特許第6759931号(P6759931)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6759931二次転写装置、画像形成装置、及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759931
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】二次転写装置、画像形成装置、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20200910BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   G03G15/16 103
   G03G21/00 370
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-188625(P2016-188625)
(22)【出願日】2016年9月27日
(65)【公開番号】特開2018-54755(P2018-54755A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士ゼロックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞下 佳也
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−316102(JP,A)
【文献】 特開2002−031967(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0120749(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 13/02
G03G 13/14−13/16
G03G 13/34
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 15/14−15/16
G03G 15/36
G03G 21/00
G03G 21/02
G03G 21/14
G03G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体と対向する位置に設けられ、前記中間転写体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写部材と、
前記中間転写体を、前記転写部材に対向する側とは反対の側から支持する支持部材と、
前記中間転写体と、前記支持部材との合成抵抗を検知する検知部と、
前記支持部材に対して、前記中間転写体から前記記録媒体に前記トナー像を転写する際に転写用のバイアスを印加し、前記検知部が前記合成抵抗を検知する際に検知用のバイアスを印加する印加部と、
前記検知部が前記合成抵抗を検知するのに先立ち、前記転写部材を前記検知用のバイアスと同極性に帯電させる帯電部と、
を備えた二次転写装置。
【請求項2】
前記帯電部は、さらに、前記転写部材の前記中間転写体と対向する側を清掃する機能も有する、請求項1に記載の二次転写装置。
【請求項3】
前記印加部は、前記中間転写体から前記記録媒体に前記トナー像を転写する場合及び前記検知部が前記合成抵抗を検知する場合の2つの場合を除く、予め定められた場合は、前記支持部材に対して、前記検知用のバイアスと極性が異なるバイアスを印加する、
請求項1または請求項2に記載の二次転写装置。
【請求項4】
前記転写部材の前記中間転写体と対向する側に接触し、前記転写部材を清掃する清掃部材をさらに備えた、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次転写装置。
【請求項5】
前記印加部は、前記清掃部材に、前記検知用のバイアスと逆極性のバイアスを印加する、
請求項4に記載の二次転写装置。
【請求項6】
中間転写体と、
前記中間転写体にトナー像を形成する形成部と、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の二次転写装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
前記二次転写装置の帯電部を制御する制御部をさらに備えた、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータを、
請求項7に記載の画像形成装置の制御部として機能させるための、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次転写装置、画像形成装置、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナー像が担持される担持体と、前記担持体に担持されたトナー像を記録材に対して転写せしめる転写ベルトと、前記転写ベルトの表面をクリーニングするクリーニング手段と、前記担持体から記録材への転写領域において前記転写ベルトを間に介して当該担持体を押圧するように配設され、前記クリーニング手段の対向電極として機能するとともに当該転写ベルトを駆動する駆動ローラと を含む画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−315987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、合成抵抗を検知するのに先立ち、転写部材を検知用のバイアスと同極性に帯電させない場合に比べて、二次転写に起因する画像の品質の低下を抑制する、二次転写装置、画像形成装置、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の二次転写装置は、中間転写体と対向する位置に設けられ、前記中間転写体に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写部材と、前記中間転写体を、前記転写部材に対向する側とは反対の側から支持する支持部材と、前記中間転写体と、前記支持部材との合成抵抗を検知する検知部と、前記支持部材に対して、前記中間転写体から前記記録媒体に前記トナー像を転写する際に転写用のバイアスを印加し、前記検知部が前記合成抵抗を検知する際に検知用のバイアスを印加する印加部と、前記検知部が前記合成抵抗を検知するのに先立ち、前記転写部材を前記検知用のバイアスと同極性に帯電させる帯電部と、を備える。
