(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抑え部材は、前記記録材積載部に対して新たな記録材が供給される前には、前記記録材積載部から退避しており、当該新たな記録材が当該記録材積載部に供給された後に、当該記録材積載部に向かって進出する請求項1に記載の記録材処理装置。
前記抑え部材は、前記記録材積載部に新たな記録材が供給される度に当該記録材積載部に向かって進出するとともに、当該新たな記録材が予め定められたサイズよりも大きい場合には、当該新たな記録材が供給される際の当該進出を行わない請求項1に記載の記録材処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、画像形成システム500の構成を示した図である。
画像形成システム500は、記録材の一例である用紙Pに対してカラーの画像を形成する画像形成装置1と、画像形成装置1による画像形成が行われた用紙Pに対して綴じ等の後処理を行う記録材処理装置2とを備える。
【0009】
画像形成手段の一例としての画像形成装置1には、各色画像データに基づいて画像形成を行う4つの画像形成ユニット100Y,100M,100C,100K(「画像形成ユニット100」とも総称する)が設けられている。
また、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100に設けられた感光体ドラム107を露光するレーザ露光装置101が設けられている。さらに、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100にて形成された各色のトナー像が多重転写される中間転写ベルト102が設けられている。
【0010】
また、画像形成装置1には、各画像形成ユニット100にて形成された各色トナー像を中間転写ベルト102に順次転写(一次転写)する一次転写ロール103、中間転写ベルト102上に転写された各色トナー像を用紙Pに一括転写(二次転写)する二次転写ロール104、二次転写された各色トナー像を用紙P上に定着する定着装置105が設けられている。また、画像形成装置1には、プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)により構成され、画像形成装置1の各部の動作を制御する本体制御部106が設けられている。
【0011】
画像形成装置1の各画像形成ユニット100では、感光体ドラム107への帯電工程、レーザ露光装置101からの走査露光による感光体ドラム107での静電潜像形成工程、形成された静電潜像への各色トナーの現像工程等を経て、各色のトナー像が形成される。
各画像形成ユニット100に形成された各色トナー像は、一次転写ロール103により中間転写ベルト102上に順次静電転写される。そして、各色トナー像は、中間転写ベルト102の移動に伴って二次転写ロール104の設置位置へ搬送される。
【0012】
また、画像形成装置1には、異なるサイズや異なる紙種の用紙Pが、それぞれ用紙収容部110A〜110Dに収容されている。
そして、用紙Pへの画像形成時には、例えば、ピックアップロール111により用紙収容部110Aから用紙Pが取り出され、搬送ロール112によって1枚ずつレジストロール113の位置まで搬送される。
【0013】
そして、中間転写ベルト102上の各色トナー像が、二次転写ロール104の配置位置に搬送されるタイミングに合わせて、レジストロール113から用紙Pが供給される。
これにより、各色トナー像は、二次転写ロール104により形成された転写電界の作用によって、用紙P上に一括して静電転写(二次転写)される。
【0014】
その後、各色トナー像が二次転写された用紙Pは、中間転写ベルト102から剥離されて定着装置105に搬送される。定着装置105では、熱および圧力による定着処理により、各色トナー像が用紙P上に定着される。
その後、用紙Pは、搬送ロール114によって画像形成装置1の用紙排出部Tから排出され記録材処理装置2へ供給される。記録材処理装置2は、画像形成装置1の用紙排出部Tの下流側に配置され、画像が形成された用紙Pに対して穴あけや綴じ等の後処理を行う。
【0015】
図2は、記録材処理装置2の構成を示した図である。
記録材処理装置2には、画像形成装置1の用紙排出部Tに接続されたトランスポートユニット21、トランスポートユニット21により搬送されてきた用紙Pに対して予め定められた処理を施すフィニッシャユニット22が設けられている。
【0016】
