(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電力量情報取得部において取得された前記電力供給装置における電力供給量に関する情報、および前記電力需給予測部における予測結果を保存する記憶部を、さらに備えている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の電力系統接続制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電力管理システムでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された電力管理システムでは、1つの需要家における電力の需給状況に関して考慮されておらず、単に、商用電力系統から解列された後の再接続の通知を行うことについて言及しているだけである。このため、1つの需要家内において、発電量が消費量を上回っている場合でも、電力系統との接続を解除して、電力系統の送電網使用コストを削減することはできない。
【0006】
本発明の課題は、1つの需要家内における電力の需給状況に応じて、電力系統との接続を解除して送電網の使用コストを低減することが可能な電力系統接続制御システム、電力系統接続制御方法および電力系統接続制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る電力系統接続制御システムは、第1の需要家が所有する電力供給装置と電力会社から電力が供給される配電網との接続切替を制御する電力系統接続制御システムであって、電力量情報取得部と、電力需給予測部と、制御部と、を備えている。電力量情報取得部は、電力供給装置における電力供給量に関する情報を取得する。電力需給予測部は、電力量情報取得部において取得された情報と、第1の需要家における消費電力量とに基づいて、所定時間帯における電力の需給状況を予測する。制御部は、電力需給予測部における予測結果に基づいて、配電網と電力供給装置との接続を切り替える第1スイッチング部を制御する。
【0008】
ここでは、第1の需要家における電力の需給状況に応じて、電力会社から電力が供給される配電網と第1の需要家が所有する電力供給装置とをつなぐ第1スイッチング部を切り替えるように制御することで、第1の需要家が所有する電力供給装置と配電網との接続/切断を切り替える。
ここで、第1の需要家は、単数の需要家を意味しており、電力を供給する電力供給装置、電力を消費する負荷を所有している。
【0009】
なお、需要家が所有する電力供給装置としては、例えば、太陽光発電装置、風力発電装置、地熱発電装置等の再生可能エネルギーを活用した発電装置、発電機、ヒートポンプ、電気自動車、蓄電装置等が含まれる。
また、電力量情報取得部において取得される電力供給装置における電力供給量に関する情報には、例えば、電力供給装置が発電装置である場合には、所定時間帯における発電量の推定値、電力供給装置が蓄電池である場合には現在の蓄電量等が含まれる。
【0010】
電力需給予測部は、電力供給装置による供給電力量と負荷による消費電力量とを比較して、第1の需要家における電力の需要と供給のバランスを予測する。
制御部は、電力需給予測部における予測結果に基づいて、電力会社から電力が供給される配電網と電力供給装置との接続を切断するか否かを、第1スイッチング部を用いて制御する。
【0011】
第1スイッチング部は、第1の需要家が所有する電力供給装置と配電網との間に配置された接続切替手段であって、本システムに含まれる制御部によって制御される。
これにより、電力需給予測部において供給過剰との予測結果であった場合には、第1の需要家内において負荷による消費電力量に対して十分な電力が供給されていることを意味するため、配電網と電力供給装置との接続を切断することができる。この結果、配電網から供給される電力を遮断して電気料金を削減するとともに、配電網の使用コストを削減することができる。
【0012】
第2の発明に係る電力系統接続制御システムは、第1の発明に係る電力系統接続制御システムであって、電力需給予測部は、天気予報の情報を用いて、電力供給装置に含まれる発電装置による所定時間帯における発電量を予測する。
ここでは、電力需給予測部において、天気予報に関する情報を用いて電力供給装置(発電装置)における発電量を予測する。
【0013】
