(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に述べた特許文献1の段落0051では、「医療行為に使用される使用物識別手段の認識がされると、その患者の医療行為の計画と一致しているか照合し、必要に応じその結果を出力する」および「点滴作業を行うのに使用する使用物だけを読みこませて、全て整った時に、点滴作業を施してもよいサインを出力する」ことが記載されている。
【0008】
このように、特許文献1では、使用物についての照合の順番は規定されていない。したがって、作業者は、使用物について、手当たり次第に、その識別情報を医療行為の計画と照合することとなるため、同じ使用物についての照合が繰返される可能性がある。その場合には、全ての使用物の照合が完了するまでに時間を要し、作業者は照合作業に負担を感じる。また、このような負担感により、医療事故が引き起こされる可能性がある。
【0009】
それゆえに、本開示のある局面における目的は、医療事故を防止し得る透析管理装置、透析管理システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施の形態に従う透析管理装置は、人工透析の患者に処方される複数の処方薬剤のそれぞれについて、当該処方薬剤を識別するための処方薬情報を記憶するための記憶部と、投与の候補となる薬剤を識別するための薬情報を取得するための情報取得部と、複数の処方薬情報を、情報取得部により取得された薬情報と照合する照合部と、情報を表示するための表示部と、複数の処方薬情報を、予め定められた順序に従って表示部に表示するための表示制御部と、照合部を制御する制御部と、を備え、制御部は、情報取得部により薬情報が取得される毎に、照合部に、記憶部の複数の処方薬情報から予め定められた順序に従って処方薬情報を選択させ、且つ、選択された処方薬情報を当該取得された薬情報と照合する処理を、繰返し実施させる。
【0011】
好ましくは、表示制御部は、繰返し実施において、照合部による照合が実施される毎に、当該照合の結果を表示部に表示する。
【0012】
好ましくは、表示制御部は、繰返し実施において、照合部による照合が実施される毎に、当該照合の結果を、表示部において当該照合のために選択された処方薬情報に関連付けて表示する。
【0013】
好ましくは、制御部は、繰返し実施において、照合の結果が一致を示す場合には、照合部に、情報取得部により取得される薬情報と、予め定められた順序に従って選択された次位の処方薬情報とを照合させ、照合の結果が不一致を示す場合には、照合部に、情報取得部により取得される薬情報と、直前に選択された処方薬情報とを照合をさせる。表示制御部は、繰返し実施において、照合の結果が不一致を示す毎に、次回の照合は、直前に選択された処方薬情報についての照合である旨を、表示部に表示する。
【0014】
好ましくは、透析管理装置は、人工透析ユニットに接続可能であり、透析管理装置は、照合部の照合により、記憶部の複数の処方薬情報と情報取得部によって取得される複数の薬情報との一致が確認されたとき、人工透析を開始させるための制御信号を、人工透析ユニットに出力する。
【0015】
好ましくは、透析管理装置に対するユーザ操作を受付けるための操作受付部をさらに備え、透析管理装置は、一致が確認されたとき、操作受付部を介してユーザ操作を受付けて、受付けた当該ユーザ操作に基づく制御信号を、人工透析ユニットに出力する。
【0016】
好ましくは、透析管理装置は、人工透析ユニットに接続可能であり、複数の処方薬剤は、人工透析ユニットを介して投与される薬剤と、経口により投与される薬剤とを含み、予め定められた順序において、人工透析ユニットを介して投与される薬剤の処方薬情報は、経口により投与される薬剤の処方薬情報よりも前に位置する。
【0017】
一実施の形態の他の局面に従うと、上記に述べた透析管理装置と、当該透析管理装置と通信する情報処理装置と、を備えた透析管理システムでは、情報処理装置は、人工透析の患者に処方される複数の薬剤のそれぞれについて、当該薬剤を識別するための処方薬情報を、透析管理装置に送信する。
【0018】
一実施の形態の他の局面に従うと、プロセッサを備えるコンピュータに透析管理方法を実行させるためのプログラムが提供される。
【0019】
