【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年10月9日に株式会社大林組のウェブサイト http:://www.obayashi.co.jp/press/news20151009_02 に掲載
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27年10月9日に、株式会社日本経済新聞社、株式会社日刊工業新聞社、株式会社産経新聞社、株式会社日本工業新聞社、株式会社日経BP、株式会社日刊建設工業新聞社、株式会社日刊建設通信新聞社、株式会社日刊建設産業新聞社、一般社団法人日本電気協会新聞部、株式会社読売新聞東京本社、株式会社朝日新聞社、株式会社毎日新聞社、株式会社北海道建設新聞社、株式会社イエイリ・ラボにメールで公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、大型のポケット部は、上衣の意匠性を低下させることがある。また、ポケット部に大きな物を収納した場合、収納物が上衣の形状に影響し、見栄えが悪くなることがあった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、収納力を向上させるとともに、意匠性を向上させることができる上衣を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための上衣は、装飾部位を備えた前身頃の外表面側に取り付けられる第1ポケット部と、前記前身頃の内表面側に取り付けられ、前記第1ポケット部よりも大きい第2ポケット部とを有し、前記第2ポケット部の開口部を、前記装飾部位に沿うように設ける。これにより、第1ポケット部とともに、大容量の第2ポケット部を上衣に設けた場合においても、見栄えをすっきりさせることができる。ここで、装飾部位には、切り替えしのラインやポケット等、上衣の機能美のための装飾部位をも含む。
【0008】
上記上衣において、前記第1ポケット部の上方には、前記装飾部位として、前記第1ポケット部の開口部を覆うフラップが取り付けられており、このフラップの上端部に沿って、前記第2ポケット部の前記開口部が設けられていることが好ましい。これにより、第2ポケット部の開口部を上衣の外表面に設けても、見栄えをすっきりさせることができる。
【0009】
上記課題を解決するための上衣は、外表面に前立てを備えた前身頃の前記外表面側に取り付けられる第1ポケット部と、前記前身頃の内表面側に取り付けられ、前記第1ポケット部よりも大きい第2ポケット部とを有し、前記前立てに沿って形成された切り込みを、前記第2ポケット部の開口とし、前記第2ポケット部は、前記第2ポケット部の領域内に前記第1ポケット部が位置し、前記第1ポケット部の下方に前記第2ポケット部の下部が配置される大きさで構成されていることが好ましい。これにより、第2ポケット部の開口部を上衣の外表面に設けても、見栄えをすっきりさせることができる。更に、第2ポケット部に収納した物は、第1ポケット部よりも下のほうに配置されることになるので、特定の箇所が膨らみにくく、見栄えをよりすっきりさせることができる。
【0010】
上記上衣において、前記第2ポケット部の一方の側部は、前記前身頃の前立てに固定されていることが好ましい。これにより、第2ポケット部を補強することができる。
上記上衣において、前記前身頃は、シャツを構成する前身頃であり、前記第2ポケット部の前記開口部の近傍部に、当て布を介して、少なくとも1組のスナップボタンを取り付けることが好ましい。これにより、シャツ等の布が薄い上衣においても、当て布によってスナップボタンを強固に取り付けることができる。
【0011】
上記上衣において、前記第1ポケット部よりも大きい内ポケット部を更に備え、前記内ポケット部の一方の側部は、脇近傍の前記前身頃に固定されており、前記内ポケット部の他方の側部は、前記前身頃の見返し部に接続されており、前記内ポケット部の底部は、前記前身頃の裾の見返し部に固定されていることが好ましい。これにより、見返し部を用いて大容量で強固なポケットを更に設けることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、収納力を向上させるとともに、意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】第1の実施形態におけるシャツの要部を説明する説明図であり、(a)はフラップを持ち上げた状態の正面図、(b)は第2ポケット部を開いた状態の正面図、(c)は前身頃の要部の断面図、(d)は前身頃の裏面を示した裏面図である。
【
図3】第1の実施形態のシャツの着用状態の説明図であり、(a)は全身を示した状態、(b)は第2ポケット部にタブレット端末を収納する途中の状態を示す。
【
図4】第2の実施形態におけるジャケットの正面図。
【
