(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1導波路と前記第2導波路の最も近接する部分の中心間距離は、前記第1導波路と前記第2導波路の間で光結合が生じない距離であり、かつ第2の曲率半径の2倍よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
前記第2導波路は、2以上の折り返しを有する蛇行導波路を含み、前記蛇行導波路は前記第1の曲率半径よりも大きい曲率半径の2以上の湾曲を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施形態の構成と手法を説明する前に、
図2と
図3を参照して、実施形態の波長可変光源に
図1の遅延干渉計を用いる際の技術課題をより詳細に説明する。
【0015】
図2は、波長可変光源となる光源チップの模式図である。波長可変光源は、SOA21と共振器23で形成される光源と、波長モニタ24を有する。光源で生成される光の一部はカプラ22で分岐されて、波長モニタ24に入力される。波長モニタ24は、波長フィルタと光検出器(PD)25を含む。光検出器25の出力はモニタ情報を表わし、共振器23にフィードバックされて光源の波長が制御される。
【0016】
より詳しくは、キャリアの注入によりSOA21で誘導放出された光は共振器23に導かれ、特定の波長の光が共振され増幅されてレーザ発振する。SOA21の出射端に高反射膜HRが形成され、共振器23と対向する面には反射防止(AR:Anti-Reflecting)コーティングが施されている。共振器23のSOA21に対向する面と反対側の端部に、たとえば分布ブラッグ反射器などの反射部が形成されている。SOA21のHRコーティング面と共振器23の反射部でレーザ共振器が形成される。
【0017】
レーザ発振した光の一部は、波長モニタ24に入力される。波長モニタ24で用いられる波長フィルタは、周期的な透過スペクトルを有し、複数の波長の光をフィルタリングすることができる。
【0018】
図3は、
図2の波長可変光源の波長フィルタに、
図1の遅延干渉計110を適用したときの構成を示す。基板20上のグラデーションは温度勾配を示す。色が濃い部分が温度の高い領域であり、色が薄いほど温度は低くなる。SOA21は、たとえばインジウムリン(InP)系の化合物半導体で形成されており、発光効率は高いが、発光に寄与しなかった部分の電流は熱になって外に出る。レーザの発振周波数の安定化のための温度制御機構が設けられる場合であっても、SOA21が熱源となって、導波路112、113が形成された基板20に温度勾配が生じる。基板20の温度勾配は、SOA21への注入電流の変動や環境温度の変化によって変化する。
【0019】
波長フィルタを形成する遅延干渉計110の導波路のうち、短いほうの導波路112の幅Wsを大きくすることで、光閉じ込めを強くして実効的な熱光学係数を大きくすることができる。導波路112の温度変化に対する屈折率の変化を大きくすることで、温度変化による導波路112の光学長の変化を導波路113で生じる変化と同等にして、遅延量の変化をキャンセルする。
【0020】
しかし、遅延干渉計110の2つの導波路112と113が
図3のように離れて配置されていると、熱源となるSOA21の影響で導波路112と導波路113の間の温度差が大きくなる。その結果、熱光学係数の調整にもかかわらず、温度変化に対して波長フィルタのピーク波長がシフトしやすくなる。
【0021】
図3の構成で温度変化の影響を抑えつつ導波路112、113の長さを短くするには、長いほうの導波路113の幅Wlを小さくすることが望ましい。しかし、導波路113を細くすると光の閉じ込めが小さくなり、曲げ損失が増大する。そこで、実施形態では以下で説明するように、波長フィルタの配置と構成を工夫することで、小型で温度依存性の抑制された光デバイスを実現する。
【0022】
