(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の着色層は、前記第1の方向および前記第2の方向において合計4つのサブ矩形領域と隣り合っている場合には、1つの前記非着色部領域および3つの前記着色部領域、または2つの前記非着色部領域および2つの前記着色部領域と隣り合うように配置されている、
請求項1に記載のカラーフィルタ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の実施形態のカラーフィルタおよび反射型表示装置について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態の反射型表示装置の主要部の構成を示す模式的な縦断面図である。
図1は、模式図のため、形状や寸法は誇張されている(以下の図面も同じ)。
【0018】
図1に主要部の構成を示すように、本実施形態の反射型表示ディスプレイ1(反射型表示装置)は、基材10、第1の電極層11、接着層12、反射表示層13、第2の電極層14、光透過性基材15(基板)、カラーフィルタ層17、および保護層18が、この順に積層されて構成されている。ここで、光透過性基材15およびカラーフィルタ層17は、本実施形態のカラーフィルタC
f1を構成する。
【0019】
反射型表示ディスプレイ1は、外部からの入射光をカラーフィルタ層17によって第1色、第2色、および第3色の三色に分割し、画像信号に基づいて駆動される反射表示層13により三色の反射光量を調整することによってカラー画像が表示可能な反射型表示装置である。ただし、反射型表示ディスプレイ1によるカラー画像は、フルカラー表示されてもよいし、フルカラー表示以外の多色表示であってもよい。
反射型表示ディスプレイ1の有効表示画面の外形状は、特に限定されない。ここで、有効表示画面とは、表示の切り換えが可能な画面を意味する。以下では、一例として、反射型表示ディスプレイ1の有効表示画面の外形状が矩形であるとして説明する。
【0020】
基材10は、板状の絶縁体で構成される。基材10の材質は、例えば、合成樹脂フィルム、ガラスなどが用いられてもよい。
基材10の表面には、第1の電極層11が積層されている。
【0021】
第1の電極層11は、後述する反射表示層13の反射率を変える駆動電圧を反射表示層13に印加する。第1の電極層11は、本実施形態では、反射型表示ディスプレイ1のカラー表示の表示単位である画素領域内のサブ画素領域ごとに電圧を独立に印加できるように、サブ画素領域の形状、配置に対応して、複数のサブ画素電極にパターニングされている。
後述するように、本実施形態では、画素領域およびサブ画素領域は、いずれも平面視矩形状であるため、第1の電極層11の各サブ画素電極も矩形状である。ただし、各サブ画素電極は、例えば、後述するスイッチング素子の配置位置などによっては、矩形の一部に、凹部または凸部が形成された擬似矩形状の形状であってもよい。
【0022】
第1の電極層11における各サブ画素電極は、後述する反射表示層13の反射率を黒と白との間で変える点では互いに同様の構成を有する。ただし、印加される駆動信号の種類によって、各画素領域内のサブ画素電極は、第1色用サブ画素電極11r、第2色用サブ画素電極11g、第3色用サブ画素電極11b、および無彩色用サブ画素電極11nに区別される。
第1色用サブ画素電極11r、第2色用サブ画素電極11g、第3色用サブ画素電極11bは、画素領域において、それぞれ第1色成分、第2色成分、第3色成分の階調を制御する駆動信号に基づく駆動電圧が印加される駆動電極である。
無彩色用サブ画素電極11nは、画素領域において、無彩色成分の階調を制御する駆動信号に基づく駆動電圧が印加される駆動電極である。
第1の電極層11は、適宜の金属材料によって形成される。
【0023】
第1の電極層11上には、接着層12を介して反射表示層13が積層されている。
接着層12の材質は、第1の電極層11と反射表示層13の表面13bとを互いに接着することができれば、特に限定されない。
【0024】
反射表示層13は、層厚方向に電界が印加されることにより、少なくとも白と黒とを切り替えて表示することができる適宜の層構成が用いられる。
本実施形態では、反射表示層13は、電界の大きさに応じて反射率が最小値(黒)から最大値(白)に漸次変化する構成が用いられている。このため、反射表示層13は、白黒の階調表現が可能になっている。
反射表示層13の反射率は、表面13bと反対側の表面13aにおいて変化すればよい。
例えば、反射表示層13は、反射型液晶方式、コレスティック液晶方式、電気泳動方式(マイクロカプセル方式等)、マイクロカップ方式、エレクトロクロミック方式等から選ばれた方式の構成が用いられてもよい。
【0025】
第2の電極層14は、反射表示層13の表面13aに積層されている透明電極である。
本実施形態では、第2の電極層14は、第1の電極層11の全体を覆う範囲に配置されている。
第1の電極層11における各駆動電極と、第2の電極層14とは、図示略のスイッチング素子を介して図示略の駆動電源に接続されている。このため、画像信号に応じてスイッチング素子が駆動されると、画像信号に応じた駆動電圧による電界が各駆動電極と第2の電極層14との間に発生するようになっている。
第2の電極層14の材質としては、例えば、酸化インジウム錫(ITO)などの導電性を有する透明材料が用いられてもよい。
【0026】
光透過性基材15は、第2の電極層14上に積層された可視光の光透過性を有する層状部である。
光透過性基材15の材質としては、例えば、ガラス基材が用いられてもよい。光透過性基材15の材質としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム等のフィルム基材が用いられてもよい。
光透過性基材15の表面15aには、後述するカラーフィルタ層17を形成するインクを保持するインク受容層16が形成されていてもよい。
後述するカラーフィルタ層17を光透過性基材15上に直接形成できる場合には、インク受容層16は省略されてもよい。しかし、カラーフィルタ層17をインクジェット法などの印刷によって形成する場合には、インク受容層16を設けることが好ましい。
本実施形態では、反射型表示ディスプレイ1がインク受容層16を備える場合の例で説明する。
【0027】
インク受容層16は、後述するカラーフィルタ層17を光透過性基材15上に保持するために形成された光透過性を有する層状部である。インク受容層16の厚さは、4μm以上10μm以下であってもよい。
インク受容層16の厚さが4μm未満の場合、インク内の溶媒を吸収しきれずに、インクの濡れ広がりが大きくなりすぎるおそれがある。また、製造上、インク受容層16の厚さを4μm未満にしようとすると、製造ばらつきによってインク受容層16が形成されない部位が生じるおそれもある。
インク受容層16が10μmを超える場合、反射表示層13と後述するカラーフィルタ層17との間の距離が大きくなりすぎる。このため、反射表示層13で反射した光が拡散して後述するカラーフィルタ層17を透過する光量が低下することによって、色再現性が低下してしまうおそれがある。
インク受容層16は、光透過性基材15において第2の電極層14と接する表面と反対側の表面15a上に積層されている。
【0028】
インク受容層16の材質としては、後述するカラーフィルタ層17を形成するためのインクを保持できる適宜材質が用いられる。インク受容層16としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルアルコール樹脂等が用いられてもよい。積層時の表面のブロッキング(貼り付き)防止性能が向上するためは、インク受容層16の材質にシリコーン樹脂が含まれていることがより好ましい。
インク受容層16は、可視光の透過率が高く、使用環境において受容したインクの変色や褪色が生じにくい特性を有する材料が用いられることがより好ましい。インク受容層16は、後述するカラーフィルタ層17を形成する際に、インクの濡れ広がりの均一性が損なわれないように膜上保持型の材料によって形成されることがより好ましい。
インク受容層16の材質の例としては、例えば、特開2000−43305号公報に記載のインクジェット記録媒体、および特開2008−272972号公報に記載のインクジェットプリンタ用記録媒体が挙げられる。
【0029】
インク受容層16の形成方法は特に限定されない。例えば、インク受容層16は、インク受容層16を形成するためのインク受容層形成用塗液が光透過性基材15上に塗工された後、乾燥または固化されることによって形成されてもよい。
インク受容層形成用塗液を形成するための溶媒の例としては、例えば、水、IPA(イソプロピルアルコール)等の水系溶媒またはアルコール系溶媒と、有機溶媒とが挙げられる。例えば、インク受容層16がウレタン樹脂を主成分とする場合には、インク受容層形成用塗液において、ウレタン樹脂に対して溶解性の高いトルエン、酢酸エチル等の有機溶剤が用いられてもよい。
