのうちの3人で低く(400pg/mL未満)、かつドナーD−2及びD−5では中程度(800〜1,100pg/mL)であった。ドナーD−2はまた、IFNγ(1,000pg/mL)及びTNFα(190pg/mL)について、他のドナーよりも(E1)−3sに応答した。抗炎症サイトカインのIL10は、5人のドナーのうちの3人で、(E1)−3sによって1,200pg/mL超まで有意に(P<0.0001)上昇した。注意すべきことに、独自に強力な炎症誘発性応答を示したドナーD−2は、(E1)−3sでの処理後に比較的低いレベルのIL10(230pg/mL)を産生した。単独のペグインターフェロンアルファ−2aは、いずれのサイトカインのレベルも、バックグラウンドを超えて上昇させることはなかった。ペグインターフェロンアルファ−2aを(E1)−3sに添加すると一貫して、IFNγ(約1.5〜3倍)は、単独の(E1)−3sよりも上昇した。残りのサイトカインでは、上記の組合せで、中程度に産生を増大させる明らかな傾向が存在したが;しかしながら、一貫した作用は観察されなかった。
【0339】
実施例24. 二重特異性抗CD3×抗Trop−2抗体によって誘発されるin vitro細胞毒性
抗CD3×抗Trop−2二重特異性抗体によって誘発されるin vitro細胞毒性を調査するために、さらなる研究を行った。
【0340】
方法
新たに単離されたCD8
+T細胞を24時間にわたって、0.1nMのペグインターフェロンアルファ−2a、0.1nMの20
*−2b、または培地のみと共にインキュベートした。処理または未処理T細胞及びPKH67緑色蛍光標識NCI−N87細胞を5:1の比(5×10
4標的細胞及び2.5×10
5エフェクター細胞/ウェル)で、(E1)−3sの系列希釈を含有する48ウェルプレート中で3連で合わせた。ペグインターフェロンアルファ−2aまたは20
*−2bを、適切な細胞混合物中の0.1nMで維持した。プレートを37℃で48時間インキュベートした。懸濁細胞を除去し、付着細胞をトリプシン−EDTAで剥離し、対応する懸濁液と合わせた。細胞を洗浄し、30,000個のCOUNTBRIGHT(商標)Absolute Counting Bead(Life Technologies)及び7−AAD1μg/mLを含有する1%BSA−PBSに再懸濁した。合計生存標的細胞(7−AAD
−/PKH67
+)をフローサイトメトリーによって計数した。各試料について、8,000個のCOUNTBRIGHT(商標)ビーズを正規化参照として計数した。式:[1−(A
1/A
2)]×100[式中、A
1及びA
2はそれぞれ、試験試料及び未処置試料中の生存標的細胞の数を表す]を使用して、特異的溶解(%)を計算した。Prismソフトウェアで非線形回帰(シグモイド用量反応)曲線でのF検定によって、統計的有意(P≦0.05)をIC
50(50%溶解が生じる濃度)、EC
50(50%有効濃度)、及び溶解
max(最大標的細胞溶解)について決定した。
【0341】
結果
Trop−2発現腫瘍細胞の再指導T細胞死滅を評価するために、用量設定の(E1)−3sと共にIFN−α2(0.1nMペグインターフェロンアルファ−2aまたは20
*−2b)の存在下または不在下で、CD8
+T細胞をNCI−N87細胞と混合した(
図28)。ドナーの間で、T細胞効力のかなりの変動性が観察された(
図28A、
図28B)。非常に活性なT細胞のドナーでは、(E1)−3sは、高度に強力な(IC
50=0.37pM;溶解
max=77.1%)NCI−N87細胞のT細胞溶解を媒介し、ペグインターフェロンアルファ−2aの包含は、その活性を増強して、IC
50(0.14pM;P=0.0001)を2.5倍超改善し、溶解
max(84.0%;P<0.0001)を上昇させた(
図28A)。NCI−N87は、IFN−αの直接的な作用に対して弱い感受性しかなく(ペグインターフェロンアルファ−2a IC
50≧10nM、データ図示せず)、(E1)−3sの不在下で、0.1nMペグインターフェロンアルファ−2aによって10%未満阻害された。DNL(登録商標)によって二価抗CD20mAbに融合されている4個のIFN−α分子からなるIFNα、20
*−2bのより強力な形態は、(E1)−3sの効力を7倍超増強した(IC
50=0.05pM;P<0.0001)。0.1nMでは、20
*−2bは、(E1)−3sの不在下でNCI−N87を12.6%阻害した。20
*−2bは、別の(より強力な)形態のIFN−αでの活性の増強を示し、かつ作用がペグインターフェロンアルファ−2aに制限されないことを示すためにのみ含まれた。抗CD20mAb部分は、この実験では機能性ではない。非常に弱いドナーT細胞を使用する同様のアッセイでは、(E1)−3sは、効力がかなりより低かったが(EC
50=39pM;溶解
max=21%);しかしながら、ペグインターフェロンアルファ−2aの添加は、効力を25倍超増強した(EC
50=1.4pM;P=0.0008)(
図28B)。強力な(E1)−3s媒介性T細胞殺傷は、ヒト膵臓癌系、BxPC3(IC
50=0.4pM)でも観察されたが;しかしながら、IFN−α添加の効果は、この細胞系では評価されなかった(図示せず)。
【0342】
実施例25. 抗CD3×抗Trop−2二重特異性抗体によるT細胞活性化での用量反応曲線
0.1nMペグインターフェロンアルファ−2aの添加は、(E1)−3sで処理されたT細胞でのCD69アップレギュレーションを中程度に、しかし有意に増大させた。CD69
+T細胞%を測定する(E1)−3s用量反応実験では、EC
50が、IFN−αの存在下で、CD4
+T細胞では26pMから16pMに(P<0.0001)、かつCD8
+T細胞では11pMから6pM(P=0.0204)に低下した(
図29A)。(E1)−3sと組み合わせたペグインターフェロンアルファ−2aは、より多くのCD69
+細胞をもたらし(
図29B、
図29C、P<0.0001)、また、活性化細胞は、IFN−αで、有意に高いCD69発現を示した(
図29B、