プログラムは、投与の候補となる薬剤を識別するための薬情報を取得するステップと、患者に処方される複数の処方薬剤それぞれを識別するための各処方薬情報を、取得された薬情報と照合するステップと、複数の処方薬剤のそれぞれの処方薬情報を、予め定められた順序に従って表示するステップと、を実行させる。照合するステップは、取得するステップにおいて薬情報が取得される毎に、予め定められた順序に従って複数の処方薬情報から処方薬情報を選択し、且つ選択された処方薬情報を当該取得された薬情報と照合する処理を繰返すステップを含む。
【0020】
この発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解されるこの発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、患者に対して人工透析を施すための透析管理装置を説明する。以下の説明では、図面中の同一の部材には同一の参照符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、以下の説明では、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0023】
<技術思想>
本実施の形態に係る技術思想は、以下のとおりである。
【0024】
透析管理装置は、人工透析の患者に処方される複数の処方薬剤のそれぞれについて、当該処方薬剤の識別情報を、予め定められた順序に従って並べて表示する。情報取得部により当該患者に投与される候補の各薬剤について、識別情報である投薬情報が取得される毎に、透析管理装置は、複数の処方薬情報のうちから上述の予め定められた順序に従って選択された処方薬情報と、当該取得された投薬情報との照合を繰返し実施する。
【0025】
このように、処方薬情報を投薬情報と照合する処理は、予め定められた順序に従って、繰返し実施される。これにより、上述のように手当たり次第の照合作業に比較して照合のための所要時間を短縮することができ、照合作業の負担感は軽減される。その結果、当該負担感による医療事故を防止することができる。
【0026】
<構成>
図1は、本実施の形態に係るシステムの概略構成図である。システムは、医師側コンピュータ2と、透析管理装置1とを含む。医師側コンピュータ2と透析管理装置1は、通信回線6を介して互いに接続される。透析管理装置1は、バーコードリーダ3および透析ユニット4と接続される。通信回線6は、有線または無線のLAN(Local Area Network)を含む。
図1のシステムは「透析管理システム」の一実施例である。医師側コンピュータ2は、「情報処理装置」の一実施例である。
【0027】
透析管理装置1は、表示部17および小物トレイ19を備える。小物トレイ19の上には、ユーザ(ユーザ、看護師を含む)が、患者への投与の候補となる薬剤を置くための受け皿に相当する。
【0028】
透析ユニット4は、患者に人工透析を施すための回路を含む。透析ユニット4は、図示しない血液透析器を有する。血液透析器により、体外循環する患者の血流に対して、浄化治療が施されて、浄化後の血流が体内に戻される。透析ユニット4の構成は周知のものであるので、ここでは詳細な説明を繰返さない。
【0029】
バーコードリーダ3は、投与の候補である薬剤5に付されたバーコード51の画像を光学的に走査し、走査により読取られたデータを透析管理装置1に出力する。
【0030】
図2は、本実施の形態に係る透析管理装置1のハードウェア構成図である。透析管理装置1は、プロセッサを備えるコンピュータに相当する。具体的には、透析管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、通信回線6を介した通信を制御するための通信部11、メモリ12、入力デバイス13、バーコードリーダ3、透析ユニット4との間で信号を入出力するための透析ユニットI/F(Interface)16、および液晶ディスプレイを含む表示部17を備える。
【0031】
通信部11は、通信用のモデムを含む。通信部11は、通信回線6を介して、医師側コンピュータ2と通信する。通信部11が医師側コンピュータ2から受信するデータには、後述する薬剤リスト18が含まれる。薬剤リスト18は、医師が患者に処方する複数の薬剤のそれぞれについて、当該薬剤の識別情報である処方薬情報41を含む。
【0032】
