(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の組電池において、蓄電素子から外装体への放熱を促すために、蓄電素子の所定の伝熱面を外装体に接触させた状態において、複数の蓄電素子を外装体に固定することが考えられる。蓄電素子の外装体への固定方法としては、例えば、外装体における伝熱面側に位置する第1壁部に対して、ボルトにより蓄電素子を締結する方法が考えられる。この場合には、蓄電素子の固定強度を確保する観点からは、外装体における第1壁部に対向する第2壁部に対しても、ボルトにより蓄電素子を更に締結することが望ましい。しかしながら、この場合には、第2壁部における締結によって、伝熱面を第1壁部から引き離す方向の力が蓄電素子に作用し、蓄電素子の放熱性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、そのような事情に鑑みてなされてものであり、電池セルの放熱性の低下を抑制しつつ電池モジュールの固定強度を確保可能な電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池パックは、互いに対向する第1壁部及び第2壁部を有する筐体と、第1方向に沿って積層され互いに拘束された複数の電池セルと、第1壁部に対向して電池セルを筐体に熱的に接続する伝熱面と、を有する電池モジュールと、第1壁部に設けられ、第2壁部から第1壁部に向かう第2方向に電池モジュールに力を加えて電池モジュールを第1壁部に締結する第1締結部材と、第2壁部に設けられ、第2方向に電池モジュールに力を加えて電池モジュールを第1壁部に締結する第2締結部材と、を備え、第1壁部は、伝熱面と対向する第1領域を有し、第2壁部は、電池モジュールを挟んで第1領域と対向する第2領域を有し、第2締結部材は、第2領域に配置されている。
【0007】
この電池パックにおいては、電池モジュールは、筐体の第1壁部に設けられた第1締結部材によって、第1壁部に締結されている。また、電池モジュールは、筐体の第1壁部に対向する第2壁部に設けられた第2締結部材によって、第1壁部に締結されている。このため、電池モジュールの筐体への固定強度が確保される。特に、ここでは、第1締結部材により電池モジュールに加えられる力と、第2締結部材により電池モジュールに加えられる力とが、共に、第2壁部から第1壁部に向かう第2方向の力である。このため、電池モジュールを筐体に固定するに際して、伝熱面を第1壁部から引き離す方向の力が電池モジュールに加えられにくい。よって、電池セルの放熱性の低下が抑制される。
【0008】
本発明に係る電池パックにおいては、第1方向は、第1壁部の延在方向に沿う方向であり、電池モジュールは、第1方向における一端側の電池セルを含む一端部と、第1方向における他端側の電池セルを含む他端部と、一端部と他端部との間の中間部と、を含み、第1締結部材は、電池モジュールの一端部及び他端部において電池モジュールを第1壁部に締結し、第2締結部材は、中間部において電池モジュールに力を加えてもよい。この場合、電池モジュールにおいては、複数の電池セルが第1壁部の延在方向に沿う方向に沿って積層され互いに拘束されている。電池モジュールは、第1締結部材によって電池モジュールの一端部及び他端部において第1壁部に締結されている。そのため、伝熱面を第1壁部から引き離す方向の電池セルの位置ズレが、一端部及び他端部と比べて中間部において生じやすい。そこで、中間部において第2締結部材が電池モジュールに力を加えることで、伝熱面を第1壁部から引き離す方向の電池セルの位置ズレを抑制でき、電池セルの放熱性の低下が抑制される。
【0009】
本発明に係る電池パックにおいては、電池モジュールは、第2壁部側において複数の電池セルにわたって延在する板部材を有し、第2締結部材は、板部材を介して電池モジュールに力を加えてもよい。この場合、第2締結部材は、複数の電池セルにわたって延在する板部材を介して電池モジュールに力を加えるため、複数の電池セルのそれぞれに力を加えることができる。
【0010】
本発明に係る電池パックにおいては、板部材には、第2締結部材が配置される凹部が設けられていてもよい。この場合、第2締結部材に対する板部材の相対移動を抑制することができる。
【0011】
本発明に係る電池パックにおいては、第1方向は、第2方向に沿った方向であり、第2締結部材は、第1方向から見たときの電池セルの中央部に力を加えてもよい。電池モジュールにおいては、複数の電池セルが第2壁部から第1壁部に向かう第2方向に沿って積層され互いに拘束されている。この場合、例えば電池セルの中央部が相対的に大きく膨張することにより、伝熱面を第1壁部から引き離す方向の位置ズレが生じるおそれがある。そこで、当該中央部において第2締結部材が電池モジュールに力を加えることで、伝熱面を第1壁部から引き離す方向の位置ズレを抑制でき、電池セルの放熱性の低下が抑制される。