これにより、例えば、電力供給装置が太陽光発電装置の場合には、天気予報の日照時間の情報を用いて、太陽光発電装置による発電量を予測することができる。また、例えば、電力供給装置が風力発電装置の場合には、天気予報の風速の情報を用いて、風力発電装置による発電量を予測することができる。
第3の発明に係る電力系統接続制御システムは、第1または第2の発明に係る電力系統接続制御システムであって、電力需給予測部は、電力供給装置に含まれる蓄電装置の現在の蓄電量を用いて、所定時間帯における蓄電装置の蓄電量を予測する。
【0014】
ここでは、電力需給予測部における需給予測に、現在の蓄電装置の蓄電量を用いる。
これにより、例えば、所定時間帯における需要家ごとの電力供給装置の発電量、消費電力量の推定値とともに、現在の蓄電池の蓄電量を用いて、所定時間帯における需要家群内の電力需給を予測することができる。
第4の発明に係る電力系統接続制御システムは、第1から第3の発明のいずれか1つに係る電力系統接続制御システムであって、電力需給予測部は、第1の需要家の過去の生活パターンに応じた消費電力量を記録したデータに基づいて、第1の需要家における消費電力量を推定する。
【0015】
ここでは、電力需給予測部における消費電力量の推定に、第1の需要家の生活パターンに応じた消費電力量を記録したデータを用いる。
これにより、例えば、第1の需要家が日中よりも夜間の消費電力量が多い生活パターンの場合には、太陽光発電装置による発電量が多く、消費電力量が少ない日中の時間帯に余剰電力が生じる可能性が高いことが分かる。よって、需要家ごとに余剰電力が生じやすい時間帯を検出して、消費電力量の推定精度を向上させることができる。
【0016】
第5の発明に係る電力系統接続制御システムは、第1から第4の発明のいずれか1つに係る電力系統接続制御システムであって、電力量情報取得部において取得された電力供給装置における電力供給量に関する情報、および電力需給予測部における予測結果を保存する記憶部を、さらに備えている。
ここでは、第1の需要家が所有する電力供給装置における電力供給量に関する情報、第1の需要家における電力需給予測部の予測結果を、システム内に設けられた記憶部に保存する。
【0017】
これにより、例えば、所定時間経過ごとに、記憶部に保存された各種情報を用いて、第1の需要家における電力の需給状況を予測して、第1スイッチング部を制御して配電網と電力供給装置との間の接続切替を実施することができる。
第6の発明に係る電力系統接続制御システムは、第1から第5の発明のいずれか1つに係る電力系統接続制御システムであって、電力供給装置に関する情報は、第1の需要家によって入力される。
【0018】
ここでは、第1の需要家によって入力された電力供給装置に関する情報を用いて、電力需給予測部が第1の需要家における電力需給を予測する。
なお、入力される電力供給装置に関する情報としては、電力供給装置の種類、発電能力、天気予報に基づく推定発電量、蓄電装置の蓄電量、蓄電池の満充電容量等の情報が含まれる。
【0019】
これにより、例えば、PC(Personal Computer)やスマートフォン等の電子端末を用いて第1の需要家から直接入力された情報をそのまま取得して、第1の需要家における電力需給を予測することができる。
第7の発明に係る電力系統接続制御方法は、第1の需要家が所有する電力供給装置と電力会社から電力が供給される配電網との接続切替を制御する電力系統接続制御方法であって、電力量情報取得ステップと、電力需給予測ステップと、制御ステップと、を備えている。電力量情報取得ステップは、電力供給装置における電力供給量に関する情報を取得する。電力需給予測ステップは、電力量情報取得ステップにおいて取得された情報と、第1の需要家における消費電力量とに基づいて、所定時間帯における電力の需給状況を予測する。制御ステップは、電力需給予測ステップにおける予測結果に基づいて、配電網と電力供給装置との接続を切り替える第1スイッチング部を制御する。
【0020】
ここでは、第1の需要家における電力の需給状況に応じて、電力会社から電力が供給される配電網と第1の需要家が所有する電力供給装置とをつなぐ第1スイッチング部を切り替えるように制御することで、第1の需要家が所有する電力供給装置と配電網との接続/切断を切り替える。
ここで、第1の需要家は、単数の需要家を意味しており、電力を供給する電力供給装置、電力を消費する負荷を所有している。
【0021】
なお、需要家が所有する電力供給装置としては、例えば、太陽光発電装置、風力発電装置、地熱発電装置等の再生可能エネルギーを活用した発電装置、発電機、ヒートポンプ、電気自動車、蓄電装置等が含まれる。