図5】第2の実施形態におけるジャケットの要部の説明図であり、(a)は右の前身頃の裏面を示した裏面図、(b)は左の前身頃の裏面を示した裏面図、(c)は左のフラップを持ち上げて第1ポケット部を開いた状態の断面斜視図、(d)は左の下部内ポケット部を開いた状態の斜視図。
【
図6】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による正面図。
【
図7】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による背面図。
【
図8】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による平面図。
【
図9】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による底面図。
【
図10】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による右側面図。
【
図11】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による左側面図。
【
図12】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による部分拡大図。
【
図13】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による裏返した状態の正面図。
【
図14】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による裏返した状態の部分拡大図。
【
図15】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による着用した状態の正面図。
【
図16】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による着用した状態で右の前身頃の第2ポケット部を開けた状態の一部拡大斜視図。
【
図17】第1の実施形態におけるシャツの写真画像による第2ポケット部の位置を一点鎖線で表した参考正面図。
【
図18】第1の実施形態におけるシャツの第1ポケット及び第2ポケットの構成を模式的に表した
図12のF−F線方向の参考端面図。
【
図19】第1の実施形態におけるシャツとともに着用したズボンの写真画像による正面図。
【
図20】第1の実施形態におけるシャツとともに着用したズボンの写真画像による背面図。
【
図21】第1の実施形態におけるシャツとともに着用したズボンの写真画像による平面図。
【
図22】第1の実施形態におけるシャツとともに着用したズボンの写真画像による底面図。
【
図23】第1の実施形態におけるシャツとともに着用したズボンの写真画像による右側面図。
【
図24】第1の実施形態におけるシャツとともに着用したズボンの写真画像による左側面図。
【
図25】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による正面図。
【
図26】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による背面図。
【
図27】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による平面図。
【
図28】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による底面図。
【
図29】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による右側面図。
【
図30】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による左側面図。
【
図31】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による右の前身頃の部分拡大図。
【
図32】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による左の前身頃の部分拡大図。
【
図33】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による裏返した状態の正面図。
【
図34】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による着用した状態の正面図。
【
図35】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による着用した状態で右の前身頃の第2ポケット部を開けた状態の一部拡大斜視図。
【
図36】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による着用した状態で左の前身頃の第1ポケット部を開けた状態の一部拡大斜視図。