また、記録材処理装置2には、プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)により構成され、記録材処理装置2の各部を制御する用紙処理制御部23が設けられている。用紙処理制御部23は、不図示の信号ラインで本体制御部106(
図1参照)と接続され、相互に制御信号等の送受信を行う。
【0017】
記録材処理装置2のトランスポートユニット21には、2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施すパンチ機能部30が設けられている。
また、このトランスポートユニット21には、画像形成装置1にて画像形成された後の用紙Pをフィニッシャユニット22に向けて搬送する複数の搬送ロール211が設けられている。
【0018】
一方、フィニッシャユニット22には、フィニッシャユニット本体221が設けられている。また、フィニッシャユニット22には、記録材積載部の一例としての用紙積載部60が設けられている。この用紙積載部60では、用紙Pが予め定められた枚数だけ積載されて、用紙束が生成される。
さらに、フィニッシャユニット22には、用紙積載部60に向けて用紙Pを搬送する搬送ロール222、用紙積載部60へ搬送される用紙Pを検知する用紙検知センサS、用紙積載部60にて生成された用紙束の端部に対して綴じ(端綴じ)を実行する綴じユニット51が設けられている。
【0019】
また、フィニッシャユニット22には、回転可能に設けられ用紙積載部60にて生成された用紙束の搬送に用いられる搬送ロール61が設けられている。さらに、回転軸62Aを移動中心として揺動可能に設けられ、搬送ロール61から退避した位置、および、搬送ロール61に接触する位置へ移動する可動ロール62が設けられている。
ここで、搬送ロール61および可動ロール62の各々は、回転部材であり、用紙積載部60に用紙束が生成されると、この用紙束に接触して回転する。これにより、用紙束がスタッカー80へ送られる。スタッカー80は、保持する用紙束の量に応じて上下動する。
【0020】
用紙積載部60には、用紙Pを下方から支持する支持部材67が設けられている。
支持部材67は、板状に形成され、水平方向および鉛直方向に対して傾斜した状態で配置されている。支持部材67は、用紙Pを下方から支持する記録材支持面の一例としての用紙支持面67Aを有する。
【0021】
さらに、本実施形態では、支持部材67の上に供給された用紙Pを、支持部材67の端部に位置するエンドガイド64に向けて付勢する第1パドル691、第2パドル692が設けられている。言い換えると、用紙Pに接触して、この用紙Pが延びる方向に用紙Pを付勢する第1パドル691、第2パドル692が設けられている。
第1パドル691は、エンドガイド64に近い側に位置し、第2パドル692は、エンドガイド64から離れた側に位置する。
【0022】
また、本実施形態では、用紙束の幅方向に移動可能に設けられ(
図2の紙面と直交する方向に移動可能に設けられ)、用紙束の幅方向における位置を揃える揃え部材65が設けられている。
揃え部材65は、2つ設けられ、一方の揃え部材65は、用紙束の幅方向における一方側に配置され、他方の揃え部材65は、用紙束の幅方向における他方側に配置されている。
【0023】
記録材処理装置2による処理が行われる際には、まず、記録材処理装置2のトランスポートユニット21に、画像形成装置1からの用紙Pが供給される。トランスポートユニット21では、パンチ機能部30による穴あけが行われた後、搬送ロール211によって、用紙Pがフィニッシャユニット22に送られる。
【0024】
なお、穴あけの指示が無い場合には、用紙Pは、パンチ機能部30による穴あけ処理は行われずに、そのままの状態でフィニッシャユニット22に送られる。
そして、フィニッシャユニット22に送られた用紙Pは、搬送ロール222によって用紙積載部60へ供給される。なお、本実施形態では、この際、用紙Pの先端および後端が、用紙検知センサSによって検知される。
【0025】
用紙積載部60へ供給される用紙Pは、用紙積載部60の上方まで搬送された後に用紙積載部60に落下する。そして、この用紙Pは、支持部材67の用紙支持面67Aによって下方から支持される。さらに、この用紙Pは、用紙支持面67Aに付与された傾斜および回転する第1パドル691、第2パドル692によって、支持部材67の上をスライド移動する。そして、用紙Pは、支持部材67の端部に位置するエンドガイド64に突き当たる。
【0026】
さらに、本実施形態では、用紙積載部60へ用紙Pが供給されると、用紙Pの幅方向における端部(側部)が、揃え部材65により押圧され、用紙P(用紙束)の幅方向における位置が揃えられる。