また、電力量情報取得ステップにおいて取得される電力供給装置における電力供給量に関する情報には、例えば、電力供給装置が発電装置である場合には、所定時間帯における発電量の推定値、電力供給装置が蓄電池である場合には現在の蓄電量等が含まれる。
【0022】
電力需給予測ステップは、電力供給装置による供給電力量と負荷による消費電力量とを比較して、第1の需要家における電力の需要と供給のバランスを予測する。
制御ステップは、電力需給予測ステップにおける予測結果に基づいて、電力会社から電力が供給される配電網と電力供給装置との接続を切断するか否かを、第1スイッチング部を用いて制御する。
【0023】
第1スイッチング部は、第1の需要家が所有する電力供給装置と配電網との間に配置された接続切替手段であって、本システムに含まれる制御部によって制御される。
これにより、電力需給予測ステップにおいて供給過剰との予測結果であった場合には、第1の需要家内において負荷による消費電力量に対して十分な電力が供給されていることを意味するため、配電網と電力供給装置との接続を切断することができる。この結果、配電網から供給される電力を遮断して電気料金を削減するとともに、配電網の使用コストを削減することができる。
【0024】
第8の発明に係る電力系統接続制御プログラムは、第1の需要家が所有する電力供給装置と電力会社から電力が供給される配電網との接続切替を制御する電力系統接続制御プログラムであって、電力量情報取得ステップと、電力需給予測ステップと、制御ステップと、を備えている電力系統接続制御方法をコンピュータに実行させる。電力量情報取得ステップは、電力供給装置における電力供給量に関する情報を取得する。電力需給予測ステップは、電力量情報取得ステップにおいて取得された情報と、第1の需要家における消費電力量とに基づいて、所定時間帯における電力の需給状況を予測する。制御ステップは、電力需給予測ステップにおける予測結果に基づいて、配電網と電力供給装置との接続を切り替える第1スイッチング部を制御する。
【0025】
ここでは、第1の需要家における電力の需給状況に応じて、電力会社から電力が供給される配電網と第1の需要家が所有する電力供給装置とをつなぐ第1スイッチング部を切り替えるように制御することで、第1の需要家が所有する電力供給装置と配電網との接続/切断を切り替える。
ここで、第1の需要家は、単数の需要家を意味しており、電力を供給する電力供給装置、電力を消費する負荷を所有している。
【0026】
なお、需要家が所有する電力供給装置としては、例えば、太陽光発電装置、風力発電装置、地熱発電装置等の再生可能エネルギーを活用した発電装置、発電機、ヒートポンプ、電気自動車、蓄電装置等が含まれる。
また、電力量情報取得ステップにおいて取得される電力供給装置における電力供給量に関する情報には、例えば、電力供給装置が発電装置である場合には、所定時間帯における発電量の推定値、電力供給装置が蓄電池である場合には現在の蓄電量等が含まれる。
【0027】
電力需給予測ステップは、電力供給装置による供給電力量と負荷による消費電力量とを比較して、第1の需要家における電力の需要と供給のバランスを予測する。
制御ステップは、電力需給予測ステップにおける予測結果に基づいて、電力会社から電力が供給される配電網と電力供給装置との接続を切断するか否かを、第1スイッチング部を用いて制御する。
【0028】
第1スイッチング部は、第1の需要家が所有する電力供給装置と配電網との間に配置された接続切替手段であって、本システムに含まれる制御部によって制御される。
これにより、電力需給予測ステップにおいて供給過剰との予測結果であった場合には、第1の需要家内において負荷による消費電力量に対して十分な電力が供給されていることを意味するため、配電網と電力供給装置との接続を切断することができる。この結果、配電網から供給される電力を遮断して電気料金を削減するとともに、配電網の使用コストを削減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る電力系統接続制御システムによれば、1つの需要家内における電力の需給状況に応じて、電力系統との接続を解除して送電網の使用コストを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施形態に係る電力系統接続制御システムについて、