インク受容層形成用塗液の塗布装置は、特に限定されない。例えば、塗布装置の例としては、ダイコーター、スピンコーター、バーコーター等が挙げられる。
インク受容層形成用塗液の乾燥方法としては、例えば、加熱、真空減圧等が用いられてもよい。インク受容層形成用塗液の固化方法としては、例えば、塗液がUV硬化性樹脂である場合に、UV光照射が用いられてもよい。
【0030】
カラーフィルタ層17は、光透過性基材15におけるインク受容層16の表面16a上に積層されている。
カラーフィルタ層17は、第1色着色層17r(着色層)、第2色着色層17g(着色層)、および第3色着色層17b(着色層)をそれぞれ複数備える。
第1色着色層17rは、第1色の波長成分のみを透過する透過波長帯域を有する。第2色着色層17gは、第2色の波長成分のみを透過する透過波長帯域を有する。第3色着色層17bは、第3色の波長成分のみを透過する透過波長帯域を有する。
第1色、第2色、および第3色は、非白色であって、互いに波長帯域が異なり、かつこれらの組み合わせによってフルカラー表示または多色表示が可能であれば特に限定されない。
第1色、第2色、および第3色の組み合わせは、フルカラー表示を行うためには、各色の透過光が混合したとき白色光になるように選ばれることが好ましい。
例えば、第1色、第2色、および第3色は、赤、緑、および青とされてもよいし、シアン、マゼンタ、イエローとされてもよい。
反射型表示ディスプレイ1において、フルカラー表示が必要ない場合には、必要な多色表示を行うための適宜の3色の組み合わせが用いられてもよい。上述した6色に加えて、例えば、黄色、紫色、オレンジ色、黄緑色などを含む群のうちから選ばれた3色が用いられてもよい。
【0031】
以下では、簡単のため、第1色着色層17r、第2色着色層17g、および第3色着色層17bを総称する場合、各着色層と表記する場合がある。
【0032】
第1色着色層17r、第2色着色層17g、および第3色着色層17bは、反射表示層13を間に挟んで、第1色用サブ画素電極11r、第2色用サブ画素電極11g、および第3色用サブ画素電極11bと対向するように配置されている。
ただし、表面16a上において、無彩色用サブ画素電極11nと対向する部位には、いずれの着色層も配置されていない。
本実施形態では、各着色層と反射表示層13の表面13aとの間は、第2の電極層14、光透過性基材15、およびインク受容層16が積層された光透過性の層状部によって離隔されている。
【0033】
次に、画素領域の構成と、カラーフィルタ層17の平面視の配置パターンとについて説明する。
図2は、本発明の実施形態のカラーフィルタの着色層の配列を示す模式的な平面図である。
【0034】
図2に、反射型表示ディスプレイ1における4つの画素領域Pにわたる各着色層の平面視の配置パターンを示す。ただし、保護層18の図示は省略されている。
図2におけるA−A断面は、
図1において、保護層18を削除した断面と同様の断面である。
図2において、X方向は図示左側から右側に向かう方向、Y方向は、図示上側から下側に向かう方向である。
カラーフィルタ層17における図示のような各着色層の配置パターンは、図示略の有効表示画面の全体にわたって、X方向(第1の方向)およびY方向(第2の方向)に反復されている。
【0035】
各画素領域Pは、反射表示層13における反射率の変更単位である矩形状のサブ画素領域がX方向に2領域、Y方向に2領域の合計4領域が互いに隣接して形成されている。
各画素領域Pにおける各サブ画素領域は、いずれも、第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13G、第3サブ画素領域13B、および第4サブ画素領域13Nの4つのサブ画素領域に分かれている。
第1サブ画素領域13Rは、第1色用サブ画素電極11rによって反射率が変更されるサブ画素領域であり、第1色用サブ画素電極11rを覆う矩形状の領域である。
第2サブ画素領域13Gは、第2色用サブ画素電極11gによって反射率が変更されるサブ画素領域であり、第2色用サブ画素電極11gを覆う矩形状の領域である。
第3サブ画素領域13Bは、第3色用サブ画素電極11bによって反射率が変更されるサブ画素領域であり、第3色用サブ画素電極11bを覆う矩形状の領域である。
第4サブ画素領域13Nは、無彩色用サブ画素電極11nによって反射率が変更されるサブ画素領域であり、無彩色用サブ画素電極11nを覆う矩形状の領域である。
【0036】
各画素領域PのX方向の幅はW
X、Y方向の幅はW
Yである。このため、各画素領域PのX方向およびY方向の配列ピッチも、それぞれW
X、W
Yである。ここで、W
X、W
Yは互いに等しくてもよいし、異なっていてもよい。
各サブ画素領域のX方向の幅はw
X(=W
X/2)、Y方向の幅はw
Y(=W
Y/2)である。例えば、w
X(w
Y)は、150μm以上、190μm以下であってもよい。以下では、具体的な数値例を挙げて各部位の寸法例を説明する場合に、一例として、w
X=w
Y=150(μm)であるとして説明することがある。
【0037】
各画素領域Pは、第1画素領域P1および第2画素領域P2のいずれかに分類される。第1画素領域P1および第2画素領域P2は、各サブ画素電極の配置に応じて互いに各サブ画素領域の配列が異なる。
第1画素領域P1の各サブ画素領域は以下のように配置されている。第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13GはY方向においてこの順に隣り合っている。第2サブ画素領域13G、第3サブ画素領域13BはX方向においてこの順に隣り合っている。第4サブ画素領域13Nは、X方向において第1サブ画素領域13Rと隣り合い、かつY方向において第3サブ画素領域13Bと隣り合っている。
第2画素領域P2の各サブ画素領域は以下のように配置されている。第2サブ画素領域13G、第1サブ画素領域13RはY方向においてこの順に隣り合っている。第2サブ画素領域13G、第3サブ画素領域13BはX方向においてこの順に隣り合っている。第4サブ画素領域13Nは、X方向において第1サブ画素領域13Rと隣り合い、かつY方向において第3サブ画素領域13Bと隣り合っている。
【0038】
第1画素領域P1および第2画素領域P2は、X方向において互いに隣り合っている。このため、X方向においては、第1画素領域P1および第2画素領域P2が交替に配列されている。
Y方向における各第1画素領域P1は、第1画素領域P1同士が互いに隣り合っている。同様に、Y方向における各第2画素領域P2は、第2画素領域P2同士が互いに隣り合っている。
このような配置パターンによって、X方向においては、第2サブ画素領域13G、第3サブ画素領域13B、第1サブ画素領域13R、および第4サブ画素領域13Nの順の配列が反復されている。X方向に延びる各行は、Y方向に隣り合う行同士の間では、互いの配置がX方向において2つのサブ画素領域分だけずれて配置されている。
Y方向においては、第1サブ画素領域13Rと第2サブ画素領域13Gとが交替して反復される第1の列と、第4サブ画素領域13Nと第3サブ画素領域13Bとが交替して反復される第2の列とが形成されている。第1の列と第2の列とは、X方向において交替に配列されている。
【0039】
このような配置パターンにおいて、有効表示画面の最外周における各サブ画素領域を除くと、各サブ画素領域同士は、X方向およびY方向において合計4つのサブ矩形領域と隣り合っており、以下のような隣接関係にある。
第1サブ画素領域13Rは、X方向において第3サブ画素領域13Bと第4サブ画素領域13Nとに隣接し、Y方向において2つの第2サブ画素領域13Gと隣接している。
第2サブ画素領域13Gは、X方向において第4サブ画素領域13Nと第3サブ画素領域13Bとに隣接し、Y方向において2つの第1サブ画素領域13Rと隣接している。
第3サブ画素領域13Bは、X方向において第2サブ画素領域13Gと第1サブ画素領域13Rとに隣接し、Y方向において2つの第4サブ画素領域13Nと隣接している。
第4サブ画素領域13Nは、X方向において第1サブ画素領域13Rと第2サブ画素領域13Gとに隣接し、Y方向において2つの第3サブ画素領域13Bと隣接している。
このため、第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13G、および第3サブ画素領域13Bは、いずれも少なくとも1つの第4サブ画素領域13Nと隣接している。
【0040】
次に、カラーフィルタ層17の各着色層の配列について説明する。