図29D;MFI=907対726;P<0.0001)。ペグインターフェロンアルファ−2aは、(E1)−3sの不在下では、軽微なCD69発現を誘発した。同様に、(E1)−3は、単独でも、ペグインターフェロンアルファ−2aと組み合わせても、標的細胞の不在下では、T細胞を活性化させなかった。
【0343】
実施例26. (E1)−3sで延長されるin vivo生存が、IFN−αで増強される
上記実施例3において報告したin vivo生存についての先行データを、126日の長さにさらに延長した。下に示すとおり、(E1)−3sとIFN−αとの組合せは、Trop−2
+異種移植片腫瘍を持つ動物に最大の利益をもたらした。
【0344】
方法
雌の4〜8週齢NOD/SCIDマウス(Charles River、Wilmington、MA)に、等体積のマトリゲルと組み合わせた5×10
6個の腫瘍細胞(Capan−1またはNCI−N87)及びT細胞(2.5×10
6個)の混合物を皮下注射した。BiTE方法(Dreierら、2003、J Immunol 170:4397〜402)に従って、治療を1時間後に静脈内注射によって開始した。各実験での処置レジメン、投薬量、及び動物数は、図の注に記載する。腫瘍体積を週2回、キャリパーを使用して2つの寸法を測定することによって決定し、体積を、L×w
2/2として規定した[式中、Lは、腫瘍の最長寸法であり、wは、最短寸法である]。
【0345】
腫瘍増殖の統計的解析は、曲線下面積(AUC)に基づいた。個々の腫瘍増殖のプロファイルを、線形曲線モデリングによって得た。F検定を使用して、増殖曲線の統計的解析の前に、群の間の分散同一性を決定した。生存データでの限界Z検定は、最終データ分析から検閲されたP≦0.05を有する所与の処置群内のいずれの異常値も特定した。片側t検定を使用した未処置対照を除いて、両側t検定を使用して、様々な処置群と対照群との間の統計的有意性を評価した。加えて、PrismソフトウェアをKaplan−Meier曲線で使用し、生存代理終点を1.0cm
3まで腫瘍が進行するまでの時間として使用して、有効性を対数順位によって決定した。すべての比較について、P≦0.05で、有意性を判断した。
【0346】
結果
ヒト膵臓癌でのin vivo有効性をCapan−1異種移植片で評価した。第1の研究において、(E1)−3s及びペグインターフェロンアルファ−2a[生存時間中央値(MST)>59日]の組合せでの処置は、単独の(E1)−3s(MST=50日)またはペグインターフェロンアルファ−2a(MST=53日)を含む他のすべての処置よりも優れていた(P<0.0007、対数順位)(
図30A)。T細胞を除外しても、ペグインターフェロンアルファ−2aは、生存を延長し(MST=45日、生理食塩水に対してP=0.0059、対数順位)、これは、腫瘍細胞に対する直接的な作用を示している。しかしながら、ペグインターフェロンアルファ−2aは、T細胞の存在下でより有効であり(P=0.0260、AUC)、これは、IFN−αによるT細胞の刺激を示唆した。T細胞ではなく標的に結合するTF12は、腫瘍増殖または生存に影響を及ぼさなかった。異なるドナーからのT細胞を使用する繰り返し実験によって、第1の研究の結果を確認した(
図30B)。すべての群がそれらのMSTに達するまで、第2の研究を継続した。当初の実験においてのとおり、(E1)−3s及びペグインターフェロンアルファ−2aの組合せ(MST=119.5日)は、腫瘍増殖の阻害及び全生存期間の両方の点において、他のすべての群よりも優れていた((E1)−3s単独に対してP=0.0475;他のすべての群に対してP<0.0001;対数順位)。(E1)−3s(MST=68日)(P=0.0373、29日にわたるAUC)は、T細胞を伴うペグインターフェロンアルファ−2a(MST=53日)よりも、かつT細胞単独(MST=37.5日;P=0.0014、対数順位)よりも優れていた。
【0347】
NCI−N87胃癌異種移植片モデル(
図30C)では、(E1)−3s及びペグインターフェロンアルファ−2aの組合せ(MST>88日)が、(E1)−3s単独(MST=49日;P=0.0007、対数順位)よりも優れていた。T細胞のみでの対照群(MST=32日)と比較して、T細胞を伴うペグインターフェロンアルファ−2a単独は、僅かのみの、しかし有意な延命効果(MST=35日;P=0.0276)をもたらした。T細胞を伴わない(E1)−3s+ペグインターフェロンアルファ−2aは、生存を有意に改善しなかった。
【0348】
NCI−N87[247,000(±65,000) Trop−2/細胞]及びCapan−1[157,000(±37,000) Trop−2/細胞]で測定された抗原密度は、有意には異ならなかった。NCI−N87と比較して、Capan−1細胞は、in vitroでペグインターフェロンアルファ−2aによる直接阻害に対して感受性が5倍超高かった(IC
50=2nM対>10nM)(図示せず)。(E1)−3sは、マウスTrop−2またはCD3と交差反応せず(図示せず)、NOD−SCIDマウスは、T細胞欠損である。
【0349】
考察
この節では、実施例23〜26において示した結果を考察する。本発明者らは、上記の実施例1及び2において、(E1)−3s、(19)−3s、及び(20)−3sを含むいくつかのコンストラクト例を使用して、造血性及び充実性腫瘍の両方のT細胞媒介治療を再指導するための(X)−3s bsAb形式の使用を記載した。Capan−1異種移植片を(E1)−3sで処置した研究からのin vivo実験の1つにおいて、先行する(未公開)データが、Capan−1がIFN−αによって阻害されることを示したので、本発明者らは、ペグインターフェロンアルファ−2aを伴う群を含めた。IFN−αの添加で観察された顕著な増強によって、さらに調査に拍車がかかり、この研究につながった。ペグインターフェロンアルファ−2aと組み合わせたT細胞再指導性二重特異性抗体での研究結果を、本明細書において報告する。すべての群がそれらのMSTを達するまで、それらの研究を延長して、IFN−αが、IFN−α感受性細胞系のT細胞死滅のin−vivo有効性を増強し得ることを確認した。IFN−αはまた、IFN−αの直接作用に対する感受性が弱い細胞系のT細胞媒介性殺傷も増強し得る。これらのin vivo研究を、投与及びスケジュールを含めて、BiTEコンストラクトで典型的に使用される方法に従って行った。