メモリ12は、プログラムおよびデータを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)、プログラムおよびデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)、プログラムおよびデータを不揮発的に格納するHDD(Hard Disc Drive)等を含む。メモリ12は、「記憶部」の一実施例に相当する。
【0033】
入力デバイス13は、ボタン、スイッチ、およびタッチパッドを含む。本実施の形態では、入力デバイス13のタッチパッドと表示部17のディスプレイパネルは、一体的に組み合わされたタッチパネルとして提供される。
【0034】
透析ユニットI/F16は、透析ユニット4との間で信号を入出力する。
図3は、本実施の形態に係る透析管理のための機能構成を示す図である。
図3の各部は、CPU10により実行されるプログラム、または各機能を実現する複数の回路の組合せにより実現される。
【0035】
図3を参照して、CPU10は、照合部30、情報取得部31、記憶制御部32、信号生成部33、操作受付部34、および表示制御部35を含む。
【0036】
情報取得部31は、薬剤5を識別するための薬情報42を取得し、取得された薬情報42を照合部30に出力する。具体的には、情報取得部31は、バーコードリーダ3によって得られたデータを受付け、受付けたデータに誤り訂正等の処理を施す。薬情報42は、当該処理後のデータを示す。
【0037】
記憶制御部32は、メモリ12へのデータの格納およびメモリ12からのデータの読出しを制御する。
【0038】
照合部30は、記憶制御部32によりメモリ12から読出された薬剤リスト18の処方薬情報41を、情報取得部31により取得された薬情報42と照合し、照合結果を出力する。照合結果は、処方薬情報41と薬情報42とが一致するか否かを示す。処方薬情報41の詳細は、後述する。
【0039】
信号生成部33は、透析ユニット4の各回路を制御するための信号を生成し、生成された制御信号を、透析ユニットI/F16を介して透析ユニット4の各回路に出力する。
【0040】
操作受付部34は、透析管理装置1に対するユーザの操作内容を、入力デバイス13を介して受付ける。操作内容は、ユーザによるボタン、スイッチ、およびタッチパネの操作を含む。
【0041】
表示制御部35は、記憶制御部32によりメモリ12から読出された薬剤リスト18に基づく画像データを生成し、当該画像データに基づき、画像を表示するよう表示部17を制御する。また、表示制御部35は、照合部30からの照合結果に基づく情報を表示するよう表示部17を制御する。
【0042】
図4は、本実施の形態に係る薬剤リスト18の一例を示す図である。薬剤リスト18は、医師側コンピュータ2において医師の操作により患者毎に生成される。生成された薬剤リスト18は、通信回線6を介して透析管理装置1に送信される。
【0043】
図4を参照して、薬剤リスト18は、患者の氏名および複数のレコードを含む。各レコードは、当該薬剤の識別情報として、照合順序番号8A、薬剤の名称8Bおよび処方薬情報41を含む。また、当該レコードは、当該薬剤に関連する情報として、投与量を表す数量、投与量の単位、およびマニュアル情報を含む。マニュアル情報は、投与の順番と、注意事項の情報とを含む。処方薬情報41は、当該薬剤のバーコードに対応するデータを含む。照合順序番号8Aは、対応の処方薬情報41が、照合部30により薬情報42と照合される順序を規定するための情報である。
図4では、照合順序番号8Aは、数値(1,2,3、・・・)により示されている。
【0044】
本実施の形態では、患者に薬剤5の投与が実施される際には、情報取得部31により薬剤5からバーコードリーダ3を介して薬情報42が取得される。薬情報42が取得される毎に、照合部30は、薬剤リスト18の複数の処方薬情報41のうちから、予め定められた順序に従って1つの処方薬情報41を選択し、選択された処方薬情報41と当該取得された薬情報42とを照合する。この“予め定められた順序”は、
図4の照合順序番号8Aの値により示される。例えば、“予め定められた順序”が照合順序番号8Aの値(1,2,3、・・・)の昇順である場合には、照合部30は、