【0012】
本発明に係る電池パックにおいては、電池モジュールには、第2締結部材が配置される凹部が設けられていてもよい。この場合、第2締結部材に対する電池モジュールの相対移動を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池セルの放熱性の低下を抑制しつつ電池モジュールの固定強度を確保可能な電池パックを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図面の説明において、同一の要素同士、或いは相当する要素同士には互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。なお、以下の図面には、直交座標系Sを示す場合がある。
【0016】
図1は、一実施形態に係る電池パックの部分的な構成を示す断面図である。
図1に示されるように、電池パック100は、電池モジュール1と、筐体2と、熱伝導部材(TIM:Thermal Interface Material)3と、を備えている。電池モジュール1は、筐体2に収容されている。筐体2は、互いに対向する第1壁部2s及び第2壁部2tを有する。第1壁部2s及び第2壁部2tは、例えば側壁部2uによって互いに接続されて一体化されている。電池モジュール1は、筐体2の第1壁部2sに固定されている(詳しくは後述)。熱伝導部材3は、電池モジュール1と筐体2の第1壁部2sとの間に配置されている。なお、電池パック100は、例えば、第1壁部2sに沿って積層された複数の電池モジュール1を備えることができるが、ここでは、1つの電池モジュール1のみを図示する。
【0017】
電池モジュール1は、複数の電池セル10及び複数の伝熱プレート20を含む積層体30を有する。電池セル10の個数は、例えば7個である。電池セル10は、それぞれ、個別にセルホルダ40(
図2参照)に保持されている。伝熱プレート20は、電池セル10のそれぞれに対して設けられている。したがって、伝熱プレート20の個数も、一例として7個である。複数の電池セル10及び伝熱プレート20は、第1壁部2sの延在方向に沿う第1方向(X軸方向)に沿って積層され互いに拘束されている。
【0018】
図2は、
図1に示された電池モジュールの部分的な分解斜視図である。
図2に示されるように、電池セル10は、電極組立体11と、電極組立体11を収容するケース12と、電極組立体11の電極(正極及び負極のそれぞれ)に電気的に接続され、ケース12から突出する一対の端子13と、を有している。電極組立体11は、複数の正極(不図示)及び負極(不図示)と、正極と負極との間に配置されたセパレータ(不図示)と、を含む。正極及び負極は、セパレータを介して交互に積層されている。正極及び負極の積層方向は、電池セル10の積層方向(第1方向:X軸方向)と実質的に一致している。
【0019】
ケース12は、直方体状を呈している。ケース12は、互いに対向する一対の側面12a,12bと、互いに対向する一対の側面12c,12dと、互いに対向する上面12e及び底面12fと、を含む。側面12a,12bは、第1方向に沿った面である。側面12c,12dは、第1方向に交差する第2の方向(Y軸方向)に沿った面であり、側面12aと側面12bとを互いに接続する面である。端子13は、上面12eから突出している。
【0020】
セルホルダ40は、互いに対向する一対の側壁部40a,40bと、背面部40e及び底壁部40fと、を含む。側壁部40a,40bは、長方形板状を呈している。背面部40eは、長方形板状を呈しており、側壁部40a,40bの長手方向の一端部において側壁部40aと側壁部40bとを互いに接続している。底壁部40fは、長方形板状を呈しており、側壁部40a,40bの長手方向の他端部において側壁部40aと側壁部40bとを互いに接続している。
【0021】
セルホルダ40においては、側壁部40a,40bと背面部40e及び底壁部40fとによって、電池セル10が嵌め合される直方体状の空間部が画成されている。側壁部40a,40bは、それぞれ、当該空間部に電池セル10が嵌め合されたときにケース12の側面12a,12b上に配置される。同様に、背面部40eは、ケース12の上面12e近傍において、側面12d上に配置される。更に、底壁部40fは、ケース12の底面12f上に配置される。
