(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
照明ユニットが、検査位置にセットされた検査対象物に照明光を照射している状態で、カメラによって撮像された画像を処理し、前記検査対象物に生じている欠陥を検出する欠陥検査方法であって、
前記照明ユニットの第1の照明部を発光させ、第1の方向から、前記検査位置にセットされた前記検査対象物に照明光を照射し、
前記照明ユニットの第2の照明部を発光させ、前記第1の方向とは異なる第2の方向から、前記検査位置にセットされた前記検査対象物に前記第1の照明部が照射する照明光と同じ色の照明光を照射し、
前記照明ユニットの第3の照明部を発光させ、前記第1の方向、および前記第2の方向とは異なる第3の方向から、前記検査位置にセットされた前記検査対象物に前記第1の照明部が照射する照明光と異なる色の照明光を照射し、
また、前記第1の方向は、前記第1の照明部によって前記検査対象物に照射された照明光であって、前記検査対象物で反射された正反射光の光軸を、前記カメラの光軸に合わせた方向にしており、
前記第1の照明部、前記第2の照明部、および前記第3の照明部のそれぞれが、前記検査位置にセットされた前記検査対象物に照明光を照射している状態で前記カメラによって撮像された画像について、前記第1の照明部、および前記第2の照明部が照射する照明光の色に応じた色彩の第1の色彩画像、および前記第3の照明部が照射する照明光の色に応じた色彩の第2の色彩画像を生成し、前記第1の色彩画像で検出され、前記第2の色彩画像で検出されなかった欠陥を色彩欠陥として検出し、前記第1の色彩画像、および前記第2の色彩画像で検出された欠陥を凹凸欠陥として検出する、欠陥検査方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の欠陥検査装置は、検査対象物の光沢のムラを欠陥(色彩欠陥)として検出するものである。したがって、特許文献1の欠陥検査装置では、検査対象物が光沢にムラがある物品であると、欠陥検査を適正に行うことができない。
【0007】
光沢にムラがある検査対象物とは、検査面の反射率が一様でない物品であり、例えばフレキシブル基板(FPC基板)、プリント基板、表面に模様が描かれている物品(模様の上にコーティング層が形成されている物品を含む)である。FPC基板や、プリント基板は、回路パターン(導体パターン)が形成されており、通常は金属薄膜で形成されている。しかしながら、金属薄膜の表面は、その加工上の問題で表面に反射率の高い所(鏡面)と低い所(拡散面)がまだら的に存在し、光沢ムラが発生している。
【0008】
この発明の目的は、検査対象物が光沢にムラがある物品であっても、色彩欠陥や凹凸欠陥の検査が適正に行える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の
欠陥検査装置は、上記目的を達するために、以下のように構成している。
この欠陥検査装置は、照明ユニットと、カメラと、画像処理ユニットとを備える。
【0010】
この照明ユニットは、検査位置にセットされた検査対象物をカメラで撮像するときに、この検査対象物に照明光を照射する。照明ユニットは、第1の照明部と、第2の照明部と、第3の照明部と、を備えている。
【0011】
第1の照明部は、第1の方向から、検査位置にセットされた検査対象物に照射される照明光を発光する。第2の照明部は、第2の方向から、検査位置にセットされた検査対象物に照射される照明光を発光する。第3の照明部は、第3の方向から、検査位置にセットされた検査対象物に照射される照明光を発光する。第1の方向、第2の方向、および第3の方向は、それぞれ異なる方向である。
【0012】
また、第2の照明部、または第3の照明部の少なくとも一方は、第1の照明部が照射する照明光と同じ色の照明光を発光する。ここで言う同じ色の照明光とは、波長が完全に一致しているという限定的な意味に解釈されるものではなく、類似色であってもよい。また、第1の照明部が照射する照明光の色は、欠陥と背景の差が大きくなる色にするのが好ましい。さらに、第1の方向は、第1の照明部によって検査対象物に照射された照明光であって、検査対象物で反射された正反射光の光軸を、カメラの光軸に合わせた方向である。
【0013】
なお、ここで言う、検査対象物で反射された正反射光の光軸を、カメラの光軸に合わせるとは、この正反射光の光軸とカメラの光軸とを一致させているという限定的な意味で解釈されるものではなく、これらの光軸のなす角度が、比較的小さい(例えば10°未満)という意味で解釈されるものである。