図1〜
図5を用いて説明すれば以下の通りである。
ここで、以下の説明において登場する需要家(第1の需要家)20は、電力供給装置として、発電装置(ソーラーパネル21、蓄電装置23および風力発電装置27)を所有している。
【0032】
また、需要家とは、例えば、電力会社と契約を結んでおり、電力会社から系統40(
図1参照)を介して供給される電力を使用する個人、法人、団体等であって、例えば、一般家庭(戸建て、マンション)、企業(事業所、工場、設備等)、地方自治体、国の機関等が含まれる。なお、需要家には、自家発電によって電力をまかなう需要家、ZEB(Zero Energy Building)を実現した需要家も含まれる。
【0033】
また、以下の実施形態では、説明の便宜上、需要家20と同じ需要家群のグループに含まれる需要家を複数挙げて説明している。しかし、本発明では、需要家20と同じグループに属する需要家は、1つであってもよい。
また、以下の実施形態において、系統40(
図1参照)とは、電力会社から供給される電力を各需要家に対して供給する配電網の一部を意味している。
【0034】
さらに、以下の実施形態において、負荷24(
図1参照)とは、例えば、需要家が一般家庭の場合には、エアコン、冷蔵庫、電力レンジ、IHクッキングヒータ、テレビ等の電力消費体を意味している。また、例えば、需要家が企業(工場等)の場合には、工場内に設置された各種設備、空調設備等の電力消費体を意味している。
さらに、以下の実施形態において、EMS(Energy Management System)26(
図1参照)とは、各需要家にそれぞれ設置されており、各需要家における消費電力量を削減するために設けられたシステムを意味している。そして、EMS26は、ネットワークを介して電力系統接続制御システム10と接続されている。
【0035】
そして、以下の実施形態において、スマートメータ28(
図1参照)とは、各需要家にそれぞれ設置され、消費電力量を計測し、通信機能を用いて、計測結果を電力会社等へ送信する計測機器を意味している。スマートメータ28を設置したことにより、電力会社は、各需要家におけるリアルタイムの電力状況を正確に把握できるとともに、所定期間ごとに実施される検針業務を自動化することができる。
【0036】
(実施形態1)
本実施形態に係る電力系統接続制御システム10は、電力供給装置(発電装置、蓄電装置等)を所有する需要家において電力需給状況を予測して、
図1に示す複数のスイッチング部41,42a〜42d,43a〜43dを切り替えながら、需要家(第1の需要家)20と系統40との接続を切断する。
【0037】
具体的には、電力系統接続制御システム10は、所定の時間帯ごとに、需要家20内において電力の需給状況を検出し、需給状況に基づいて、スイッチング部41,42a〜42d,43a〜43dを切り替える制御を行う。
すなわち、本実施形態の電力系統接続制御システム10では、需要家20内において、電力需給状況が供給過剰な状況である場合には、需要家20に対して電力会社から商用電力を供給するための系統40との接続を切断(解列)する。
【0038】
具体的には、電力系統接続制御システム10では、スイッチング部41,42a,43bの少なくとも1つがOFFになるように制御することで、需要家20が所有する電力供給装置(ソーラーパネル21、蓄電装置23、風力発電装置27)と配電網(系統40)との接続を切断(解列)する。
ここで、
図1に示す第2スイッチング部41は、系統40と複数の需要家を含む複数の需要家群との接続を切り替える接続切替手段である。そして、
図1に示す第2スイッチング部42a〜42dは、複数の需要家を含む需要家群ごとに、系統40との接続切替を実施するための接続切替手段である。さらに、
図1に示す第1スイッチング部43a〜43dは、複数の需要家ごとに、系統40との接続切替を実施するための接続切替手段である。
【0039】
なお、
図1に示す各構成をつなぐ実線は、データ等の情報の流れを示しており、一点鎖線は電気の流れを示している。
また、本実施形態の電力系統接続制御システム10の構成については、後段において詳述する。
(需要家20)
需要家20は、
図1に示すように、EMS(Energy Management System)26を介して、電力系統接続制御システム10に対して、所定時間帯ごとの需要家20における電力の需給状況に関する情報を送信する。そして、需要家20は、