【
図37】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による着用した状態で左の前身頃の第1ポケット部・上部内ポケット部を開けた状態の一部拡大斜視図。
【
図38】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による着用した状態で左の前身頃のサイドポケット部を開けた状態の一部拡大斜視図。
【
図39】第2の実施形態におけるジャケットの写真画像による左の前身頃の第2ポケット部とその開口部及び右の前身頃の上部内ポケット部の位置を一点鎖線で表した参考正面図。
【
図40】第2の実施形態におけるジャケットの右の前身頃の構成を模式的に示した参考端面図であって、(a)は
図31のG−G線方向の端面図、(b)は
図31のH−H線方向の端面図。
【
図41】第2の実施形態におけるジャケットの左の前身頃の構成を模式的に示した参考端面図であって、(a)は
図32のJ−J線方向の端面図、(b)は
図32のK−K線方向の端面図。
【
図42】他の実施形態におけるコートの写真画像による正面図。
【
図43】他の実施形態におけるコートの写真画像による背面図。
【
図44】他の実施形態におけるコートの写真画像による平面図。
【
図45】他の実施形態におけるコートの写真画像による底面図。
【
図46】他の実施形態におけるコートの写真画像による右側面図。
【
図47】他の実施形態におけるコートの写真画像による左側面図。
【
図48】他の実施形態におけるコートの写真画像による第2ポケット部を開いて襟を立てた状態の斜視図。
【
図49】他の実施形態におけるコートの写真画像による第1ポケット部を開けた状態の一部拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、
図1〜
図3及び
図6〜
図24を用いて、上衣の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、上衣としてのシャツ10について説明する。
【0015】
図1に示すように、シャツ10は、後身頃に接続された2つの前身頃11、2つの袖15、襟等を備えている。左側の袖15には、筆記具等を入れる袖ポケット部15aが取り付けられている。
【0016】
次に、シャツ10の前身頃11について説明する。本実施形態のシャツ10は、ほぼ左右対称であるため、左側の前身頃11について説明し、右側の前身頃11については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0017】
本実施形態の各前身頃11には、シャツ10の中央で前立て部11aが形成されている。この前立て部11aの外表面側には、複数のボタンが一列で離間して配置されている。各前身頃11は、第1ポケット部20、フラップ25、第2ポケット部30をそれぞれ有している。本実施形態では、フラップ25が装飾部位として機能する。
【0018】
第1ポケット部20は、胸部に配置され、上部が開口したパッチポケット部である。フラップ25は、第1ポケット部20の開口部を覆うように配置されている。第2ポケット部30は、第1ポケット部20と重なるように配置されている。
【0019】
図2(a)は、左側の前身頃11のフラップ25の下端縁部を持ち上げることにより、第1ポケット部20の開口部を露出させた図である。
図2(b)は、フラップ25の上端縁部を外側に引っ張ることにより、第2ポケット部30の開口部を露出させた図である。
図2(c)は、左側の前身頃11の胸部における側方から見た(垂直方向に切断した)断面図である。なお、この
図2(c)は、
図12のE−E線方向の第1ポケット部20及び第2ポケット部30の構成を模式的に表した参考端面図である。
図2(d)は、左側の前身頃11の裏面側から見た図である。
【0020】
図2(a)に示すように、前身頃11の胸部の外側表面には、第1ポケット部20が取り付けられている。第1ポケット部20は、角を斜めに切り欠いた略長方形状をしており、1枚の布片から構成されている。本実施形態の第1ポケット部20の大きさは、縦が約15cm、横が約14cmである。第1ポケット部20は、上部が開口するように、両側縁部と下端縁部とが、前身頃11の外表面に縫い付けられている。更に、第1ポケット部20の上端部の外側表面における中央部には、スナップボタン21が固定されている。
【0021】
また、フラップ25は、略長方形状の布片から構成されている。なお、本実施形態のフラップ25の下端縁部は円弧形状となっている。フラップ25の上端縁部は、第1ポケット部20の上端部と平行となるように配置されている。また、フラップ25の下端部の内側表面には、フラップ25を閉じた場合、スナップボタン21に対応する位置にスナップボタン26が設けられている。このスナップボタン26は、スナップボタン21と係合して、フラップ25によって第1ポケット部20の開口部を閉じる。