【0350】
Flieger及びその同僚らは、ex vivoで展開され、EpCAMxCD3 BiTE(MT110)で再指導されたCD3
+CD56
+NK−T細胞によるin−vitro殺傷が、IFN−αまたはIL−2のいずれかで増強されることを実証した(Fliegerら、2000、Cancer Immunol Immunother 49:441〜8)。しかしながら、bsAbの不在下でも、IFN−αは、標的細胞を有意に阻害した。標的細胞に対するIFN−αの潜在的な直接的な効果を評価するための対照が欠如していたので、標的細胞の直接的な阻害と比較して、どの程度、NK−T細胞を刺激するIFN−αによって細胞毒性が増強されるかを決定することはできなかった。したがって、本発明者らは、両方の標的細胞でIFN−αに対する感受性を測定し、pan−T細胞の存在下及び不在下の両方で、ペグインターフェロンアルファ−2aのみを伴う群を含めた。in vitroでIFN−αに対して感受性がより高かったCapan−1腫瘍では、ペグインターフェロンアルファ−2aは、T細胞の不在下でも、ましてT細胞の存在下でも、生存を改善し、これは、IFN−αがこのモデルにおいて、Capan−1と、さらにはT細胞との両方に対して作用したことを示した。T細胞の不在下では、ペグインターフェロンアルファ−2aは、in vitroでIFN−αに対する感受性が低かったNCI−N87異種移植片を持つマウスの生存を改善せず、このことは、IFN−αでの増強が主に、T細胞に対するその作用によるものであったことを示した。観察されたIFN−αによるT細胞増強の機構は不明である。IFN−αに帰せられるCD69発現の増大は中程度であったが、有意であり、これは、サイトカインが、bsAbで誘発されたT細胞活性化を増強し得ることを示唆した。加えて、IFN−αは、細胞毒性T細胞によって産生される主な細胞毒性サイトカインと考えられるIFN−γの放出を特異的に増大させた一方で(最高3倍)、測定された他のサイトカインのいずれも、一貫して増大しなかった。
【0351】
IFN−α及びT細胞再指導性bsAbでの併用療法は、臨床で、または動物モデルにおいても調査されていない。しかしながら、治験において、IL−2は、抗CD3/EpCAMクアドローマのF(ab’)
2断片と組み合わされたが(Kroesenら、1997、Cancer Immunol Immunother 45:203〜6)、処置は、CRSまたはサイトカインストームとして知られる二次性サイトカインの誘発におそらく多くは起因するかなりの毒性によって限定された。IL−2の全身投与は、サイトカインストームを誘発することが公知であり(Panelliら、2004、J Transl Med 2:17)、CRSと、例えば、TGN1412破局試験(catastrophic trial)と関連した有害事象の重症度は、IL−2放出と相関する(Eastwoodら、2013、Br J Clin Pharmacol 76:299〜315)。副作用がないということではないが、T細胞によって産生されないIFN−αでの免疫療法は典型的には、サイトカインストームを伴わない。
【0352】
CRSは、BiTE(Klingerら、2012、血液 119:6226〜33)を含むどのT細胞指導性mAb(例えば、Okt3)またはbsAbを使用するにしても免疫療法と関連するリスクである。しかしながら、すべてのbsAb形式が必ずしも同じリスクを有するということではない。Brandlらは、ブリナツモマブでのサイトカイン誘発を報告しており、その際、IL−2、IL−6、IFN−γ、及びTNF−αの応答レベルはドナーによって様々であり、典型的には1ng/mL超がピークであり、一部のドナーは、5ng/mLの高いレベルに達した(Brandlら、2007、Cancer Immunol Immunother 56:1551〜63)。本発明者らは、(E1)−3sと直接比較するために適したBiTEまたは同等のコンストラクトを持っていなかった。しかしながら、本発明者らは、CD19XCD3 BiTE(ブリナツモマブと同一の配列)及びDNL(登録商標)によって作製された(19)−3sを使用して、(X)−3sとBiTE形式との間の相対的サイトカイン誘発効力を比較することができた。19−3 BiTEは、同様の条件下で、Brandl及びその同僚によって報告されたのと同様のサイトカインレベルを誘発した。測定された5種のサイトカインのレベルは、(19)−3sのレベルと比較して、19−3 BiTEで7〜13倍高かった。外来リンパ腫細胞(Raji)の使用は、様々なリンパ球反応をもたらし、これは、特にIL−2で基線サイトカインレベルを上昇させた。BiTEは、サイトカインレベルを、混合リンパ球基線レベルをかなり超えて上昇させたが、(19)−3sは上昇させなかった。(E1)−3sのための標的としてのNCI−N87胃癌細胞の使用は、基線サイトカインレベルを上昇させなかった。本発明者らは、(E1)−3sに対するドナー応答の予測された変動性を観察したが;しかしながら、生じたサイトカインレベルは、特に、100pg/mL未満であったTNF−α及びIFN−γでは、(19)−3sによって誘発されたレベルよりもなお低かった。それにも関わらず、5人のドナーのうちの1人は、IFN−γ及びIL−6のレベルの上昇(約1ng/mL)を示した。(E1)−3sへのIFN−α(ペグインターフェロンアルファ−2a)の添加は、IFN−γを2〜3倍増大させたが、他のサイトカインのレベルに影響を及ぼすことは一貫してなかった。これらの結果は、他のコンストラクト、例えば、BiTEと比較して、(X)−3s bsAb形式はおそらく、CRSを誘発する可能性が低く、治療レジメンへのIFN−αの添加は、このリスクを増大させないことを示唆している。
【0353】
本発明者らは、ドナーT細胞の効力のかなりの変動性を観察した。
