(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0027】
(静電荷像現像用トナー)
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、結着樹脂と、アルミニウム、真鍮、酸化チタン、及び、酸化鉄よりなる群から選ばれた少なくとも1種である光輝性顔料と、イソインドリン骨格を有する有色顔料とを含むトナー粒子を含有する。
【0028】
光輝性顔料を含有するトナーを用いて形成した画像を目視により観察した場合において、入射光の反射により、画像の明度が上昇する領域を画像のハイライト部という。
光輝性顔料と有色顔料を含むトナーにより画像を形成した場合、ハイライト部において、画像の彩度が低下する場合がある。上記のように画像の彩度が低下した場合、画像の視認性が低下する場合があった。
【0029】
それに対して、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーでは、結着樹脂と、アルミニウム、真鍮、酸化チタン、及び、酸化鉄よりなる群から選ばれた少なくとも1種である光輝性顔料と、イソインドリン骨格を有する有色顔料とを含むトナー粒子を含有する
これにより、画像のハイライト部の彩度の低下が抑制される。その理由は、次のように推測される。
【0030】
例えば、有色顔料がトナー粒子全体に分散している場合には、トナー粒子中の有色顔料の粒子間の距離が広くなる。そのため、画像のハイライト部においては、光輝性顔料により反射された反射光のうち、有色顔料を通らない無色の反射光の割合が大きくなる。その結果、画像のハイライト部の彩度が低下すると考えられる。
それに対し、光輝性顔料が、アルミニウム、真鍮、酸化チタン、及び、酸化鉄よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、かつ、有色顔料がイソインドリン骨格を有する場合には、例えばモノアゾ系骨格を有する有色顔料を用いた場合に比して、有色顔料を通る反射光の割合が増大し、画像のハイライト部の彩度の低下が抑制される。
これは、トナー粒子の製造工程において、光輝性顔料と有色顔料とが接触し、有色顔料が光輝性顔料に吸着するため、全有色顔料のうち、光輝性顔料と接して存在する有色顔料の割合が高くなり、トナー粒子中の有色顔料の粒子間の距離が狭くなるためであると推測される。上記吸着のメカニズムとしては、有色顔料と、光輝性顔料とが、配位結合により結合していることが考えられる。
更に、本実施形態に係るトナーは、有色顔料として、例えばモノアゾ系骨格を有するイソインドリン骨格を有する有色顔料を用いた場合に比して、トナーの長期保管後(例えば、2か月の保管)に形成された画像のハイライト部の彩度の低下が抑制される。
また、本実施形態に係るトナーは、有色顔料として、例えばモノアゾ系骨格を有するイソインドリン骨格を有する有色顔料を用いた場合に比して、形成された画像の長期保管時(例えば、2か月の保管)のハイライト部の彩度の低下が抑制される。
これは、光輝性顔料と有色顔料とが接触し、例えば配位結合を形成することにより、トナーの長期保管時、又は、画像の長期保管時に、有色顔料同士の凝集や、有色顔料の漏れ出し(ブリード)が抑制されるためであると考えられる。
【0031】
本実施形態に係るトナーおいて「光輝性」とは、光輝性トナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有することを表す。
具体的には、本実施形態に係るトナーは、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Xと受光角−30°での反射率Yとの比(X/Y)が2以上100以下であることが好ましい。
【0032】
比(X/Y)が2以上であることは、入射光が入射する側(角度−側)への反射よりも入射する側とは反対側(角度+側)への反射が多いことを表し、即ち入射した光の乱反射が抑制されていることを表す。入射した光が様々な方向へ反射する乱反射が生じた場合、その反射光を目視にて確認すると色がくすんで見える。そのため、比(X/Y)が2未満である場合、その反射光を視認しても光沢が確認できず光輝性に劣る場合がある。
一方、比(X/Y)が100を超えると、反射光を視認し得る視野角が狭くなり過ぎ、正反射光成分が大きいために見る角度によって黒っぽく見えてしまう場合がある。
【0033】
なお、上記比(X/Y)は、光輝性及びトナーの製造性の点から、4以上50以下であることがより好ましく、6以上20以下であることが更に好ましく、8以上15以下であることが特に好ましい。
【0034】
<変角光度計による比(X/Y)の測定>
ここで、まず入射角及び受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°及び+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
【0035】
次いで、比(X/Y)の測定方法について説明する。
測定対象となる画像(光輝性画像)に対して、変角光度計として日本電色工業社製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Xと受光角−30°における反射率Yを測定する。尚、反射率X及び反射率Yは、400nmから700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(X/Y)が算出される。
【0036】
本実施形態に係るトナーは、前述の比(X/Y)を満たす観点から下記(1)乃至(2)の要件を満たすことが好ましい。
(1)トナー粒子の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長い。
(2)トナー粒子の厚さ方向への断面を観察した場合に、トナー粒子の該断面における長軸方向と光輝性顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる光輝性顔料の割合が、観察される全光輝性顔料のうち60%以上である。
【0037】
トナー粒子が厚さよりも円相当径が長い扁平状であると(
図1参照)、画像形成の定着工程において、定着する際の圧力によって、扁平状のトナー粒子はその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。なお、
図1中、2はトナー粒子、4は光輝性顔料、Lはトナー粒子の厚さを示している。
そのため、このトナー粒子中に含有される扁平状(鱗片状)の光輝性顔料のうち上記(2)に示される「トナーの該断面における長軸方向と光輝性顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲にある」との要件を満たす光輝性顔料は、面積が最大となる面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。こうして形成された画像に対し光を照射した場合には、入射光に対して乱反射する光輝性顔料の割合が抑制されるため、前述の比(X/Y)の範囲が達成されるものと考えられる。
【0038】
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
【0039】
本実施形態に係るトナーは、少なくとも結着樹脂と光輝性顔料と有色顔料とを含むトナー粒子を有する。本実施形態に係るトナー粒子は、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂と光輝性顔料と有色顔料とを含むトナー粒子と、トナー粒子に外添される外添剤とを含有するものであってもよい。
【0040】
<トナー粒子>
本実施形態に用いられるトナー粒子は、結着樹脂と、アルミニウム、真鍮、酸化チタン、及び、酸化鉄よりなる群から選ばれた少なくとも1種である光輝性顔料と、イソインドリン骨格を有する有色顔料とを含む。
【0041】
〔結着樹脂〕
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0043】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0044】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0047】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下より好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0048】
ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0049】
ここで、ポリエステル樹脂としては、上述した未変性ポリエステル樹脂以外に、変性ポリエステル樹脂も挙げられる。変性ポリエステル樹脂とは、エステル結合以外の結合基が存在するポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂成分とは異なる樹脂成分が共有結合又はイオン結合等で結合されたポリエステル樹脂である。変性ポリエステルとしては、例えば、末端に酸基又は水酸基と反応するイソシアネート基等の官能基を導入したポリエステル樹脂と、活性水素化合物とを反応させて、末端を変性した樹脂が挙げられる。
【0050】
変性ポリエステル樹脂としては、ウレア変性ポリエステル樹脂が特に好ましい。ウレア変性ポリエステル樹脂の含有量は、全結着樹脂に対して10質量%以上30質量%以下が好ましく、15質量%以上25質量%以下がより好ましい。
【0051】
ウレア変性ポリエステル樹脂は、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(ポリエステルプレポリマー)とアミン化合物との反応(架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応)により得られるウレア変性ポリエステル樹脂がよい。なお、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。
【0052】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとしては、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物であるポリエステルであって、活性水素を有するポリエステルに多価イソシアネート化合物を反応させたプレポリマー等が挙げられる。ポリエステルの有する活性水素を有する基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられ、アルコール性水酸基が好ましい。
【0053】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーにおいて、多価カルボン酸及び多価アルコールは、ポリエステル樹脂で説明した多価カルボン酸及び多価アルコールと同様な化合物が挙げられる。