【0006】
また、請求項2に記載の二次転写装置は、請求項1に記載の二次転写装置において、前記帯電部は、さらに、前記転写部材の前記中間転写体と対向する側を清掃する機能も有する。
【0007】
また、請求項3に記載の二次転写装置は、請求項1または請求項2に記載の二次転写装置において、前記印加部は、前記中間転写体から前記記録媒体に前記トナー像を転写する場合及び前記検知部が前記合成抵抗を検知する場合の2つの場合を除く、予め定められた場合は、前記支持部材に対して、前記検知用のバイアスと極性が異なるバイアスを印加する。
【0008】
また、請求項4に記載の二次転写装置は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次転写装置において、前記転写部材の前記中間転写体と対向する側に接触し、前記転写部材を清掃する清掃部材をさらに備える。
【0009】
また、請求項5に記載の二次転写装置は、請求項4に記載の二次転写装置において、前記印加部は、前記清掃部材に、前記検知用のバイアスと逆極性のバイアスを印加する。
【0010】
一方、上記目的を達成するために、請求項6に記載の画像形成装置は、中間転写体と、前記中間転写体にトナー像を形成する形成部と、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の二次転写装置と、を備える。
また、請求項7に記載の画像形成装置は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記二次転写装置の帯電部を制御する制御部をさらに備える。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために、請求項8に記載の制御プログラムは、 コンピュータを、請求項7に記載の画像形成装置の制御部として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1、請求項6、請求項7、及び請求項8に記載の発明によれば、合成抵抗を検知するのに先立ち、転写部材を検知用のバイアスと同極性に帯電させない場合に比べて、二次転写に起因する画像の品質の低下を抑制することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、帯電部材と清掃部材とを兼用することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、支持部材の極性にかかわらず、二次転写に起因する画像の品質の低下を抑制することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、清掃部材を備えない場合に比べて、転写部材を清掃することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、検知用のバイアスと同極性のバイアスが印加される場合に比べて、転写部材をより綺麗に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す破断正面図(一部ブロック図)である。
図2】実施形態の二次転写装置の構成の一例を示す破断正面図である。
図3】実施形態の二次転写装置における、各モードとクリーニングバイアス及び転写バイアスとの関係を説明するための説明図である。
図4】一般的な二次転写装置及び実施形態の二次転写装置において、転写ベルト汚れ防止モードから合成抵抗検知モードへ変化した場合における、転写ベルトの帯電状態の時間変化の一例を表したグラフである。
図5】実施形態の二次転写装置における転写ベルト汚れ防止モードから合成抵抗検知モードに移行する場合における、クリーニングバイアス及び転写バイアスの時間変化の一例を示すタイムチャートである。
図6】実施形態の制御部で実行される予備帯電制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7】実施形態の二次転写装置の構成の他の一例として、図2に示した二次転写装置におけるクリーニング装置がファーブラシ及び回収ローラに代わり、導電性のクリーニングブレードを備える場合の構成を示す破断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
まず、図1を参照して、本実施形態の画像形成装置の構成について説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置10の一例の構成を示す破断正面図である。図1に示すように、本実施形態の画像形成装置10は、いわゆる、タンデム型の画像形成装置である。
【0020】
本実施形態の画像形成装置10は、画像形成ユニット12Y、12M、12C、及び12Kと、中間転写体21と、二次転写装置30と、定着装置50と、を備えている。以下の説明では、画像形成ユニットについてイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色を区別する場合は、個々を区別する符号「Y」、「M」、「C」、及び「K」を付して説明し、個々を区別しない場合は、上記符号の記載を省略する
【0021】