図28において示したin vitro結果は、本発明者らが試験した、NCI−N87を殺傷するための効力に100倍の差違がある最も活性な、かつ最も活性の低いT細胞を表しているが(IC
50=0.37pMと、39pM);しかしながら、IC
50=〜15pMが、最も代表的であり(10超のドナー)、低活性T細胞は一般的ではなかった。特に、比較的弱いT細胞での溶解は、強力なT細胞を用いた場合よりもIFN−αによって増強された。
【0354】
EpCAMは、多くの癌腫において過剰発現される広く利用されているTAAである。しかしながら、癌腫におけるEpCAMの不均一な発現と、多くの正常な上皮で発現されるので、EpCAMが腫瘍特異的でないという事実とによって、EpCAMを対象とした免疫療法は重度の副作用を有し得るであろうという懸念が生じる(Balzarら、1999、J Mol Med(Berl) 77:699〜712;Momburgら、1987、Cancer Res 47:2883〜91)。EpCAMと同様に、Trop−2は、多様な癌腫において高度に発現されるが、正常組織におけるその発現は検討中である。いくつかの報告が、腫瘍細胞とは対照的に、体性成体組織は、正常組織における基線発現にかかわらず、腫瘍において一定にアップレギュレーションされるTrop−2発現をほとんど示さないか、示さないことを示している(Wangら、2008、Mol Cancer Ther 7:280〜5;Zhangら、1997、Science 276:1268〜72)。しかしながら、最近の証拠は、いくつかの正常組織の上皮上でのTrop−2の発現を示している(Trerotolaら、2013、Oncogene 32:222〜33)。それにもかかわらず、カニクイザルにおけるTrop−2の発現は、合理的に高い用量の、抗体−薬物コンジュゲート(ADC)としてSN−38とコンジュゲートされたhRS7(ヒト化抗Trop−2)の投与後に、毒性をもたらさなかった(Cardilloら、2011、Clin Cancer Res 17:3157〜69)。さらに、この抗Trop−2ADCを用いた臨床研究において、治療量で、薬物(イリノテカンの代謝産物)から予測された管理可能な好中球減少症及び下痢以外の正常臓器毒性の増大は観察されなかった(Starodubら、Proceedings of the 105th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research. 2014(abstr CT206))。したがって、腫瘍ターゲティングのためにTrop−2を使用するT細胞再指導療法を含む免疫療法は、EpCAMを標的とする同様のレジメンと比較して、同様か、またはより高い治療指数を有すると予測される。
【0355】
これは、bsAbによって媒介される標的腫瘍とT細胞との間のトロゴサイトーシスの最初の報告である。この所見は、(E1)−3sで誘発された標的/T細胞コンジュゲートが、機能性免疫シナプスを有することを実証している。本発明者らは、(19)−3s(未公開するデータ)によって媒介されるB細胞とT細胞との間での同様の二方向トロゴサイトーシスを観察し、これはおそらく、T細胞再指導性bsAbで共通の現象であると考えている。
【0356】
実施例27. E1−3二重特異性抗体でのさらなる研究
概要
T細胞再指導性二重特異性タンデムscFv、E1−3を上記実施例19において記載したとおり、hRS7(ヒト化抗Trop−2 mAb)及びOkt−3(抗CD3 mAb)の可変ドメインを使用して生成した。この実施例において報告した研究は、実施例20〜25において示した結果に継続し、それを拡張する。ここで報告する結果と、実施例20〜25において示した結果との間の矛盾はいずれも、追加データの収集に基づく。PBMCまたは精製T細胞を、標的細胞としてのヒト膵臓(Capan−1及びBxPC−3)及び胃(NCI−N87)癌細胞系と共に使用して、T細胞活性化、増殖、サイトカイン誘発、及び細胞毒性をex vivoで評価した。2倍数のヒトPBMC及びマトリゲルとの混合物で皮下接種されたNCI−N87異種移植片を用いて、in vivo活性をアッセイした。
【0357】
結果
標的細胞及びPBMCの存在下で、E1−3は、T細胞活性化、増殖、ならびにIL−2(2ng/mL超)、IL−6(1ng/mL超)、IL−10(7ng/mL超)、TNF−α(1ng/mL超)、及びIFN−γ(50ng/mL超)の用量依存性サイトカイン産生を強力に誘発した。3〜5人の異なるT細胞ドナーを使用すると、E1−3は、in vitroでBxPC−3[IC
50=0.09(±0.04)pM]、Capan−1[IC
50=1.2(±1.1)pM]、及びNCI−N87[IC
50=1.2(±1.2)pM]標的細胞の高度に強力なT細胞溶解を媒介した。in vivoでは、3日空けて投与されたE1−3の2回の50μg用量が、NCI−N87異種移植片を持つ8匹のマウスのうちの6匹を治癒させた(P<0.0001;対数順位)。対照群(PBMCのみ)の腫瘍は、39.5日の中央値で終点(TV>1cm
3)に達した。8匹の動物のうちの7匹は終点に達せず、実験を176日後に終了したとき、E1−3群では、マウスのうちの6匹は、腫瘍非含有のままであった。
【0358】
T細胞活性化及び増殖
精製CD8
+T細胞を、NCI−N87細胞と5:1で混合し、0.01nM E1−3で18時間にわたって処理し、フローサイトメトリーによって分析した。CD69は、標的細胞の存在下でE1−3によってアップレギュレートされた(図示せず)。E1−3またはNCI−N87標的細胞を省略しての処理は、CD69発現を誘発しなかった(図示せず)。加えて、T細胞は、E1−3及び標的細胞の存在下での培養の後に、前方(FSC)及び側方散乱(SSC)の増大を経験した(図示せず)。T細胞増殖は、3日後に明らかであった(P<0.005、データ図示せず)。
【0359】
サイトカイン放出
サイトカインIFN−γ、TNF−α、IL−2、IL−6、及びIL−10の放出を誘発するE1−3二重特異性タンデムscFvの能力を投薬量を関数として決定した。