以後、用紙Pが上流側から搬送されてくる度にこれらの動作が行われ、用紙積載部60には、用紙Pの端部が揃えられた状態の用紙束が生成される。
【0027】
第1パドル691および第2パドル692の各々は、図中矢印に示すように、時計周り方向に回転駆動を行う。
さらに、第1パドル691および第2パドル692の各々は、径方向における外側方向に突出する複数の突出部93を有する。より具体的には、第1パドル691および第2パドル692の各々は、円筒状の基体92と、この基体92の外周面から外側方向に突出した複数の突出部93とを備える。
【0028】
第1パドル691および第2パドル692の各々は、樹脂材料により形成され、また、突出部93の各々は、長方形状の弾性片により形成されている。
また、本実施形態では、突出部93の各々は、基体92の接線方向および径方向の両者に対して傾斜した状態で配置されている。また、突出部93の各々は、第1パドル691および第2パドル692の回転方向における上流側に向かうように突出している。
【0029】
ここで、第1パドル691および第2パドル692の各々は、時計周り方向に回転して、用紙積載部60の供給された用紙Pをエンドガイド64に向けて付勢する。
また、回転部材の一例としての第2パドル692は、新たな用紙Pが用紙積載部60に供給される度に、用紙積載部60に向かって進出する。
【0030】
具体的には、第2パドル692は、新たな用紙Pが用紙積載部60に供給されると、用紙積載部60に向かって進出する。そして、第2パドル692の突出部93が、この新たな用紙Pに接触して、この新たな用紙Pは、エンドガイド64に向けて付勢される。その後、第2パドル692は、上方へ移動して用紙積載部60から退避する。
なお、本実施形態では、可動ロール62も、用紙積載部60に対して新たな用紙Pが供給される度に、用紙積載部60に対して進退する(詳細は後述)。
【0031】
用紙積載部60に(用紙支持面67Aの上に)、予め定められた枚数の用紙Pが積載されると(用紙束が生成されると)、綴じユニット51よって、用紙束の端部に対する綴じ処理が実行される。
ここで、綴じユニット51は、ステープラを用いて、綴じ処理を行う。なお、用紙束に対する綴じ処理は、ステープルを用いずに行ってもよく、例えば一対の押圧歯で用紙束を押圧して行ってもよい。
【0032】
用紙束に対する綴じ処理が終了すると(用紙束の生成が終了すると)、可動ロール62が搬送ロール61に向かって進出し、可動ロール62と搬送ロール61との間に位置する用紙束に対して、可動ロール62および搬送ロール61が押し付けられる。言い換えると、可動ロール62および搬送ロール61によって、用紙束が挟まれる。
その後、搬送ロール61、可動ロール62が回転し、綴じ処理が施された用紙束がスタッカー80へ移動する。
【0033】
図3は、可動ロール62および第2パドル692等の詳細な構造を示した図である。
図3に示すように、本実施形態では、第2パドル692の左側に、設置部材の一例としての進出体300が設置されている。
この進出体300は、第2パドル692との間に間隙G1を有した状態で設置されている。また、本実施形態では、この進出体300に、可動ロール62が取り付けられている。より具体的には、進出体300のうちの第2パドル692に近い側の端部に、可動ロール62が取り付けられている。
【0034】
さらに、進出体300は、進出体300の図中左端部を貫通する回転軸62Aにより支持されており、この回転軸62Aを中心に回転を行う。
本実施形態では、進出体300が時計周り方向へ回転することで、可動ロール62が用紙積載部60に向かって進出する。また、進出体300が反時計回り方向へ回転することで、可動ロール62が用紙積載部60から退避する。
【0035】
さらに、本実施形態では、進出体300を用紙積載部60に対して進退させる進退機構310が設けられている。
進退機構310は、不図示のステッピングモータにより回転する回転軸310Aと、この回転軸310Aを中心に回転する回転部材310Bと、この回転部材310Bの先端部と進出体300とを連結する連結部材310Cとを備える。
本実施形態では、回転部材310Bが回転軸310Aを中心に回転することで、連結部材310Cが用紙積載部60に対して進退し、これにより、進出体300が用紙積載部60に対して進退する。
【0036】
さらに、第2パドル692を用紙積載部60に対して進退させるパドル進退機構400が設けられている。