図1に示すように、ソーラーパネル(電力供給装置)21、太陽光発電用電力変換装置(PCS)22、発電電力用電力センサ22a、蓄電装置23、蓄電電力用電力センサ23a、負荷24、負荷用電力センサ24a、分電盤25、EMS26、風力発電装置(電力供給装置)27、風力発電用電力センサ27a、スマートメータ28を備えている。
【0040】
ソーラーパネル(電力供給装置)21は、太陽光の光エネルギーを用いた光起電力効果を利用して電気を発生させる発電装置であって、需要家20の屋根等に設置されている。そして、ソーラーパネル21における発電量は、天気予報の日照時間に関する情報に基づいて予測することができる。
太陽光発電用電力変換装置(PCS(Power Conditioning System))22は、
図1に示すように、ソーラーパネル21と接続されており、ソーラーパネル21において発生した直流電流を交流電流に変換する。
【0041】
発電電力用電力センサ22aは、
図1に示すように、太陽光発電用電力変換装置22に接続されており、ソーラーパネル21において発電した電力量を測定する。そして、発電電力用電力センサ22aは、EMS26に対して測定結果(発電量)を送信する。
蓄電装置(電力供給装置)23は、ソーラーパネル21、風力発電装置27において発電した電力のうち、負荷24によって消費しきれなかった余剰電力を一時的に蓄えるために設けられている。これにより、例えば、ソーラーパネル21、風力発電装置27によって発電する日中の時間帯において、負荷24による消費電力量が少ない場合でも、余った電力を蓄電装置23へ蓄えておくことで、発電した電力を捨ててしまう無駄を排除できる。
【0042】
蓄電電力用電力センサ23aは、
図1に示すように、蓄電装置23に接続されており、蓄電装置23において蓄えられている電力量を測定する。そして、蓄電電力用電力センサ23aは、EMS26に対して測定結果(蓄電量)を送信する。
負荷24は、上述したように、一般家庭におけるエアコンや冷蔵庫等の家電製品、工場等における設備、空調装置等の電力消費体を意味している。そして、負荷24は、系統40から供給される電力、ソーラーパネル21、風力発電装置27によって発生した電力、蓄電装置23に蓄えられた電力のいずれかを消費する。
【0043】
負荷用電力センサ24aは、
図1に示すように、負荷24に接続されており、負荷24によって消費される電力量を測定する。そして、負荷用電力センサ24aは、EMS26に対して測定結果(消費電力量)を送信する。
分電盤25は、
図1に示すように、発電電力用電力センサ22a、蓄電電力用電力センサ23a、負荷用電力センサ24a、風力発電用電力センサ27aと接続されている。そして、分電盤25は、ソーラーパネル21および風力発電装置27において発電した電力、蓄電装置23に蓄えられた電力を、負荷24に対して供給する。
【0044】
EMS(Energy Management System)26は、上述したように、需要家20における消費電力量を削減するために設けられたエネルギー管理システムであって、
図1に示すように、各センサ22a,23a,24a,27aと接続されている。また、EMS26は、各センサ22a,23a,24a,27aから受信した検出結果を用いて、ソーラーパネル21および風力発電装置27における発電電力、蓄電装置23の蓄電電力を効率よく負荷24に対して供給する。
【0045】
これにより、系統40から供給される電力の消費量を抑制して、需要家20における電力コストを効果的に削減することができる。さらに、EMS26は、電力系統接続制御システム10の電力量情報取得部11に対して、需要家20における所定時間帯ごとの電力の需給状況に関する情報(需要条件、供給条件)を送信する。
具体的には、EMS26は、所定時間帯ごとの各センサ22a,23a,24a,27aからの検出結果を受信するとともに、天気予報に関する情報および需要家20の生活パターンに応じた過去の消費電力量に関するデータ等を送信する。
【0046】
風力発電装置(電力供給装置)27は、自然の風の力を利用して風車を回転させることで電気を発生させる発電装置であって、需要家20の敷地内等に設置されている。そして、風力発電装置27における発電量は、天気予報の風速に関する情報に基づいて予測することができる。
風力発電用電力センサ27aは、
図1に示すように、風力発電装置27に接続されており、風力発電装置27によって発生した発電量を測定する。そして、風力発電用電力センサ27aは、EMS26に対して測定結果(発電量)を送信する。