【0014】
カメラは、第1の照明部によって照射された照明光であって、検査対象物で反射された正反射光、および第2の照明部、および第3の照明部によって照射された照明光であって、検査対象物で反射された拡散反射光を各画素で受光する。
【0015】
第1の照明部によって照射された照明光であって、カメラの各画素で受光される正反射光は、照射した照明光の色の正反射率が高い領域ほど光量が大きくなる。一方、第2の照明部、および第3の照明部によって照射された照明光であって、カメラの各画素で受光される拡散反射光は、照射した照明光の色の正反射率が高い領域ほど光量が小さくなる。したがって、検査対象物が光沢にムラがある物品であっても、第1の照明部によって照射される照明光の光量、および第1の照明部と同じ色の照明光を照射する第2の照明部、または第3の照明部によって照射される照明光の光量を調整することで、第1の照明部によって照射された色の照明光について、カメラの各画素で受光される光量を略均一にできる。すなわち、検査対象物が光沢にムラがある物品であっても、検査対象物の光沢のムラを打ち消した画像をカメラで撮像することができる。また、検査対象物が光沢にムラがない物品であっても、検査対象物の光沢に応じた画像をカメラで撮像することができる。
【0016】
また、異物が付着している等の色彩欠陥が生じている場所や、傷や打痕がある凹凸欠陥が生じている場所については、対応する画素で受光される反射光の光量が減少する。したがって、カメラで撮像した画像には、色彩欠陥、および凹凸欠陥が生じている場所が適正に撮像されている。
【0017】
このため、カメラで撮像した画像は、検査対象物の光沢のムラが消失し、異物が付着している色彩欠陥や、キズや打痕による凹凸欠陥が撮像された画像になる。したがって、検査対象物が光沢にムラがある物品であるか、光沢にムラがない物品であるかにかかわらず、色彩欠陥や凹凸欠陥の検査が適正に行える。
【0018】
また、第2の照明部を、第1の照明部が照射する照明光と同じ色の照明光にするとともに、第3の照明部を、第1の照明部が照射する照明光と異なる色の照明光にしてもよい。
【0019】
第3の照明部が照射した照明光であって、凹凸欠陥が生じている場所に対応する画素で受光される反射光の光量と、凹凸欠陥が生じていない場所に対応する画素で受光される反射光の光量と、が異なる。したがって、カメラで撮像した画像であって、第3の照明部が照射した色の色彩画像を処理することで、検査対象物の色彩欠陥と、凹凸欠陥と、を区別して検出できる。
【0020】
また、第3の照明部が照射した照明光は、生じている凹凸欠陥の傾斜で正反射する。このため、第1の方向と第2の方向とがなす角度を、第1の方向と第3の方向とがなす角度よりも大きくする(言い換えれば、第1の方向と第3の方向とがなす角度を、第1の方向と第2の方向とがなす角度よりも小さくする。)ことで、第3の照明部が照射した照明光であって、凹凸欠陥が生じている場所に対応する画素で受光される反射光の光量を、色彩欠陥が生じている場所に対応する画素で受光される反射光の光量よりも大きくすることができる。
【0021】
さらに、第1の方向は、カメラの光軸に合わせた方向にし、第1の照明部による照明光を所謂同軸落射照明にしてもよい。
【0022】
なお、ここで言う、第1の方向を、カメラの光軸に合わせるとは、第1の方向と、カメラの光軸とを一致させるという限定的な意味で解釈されるものではなく、第1の方向と、カメラの光軸とのなす角度が、比較的小さい(例えば10°未満)という意味で解釈されるものである。
【0023】
そして、画像処理ユニットは、カメラによって撮像された画像を処理し、検査対象物に生じている欠陥を検出する。
【0024】
上述したように、この欠陥検査装置であれば、カメラで撮像した画像は、検査対象物の光沢のムラが消失し、異物が付着している色彩欠陥や、キズや打痕による凹凸欠陥が撮像された画像になる。
【0025】
画像処理ユニットは、撮像部によって撮像された画像について、第1の照明部が照射する照明光の色に応じた色彩の第1の色彩画像、および第3の照明部が照射する照明光の色に応じた色彩の第2の色彩画像を生成し、第1の色彩画像、および第2の色彩画像によって、検査対象物に生じている
異物が付着している色彩欠陥と、キズや打痕による凹凸欠陥と、を区別して検出する。
【0026】