【0054】
多価イソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等のブロック化剤でブロックしたものが挙げられる。
多価イソシアネート化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0055】
多価イソシアネート化合物の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルプレポリマーの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは1/1以上5/1以下、より好ましくは1.2/1以上4/1以下、更に好ましくは1.5/1以上2.5/1以下である。なお、[NCO]/[OH]を5以下にすると低温定着性の低下が抑制され易くなる。
【0056】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーにおいて、多価イソシアネート化合物に由来する成分の含有量は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー全体に対して、好ましくは0.5質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、更に好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
【0057】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの1分子当たりに含有するイソシアネート基の数は、好ましくは平均1個以上、より好ましくは平均1.5個以上3個以下、更に好ましくは平均1.8個以上2.5個以下である。
【0058】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーと反応するアミン化合物としては、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックした化合物等が挙げられる。
【0059】
ジアミンとしては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコールとしては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタンとしては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
これらのアミノ基をブロックしたものとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸などのアミン化合物とケトン化合物(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)とから得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン化合物のうち、ケチミン化合物が好ましい。
アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
なお、ウレア変性ポリエステル樹脂は、架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応を停止する停止剤(以下「架橋/伸長反応停止剤」とも称する)により、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(ポリエステルプレポリマー)とアミン化合物との反応(架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応)を調整して、反応後の分子量が調整された樹脂であってもよい。
架橋/伸長反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0061】
アミン化合物の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、好ましくは1/2以上2/1以下、より好ましくは1/1.5以上1.5/1以下、更に好ましくは1/1.2以上1.2/1以下である。
【0062】
なお、ウレア変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は40℃以上65℃以下が好ましく、45℃以上60℃以下が更に好ましい。数平均分子量は、2500以上50000以下であることが好ましく、2500以上30000以下が更に好ましい。重量平均分子量は、1万以上50万以下であることが好ましく、3万以上10万以下が更に好ましい。
【0063】
結着樹脂の含有量としては、例えば,トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0064】
〔光輝性顔料〕
光輝性顔料は、アルミニウム、真鍮、酸化チタン、及び、酸化鉄よりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、画像のハイライト部の彩度の低下を抑制する観点から、アルミニウム、真鍮、及び、酸化チタンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、アルミニウムがより好ましい。
光輝性顔料表面が上記金属成分で被覆されていればよく、マイカやガラス及び有機物をコアとした酸化チタン被覆物、酸化鉄被覆物であってもよい。
【0065】
本実施形態に係る光輝性顔料の形状については、特に限定するものではないが、定着画像において高い光輝性を有するという観点で、扁平状(鱗片状)が好ましい。
そこで、本実施形態では扁平状の光輝性顔料について記載する。
扁平状の光輝性顔料の長軸方向の平均長さは、1μm以上30μm以下であることが好ましく、3μm以上20μm以下がより好ましく、5μm以上15μm以下が更に好ましい。
光輝性顔料の厚さ方向の平均長さを1としたときの長軸方向の平均長さの比率(アスペクト比)は、5以上200以下であることが好ましく、10以上100以下がより好ましく、30以上70以下が更に好ましい。
【0066】
光輝性顔料の各平均長さ及びアスペクト比は、以下の方法により測定される。走査電子顕微鏡(S−4800,(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、測定し得る倍率(300から100,000倍)で光輝性顔料粒子の写真を撮影し、得られた光輝性顔料粒子の画像を二次元化した状態で、各粒子の長軸方向の長さ及び厚さ方向の長さを測定し、光輝性顔料長軸方向の平均長さ及びアスペクト比を算出する。
【0067】
光輝性顔料の体積平均粒径は、1.0μm以上20.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以上10.0μm以下であることがより好ましい。
光輝性顔料の体積平均粒径が1.0μm以上であれば、得られる画像の光輝性に優れる。
光輝性顔料の体積平均粒径が20.0μm以下であれば、得られるトナーの帯電特性に優れ、転写ムラが抑制される。
【0068】
光輝性顔料の体積平均粒径は、以下のようにして測定される。
マルチサイザーII(コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とする。
製造後のトナー粒子中の光輝性顔料の体積平均粒径の測定方法としては、光輝性顔料は溶解せずに、トナー樹脂のみを溶解可能な溶媒とトナーを混合撹拌し、十分トナー樹脂が溶媒中に溶解した後に、光輝性顔料を固液分離して、上記同様の粒度分布測定装置にて体積平均粒径を測定する。
【0069】
トナー粒子の全質量に対する光輝性顔料の含有量は、1質量%以上70質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
【0070】
〔有色顔料〕
有色顔料は、イソインドリン骨格を有する有色顔料であれば特に限定されないが、ピグメントイエロー185、又は、ピグメントイエロー139が好ましく挙げられる。
【0071】
本実施形態に係る有色顔料の形状については、特に限定するものではないが、画像のハイライト部の彩度の低下を抑制する観点から、棒状が好ましい。
そこで、本実施形態では棒状の有色顔料について記載する。
棒状の有色顔料の長軸方向の平均長さは、0.03μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.05μm以上2.0μm以下がより好ましく、0.1μm以上1.0μm以下が更に好ましい。
有色顔料の厚さ方向の平均長さを1としたときの長軸方向の平均長さの比率(アスペクト比)は、1.0以上8.0以下であることが好ましく、1.5以上5.0以下がより好ましく、2.0以上4.0以下が更に好ましい。
【0072】
有色顔料の各平均長さ及びアスペクト比は、以下の方法により測定される。走査電子顕微鏡(S−4800,(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用い、測定し得る倍率(300から100,000倍)で有色顔料粒子の写真を撮影し、得られた有色顔料粒子の画像を二次元化した状態で、各粒子の長軸方向の長さ及び厚さ方向の長さを測定し、有色顔料長軸方向の平均長さ及びアスペクト比を算出する。
【0073】
有色顔料の体積平均粒径は、1.0μm以上20.0μm以下であることが好ましく、4.0μm以上10.0μm以下であることがより好ましい。
有色顔料の体積平均粒径が1.0μm以上であれば、得られる画像の光輝性に優れる。
有色顔料の体積平均粒径が20.0μm以下であれば、得られるトナーの帯電特性に優れ、転写ムラが抑制される。
【0074】
有色顔料の体積平均粒径は、以下のようにして測定される。
マルチサイザーII(コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とする。
製造後のトナー粒子中の光輝性顔料の体積平均粒径の測定方法としては、光輝性顔料は溶解せずに、トナー樹脂のみを溶解可能な溶媒とトナーを混合撹拌し、十分トナー樹脂が溶媒中に溶解した後に、光輝性顔料を固液分離して、上記同様の粒度分布測定装置にて体積平均粒径を測定する。
【0075】
有色顔料の体積平均粒径は、0.05μm以上5.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1.0μm以下であることがより好ましい。
有色顔料の体積平均粒径が0.05μm以上であれば、得られる画像の画像濃度に優れる。
有色顔料の体積平均粒径が5.0μm以下であれば、得られる画像の彩度が向上し色域に優れる。
有色顔料の体積平均粒径は、以下のようにして測定される。レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、ベックマン−コールター社製)を用いて測定した。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とした。
【0076】
