特許第6759580号(P6759580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759580
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】液圧制動装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/00 20060101AFI20200910BHJP
   B60T 11/34 20060101ALI20200910BHJP
   B60T 17/04 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   B60T8/00 Z
   B60T11/34
   B60T17/04 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-251630(P2015-251630)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-114283(P2017-114283A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(72)【発明者】
【氏名】永谷 貢一
(72)【発明者】
【氏名】上原 正太
【審査官】 谷口 耕之助
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−241149(JP,A)
【文献】 実公昭47−015422(JP,Y1)
【文献】 特開平04−244466(JP,A)
【文献】 特開2006−035888(JP,A)
【文献】 特開2004−090842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/00
B60T 11/34
B60T 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタシリンダとホイールシリンダとの間に配設され、ブレーキ液の流路となる主管路が設けられるハウジングと、
前記ハウジング内に配設され、ブレーキ液を貯留するリザーバと、
前記リザーバから汲み上げたブレーキ液をマスタシリンダ側へと吐出するポンプと、
前記主管路内に配設されるか、または、前記ポンプの下流側に接続される吐出管路に配設される絞り構成部材と、を有し、
前記絞り構成部材は、
前記主管路又は前記吐出管路を上流側と下流側とに区画する柱状の柱状部と、
前記柱状部の側面に設けられ、絞り機能を有するように形成された溝状の複数のオリフィスとしての第1流路と、
前記第1流路よりも上流側に、前記柱状部から突出する1の突起部と、
前記突起部と前記主管路との間又は前記突起部と前記吐出管路との間に形成され、一部が閉塞されても上流側と下流側との連通状態を保つことが可能な第2流路と、を有し、
前記突起部は、前記柱状部の前記第1流路よりも前記上流側に配設され、上流に向かって縮径するテーパ状のテーパ部によって形成され、
前記第2流路は、前記テーパ部と前記主管路との間の空間、または、前記テーパ部と前記吐出管路との間の空間によって形成され、
前記突起部の底面の半径が、前記突起部の軸心から前記複数のオリフィスとしての第1流路の開口端までの最短距離よりも長いか等しくされることにより、前記突起部が前記第1流路の開口部から連続的に形成される、ことを特徴とする液圧制動装置
【請求項2】
前記第1流路を構成する前記複数のオリフィスは、前記柱状部の側面に、周方向に略等間隔に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の液圧制動装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動時にポンプから昇圧したブレーキ液が吐出される吐出管路中にオリフィス(絞り)を有する液圧制動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のオリフィス及びブレーキ装置は、例えば、下記特許文献に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−90842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、車輪ブレーキから排出されるブレーキ液を貯留するリザーバと、該リザーバから汲み上げたブレーキ液をマスタシリンダ側に戻すポンプと、該ポンプの吐出ブレーキ液を絞るオリフィスと、該オリフィスを介してポンプに接続される機器とを少なくとも備えてマスタシリンダおよび車輪ブレーキ間に介在する液圧制御装置が、オリフィスを圧入するようにして金属製の基体に配設される車両用ブレーキ装置が知られている。