【0022】
更に、
図2(b)に示すように、フラップ25の上端縁部は、ペン差し領域Psを除いた部分において、前身頃11の外表面に縫い付けられている。ペン差し領域Psは、前身頃11の前返し側(シャツ10の中央側)近傍に設けられている。
【0023】
前身頃11には、フラップ25の上端縁部に沿う形状で切り込みが形成されている。この切り込みによって、第2ポケット部30の開口部が形成されている。この開口部は、フラップ25の横方向の幅とほぼ同じ長さで形成されている。
【0024】
図2(c)に示すように、第2ポケット部30は、底部が閉じた長方形状の袋部からなる。この袋部は、前側袋布片部30aと、後側袋布片部30bとを有する。第2ポケット部30のサイズ(幅、深さ)は、第1ポケット部20よりも大きい。これにより、第1ポケット部20は、第2ポケット部30が設けられた領域内で重なるように配置される。そして、第1ポケット部20の底部より下方に第2ポケット部30の底部が配置される。なお、本実施形態の第2ポケット部30は、横が約17cm、縦が約25cmの略長方形状である。これにより、この第2ポケット部30は、タブレット端末等を収納可能な大きさで形成されている。
【0025】
第2ポケット部30の前側袋布片部30aの上端部は、フラップ25の上端部とともに、前身頃11に縫い付けられている。第2ポケット部30の後側袋布片部30bの上端部は、開口部の上側で前身頃11の裏側に縫い付けられている。この後側袋布片部30bは、フラップ25の上端縁部とともに縫い付けられている。これにより、第2ポケット部30の開口部が、フラップ25に沿うように形成されている。
【0026】
図2(d)に示すように、本実施形態の第2ポケット部30の側部(前立て部11a側)は、前立て部11aの端部に縫い付けられている。更に、第2ポケット部30の(前立て部11aとは反対側の側部の)上端部は、袖15とともに、前身頃11に縫い付けられている。
【0027】
図2(b)に示すように、第2ポケット部30の前側袋布片部30aの上端の中央部には、スナップボタン32aが取り付けられている。また、第2ポケット部30の後側袋布片部30bの上端の中央部には、当て布31を介してスナップボタン32bが取り付けられている。スナップボタン32aは、スナップボタン32bと係合して、第2ポケット部30の開口部を閉じる。
【0028】
図3(a)には、シャツ10を着用した状態を示している。この場合、シャツ10の下端部は、ズボン40の中に挿入される。シャツ10の第1ポケット部20は、前身頃11の外表面に配置される。更に、第2ポケット部30は、前身頃11の内表面側において、ズボン40の上端よりも上側に配置される。なお、本実施形態のズボン40として、両サイドにポケット部が設けられたカーゴパンツを用いる。このズボン40は、ウエスト部分41の一部がゴムで構成されている。更に、このズボン40のウエスト部分41及びベルト通し42は、ズボン40の他の部分に比べて、濃い色(例えば黒色等)の布で構成されており、一見するとベルトをしているように見える。また、
図3(b)に示すように、第2ポケット部30に、タブレット端末を収納することができる。
【0029】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のシャツ10の前身頃11には、第1ポケット部20と、この開口部を覆うフラップ25とが取り付けられている。更に、フラップ25の上端部に沿って、第1ポケット部20よりも大きい第2ポケット部30の開口部が形成されている。これにより、第2ポケット部30の開口部をシャツ10の外表面に設けても、意匠性を向上させることができる。更に、第2ポケット部30の開口部を第1ポケット部20の開口部よりも上に設けたので、シャツ10を装着した際に、第2ポケット部30の下端部がズボンに収納する位置よりも上に配置することができる。
【0030】
(2)本実施形態の第2ポケット部30のサイズ(幅、深さ)は、第1ポケット部20よりも大きく、第2ポケット部30の領域内となるように、第1ポケット部20が配置されている。これにより、収納力を向上させることができる。更に、第2ポケット部30は前身頃の内側にあるため、外部から膨らみが見えにくく、見栄えよくすることができる。
【0031】
(3)本実施形態の第2ポケット部30の一方の側部全体が、前身頃11の前立て部11aの端部とともに縫い付けられている。これにより、第2ポケット部30を補強することができる。
【0032】
(4)本実施形態の第2ポケット部30における前立て部11aとは反対側の端部の上端が、袖15とともに、前身頃11に縫い付けられている。これにより、第2ポケット部30を更に補強することができる。
【0033】