トナー粒子の全質量に対する有色顔料の含有量は、1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上8質量%以下であることが更に好ましい。
【0077】
〔離型剤〕
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0078】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0079】
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0080】
〔その他の添加剤〕
その他の添加剤としては、例えば、上述の有色顔料以外の着色剤、磁性体、帯電制御剤、又は、無機粒子等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0081】
上述の有色顔料以外の着色剤としては、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料等が挙げられる。
【0082】
帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体を含む染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0083】
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、或いはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が好ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが好ましく用いられる。
【0084】
〔トナー粒子の特性等〕
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、光輝性顔料と有色顔料と結着樹脂と必要に応じて離型剤等のその他添加剤とを含む芯部と、結着樹脂を含む被覆層と、で構成されていることがよい。
【0085】
〔トナー粒子の平均最大厚さC及び平均円相当径D〕
トナー粒子は、扁平状であり、その平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いことが好ましい。トナー粒子が扁平状であれば、製造工程において、光輝性顔料と有色顔料とが接触しやすくなり、全有色顔料のうち、光輝性顔料と接して存在する有色顔料の割合がより高くなるため、画像のハイライト部の彩度の低下がより抑制される。尚、平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)が0.001以上0.700以下の範囲にあることがより好ましく、0.100以上0.600以下の範囲が更に好ましく、0.300以上0.450以下の範囲が特に好ましい。
比(C/D)が0.001以上であることにより、トナー粒子の強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、顔料が露出することによる帯電の低下、その結果発生するカブリが抑制される。一方0.700以下であることにより、優れた光輝性が得られる。
【0086】
上記平均最大厚さC及び平均円相当径Dは、以下の方法により測定される。
トナー粒子を平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1000個のトナー粒子について、カラーレーザ顕微鏡「VK−9700」(キーエンス社製)により1000倍に拡大して光輝性トナー粒子における最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0087】
〔トナー粒子の断面における長軸方向と光輝性顔料の長軸方向との角度〕
トナー粒子の厚さ方向への断面を観察した場合に、トナー粒子の該断面における長軸方向と光輝性顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる光輝性顔料の割合(個数基準)が、観察される全光輝性顔料のうち60%以上であることが好ましい。更には、上記割合が70%以上95%以下であることがより好ましく、80%以上90%以下であることが特に好ましい。
上記の割合が60%以上であることにより優れた光輝性が得られる。
【0088】
ここで、トナー粒子の断面の観察方法について説明する。
トナー粒子をビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤とを用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機、例えばウルトラミクロトーム装置(UltracutUCT、Leica社製)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。観察サンプルを、たとえば超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(S−4800、日立ハイテクノロジーズ社製)により1視野にトナー粒子が1から10個程度見える倍率で観察する。
具体的には、トナー粒子の断面(トナー粒子の厚み方向に沿った断面)を観察し、観察された100個のトナー粒子について、トナー粒子の断面における長軸方向と光輝性顔料の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる光輝性顔料の数を、たとえば三谷商事株式会社製の画像解析ソフト(Win ROOF)などの画像解析ソフトもしくは観察画像の出力サンプルと分度器を用いて数えその割合を計算する。
【0089】
なお、「トナー粒子の断面における長軸方向」とは、前述の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いトナー粒子における厚さ方向と直交する方向を表し、また「光輝性顔料の長軸方向」とは、光輝性顔料における長さ方向を表す。
【0090】
トナー粒子の体積平均粒径は3μm以上30μm以下であることが望ましく、より望ましくは5μm以上20μm以下である。
【0091】
なお、トナー粒子の体積平均粒径D50vは、マルチサイザーII(コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて求められる。累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)
1/2として算出される。
【0092】
トナー粒子の厚さ方向の平均長さを1としたときの長軸方向の平均長さの比率(アスペクト比)は、1.5以上15以下であることが好ましく、2以上10以下であることがより好ましく、3以上8以下であることが更に好ましい。
トナー粒子の厚さ方向の平均長さ及び長軸方向の平均長さは、トナー粒子を平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1,000個のトナー粒子について、カラーレーザ顕微鏡「VK−9700」(キーエンス社製)により1,000倍に拡大して光輝性トナー粒子における最大の厚さと上から見た面の長軸方向の長さを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
【0093】
〔光輝性顔料の長軸方向と、有色顔料の長軸方向との角度〕
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、トナーの長期保管後に形成された画像のハイライト部の彩度の低下がより抑制される観点から、前記光輝性顔料が、扁平状の光輝性顔料であり、前記有色顔料が、棒状の有色顔料であり、前記トナー粒子の断面観察において、光輝性顔料と接触しており、かつ、前記光輝性顔料の長軸方向と、前記有色顔料の長軸方向との角度が45°以下である有色顔料の数が、観察される全有色顔料のうち50%以上であることが好ましい。
前記有色顔料の数は、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、100%であってもよい。
前記光輝性顔料の長軸方向と、前記有色顔料の長軸方向との角度とは、光輝性顔料と有色顔料とがなす角度であり、上記角度が小さいことにより、光輝性顔料と有色顔料とがより広い面積で接していることの指標となる。
光輝性顔料と有色顔料とがより広い面積で接することにより、トナーの長期保管後に形成された画像のハイライト部の彩度の低下がより抑制される。また、形成された画像の長期保管時(例えば、2か月)のハイライト部の彩度の低下もより抑制される。
【0094】
−断面観察方法−
ここで、トナー粒子の断面観察方法について説明する。
トナー粒子をビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤とを用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機、例えばウルトラミクロトーム装置(UltracutUCT、Leica社製)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、イオンミリング加工装置「EM RES101(ライカ社製)により、切削面をイオンミリング加工する。このようにして、断面観察用のサンプルを作製する。
前記観察用のサンプルについて、光学顕微鏡観察により顔料位置を確認する。
更に、前記観察用のサンプルについて、電子顕微鏡を用いて二次電子像及び反射電子像の観察を行い、顔料の位置を確認し、観察された100個のトナー粒子について、各トナー粒子の画像解析により、有色顔料と光輝性顔料が接していることの確認、及び、光輝性顔料の長軸方向と、有色顔料の長軸方向との角度を計測し、観察される全有色顔料のうち光輝性顔料の長軸方向と、有色顔料の長軸方向との角度が45°以下である有色顔料の割合を求める。
【0095】
光輝性顔料の長軸方向と、有色顔料の長軸方向との角度について、
図2を使用して説明する。
図2中、トナー粒子2は光輝性顔料3と有色顔料4とを含有している。光輝性顔料3の長軸方向と、有色顔料4の長軸方向との角度がθである。
上記のようにθを測定し、観察される全有色顔料のうち、光輝性顔料と接しており、かつ、θが45°以下である有色顔料の割合を算出する。
【0096】
<外添剤>
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO
2、TiO
2、Al
2O
3、CuO、ZnO、SnO
2、CeO
2、Fe
2O
3、MgO、BaO、CaO、K
2O、Na
2O、ZrO
2、CaO・SiO
2、K
2O・(TiO
2)n、Al
2O
3・2SiO
2、CaCO
3、MgCO
3、BaSO
4、MgSO
4等が挙げられる。
【0097】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0098】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0099】