【0047】
スマートメータ28は、上述したように、需要家20が所有するソーラーパネル21、風力発電装置27の発電量、蓄電装置23の蓄電量、および負荷24の消費電力量を計測する。そして、スマートメータ28は、
図1に示すように、分電盤25を介して各センサ22a,23a,24a,27aと接続されている。さらに、スマートメータ28は、通信機能を有しており、電力会社に対して、需要家20における発電量、蓄電量、消費電力量に関する情報を送信する。
【0048】
(電力系統接続制御システム10の構成)
本実施形態の電力系統接続制御システム10は、需要家20内において電力需給状況が供給過剰な時間帯には、第2スイッチング部41等を制御して、需要家20が所有する電力供給装置と配電網(系統40)との接続を切断(解列)する。さらに、電力系統接続制御システム10は、
図1に示すように、電力量情報取得部11、電力需給予測部12、記憶部13、および制御部14を備えている。
【0049】
電力量情報取得部11は、
図1に示すように、需要家20のEMS26から、需要家20における電力の需給状況に関する情報を取得する。
ここで、電力量情報取得部11において取得される情報としては、ソーラーパネル21、風力発電装置27の発電能力、天気予報に関する情報、蓄電装置23の現在の蓄電量等が含まれる。一方、電力量情報取得部11において取得される需要情報としては、需要家20が所有する負荷24の種類、生活パターンに応じて変化する消費電力量のデータ等が含まれる。
【0050】
電力需給予測部12は、電力量情報取得部11において取得された情報に基づいて、需要家20内における所定時間帯ごとの電力の需給状況を予測する。
記憶部13は、電力量情報取得部11において取得された情報を、電力需給予測部12を介して取得するとともに、電力需給予測部12における予測結果を取得して、これらの情報を保存する。
【0051】
制御部14は、記憶部13に保存された所定時間帯ごとの需要家20における電力の需給状況の予測結果に基づいて、需要家20が所有する電力供給装置と配電網(系統40)、あるいは需要家20と他の需要家(第2の需要家)30a〜30cとの間における配電網の接続を切断するように、スイッチング部41,42a,43bのいずれかを制御する。
【0052】
具体的には、例えば、n時間経過後に、需要家20において電力の需給バランスが取れることが予想される場合には、需要家20は、電力の需要と供給のバランスが取れているため、系統40や他の需要家30a〜30cからの電力供給を受ける必要がない。よって、制御部14は、第1スイッチング部43bをOFFにするように制御する。
これにより、需要家20は、系統40、他の需要家30a〜30cとの間をつなぐ配電網が切断されるため、配電網の使用コストを削減することができる。
【0053】
一方、例えば、需要家20内において電力の需給状況が需要過剰となることが予想される場合には、需要家20は、必要な電力を系統40、あるいは他の需要家30a〜30cから供給してもらう必要がある。よって、制御部14は、第1スイッチング部43bをONにして、他の需要家30a〜30cから余剰電力を供給してもらうか、あるいはスイッチング部41,42a,43bをONにして、系統40から電力を供給してもらうように制御する。
【0054】
これにより、需要家20は、系統40と接続された時間を減らす(解列時間を増やす)ことができるため、系統40経由で購入する電力コストを削減するとともに、系統40の送電線の使用コストを削減することができる。
さらに、他の需要家30a〜30cとの配電網の接続も切断することで、同じ需要家群内に配置された配電網の使用コストを削減することができる。
【0055】
<電力系統接続制御方法>
本実施形態の電力系統接続制御システム10では、上述した構成により、
図2に示すフローチャートに従って、電力系統接続制御方法を実施する。
すなわち、ステップS11では、電力量情報取得部11が、需要家20において所定時間帯ごとの需給予測に必要な情報を取得する。
【0056】
次に、ステップS12では、電力需給予測部12が、ステップS11において取得された情報を用いて、所定時間ごとの需要家20における電力の需要量の予測を行う。
次に、ステップS13では、電力需給予測部12が、ステップS11において取得された情報を用いて、所定時間ごとの需要家20における電力の供給量の予測を行う。