【0005】
特許文献に記載の液圧制動装置は、オリフィスと、オリフィスに対してブレーキ液の流れ方向上流から下流に向かってその径が段階的に縮径する流路を有している。ポンプの吐出によってオリフィスの径よりも径の大きい異物が流れた場合、段階的に縮径している流路内部やオリフィスの開口部のいずれかの場所で流路を閉塞してしまう可能性がある。また、前記した異物はその投影面積が、流路内部やオリフィスの開口部と等しくなる部分に挟まるため、完全に閉塞しなくても開口面積が極端に小さなり、通過する流量が極端に低下するため、さらなる改善が要望されていた。
【0006】
本発明は上記点に鑑みて、簡易な構成にて流路の閉塞又は極端な流量低下をすることのないオリフィスを有する液圧制動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の液圧制動装置は、例えば、マスタシリンダとホイールシリンダとの間に配設され、ブレーキ液の流路となる主管路が設けられるハウジングと、ハウジング内に配設され、ブレーキ液を貯留するリザーバと、リザーバから汲み上げたブレーキ液をマスタシリンダ側へと吐出するポンプと、主管路内に配設される絞り構成部材と、を有し、絞り構成部材は、主管路を上流側と下流側とに区画する柱状の柱状部と、柱状部に設けられ、絞りを有する第1流路と、第1流路よりも上流側に、前記柱状部から突出する1又は2以上の突起部と、突起部と主管路との間又は前記突起部同士の間に形成され、一部が閉塞されても上流側と下流側との連通状態を保つことが可能な第2流路が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の液圧制動装置のシステム構成である。
図2】本発明のオリフィスの第1実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明のオリフィスの第1実施形態を示す側面図である。
図4】本発明のオリフィスの第1実施形態の組み付け時の構成を示す図である。
図5】本発明のオリフィスの第1実施形態の構成を示す図である。
図6】本発明のオリフィスの第1実施形態の変形例を示す斜視図である。
図7】本発明のオリフィスの第1実施形態の変形例を示す側面図である。
図8】本発明のオリフィスの第2実施形態を示す斜視図である。
図9】本発明のオリフィスの第2実施形態を示す側面図である。
図10】本発明のオリフィスの第3実施形態を示す斜視図である。
図11】本発明のオリフィスの第3実施形態を示す側面図である。
図12】本発明のオリフィスの第3実施形態の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態により具体的に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の実施形態によって限定されるものではない。
【0010】
本実施形態の絞り構成部材1は、図1に示すように、アクチュエータ5(「液圧制御装置」に相当する)に組み込まれている。アクチュエータ5を含むブレーキ装置全体について簡単に説明する。シリンダ機構23は、マスタシリンダ(M/C)230と、マスタピストン231、232と、マスタリザーバ233と、を備えている。マスタピストン231、232は、マスタシリンダ230内に摺動可能に配設されている。マスタピストン231、232は、マスタシリンダ230内を、第1マスタ室230aと第2マスタ室230bとに区画している。マスタリザーバ233は、第1マスタ室230a及び第2マスタ室230bと連通する管路を有するリザーバタンクである。マスタリザーバ233と各マスタ室230a、230bとは、マスタピストン231、232の移動により連通/遮断される。
【0011】
ホイールシリンダ24は、車輪RL(左後輪)に配置されている。ホイールシリンダ25は、車輪RR(右後輪)に配置されている。ホイールシリンダ26は、車輪FL(左前輪)に配置されている。ホイールシリンダ27は、車輪FR(右前輪)に配置されている。マスタシリンダ230とホイールシリンダ24〜27は、アクチュエータ5を介して接続されている。ホイールシリンダ24〜27は、車輪RL〜FRに制動力を付与する。
【0012】
このように、運転者がブレーキ操作部材21を踏み込むと、倍力装置22により踏力が倍力され、マスタシリンダ230内のマスタピストン231、232が押圧される。これにより、第1マスタ室230a及び第2マスタ室230bに同圧のマスタシリンダ圧(以下、マスタ圧と称する)が発生する。マスタ圧は、アクチュエータ5を介してホイールシリンダ24〜27に伝えられる。