パドル進退機構400には、不図示の駆動源により回転する円形の駆動部材410が設けられている。また、パドル進退機構400には、駆動部材410の外周部と第2パドル692とを接続する接続部材420が設けられている。さらに、第2パドル692が予め定められた経路に沿って移動するように、第2パドル692を案内する案内部材(不図示)が設けられている。
パドル進退機構400では、駆動部材410が回転することで、接続部材420が用紙積載部60に対して進退し、これにより、第2パドル692が用紙積載部60に対して進退する。
【0037】
さらに、本実施形態では、第2の設置部材の一例としてのカバー部材480が設けられている。
カバー部材480は、用紙束Tの排出に用いる排出口490の上部に設けられている。また、カバー部材480は、第2パドル692を挟み、進出体300が設けられている側とは反対側に設けられている。さらに、このカバー部材480は、第2パドル692との間に間隙G2を有した状態で設置されている。
【0038】
さらに、本実施形態では、用紙Pの移動を規制する規制部材90が設けられている。
この規制部材90は、進出体300の下部に取り付けられている。さらに、規制部材90は、進出体300に取り付けられた部分を始点とした場合に、カバー部材480に向かって延び、さらに、このカバー部材480の下方を通って、カバー部材480の外側まで達している。
さらに、
図3では、用紙積載部60から進出体300が退避している状態を示しているが、この状態では、カバー部材480の下端部480Aに対して規制部材90が押し当てられている。
【0039】
さらに、本実施形態では、進出体300と、カバー部材480の下端部480Aとの間に、第2パドル692を通すための開口89が設けられた形となっているが、規制部材90は、この開口89を横断する形で設けられている。
さらに、本実施形態の規制部材90は、樹脂製の板材により形成され弾性を有している。
【0040】
図4は、
図3の矢印IV方向から第2パドル692、進出体300、規制部材90等を眺めた場合の図である。
本実施形態では、第2パドル692は、4個設けられ、この4個の第2パドル692は、図中左右方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向)に並べられている。また、この4個の第2パドル692は、共通の回転軸692Aにより支持され、この回転軸692Aから駆動力を受けて回転する。
また、第2パドル692よりも下方には、進出体300が位置する。進出体300には、2個の可動ロール62が取り付けられている。この2個の可動ロール62も、共通の回転軸62Bにより支持されている。
【0041】
さらに、本実施形態では、進出体300の幅方向における中央部に、規制部材90が取り付けられている。規制部材90は、可動ロール62を支持する回転軸62B、第2パドル692を支持する回転軸692Aの下方を通って図中手前側方向に延びている。
また、本実施形態では、4個の第2パドル692のうちの中央に位置する2個の第2パドル692の間に、規制部材90が位置する。また、2個の可動ロール62の間に、規制部材90が位置する。
【0042】
図5は、進出体300に取り付ける前の規制部材90を示した図である。言い換えると、自然状態の規制部材90を示した図である。
本実施形態の規制部材90は、長手方向における中央部にて曲げ加工が施されており、規制部材90は、反り返るように形成されている。言い換えると、下方に向かって凸となるように屈曲した状態で形成されている。
【0043】
規制部材90は、進出体300に対して取り付けられる基部90Aと、この基部90Aに接続されるとともに基部90Aに対して角度を有して配置された傾斜部90Bと備える。
ここで、基部90Aと傾斜部90Bとのなす角度θは、鈍角となっている。さらに、本実施形態では、傾斜部90Bの先端部にて、規制部材90の一部が、基部90A側に折り返され、本実施形態の規制部材90は、折り返し部90Cを有する。
【0044】
図3を参照し、第2パドル692等の動きを説明する。
ここで、本実施形態では、
図3に示す状態から第2パドル692が下降し、第2パドル692の突出部93が、用紙束Tの端部YTに接触する。
なお、本実施形態では、用紙束Tを生成する際、第2パドル692は常時回転しており、第2パドル692は、回転をしながら用紙積載部60に対する進退を行う。
【0045】
ここで、本実施形態では、用紙Pのサイズが小さい場合、
図3に示すように、第2パドル692の直下に、用紙P(用紙束T)の端部YTが位置する。