図31において示すとおり、E1−3二重特異性抗体は、ピコモル濃度範囲においてサイトカインを有効に誘発した。
【0360】
in vitro T細胞媒介性殺傷
標的膵臓及び胃癌細胞のT細胞媒介性殺傷を誘発するE1−3の能力を、精製CD8
+T細胞(1.2×10
5/ウェル)の存在下で決定した。代表ドナーからのT細胞を使用しての例示的な用量反応曲線を
図32において示す。この実験では、E1−3でのIC
50値は、Capan−1では0.6pM、BxPC−3では0.1pM、及びNCI−N87では0.3pMであった。
【0361】
E1−3のin vivo抗腫瘍効果
NCI−N87異種移植片を有するヌードマウスを、3日空けて投与されたE1−3の2回の50μg用量で処置した。この処置(
図33A)は、ヒト胃癌異種移植片を有する8匹のマウスのうちの6匹を治癒させた(P<0.0001;対数順位)。対して、対照群(PBMCでのみ処置)の腫瘍は、39.5日の中央値で終点(TV>1cm
3)に達した(
図33B)。研究を176日後に終了したとき、E1−3群の8匹の動物のうちの7匹は終点に達してなかった。
【0362】
結論
上記の研究は、Trop−2が、膵臓癌、胃癌、及び他の上皮癌のT細胞媒介性殺傷のための魅力的な標的であることを示している。E1−3抗Trop−2×抗CD3二重特異性抗体は、強力なT細胞活性化及びサイトカイン産生を誘発した。E1−3は、in vitro及びin vivoで充実性腫瘍の殺傷において高度に有効であった。
【0363】
本明細書において開示し、特許請求の範囲に記載した組成物及び方法はすべて、本開示を考慮することで、過度の実験なしに作製及び使用することができる。上記組成物及び方法を、好ましい実施形態について記載したが、本発明の概念、意図、及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法のステップにおいて、またはステップの連続において、上記組成物及び方法に変更を適用することができることは当業者には明らかである。より具体的には、同じまたは同様の結果が達成されるであろう限り、化学的及び生理学的の両方について関連するある種の作用物質を、本明細書に記載の作用物質の代わりに使用することができる。当業者に明らかなそのような同様の置換及び変更はすべて、添付の特許請求の範囲において定義されているとおりの本発明の意図、範囲、及び概念の範囲内であるとみなされる。
【0364】
本発明の好適な実施形態は以下の通りである。
[1] Trop−2発現癌に対する免疫応答を誘発する方法であって、Trop−2発現癌を有する対象に、Trop−2に対する少なくとも1個の結合部位と、CD3に対する少なくとも1個の結合部位とを含む二重特異性抗体を投与することを含む上記方法。
[2] 上記対象に、(i)インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−λ1、インターフェロン−λ2、及びインターフェロン−λ3からなる群から選択されるインターフェロン;(ii)チェックポイント阻害物質抗体;ならびに(iii)抗体−薬物コンジュゲート(ADC)からなる群から選択される少なくとも1種の治療薬を投与することをさらに含む、[1]に記載の方法。
[3] 上記インターフェロンがインターフェロン−αである、[2]に記載の方法。
[4] 上記チェックポイント阻害物質抗体が、ラムブロリズマブ(MK−3475)、ニボルマブ(BMS−936558)、ピジリズマブ(CT−011)、AMP−224、MDX−1105、MEDI4736、MPDL3280A、BMS−936559、イピリムマブ、リルルマブ、IPH2101、及びトレメリムマブからなる群から選択される、[2]に記載の方法。
[5] 上記チェックポイント阻害物質抗体が、CTLA4、PD1、PD−L1、LAG3、B7−H3、B7−H4、KIR、及びTIM3からなる群から選択される抗原に結合する、[2]に記載の方法。
[6] 上記抗体−薬物コンジュゲートが、hLL1−ドキソルビシン、hRS7−SN−38、hMN−14−SN−38、hLL2−SN−38、hA20−SN−38、hPAM4−SN−38、hLL1−SN−38、hRS7−Pro−2−P−Dox、hMN−14−Pro−2−P−Dox、hLL2−Pro−2−P−Dox、hA20−Pro−2−P−Dox、hPAM4−Pro−2−P−Dox、hLL1−Pro−2−P−Dox、P4/D10−ドキソルビシン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ブレンツキシマブベドチン、トラスツズマブエムタンシン、イノツズマブオゾガマイシン、グレムバツモマブベドチン、SAR3419、SAR566658、BIIB015、BT062、SGN−75、SGN−CD19A、AMG−172、AMG−595、BAY−94−9343、ASG−5ME、ASG−22ME、ASG−16M8F、MDX−1203、MLN−0264、抗PSMA ADC、RG−7450、RG−7458、RG−7593、RG−7596、RG−7598、RG−7599、RG−7600、RG−7636、ABT−414、IMGN−853、IMGN−529、ボルセツズマブマホドチン、及びロルボツズマブメルタンシンからなる群から選択される、[2]に記載の方法。
[7] 上記二重特異性抗体及び上記治療薬を同時に、または順次投与する、[2]に記載の方法。
[8] ADCを、いかなる他の作用物質よりも前に投与する、[2]に記載の方法。
[9] 上記インターフェロンを、遊離インターフェロン、ペグ化インターフェロン、インターフェロン融合タンパク質、または抗体にコンジュゲートしたインターフェロンとして投与する、[3]に記載の方法。
[10] 上記二重特異性抗体が、scFv、Fab、及びdAbからなる群から選択される少なくとも1個の抗体断片を含む、[1]に記載の方法。
[11] 上記Trop−2発現癌が、食道、膵臓、肺、胃、結腸、直腸、膀胱、乳房、卵巣、子宮、腎臓、または前立腺の癌である、[1]に記載の方法。