【0013】
アクチュエータ5は、ブレーキECU6の指示に応じて、ホイールシリンダ24〜27の液圧(以下、ホイール圧と称する)を制御する装置である。具体的に、アクチュエータ5は、図1に示すように、油圧回路50と、絞り構成部材1と、フィルタ3と、ダンパ室7と、モータ8と、を備えている。油圧回路50は、第1配管系統50aと、第2配管系統50bと、を備えている。第1配管系統50aは、車輪RL、RRに加えられる液圧(ホイール圧)を制御する系統である。第2配管系統50bは、車輪FL、FRに加えられる液圧(ホイール圧)を制御する系統である。第1配管系統50aと第2配管系統50bの基本構成は同様であるため、以下、第1配管系統50aについて説明し、第2配管系統50bについては説明を省略する。
【0014】
第1配管系統50aは、主管路Aと、差圧制御弁(「電磁弁」に相当する)51と、増圧弁52、53と、減圧管路Bと、減圧弁54、55と、調圧リザーバ56と、還流管路Cと、ポンプ57と、補助管路Dと、を備えている。
【0015】
主管路Aは、マスタシリンダ230とホイールシリンダ24、25とを接続する管路である。差圧制御弁51は、主管路Aに設けられ、主管路Aを連通状態と差圧状態に制御する弁である。具体的に、差圧制御弁51は、マスタシリンダ230とホイールシリンダ24、25とを接続する主管路Aに設けられ、主管路Aのマスタシリンダ230側の部分の液圧と、主管路Aのホイールシリンダ24、25側の部分の液圧との差圧を制御可能に構成された電磁弁である。差圧制御弁51は、ブレーキECU6の指示に応じて、自身の上流側であるマスタシリンダ230側と、自身の下流側であるホイールシリンダ24、25側との差圧を制御する。差圧制御弁51は、非通電状態で連通状態となり、自動ブレーキや横滑り防止制御を除く通常のブレーキ制御においては連通状態に制御されている。差圧制御弁51は、印加される制御電流が大きいほど、両側の差圧が大きくなるように設定されている。
【0016】
差圧制御弁51が差圧状態である場合、ホイールシリンダ24、25側の液圧がマスタシリンダ230側の液圧よりも所定圧高くなった際に、ホイールシリンダ24、25側からマスタシリンダ230側へのブレーキ液(フルード)の流動が許容される。所定圧は、制御電流により設定された差圧により決まる。このため、差圧制御弁51が差圧状態である場合、主管路Aの両側は、ホイールシリンダ24、25側の液圧がマスタシリンダ230側の液圧より所定圧以上高くならない状態で維持される。つまり、差圧制御弁51により主管路Aの両側に所望の差圧状態を実現することが可能となる。また、差圧制御弁51に対しては、逆止弁51aが設置されている。主管路Aは、ホイールシリンダ24、25に対応するように、差圧制御弁51の下流側で2つの管路A1、A2に分岐している。
【0017】
増圧弁52、53は、ブレーキECU6の指示により開閉する電磁弁であって、非通電状態で開状態(連通状態)となる常開弁である。増圧弁52は管路A1に配置され、増圧弁53は管路A2に配置されている。減圧管路Bは、管路A1における増圧弁52とホイールシリンダ24の間と調圧リザーバ56とを接続し、管路A2における増圧弁53とホイールシリンダ25の間と調圧リザーバ56とを接続する管路である。増圧弁52、53は、主に減圧制御時に通電されて閉状態となり、マスタシリンダ230とホイールシリンダ24、25を遮断する。
【0018】
減圧弁54、55は、ブレーキECU6の指示により開閉する電磁弁であって、非通電状態で閉状態(遮断状態)となる常閉弁である。減圧弁54は、ホイールシリンダ24側の減圧管路Bに配置されている。減圧弁55は、ホイールシリンダ25側の減圧管路Bに配置されている。減圧弁54、55は、主に減圧制御時に通電されて開状態となり、減圧管路Bを介してホイールシリンダ24、25と調圧リザーバ56とを連通させる。調圧リザーバ56は、シリンダ、ピストン、及び付勢部材を有するリザーバである。
【0019】
還流管路Cは、減圧管路B(又は調圧リザーバ56)と、主管路Aにおける差圧制御弁51と増圧弁52、53の間の部分とを接続する管路である。ポンプ57は、還流管路Cに設けられている。ポンプ57は、モータ8によって駆動される自吸式のポンプである。ポンプ57は、還流管路Cを介して、調圧リザーバ56からマスタシリンダ230側又はホイールシリンダ24、25側にブレーキ液を流動させる。モータ8は、ブレーキECU6の指示により、リレー(図示せず)を介して通電され、駆動する。モータ8は、ポンプ