【0022】
背面部40eには、一対の突設部41が設けられている。突設部41は、円筒状を呈している。突設部41は、第1方向に沿って延在している。突設部41は、セルホルダ40の上記空間部に電池セル10が嵌め合されたときに、ケース12の上面12e上であって、一対の端子13の間の位置に配置される。突設部41には、その延在方向に沿った貫通孔41hが形成されている。この貫通孔41hには、後述する拘束部材のボルトが挿通される。
【0023】
また、底壁部40fにおける側壁部40a,40bとの接続部分には、一対の突設部42が設けられている。突設部42は、直方体状を呈している。突設部42は、第1方向に沿って延在している。突設部42は、セルホルダ40の上記空間部に電池セル10が嵌め合されたときに、ケース12の底面12fにおける側面12a,12b側の端部に配置される。突設部42には、その延在方向に沿った貫通孔42hが形成されている。この貫通孔42hには、後述する拘束部材のボルトが挿通される。
【0024】
伝熱プレート20は、矩形板状の本体部21と、矩形板状の延在部22と、を含む。伝熱プレート20は、本体部21と延在部22とによってL字板状に形成されている。本体部21は、電池セル10(ケース12)の側面12d上に配置される。延在部22は、本体部21から第1方向に沿って延び、電池セル10(ケース12)の側面12a上に配置される。特に、延在部22における側壁部40aと反対側の面は、熱伝導部材3を介して電池セル10と筐体2とを熱的に接続する伝熱面20sである。すなわち、電池モジュール1は、第1壁部2sに対向して電池セル10を筐体2に熱的に接続する伝熱面20sを有する。伝熱プレート20は、電池モジュール1におけるエンドプレート51の固定部51bと伝熱面20sとが同じ側に位置するように電池セル10に取り付けられている。
【0025】
再び
図1を参照して電池モジュール1の各部の説明を続ける。電池モジュール1は、拘束部材50と、ミドルプレート60と、弾性体70と、を有する。拘束部材50は、電池セル10の積層方向に沿って電池セル10及び伝熱プレート20を拘束する。より具体的には、拘束部材50は、一対のエンドプレート51と、複数のボルト及びナット(不図示)と、を含む。
【0026】
エンドプレート51は、第1方向における積層体30の一端部30a及び他端部30bのそれぞれに配置されている。エンドプレート51は、一例として、矩形板状の本体部51aと、矩形板状の固定部51bと、によってL字板状に形成されている。本体部51aは、電池セル10の側面12c,12d上に配置される。固定部51bは、本体部51aから第1方向に沿って突設されている。エンドプレート51は、ボルト及びナットによって挟まれることで拘束荷重を電池セル10に付加する。なお、ミドルプレート60は、積層体30の一端部30aとエンドプレート51との間に配置されている。弾性体70は、例えばゴム等により構成されており、ミドルプレート60とエンドプレート51との間に配置されている。
【0027】
以上のように構成される電池モジュール1は、第1方向の両端において、第1壁部2sに設けられたボルト(第1締結部材)51cによって筐体2の第1壁部2sに締結されている。より具体的には、電池モジュール1は、エンドプレート51の固定部51bを筐体2の第1壁部2sに接触させた状態において、固定部51bに挿通されたボルト51cを用いて筐体2の第1壁部2sに固定される。すなわち、ボルト51cは、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向に電池モジュール1に力を加えて電池モジュール1を第1壁部2sに締結する。
【0028】
また、電池モジュール1は、第2壁部2tに設けられたボルト(第2締結部材)52dによって筐体2の第1壁部2sに締結されている。より具体的には、ボルト52dは、第2壁部2tにおける第2領域Bに配置されている。第2領域Bは、第2壁部2tにおいて電池モジュール1を挟んで第1領域Aと対向する領域である。第1領域Aは、第1壁部2sにおいて伝熱面20sと対向する領域である。ボルト52dは、この第2領域Bにおいて、第2壁部2t側の筐体2に設けられたネジ部52eに螺合されている。ボルト52dが第2方向に締め込まれることで、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向に電池モジュール1に力が加えられ、第1壁部2sに電池モジュール1が締結される。すなわち、ボルト52dは、第2方向に電池モジュール1に力を加えて電池モジュール1を第1壁部2sに締結する。