かかる場合、用紙Pに第2パドル692が接触すると、この端部YTをめくろうとする力が用紙Pに作用し、用紙Pの端部YTが、用紙Pの厚み方向へ移動する。言い換えると、用紙Pの端部YTが、図中上方へ移動して、用紙Pが浮き上がろうとする。
【0046】
この場合、この端部YTが、第2パドル692と進出体300との間の間隙G1に入り込むおそれがある。
間隙G1に用紙Pの端部YTが入ると、次に供給されてきた新たな用紙Pの移動が、間隙G1に入ったこの用紙Pにより規制され、用紙Pの積載乱れや用紙Pの詰まりが生じてしまう。
【0047】
本実施形態では、間隙G1への用紙Pの入り込みを防止するため、規制部材90を設けている。本実施形態では、用紙Pの端部YTが間隙G1へ向かおうとすると、この端部YTが、規制部材90に突き当たる。言い換えると、本実施形態では、間隙G1を跨ぐように規制部材90が設置され、間隙G1に向かおうとする用紙Pの移動が規制される。
これにより、間隙G1への端部YTの進入が抑制される。そして、この場合、用紙Pの積載乱れや用紙Pの詰まりが起きにくくなる。
【0048】
なお、本実施形態では、カバー部材480と第2パドル692との間にも間隙G2があり、この間隙G2にも、用紙Pの端部YTが入るおそれがある。
これに対し、本実施形態では、この間隙G2の部分にも規制部材90が設けられており(間隙G2を跨ぐように規制部材90が設けられており)、カバー部材480と第2パドル692との間の間隙G2に用紙Pが入ることも抑制される。
【0049】
規制部材90は、新たに供給される用紙Pの移動方向に沿うように設けられている。
具体的には、本実施形態では、用紙積載部60に新たに供給される用紙Pは、
図3の矢印3Aで示す方向に沿って移動する。規制部材90は、この矢印3Aで示す方向に沿うように設けられている。
【0050】
これにより、規制部材90が用紙Pの移動方向に沿っていない場合に比べ、用紙積載部60に新たに供給される用紙Pをより円滑に移動させられる。
言い換えると、新たに供給される用紙Pの移動方向に規制部材90を沿わせれば、仮に規制部材90に用紙Pが接触しても、この用紙Pは下流側へ移動しやすくなる。
【0051】
図6(A)、(B)は、規制部材90の動きを説明する図である。
図6(A)は、用紙積載部60に対して第2パドル692が進出した際の規制部材90の状態を示した図である。
本実施形態では、用紙積載部60に対して第2パドル692が進出すると、規制部材90は、第2パドル692により押圧されて、その一部が用紙積載部60側に向かうように曲がる(弾性変形する)。
本実施形態では、第2パドル692(の回転軸692A)の移動経路上に規制部材90が位置しているが、規制部材90が弾性変形を行うため、第2パドル692の移動が、規制部材90によって妨げられることはない。
【0052】
ここで、本実施形態では、
図5にて示したように、規制部材90の先端部が、基部90A側に折り返され、本実施形態の規制部材90は、折り返し部90Cを有する。
これにより、規制部材90を構成する基材の縁が、用紙Pに接触することが抑制され、用紙Pに傷などが生じることが抑制される。
【0053】
ここで、
図6(A)に示す例では、規制部材90が、用紙積載部60側に向かって突出しており、規制部材90の先端部が、用紙積載部60上の用紙Pに接触するおそれがある。
より具体的には、
図6(A)にて示す用紙Pよりもサイズが大きい用紙Pが積載された場合には、この用紙Pに対して、規制部材90の先端部が接触するおそれがある。
【0054】
ところで、本実施形態では、規制部材90の先端部が折り返されており、本実施形態では、用紙Pに対して、規制部材90が接触する場合、折り曲げ部90Cと傾斜部90Bとが接続する接続部分90D(
図5参照)が、用紙Pに接触する。これにより、用紙Pに傷などが生じることが抑制される。
【0055】
ここで、本実施形態では、規制部材90の製造にあっては、材料である板材を切断して、規制部材90の元となる基材を形成し、その後、この基材に対して曲げ加工を施して上記の規制部材90を形成する。このような工程を経て製造される規制部材90は、その周縁が荒れている場合も想定され、この周縁の部分を用紙Pに接触させると、用紙Pに傷が生じるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、上記のように、折り曲げ部90Cと傾斜部90Bとが接続する接続部分90Dが、用紙Pに接触する。かかる場合、基材の周縁の部分が用紙に接触することが避けられ、用紙Pに傷が生じることが抑制される。
【0056】