(5)本実施形態の第2ポケット部30の後側袋布片部30bの上端の中央部には、当て布31を介してスナップボタン32bが取り付けられている。スナップボタン32bは、第2ポケット部30の前側袋布片部30aのスナップボタン32aと係合して、第2ポケット部30の開口部を閉じる。これにより、布が薄いシャツ10の場合であっても、当て布31によってスナップボタン32bを強固に取り付けることができる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、
図4、
図5及び
図25〜
図41を用いて、上衣の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、装飾部位としてフラップ25を用いたが、本実施形態においては、更に、前立てを装飾部位として用いた上衣(ジャケット)について説明する。
【0035】
図4に示すように、ジャケット50は、後身頃に接続された2つの前身頃51,52、2つのラグラン袖55,56、襟等を備えている。左側のラグラン袖56には、ペンを入れる袖ポケット部56aが取り付けられている。
【0036】
ジャケット50の右側の前身頃51には、ジャケット50の中央において、装飾部位としての前立て部51aが形成されている。ジャケット50には、線ファスナーが取り付けられている。この線ファスナーは、右側の前立て部51aの内側端部と、左側の前身頃52の側端部とを係止したり開放したりする。更に、ジャケット50の各前身頃51,52には、ジャケット50の中央からラグラン袖55,56に向かって傾斜する切り替えし部53,54が設けられている。
【0037】
また、前身頃51,52には、第1ポケット部61,62とフラップ65,66とがそれぞれ取り付けられている。第1ポケット部61,62、フラップ65,66は、左右対称の形状をしている。
【0038】
第1ポケット部61,62は、上記第1の実施形態の第1ポケット部20と同様に、胸部に配置され、上部が開口したパッチポケット部である。本実施形態の第1ポケット部61,62は、脇側の下端部が切り欠いた略長方形状をしている。第1ポケット部61,62の上端部は、切り替えし部53,54のラインと平行な斜め形状をしている。第1ポケット部61,62は、上部が開口するように、両側縁部と下端縁部とが、前身頃11の外表面に縫い付けられている。更に、第1ポケット部61,62の上端部の外側表面における中央部には、スナップボタン63が固定されている。
【0039】
フラップ65,66は、第1ポケット部61,62の開口をそれぞれ覆っている。フラップ65,66の上端部は、切り替えし部53,54に沿った形状をしており、切り替えし部53,54に沿って配置されている。フラップ65,66の下端部の内側表面には、フラップ65,66を閉じた場合、スナップボタン63に対応する位置にスナップボタン64が設けられている。このスナップボタン64は、スナップボタン63と係合して、フラップ65,66によって第1ポケット部61,62の開口部を閉じる。
【0040】
右の前身頃51は、前立て部51aに沿って、切り込みが形成されている。この切り込みには、開閉するための線ファスナーが取り付けられており、玉縁が形成されている。この切り込みは、後述する第2ポケット部71の開口部71aとなる。
【0041】
図5(a)は、右側の前身頃51の裏面を見た図である。
図5(a)に示すように、右側の前身頃51には、第2ポケット部71が設けられている。この第2ポケット部71は、底部が閉じた長方形状の袋部からなる。この第2ポケット部71のサイズ(幅、深さ)は、第1ポケット部61よりも大きい。これにより、第1ポケット部61は、第2ポケット部71の領域内となるように配置され、第1ポケット部61の底部より下方に第2ポケット部71の底部が配置される。
【0042】
更に、第2ポケット部71の上端部は、切り替えし部53とともに前身頃51に縫い付けられており、第2ポケット部71の側部は、前身頃51の見返し部51bに取り付けられている。この第2ポケット部71は、上述した切り込みに対応して開口しており、前身頃51の外表面の開口部71aに連通している。
【0043】
図5(b)は、左側の前身頃52の裏面を見た図である。
図5(c)は、左側の前身頃52のフラップ66の下端縁部を持ち上げて、第1ポケット部62の開口部及び後述する上部内ポケット部72の開口部を開いた状態の断面斜視図である。
図5(d)は、左の前身頃52の下部内ポケット部76の開口部を開いた状態の断面斜視図である。
【0044】
図5(b)に示すように、上部内ポケット部72は、右側の前身頃51の第2ポケット部71よりも一回り小さい長方形状の袋部を有している。この上部内ポケット部72の上端部が、切り替えし部54とともに前身頃52に縫い付けられている。
【0045】
更に、