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0100】
〔トナーの製造方法〕
本実施形態のトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して外添剤を添加することで作製してもよい。
【0101】
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等の湿式法等によって作製される。
混練・粉砕製法は、結着樹脂を始めとする各材料を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練して、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で粉砕し、風力分級機により、目的とする粒子径のトナー粒子を得る方法である。
これらの方法の中でも、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、コアシェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広い凝集合一法が望ましい。また、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、顔料にトナー樹脂をより均一に被覆できる観点から凝集合一法が好ましい。
更に、光輝性顔料と有色顔料が接触しやすく、結果として光輝性顔料と有色顔料の接触面積が広くなるため、凝集合一法が好ましい。凝集合一法によれば、後述する融合工程において樹脂の対流が起こるため、溶解懸濁法等の他の方法と比して、光輝性顔料と有色顔料の接触の機会が増加すると考えられる。
【0102】
本実施形態の凝集合一法は、トナー粒子を構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)等を形成する乳化工程と、該樹脂粒子の凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを有する。
【0103】
(乳化工程)
樹脂粒子分散液の作製は一般的な重合法による樹脂粒子分散液作製、例えば乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法などを用いる他にも、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化して行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。更に、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
【0104】
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水であることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0105】
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子径)は1.0μm以下が望ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより望ましく、更に望ましくは150nm以上250nm以下の範囲である。60nm以上では、樹脂粒子が分散液中で不安定な粒子となりやすいため、該樹脂粒子の凝集が容易となる場合がある。また1.0μm以下であると、トナーの粒子径分布が狭くなる場合がある。
【0106】
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。このような処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。望ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が望ましい。上記離型剤分散液は凝集合一法に用いられるが、トナーを懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
【0107】
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より望ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。
体積平均粒子径が100nm以上では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下の場合には、トナー中の離型剤の分散状態が良好となる。
【0108】
光輝性顔料分散液及び有色顔料分散液の調製は、公知の分散方法が利用でき、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段を採用することができ、なんら制限されるものではない。光輝性顔料又は有色顔料は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散される。分散させた光輝性顔料粒子又は有色顔料粒子の体積平均粒子径は20μm以下であればよいが、3μm以上16μm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなく且つトナー中の光輝性顔料又は有色顔料の分散が良好で望ましい。
また、光輝性顔料と有色顔料と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合し、転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、結着樹脂で被覆された光輝性金属顔料の分散液を調製してもよい。
【0109】
(凝集工程)
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、光輝性顔料分散液、有色顔料分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、撹拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。なおpHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
また、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加しても良い。
【0110】
凝集工程において、例えば2枚パドルを有した層流を形成する撹拌翼を使用し、撹拌速度を高速度にして(例えば500rpm以上1500rpm以下)撹拌することで、金属顔料が凝集粒子中で長軸方向の向きを揃え、且つ、凝集粒子も長軸方向に向かって凝集し、トナーの厚さが小さくなる(即ち前記(1)の要件を満たす)。
【0111】
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
【0112】
前記無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには望ましい。
【0113】
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで樹脂粒子分散液を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を樹脂で被覆した構成のトナーを作製しても良い。この場合、離型剤や有色顔料がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0114】
(融合工程)
融合工程においては、前記凝集工程に準じた撹拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合工程において、より低温(例えば60℃以上80℃以下)で凝集粒子を融合させることで、材料の再配置に伴う移動を小さくし、顔料の配向性が保たれ、前記(2)の要件を満たすトナー粒子が得られる。
【0115】
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
【0116】
得られたトナー粒子には、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等が外添剤として添加付着される。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させてもよい。外添剤の添加量は、トナー粒子100部に対して、0.1部以上5部以下の範囲が望ましく、0.3部以上2部以下の範囲がより望ましい。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
【0117】
また、上述した無機酸化物等以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を外添剤として添加させてもよい。
【0118】
帯電制御剤としては、特に制限はないが、無色又は淡色のものが望ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0119】
有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用される。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0120】
次いで、溶解懸濁法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
溶解懸濁法は、結着樹脂、光輝性顔料、有色顔料、及び、必要に応じて用いられる離型剤等のその他の成分を含む材料を、前記結着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散させた液を、無機分散剤を含有する水媒体中で造粒した後、前記溶媒を除去することでトナー粒子を得る方法である。
溶解懸濁法に用いられるその他の成分としては、離型剤の他、内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分が挙げられる。
【0121】
本実施形態において、これらの結着樹脂、光輝性顔料、有色顔料及び、必要に応じて用いられるその他の成分は、結着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散される。
結着樹脂が溶解可能か否かは、結着樹脂の構成成分、分子鎖長、三次元化の度合いなどに依存するので一概に言い切れないが、一般的にはトルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールエチルエーテル、ベンジルアルコールイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のアルコール又はエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジメチルオキシド、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトン又はアセタールなどが使用される。