本実施形態では、各着色層の平面視の外形は、正方形を含む略矩形状(矩形の場合を含む)である。ここで、略矩形状というのは、例えば、各辺に微小な凹凸が生じたり、各角に丸みが付いたりした形状が含まれてもよいためである。
後述する種々の隙間寸法を測る場合には、各着色層の平面視の外形において最も長い直線状部分(以下、辺)から測る。例えば、外形の隅に丸みが付いている場合に、丸みの部分からの隙間寸法は無視する。
着色層の各辺に微小な凹凸が形成されている場合には、凹凸を平均した直線を辺と見なす。
【0041】
各着色層の形状は、互いに異なっていてもよいが、以下では、一例として、各着色層が同形状で構成される場合の例で説明する。
各着色層は、長手方向の幅がL(ただし、L<w
X、L<w
Y)、短手方向の幅長さがS(ただし、S≦L)の略矩形状である。着色層の各辺に微小な凹凸が形成されている場合には、上述の幅寸法L、Sは、着色層において互いに対向する辺の間隔を表す。
【0042】
各着色層は、光透過性基材15における単位矩形領域pに3つずつ配置されている。各単位矩形領域pは、画素領域Pと同じ大きさの矩形領域である。単位矩形領域pは、各第1画素領域P1、第2画素領域P2に対応して、それぞれ第1単位矩形領域p1、第2単位矩形領域p2に分類される。
第1単位矩形領域p1(第2単位矩形領域p2)は、第1画素領域P1(第2画素領域P2)と同様にX方向およびY方向にそれぞれ二等分されている。第1単位矩形領域p1(第2単位矩形領域p2)は、第1画素領域P1(第2画素領域P2)における第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13G、第3サブ画素領域13B、第4サブ画素領域13Nに対応して、それぞれ第1サブ矩形領域15R、第2サブ矩形領域15G、第3サブ矩形領域15B、第4サブ矩形領域内15Nに4等分されている。
以下では、第1単位矩形領域p1、第2単位矩形領域p2を総称する場合に、各単位矩形領域とは表記する場合がある。第1サブ矩形領域15R、第2サブ矩形領域15G、第3サブ矩形領域15B、第4サブ矩形領域内15Nを総称する場合に、各サブ矩形領域とは表記する場合がある。
【0043】
図1、
図2には、反射型表示ディスプレイ1において、反射表示層13に対するカラーフィルタC
f1の配置誤差がない場合の例が図示されている。
この場合、
図2に示すように、第1単位矩形領域p1、第2単位矩形領域p2、第1サブ矩形領域15R、第2サブ矩形領域15G、第3サブ矩形領域15B、および第4サブ矩形領域内15Nは、第1画素領域P1、第2画素領域P2、第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13G、第3サブ画素領域13B、および第4サブ画素領域13Nが、それぞれ光透過性基材15に垂直投影された矩形領域になっている。
製造誤差によって、各画素領域と各単位矩形領域、すなわち、各サブ画素領域と各サブ矩形領域とは、平面視において、互いにずれている可能性がある。この製造誤差による相対ずれ量は、X方向およびY方向それぞれにおいて最大でもΔ
eであるとする。相対ずれ量Δ
eは、製造工程の工程能力によっても異なるが、例えば、10μmである。
【0044】
第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bは、第1サブ矩形領域15R、第2サブ矩形領域15G、第3サブ矩形領域15Bに配置されている。このため、第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bは、第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13G、第3サブ画素領域13Bに対向する位置に配置されている。
したがって、単位矩形領域pにおいて、サブ矩形領域15R、15G、15Bは着色層が1つずつ配置された着色部領域になっている。これに対して、サブ矩形領域15Nは、着色層が配置されていないため、非着色部領域になっている。
【0045】
図2に示すように、各着色層は、各サブ矩形領域において、各サブ矩形領域の境界から適宜の隙間をあけて配置されている。
第1サブ矩形領域15Rにおいて、2つの第2サブ矩形領域15Gと第3サブ矩形領域15Bとに隣接する3つの境界と、これらに対向する第1色着色層17rの各辺との間には、隙間γ(第2の隙間)が形成されている。隙間γは、境界との隙間の大きさがγの隙間である。γの大きさは、表示光の混色を防止するため、製造上のばらつきを考慮しても着色層が境界を越えない大きさに選ばれている。具体的には、上述した製造誤差による相対ずれ量Δ
e以上の大きさに選ばれている。
さらに、第1サブ矩形領域15Rにおいて、第4サブ矩形領域15Nと隣接する境界とこれに対向する第1色着色層17rの辺との間には、隙間α(第1の隙間)が形成されている。隙間αは、境界との隙間の大きさがα(ただし、0≦α<γ)の隙間である。すなわち、隙間αは、特別な場合として、大きさが0の場合も含む。
このように隙間αを隙間γより狭くできるのは、第4サブ矩形領域15Nには他の着色層が配置されていないため、万一、製造誤差が生じても混色が生じるおそれがないためである。
【0046】
第2サブ矩形領域15Gにおいて、2つの第1サブ矩形領域15Rと第3サブ矩形領域15Bとに隣接する3つの境界と、これらに対向する第2色着色層17gの各辺との間には、上述した隙間γが形成されている。
さらに、第2サブ矩形領域15Gにおいて、第4サブ矩形領域15Nと隣接する境界とこれに対向する第2色着色層17gとの辺との間には、上述した隙間αが形成されている。
【0047】
第3サブ矩形領域15Bにおいて、第1サブ矩形領域15Rおよび第2サブ矩形領域15Gと隣接する2つの境界と、これらに対向する第3色着色層17bの各辺との間には、隙間δ(第2の隙間)が形成されている。隙間δは、境界との隙間の大きさがδの隙間である。δの大きさは、表示光の混色を防止するため、製造上のばらつきを考慮しても着色層が境界を越えない大きさに選ばれている。具体的には、上述した製造誤差による相対ずれ量Δ
e以上の大きさに選ばれている。δは、γに等しくてもよい。
さらに、第3サブ矩形領域15Bにおいて、2つの第4サブ矩形領域15Nと隣接する境界とこれらに対向する第3色着色層17bの各辺との間には、隙間β(第1の隙間)が形成されている。隙間βは、境界との隙間の大きさがβ(ただし、0≦β<δ)の隙間である。すなわち、隙間βは、特別な場合として、大きさが0の場合も含む。
このように隙間βを隙間δより狭くできるのは、第4サブ矩形領域15Nには他の着色層が配置されていないため、万一、製造誤差が生じても混色が生じるおそれがないためである。
【0048】
本実施形態では、各着色層の大きさが同一であるため、下記式(1)〜(4)が成り立つ。
【0050】
以上説明したように、複数の着色層のうち、X方向またはY方向において非着色部領域である第4サブ矩形領域15Nと隣り合う第1の着色部領域に配置された第1の着色層は、非着色部領域の境界に対する第1の隙間(隙間α、β)の方が、X方向またはY方向において第1の着色部領域と隣り合う第2の着色部領域との境界に対する第2の隙間(隙間γ、δ)よりも、狭くなるように配置されている。
すなわち、各着色層は、平面視において、第4サブ矩形領域15Nと隣り合う隙間α、βの方が、第1サブ矩形領域15R、第2サブ矩形領域15G、第3サブ矩形領域15Bと隣り合う隙間γ、δの方が、狭くなっている。
【0051】
本実施形態の各着色層は、X方向およびY方向において合計4つのサブ矩形領域と隣り合っている場合には、1つの非着色部領域および3つの着色部領域、または2つの非着色部領域および2つの着色部領域と隣り合うように配置されている。
【0052】
各着色層は、それぞれが配置された各着色部領域において占める面積が大きいほど好ましい。矩形領域における着色面積率C
i(i=1、2,3)を下記式(5)で定義する。
【0054】
ここで、C
1は、第1サブ矩形領域15Rにおける着色面積率、C
2は、第2サブ矩形領域15Gにおける着色面積率、C
3は、第3サブ矩形領域15Bにおける着色面積率を表す。A
1、A
2、A
3は、それぞれ、第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bの面積を表す。A
0は、各サブ矩形領域15R、15G、15Bの面積を表す。
本実施形態において、A
0=w
X・w
Yであり、各着色層の平面視形状が矩形の場合には、A
1=A
2=A
3=L・Sである。
【0055】
反射型表示ディスプレイ1においては、カラー表示の品質としては、色再現性に優れ、かつ明るい画像を表示できることが重要である。着色面積率C
iが低い場合、色再現性をあげるためには、着色層の顔料濃度あるいは層厚を上げねばならない。しかし、この場合、着色層の透過率が下がるため、カラー表示に用いる光量が低下して画面が暗くなってしまう。