この欠陥検査装置であれば、検査対象物の光沢のムラが消失し、異物が付着している色彩欠陥と、キズや打痕による凹凸欠陥と、をそれぞれ異なる反射光の色で区別して検出できる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、検査対象物が光沢にムラがある物品であっても、色彩欠陥や凹凸欠陥の検査が適正に行える。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明の実施形態である欠陥検査装置について説明する。
【0030】
図1は、欠陥検査装置の主要部の構成を示すブロック図である。
図2(A)は、欠陥検査装置の上面概略図であり、
図2(B)は、欠陥検査装置の正面概略図である。欠陥検査装置1は、制御ユニット2と、照明ユニット3と、画像処理ユニット4と、検査対象物搬送ユニット5と、表示ユニット6と、操作ユニット7と、を備えている。この欠陥検査装置1が検査する検査対象物は、光沢にムラがある物品であってもよいし、光沢にムラがない物品であってもよい。
【0031】
制御ユニット2は、欠陥検査装置1本体を構成する各ユニットを制御する。
【0032】
照明ユニット3は、検査位置にセットされた検査対象物に対して照明光を照射する。照明ユニット3は、制御ユニット2の指示にしたがって、検査対象物に照射する照明光の色や光量を制御する。この照明ユニット3の詳細については、後述する。
【0033】
画像処理ユニット4には、カメラ10が接続されている。カメラ10は、n×m個の受光素子をマトリクス状に配列した撮像素子を有し、カラー画像を撮像できるものである。撮像素子の各受光素子が、画素である。カメラ10は、検査対象物がセットされる検査位置を撮像エリア内に収めるように取り付けている。画像処理ユニット4は、カメラ10で撮像した検査対象物の画像を処理し、この検査対象物に生じている欠陥を検出する。画像処理ユニット4が検出する欠陥は、色彩欠陥、および凹凸欠陥である。色彩欠陥は、検査対象物の製造工程時や製造工程後に、異物や汚れが付着するなどして生じた欠陥である。凹凸欠陥は、検査対象物の製造工程時における成形不良や、製造工程後に何かにぶつけるなどして生じたキズや打痕である。欠陥検査装置1は、画像処理ユニット4が欠陥を検出しなかった検査対象物を良品とし、画像処理ユニット4が欠陥を検出した検査対象物を不良品とする。
【0034】
なお、カメラ10は、対象物を撮像する構成、および撮像した対象物のカラー画像を出力する構成を有するものであればよい。例えば、カメラ10は、モノクロカメラであって、R、G、Bの成分毎に撮像した画像を合成し、出力するものであってもよい。
【0035】
検査対象物搬送ユニット5は、検査対象物をセットするテーブル51を備えている。このテーブル51は、欠陥検査装置1本体の筐体から突出させた位置(
図2に示す位置)と、欠陥検査装置1本体の筐体内部に収納した位置との間で移動自在に取り付けている。テーブル51は、図示していないサーボモータにより、両位置間で移動させる構成である。検査対象物搬送ユニット5が、制御ユニット2からの指示にしたがって、このサーボモータを制御する。また、テーブル51は、載置された検査対象物を真空吸着により保持する構成(不図示)を備えている。検査対象物搬送ユニット5が、制御ユニット2からの指示にしたがって、テーブル51に載置された検査対象物の真空吸着を行う。テーブル51が欠陥検査装置1本体の筐体内部に収納された位置であるとき、このテーブル51に載置されている検査対象物が検査位置に位置する。
【0036】
表示ユニット6は、欠陥検査装置1本体正面に設けた2つの表示器61、62における画面表示を制御する。表示器61は、検査対象物の検査にかかる操作手順等の案内画面を表示する。表示器62は、検査対象物の検査結果等の確認画面を表示する。2つの表示器61、62は、1つの表示器61で構成してもよい。
【0037】
操作ユニット7は、欠陥検査装置1本体に対するオペレータの操作を受け付ける。操作ユニット7は、表示器61、62の画面に貼付したタッチパネル71、72等の入力デバイスを有する。
【0038】
次に、照明ユニット3について詳細に説明する。照明ユニット3は、検査位置を覆う形状である。
図3は、カメラの光軸方向における照明ユニットの断面図である。
図4は、