【0122】
これらの溶媒は結着樹脂を溶解するものであり、光輝性顔料、有色顔料及びその他の成分を溶解する必要はない。光輝性顔料及びその他の成分は結着樹脂の溶液中に分散できればよい。
溶媒の使用量には制限がないが、水媒体中にて造粒できる粘度であればよい。結着樹脂、光輝性顔料、及びその他の成分を含む材料(前者)と溶媒(後者)との比で、10/90乃至50/50(前者/後者の質量比)が造粒し易さ及び最終的なトナー粒子の収率の点で好ましい。
【0123】
溶媒中に溶解又は分散された、結着樹脂、光輝性顔料、有色顔料及びその他の成分の液(トナー母液)は、無機分散剤を含有する水媒体中で予め定められた粒径になるように造粒される。水媒体には、主に水が用いられる。水媒体とトナー母液との混合比は、水媒体/トナー母液=90/10乃至50/50(質量比)が好ましい。
無機分散剤としては、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタン及びシリカ粉末から選択されるものが好ましい。
無機分散剤の使用量は造粒される粒子の粒子径に応じて決定されるが、一般的にはトナー母液に対して0.1質量%以上15質量%以下の範囲で用いられるのが好ましい。0.1質量%以上であれば造粒が良好に行われやすく、15質量%以下であれば不必要な微細粒子が発生しづらく目的の粒子が高収率で得られやすい。
【0124】
トナー母液からの造粒を良好にするために、無機分散剤を含有する水媒体中には更に助剤を加えてもよい。
助剤としては、公知の陽イオンタイプ、陰イオンタイプ及びノニオンタイプの界面活性剤があり、特に、陰イオンタイプのものが好ましい。例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム等があり、これらはトナー母液に対して1×10
−4質量%以上0.1質量%以下の範囲で用いられるのが好ましい。
【0125】
無機分散剤を含有する水媒体中でのトナー母液からの造粒は、剪断下で行われるのが好ましい。
この際、平均粒子径が20μm以下に造粒されることが望ましく、特に3μm以上15μm以下に造粒されることが望ましい。
剪断機構を備えた装置としては各種の分散機があり、中でも、ホモジナイザーが好ましい。ホモジナイザーを用いることで、互いには相溶しない物質(本実施形態では無機分散剤を含有する水媒体とトナー母液)をケーシングと回転するロータとの間隙を通過させることで、ある液体中にその液体とは相溶しない物質を粒子状に分散させられる。
ホモジナイザーとして具体的には、TKホモミキサー、ラインフローホモミキサー、オートホモミキサー(以上、特殊機化工業株式会社製)、シルバーソンホモジナイザー(シルバーソン社製)、ポリトロンホモジナイザー(キネマチカ(KINEMATICA)AG社製)などがある。
ホモジナイザーを用いた撹拌条件は、ロータの羽根の周速で2m/秒以上が好ましい。周速が2m/秒以上であれば粒子化が良好となる傾向にある。
【0126】
上記のようにして造粒された後、溶媒が取り除かれる。
溶媒の除去は、常温(25℃)、常圧で行ってもよいが、除去までに長い時間を要するため、溶媒の沸点より低く、且つ、沸点との差が80℃以下の範囲の温度条件で行うのが好ましい。圧力は常圧でも減圧でもよいが、減圧する際は20mmHg以上150mmHg以下で行うのが好ましい。
【0127】
また、溶媒の除去後には、トナー粒子を塩酸等で洗浄するのが好ましい。これによりトナー粒子表面に残存する無機分散剤を除去して、トナー粒子本来の組成にして特性を向上させることができる。
次いで、脱水、乾燥すれば粉体のトナー粒子を得ることができる。
【0128】
また、結着樹脂としてウレア変性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子は、溶解懸濁法により得ることがよい。なお、次に示す溶解懸濁法の説明では、離型剤を含むトナー粒子を得る方法について示すが、離型剤は必要に応じてトナー粒子に含むものである。また、結着樹脂として未変性ポリエステル樹脂とウレア変性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子を得る方法について示すが、トナー粒子は結着樹脂としてウレア変性ポリエステル樹脂のみを含んでもよい。
[油相液調製工程]
未変性ポリエステル樹脂、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、アミン化合物、光輝性顔料、有色顔料及び離型剤を含むトナー粒子材料を有機溶媒に溶解又は分散させた油相液を調製する(油相液調製工程)。この油相液調製工程では、トナー粒子材料を有機溶媒中に溶解又は分散させて、トナー材料の混合液を得る工程である。
【0129】
油相液は、1)トナー材料を一括して有機溶媒に溶解又は分散して、調製する方法、2)予めトナー材料を混練した後、この混練物を有機溶媒に溶解又は分散して、調製する方法、3)未変性ポリエステル樹脂、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、アミン化合物を有機溶媒に溶解させた後、この有機溶媒に、光輝性顔料、及び離型剤を分散させて、調製する方法、4)光輝性顔料、有色顔料及び離型剤を有機溶媒に分散させた後、この有機溶媒に、未変性ポリエステル樹脂、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、アミン化合物を溶解して、調製する方法、5)イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー及びアミン化合物以外のトナー粒子材料(未変性ポリエステル樹脂、光輝性顔料、及び離型剤)を有機溶媒に溶解又は分散させた後、この有機溶媒に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー及びアミン化合物を溶解して調製する方法、6)イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー又はアミン化合物以外のトナー粒子材料(未変性ポリエステル樹脂、光輝性顔料、有色顔料及び離型剤)を有機溶媒に溶解又は分散させた後、この有機溶媒に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー又はアミン化合物を溶解して調製する方法等が挙げられる。なお、油相液の調製方法は、これらに限られるわけではない。
【0130】
油相液の有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、結着樹脂を溶解するものであって、かつ、水に溶解する割合が0質量%以上30質量%以下程度のものであり、沸点が100℃以下であることが好ましい。これらの有機溶媒の中でも、酢酸エチルが好ましい。
【0131】
[懸濁液調製工程]
次に、得られた油相液を水相液中に分散させて懸濁液を調製する(懸濁液調製工程)。
そして、懸濁液の調製と共に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン化合物との反応を行う。そして、この反応によりウレア変性ポリエステル樹脂を生成する。なお、この反応は、分子鎖の架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応が伴う。なお、このイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン化合物との反応は、後述する溶媒除去工程と共に行ってもよい。
ここで、反応条件は、ポリエステルプレポリマーの有するイソシアネート基構造とアミン化合物との反応性により選択される。一例として、反応時間は、10分以上40時間以下が好ましく、2時間以上24時間以下が好ましい。反応温度は、0℃以上150℃が好ましく、40℃以上98℃以下が好ましい。なお、ウレア変性ポリエステル樹脂の生成には、必要に応じて公知の触媒(ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等)を使用してもよい。つまり、油相液、又は懸濁液に、触媒を添加してもよい。
【0132】
水相液は、樹脂粒子分散剤、無機粒子分散剤等の粒子分散剤を水系溶媒に分散させた水相液が挙げられる。また、水相液は、粒子分散剤を水系溶媒に分散させると共に、高分子分散剤を水系溶媒に溶解させた水相液も挙げられる。なお、水相液には、界面活性剤等の周知の添加剤を添加してもよい。
【0133】
水系溶媒は、水(例えば、通常、イオン交換水、蒸留水、純水)が挙げられる。水系溶媒は、水と共に、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含む溶媒であってもよい。
【0134】
有機粒子分散剤としては、親水性の有機粒子分散剤が挙げられる。有機粒子分散剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル)、ポリスチレン樹脂、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)樹脂等の粒子が挙げられる。
【0135】
無機粒子分散剤としては、親水性の無機粒子分散剤が挙げられる。無機粒子分散剤としては、具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、粘土、珪藻土、ベントナイト等の粒子が挙げられ、炭酸カルシウムの粒子が好ましい。無機粒子分散剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0136】
粒子分散剤は、その表面がカルボキシル基を有する重合体で表面処理されていてもよい。
上記カルボキシル基を有する重合体としては、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸又はα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のカルボキシル基がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン等により中和された塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等)から選ばれる少なくとも1種と、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合物が挙げられる。上記カルボキシル基を有する重合体としては、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合物のカルボキシル基がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン等により中和された塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等)も挙げられる。上記カルボキシル基を有する重合体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0137】