これに対して、着色面積率C
iが高いと、着色層の顔料濃度もしくは層厚を低減できるため、色層の透過率が向上し、色再現性と表示の明るさとが両立できる。
【0056】
例えば、着色面積率C
iは、80%以上であってもよく、85%以上であるとより好ましい。
例えば、w
X=w
Y=150(μm)であって、相対ずれ量Δ
eが10μmであるとすると、隙間γ、δとして最低限10μmが必要である。
この場合、各着色層が平面視矩形状の場合には、各着色層の最大の着色面積率C
iは、上記式(1)、(2)において、α=0(μm)、β=5(μm)とすることにより、C
i=(130×140/150
2)×100=81(%)である。着色層の大きさを不均等にしてよい場合には、例えば、β=0(μm)とすることで、C
3のみは、C
3=(150×140/160
2)×100=93(%)とすることが可能である。
例えば、w
X=w
Y=190(μm)であって、相対ずれ量Δ
eが10μmであるとすると、隙間γ、δとして最低限10μmが必要である。
この場合、各着色層が平面視矩形状の場合には、各着色層の最大の着色面積率C
iは、上記式(1)、(2)において、α=0(μm)、β=5(μm)とすることにより、C
i=(170×180/190
2)×100=85(%)である。着色層の大きさを不均等にしてよい場合には、例えば、β=0(μm)とすることで、C
3のみは、C
3=(190×180/190
2)×100=95(%)とすることが可能である。
例えば、w
X=w
Y=190(μm)であって、相対ずれ量Δ
eが12.5μmであるとすると、隙間γ、δとして最低限12.5μmが必要である。
この場合、各着色層が平面視矩形状の場合には、各着色層の最大の着色面積率C
iは、上記式(1)、(2)において、α=0(μm)、β=6.25(μm)とすることにより、C
i=(165×177.5/190
2)×100=81(%)である。着色層の大きさを不均等にしてよい場合には、例えば、β=0(μm)とすることで、C
3のみは、C
3=(177.5×190/190
2)×100=93(%)とすることが可能である。
【0057】
このような各着色層は、インク受容層16上に各着色層の色のインクを印刷によって塗布し、固化させることによって形成される。
この場合、インクを第1色着色層17r、第2色着色層17g、および第3色着色層17bの各形成領域に塗布する塗り分けが行われることによって、ブラックマトリックスを形成することなくカラーフィルタ層17が形成される。このカラーフィルタ層17は、ブラックマトリックスによる光量損失がなくなるため、カラーフィルタ層17の透過光量がより向上する。
【0058】
カラーフィルタ層17をインク塗布によって形成する場合、インク塗布方法は、インクの塗り分けが可能な適宜のインク塗布方法が用いられる。
カラーフィルタ層17の形成に好適なインク塗布方法の例としては、例えば、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法などが挙げられる。特に、インクジェット印刷法は、第1の電極層11に対するカラーフィルタ層17の配置位置の位置合わせが容易となり、生産性も高くなる点でより好ましい。
インク受容層16上に塗工された後のインクの固化方法の例としては、加熱、送風、減圧などによって乾燥させる方法が挙げられる。例えば、インクがUVインク等のエネルギー線硬化型インクの場合には、UV光、電子線等のエネルギー線を照射する方法が挙げられる。これらの固化方法は、2種以上の組み合わせが用いられてもよい。
特に、UVインクが使用される場合、インク受容層16を設けず、光透過性基材15の表面にUVインクを直接塗布しても、カラーフィルタ層17を形成することが可能である。
【0059】
図1に示すように、保護層18は、インク受容層16およびカラーフィルタ層17を覆うように積層された光透過性を有する層状部である。保護層18は、カラーフィルタ層17を覆うことにより、カラーフィルタ層17を保護する。保護層18によって、カラーフィルタ層17が機械的な接触によって損傷したり、汚れが付着したり、吸湿したりすることが防止される。保護層18が形成される場合、保護層18は、カラーフィルタC
f1に含まれてもよい。
【0060】
保護層18の材質としては、光透過性を有する有機樹脂または光透過性を有する無機化合物が用いられる。有機樹脂の例としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられる。無機化合物の例としては、例えば、Si
3N
4、SiO
2、SiO、Al
2O
3、Ta
2O
3などが挙げられる。
保護層18は、カラーフィルタ層17を形成した後、上述の材料を塗布した後に固化することあるいは蒸着することによって形成される。
保護層18を形成するための塗布方法としては、例えば、スピンコート、ロールコート、適宜の印刷法が挙げられる。
【0061】
次に、カラーフィルタ層17をインクジェット印刷法によって形成する場合のインクについて説明する。
各着色層を形成するインク(以下、単にインクと表記する)の材料は、着色剤、バインダー樹脂、分散剤、溶媒を含んでいてもよい。
インクに含有する着色剤としては、有機顔料、無機顔料、染料などを問わず色素全般が使用できる。着色剤としては、有機顔料がより好ましく、耐光性に優れるものを用いることがさらに好ましい。
着色剤の色相は、各着色層の第1色、第2色、第3色に応じて適宜選択される。
【0062】
着色剤として使用する顔料の具体例としては、例えば、C.I.Pigment Red 9、19、38、43、97、122、123、144、149、166、168、177、179、180、192、215、216、208、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254、C.I.Pigment Blue 15、15:3、15:6、16、22、29、60、64、Pigment Green 7、36、58、C.I.Pigment Red 20、24、86、81、83、93、108、109、110、117、125、137、138、139、147、148、153、154、166、168、185、C.I.Pigment Orange 36、C.I.Pigment Violet23、C.I.Pigment Yellow150などが挙げられる。
さらに、必要な色相を得るために、これらの着色剤を含む適宜の着色剤群のうちから選ばれた2種類以上の顔料が混合された着色剤が用いられてもよい。
【0063】
インクの材料に用いるバインダー樹脂の例としては、例えば、カゼイン、ゼラチン、ポリビニールアルコール、カルボキシメチルアセタール、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラニン樹脂などが挙げられる。これらは、着色剤として用いる色素との関係にて適宜選択される。例えば、耐熱性や耐光性が要求される場合には、インクの材料に用いるバインダー樹脂として、メラミン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが用いられてもよい。
バインダー樹脂は、1種類の樹脂が単独でも用いられてもよいし、2種類以上が混合して用いられてもよい。
【0064】
インクの材料に用いる分散剤は、上述したバインダー樹脂への着色剤の分散を向上させるために用いられる。分散剤の例としては、例えば、非イオン性界面活性剤、イオン性界面活性剤などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤の例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどが挙げられる。
イオン性界面活性剤の例としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリ脂肪酸塩、脂肪酸塩アルキルリン酸塩、テトラアルキルアンモニウム塩など、その他に、有機顔料誘導体、ポリエステルなどが挙げられる。
インクに含有される分散剤は、一種類が単独で使用されてもよいし、二種類以上が混合して使用されてもよい。
【0065】
インクに使用する溶媒の特性としては、インクジェット印刷における適性を考慮すると、表面張力が35mN/m以下であって、かつ沸点が130℃以上であることがより好ましい。
溶媒において表面張力が35mN/mを超えると、インクジェット印刷における吐出時のドット形状の安定性が悪くなるおそれがある。溶媒において沸点が130℃未満であると、インクジェットノズルの近傍で乾燥しやすくなるため、ノズル詰まり等の不良が発生しやすくなるおそれがある。