図3に示すA方向に矢視した照明ユニットの平面図である。照明ユニット3には、カメラ10が取り付けられている。カメラ10は、検査位置に位置する検査対象物を上方から撮像する向きに取り付けている。すなわち、カメラ10は、撮像素子が検査位置に位置する検査対象物の検査面に対向するように取り付けている。カメラ10によって撮像される面が、検査対象物の検査面である。照明ユニット3は、カメラ10と検査位置との間に配置したハーフミラー31を備える。カメラ10は、ハーフミラー31を通して、検査位置に位置する検査対象物を撮像する。
【0039】
また、照明ユニット3は、照明光を、検査位置に位置する検査対象物に照射する第1の照明部32、第2の照明部33、第3の照明部34、および第4の照明部35を備えている。
【0040】
第1の照明部32は、ハーフミラー31と略同じ高さに設けた第1の照明室32Aに配置している。ここで言う高さ方向は、カメラ10の光軸方向である。第1の照明部32は、発光色が赤色である赤色LED32R、発光色が緑色である緑色LED32G、および発光色が青色である青色LED32Bを1組の発光素子群とし、この発光素子群を1組以上有している。赤色LED32R、緑色LED32G、青色LED32Bは、発光面をハーフミラー31に向けて取り付けている。赤色LED32R、緑色LED32G、青色LED32Bの少なくとも1つを発光させることにより照射される光が、第1の照明部32の照明光である。第1の照明部32の照明光は、ハーフミラー31によって、カメラ10の光軸に合わせた方向(この発明で言う第1の方向に相当する。)から、検査位置に位置する検査対象物に照射される。すなわち、第1の照明部32の照明光は、検査対象物で反射された正反射光がカメラ10の各画素で受光される方向に照射される同軸落射照明である。
【0041】
なお、この発明で言う第1の方向は、検査位置に位置する検査対象物に照射される照明光の方向であり、第1の照明部32の赤色LED32R、緑色LED32G、青色LED32Bの発光面の向きを規定するものではない。また、第1の照明部32によって検査位置に位置する検査対象物に照射される照明光の方向をカメラ10の光軸に合わせるとは、この方向とカメラ10の光軸とが一致していると限定的に解釈されるものではなく、この方向とカメラ10の光軸とのなす角度は、検査対象物の面積の他、カメラ10のレンズ特性に応じて適正となる比較的小さい角度(例えば10°未満)という意味で解釈されるものである。
【0042】
照明ユニット3は、制御ユニット2からの指示にしたがって、第1の照明部32が有する赤色LED32R、緑色LED32G、および青色LED32B毎に、発光を制御するとともに、発光光量を制御する。
【0043】
また、第2の照明部33は、第2の照明室33Aに配置され、第3の照明部34は、第3の照明室34Aに配置され、第4の照明部35は、第4の照明室35Aに配置されている。第2の照明室33A、第3の照明室34A、および第4の照明室35Aは、カメラ10の光軸を中心とする円の外周側から、この順に設けられている。
図3、および
図4に示すように、第2の照明室33A、第3の照明室34A、および第4の照明室35Aは、カメラ10の光軸を中心とするリング形状の空間である。
【0044】
第2の照明部33は、発光色が赤色である赤色LED33R、発光色が緑色である緑色LED33G、および発光色が青色である青色LED33Bを1組の発光素子群とし、この発光素子群を複数組有している。第2の照明部33は、複数組の発光素子群を第2の照明室33Aにリング状に配置している。赤色LED33R、緑色LED33G、および青色LED33Bは、発光面を下側(検査位置側)に向けて取り付けている。
【0045】
また、第3の照明部34は、発光色が赤色である赤色LED34R、発光色が緑色である緑色LED34G、および発光色が青色である青色LED34Bを1組の発光素子群とし、この発光素子群を複数組有している。第3の照明部34は、複数組の発光素子群を第3の照明室34Aにリング状に配置している。赤色LED34R、緑色LED34G、および青色LED34Bは、発光面を下側(検査位置側)に向けて取り付けている。
【0046】
また、第4の照明部35は、発光色が赤色である赤色LED35R、発光色が緑色である緑色LED35G、および発光色が青色である青色LED35Bを1組の発光素子群とし、この発光素子群を複数組有している。第4の照明部35は、複数組の発光素子群を第4の照明室35Aにリング状に配置している。赤色LED35R、緑色LED35G、および青色LED35Bは、発光面を下側(検査位置側)に向けて取り付けている。
【0047】