図6(B)は、進出体300(可動ロール62)が用紙積載部60に進出した際の規制部材90の状態を示した図である。
本実施形態では、上記のように、規制部材90は反り返っている。このため、
図6(B)に示すように、進出体300が進出しても、規制部材90の傾斜部90B側は、カバー部材480に向かい、カバー部材480に接触する。
【0057】
これにより、本実施形態では、進出体300が進出した後も、進出体300とカバー部材480の間に位置する開口89(
図3参照)が塞がれる。
付言すると、本実施形態では、進出体300が進出しても、規制部材90は、間隙G1(
図3参照)、間隙G2を跨ぐように配置され、進出体300が進出しても、間隙G1、間隙G2への用紙Pの進入が抑制される。
【0058】
また、本実施形態では、
図6(B)に示すように、進出体300が用紙積載部60へ進出した状態において、規制部材90の傾斜部90B(規制部材90の一部分)は、図中右方向に進むに従い、用紙積載部60の用紙束Tから次第に離れるように傾斜した状態で配置される。
【0059】
より具体的に説明すると、本実施形態では、進出体300には可動ロール62が取り付けられ、進出体300は、用紙積載部60の用紙Pを一方向(図中、矢印6Cで示す方向)へ送り出す機能を有する。
本実施形態では、進出体300が用紙積載部60へ進出した状態において(
図6(B)にて示す状態において)、規制部材90のうちのこの一方向における下流側部分(傾斜部90Bの部分)は、この一方向における下流側に進むに従い、用紙積載部60の用紙束Tから次第に離れるように傾斜する。言い換えると、この下流側部分は、この一方向に対して傾斜した状態で配置される。
【0060】
これにより、本実施形態では、一方向における下流側に進むに従い、用紙積載部60の用紙束Tに規制部材90が接近する場合に比べ、進出体300による用紙Pの送り出しをより円滑に行える。
ここで、一方向における下流側に進むに従い規制部材90が用紙束Tに接近する場合、スタッカー80(
図2参照)へ用紙束Tを移動させる際に、この用紙束Tが規制部材90に接触し、用紙束Tが移動しにくくなるおそれがある。
【0061】
また、一方向における下流側に進むに従い規制部材90が用紙束Tに接近する場合、進出体300が用紙積載部60へ進出した際に、用紙束Tに対して規制部材90が接触して、用紙束Tに含まれる用紙Pの位置ずれが生じるおそれがある。
付言すると、本実施形態では、用紙積載部60に新たな用紙Pが供給される度に、進出体300を用紙積載部60へ進出させるが(詳細は後述)、この際に、用紙束Tに対して規制部材90が接触すると、用紙束Tに含まれる用紙Pの位置ずれが生じるおそれがある。
これに対し、本実施形態のように、規制部材90が反り返っていると、用紙積載部60への進出体300の進出時に、用紙Pに規制部材90が接触することが抑制され、用紙Pの位置ずれが抑制される。
【0062】
なお、上記では、規制部材90が進出体300に取り付けられた構成を一例に説明した。言い換えると、規制部材90が、移動体である進出体300に対して取り付けられた構成を一例に説明した。ところで、規制部材90の取り付け先は、進出体300に限らず、記録材処理装置2の本体側としてもよい。
具体的には、例えば、
図7(記録材処理装置2の他の構成例を示した図)に示すように、カバー部材480に対して規制部材90を取り付けてもよい。
【0063】
この場合、用紙積載部60への第2パドル692の進出時、規制部材90は、破線で示すように変形する。
この場合も、第2パドル692により浮き上がろうとする用紙Pの端部YTは、規制部材90によりその移動が規制される。そして、この場合も、用紙Pの端部YTが、進出体300と第2パドル692との間に位置する間隙G1や、カバー部材480と第2パドル692との間に位置する間隙G2に入ることが抑制される。
【0064】
図8(A)、(B)、(C)は、可動ロール62の動きを説明する図である。
本実施形態では、上記のように、スタッカー80へ用紙束Tを移動させる際に、可動ロール62を用紙積載部60に向けて進出させる。
さらに、本実施形態では、用紙積載部60へ新たな用紙Pが供給される度に、可動ロール62を用紙積載部60に向けて進出させる。より具体的には、用紙積載部60へ新たに供給される度に、用紙積載部60への可動ロール62の進出、および、用紙積載部60から可動ロール62の退避を行う。
【0065】
図8(A)は、用紙Pの後端が用紙検知センサSにより検知された際の、可動ロール62、第2パドル692等の状態を示している。
本実施形態では、