溶媒の粘度は、5cps以上、20cps以下であるとより好ましい。
【0066】
インクの材料に用いる溶媒の種類の例としては、例えば、カルビトール類が挙げられる。カルビトール類の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのカルビトール系溶媒、あるいはこれらのセロソルブ類、カルビトール類のアセテート化合物などが挙げられる。
インクの材料に用いる溶媒の種類の他例としては、例えば、ガンマブチロラクトン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ブチルジグリコールアセテートなどが挙げられる。
上述した溶媒は、必要に応じて2種類以上の溶媒が混合して用いられてもよい。
【0067】
インクには、シリコーン系材料およびフッ素系材料の少なくとも一方を含む界面活性剤が添加されてもよい。
本発明者は、このような界面活性剤が添加されることにより、着色層内の色均一性が向上することを見出した。着色層内の色均一性が向上する理由は、シリコーン系材料およびフッ素系材料の少なくとも一方を含む界面活性剤が添加されることによって、インクの表面張力が下がり、インク受容層16に吐出した際の濡れ広がりがより大きくなるためであると考えられる。
シリコーン系界面活性剤の例としては、シロキサン骨格の主鎖または側鎖に、アルキルフルオロ基、メチル基、フェニル基などを有する、シリコーン樹脂やシリコーンゴムが挙げられる。
フッ素系材料系界面活性剤の例としては、含フッ素単量体または含フッ素重合体が挙げられる。含フッ素重合体の例としては、例えばフッ化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化エチレン、含フッ素脂肪族ポリカーボネート、これらの共重合体等のフッ素樹脂が挙げられる。
なお、界面活性剤は、シリコーン系材料の測鎖に、フッ素を含むフルオロアルキル基が導入された構成が用いられてもよい。
シリコーン系材料またはフッ素系材料の界面活性剤の添加量は、インクの固形分に対して、0.01重量%〜3.00重量%であってもよい。
界面活性剤の添加量が0.01重量%よりも少ない場合、濡れ広がり効果が少ない。3.00重量%を超えて添加した場合にはインクの表面張力が下がりすぎるため、インクジェットヘッドからの吐出性能が低下するおそれがある。
【0068】
次に、カラーフィルタ層17を形成するインクジェット印刷法に用いるインクジェット装置(図示略。以下同じ。)について説明する。
インクジェット装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式とがあるが、ピエゾ変換方式のインクジェット装置を用いることがより好ましい。
インクジェット装置は,載置台(図示略。以下同じ。)と、インクジェットヘッド(図示略。以下同じ。)と、載置台およびインクジェットヘッドを少なくとも載置面に平行な2軸方向に相対移動する相対移動機構(図示略。以下同じ。)とを備える。
載置台の載置面には、インク受容層16が形成された光透過性基材15を含む積層体が載置可能である。この積層体は、第2の電極層14、反射表示層13、および第1の電極層11の少なくとも一部が積層されていてもよいし、これらが積層されていなくてもよい。
【0069】
次に、インクジェット装置によるカラーフィルタ層17の形成方法について説明する。
図3は、本発明の実施形態のカラーフィルタの着色層の形成方法の一例を示す模式図である。
【0070】
図3は、インク受容層16が形成された光透過性基材15を含む積層体LBがインクジェット装置の載置台上に配置された様子を拡大して示す。第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bの形成方法は同様であるため、以下では第2色着色層17gの形成方法の例で説明する。
積層体LBは、各サブ矩形領域の配列方向であるX方向、Y方向を、それぞれインクジェット装置の相対移動機構における2軸の移動方向x方向、y方向に合わせて配置されている。
図3では、中央部に第2サブ矩形領域15Gが示されている。このとき、積層体LBは、図示略のインクジェットヘッドにインク受容層16の表面16aが向くように載置される。
【0071】
積層体LBに第1の電極層11が含まれている場合には、各サブ矩形領域の設計上の位置は、各サブ画素領域が光透過性基材15に垂直投影された領域として定義される。例えば、積層体LBには、各画素領域および各サブ画素領域のXY座標と関係づけられたアライメントマーク(図示略。以下同じ。)などが形成されていてもよい。この場合、アライメントマークの画像を読み取ることで、載置台に対する積層体LBの位置合わせが行われる。アライメントマークが形成されていない場合には、積層体LBは、例えば、インク受容層16および光透過性基材15を通して、各サブ画素電極の画像を読み取ることによって、載置台に対して位置合わせされてもよい。
この場合のカラーフィルタ層17の製造誤差は、インクジェットによる描画位置の設計値に対する位置ずれ、あるいはインクドットDの形状のばらつきなどの製造誤差が考えられる。
【0072】
積層体LBに第1の電極層11が含まれていない場合には、例えば、光透過性基材15の外形あるいは積層体LBに予め設けられたアライメントマーク(図示略。以下同じ。)などを基準にして、積層体LB上のXY座標が予め設計値に基づいて定義される。この場合、光透過性基材15の外形あるいはアライメントマークの画像を読み取ることで、載置台に対する積層体LBの位置合わせが行われる。
この場合にも、カラーフィルタ層17の製造誤差は、インクジェットによる描画位置の設計値に対する位置ずれ、あるいはインクドットDの形状のばらつきなどの製造誤差が考えられる。
【0073】
積層体LBが載置台上に配置された後、相対移動機構によってインクジェットヘッドを相対移動され、表面16a上に、各着色層を形成する各インクがインクジェット印刷によって塗布される。
例えば、第2色着色層17gに対応するインクを塗布するには、第2色に着色されたインクが供給されたインクジェットヘッドのインクノズル(図示略。以下同じ。)から、インクを表面16aに吐出させる。吐出されたインクは、インク受容層16上に着弾すると、表面16aに沿って濡れ拡がり、略円状のインクドットDが形成される。インクに上述した界面活性剤を含有すると、インクドットDのドット径および厚さがより安定する。
【0074】
インクノズルから表面16aまでの距離は、例えば、300μm以上、2000μmとすると、インクドットDの位置精度が良好になる。インクノズルから表面16aまでの距離が300μm未満であると、種々の誤差要因によってはインクジェットヘッドと積層体LBが接触するおそれが出てくる。インクノズルから表面16aまでの距離が2000μmを超えると、吐出されたインクの飛行曲がり(ミスディレクション)が発生しやすくなる。
【0075】
この後、相対移動機構によってインクジェットヘッドの位置を主走査方向および副走査方向に相対移動して、第1色着色層17rを形成する領域(以下、着色層形成領域と表記する)を、複数のインクドットDで埋めていく。ここで、主走査方向、副走査方向は、それぞれx方向、y方向でもよいし、それぞれy方向、x方向でもよい。
このとき、インクドットDの着弾位置のx方向ピッチDxと、y方向ピッチDyを適宜の間隔とすることで、着色層形成領域に、平面視矩形状で均一厚さのインク層が塗布される。
本実施形態では、相対移動機構のx方向(y方向)と、積層体LBのX方向(Y方向)とがそれぞれ合わされている。このため、x方向ピッチDxおよびy方向ピッチDyのうち主走査方向のピッチは、一定幅の帯状のラインが主走査方向に延びて形成される大きさとされる。x方向ピッチDxおよびy方向ピッチDyのうち副走査方向のピッチは、副走査方向に隣接する帯状のラインが適宜幅の重なりが生じるように設定される。
このようにして、第2色着色層17gは、外形の凹凸が抑制され平面視略矩形状に形成される。
【0076】
このようにして、各着色層形成領域に各着色層に対応するインクが塗布される。このとき、X方向またはY方向に隣り合う着色層形成領域同士は、2・γまたはγ+δの大きさの隙間があるため、インク吐出時に、隣り合う着色層形成領域におけるインク同士が混じり合うことはない。サブ矩形領域15Nに隣接している場合は、サブ矩形領域15Nに着色層形成領域がないため、やはり他のインクと混じり合うことはない。このため、着色層の混色が抑制される。
【0077】
すべての着色層形成領域にインクが塗布されて、インク層が形成されると、インクの種類に応じた固化方法によって、インク層が固化される。インク層は、例えば、加熱、送風、減圧などによって乾燥させられる。例えば、インクとしてUVインクが用いられる場合には、インク層は、UV光の照射によって固化される。