【0029】
また、この電池モジュール1は、積層体30の一端部30a(第1方向における一端側)の電池セル10を含む一端部1aと、積層体30の他端部30b(第1方向における他端側)の電池セル10を含む他端部1bと、一端部1aと他端部1bとの間の中間部1cと、を含む。ここでの一端部1aは、一例として、積層体30の一端部30aにおいてエンドプレート51に隣り合う電池セル10のみを含む。また、ここでの他端部1bは、一例として、積層体30の他端部30bにおいてエンドプレート51に隣り合う電池セル10のみを含む。よって、ここでの中間部1cは、一対のエンドプレート51,51に隣り合う電池セル10,10以外の5つの電池セルを含む。なお、一端部1aは、積層体30の一端部30aにおいて複数の電池セル10を含んでもよく、他端部1bは、積層体30の他端部30bにおいて複数の電池セル10を含んでもよい。
【0030】
電池モジュール1は、ボルト51cによって、電池モジュール1の一端部1a及び他端部1bにおいて第1壁部2sに締結されている。電池モジュール1は、ボルト52dによって、中間部1cにおいて力を加えられている。ここでは、電池モジュール1は、ボルト52dによって、中間部1cに含まれる5つの電池セルのうち中央に位置する電池セル10において力を加えられている。中間部1cにおいてボルト52dによって力を加えられる位置は、この例に限定されず、中間部1cの範囲内であれば、異なる位置であってもよい。特に、当該位置は、中間部1cに含まれる5つの電池セルのうち中央よりも弾性体70側にシフトしていてもよい。
【0031】
電池モジュール1は、第2壁部2t側において複数の電池セル10にわたって延在する板部材53を有する。ボルト52dは、板部材53を介して電池モジュール1に力を加える。板部材53は、例えば、面部53aにおいて複数の電池セル10に当接する。板部材53は、ボルト52dを用いて加えられた第2方向の力を、複数の電池セル10のそれぞれに分散させる。板部材53には、電池セル10とは反対側の面部53bに、ボルト52dが配置される凹部53cが設けられている、凹部52cは、一例としてボルト52dの先端部と嵌合する。凹部52cは、第2壁部2tに沿う方向における板部材53と第2壁部2tとの相対移動を規制する。
【0032】
以上、本実施形態に係る電池パック100においては、電池モジュール1は、筐体2の第1壁部2sに設けられたボルト51cによって、第1壁部2sに締結されている。また、電池モジュール1は、筐体2の第1壁部2sに対向する第2壁部2tに設けられたボルト52dによって、第1壁部2sに締結されている。このため、電池モジュールの筐体への固定強度が確保される。
【0033】
ここで、一般的に、電池セルの固定強度を確保する観点から、筐体における第1壁部に対向する第2壁部に対してもボルトにより電池セルを更に締結する場合には、第2壁部における締結によって、伝熱面を第1の壁部から引き離す方向の力が電池セル(電池モジュール)に作用し、電池セルの放熱性が低下するおそれがある。
【0034】
この点、電池パック100においては、ボルト51cにより電池モジュール1に加えられる力と、ボルト52dにより電池モジュール1に加えられる力とが、共に、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向の力である。このため、電池モジュール1を筐体2に固定するに際して、伝熱面20sを第1壁部2sから引き離す方向の力が電池モジュール1に加えられにくい。よって、電池セル10の放熱性の低下が抑制される。
【0035】
また、電池パック100においては、ボルト51cは、電池モジュール1の一端部1a及び他端部1bにおいて電池モジュールを第1壁部2sに締結し、ボルト52dは、中間部1cにおいて電池モジュール1に力を加えている。電池モジュール1においては、複数の電池セル10が第1壁部2sの延在方向に沿う方向に沿って積層され互いに拘束されている。電池モジュール1は、ボルト51cによって電池モジュール1の一端部1a及び他端部1bにおいて第1壁部2sに締結されている。そのため、伝熱面20sを第1壁部2sから引き離す方向の電池セル10の位置ズレが、一端部1a及び他端部1bと比べて中間部1cにおいて生じやすい。そこで、中間部1cにおいてボルト52dが電池モジュール1に力を加えることで、伝熱面20sを第1壁部2sから引き離す方向の電池セル10の位置ズレを抑制でき、電池セル10の放熱性の低下が抑制される。
【0036】