α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとしては、α,β−不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等)、α,β−不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)などが挙げられる。また、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルの代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0138】
高分子分散剤としては、親水性の高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、具体的には、カルボキシル基を有し、かつ親油基(ヒドロキシプロポキシ基、メトキシ基等)を有さない高分子分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の水溶性のセルロースエーテル)が挙げられる。
【0139】
[溶媒除去工程]
次に、得られた懸濁液から有機溶媒を除去してトナー粒子分散液を得る(溶媒除去工程)。この溶媒除去工程では、懸濁液に分散した水相液の液滴中に含まれる有機溶媒を除去してトナー粒子を生成する工程である。懸濁液からの有機溶媒除去は、懸濁液調製工程の直後に行ってもよいが、懸濁液調製工程終了後、1分以上経過した後に行ってもよい。
溶媒除去工程では、得られた懸濁液を例えば0℃以上100℃以下の範囲に冷却又は加熱することにより、懸濁液から有機溶媒を除去することがよい。
【0140】
有機溶媒除去の具体的な方法には、次の方法が挙げられる。
(1)懸濁液に気流を吹き付けて、懸濁液面上の気相を強制的に更新する方法。この場合には、懸濁液中に気体を吹き込んでもよい。
(2)圧力を減圧する方法。この場合には、気体の充填により懸濁液面上の気相を強制的に更新してもよいし、更に懸濁液中に気体を吹き込んでもよい。
【0141】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
ここで、溶媒除去工程終了後は、トナー粒子分散液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子として得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。
また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0142】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
【0143】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、この表面に樹脂を被覆したキャリアであってもよい。
【0144】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;などが挙げられる。
【0145】
被覆用の樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。被覆用の樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等の添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属;カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子;などが挙げられる。
【0146】
芯材の表面を樹脂で被覆するには、被覆用の樹脂、及び各種添加剤(必要に応じて使用する)を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法;被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、その後に溶媒を除去するニーダーコーター法;等が挙げられる。
【0147】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0148】
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。
そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0149】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0150】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0151】
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0152】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図3は、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態に係る画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電荷像Zを形成する静電荷像形成装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電荷像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー画像を記録媒体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを、順次配設したものである。
【0153】
本実施形態において、現像装置30は、
図3に示すように、トナー40を含む現像剤Gが収容される現像ハウジング31を有し、この現像ハウジング31には感光体ドラム20に対向して現像用開口32を開設すると共に、この現像用開口32に面してトナー保持体としての現像ロール(現像電極)33を配設し、この現像ロール33に定められた現像バイアスを印加することで、感光体ドラム20と現像ロール33とに挟まれる領域(現像領域)に現像電界を形成する。更に、現像ハウジング31内には前記現像ロール33と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール(注入電極)34を設けたものである。特に、本実施形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33にトナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性及び電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が好ましい。
【0154】
次に、実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電荷像Zを書き込み、現像装置30が前記静電荷像Zをトナー画像として可視像化する。しかる後、感光体ドラム20上のトナー画像は転写部位へと搬送され、転写装置24が記録媒体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー画像を静電的に転写する。尚、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、定着部材36A(定着ベルト、定着ロール等)と加圧部材36Bとを備える定着装置36によって記録紙28上のトナー画像が定着され、画像が得られる。
【0155】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0156】
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0157】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0158】
図4は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図4に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、
図4中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0159】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるように構成されていてもよい。なお、本実施形態に係るトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収めらた現像剤カートリッジであることが好ましい。
【0160】
なお、
図3に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ(図示せず)の着脱が自在な構成を有する画像形成装置であり、現像装置30はトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換してもよい。
【実施例】
【0161】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0162】
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
・テレフタル酸:30モル部
・フマル酸:70モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物:95モル部
【0163】
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ、及び精留塔を備えた内容量5リットルのフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間を要して温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら0.5時間を要して230℃まで温度を上げ、該温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量18,000、酸価15mgKOH/g、ガラス転移温度60℃のポリエステル樹脂(1)を合成した。なお、樹脂の酸価は、JIS K0070−1992に従って、中和滴定法で測定した。
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2−ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、ポリエステル樹脂(1)100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10質量%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。