また、第2の照明室33Aと、第3の照明室34Aとの間には、遮光板36を設け、第2の照明部33の照明光が第3の照明室34Aに入射するのを防止しているとともに、第3の照明部34の照明光が第2の照明室33Aに入射するのを防止している。また、第3の照明室34Aと、第4の照明室35Aとの間には、遮光板37を設け、第3の照明部34の照明光が第4の照明室35Aに入射するのを防止しているとともに、第4の照明部35の照明光が第3の照明室34Aに入射するのを防止している。
【0048】
赤色LED33R、緑色LED33G、青色LED33Bの少なくとも1つを発光させることにより照射される光が、第2の照明部33の照明光である。照明ユニット3は、制御ユニット2からの指示にしたがって、第2の照明部33が有する赤色LED33R、緑色LED33G、および青色LED33B毎に、発光を制御するとともに、発光光量を制御する。
【0049】
また、赤色LED34R、緑色LED34G、青色LED34Bの少なくとも1つを発光させることにより照射される光が、第3の照明部34の照明光である。照明ユニット3は、制御ユニット2からの指示にしたがって、第3の照明部34が有する赤色LED34R、緑色LED34G、および青色LED34B毎に、発光を制御するとともに、発光光量を制御する。
【0050】
また、赤色LED35R、緑色LED35G、青色LED35Bの少なくとも1つを発光させることにより照射される光が、第4の照明部35の照明光である。照明ユニット3は、制御ユニット2からの指示にしたがって、第4の照明部35が有する赤色LED35R、緑色LED35G、および青色LED35B毎に、発光を制御するとともに、発光光量を制御する。
【0051】
第2の照明室33Aには、赤色LED33R、緑色LED33G、および青色LED33Bの発光面に対向させて配置した拡散板38が取り付けられている。第3の照明室34Aには、赤色LED34R、緑色LED34G、および青色LED34Bの発光面に対向させて配置した拡散板39が取り付けられている。第4の照明室35Aには、赤色LED35R、緑色LED35G、および青色LED35Bの発光面に対向させて配置した拡散板40が取り付けられている。拡散板38は、第2の照明部33の照明光を検査位置に照射する向きに傾斜させて取り付けている。拡散板39は、第3の照明部34の照明光を検査位置に照射する向きに傾斜させて取り付けている。拡散板40は、第4の照明部35の照明光を検査位置に照射する向きに傾斜させて取り付けている。拡散板38、39、40の傾斜方向は同じであるが、カメラ10の光軸に対する拡散板38、39、40の傾斜角は、それぞれ異なっている。
【0052】
第2の照明部33の赤色LED33R、緑色LED33G、および青色LED33Bの少なくとも1つの色を発光させた光は、拡散板38を通して検査位置に照射される。第2の照明部33の赤色LED33R、緑色LED33G、および青色LED33Bの2つ以上の色のLEDを発光させた場合は、第2の照明室33Aで混合され、拡散板38を通して検査位置に照射される。第3の照明部34の赤色LED34R、緑色LED34G、および青色LED34Bの少なくとも1つを発光させた光は、拡散板39を通して検査位置に照射される。第3の照明部34の赤色LED34R、緑色LED34G、および青色LED34Bの2つ以上の色のLEDを発光させた場合は、第3の照明室34Aで混合され、拡散板39を通して検査位置に照射される。第4の照明部35の赤色LED35R、緑色LED35G、および青色LED35Bの少なくとも1つを発光させた光は、拡散板40を通して検査位置に照射される。第4の照明部35の赤色LED35R、緑色LED35G、および青色LED35Bの2つ以上の色のLEDを発光させた場合は、第4の照明室35Aで混合され、拡散板38を通して検査位置に照射される。上述したように、カメラ10の光軸に対する拡散板38、39、40の傾斜角は、それぞれ異なっているので、第2の照明部33、第3の照明部34、および第4の照明部35が検査位置に位置する検査対象物に照射する照明光の照射角度は、それぞれ異なる。
【0053】