また、電池パック100においては、電池モジュール1は、第2壁部2t側において複数の電池セル10にわたって延在する板部材53を有し、ボルト52dは、板部材53を介して電池モジュール1に力を加えている。これにより、ボルト52dは、複数の電池セル10にわたって延在する板部材53を介して電池モジュール1に力を加えるため、積層された複数の電池セル10のそれぞれに力を加えることができる。
【0037】
また、電池パック100においては、板部材53には、ボルト52dが配置される凹部53cが設けられていてもよい。この場合、ボルト52dに対する板部材53の相対移動を抑制することができる。
【0038】
[第1の変形例]
本実施形態に係る電池パック100の変形例について説明する。
図3は、第1の変形例に係る電池パックの部分的な構成を示す断面図である。
図3に示されるように、第1の変形例に係る電池パック100Aにおいては、筐体2に対して電池モジュール1Aを固定する方向が、電池パック100において筐体2に対して電池モジュール1を固定する方向と異なっている。
【0039】
具体的には、電池モジュール1Aにおいては、複数の電池セル10は、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向に沿って積層され互いに拘束されている。すなわち、電池パック100Aにおいて、第1方向は、第2方向に沿った方向である。
【0040】
電池モジュール1Aは、複数の伝熱プレート20に加え、伝熱プレート23を有する。伝熱プレート23は、複数の電池セル10からの熱を第1壁部2sへ伝達させるための部材である。伝熱プレート23は、矩形板状の本体部24と、矩形板状の延在部25と、を含む。伝熱プレート23は、本体部24と延在部25とによってL字板状に形成されている。本体部24は、複数の伝熱プレート20の伝熱面20s上に配置される。延在部25は、本体部24から第1方向と交差する方向に沿って延び、積層体30の一端部30aにおける伝熱プレート20の本体部21上に配置される。また、延在部25と第1壁部2sとの間には、熱伝導部材3及びエンドプレート54が介在している。従って、延在部25における本体部21と反対側の面は、熱伝導部材3及びエンドプレート54を介して電池セル10と筐体2とを熱的に接続する伝熱面23sである。すなわち、電池モジュール1Aは、第1壁部2sに対向して電池セル10を筐体2に熱的に接続する伝熱面23sを有する。
【0041】
電池モジュール1Aは、拘束部材50を有する。拘束部材50は、一対のエンドプレート54,55と、複数のボルト及びナット(不図示)と、を含む。
【0042】
エンドプレート54は、第1方向における積層体30の一端部30aに配置されている。エンドプレート54は、一例として矩形板状に形成されている。エンドプレート54には、第1壁部2sを介してボルト51cが螺合している。
【0043】
エンドプレート55は、第1方向における積層体30の他端部30bに配置されている。エンドプレート55は、一例として矩形板状に形成されている。エンドプレート55には、ボルト52dが配置される凹部55cが設けられている。ボルト52d及び凹部55cは、第1方向から見たときの電池セル10の中央部Cに設けられている。中央部Cは、例えば、第1方向から見たときの電池セル10の側面12c,12dにおける対角線の交点を含む部分とすることができる。
【0044】
以上のように構成される電池モジュール1Aは、第1方向(第2方向)の両端において、第1壁部2sに設けられたボルト51cによって筐体2の第1壁部2sに締結されている。より具体的には、電池モジュール1Aは、エンドプレート51を筐体2の第1壁部2sに接触させた状態において、エンドプレート51に螺合されたボルト51cを用いて筐体2の第1壁部2sに固定される。すなわち、ボルト51cは、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向に電池モジュール1Aに力を加えて電池モジュール1を第1壁部2sに締結する。
【0045】
また、電池モジュール1Aは、第2壁部2tに設けられたボルト52dによって筐体2の第1壁部2sに締結されている。より具体的には、ボルト52dは、第2壁部2tにおける第2領域Bに配置されている。第2領域Bは、第2壁部2tにおいて電池モジュール1Aを挟んで第1領域Aと対向する領域である。第1領域Aは、第1壁部2sにおいて伝熱面23sと対向する領域である。ボルト52dは、この第2領域Bにおいて、第2壁部2t側の筐体2に設けられたネジ部52eに螺合されている。ボルト52dが第2方向に締め込まれることで、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう方向に電池モジュール1Aに力が加えられ、第1壁部2sに電池モジュール1Aが締結される。すなわち、ボルト52dは、第2方向に電池モジュール1Aに力を加えて電池モジュール1Aを第1壁部2sに締結する。特に、ボルト52dは、第1方向から見たときの電池セル10の中央部Cに力を加える。