図4は、実施形態の波長可変光源1Aの概略図である。波長可変光源1Aは、SOA21と共振器23で形成される外部共振器型のレーザ素子(光源)と、光デバイスとしての遅延干渉計10Aを有する。SOA21は、化合物半導体で形成される誘導放出媒体チップであり、
図4の例ではシリコンの基板20に実装されている。SOA21は、たとえば基板20に形成されたテラスに配置され、SOA21の活性層は基板20の高さ方向(Z方向)と面内(XY面内)方向で、基板20に形成された導波路15と位置合わせされている。SOA21は、導波路15によって共振器23と光学的に接続されている。共振器23としては任意の構成を用いることができ、たとえば所定の周長を有するリング型あるいはレーストラック型の導波路と、分布ブラッグ反射器を組み合わせた構成を用いることができる。
【0023】
SOA21から誘導放出され共振器23の共振周波数で増幅された光は、SOA21の一端側から出力される。共振波長を有する光の一部は、方向性結合器などのカプラ22で分岐され、遅延干渉計10Aに入力される。
【0024】
遅延干渉計10Aは、分波器11と合波器14の間に延びる第1導波路12と第2導波路13を有し、遅延干渉により周期的な透過スペクトルを有する波長フィルタとして動作する。分波器11と合波器14は、たとえばシリコンのスラブ導波路である。第1導波路12と第2導波路13は、シリコンコアの導波路である。第1導波路12の長さは、第2導波路13の長さよりも短い。第1導波路12と第2導波路13の長さの差ΔLは、目標とするFSRに応じて決定される。
【0025】
第1導波路12の幅は、第2導波路13の幅よりも大きい。第1導波路の幅と、第2導波路13の幅は、温度に対するピーク波長の目標シフト量(nm/T)に応じて設定されている。一例として、ピーク波長の目標シフト量(温度依存性)を、0.02nm/℃程度まで小さく設定される。この目標値に応じて第1導波路12の幅を広げ、第2導波路13との間で光学長の温度依存性が同等になるように調整する。必要に応じて、第2導波路13の幅を細くしてもよい。第1導波路12のコア幅が大きくなりすぎると、マルチモードになるおそれがある。第2導波路13のコアの幅が小さくなりすぎると、光閉じ込めが弱くなり損失が生じる。そこで、ピーク波長の温度依存性の低減と、低損失のシングルモード伝送の観点から、適切な範囲で第1導波路12と第2導波路13の幅を調整する。
【0026】
導波路の長さの差ΔLで決まる周期的な透過スペクトルを有する遅延干渉計10Aを通過した光は、光検出器(PD)25で検出される。検出結果は外部の制御IC(Integrated Circuit:集積回路)70に供給され、検出結果に応じて、共振器23の共振周波数が制御される。共振周波数は、たとえば、共振器23を形成するリング型あるいはレーストラック型の導波路に設けられるヒータの加熱温度を制御することで制御可能である。
【0027】
実施形態のひとつの特徴として、短いほうの第1導波路12は、曲率半径がRsの湾曲を含み、長いほうの第2導波路13は、曲率半径がRlの湾曲13aを含む。RlはRsよりも大きく設定されている(Rs<Rl)。RlをRsよりも大きくすることで、第2導波路13の曲げ損失を抑制して、コア幅をできるだけ小さくする。第2導波路13の幅を小さくすることで、温度変化による屈折率変化の影響を小さくして、導波路長が長くなることを防止する。
【0028】
図4の例では、第2導波路13は、2回以上の折り返しを有する蛇行導波路を含み、蛇行導波路部分で2以上の湾曲13aを有する。各湾曲13aの曲率半径Rlは必ずしも同一でなくてもよいが、それぞれの曲率半径Rlは第1導波路12の湾曲の曲率半径Rsよりも大きく設定されている。
【0029】
他方、第1導波路12はマルチモードを生じさせない程度に太く、光閉じ込めが強い。第1導波路12の曲率半径Rsを第2導波路13の曲率半径Rlより小さくしても、曲げ損失の影響を受けにくい。第1導波路12の曲げ半径Rsを小さくすることで、波長可変光源1Aを小型化することができる。