例えば、第2の照明部33の赤色LED33R、緑色LED33G、および青色LED33Bの少なくとも1つを発光させたことによる照明光は、カメラ10の光軸とのなす角度が60°程度である方向(この発明で言う、第2の方向に相当する。)から検査位置に位置する検査対象物に照射される。第3の照明部34の赤色LED34R、緑色LED34G、および青色LED34Bの少なくとも1つを発光させたことによる照明光は、カメラ10の光軸とのなす角度が37°程度である方向(この発明で言う、第3の方向に相当する。)から検査位置に位置する検査対象物に照射される。第4の照明部35の赤色LED35R、緑色LED35G、および青色LED35Bの少なくとも1つを発光させたことによる照明光は、カメラ10の光軸とのなす角度が20°程度である方向から検査位置に位置する検査対象物に照射される。
【0054】
この発明で言う第2の方向は、検査位置に位置する検査対象物に照射される照明光の方向であり、第2の照明部33の赤色LED33R、緑色LED33G、青色LED33Bの発光面の向きを規定するものではない。また、この発明で言う第3の方向は、検査位置に位置する検査対象物に照射される照明光の方向であり、第3の照明部34の赤色LED34R、緑色LED34G、青色LED34Bの発光面の向きを規定するものではない。
【0055】
また、上記の説明から明らかなように、第2の照明部33が照明光を照射する方向と、第1の照明部32が照明光を照射する方向(カメラ10の光軸)とのなす角度は、第3の照明部34が照明光を照射する方向と、第1の照明部32が照明光を照射する方向(カメラ10の光軸)とのなす角度よりも大きい。また、第3の照明部34が照明光を照射する方向と、第1の照明部32が照明光を照射する方向(カメラ10の光軸)とのなす角度は、第4の照明部35が照明光を照射する方向と、第1の照明部32が照明光を照射する方向(カメラ10の光軸)とのなす角度よりも大きい。
【0056】
また、この例では、検査位置に位置する検査対象物に対して斜め方向から照明光を照射する照明部を第2の照明部33、第3の照明部34、および第4の照明部35の3つにしているが、検査対象物に対して斜め方向から照明光を照射する照明部は2つ以上であれば、いくつであってもよい。
【0057】
次に、この例の欠陥検査装置1が、欠陥が生じているかどうかの検査を行う検査対象物について説明する。
図5は、この例の検査対象物であるFPC生基板を示す平面図である。
図5に示すように、FPC生基板100には、FPC基板101が複数(
図5に示す例では10個)形成されている。FPC生基板100から切断したFPC基板101が、電子機器等の部品として使用される。FPC生基板100は、回路パターン(
図5においてハッチングで示す部分)が形成されている金属薄膜の反射率が、製造工程上の理由で局所的に光沢ムラが生じる場合がある。すなわち、FPC生基板100上の回路パターン表面は、光沢にムラがある検査対象物である場合がある。
【0058】
次に、欠陥検査装置1において、FPC生基板100に形成されている各FPC基板101に欠陥が生じていないかどうかを検査する処理について説明する。
図6は、欠陥検査装置の動作を示すフローチャートである。
【0059】
オペレータは、表示器61に表示されている操作案内画面にしたがって、検査対象物であるFPC生基板100を本体外側に位置しているテーブル51に載置する。テーブル51には、FPC生基板100の載置位置を合わせるための突起等が形成されている。欠陥検査装置1は、操作ユニット7において、欠陥検査開始にかかるオペレータの操作を受け付けると、FPC生基板100をテーブル51に真空吸着する。また、欠陥検査装置1は、テーブル51を本体内部に移動させ、真空吸着しているFPC生基板100を検査位置にセットする(s1)。
【0060】
欠陥検査装置1は、照明ユニット3による、検査位置にセットしたFPC生基板100に対する照明制御を行う(s2)。s2では、照明ユニット3は、第1の照明部32、および第2の照明部33については、1または2つの色のLEDを発光させ、残りのLEDを発光させない。また、照明ユニット3は、第3の照明部34、および第4の照明部35については、第1の照明部32、および第2の照明部33において発光させていない1つ、または2つの色のLEDを発光させ、残りのLEDを発光させない。
【0061】
第1の照明部32、および第2の照明部33において発光させるLEDの色は、検査対象物に応じて決めればよい。具体的には、第1の照明部32、および第2の照明部33において発光させるLEDは、検査対象物(この例では、FPC生基板100上の回路パターン表面)の色に対して、反射特性がよい色にすればよい。第3の照明部34、および第4の照明部35において発光させるLEDは、第1の照明部32、および第2の照明部33において発光させていない発光素子もしくは、検査対象物から拡散反射しづらい色で選択すればよい。