次に、ステップS14では、ステップS12およびステップS13において予測された所定時間帯ごとの需要家20における電力の需要量と供給量とを比較する。
【0057】
ここで、供給量≧需要量という条件を満たさない場合には、ステップS15へ進む。一方、供給量≧需要量という条件を満たす場合には、ステップS16へ進む。
次に、ステップS15では、需要家20において供給量≧需要量という条件を満たさないため、需要量の方が供給量を上回ると予測されている。
よって、この場合には、系統40からの電力供給を受けるために、制御部14は、系統40との接続を維持するように、スイッチング部41,42a,43bを制御する。
【0058】
一方、ステップS16では、需要家20において供給量≧需要量という条件を満たすため、供給量が需要量以上であると予測されている。
よって、この場合には、系統40からの電力供給を受ける必要がないために、制御部14は、系統40との接続を切断するように、スイッチング部41,42a,43bを制御する。
【0059】
次に、ステップS17では、さらに、同じ配電網を使用する需要家群に含まれる他の需要家30a〜30cからの電力供給も受ける必要がないために、制御部14は、他の需要家30a〜30cとの接続を切断するように、スイッチング部41,42a,43bを制御する。
<需要家のn時間後の需給予測>
本実施形態の電力系統接続制御システム10では、
図1に示す構成を備えており、
図2に示す流れによって、所定の時間帯における電力の需給予測を行うとともに、供給量が需要量以上である時間帯には、系統40との接続を切断する。
【0060】
図3は、複数の需要家におけるn時間後の需給予測を示している。
図3の左側のグラフでは、4つの需要家A〜Dの需要の総和量は、現時点で、供給量を上回っており、需要家群としてみた場合は、電力不足状態であるため、系統40からの電力供給が必要である。
一方、
図3の右側のグラフでは、4つの需要家A〜Dの需要の総和量は、n時間後に、供給量とほぼ同量となっている。需要家群としてみた場合は、電力需給バランスが取れた状態であるため、需要家群内で電力を融通し合うことで、系統40からの電力供給は不要とすることができる。
【0061】
ここで、4つの需要家A〜Dにおける需給状況を個々に見た場合、
図3の右側のグラフでは、需要家Aおよび需要家Bについては、需要と供給のバランスが取れている。
具体的には、需要家Aでは、
図4に示すように、ソーラーパネル(PV)21、風力発電装置27による発電量(100kwh、5kwh)、および蓄電装置23からの電力量(5kwh)を合計して、110kwhの供給が予想されている。
【0062】
そして、需要家Aでは、
図5に示すように、負荷24として、エアコン(100kwh)、照明(10kwh)の消費電力量を合計して110kwhの需要が予測されている。
これにより、n時間後の需要家Aにおける需給状況は、需要110kwh、供給110kwhでバランスする。
次に、需要家Bでは、
図4に示すように、ヒートポンプ、電気自動車による発電量(5kwh、5kwh)を合計して、10kwhの供給が予想されている。
【0063】
そして、需要家Bでは、
図5に示すように、負荷24として、TV(10kwh)の需要が予測されている。
これにより、n時間後の需要家Bにおける需給状況は、需要10kwh、供給10kwhでバランスする。
次に、需要家Cでは、
図4に示すように、ソーラーパネル(PV)21、風力発電装置27による発電量(40kwh、10kwh)、および蓄電装置23からの電力量(60kwh)を合計して、110kwhの供給が予想されている。
【0064】
そして、需要家Cでは、
図5に示すように、負荷24として、洗濯機(10kwh)のの需要が予測されている。
これにより、n時間後の需要家Cにおける需給状況は、需要10kwh、供給110kwhで余剰電力が100kwh発生する。
次に、需要家Dでは、
図4に示すように、電力供給装置を所有していないため、供給0である。
【0065】
そして、需要家Dでは、
図5に示すように、負荷24として、エアコン(100kwh)の消費電力量があり、100kwhの需要が予測されている。
これにより、n時間後の需要家Dにおける需給状況は、需要100kwh、供給0kwhで、需要過多の状況となる。
ただし、需要家Dは、上述したように、需要家Cにおいて発生する余剰電力を供給してもらうことができれば、需要家A〜Dを含む需要家群内における需給状況はバランスすることができる。