各画像形成ユニット12は、図1に示した矢印A方向に回転駆動される像保持体14を備えている。そして、対応する露光装置18から各像保持体14へ光ビームBmが照射されることにより、各像保持体14には静電潜像が形成される。
【0022】
各像保持体14の周囲には、像保持体14を帯電する帯電装置16と、露光装置18によって像保持体14に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像装置20と、転写後の像保持体14に残留するトナーを除去する除去装置24と、が設けられている。なお、帯電装置16、現像装置20、及び除去装置24は、像保持体14の表面と対向して、像保持体14の回転方向上流側から下流側へ向けてこの順番で配置されている。
【0023】
また、各画像形成ユニット12の下側には、一次転写装置26が設けられている。一次転写装置26は、各像保持体14と接触する環状の中間転写体21と、各像保持体14に形成されたトナー像を中間転写体21に多重転写させる一次転写ロール22とを含んでいる。
【0024】
中間転写体21は、モータ(図示省略)で駆動される駆動ロール52と、張力付与ロール54と、バックアップロール48とに巻き掛けられており、駆動ロール52により、一方向(図1における矢印B方向)に循環移動される。本実施形態のバックアップロール48が、本発明の支持部材の一例である。
【0025】
各一次転写ロール22は、中間転写体21を挟んでそれぞれの各画像形成ユニット12の像保持体14と対向配置されている。また、一次転写ロール22は、給電ユニット(図示省略)によって、トナーの極性とは逆極性の転写バイアスが印加される。
【0026】
バックアップロール48の下流側には、中間転写体21上の残留トナーや紙粉等を除去する清掃装置56が設けられている。
【0027】
一次転写装置26の下方には、用紙等の記録媒体の一例である記録媒体Pが収容される記録媒体収容部60が設けられている。記録媒体収容部60の一端側(図1における正面視左側)の上方には、記録媒体収容部60から記録媒体Pを搬送経路65に送り出すピックアップロール62が設けられている。
【0028】
搬送経路65におけるピックアップロール62の記録媒体搬送方向下流側には、記録媒体Pを搬送する複数の搬送ロール64が設けられている。
【0029】
搬送経路65は、記録媒体収容部60から二次転写装置30の転写領域X(いわゆる、「転写ニップ」)へ向けて記録媒体Pを搬送する。
【0030】
詳細は後述するが本実施形態の二次転写装置30は、クリーニング装置32、クリーニング装置34、転写ベルト36、駆動ロール38、従動ロール39、上述したバックアップロール48、及び給電ロール49を備えている。
【0031】
転写ベルト36は、駆動ロール38及び従動ロール39に巻掛けられている。本実施形態の転写ベルト36が、本発明の転写部材の一例である。駆動ロール38は、転写領域Xにおいて、転写ベルト36を挟んで、中間転写体21及びバックアップロール48に対向する位置に配置され、転写ベルト36上に搬送される記録媒体Pに対して二次転写を施すための二次転写ロールとして機能する。転写ベルト36には、中間転写体21と接する二次転写装置30には、クリーニング装置32及びクリーニング装置34が配置されている。クリーニング装置32は、導電性のファーブラシ40及び回収ローラ42を備える。クリーニング装置34は、導電性のファーブラシ44及び回収ローラ46を備える。ファーブラシ40、44は、転写ベルト36に接触して配置され、転写ベルト36に付着した汚れを除去する。回収ローラ42、46は、ファーブラシ40、44に隣接して配置され、ファーブラシ40、44で除去された汚れを回収する。
【0032】
また、図1に示すように、本実施形態の画像形成装置10は、上述した各装置及び各部の動作を制御する制御部100を備えている。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)102、ROM(Read Only Memory)104、及びRAM(Random Access Memory)106を備えている。CPU102は、画像形成装置10の全体的な動作を制御する。ROM104には、詳細を後述する制御プログラム105を含む各種プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。RAM106は、CPU102による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。
【0033】
つぎに、画像形成装置10による画像形成工程について説明する。
【0034】
コンピュータ等の外部装置から供給される画像データに対して、制御部100が画像処理を行った画像データが、各露光装置18に送られる。各露光装置18は、画像データに応じて各光ビームBmを出射して、帯電装置16によって帯電した各像保持体14を露光して、静電潜像を形成する。
【0035】
像保持体14に形成された静電潜像は、現像装置20によって現像され、Y、M、C、Kの各色のトナー像が形成される。
【0036】
図1に示すように、各画像形成ユニット12Y、12M、12C、及び12Kの像保持体14に形成された各色のトナー像は、4つの一次転写ロール22によって中間転写体21に順次多重転写される。
【0037】
中間転写体21に多重転写された各色のトナー像は、二次転写装置30によって、記録媒体収容部60から搬送されてきた記録媒体P上に二次転写される。トナー像が転写された記録媒体Pは、搬送ベルト66によって定着装置50に向けて搬送される。
【0038】
記録媒体P上の各色のトナー像は、定着装置50により加熱及び加圧されることで記録媒体Pに定着する。画像が定着された記録媒体Pは、排出ロール(図示省略)によって画像形成装置10の外部に排出される。記録媒体Pへの転写が終了した後、中間転写体21上に残った残留トナーは、中間転写体21の移動に伴って搬送され、清掃装置56によって中間転写体21上から除去される。