[12] 上記対象に、第2の抗体またはその抗原結合性断片、薬物、毒素、酵素、細胞毒性薬物、抗血管新生薬、アポトーシス促進性作用物質、抗生物質、ホルモン、免疫調節薬、サイトカイン、ケモカイン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、ホウ素化合物、及び放射性同位体からなる群から選択される治療薬を投与することをさらに含む、[1]に記載の方法。
[13] 上記薬物が、5−フルオロウラシル、アファチニブ、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アンスラサイクリン、アキシチニブ、AVL−101、AVL−291、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリチアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、Cox−2阻害薬、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテカン、クリゾチニブ、シクロフォスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダサチニブ、ジナシグリブ、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノ−モルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エルロチニブ、エストラムスチン、エピドフィロトキシン、エルロチニブ、エンチノスタット、エストロゲン受容体結合薬、エトポシド(VP16)、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、エキセメスタン、フィンゴリモド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、フラボピリドール、ホスタマチニブ、ガネテスピブ、GDC−0834、GS−1101、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イブルチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブ、L−アスパラギナーゼ、ラパチニブ、レノリダミド、ロイコボリン、LFM−A13、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ナベルビン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニトロソ尿素、オラパリブ、プリコマイシン、プロカルバジン、パクリタキセル、PCI−32765、ペントスタチン、Pro−2−P−Dox、PSI−341、ラロキシフェン、セムスチン、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、タモキシフェン、テマゾロミド(DTICの水性形態)、トランスプラチナ、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、バタラニブ、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンカアルカロイド、及びZD1839からなる群から選択される、[12]に記載の方法。
[14] 上記ケモカインが、RANTES、MCAF、MIP1−アルファ、MIP1−ベータ、及びIP−10からなる群から選択される、[12]に記載の方法。
[15] 上記免疫調節薬が、サイトカイン、幹細胞成長因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリスロポイエチン、及びトロンボポイエチンからなる群から選択される、[12]に記載の方法。
[16] 上記サイトカインが、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、リラキシン、プロリラキシン、瀘胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、肝成長因子、プロスタグランジン、線維芽細胞成長因子、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、OBタンパク質、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、ミュラー管抑制因子、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、インテグリン、トロンボポイエチン(TPO)、神経成長因子(NGF)NGF−β、血小板−成長因子、形質転換成長因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、エリスロポイエチン(EPO)、骨誘導因子、インターフェロン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−λ、コロニー刺激因子(CSF)、マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)、顆粒球−CSF(G−CSF)、インターロイキン−1(IL−1)、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−21、LIF、kit−リガンド、FLT−3、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、腫瘍壊死因子、及びLT(リンホトキシン)からなる群から選択される、[12]に記載の方法。