次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を撹拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下し、乳化を行った。滴下終了後、乳化液を室温(20℃乃至25℃)に戻し、撹拌しつつ乾燥窒素により48時間バブリングを行うことにより、酢酸エチル及び2−ブタノールを1,000ppm以下まで低減させ、体積平均粒径200nmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を得た。該樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を30質量%に調整して、樹脂粒子分散液(1)とした。
【0164】
<樹脂粒子分散液(2)の調製>
・スチレン:280部
・アクリル酸n−ブチル:120部
・アクリル酸:2部
・ドデカンチオール:24部
上記材料の混合溶液、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業社製ノニポール400)6部、及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製ネオゲンR)12部をイオン交換水550部に溶解し、反応容器中で20分間撹拌混合しながら、過硫酸アンモニウム4部を溶解したイオン交換水50部を投入した。その後、反応容器内を窒素置換した後、容器内を70℃まで加熱して5時間乳化重合を継続した。その結果、レーザ回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製LA−700)で測定された体積平均粒径D50vが98nmの樹脂粒子分散液(2)(固形分濃度30%)を得た。
【0165】
<光輝性顔料分散液(1)の調製>
・アルミニウム顔料(昭和アルミパウダー(株)製、2173EA):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、アルミニウム顔料を分散させてなる光輝性顔料分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
【0166】
<光輝性顔料分散液(2)の調製>
・真鍮粉(エカルト社製、DOROLAN 10/0 Rich Pale Gold Bronze Powder):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、真鍮粉を分散させてなる光輝性顔料分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
【0167】
<光輝性顔料分散液(3)の調製>
・パール顔料(日本光研工業社製、パールグレイズMM-100_R):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、パール顔料を分散させてなる光輝性顔料分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
【0168】
<光輝性顔料分散液(4)の調製>
・パール顔料(日本板硝子社製、メタシャイン酸化鉄コートスタンダードタイプ):100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR):1.5部
・イオン交換水:900部
以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、パール顔料を分散させてなる光輝性顔料分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
【0169】
<イエロー着色剤有色顔料分散液(1)の調製>
・C.I.Pigment Yellow185(Paliotol Yellow D1155、BASF社製、アスペクト比:2.0、体積平均粒径:250nm):50部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):5部
・イオン交換水:192.9部
上記成分を混合し、アルティマイザ(スギノマシン社製)により240MPaで10分処理し、イエロー着色剤有色顔料分散液(1)を得た。固形分濃度は20%だった。
【0170】
<イエロー有色顔料分散液(2)の調製>
・C.I.Pigment Yellow139(Paliotol Gelb D1819、BASF社製、アスペクト比:1.8、体積平均粒径:250nm):50部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製):5部
・イオン交換水: 192.9部
上記成分を混合し、アルティマイザ(スギノマシン社製)により240MPaで10分処理し、イエロー有色顔料分散液(2)を得た。固形分濃度は20%だった。
【0171】
<イエロー有色顔料分散液(3)の調製>
・C.I.Pigment Yellow74((モノアゾ系顔料、大日精化製、セイカファストイエロー2054、アスペクト比:1.1、体積平均粒径:180nm): 50部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬(株)製): 5部
・イオン交換水:192.9部
上記成分を混合し、アルティマイザ(スギノマシン社製)により240MPaで10分処理し、イエロー有色顔料分散液(3)を得た。固形分濃度は20%だった。
【0172】
(実施例1)
<トナーの作製>
・光輝性顔料分散液(1):400部
・樹脂粒子分散液(1):375部(固形分30%)
・離型剤分散液:50部(固形分20%)
・イエロー有色顔料分散液(1):52.5部
上記成分を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。その後、層流を形成するための2枚パドルの撹拌翼を用いた撹拌装置、及び温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、撹拌回転数を1000rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3mol/Lの硝酸や1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2乃至3.5の範囲に制御した。上記pHの範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。この際、マルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は10.4μmであった。
次に、樹脂粒子分散液:125部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。更に56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるために0.1mol/Lのメタケイ酸ナトリウム水溶液を100部添加してpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後40μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.2μmであった。トナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを作製した。得られたトナーの体積平均粒子径は12.2μmであった。
【0173】
<評価>
(光輝性顔料の長軸方向と、有色顔料の長軸方向との角度が45°以下の有色顔料の割合の測定)
上述の方法により、光輝性顔料の長軸方向と、有色顔料の長軸方向との角度が45°以下の有色顔料の割合の測定を行った。
結果は表1に記載した。
【0174】
(画像の形成)
富士ゼロックス社製、ApeosPort−II C4300改造機(イエローの現像機に現像剤が入っていれば、他の現像機に現像剤が入っていなくても作動するようにし、かつ現像後の感光体、定着前の用紙を任意に取り出せるようにしたもの)を用い、現像剤をイエローの現像機に入れ、富士ゼロックス社製C2紙を用いて、5cm×5cmのパッチを描き、印刷を行った。得られた印刷物を用いて、下記評価方法によりハイライト部の彩度の低下の評価を行った。
また、上記の方法により得られた印刷物を2か月間保管(28℃、相対湿度80%)して、下記評価方法によりハイライト部の彩度の低下の評価を行った。
また、トナーを2か月間保管(28℃、相対湿度80%)した後に、上記と同様の方法により印刷を行い、得られた印刷物を用いて、下記評価方法によりハイライト部の彩度の低下の評価を行った。
各評価結果は表2に記載した。
【0175】
(ハイライト部の彩度の低下の評価)
得られた画像について、CIE1976L
*a
*b
*表色系の座標値を、エックスライト社製X−Rite939(アパーチャー径4mm)を用いて、10か所測定し、L
*値、a
*値及びb
*値の平均値を算出した。また、上記a
*値及びb
*値の平均値から、下記式により彩度C
*値を求めた。
式:C
*=((a
*)
2+(b
*)
2)
1/2
A:L
*値が60以上であり、かつ、C
*値が40以上である。
B:L
*値が60以上であり、かつ、C
*値が30以上である。
C:L
*値が60以上であり、かつ、C
*値が20以上である。
D:L
*値が60以上であり、かつ、C
*値が10以上である。
【0176】
(実施例2)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性顔料分散液(1):400部
を光輝性顔料分散液(2):100部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0177】
(実施例3)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性顔料分散液(1):400部
を光輝性顔料分散液(3):100部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0178】
(実施例4)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性顔料分散液(1):400部
を光輝性顔料分散液(4):100部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0179】
(実施例5)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、イエロー有色顔料分散液(1):52.5部を、イエロー有色顔料分散液(2):52.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0180】