駆動手段といえる。
【0020】
補助管路Dは、調圧リザーバ56と、主管路Aにおける差圧制御弁51よりも上流側(又はマスタシリンダ230)とを接続する管路である。ポンプ57の駆動により、マスタシリンダ230のブレーキ液が、補助管路D及び調圧リザーバ56等を介して、主管路Aにおける差圧制御弁51より下流側、すなわち差圧制御弁51とホイールシリンダ24、25の間の部分に吐出される。これにより、自動ブレーキや横滑り防止制御などの車両運動制御時において、ホイール圧が増圧される。本実施形態のアクチュエータ5は、ブレーキECU6の制御により、横滑り防止装置(ESC)として機能する。ブレーキECU6は、CPUやメモリ等を備える電子制御ユニットである。
【0021】
ダンパ室7は、還流管路Cにおけるポンプ57の吐出口側、すなわち還流管路Cの吐出側通路C1に配置されている。吐出側通路C1は、還流管路Cのうち、ポンプ57の吐出口と主管路A(差圧制御弁51と増圧弁52、53の間の部分)とを接続する部分である。ダンパ室7は、ポンプ57の吐出脈動(高圧側の液圧変動)を吸収する装置である。
【0022】
フィルタ3は、吐出側通路C1におけるダンパ室7と主管路Aの間に配置されている。換言すると、フィルタ3は、ダンパ室7の差圧制御弁51側(ポンプ57の反対側)に配置されている。フィルタ3は、吐出側通路C1において、ポンプ57からの異物の流入を禁止又は抑制する網目状構造である。該網目状構造の目はポンプ57の吐出圧等によって決定され、吐出圧が高いほど目が粗い傾向を示す。
【0023】
絞り構成部材1は、管路A1、A2や、吐出側通路C1に配置されている。換言すると、絞り構成部材1は、増圧弁52、53のホイールシリンダ24、25側や、フィルタ3の差圧制御弁51側(ポンプ57の反対側)に配置されている。絞り構成部材1は、管路A1、A2や、吐出側通路C1においてポンプ57の吐出脈動(高圧側の液圧変動)を緩和する装置である。なお、管路A1、A2と吐出管路C1に配設される絞り構成部材1の基本構成は同様であるため、以下、吐出管路C1に配設される絞り構成部材1について説明し、管路A1、A2に配設される絞り構成部材1ついては説明を省略する。
【0024】
図2から5に示すように、絞り構成部材1は、吐出管路C1に望ましくは圧入によって固定され、吐出管路C1を上流側と下流側とに区画する柱状の柱状部11と、柱状部11の吐出管路C1と当接する側面に要求される絞り機能を有するように形成された円弧溝状のオリフィス12(第1流路)と、オリフィス12よりも上流側に、オリフィス12の開口端から連続的に形成されるテーパ状のテーパ部14を有する突起部13とを有し、テーパ部14と吐出管路C1との間に形成される空間によって、第2流路15が形成される。
【0025】
上記した構成の絞り構成部材1によれば、第2流路15はテーパ部14に沿って環状の空間を形成することができる。そのため、第2流路15の環状の一部に異物が挟まった又は詰まった場合であっても、第2流路15の環状の他部は常にオリフィス12と連通しているため閉塞することがない。また、一つの異物によって極端に流量が低下することもない。
【0026】
また、図5に示すように、テーパ部14と吐出管路C1とがなす空間の幅tは、テーパ部14の切削角度θに依存するため、絞り構成部材1に配設されるテーパ部14の加工のばらつきによりテーパ部4(又は突起部13)の軸心と柱状部11の軸心とがずれた場合であっても、異物がオリフィス1に到達しないようにするために最低限要求される幅tを常に確保することができる。
【0027】
また、図6、7に示すように、テーパ部14はオリフィス12の開口端と少なくとも1部が連続的であるように形成されていれば、オリフィス12よりも径の大きい異物がオリフィス12に直接に挟まることで、オリフィス12の閉塞することを防止することができる。つまり、オリフィス12よりも径の大きい異物であれば、オリフィス12よりも上流側の第2流路15が設けられた空間に挟まるため、オリフィス12が直接的に閉塞されることがない。なお、図2から7において、連続的である状態とは、突起部13の底面の半径が、突起部13の軸心からオリフィス12の開口端までの最短距離よりも長いか等しい状態や、オリフィス12と突起13の少なくとも一部が当接している状態と換言することもできる。
【0028】
本発明の第2実施形態による絞り構成部材1を図8、9に示す。なお、第1実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0029】