図4の薬剤リスト18から、処方薬情報41として“HE1”、“HE2”、“HE3”、…“HEn”の順に処方薬情報41を選択する。一方、“予め定められた順序”が照合順序番号8Aの値の降順である場合には、照合部30は、処方薬情報41として“HEn”…“HE3”、“HE2”、“HE1”の順に処方薬情報41を選択する。
【0045】
図5は、本実施の形態に係る薬剤リスト18の表示の一例を示す。
図6は、本実施の形態に係る薬剤リスト18の表示の他の例を示す。表示制御部35は、表示部17に、患者の氏名と、薬剤リスト18の処方薬剤に関する情報とを並べて一覧として表示する。具体的には、表示制御部35は、表示部17に、上記の“予め定められた順序”に従って、複数の処方薬情報41を並べてで表示する。
【0046】
したがって、本実施の形態では、照合のために薬剤リスト18から処方薬情報41が選択される順序は、
図5の表示部17の情報の並びにおける当該処方薬情報41の順序に一致する。
【0047】
また、
図5の画面では、チェックボックス21が表示される。チェックボックス21は、薬剤リスト18の各処方薬剤に関する情報に関連付けられて、より特定的には対応付けて表示される。表示制御部35は、照合部30からの照合結果に基づき、チェックボックス21の表示を制御する。具体的には、照合結果が処方薬情報41と薬情報42の一致を示す場合には、当該処方薬情報41に関連のチェックボックス21が点灯(反転)表示される。一方、照合結果が不一致を示す場合には、当該関連のチェックボックス21を点灯(反転)表示されることなく、消灯のままとされる。
【0048】
図6には、薬剤リスト18の全ての処方薬情報41についての照合が完了した場合の画面の表示例が示される。
図6では、全ての処方薬情報41について、チェックボックス21が点灯(反転)表示されているとともに、人工透析を開始させるために操作されるボタン22が表示されている。
【0049】
このように、本実施の形態では、照合部30の照合により、薬剤リスト18の複数の処方薬情報41が情報取得部31により取得される複数の薬情報42と一致することが確認されるまでは、上記のボタン22は表示されない。したがって、医師により処方されている薬剤が全て準備されていない(照合が完了していない)段階で、人工透析が開始されるのを防止できて、薬剤の準備不足による医療事故を回避することができる。
【0050】
なお、“予め定められた順序”は、上記に述べた昇順,降順に限定されず、例えば、処方薬剤を投与する順序に一致させてもよい。具体的には、実施の形態の背景として、人工透析では、透析ユニット4を介した薬剤の投与の方が、経口による薬剤の投与よりも先に実施される。したがって、透析ユニット4を介して投与される種類の薬剤の処方薬情報41を、経口により投与される種類の薬剤の処方薬情報41よりも前方に位置するように“予め定められた順序”が決定されてもよい。例えば、
図5の“予め定められた順序”によれば、透析ユニット4を介して投与される種類の薬剤20Aの処方薬情報41の方が、経口により投与される薬剤20Bの処方薬情報41よりも前方に位置している。
【0051】
また、表示制御部35は、
図5において、経口により投与される種類の薬剤20Bの情報とは異なる態様で、透析ユニット4を介して投与される種類の薬剤20Aの情報を表示してもよい。当該異なる表示態様としては、例えば、表示色の変更、または特別なマーク画像の付加等を含むが、その他の表示態様が用いられてもよい。
【0052】
<処理>
図7は、本実施の形態に係る透析管理のための処理を表すフローチャートである。当該フローチャートに従うプログラムは、メモリ12に格納される。CPU10は、メモリ12からプログラムを読出し、読出されたプログラムを実行する。
【0053】
まず、透析管理装置1のCPU10は、通信部11を介して、医師側コンピュータ2から患者の薬剤リスト18を受信する。受信された薬剤リスト18は、記憶制御部32によりメモリ12に格納される(ステップS1)。
【0054】
表示制御部35は、メモリ12から読出された薬剤リスト18に基づく画像データを生成し、生成された画像データに基づく画像(
図5参照)を、表示部17に表示させる(ステップS2)。
【0055】
ユーザは、表示部17に表示されている情報(
図5参照)を確認しながら、処方されている薬剤を準備する。具体的には、ユーザは、
図5の各名称8Bの薬剤5を薬品棚から取り出し、小物トレイ19に置く。