このようにして、積層体LBにおける表面16aにカラーフィルタ層17が形成される。このようにして、カラーフィルタC
f1が形成される。
積層体LBが光透過性基材15とカラーフィルタ層17とからなる場合、このようにして形成されたカラーフィルタC
f1は、適宜の反射型表示装置もしくは透過型表示装置に配置される単独のカラーフィルタとして用いられてもよい。
【0078】
本実施形態の反射型表示ディスプレイ1は、このようなカラーフィルタC
f1に、反射型表示ディスプレイ1として不足する他の構成をさらに付加することによって製造される。
例えば、カラーフィルタC
f1が、保護層18のみを欠いている場合には、カラーフィルタ層17を覆うように、保護層18が形成されることで、反射型表示ディスプレイ1が製造される。この場合、カラーフィルタ層17の各着色層は、各着色層の形成時に、各サブ画素領域と一致する各サブ矩形領域内に位置合わせして形成されている。
【0079】
例えば、カラーフィルタC
f1が、光透過性基材15およびカラーフィルタ層17からなる場合には、カラーフィルタ層17を覆うように、保護層18が形成された後、光透過性基材15においてインク受容層16と反対側の表面に、第2の電極層14、反射表示層13、接着層12、第1の電極層11、基材10が積層配置される。
この場合、カラーフィルタC
f1に付加される積層構造の製造順序、製造方法は特に限定されない。例えば、カラーフィルタC
f1上において、各層状部を順次積層、もしくは貼り付けることによって、反射型表示ディスプレイ1が製造されてもよい。例えば、予め複数の層状部を1以上の積層体として形成した後、この1以上の積層体と、カラーフィルタC
f1とを貼り合わせることによって反射型表示ディスプレイ1が製造されてもよい。
カラーフィルタC
f1が、光透過性基材15およびカラーフィルタ層17からなる場合には、カラーフィルタC
f1に対して反射表示層13を含む積層体と貼り合わされる際に、貼り合わせ誤差によって、各サブ矩形領域と各サブ画素領域との重ね合わせ誤差が生じるおそれがある。したがって、上述した相対ずれ量Δ
eには、カラーフィルタ層17の形成時の製造誤差に重ね合わせ誤差を加えた大きさとする必要がある。
【0080】
次に、本実施形態の反射型表示ディスプレイ1の作用について、カラーフィルタ層17の作用を中心として説明する。
図4は、比較例のカラーフィルタの配列を示す模式的な平面図である。
【0081】
反射型表示ディスプレイ1では、各画素領域Pにおいて、第1の電極層11と第2の電極層14との間に画像信号に応じた電圧が印加されると、反射表示層13が駆動される。すなわち、第1色用サブ画素電極11r、第2色用サブ画素電極11g、および第3色用サブ画素電極11bに印加される電圧に応じて、それらに対向する部位の反射表示層13の反射率が切り替えられる。これにより、反射表示層13の表示状態が、各サブ画素領域において白、グレー、黒等に切り替えられる。
【0082】
反射型表示ディスプレイ1に保護層18側から入射する光は、着色部領域では、着色層を透過し、着色層に対応するサブ画素領域における反射表示層13で反射された後、入射した着色層を透過して外部に出射される。このため、第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bが配置された各着色部領域からは、それぞれ第1色、第2色、第3色の光が、画像信号に応じた反射光量だけ出射される。一方、非着色部領域に入射する光は、入射光の波長成分の光が、第4サブ画素領域13Nにおける反射表示層13の反射率に応じた反射光量だけ出射される。
このようにして、各画素領域Pからは、第1色、第2色、第3色、および無彩色が画像信号に応じた割合で出射される。これらの光は加色混合されて観察される。このため、反射型表示ディスプレイ1では、各画素領域Pを表示単位として、カラー表示が行える。
ここで、第1画素領域P1と、第2画素領域P2とは、各着色層の配置は異なっているが、同一色の着色層の着色面積率は互いに等しいため、同一の画像信号が印加される場合には、同一色のカラー表示が行える。
【0083】
本実施形態では、各着色層は、平面視にて、各サブ矩形領域の範囲内に配置されており、隣り合う着色層が少なくとも2・γまたはγ+δだけ離間している。さらに、各着色層は、平面視にて第4サブ矩形領域15Nと隣り合う場合には、αまたはβの隙間が形成されている。
γ、δは、いずれも製造誤差による相対ずれ量Δ
e以上であるため、各サブ矩形領域内における着色層の位置ずれ、あるいは各サブ画素領域と各サブ矩形領域との間の位置ずれが生じても、着色層が、他の着色層に対応するサブ画素領域に進入するおそれはない。
このため、第1色(第2色、第3色)が他の色との混色を起こすことなく表示される。
このとき、α<γ、β<δであるため、各着色層は、α=γ、β=δの場合に比べて、高い着色面積率が得られる。
【0084】
この点について、
図4に示す比較例の反射型表示ディスプレイ100と対比して説明する。反射型表示ディスプレイ100は、本実施形態の反射型表示ディスプレイ1のカラーフィルタ層17に代えて、カラーフィルタ層117を備える。カラーフィルタ層117は、本実施形態のカラーフィルタ層17の第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bに代えて、第1色着色層117r、第2色着色層117g、第3色着色層117bを備える。
比較例の各単位矩形領域(各画素領域P)においては、第1サブ矩形領域15R、第2サブ矩形領域15G、第3サブ矩形領域15B、第4サブ矩形領域15N(第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13G、第1サブ画素領域13R、第4サブ画素領域13N)が、本実施形態における第1単位矩形領域p1(第1画素領域P1)におけると同様に配置されている。
このため、各単位矩形領域pに配置された第1色着色層117r、第2色着色層117g、第3色着色層117bの配列パターンは、互いに同一である。
以下では、第1色着色層117r、第2色着色層117g、第3色着色層117bを総称する場合に、比較例の各着色層と表記する場合がある。
【0085】
このようなカラーフィルタ層117では、比較例の各着色層同士は、平面視において以下のような隣接関係にある。
第1色着色層117rは、X方向において2つの第4サブ矩形領域15Nに挟まれており、Y方向において2つの第2色着色層117gと隣り合っている。
第2色着色層117gは、X方向において2つの第3色着色層117bと隣り合っており、Y方向において2つの第1色着色層117rと隣り合っている。すなわち、第2色着色層117gは、X方向およびY方向において、他の着色層に囲まれている。
第3色着色層117bは、X方向において、2つの第2色着色層117gと隣り合っており、Y方向において、2つの第4サブ矩形領域15Nに挟まれている。
【0086】
比較例のカラーフィルタ層117は、第2色着色層117gが他の着色層に囲まれているため、第2サブ画素領域13Gの各境界との間に隙間γを形成する必要がある。第1色着色層117r、第3色着色層117bは、第2色着色層117gと同一形状とされている。
すなわち、比較例の各着色層の平面視形状は、X方向の幅が、L
X=w
X−2・γ、Y方向の幅がL
Y=w
Y−2・γの矩形状とされている。
この結果、比較例の各着色層は、本実施形態の各着色層よりも面積が小さくなっており、着色面積率も低くなっている。
例えば、w
X=w
Y=150(μm)であって、各着色層が平面視矩形状の場合には、各着色層の着色面積率C
iは、C
i=(130
2/150
2)×100=75(%)である。比較例の着色面積率の数値例は、上述した本実施形態の数値例におけるC
i=81(%)と比べるとかなり低いことが分かる。
【0087】
比較例との対比によって分かるように、本実施形態において着色面積率が向上できるのは、着色層において非着色部領域に隣り合う境界の隙間を最小0μmまで低減することで、着色層を非着色領域の方に延長できるためである。このような着色層の配置は、本実施形態では、各着色層がX方向およびY方向のいずれか一方において少なくとも1つの非着色部領域と隣り合う隣接関係になっていることによって実現されている。
【0088】
次に、着色面積率と色再現性との関係について説明する。
図5は、着色面積率を変えた場合におけるインク濃度と色再現率との関係を示す実験結果を示すグラフである。
図5において、横軸は後述するインク濃度(%)、縦軸は後述する色再現率(%)を示す。
【0089】
本発明者等は、着色面積率と色再現性との関係を調べるため、インク濃度および着色面積率を種々の値に変更したカラーフィルタC
f1を作成し、これらを装着した反射型表示ディスプレイにおける色再現率を測定した。第1色、第2色、第3色は、それぞれ、赤、青、緑とした。