第2実施形態の絞り構成部材1は、柱状部11と、柱状部に一体的に形成され中空円筒状である筒状部16と、柱状部11の略中心に設けられる円柱孔状のオリフィス12(第1流路)と、オリフィス12よりも上流側に、吐出管路C1及び筒状部16の壁面から離間して、オリフィス12の開口端から連続的に吐出管路C1の上流側にむけて突出する複数の円柱状の突起部13と、突起部13同士の間の空間に複数径路形成される第2流路15と、を有する。
【0030】
第2実施形態の絞り構成部材1によれば、第2流路15の一部に異物が挟まった場合であっても、第2流路15の他部は常にオリフィス12と連通しているため閉塞することがない。また、オリフィス12よりも径の大きい異物は、突起部13そのもの又は第2流路15が設けられた空間に挟まるため、オリフィス12が直接的に閉塞されることがない。
【0031】
本発明の第3実施形態による絞り構成部材1を図10、11に示す。なお、第1、2実施形態と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0032】
第3実施形態の絞り構成部材1は、柱状部11と、筒状部16と、角柱孔状のオリフィス12(第1流路)と、オリフィス12よりも上流側に、筒状部16に一体的に形成されオリフィス1の開口端から連続的に吐出管路C1の上流側にむけて突出する複数の柱状の突起部13と、突起部13同士の間の溝よってオリフィス12の軸線方向に対して垂直かつ十字状または放射状に複数形成される第2流路15と、を有する。
【0033】
第3実施形態の絞り構成部材1によれば、第2流路15の一部に異物が挟まった又は詰まった場合であっても、第2流路15の他部は常にオリフィス12と連通しているため閉塞することがない。また、オリフィス12よりも径の大きい異物は、突起部13の天面又は第2流路15が設けられた空間に挟まるため、オリフィス12が直接的に閉塞されることがない。
【0034】
図12に示すように絞り構成部材1は、筒状部16と突起部13とが一体に成型された形状をなしていてもよい。
【0035】
本発明の絞り構成部材1によれば、柱状部11から突出する1又は2以上の突起部13と、突起部13と吐出管路C1との間又は突起部13同士の間に形成され、一部が閉塞されても上流側と下流側との連通状態を保つことが可能な第2流路15とを設けることができるため、オリフィス12が直接的に閉塞されることがない。そのため、通常のオリフィスと比較すると本発明の絞り構成部材は異物に対して強い(閉塞しない)構造となるため、要求される性能によってはフィルタ3を設置しなくてもよくなる。そのため、部品点数の削減に伴うコスト削減を行なうこともできる。
【0036】
なお、図1に記載の液圧制動装置は、絞り構成部材1を管路A1、A2や吐出管路C1に配設しているが、ハウジング5内に設けられ、マスタシリンダ230とホイールシリンダ24、25とを接続する管路である主管路Aであればどこに配設されていてもよい。
【0037】
なお、本発明の液圧制動装置1を管路A1、A2に配設した場合、ホイールシリンダ24、25へ送出されるブレーキ液による吐出脈動を抑制し、それに伴って発生する音を抑制することができる。また、前述したように各電磁弁の下流にフィルタの変わりに当該絞り構成部材1設けることもできる。
【0038】
なお、図1には本発明の実施例として、いわゆる前後配管と呼ばれる液圧制動装置が記載されているが、X配管やその他の型の液圧制動装置であってもよい。また、4輪に限らず2輪や3輪又はその他の車両であってもよい。
【0039】
なお、図8、9に記載の絞り構成部材1は、オリフィス12を柱状部11に複数設けていてもよく、それに合わせて突起部13を複数増設してもよい。
【0040】
なお、図8から12に記載の絞り構成部材1において、連続的である状態とは、オリフィス12と突起13とが離間していない状態(少なくとも一部が当接している状態)であることと換言することもできる。
【0041】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。また、複数の実施形態間で、構成を部分的に入れ替えて実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1:絞り構成部材、 11:柱状部 12:オリフィス(第1流路)、 13:突起、 14:テーパ部、 15:第2流路 230:マスタシリンダ、 24〜27:ホイールシリンダ、 5:アクチュエータ(液圧制御装置)、 A:主管路、 C1:吐出側通路、 7:ダンパ室、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12