[17] 上記第2の抗体が、炭酸脱水酵素IX、アルファ−フェトプロテイン、α−アクチニン−4、A3、A33抗体に特異的な抗原、ART−4、B7、Ba733、BAGE、BrE3−抗原、CA125、CAMEL、CAP−1、CASP−8/m、、CCCL19、CCCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD11A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30、CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD52、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a−e、CD67、CD70、CD70L、CD74、CD79a、CD79b、CD80、CD83、CD95、CD126、CD132、CD133、CD138、CD147、CD154、CDC27、CDK−4/m、CDKN2A、CXCR4、CXCR7、CXCL12、HIF−1α、結腸特異的抗原−p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、c−met、DAM、EGFR、EGFRvIII、EGP−1、EGP−2、ELF2−M、Ep−CAM、Flt−1、Flt−3、葉酸受容体、G250抗原、GAGE、gp100、GROB、HLA−DR、HM1.24、ヒト柔毛膜性ゴナドトロピン(HCG)及びそのサブユニット、HER2/neu、HMGB−1、低酸素誘導因子(HIF−1)、HSP70−2M、HST−2、Ia、IGF−1R、IFN−γ、IFN−α、IFN−β、IL−2、IL−4R、IL−6R、IL−13R、IL−15R、IL−17R、IL−18R、IL−6、IL−8、IL−12、IL−15、IL−17、IL−18、IL−23、IL−25、インスリン様成長因子−1(IGF−1)、KC4−抗原、KS−1−抗原、KS1−4、Le−Y、LDR/FUT、マクロファージ遊走阻止因子(MIF)、MAGE、MAGE−3、MART−1、MART−2、NY−ESO−1、TRAG−3、mCRP、MCP−1、MIP−1A、MIP−1B、MIF、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5ac、MUC13、MUC16、MUM−1/2、MUM−3、NCA66、NCA95、NCA90、膵臓癌ムチン、胎盤成長因子、p53、PLAGL2、前立腺酸性ホスファターゼ、PSA、PRAME、PSMA、PlGF、ILGF、ILGF−1R、IL−6、IL−25、RS5、RANTES、T101、SAGE、S100、サバイビン、サバイビン−2B、TAC、TAG−72、テネイシン、TRAIL受容体、TNF−α、Tn抗原、Thomson−Friedenreich抗原、腫瘍壊死抗原、TROP−2、VEGFR、ED−Bフィブロネクチン、WT−1、17−1A−抗原、補体因子C3、C3a、C3b、C5a、C5、血管新生マーカー、bcl−2、bcl−6、Kras、cMET、ならびに発癌遺伝子産物からなる群から選択される抗原に結合する、[12]に記載の方法。
[18] 上記第2の抗体が、hR1(抗IGF−1R)、hPAM4(抗ムチン)、KC4(抗ムチン)、hA20(抗CD20)、hA19(抗CD19)、hIMMU31(抗AFP)、hLL1(抗CD74)、hLL2(抗CD22)、RFB4(抗CD22)、hMu−9(抗CSAp)、hL243(抗HLA−DR)、hMN−14(抗CEACAM5)、hMN−15(抗CEACAM6)、hRS7(抗TROP−2)、hMN−3(抗CEACAM6)、CC49(抗TAG−72)、J591(抗PSMA)、D2/B(抗PSMA)、G250(抗炭酸脱水酵素IX)、インフリキシマブ(抗TNF−α)、セルトリズマブペゴル(抗TNF−α)、アダリムマブ(抗TNF−α)、アレムツズマブ(抗CD52)、ベバシズマブ(抗VEGF)、セツキシマブ(抗EGFR)、ゲムツズマブ(抗CD33)、イブリツモマブチウキセタン(抗CD20)、パニツムマブ(抗EGFR)、リツキシマブ(抗CD20)、トシツモマブ(抗CD20)、GA101(抗CD20)、トラスツズマブ(抗HER2/neu)、トシリズマブ(抗IL−6受容体)、バシリキシマブ(抗CD25)、ダクリズマブ(抗CD25)、エファリズマブ(抗CD11a)、ムロモナブ−CD3(抗CD3受容体)、ナタリズマブ(抗α4インテグリン)、BWA−3(抗ヒストンH2A/H4)、LG2−1(抗ヒストンH3)、MRA12(抗ヒストンH1)、PR1−1(抗ヒストンH2B)、LG11−2(抗ヒストンH2B)、及びLG2−2(抗ヒストンH2B)からなる群から選択される、[12]に記載の方法。
[19] 上記二重特異性抗体が、ヒト化RS7(抗Trop−2)抗体またはその抗原結合性を含む、[1]に記載の方法。
[20] 上記二重特異性抗体が、Okt3(抗CD3)抗体またはその抗原結合性断片を含む、[1]に記載の方法。
[21] 上記二重特異性抗体が、配列番号107のアミノ酸配列を含む、[1]に記載の方法。
[22]
上記二重特異性抗体が、サイトカイン放出症候群(CRS)を誘発し得るレベルまでサイトカイン産生を増大させることなく、Trop−2発現癌に対する免疫応答を誘発する、[1]に記載の方法。
[23] 上記二重特異性抗体が、Trop−2発現癌細胞とT細胞との間で細胞表面抗原のトロゴサイトーシスを誘発する、[1]に記載の方法。
[24] Trop−2に対する少なくとも1個の結合部位と、CD3に対する少なくとも1個の結合部位とを含む二重特異性抗体。
[25] Trop−2発現癌を有する対象に投与した場合に、Trop−2発現癌に対する免疫応答を誘発し得る、[24]に記載の二重特異性抗体。
[26] ヒト化RS7(抗Trop−2)抗体またはその抗原結合性断片を含む、[24]に記載の二重特異性抗体。
[27] Okt3(抗CD3)抗体またはその抗原結合性断片を含む、[24]に記載の二重特異性抗体。
[28] 配列番号107のアミノ酸配列を含む、[24]に記載の二重特異性抗体。
[29] scFv、Fab、及びdAbからなる群から選択される第1及び第2の抗体断片を含む、[24]に記載の二重特異性抗体。
[30] 上記Trop−2発現癌が、食道、膵臓、肺、胃、結腸、直腸、膀胱、乳房、卵巣、子宮、腎臓、または前立腺の癌である、[24]に記載の二重特異性抗体。