この実験例では、各着色層の着色面積率C
iは互いに等しい。着色面積率C
iは、70%(
図5の曲線103で示す)、75%(
図5の曲線102で示す)、80%(
図5の曲線101で示す)とされた。ただし、着色面積率C
iを80%にするため、w
X=w
Y=190(μm)としている。
インク濃度は、各着色層を形成するインクにおける顔料濃度を表す。ただし、
図5におけるインク濃度は、インクにおける顔料の重量比が4%の場合を100%とする相対値で示している。インク濃度は、40%〜145%の範囲で15%おきの8種類が用いられた。
色再現率は、NTSC比で表されている。NTSC比の測定は、分光測色計CM−700d(商品名;コニカミノルタオプティクス(株)製)が使用された。
【0090】
図5において、曲線101、102、103で示されるように、いずれのインク濃度でも、色再現率は、着色面積率が高いほど良好になっていた。
顔料濃度と色再現率の関係は、いずれの着色面積率でも、緩やかな上に凸の曲線になっており、色再現率にはあまり寄与していない。着色面積率が高いほど、顔料濃度によって色再現率が変化しやすくなる傾向にあるが、変化幅は小さい。各着色面積率における色再現率の最大値は、70%の場合、5.9%、75%の場合、7.4%、80%の場合、9.3%であった。このため、色再現率は、着色面積率を70%から75%にすると約1.3倍向上し、70%から80%にすると約1.6倍向上することが分かる。
このため、着色面積率C
iを向上することによって、反射型表示ディスプレイ1の色再現率が向上することが分かる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態のカラーフィルタを構成するカラーフィルタ層17は、2×2格子状に配列されたサブ矩形領域のうち3つにそれぞれ着色層が配置され、1つのサブ矩形領域に着色層が配置されない単位矩形領域が互いに直交する2方向に配列されたフィルタ構成を備える。
このようなフィルタ構成において、本実施形態のカラーフィルタは、着色層がX方向およびY方向のいずれか一方において少なくとも1つの非着色部領域と隣り合う隣接関係になっている。このため、各着色層において非着色部領域に隣り合う境界の隙間を最小0μmまで低減することによって、着色層を非着色領域の方に延長できる。この結果、サブ矩形領域に対する着色層の面積率(着色面積率)が向上する。
さらに本実施形態の反射型表示ディスプレイ1によれば、本実施形態のカラーフィルタを備えるため、カラー表示の色再現性を向上することができる。
【0092】
[変形例]
次に、上記実施形態の変形例のカラーフィルタについて説明する。
図6は、本発明の実施形態の変形例のカラーフィルタの着色層の配列を示す模式的な平面図である。
【0093】
図6に示すように、本変形例のカラーフィルタC
f2は、上記実施形態のカラーフィルタC
f1におけるカラーフィルタ層17に代えて、カラーフィルタ層27を備える。
カラーフィルタC
f2は、上記実施形態の反射型表示ディスプレイ1において、カラーフィルタC
f1に代えて用いることができる。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0094】
上記実施形態のカラーフィルタC
f1は、X方向およびY方向において合計4つのサブ矩形領域と隣り合っている着色層がすべて少なくとも1つの非着色部領域と隣り合っている場合の例として説明した。
これに対して本変形例のカラーフィルタC
f2は、各画素領域P中の3つの着色層のうち、1つが非着色部領域と隣り合わない場合の例である。
【0095】
カラーフィルタ層27は、上記実施形態におけるカラーフィルタ層17の第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bに代えて、第1色着色層27r(着色層)、第2色着色層27g(着色層)、第3色着色層27b(着色層)を備える。ただし、各画素領域Pに対向するインク受容層16上の矩形領域に配置された第1色着色層27r、第2色着色層27g、第3色着色層27bの配列パターンは、上述した比較例と同様であり、互いに同一である。
以下では、第1色着色層27r、第2色着色層27g、第3色着色層27bを総称する場合に、各着色層と表記する場合がある。
このため、本変形例の各単位矩形領域p(各画素領域P)においては、第1サブ矩形領域15R、第2サブ矩形領域15G、第3サブ矩形領域15B、第4サブ矩形領域15N(第1サブ画素領域13R、第2サブ画素領域13G、第1サブ画素領域13R、第4サブ画素領域13N)が、上記実施形態における第1単位矩形領域p1(第1画素領域P1)におけると同様に配置されている。
【0096】
このようなカラーフィルタ層27では、各着色層同士は、平面視において以下のような隣接関係にある。
第1色着色層27rは、X方向において2つの第4サブ矩形領域15Nに挟まれており、Y方向において2つの第2色着色層27gと隣り合っている。
第2色着色層27gは、X方向において2つの第3色着色層27bと隣り合っており、Y方向において2つの第1色着色層27rと隣り合っている。すなわち、第2色着色層27gは、X方向およびY方向において、他の着色層に囲まれている。
第3色着色層27bは、X方向において2つの第2色着色層27gと隣り合っており、Y方向において2つの第4サブ矩形領域15Nに挟まれている。
【0097】
第2色着色層27gは、X方向およびY方向において他の着色層に囲まれているため、第2サブ矩形領域15Gの各境界との間に隙間γが形成されている。
第1色着色層27r(第3色着色層27b)は、Y方向(X方向)において第2色着色層27gに挟まれているため、第1サブ矩形領域15R(第3サブ矩形領域15B)のY方向(X方向)における各境界との間に隙間μ(κ)(第2の隙間)が形成されている。隙間μ(κ)は、境界との隙間の大きさがμ(κ)の隙間である。μ(κ)の大きさは、表示光の混色を防止するため、γと同様、製造上のばらつきを考慮しても着色層が境界を越えない大きさに選ばれている。μ、κは、γ以上の適宜値が採用できる。
第1色着色層27r(第3色着色層27b)は、X方向(Y方向)において第4サブ矩形領域15Nに挟まれているため、X方向(Y方向)における第1サブ矩形領域15R(第3サブ矩形領域15B)の各境界との間に隙間ν(ε)(第1の隙間)が形成されている。隙間ν(ε)は、境界との隙間の大きさがν(ε)の隙間である。νは、0≦ν<μを満足し、εは、0≦ε<κを満足する。すなわち、隙間ν、εは、特別な場合として、大きさが0の場合も含む。
【0098】
第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bにおけるX方向(Y方向)の幅を、それぞれL
X1、L
X2、L
X3(L
Y1、L
Y2、L
Y3)と表記すると、各幅は、次式(6)〜(11)で表される。
【0100】
このような構成によれば、各着色層による混色が生じない状態として、第1サブ画素領域13R、第3サブ画素領域13Bにおける着色面積率C
1、C
3を、第2サブ画素領域13Gにおける着色面積率C
2よりも高くすることができる。したがって、着色面積率のみで第1色および第3色の色再現性を向上することができる。
第2色に関しては、相対的に第1色、第3色に比べると、相対的に着色面積率C
2が低下するため、第1色および第3色に比べると相対的な色再現性は劣る。しかし、3色中の2色の色再現性が向上するため、フルカラー表示全体としては、色再現性が向上する。
第2色に関しては、例えば、顔料濃度を適宜値に設定するなどして、着色面積率の低下を補うことができれば、3色のカラーバランスも良好に保つことができる。
【0101】
なお、上記各実施形態の説明では、カラーフィルタが反射型表示装置に用いられた場合の例で説明したため、カラーフィルタにおける単位矩形領域、サブ矩形領域が、それぞれ反射型表示装置における画素領域、サブ画素領域の大きさによって明確に規定されていた。
カラーフィルタ単体としての単位矩形領域およびサブ矩形領域の位置および大きさは、カラーフィルタの仕様によって予め規定されている。
しかし、このようなカラーフィルタの仕様が不明である場合に、本発明の構成に該当するかどうかは、以下のようにして判定することができる。
カラーフィルタの表面の画像を取得して、3つの着色層を含み、カラーフィルタ全体を2方向において等分することができる単位矩形領域の境界を特定する。各単位矩形領域の境界は、隣り合う着色層の隙間の範囲で種々の位置を取り得るため、単位矩形領域の間の境界としては、隣り合う単位矩形領域において、着色層間の隙間が平均的に等分される境界線が選ばれる。次にこのようにして特定された単位矩形領域内を4等分することによって、各サブ矩形領域の境界を定義する。次に、この各サブ矩形領域の境界と各着色層の外形との間の隙間を、カラーフィルタの表面の画像上で計測し、各隙間の関係が、本発明の隙間の範囲かどうか判定する。