【0066】
本実施形態の電力系統接続制御システム10では、
図3〜
図5に示す例では、n時間後における需給バランスが取れている需要家A〜Cについては、スイッチング部41,42a,43b等をOFFにするように制御することで、系統40との接続を切断することができる。
これにより、需要家A〜Cでは、系統40の配電網の使用コストを削減することができる。
【0067】
なお、需給バランスが取れている需要家A〜Cのうち、需要家Cについては余剰電力100kwhが発生している。このため、制御部14は、第1スイッチング部43a〜43d等を制御して、需要家Cにおいて発生する余剰電力を、需給バランスが取れていない需要家Dに融通してもよい。
この場合には、系統40の使用コストの削減は図れないものの、需要家Dから余剰電力の対価を受け取ることで、電力使用コストを削減することができる。
【0068】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態1では、本発明に係る電力系統接続制御方法として、
図2に示すフローチャートに従って、電力系統接続制御を実施する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、
図2に示すフローチャートに従って実施される電力系統接続制御方法をコンピュータに実行させる電力系統接続制御プログラムとして、本発明を実現してもよい。
また、この電力系統接続制御プログラムを格納した記録媒体として、本発明を実現してもよい。
【0069】
(B)
上記実施形態では、
図1に示すように、電力量情報取得部11が、需要家20のEMS26から必要な情報を取得する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0070】
例えば、
図6に示すように、電子端末128を用いて需要家20によって直接入力された情報を、電力量情報取得部111が取得する電力系統接続制御システム110であってもよい。
電子端末128は、需要家120が所有するPCやタブレット端末、スマートフォン、携帯電話等である。本実施形態では、電子端末128には、需要家120によって、所定時間帯ごとの電力需給予測に必要な情報が入力される。そして、電子端末128は、
図6に示すように、通信回線を介して、電力系統接続制御システム110(電力量情報取得部111)と接続されている。
これにより、電力量情報取得部111は、需要家120から直接入力された情報を用いて、所定時間ごとの需要家20における電力需給の状況を予測するために必要な情報を取得することができる。
【0071】
(C)
上記実施形態では、
図1に示すように、需要家20が、ソーラーパネル21、蓄電装置23、風力発電装置27等の電力供給装置を所有している例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本システムにおいて需要家が所有する電力供給装置としては、上記以外に、地熱発電装置等の再生可能エネルギーを活用した発電装置、発電機、ヒートポンプ等を使用してもよい。
【0072】
(D)
上記実施形態では、需要家20が所有する負荷24として、
図5に示すように、エアコン、照明、TV,洗濯機を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、需要家が一般家庭ではなく、工場や施設等である場合には、工場や施設に設置された設備機器等を負荷としてもよい。
【0073】
(E)
上記実施形態では、1つの需要家内において、電力の需要量が供給量以下となる場合には、系統40との接続を切断するとともに、同じ配電網を使用する需要家群に含まれる他の需要家30a〜30cとの間の接続も切断する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、需要家内において、電力の需要量が供給量以下となる場合には、系統40との接続のみ切断するように、スイッチング部を切替制御してもよい。
【0074】
(F)
上記実施形態では、電力系統接続制御システム10内に、各種情報を保存する記憶部13を設けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0075】
例えば、電力系統接続制御システムの外部のサーバ、クラウドサービス等を、各種情報を保存する記憶部として利用してもよい。