図8(A)に示すように、新たに供給された用紙Pの後端が、用紙検知センサSにより検知されると、第2パドル692が用紙積載部60に向かって進出する。
第2パドル692が用紙積載部60に向かって進出すると、新たに供給されたこの用紙Pに第2パドル692が接触するようになり、この用紙Pは、エンドガイド64に向けて付勢される。
【0066】
ここで、本実施形態では、上記にて説明したように、第2パドル692を進出させると、用紙Pの端部YTに第2パドル692が接触して、この端部YTが、第2パドル692により持ち上げられる場合がある。
そして、この場合、上記のように、この端部YTが、間隙G1(
図3参照)や間隙G2に入り込むおそれがある。
【0067】
そこで、本実施形態では、
図8(A)の矢印8Aに示すように、可動ロール62(進出体300)を、用紙積載部60に向けて進出させる。
付言すると、本実施形態では、規制部材90を上記のように設けるのに加えて、可動ロール62を用紙積載部60に向けて進出させる。
【0068】
より具体的には、本実施形態では、用紙Pの後端が用紙検知センサSにより検知されてから、予め定められた時間が経過した後に、進退機構310(
図3参照)を駆動し、可動ロール62を用紙積載部60に向けて進出させる。
より具体的には、本実施形態では、用紙積載部60へ進出させた第2パドル692の退避を開始した後に、用紙積載部60への可動ロール62の進出を開始する。
【0069】
さらに説明すると、本実施形態では、用紙積載部60に対して新たな用紙Pが供給される前、可動ロール62は、用紙積載部60から退避しているが、新たな用紙Pが用紙積載部60に供給された後に、用紙積載部60に向けて可動ロール62が進出する。
【0070】
ここで、第2パドル692の退避を開始する前に、可動ロール62を進出させてしまうと、第2パドル692を用いエンドガイド64に向けて移動させようとしている用紙Pが、この可動ロール62に接触して移動しにくくなるおそれがある。
このため、本実施形態では、用紙積載部60からの第2パドル692の退避を開始した後に、用紙積載部60への可動ロール62の進出を開始する。
【0071】
なお、用紙積載部60へ供給される用紙Pが予め定められたサイズよりも大きい場合には、可動ロール62の進出を行わない処理を行ってもよい。
用紙Pのサイズが予め定められたサイズよりも大きい場合には、用紙Pの端部YTへの第2パドル692の接触が起きず、用紙Pの浮き上がりが生じないためである。
【0072】
ここで、用紙Pのサイズが大きい場合にも可動ロール62の進出を行う場合、必要でないにも関わらず、可動ロール62を進出させることになり、用紙Pの移動経路により近い箇所に、可動ロール62が位置することになる。かかる場合、可動ロール62に対して、供給された用紙Pが接触する可能性が高まり、用紙Pの移動が規制される可能性が高まる。
これに対し、可動ロール62を移動させない構成の場合、可動ロール62への不必要な用紙Pの接触が避けられ、用紙Pをより円滑に移動させられるようになる。
【0073】
図8(B)は、用紙積載部60へ可動ロール62を進出させた後の状態を示している。
用紙積載部60への可動ロール62の進出を行うと、可動ロール62が、用紙積載部60の用紙束Tに接近する。これにより、浮き上がろうとする用紙Pの移動が規制される。
【0074】
ここで、本実施形態では、
図8(B)に示すように、可動ロール62は、支持部材67が有する用紙支持面67Aに載っている用紙束Tを挟み、この用紙支持面67Aの対向位置に配置される。
本実施形態では、用紙積載部60への可動ロール62の進出時、可動ロール62は、用紙支持面67Aに向かって進出し、用紙支持面67A上の用紙Pの一方の面に対向配置される。これにより、浮き上がろうとする用紙Pは、可動ロール62に接触して、その移動が規制される。
【0075】
さらに説明すると、本実施形態では、第2パドル692が、用紙Pの端部YTに接触すると、用紙Pの厚み方向にこの端部YTが変位する。
この際、本実施形態では、この端部YTの対向位置に、抑え部材の一例としての可動ロール62が位置しており、この端部YTの変位(用紙Pの厚み方向への変異)が抑えられる。
【0076】
図8(C)は、新たな用紙Pがさらに搬送されてきた際の、可動ロール62および第2パドル692の状態を示した図である。
本実施形態では、上流側から新たに用紙Pが搬送されてくると、この用紙Pの先端部が用紙検知センサSにより検知される。そして、この場合、本実施形態では、矢印8Cで示すように、可動ロール62が上方へ退避する。