[31] 薬物、毒素、酵素、細胞毒性薬物、抗血管新生薬、アポトーシス促進性作用物質、抗生物質、ホルモン、免疫調節薬、サイトカイン、ケモカイン、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、ホウ素化合物、及び放射性同位体からなる群から選択される治療薬にコンジュゲートされている、[24]に記載の二重特異性抗体。
[32] 上記薬物が、5−フルオロウラシル、アファチニブ、アプリジン、アザリビン、アナストロゾール、アンスラサイクリン、アキシチニブ、AVL−101、AVL−291、ベンダムスチン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ボスチニブ、ブリオスタチン−1、ブスルファン、カリチアマイシン、カンプトテシン、カルボプラチン、10−ヒドロキシカンプトテシン、カルムスチン、セレブレックス、クロラムブシル、シスプラチン(CDDP)、Cox−2阻害薬、イリノテカン(CPT−11)、SN−38、カルボプラチン、クラドリビン、カンプトテカン、クリゾチニブ、シクロフォスファミド、シタラビン、ダカルバジン、ダサチニブ、ジナシクリブ、ドセタキセル、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、2−ピロリノドキソルビシン(2P−DOX)、シアノモルホリノドキソルビシン、ドキソルビシングルクロニド、エピルビシングルクロニド、エルロチニブ、エストラムスチン、エピドフィロトキシン、エルロチニブ、エンチノスタット、エストロゲン受容体結合薬、エトポシド(VP16)、エトポシドグルクロニド、リン酸エトポシド、エキセメスタン、フィンゴリモド、フロクスウリジン(FUdR)、3’,5’−O−ジオレオイル−FudR(FUdR−dO)、フルダラビン、フルタミド、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害薬、フラボピリドール、ホスタマチニブ、ガネテスピブ、GDC−0834、GS−1101、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イブルチニブ、イダルビシン、イデラリシブ、イホスファミド、イマチニブ、L−アスパラギナーゼ、ラパチニブ、レノリダミド、ロイコボリン、LFM−A13、ロムスチン、メクロレタミン、メルファラン、メルカプトプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトタン、ナベルビン、ネラチニブ、ニロチニブ、ニトロソ尿素、オラパリブ、プリコマイシン、プロカルバジン、パクリタキセル、PCI−32765、ペントスタチン、Pro−2−P−Dox、PSI−341、ラロキシフェン、セムスチン、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、タモキシフェン、テモゾロミド(DTICの水性形態)、トランス白金、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、テニポシド、トポテカン、ウラシルマスタード、バタラニブ、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンカアルカロイド、及びZD1839からなる群から選択される、[31]に記載の二重特異性抗体。
[33] 上記ケモカインが、RANTES、MCAF、MIP1−アルファ、MIP1−ベータ、及びIP−10からなる群から選択される、[31]に記載の二重特異性抗体。
[34] 上記免疫調節薬が、サイトカイン、幹細胞成長因子、リンホトキシン、造血因子、コロニー刺激因子(CSF)、インターフェロン(IFN)、エリスロポイエチン、及びトロンボポイエチンからなる群から選択される、[31]に記載の二重特異性抗体。
[35] 上記サイトカインが、ヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリン、プロインスリン、リラキシン、プロリラキシン、瀘胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)、肝成長因子、プロスタグランジン、線維芽細胞成長因子、プロラクチン、胎盤性ラクトゲン、OBタンパク質、腫瘍壊死因子−α、腫瘍壊死因子−β、ミュラー管抑制因子、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、インテグリン、トロンボポイエチン(TPO)、神経成長因子(NGF)NGF−β、血小板−成長因子、形質転換成長因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、インスリン様成長因子−I、インスリン様成長因子−II、エリスロポイエチン(EPO)、骨誘導因子、インターフェロン、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−λ、コロニー刺激因子(CSF)、マクロファージ−CSF(M−CSF)、顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)、顆粒球−CSF(G−CSF)、インターロイキン−1(IL−1)、IL−1α、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−21、LIF、kit−リガンド、FLT−3、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、エンドスタチン、腫瘍壊死因子、及びLT(リンホトキシン)からなる群から選択される、[31]に記載の二重特異性抗体。
[36] サイトカイン放出症候群(CRS)を誘発することなく、Trop−2発現癌に対する免疫応答を誘発し得る、[24]に記載の二重特異性抗体。
[37] Trop−2発現癌細胞と及びT細胞との間で細胞表面抗原のトロゴサイトーシスを誘発する、[24]に記載の二重特異性抗体。