【0062】
この例では、照明ユニット3は、第1の照明部32、および第2の照明部33については、赤色LED32R、33Rおよび青色LED32B、33Bを発光させ、緑色LED32G、33Gを発光させない。また、照明ユニット3は、第3の照明部34、および第4の照明部35については、赤色LED34R、35Rおよび青色LED34B、35Bを発光させず、緑色LED34G、35Gを発光させる。また、照明ユニット3は、このとき、第1の照明部32、第2の照明部33、第3の照明部34、および第4の照明部35毎に、発光させるLEDの発光光量を制御する。
【0063】
また、ゆるい傾斜の凹凸欠陥に対しては、回路パターンの色の反対色を用いると、S/N比を向上できる。
【0064】
なお、照明ユニット3は、制御ユニット2からの指示にしたがって、s2にかかる照明制御を行う。
【0065】
欠陥検査装置1は、検査位置にセットされ、照明ユニット3によって照明光が照射されているFPC生基板100をカメラ10で撮像する撮像処理を行う(s3)。
【0066】
欠陥検査装置1は、カメラ10で撮像した撮像画像を処理し、第1の照明部32、および第2の照明部33により照射した照明光に応じた色(この例では、マゼンダ)の色彩画像(この発明で言う、第1の色彩画像に相当する。)と、第3の照明部34、および第4の照明部35により照射した照明光に応じた色(この例では、緑)の色彩画像(この発明で言う、第2の色彩画像に相当する。)を用いて画像フィルタ処理を行う(s4)。
【0067】
s3の撮像処理では、第1の照明部32がFPC生基板100に照射した照明光については、FPC生基板100からの正反射光がカメラ10の各画素で受光される。第2の照明部33がFPC生基板100に照射した照明光については、FPC生基板100からの拡散反射光がカメラ10の各画素で受光される。カメラ10の各画素で受光される正反射光は、照射した色の反射率が高い領域(光沢が高い領域)ほど光量が大きくなる。一方、カメラ10の各画素で受光される拡散反射光は、照射した色の反射率が高い領域ほど光量が小さくなる。したがって、第1の照明部32および第2の照明部33が検査対象物に照射する照明光の光量を制御することで、カメラ10の各画素で受光される第1の照明部32および第2の照明部33が照射した色の反射光の光量を、検査対象物の光沢のムラに影響されることなく、略均一にできる。
【0068】
なお、色彩欠陥や凹凸欠陥が生じている場所に対応する画素については、第1の照明部32が照射した照明光の正反射光の受光量が減少する。
【0069】
また、s3の撮像処理では、第3の照明部34、および第4の照明部35がFPC生基板100に照射した照明光については、凹凸欠陥の傾斜で反射する。このため、第3の照明部34、および第4の照明部35がFPC生基板100に照射した色の照明光については、凹凸欠陥が生じている場所に対応する画素と、凹凸欠陥が生じていない場所に対応する画素と、の間で受光される反射光の光量に差が生じる。
【0070】
したがって、s4にかかる画像フィルタ処理で生成した、第1の照明部32、および第2の照明部33により照射した照明光に応じた色の色彩画像(マゼンダの色彩画像)は、検査対象物の光沢のムラを打ち消した画像であり、且つ欠陥が生じている場所に対応する画素は、欠陥が生じていない場所に対応する画素よりも受光量が小さい画像である。また、s4にかかるフィルタ処理で生成した、第3の照明部34、および第4の照明部35により照射した照明光に応じた色の色彩画像(緑の色彩画像)は、凹凸欠陥が生じている場所に対応する画素は、凹凸欠陥が生じていない場所に対応する画素よりも受光量が小さい画像である。
【0071】
例えば、
図7(A)に示すように、第1の照明部32がFPC生基板100上の回路パターンに照射した照明光の色と、第2の照明部33、第3の照明部34、および第4の照明部35がFPC生基板100上の回路パターンに照射した照明光の色とが異なる場合、第1の照明部32が照射した照明光の色の色彩画像は、
図7(B)に示すように、光沢のムラX、色彩欠陥Y、および凹凸欠陥Zが撮像された画像になる。また、この色彩画像において、光沢のムラX、色彩欠陥Y、および凹凸欠陥Zを区別することはできない。
図7(B)は、FPC生基板100の撮像画像から抽出した1つのFPC基板101を示している。
【0072】