【0056】
ユーザは、透析管理装置1を操作して、照合の開始を指示する。照合の開始が指示されると、情報取得部31は、バーコードリーダ3から読み取られたデータ(すなわち、薬情報42)を受付けるか否かを判断する(ステップS3)。具体的には、ユーザは、バーコードリーダ3により、小物トレイ19上の薬剤5のバーコード51の画像を走査する。情報取得部31は、バーコードリーダ3から読み取られたデータに基づき、薬情報42を受付けたか否かを判断する。情報取得部31は、受付けた薬情報42を照合部30に出力する。
【0057】
情報取得部31が、薬情報42を取得しないと判断する間は(ステップS3でNO)、ステップS3の処理が繰返される。
【0058】
一方、情報取得部31により薬情報42が取得されたと判断されると(ステップS3でYES)、照合部30による照合処理が実施される(ステップS4)。
【0059】
照合処理では、照合部30は、記憶制御部32を介して、メモリ12の薬剤リスト18の複数の処方薬情報41のうちから、予め定められた順序に従って、1つの処方薬情報41を選択的に読出す。照合部30は、読出された処方薬情報41と、ステップS3で取得された薬情報42とを照合する。
【0060】
この処理フローでは、“予め定められた順序”は、薬剤リスト18の照合順序番号8Aの値の昇順であるとする。したがって、照合部30は、まず、照合順序番号8Aが“1”である処方薬情報41(コード“HE1”)を選択し、選択された処方薬情報41を薬情報42と照合する。
【0061】
CPU10は、ステップS4の照合の結果が、処方薬情報41は薬情報42に一致していることを示すか否かを判断する(ステップS5)。CPU10が、照合結果は不一致を示すと判断すると(ステップS5でNO)、表示制御部35は、エラー情報を表示部17に表示する(ステップS6)。エラー情報は、“次回の照合は、直前のステップS4において選択された処方薬情報41についての照合である”ことを表すメッセージを含む。例えば、“照合できませんでした。画面の表示順序に従って薬剤のバーコードを、再度読み込んで下さい”とのメッセージを含む。その後、処理はステップS3に戻る。
【0062】
CPU10が、照合結果は不一致であると判断すると(ステップS5でNO)、照合部30は、次位の処方薬情報41についての照合を実施しない。具体的には、照合部30は、ステップS3で新たに取得された薬情報42と、直前のステップS4で既に選択されていた処方薬情報41(すなわち、コード“HE1”)とを照合する(ステップS4)。
【0063】
一方、CPU10が、照合結果は一致であると判断すると(ステップS5でYES)、表示制御部35は、当該処方薬情報41に関連のチェックボックス21を反転して表示部17に表示する(ステップS7)。
【0064】
次に、CPU10は、薬剤リスト18に次に照合すべき処方薬情報41があるか否か、すなわち未だ照合されていない処方薬情報41があるか否かを判断する(ステップS8)。CPU10が、未だ照合されていない処方薬情報41があると判断すると(ステップS8でYES)、処理はステップS3に戻る。予め定められた順序における次位の処方薬情報41についての照合処理が、上述と同様に繰返される。
【0065】
この場合に、ユーザにより新たな薬剤5のバーコードからデータが読取られて、ステップS3では、情報取得部31により当該データに基づく薬情報42が取得される。そして、ステップS4では、照合部30が予め定められた順序に従って薬剤リスト18から次位の処方薬情報41(コード“HE2”)を選択し、当該次位の薬情報42を上記の新たに取得された薬情報42と照合する(ステップS4)。
【0066】
上記に述べたステップS3〜S8の処理によれば、照合部30は、照合結果が不一致を示す場合には(ステップS5でNO)、次位の処方薬情報41についての照合を実施しない。照合結果が一致を示す場合に(ステップS5でYES)のみ、次位の処方薬情報41についての照合を実施するように、照合部30が制御される。したがって、照合結果が一致を示さない場合に、次位の処方薬情報41についての照合が実施される(これを、“順序飛ばし照合”ともいう)ことが防止される。
【0067】