【0030】
遅延干渉計10Aは、基板20上で熱源となるSOA21と対角の位置に配置されている。SOA21と最も離れた位置に遅延干渉計10Aを配置することで、第1導波路12と第2導波路13がシリコンで形成されている場合でも、電流変動や環境温度の変化による温度勾配の変化の影響をできるだけ回避することができる。
【0031】
図4の例では、それぞれ異なる曲率半径の第1導波路12と第2導波路13を、SOA21の対角位置で、互いに近接して配置し、波長可変光源1Aをコンパクトにしている。第1導波路12と第2導波路13を基板20上の同じエリア内に近接配置することによっても、温度勾配の変化にともなうフィルタ波長のシフトを抑制できる。
【0032】
ただし、第1導波路12と第2導波路13は光学的に結合しない距離を保っている。第1導波路12から第2導波路13の最も近い部分までの距離Sは、第2導波路13の曲率半径Rlの2倍よりも小さいことが望ましい(S<2×Rl)。距離Sは、第1導波路12と第2導波路13の中心間の距離である。第1導波路12と第2導波路の近接部の距離Sを、第2導波路13の湾曲部が占有する領域のサイズよりも小さくすることで、2つの導波路12、13を温度分布が近似する領域内に配置して、温度勾配の影響を軽減する。
【0033】
図5は、
図4のX−X'ラインでの断面図である。シリコン基板20の上にBOX(Buried Oxide:埋め込み酸化)層201が配置され、BOX層201の上に、シリコンの第1導波路12と第2導波路13が形成されている。第1導波路12と第2導波路13は、シリコンよりも熱光学係数の小さなクラッド層202で覆われている。クラッド層202は、たとえば二酸化ケイ素(SiO2)で形成されている。BOX層201とクラッド層202で囲まれたシリコンの第1導波路12と第2導波路13が光伝搬用のコアとなる。BOX層201とクラッド層202の熱光学係数はシリコンよりも小さく、シリコンに比べて温度変化の影響を受けにくい。
【0034】
第1導波路12は、光軸と直交する方向の幅Wsを有する。第2導波路13は、光軸と直交する方向の幅Wlを有する。幅Wsは幅Wlよりも大きい。第1導波路12と第2導波路13のコア幅を異ならせて光閉じ込めの特性を変え、
図4の平面配置とすることで、波長フィルタを形成する遅延干渉計10Aの温度依存性を小さくし、かつ波長可変光源1Aを小型化することができる。
【0035】
第1導波路12と第2導波路13の光閉じ込めを変える方法として、コアの幅を異ならせるほかに、2つの導波路間でコアの高さを変える、導波路の形状を変える、などの構成も考えられる。
【0036】
図6は、第1導波路12と第2導波路13の間でコアの高さを変える例を示す。短い第1導波路12の高さtsを、長い第2導波路13の高さtlよりも高くする。第1導波路12の高さを高くすることで、光閉じ込めを強くして温度変化による屈折率変化を大きくし、光学長の変化を第2導波路13の光学長の変化と同等にして遅延量の変化をキャンセルする。
【0037】
図7は、第1導波路12と第2導波路13の間で幅と高さの双方を変えることで、光閉じ込めを変える例を示す。第2導波路13の幅Wlは第1導波路12の幅Wsよりも小さく、かつ第2導波路13の高さは、第1導波路12の高さよりも小さい。
【0038】
図7の構成では、シリコンコアの幅と高さの双方を変えることで、単位長あたりの屈折率変化の補償が大きくなる。したがって、より短い導波路でのレイアウトが可能になる。
【0039】
図8は、第1導波路12と第2導波路13で導波路の種類を変える例を示す。第1導波路12は、光閉じ込め効果の高いリブ型のシリコンコアで形成される。第2導波路13は細線型のシリコンコアで形成される。第1導波路12のリブ部分の幅Wsは、第2導波路13の幅Wlよりも大きい。この構成によっても、単位長あたりの屈折率変化の補償が大きくなり、より短い導波路でのレイアウトが可能になる。