【0046】
本変形例に係る電池パック100Aにおいては、第1方向は、第2方向に沿った方向であり、ボルト52dは、第1方向から見たときの電池セル10の中央部Cに力を加えている。電池モジュール1Aにおいては、複数の電池セル10が第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向に沿って積層され互いに拘束されている。この場合、例えば電池セル10の中央部Cが相対的に大きく膨張することにより、伝熱面20sを第1壁部2sから引き離す方向の位置ズレが生じるおそれがある。そこで、当該中央部Cにおいてボルト52dが電池モジュール1Aに力を加えることで、伝熱面20sを第1壁部2sから引き離す方向の位置ズレを抑制でき、電池セル10の放熱性の低下が抑制される。
【0047】
また、電池パック100Aにおいては、電池モジュール1Aには、ボルト52dが配置される凹部53cが設けられている。これにより、ボルト52dに対するエンドプレート55(電池モジュール1A)の相対移動を抑制することができる。
【0048】
[第2の変形例]
電池パック100の他の変形例について説明する。
図4は、第2の変形例に係る電池パックの模式的な斜視図である。
図5は、第2の変形例に係る電池パックの部分的な構成を示す断面図である。
図4及び
図5に示されるように、第2の変形例に係る電池パック100Bは、全体として略直方体形状の箱体をなす筐体2内に複数の電池モジュール1Bが収容されることによって構成されている。筐体2は、有底の本体部2aと、本体部2aの一面側の開口部分を塞ぐ蓋部2bとを有している。
【0049】
筐体2への電池モジュール1Bの収容には、枠体81が用いられている。枠体81は、例えば金属製の梁部82を溶接等によって連結することによって構成され、筐体2に嵌まり込むような略直方体形状をなしている。梁部82は、例えば断面正方形状の棒状をなし、枠体81の略直方体形状の外郭をなす外郭部分と、外郭部分の中点同士を結ぶ内郭部分とを有している。これにより、枠体81には、電池モジュール1Bを組み付ける略直方体形状の組付領域Kが複数形成されている。
【0050】
電池モジュール1Bは、複数の電池セル10及び複数の伝熱プレート20を含む積層体30を有する。複数の電池セル10及び伝熱プレート20は、第1壁部2sの延在方向に沿う第1方向(X軸方向)に沿って積層され互いに拘束されている。電池モジュール1Bは、積層体30に対して第1方向に拘束荷重を付加するブラケット(拘束部材)56を含む。
【0051】
拘束部材は、一対のブラケット56と、ブラケット56同士を締結する締結部材とによって構成されている。ブラケット56は、積層体30のエンドプレートとしても機能する略矩形の平板状の部材である。ブラケット56は、積層体30及び弾性体(不図示)を挟むように、電池セル10の積層方向(第1方向)の両端にそれぞれ配置されている。締結部材は、例えば長尺のボルト57と、ボルト57に螺合されるナット(不図示)とによって構成されている。
【0052】
図5に示されるように、枠体81は、筐体2内に嵌め込まれている。また、電池モジュール1Bは、枠体81の組付領域Kに対して組み付けられている。電池モジュール1Bと枠体81との組み付けにあたっては、例えば、電池モジュール1Bにおけるブラケット56が一対の梁部82,82に掛け渡されてボルト(不図示)によって固定される。
【0053】
電池モジュール1Bは、一例として、梁部82の側面82sと伝熱面20sとが面一となるように、枠体81に取り付けられている。つまり、電池モジュール1Bは、枠体81が筐体2内に嵌め込まれた状態において伝熱面20sが第1壁部2sに当接するように、枠体81に取り付けられている。なお、伝熱面20sと第1壁部2sとの間に熱伝導部材が設けられていてもよい。
【0054】
以上のように構成される電池パック100Bにおいては、第1壁部2sに設けられたボルト51cによって筐体2の第1壁部2sに枠体81が締結されている。より具体的には、電池モジュール1Bが取り付けられた枠体81は、梁部82の側面82sを筐体2の第1壁部2sに接触させた状態において、第1壁部2sに挿通されたボルト51cを用いて筐体2の第1壁部2sに固定される。すなわち、ボルト51cは、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向に枠体81を介して電池モジュール1Bに力を加えて、枠体81を介して電池モジュール1Bを第1壁部2sに締結する。