【0102】
上記実施形態の説明では、各着色層の平面視形状が同一形状であるとして説明したが、着色面積率を共通であれば、各着色層の平面視の外形は同一形状でなくてもよい。
【0103】
上記実施形態および変形例の説明では、保護層18は、透明材料を塗布した後に固化することあるいは蒸着することによって形成される場合の例で説明した。
しかし、保護層18は、光透過性を有するシート基材で構成されてもよい。この場合、例えば、以下のようにして製造することが可能である。
シート基材上にカラーフィルタ層17を配置することによって、カラーフィルタが製造される。このとき、カラーフィルタ層17が形成されるシート基材の表面にはインク受容層16が形成されていてもよい。
一方、基材10、第1の電極層11、反射表示層13、第2の電極層14、および光透過性基材15は、予めカラーフィルタとは別の積層体として製造される。
反射型表示ディスプレイは、この積層体における光透過性基材15上に、適宜の透明接着剤を介して、カラーフィルタ層17を向けて上述のカラーフィルタを貼り付けることで製造される。
この場合、シート基材は、カラーフィルタの基板であるとともに、反射型表示ディスプレイとしての保護層18を兼ねている。
【実施例】
【0104】
以下、上記実施形態のカラーフィルタの実施例1〜3について比較例1、2とともに説明する。下記[表1]は、実施例1〜3、比較例1、2の主な作製条件と、評価結果とを示す。
【0105】
【表1】
【0106】
[実施例1]
[表1]に示すように、実施例1は、上記実施形態のカラーフィルタC
f1を備えた反射型表示ディスプレイ1であって、各サブ画素サイズが、150μm×150μm、各着色層の幅が140μm×130μm、隙間α、γ、β、δがそれぞれ、0μm、10μm、5μm、10μmの例である。
反射型表示ディスプレイ1の実施例1は、以下のようにして製造された。
PETからなる光透過性基材15上に、酸化インジウム錫(ITO)からなる第2の電極層14と、電気泳動表示媒体からなる反射表示層13とがこの順に積層されることで、第1の積層体が形成された。
この後、ガラスからなる基材10上に、半導体としてアモルファスシリコン、配線としてアルミチタン合金からなる第1の電極層11が形成された。第1の電極層11上に、アクリル系接着剤で形成された接着層12を介して、反射表示層13が貼り合わされた。
使用された反射表示層13の反射率は、分光測色計CM−700d(商品名;コニカミノルタオプティクス(株)製)によって、2度視野、D65光源の条件で測定したところ、白色を表示した際の白反射率が44.2%、黒色を表示した際の黒反射率が2.0%であった。
この状態の光透過性基材15上に、インク受容層16を形成するための塗液をダイコーターで塗工された後、この塗膜が乾燥されることによって、平均膜厚8μmのインク受容層16が形成された。インク受容層16を形成する塗液の材料としては、ウレタン系樹脂、トルエン、水、IPAの混合液が用いられた。乾燥には、減圧乾燥機が用いられた。
【0107】
第1の電極層11は、各サブ画素領域の大きさが、各第1画素領域P1および各第2画素領域P2において、X方向幅が150μm、Y方向幅が150μmとなるように形成された。
【0108】
カラーフィルタ層17を形成するインクは、本実施例では、第1色には赤(以下、R)、第2色には緑(以下、G)、第3色には青(以下、B)が用いられた。
すなわち、R(G、B)の顔料を着色剤がバインダー樹脂、分散剤、および溶媒の混合液に混合されることでインクジェット印刷用のRインク(Gインク、Bインク)が製造された。
これらのインクをインクジェット印刷装置によってインク受容層16上に描画することで、それぞれ、第1色着色層17r、第2色着色層17g、第3色着色層17bのパターンが塗工された。
インクジェット印刷装置としては、セイコーインスツルメンツ(株)製の12pl、180dpi(2.54cm当たり180ドット)のインクジェットヘッドが搭載されたインクジェット印刷装置が用いられた。
塗工されたインクは、減圧乾燥機にて5分乾燥された。これにより、カラーフィルタ層17が形成された。
各着色層は略矩形状に形成された。各着色層の幅は、L=140(μm)、S=130(μm)とされた。さらに、各着色層と各サブ矩形領域の境界との隙間は、α=0(μm)、γ=10(μm)、β=5(μm)、δ=10(μm)とされた。
各着色面積率は、C
1=C
2=C
3=81(%)であった。
【0109】
この後、カラーフィルタ層17の上に、PETフィルムからなる保護層18が積層された。
このようにして、上記実施形態の実施例1の反射型表示ディスプレイ1が製造された。
【0110】
[実施例2]
[表1]に示すように、実施例2は、各サブ画素サイズが、190μm×190μm、各着色層の幅が177.5μm×160μm、隙間α、γ、β、δがそれぞれ、0μm、12。5μm、6.25μm、12.5μmである以外は、上記実施例1と同様に製造された。このため、各着色面積率は、C
1=C
2=C
3=81(%)であった。
【0111】
[実施例3]
[表1]に示すように、実施例3は、各サブ画素サイズが、190μm×190μm、各着色層の幅が180μm×170μm、隙間α、γ、β、δがそれぞれ、0μm、10μm、5μm、10μmである以外は、上記実施例1と同様に製造された。このため、各着色面積率は、C
1=C
2=C
3=85(%)であった。
【0112】
[比較例1、2]
比較例1、2は、それぞれ、各サブ画素サイズが150μm×150μm、190μm×190μmの場合の比較例の反射型表示ディスプレイ100の例である。
比較例1、2は、各着色層の配列パターンと平面視の外形が異なる点を除いて、実施例1と同様にして製造された。
比較例1では、各着色層の幅は、L
X=130(μm)、L
Y=130(μm)とされた。このため、比較例1では、隙間γは実施例1と同様、γ=10(μm)とされた。着色面積率は、各着色面積率は、C
1=C
2=C
3=75%であった。
比較例2では、各着色層の幅は、L
X=165(μm)、L
Y=165(μm)とされた。このため、比較例2では、隙間γは実施例2と同様、γ=12.5(μm)とされた。着色面積率は、各着色面積率は、C
1=C
2=C
3=75%であった。
【0113】
[評価]
実施例1〜3、比較例1、2の反射型表示ディスプレイの評価としては、白色反射率と、色再現性との評価が行われた。これらの評価は、分光測色計CM−700d(商品名;コニカミノルタオプティクス(株)製)によって、2度視野、D65光源の条件にて行われた。
上記[表1]に、実施例1〜3、比較例1、2の評価結果を示す。
【0114】
白色反射率は、第1の電極層の各サブ画素電極を白色に駆動した状態で、反射率が測定された。[表1]に記載されたように、実施例1〜3、比較例1、2の白色反射率の測定値は、それぞれ、17.4%、18.0%、17.1%、18.8%、19.4%であった。
すなわち、着色面積率が高いと白色反射率は低くなる傾向はあったが、その差は小さかった。反射型表示装置において、必要とされる白色反射率は15%以上であるため、いずれも、白色反射率としては良好であった。
【0115】
色再現性の評価では、第1色、第2色、第3色を表示するサブ画素電極をそれぞれ個別に駆動して「赤」、「緑」、「青」の表示が行われた場合の表示色の分光測定に基づいてNTSC比が求められた。[表1]には、各表示色のL*、a*、b*、Yの測定値と、NTCS比が記載されている。ここで、L*、a*、b*は、L*a*b*色空間におけるL*座標、a*座標、b*座標の値、YはXYZ色空間におけるY座標の値である。
[表1]に記載されたように、実施例〜3、比較例1、2の色再現性を示すNTCS比の測定値は、それぞれ、9.9%、9.7%、11.3%、7.1%、7.5%であった。
このように、実施例1〜3では、比較例1、2に比べて着色面積率が高くなっているとともに、色再現性が向上している。具体的には、実施例1では、比較例1に比べて着色面積率が6%向上したことによって、NTSC比が約1.4倍に向上している。同様にサブ画素サイズが異なる実施例2では、比較例2に比べて着色面積率が6%向上したことによって、NTSC比が約1.4倍に向上している。さらに、実施例3では、比較例2に比べて着色面積率が10%向上したことによって、NTSC比が約1.5倍に向上している。
【0116】
以上、本発明の好ましい実施形態、変形例を実施例とともに説明したが、本発明はこれら実施形態、変形例、および実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。