【0040】
図6〜
図8のいずれの構成例でも、第2導波路13の湾曲の曲率半径Rlは、第1導波路12の湾曲の曲率半径Rsよりも大きい。また、第1導波路12と第2導波路13の最も近接する部分の中心間距離Sは、2つの導波路が光結合する距離よりも大きく、第2導波路13の曲率半径Rlの2倍よりも小さい。これにより、遅延干渉計10Aの温度依存性を抑制し、かつ光デバイス10Aの小型化を実現する。
<変形例1>
図9は、波長可変光源1Aの変形例として、波長可変光源1Bを示す。波長可変光源1Bは、波長可変フィルタリングを行う光デバイスとして、遅延干渉計10Bを有する。遅延干渉計10Bは、第1導波路12と、第1導波路12よりも長い第2導波路33を有する。第2導波路33では、湾曲33aの幅が直線部の幅よりも大きく形成されている。この構成により、第2導波路33の曲げ損失を低減し、曲率半径Rlを小さくすることができる。第2導波路33の部分的な幅の変更は、シリコンフォトニクス技術によるパターン露光と現像により容易に行うことができる。
【0041】
第1導波路12との関係では、第2導波路33の平均幅で導波路間の遅延特性が合わせられる。
図4の構成と比較すると、第2導波路33が部分的に幅が広くなる領域を有する分、第2導波路33の長さは若干長くなるが、光デバイス1B全体として、曲げ損失の低減効果と、デバイスの小型化の効果が得られる。
【0042】
第1導波路12と第2導波路33の高さは同じであってもよいし、
図7のように、第2導波路33を第1導波路12よりも低く形成した上で、湾曲33aの幅を広げる構成としてもよい。この構成でも、第2導波路33の温度依存性を小さくしつつ、曲げ損失を抑制することができる。
【0043】
遅延干渉計10Bの出力は光検出器(PD)25で検出される。検出結果は、制御IC70に入力され、共振器23の共振波長が制御される。なお、第2導波路33のワン居部部の形状以外の部分は
図4の構成と同様であり、重複する説明を省略する。
<変形例2>
図10は、波長可変光源1Aのさらに別の変形例として、波長可変光源1Cを示す。誘導放出媒体であるSOA21は、必ずしも基板20上に搭載されている必要はなく、
図10のように基板20の外部に配置されてもよい。この場合、SOA21の活性層と、基板20の上に形成された導波路15は突き合わせにより結合されている。キャリア注入によりSOA21で誘導放出された光は、共振器23の反射部とSOA21の出力端の間で反射を繰り返し、共振器23の共振波長で増幅されてレーザ発振する。レーザ光の一部は、遅延干渉計10Aで形成される波長フィルタに導かれ、波長フィルタと光検出器(PD)25により波長がモニタされる。光検出器(PD)25の出力は、制御IC70に入力され、共振器23の波長がフィードバック制御される。
【0044】
波長フィルタは、遅延干渉計10Aの光路長差で決まるFSRを有し、FSRの間隔で周期的に透過(縦モード)のピークが現れる。実施形態の遅延干渉計10Aは、2本の導波路間の光閉じ込めの特性を異ならせて温度変化による遅延量の変化を補償し、かつ所定の条件を満たす曲率半径の湾曲をもたせている。これにより、光源チップの小型化を実現しつつ、温度変化によるピーク波長のシフトを抑制している。これに加えて、SOA21を基板20の外部に配置することで、基板20上での熱分布または温度勾配の変化が低減される。したがって、波長フィルタのピーク波長のシフトをさらに抑制することができ、安定した波長制御が実現する。
【0045】
波長フィルタを形成する遅延干渉計10Aに替えて、
図9の遅延干渉計10Bを用いても、同様の効果が得られる。
<変形例3>
図11は、波長可変光源1Aのさらに別の変形例として、波長可変光源1Dを示す。波長可変光源IDは、