図5(c)に示すように、第1ポケット部62内の前身頃52の外表面側において切り込みが形成されている。この切り込みには、片玉縁が設けられている。この切り込みが、上部内ポケット部72の開口部72aとなっており、この開口部72aを介して、上部内ポケット部72の内部に物を挿入したり取り出したりすることができる。
【0046】
また、
図5(d)に示すように、左の前身頃52の裏面には、略長方形状の布部材から構成された下部内ポケット部76が設けられている。この下部内ポケット部76の底部は、左の前身頃52の裾の見返し部52cと一緒に縫い付けられている。下部内ポケット部76の一方の側部は、前身頃52の側部の見返し部52bに接続するように縫い付けられている。更に、下部内ポケット部76における見返し部52bと反対側の側部は、前身頃52と後身頃との接続部とともに縫い付けられることにより、脇近傍の前身頃11に固定されている。
【0047】
また、
図4に示すように、各前身頃51,52には、第1ポケット部61,62の下方において、サイドポケット部67,68が配置されている。このサイドポケット部67,68は、各前身頃51,52において斜め形状の切り込みによって開口部が形成されている。このサイドポケット部67,68は、底部が閉じた略扇形状の袋部を有しており、下端部が前身頃51,52の裾の見返し部51c,52cとともに縫い付けられている。更に、サイドポケット部67,68は、開口部を閉じる長方形状のサイドフラップ67a,68aを備えている。
【0048】
本実施形態によれば、上記第1の実施形態に記載の(2)及び(3)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6)本実施形態のジャケット50の右の前身頃51には、胸部に第1ポケット部61が配置されている。更に、この前身頃51の前立て部51aに沿って、第2ポケット部71の開口部71aとなる切り込みが形成されている。これにより、第2ポケット部71の開口部71aをジャケット50の外表面に設けても、意匠性を向上させ、見栄えよくすることができる。
【0049】
(7)本実施形態のジャケット50の前身頃52には、略長方形状の布部材から構成された下部内ポケット部76が設けられている。この下部内ポケット部76の底部は、左の前身頃52の裾の見返し部52cと一緒に縫い付けられている。下部内ポケット部76の一方の側部は、前身頃52の側部の見返し部52bに接続するように縫い付けられている。更に、下部内ポケット部76における見返し部52bと反対側の側部は、前身頃52と後身頃との接続部とともに縫い付けられる。これにより、見返し部52b,52cを用いて、収納力が大きく、強固なポケットを設けることができる。
【0050】
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記第1実施形態のシャツ10においては、左右の各前身頃11に、第1ポケット部20及び第2ポケット部30を設けた。上記第2実施形態のジャケット50においては、右側の前身頃51に、第1ポケット部61及び第2ポケット部71を設けた。この場合、上記第1実施形態のシャツ10の各前身頃11に設けた第1ポケット部20及び第2ポケット部30の構造を、上記第2実施形態のジャケット50の一方又は両方の前身頃(51,52)に適用してもよい。また、ジャケット50においては、右の前身頃51のポケット構造(第1ポケット部61等)と左の前身頃52のポケットの構造(第2ポケット部71等)とを、左右逆にして左右対称に設けてもよい。更に、上述した第1ポケット部20,61と第2ポケット部30,71とを設ける上衣は、シャツ10やジャケット50に限定されない。例えば、ベスト、ブルゾン(ジャンパー)、
図42〜
図49に示すコート等に適用してもよい。このコートにおいては、上記第2実施形態のジャケット50と同様に、右の前身頃及び左の前身頃の胸の位置に第1ポケット部が設けられている。更に、このコートにおいては、ジャケット50と同様に、右の前身頃においては、第1ポケット部よりも内側に第2ポケット部が設けられている。
【0051】
・上記第1実施形態のシャツ10においては、フラップ25の上端部に沿うように、第2ポケット部30の開口部を設けた。上記第2実施形態のジャケット50においては、右の前身頃51の前立て51aの端部に沿うように、第2ポケット部71の開口部71aを設けた。第2ポケット部の開口部が配置される装飾部位は、これらに限定されない。例えば、第1ポケット部の下端部等、サイドポケット部67,68の開口部、サイドフラップ67a,68a、前身頃の装飾(機能美の装飾も含む)のラインを装飾部位として用いることも可能である。
【0052】
・上記各実施形態の第1ポケット部20,61,62及び第2ポケット部30,71は、略四角形状によって構成した。これら第1ポケットや第2ポケットの形状はこれに限定されず、例えば、ホームベース型であってもよい。この場合、第2ポケット部の開口が、前身頃の装飾部位に沿う形状であればよい。