(実施例6)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、イエロー有色顔料分散液(1):52.5部を、イエロー有色顔料分散液(3):31.5部及びイエロー有色顔料分散液(3):21部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0181】
(実施例7)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、樹脂粒子分散液(1):450部を樹脂粒子分散液(2):450部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0182】
(実施例8)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性顔料分散液(1)のアニオン界面活性剤量を3.0部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0183】
(実施例9)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性顔料分散液(1)のアニオン界面活性剤量を4.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0184】
(実施例10)
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、ポリエステル樹脂を溶解したトナー組成物混合液Aを得た。
・ポリエステル樹脂:150部
・アルミニウム顔料:40部
・C.I.Pigment Yellow185(Paliotol Yellow D1155、BASF): 10.5部
・離型剤:10部
・酢酸エチル:200部
【0185】
<分散懸濁工程(第2工程)>
下記組成をボールミルで24時間分散することにより、カルボキシメチルセルロースを溶解し、水系媒体Bを得た。
・炭酸カルシウム(アクリル酸系共重合体で被覆):40部(商品名:ルミナス,丸尾カルシウム(株)製)
・カルボキシメチルセルロース:1.0部(商品名:セロゲンBS−H,第一工業(株)製)
・イオン交換水:200部
上記より得られた水系媒体B1200gを、TKオートホモミクサー(特殊機化工業(株)製) に入れ、回転羽根を周速20m/secで撹拌している状態の上記水系媒体B中に、前記トナー組成物混合液A1000gを投入し、25℃一定に維持しながら1分間撹拌して分散懸濁し分散懸濁液(1)を得た。得られた分散懸濁液(1)を撹拌しながら、温度を40℃で、脱溶剤を17時間行い、トナー分散液(1)を得た。溶媒除去工程で得られたトナー分散液(1)の300重量部に、10規定塩酸80重量部を加え、更に0.1N水酸化ナトリウム水溶液により中和処理後、吸引濾過によるイオン交換水洗浄を4回繰り返して、トナーを得た。得られたトナーを真空乾燥機で乾燥し、45μmメッシュで篩分して、トナー粒子を得た。得られたトナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを作製した。
【0186】
(実施例11)
(未変性ポリエステル樹脂(1)の作製)
・テレフタル酸 :1243部
・ビスフェノールA エチレンオキサイド付加物 :1830部
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド付加物 :840部
上記成分を180℃で加熱混合した後、ジブチル錫オキサイド3部を加え、220℃で加熱しながら水を留去し、未変性ポリエステル樹脂を得た。得られた未変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは60℃、酸価は3mgKOH/g、水酸基価は1mgKOH/gであった。
【0187】
(ポリエステルプレポリマー(1)の作製)
・テレフタル酸 :1243部
・ビスフェノールA エチレンオキサイド付加物 :1830部
・ビスフェノールA プロピレンオキサイド付加物 :840部
上記成分を180℃で加熱混合した後、ジブチル錫オキサイド3部を加え、220℃で加熱しながら水を留去し、ポリエステルを得た。得られたポリエステル350部、トリレンジイソシアネート50部、酢酸エチル450部を容器に入れ、この混合物を130℃で3時間加熱して、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(1)(以下「イソシアネート変性ポリエステルプレポリマー(1)」)を得た。
【0188】
(ケチミン化合物(1)の作製)
容器にメチルエチルケトン50部とヘキサメチレンジアミン150部を入れ、60℃で撹拌してケチミン化合物(1)を得た。
【0189】
(光輝性顔料分散液(1)の作製)
・アルミニウム顔料(扁平状の光輝性顔料、昭和アルミパウダー(株)製、2173EA) :100部
・酢酸エチル :500部
上記成分を混合し、混合物を濾過して酢酸エチル500部と更に混合する操作を5回繰り返した後、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間ほど分散して、光輝性顔料(アルミニウム顔料)が分散した光輝性顔料分散液(1)(固形分濃度:10%)を得た。
【0190】
(離型剤分散液(1)の作製)
・パラフィンワックス(融解温度89℃) :30部
・酢酸エチル :270部
上記成分を10℃に冷却した状態で、マイクロビーズ型分散機(DCPミル)により湿式粉砕し、離型剤分散液(1)を得た。
【0191】
(油相液(1)の作製)
・未変性ポリエステル樹脂(1) :136部
・光輝性顔料分散液(1) :500部
・酢酸エチル :56部
上記成分を撹拌混合後、得られた混合物に離型剤分散液(1)75部を加え、撹拌して、油相液(1)を得た。
【0192】
(スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1)の作製)
・スチレン :370部
・n−ブチルアクリレート :30部
・アクリル酸 : 4部
・ドデカンチオール :24部
・四臭化炭素 : 4部
上記成分を混合し、溶解した混合物を、非イオン性界面活性剤(三洋化成工業(株)製:ノニポール400)6部及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10部をイオン交換水560部に溶解した水溶液に、フラスコ中で乳化した後、10分間混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4部をイオン交換水50部に溶解した水溶液を投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を撹拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒子径が180nm、重量平均分子量(Mw)が15,500である樹脂粒子を分散させてなるスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1)(樹脂粒子濃度:40%)を得た。なお、スチレンアクリル樹脂粒子のガラス転移温度は59℃であった。
【0193】
(水相液(1)の作製)
・スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1):60部
・セロゲンBS−H(第一工業製薬(株))の2%水溶液:200部
・イオン交換水 :200部
上記成分を撹拌混合し、水相液(1)を得た。
【0194】
−トナー粒子(1)の作製−
・油相液(1):300部
・イソシアネート変性ポリエステルプレポリマー(1):25部
・ケチミン化合物(1):0.5部
上記成分を容器に入れ、ホモジナイザー(ウルトラタラックス:IKA社製)により2分間撹拌して油相液(1P)を得た後、容器に水相液(1)1000部を加え、ホモジナイザーで20分間撹拌した。次に、室温(25℃)、常圧(1気圧)で48時間、プロペラ型撹拌機でこの混合液を撹拌し、イソシアネート変性ポリエステルプレポリマー(1)とケチミン化合物(1)とを反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を生成すると共に、有機溶媒を除去し、粒状物を形成した。次に、粒状物を水洗、乾燥及び分級して、トナー粒子(1)を得た。トナー粒子の体積平均粒径は12.0μm、アスペクト比は6.0であった。
【0195】
−光輝性トナー(1)の作製−
トナー粒子(1):100部と、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50) :1.5部と、疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805) :1.0部と、をサンプルミルにより10000rpmで30秒間混合した。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを得た。
【0196】
(実施例12)
線状ポリエステル樹脂(テレフタル酸/ビスフェノールA エチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得られた線状ポリエステル、Tg(ガラス転移温度):62℃、Mn(数平均分子量):4,000、Mw(重量平均分子量):35,000、酸価:12、水酸価:25) 100質量部、光輝性顔料(昭和アルミニウムパウダー(株)製 2173EA) 15質量部の混合物をエクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した後、風力式分級機で細粒、粗粒を分級し、トナー粒子を得た。
【0197】
以下、実施例1と同様にトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0198】
(比較例1)
実施例1に記載のトナーの製造方法において、イエロー有色顔料分散液(1):52.5部を、イエロー有色顔料分散液(3):52.5部に変更した以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に特性の測定及び評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0199】
【表1】
【0200】
【表2】
【0201】
実施例、比較例より以下のことが明らかである。本実施例のトナーは、ハイライト部の彩度の低下の抑制に優れている。これに対し、含まれる着色顔料がモノアゾ系骨格の着色顔料であるトナーは、ハイライト部の彩度の低下の抑制性が低下する。
また、トナー粒子の断面観察において、光輝性顔料と接触しており、かつ、光輝性顔料の長軸方向と、有色顔料の長軸方向との角度が45°以下である有色顔料の数が、観察される全有色顔料のうち50%以上であるトナーは、トナーの長期保管後に形成された画像のハイライト部の彩度の低下の抑制、及び、長期保管後の画像のハイライト部の彩度の低下の抑制に特に優れている。