図10の構成に加えて、パワーモニタ用の第2の光検出器(PD)40を有する。SOA21と共振器23で生成される出力光を第2の光検出器(PD)40に導くために、基板20上に導波路16が形成される。導波路16は、カプラ22の波長フィルタと反対側のポートから延びている。導波路16は干渉計と異なり、温度変化による影響が小さいので、遅延干渉計10AよりもSOA21に近い位置に配置されている。
図11の例では、導波路16はSOA21と遅延干渉計10Aの間の基板20上に形成されている。
【0046】
波長モニタ用の光検出器(PD)25と、パワーモニタ用の光検出器(PD)40の出力は、制御IC70の入力に接続される。第2の光検出器(PD)40で検出される光パワーをリファレンスとすることで、精度の高い波長モニタリングと制御が可能になる。たとえば、波長モニタ用の光検出器(PD)25で検出される光のパワーが、第2の光検出器(PD)40によるパワーモニタ値の一定割合のレベル(たとえば1/2のレベル)になるように共振波長を制御する。これにより、波長制御の基準が一意に決まり、制御が安定化する。第2の光検出器(PD)40の出力を、SOA21の光出力制御に用いてもよい。
【0047】
図11の遅延干渉計10Aに替えて、
図9の遅延干渉計10Bを用いてもよい。この場合も、カプラ22から遅延干渉計10Bと反対側に延びる導波路16を、SOA21に近い位置に配置して、導波路16からの出力光を第2の光検出器(PD)40で検出することができる。
<光送信器への適用>
図12は、実施形態及び変形例1〜3の波長可変光源1A〜1Dを用いた光送信器50の概略図である。光送信器50には、波長可変光源1A〜1Dのいずれの構成も適用可能であり、「波長可変光源1」と概括する。
【0048】
光送信器50は、複数の波長可変光源1を並べた光源アレイ51を有する。各波長可変光源1は、用いられる波長に応じて共振器23の共振周波数が調整されていることを除いて、同一種類の光源が用いられる。共振器23の共振周波数を所望の値に設定することで異なる波長の光を出力する波長可変光源アレイが得られる。
図12の例では、波長λ1〜λ4の光を出力する4チャネルの光源アレイ51が形成される。各波長可変光源1は、小型化を実現しつつ温度依存性が抑制されているので、光源アレイ51のサイズも小さくすることができる。
【0049】
複数の波長可変光源1は、同じ構成の波長フィルタを有する。波長フィルタとして、遅延干渉計を10A、10Bのいずれも使用可能である。波長フィルタは、そのSFRがλ1〜λ4のピーク波長間隔と一致するように導波路12、13の長さの差が設定されている。また、上述のように、ピーク波長の温度依存性が抑制され、周期的な透過スペクトルで安定してλ1〜λ4の波長の光を取り出してモニタすることができる。モニタ結果は制御IC70に供給され、波長可変光源1ごとに共振器の共振波長が制御される。
【0050】
光源アレイ51から出力される各波長の光は、対応する光変調器52−1〜52−4に入力される。光変調器52−1〜52−4には、それぞれ異なるデータ1〜4を表わす駆動信号が入力され、各波長の光が変調される。変調を受けた各波長の光はマルチプレクサ53で多重され、1つの光ファイバで伝送される。
【0051】
このように、実施形態の構成により、小型で温度依存性の小さい波長フィルタ(光デバイス)を実現することができる。波長フィルタを光通信で用いられる波長可変光源に用いる場合は、光源の小型化でき、また、安定的に精度良く出力波長をモニタすることができる。精度良く波長制御された複数波長の光源アレイを用いることで、WDM方式の通信品質が向上する。
【0052】