CPU10が、薬剤リスト18に照合されていない処方薬情報41がない、すなわち、全ての処方薬情報41について照合処理が実施されたと判断すると(ステップS8でNO)、照合の処理は終了し、処理はステップS9に移行する。
【0068】
ステップS9では、表示制御部35は、表示部17にボタン22を点灯表示する。
操作受付部34は、入力デバイス13を介してユーザ操作を受付けたと判断するまで待機する(ステップS10でNO)。操作受付部34は、ユーザ操作を受付けたと判断すると(ステップS10でYES)、受付けた操作内容を信号生成部33に出力する。
【0069】
信号生成部33は、受付けられた操作内容に基づく制御信号を生成する。生成された制御信号は、透析ユニットI/F16を介して透析ユニット4に出力される(ステップS11)。ここでは、ステップS10におけるユーザ操作は、ボタン22の操作であるとする。したがって、信号生成部33は、ボタン22の操作内容に基づき、透析開始を指示する制御信号を生成する。当該制御信号は、例えば、透析ユニット4のプライミング回路(図示しない)を駆動する命令を含む。透析ユニット4が制御信号に従って動作することにより、プライミングを含む人工透析が実施される。
【0070】
このように、ステップS9〜S11の処理では、薬剤リスト18の複数の処方薬情報41が情報取得部31により取得された複数の薬情報42と一致したことを条件に、人工透析を開始させるための制御信号が出力される。
【0071】
したがって、上記の順序飛ばし照合がなされることなく、患者に処方された薬剤5が全て準備されたことが照合部30の照合結果によって確認されるまでは(ステップS8でNOと判断されるまでは)、透析ユニット4による人工透析は開始されない。これにより、薬剤の準備不足による医療事故を防止することができる。
【0072】
なお、上述の実施の形態に係る透析管理装置1を実現するための機能は、ある局面において、プログラムを格納するメモリおよび当該プログラムに含まれる命令を実行するプロセッサにより実現される。当該プログラムは、透析管理装置1の不揮発性のデータ記録媒体(たとえばフラッシュメモリ)に予め格納されている。別の局面において、当該プログラムは、通信回線6、および図示しないインターネットその他のネットワークを介して、当該プログラムの提供者からダウンロード可能であってもよい。この場合、通信方式は特に限定されない。さらに別の局面において、当該機能は、各処理を実現する回路の組み合わせによっても実現され得る。
【0073】
<変形例>
上記の実施の形態の各変形例を説明する。
【0074】
(変形例1)
本実施の形態では、処方薬情報41および薬情報42として、バーコード51の画像に基づくデータを説明したが、バーコード51のデータに限定されない。例えば、薬剤に添付されたメモリデバイス(処方薬情報41,薬情報42が記録されたIC(Integrated Circuit)チップ、ICカード、磁気チップ等)からリーダ装置により読出された情報であってもよい。また、処方薬情報41および薬情報42として薬剤の画像が用いられてもよい。その場合には、バーコードリーダ3に代わって薬剤5を撮像するためのCCD(Charge Coupled Device)カメラが用いられる。また、処方薬情報41および薬情報42として薬剤の名称8Bを用いてもよい。
【0075】
(変形例2)
図7の処理において、ステップS6でエラー情報が表示されたときは、ユーザが当該エラー情報の表示を解除するための操作をするまでは、ステップS3における薬情報42の取得処理が実施されないようにしてもよい。
【0076】
具体的には、ステップS6で表示されたエラー情報を解除(表示を消去)するために、ユーザはタッチパネルを介して当該エラー情報をタッチ操作する。操作受付部34により当該タッチ操作が受付けられたとき、情報取得部31により、薬情報42の取得処理(ステップS3)が実施される。
【0077】
(変形例3)
本実施の形態では、透析管理装置1において照合処理が実施されたが、照合処理は透析管理装置1に代えて医師側コンピュータ2等のシステムの他のコンピュータで実施されてもよい。この場合には、照合部30は、透析管理装置1に代えて他のコンピュータに備えられる。
【0078】
今回開示された実施の形態は例示であって、上記内容のみに制限されるものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。