【0055】
また、電池モジュール1Bは、第2壁部2tに設けられたボルト52dによって筐体2の第1壁部2sに締結されている。より具体的には、ボルト52dは、第2壁部2tにおける第2領域Bに配置されている。第2領域Bは、第2壁部2tにおいて電池モジュール1Bを挟んで第1領域Aと対向する領域である。第1領域Aは、第1壁部2sにおいて伝熱面20sと対向する領域である。ボルト52dは、この第2領域Bにおいて、第2壁部2t側の筐体2に設けられたネジ部52eに螺合されている。ボルト52dが第2方向に締め込まれることで、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向に電池モジュール1Bに力が加えられ、電池モジュール1Bが枠体81を介して第1壁部2sに締結される。電池モジュール1Bは、第2壁部2t側において複数の電池セル10にわたって延在する板部材83を有する。ボルト52dは、板部材83を介して電池モジュール1Bに力を加える。すなわち、ボルト52dは、第2方向に電池モジュール1Bに力を加えて電池モジュール1Bを第1壁部2sに締結する。
【0056】
以上、電池パック100Bにおいても、電池パック100と同様の作用及び効果を奏する。すなわち、電池モジュール1Bは、筐体2の第1壁部2sに設けられたボルト51cによって、第1壁部2sに締結されている。また、電池モジュール1Bは、筐体2の第1壁部2sに対向する第2壁部2tに設けられたボルト52dによって、第1壁部2sに締結されている。このため、電池モジュールの筐体への固定強度が確保される。そして、電池パック100Bにおいては、ボルト51cにより枠体81を介して電池モジュール1Bに加えられる力と、ボルト52dにより電池モジュール1Bに加えられる力とが、共に、第2壁部2tから第1壁部2sに向かう第2方向の力である。このため、電池モジュール1Bを筐体2に固定するに際して、伝熱面20sを第1壁部2sから引き離す方向の力が電池モジュール1Bに加えられにくい。よって、電池セル10の放熱性の低下が抑制される。
【0057】
以上の実施形態は、本発明に係る電池パックの一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係る電池パックは、上述した電池パック100,100A及び100Bに限定されない。本発明に係る電池パックは、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述した電池パック100,100A及び100Bを任意に変形したものとすることができる。
【0058】
例えば、第1壁部2sに設けられたボルト51cは、電池パック100のように、電池モジュール1,1A又は1Bを第1壁部2s側に押し付けるように電池モジュール1,1A又は1Bを締結してもよいし、電池パック100A及び100Bのように、電池モジュール1,1A又は1Bを第1壁部2s側に引っ張るようにして電池モジュール1,1A又は1Bを締結してもよい。
【0059】
また、ボルト51c及びボルト52dは、一例として有頭ボルトを示したが、電池モジュール1,1A又は1Bを第1壁部2sに締結するように力を加えられるものであれば、その他の形状のボルトを用いてもよい。
【0060】
また、電池モジュール1が締結される対象は、必ずしも筐体2でなくてもよい。例えば、第1壁部を有する第1外部部品と、第2壁部を有する第2外部部品とにおいて、第1壁部及び第2壁部が互いに対向する場合、当該第1壁部に電池モジュール1が締結されてもよい。この点について、以下に付記する。
[付記]
第1壁部を有する第1外部部品と、第2壁部を有する第2外部部品と、の間に固定される電池モジュールであって、
第1方向に沿って積層され互いに拘束された複数の電池セルと、前記第1壁部に対向して前記電池セルを前記第1外部部品に熱的に接続する伝熱面と、を備え、
前記第1壁部及び前記第2壁部は、互いに対向し、
前記第1壁部は、前記伝熱面と対向する第1領域を有し、
前記第2壁部は、前記複数の電池セルを挟んで前記第1領域と対向する第2領域を有し、
前記第1壁部に設けられた第1締結部材によって前記第2壁部から前記第1壁部に向かう第2方向に力を加えられて前記第1壁部に締結され、
前記第2壁部における前記第2領域に配置された第2締結部材によって前記第2方向に力を加えられて前記第1壁部に締結される、
電池モジュール。