実施形態では、波長可変光源1A〜1Dで、SOA21を誘導放出媒体とする外部共振器型のレーザ光源の波長を制御しているが、これに限定されない。実施形態の遅延干渉計10A及び10Bの構成は、共振機能を内部に有する半導体レーザを誘導放出媒体として用いる場合にも、適用可能である。たとえば、分布帰還(DFB:Distributed FeedBack)領域と分布ブラッグ反射(DBR:Distributed Bragg Reflector)領域を交互に配置した波長可変レーザを光源とする構成にも適用可能である。また、温度勾配の変化の影響を受ける環境で周期的な波長間隔で光を取り出す任意の光デバイスに遅延干渉計10A、10Bを適用することができる。
【0053】
以上の説明に対し、以下の付記を提示する。
(付記1)
半導体基板上の分岐部と合波部の間に配置される第1導波路と、
前記分岐部と前記合波部の間に配置され前記第1導波路よりも長い第2導波路と、
を有し、
前記第1導波路の光閉じ込めは前記第2導波路の光閉じ込めよりも強く、
前記第1導波路は、第1の曲率半径(Rs)の湾曲を有し、
前記第2導波路は、第2の曲率半径(Rl)の湾曲を有し、
前記第1の曲率半径は前記第2の曲率半径よりも小さいことを特徴とする光デバイス。
(付記2)
前記第1導波路と前記第2導波路の最も近接する部分の中心間距離(S)は、前記第1導波路と前記第2導波路の間で光結合が生じない距離であり、かつ第2の曲率半径の2倍よりも小さいことを特徴とする付記1に記載の光デバイス。
(付記3)
前記第2導波路は、2以上の折り返しを有する蛇行導波路を含み、前記蛇行導波路は前記第1の曲率半径よりも大きい曲率半径の2以上の湾曲を有することを特徴とする付記1または2に記載の光デバイス。
(付記4)
前記第1導波路のコアの幅(Ws)は、前記第2導波路のコアの幅(Wl)よりも大きく設定されていることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の光デバイス。
(付記5)
前記第1導波路のコアの高さは、前記第2導波路のコアの高さよりも高く設定されていることを特徴とする付記1〜4のいずれかに記載の光デバイス。
(付記6)
前記第1導波路はリブ型導波路であり、前記第2導波路は細線型導波路であることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の光デバイス。
(付記7)
前記第1導波路のリブ部分の幅は、前記第2導波路の幅よりも大きいことを特徴とする付記6に記載の光デバイス。
(付記8)
前記第1導波路と前記第2導波路は、シリコンの導波路であることを特徴とする付記1〜7の何れかに記載の光デバイス。
(付記9)
誘導放出媒体と、
前記誘導放出媒体で生成され所定の共振波長で増幅された光の一部が入力される遅延干渉計と、
を有し、
前記遅延干渉計は、半導体基板に形成された第1導波路と第2導波路を有し、
前記第1導波路の長さは前記第2導波路の長さよりも短く、
前記第1導波路の光閉じ込めは前記第2導波路の光閉じ込めよりも強く、
前記第1導波路は、第1の曲率半径の湾曲を有し、
前記第2導波路は、第2の曲率半径の湾曲を有し、
前記第1の曲率半径は前記第2の曲率半径よりも小さい、
ことを特徴とする波長可変光源。
(付記10)
前記誘導放出媒体と前記遅延干渉計は、前記半導体基板の主面の対角位置に配置されることを特徴とする付記9に記載の波長可変光源。
(付記11)
前記半導体基板上で、前記誘導放出媒体と前記遅延干渉計の間に配置されるパワーモニタ用の導波路、
をさらに有することを特徴とする付記9または10に記載の波長可変光源。
(付記12)
前記第2導波路は、2以上の折り返しを有する蛇行導波路を含み、
前記蛇行導波路は、前記第1の曲率半径よりも大きい曲率半径の2以上の湾曲を有することを特徴とする付記9〜11のいずれかに記載の波長可変光源。
(付記13)
付記9〜11のいずれかに記載の波長可変光源と、
前記波長可変光源から出力される光が入力される光変調器と、
を有することを特徴とする光送信器。
(付記14)
複数の前記波長可変光源を配置した光源アレイと、
前記光源アレイから出力される異なる波長の光が入力される複数の光変調器と、
を有することを特徴とする付記13に記載の光送信器。