しかしながら、この例の欠陥検査装置1は、第1の照明部32、および第2の照明部33が同じ色(マゼンダ)の照明光をFPC生基板100に照射し、第3の照明部34、および第4の照明部35が、第1の照明部32、および第2の照明部33とは異なる色(緑)の照明光をFPC生基板100に照射するので(
図8(A)参照)、第1の照明部32、および第2の照明部33が照射した照明光の色の色彩画像は、
図8(B)に示すように、色彩欠陥Y、および凹凸欠陥Zが撮像された画像になる。すなわち、このマゼンダの色彩画像は、光沢のムラXが撮像されていない画像(光沢のムラを打ち消した画像)である。
図8(A)では、第1の照明部32、および第2の照明部33が照射している照明光を分かりやすくするため、第3の照明部34、および第4の照明部35が照射している照明光の図示を省略している。
図8(B)は、FPC生基板100の撮像画像から抽出した1つのFPC基板101を示している。
【0073】
なお、このマゼンダの色彩画像においては、色彩欠陥Yと、凹凸欠陥Zとを区別することはできない。
【0074】
また、この例の欠陥検査装置1は、上述したように、第1の照明部32、および第2の照明部33が同じ色(マゼンダ)の照明光をFPC生基板100に照射し、第3の照明部34、および第4の照明部35が、第1の照明部32、および第2の照明部33とは異なる色(緑)の照明光をFPC生基板100に照射するので(
図9(A)参照)、第3の照明部34、および第4の照明部35が照射した照明光の色の色彩画像(緑の色彩画像)は、
図9(B)に示すように、凹凸欠陥Zが撮像された画像になる。すなわち、この緑の色彩画像は、光沢のムラX、および色彩欠陥Yが撮像されていない画像である。
図9(A)では、第3の照明部34、および第4の照明部35が照射している照明光を分かりやすくするため、第1の照明部32、および第2の照明部33が照射している照明光の図示を省略している。
図9(B)は、FPC生基板100の撮像画像から抽出した1つのFPC基板101を示している。
【0075】
欠陥検査装置1は、画像処理ユニット4において、FPC生基板100に対する欠陥検出処理を行う(s5)。欠陥検査装置1は、画像処理ユニット4において、第3の照明部34、および第4の照明部35がFPC生基板100に照射した照明光の色に応じた緑の撮像箇所を画像処理(例えば、色による2値化)し、FPC生基板100上の回路パターンに凹凸欠陥が生じているかどうかを検出する。また、欠陥検査装置1は、画像処理ユニット4において、第1の照明部32、および第2の照明部33がFPC生基板100に照射した照明光の色に応じたマゼンダの色彩画像(
図8(B)に示した色彩画像)を画像処理(例えば、濃度による2値化)し、FPC生基板100上の回路パターンに欠陥が生じているかどうかを検出する。
【0076】
第1の照明部32、および第2の照明部33がFPC生基板100に照射した照明光の色の色彩画像では、上述したように色彩欠陥と凹凸欠陥とを区別して検出できないが、第3の照明部34、および第4の照明部35がFPC生基板100に照射した照明光の色の色彩画像によって、凹凸欠陥を検出できる。したがって、欠陥検査装置1は、色彩欠陥と凹凸欠陥を区別して検出できる。
【0077】
欠陥検査装置1は、画像処理ユニット4におけるFPC生基板100の検査結果を出力し(s6)、本処理を終了する。
【0078】
なお、欠陥検査装置1は、操作ユニット7において、検査対象物取り出しにかかるオペレータの操作を受け付けると、テーブル51を本体外側に移動させ、FPC生基板100の真空吸着を停止する。
【0079】
また、上記の例では、第2の照明部33が、第1の照明部32と同じ色の照明光を照射するとしたが、第3の照明部34や第4の照明部35が、第1の照明部32と同じ色の照明光を照射する構成にしてもよい。
【0080】
また、第1の照明部32、第2の照明部33、第3の照明部34、および第4の照明部35の全てが、同じ色の照明光を照射する構成にしてもよい。ただし、この場合には、上述したように、FPC生基板100の光沢のムラを打ち消した画像を撮像することはできるが、凹凸欠陥と、色彩欠陥とを区別して検出することができない。
【0081】
また、この欠陥検査装置1は、検査対象物が光沢にムラがある、例えばプリント基板、表面に模様が描かれている物品(模様の上にコーティング層が形成されている物品を含む)であっても、欠陥の検査が適正に行える。また、欠陥検査装置1は、検査対象物が光沢にムラがない物品であっても、欠陥の検査が適正に行える。