これにより、新たな用紙Pが可動ロール62に接触することが抑制され、この新たな用紙Pの移動が可動ロール62により規制されることが抑制される。
【0077】
その後、本実施形態では、用紙積載部60に対して新たな用紙が順次供給される。そして、用紙積載部60に、予め定められた枚数の用紙Pが積載されると(用紙束Tが生成されると)、綴じユニット51(
図2参照)による綴じ処理が行われる。
その後、本実施形態では、可動ロール62が、用紙積載部60に向かって再び進出し、可動ロール62と搬送ロール61とにより用紙束Tが挟まれる。そして、可動ロール62および搬送ロール61が回転し、用紙束Tはスタッカー80へ搬送される。
【0078】
なお、上記にて説明した処理では、
図8(B)に示すように、可動ロール62を用紙積載部60に向けて進出させた際に、可動ロール62を用紙束Tに押し当てないが、可動ロール62をより多く進出させて、用紙積載部60の用紙束Tに対して可動ロール62を押し当ててもよい。
この場合、用紙束Tに対して可動ロール62を押し当てない場合に比べ、用紙積載部60の用紙束Tの膨らみの低減を図れる。
【0079】
ここで、本実施形態では、可動ロール62の進退は、ステッピングモータを用いて行っており、可動ロール62の位置の調整を行える(可動ロール62の進退量の調整を行える)。
可動ロール62を用紙積載部60により近い位置まで進出させるようにすれば、上記のように、用紙束Tに対して可動ロール62を押し当てられる。
【0080】
また、上記では、可動ロール62を利用して、用紙積載部60の用紙Pの変位(用紙Pの厚み方向への変位)を抑えたが、変位を抑えるための専用の部材を設置して、用紙Pの変位を抑えてもよい。
さらに、上記では、用紙積載部60に対して用紙Pが搬送されてくる度に、可動ロール62を進退させたが、用紙束Tを構成する1枚目の用紙Pが搬送されてくる際に、可動ロール62を進出させ、用紙束Tを構成する最後の用紙Pが搬送されてくるまでの間、可動ロール62を進出させたままの状態としてもよい。
【0081】
さらに、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数に応じて、可動ロール62の進出位置を変更してもよい。
具体的には、例えば、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数が予め定められた枚数よりも少ない場合は、第1の位置まで可動ロール62を進出させ、用紙束Tを構成する用紙Pの枚数がこの予め定められた枚数以上である場合には、この第1の位置よりも用紙積載部60から離れた第2の位置へ可動ロール62を進出させてもよい。
【0082】
また、用紙積載部60に対して新たな用紙Pが供給されるに従い、可動ロール62の進出位置を、用紙積載部60から次第に離してもよい。
具体的には、用紙積載部60に積載された用紙Pの枚数が予め定められた枚数よりも少ない場合には、第1の位置まで可動ロール62を進出させ、用紙Pの積載枚数が次第に増加し、用紙積載部60に積載された用紙Pの枚数が予め定められた枚数以上となった場合には、この第1の位置よりも用紙積載部60から離れた第2の位置へ可動ロール62を進出させてもよい。
【0083】
(その他)
第2パドル692が用紙束Tの端部YTに接触することにより生じる用紙Pの浮き上がりは、
図9(記録材処理装置2の他の構成例を示した図)に示す構成例によっても、その発生を抑えられる。
図9に示す構成例では、エンドガイド64を第2パドル692に近づくように移動させて、用紙Pの積載箇所を第2パドル692側にずらしている。
具体的には、この構成例では、用紙Pのサイズが予め定められたサイズよりも小さい場合に、エンドガイド64を第2パドル692に近づくように移動させ、用紙Pの積載箇所を第2パドル692側にずらしている。
【0084】
これにより、用紙束Tの生成箇所が第2パドル692側にずれ、第2パドル692の直下から外れた箇所に、用紙束Tの端部YTが位置するようになる。そして、この場合、用紙束Tの端部YTへの第2パドル692の接触を避けられ、用紙Pの浮き上がりが抑制される。
なお、この構成例では、エンドガイド64を移動させて、用紙Pの積載箇所を移動させたが、エンドガイド64とは異なる他の部材を移動させて、用紙Pの積載箇所を移動させてもよい。
【0085】
また、本実施形態の画像形成システム500では、
図1、
図2に示したように、綴じ機構、穴あけ機構を備えた記録材処理装置2を一例に説明したが、記録材処理装置2には、その他に、折り機構や、冊子作成部などの機構部を設置してもよい。