【0039】
次に、本実施形態の二次転写装置30の構成について詳細に説明する。
【0040】
図2は、本実施形態の画像形成装置10に設けられた二次転写装置30の構成の一例を示す破断正面図である。図2に示すように、転写ベルト36を駆動するための駆動ロール38は、転写領域Xにおいて中間転写体21を挟んでバックアップロール48を押圧することにより、中間転写体21に保持されたトナー像を記録媒体Pに二次転写するための転写ローラとして機能する。また、駆動ロール38及び従動ロール39は共に接地されており、ファーブラシ40、44に隣接する駆動ロール38は、クリーニング装置32、34の対向電極としても機能する。
【0041】
本実施形態の二次転写装置30では、転写バイアス印加装置72が給電ロール49に転写バイアスを印加し、クリーニングバイアス印加装置74がファーブラシ40及び回収ローラ42にクリーニングバイアスを印加し、クリーニングバイアス印加装置78がファーブラシ44及び回収ローラ46に第2クリーニングバイアスを印加する。以下では、転写バイアス印加装置72が印加するバイアスを「転写バイアス」といい、クリーニングバイアス印加装置74及びクリーニングバイアス印加装置78の各々が印加するバイアスを「クリーニングバイアス」といい、さらに、転写バイアス、及びクリーニングバイアスを総称する場合は、単に「バイアス」という。
【0042】
図2に示すように、本実施形態の転写バイアス印加装置72は、電源73を備えており、制御部100が電源73を制御することにより、印加する転写バイアスの極性が切り換えられる。本実施形態の転写バイアス印加装置72が、本発明の印加部の一例である。
【0043】
また、転写バイアス印加装置72と給電ロール49との間には合成抵抗検知部70が設けられており、転写バイアスが印加された際に給電ロール49、バックアップロール48、中間転写体21、転写ベルト36、及び駆動ロール38を介して流れる二次転写電流が検出される。合成抵抗検知部70は、検出した二次転写電流に基づいて、制御部100が合成抵抗を導出して制御部100に出力する。制御部100は、合成抵抗検知部70が導出た合成抵抗に応じたバイアスを導出する。本実施形態の合成抵抗検知部70が、本発明の検知部の一例である。なお、合成抵抗検知部70が合成抵抗を導出せずに、制御部100が合成抵抗検知部70で検出した二次転写電流に基づいて合成抵抗を導出してもよいことはいうまでもない。
【0044】
一方、クリーニングバイアス印加装置74は、電源75及び電源76を備えており、制御部100が電源75及び電源76を制御することにより、印加するクリーニングバイアスの極性が切り換えられる。また、クリーニングバイアス印加装置78は、電源79及び電源80を備えており、制御部100が電源79及び電源80を制御することにより、印加するクリーニングバイアスの極性が切り換えられる。
【0045】
本実施形態の二次転写装置30は、トナー像転写モード、転写ベルト汚れ防止モード、及び合成抵抗検知モードのうちのいずれかのモードで、それぞれのモードに応じたバイアスを印加する。なお、転写ベルト汚れ防止モードが、本発明の予め定められた場合の一例である。
【0046】
トナー像転写モードは、記録媒体Pにトナー像を転写する際に用いられるモードである。また、転写ベルト汚れ防止モードは、転写ベルト汚れ防止モードとされていない場合において転写ベルト36にトナーが付着するのを防止する場合に用いられるモードである。トナー像転写モード及び転写ベルト汚れ防止モードでは、ほぼ一定の電位勾配の電界が安定して形成されるため、各種の記録媒体Pに対応できる。
【0047】
記録媒体Pにトナー像を転写(二次転写)する場合、転写後に転写ベルト36に残留するトナーは電荷にばらつきがあるため、クリーニング装置32とクリーニング装置34とには、互いに異なる極性のクリーニングバイアスが印加される。本実施形態の二次転写装置30では、クリーニング装置32には、マイナスに帯電しているトナーを吸着するためにクリーニングバイアス印加装置74によりプラス極性のクリーニングバイアスを印加し、クリーニング装置34には、プラスに帯電しているトナーを吸着するためにクリーニングバイアス印加装置78によりマイナス極性のクリーニングバイアスを印加する。
【0048】
クリーニング装置32において印加されるクリーニングバイアスの極性はプラスであり、回収ローラ42に印加されるクリーニングバイアスの大きさがファーブラシ40に印加されるクリーニングバイアスよりも大きい。また、クリーニング装置34において印加されるクリーニングバイアスの極性はマイナスであり、回収ローラ46に印加されるクリーニングバイアスの大きさがファーブラシ44に印加されるクリーニングバイアスよりも大きい。このように、回収ローラ42、46に印加されるクリーニングバイアスをファーブラシ40、44に印加されるバイアスよりも大きいクリーニングバイアスとすることで、ファーブラシ40、44で回収されたトナーが回収ローラ42、46へと円滑に転移され、ファーブラシ40、44によるクリーニング能力が維持される。
【0049】
一方、合成抵抗検知モードは、記録媒体Pが転写領域Xに存在しない場合に用いられるモードであり、合成抵抗検知部70により、転写領域Xにおける合成抵抗を検知する際に実施されるモードである。
【0050】
本実施形態の二次転写装置30では、合成抵抗検知モードにおいて、制御部100が、転写バイアス印加装置72によりバックアップロール48側から転写バイアスを印加させる。また、制御部100は、クリーニングバイアス印加装置74及びクリーニングバイアス印加装置78により、転写バイアス印加装置72が印加する転写バイアスと同極性のクリーニングバイアスを印加させる。そして、制御部100は、合成抵抗検知部70に、バックアップロール48、中間転写体21、転写ベルト36、及び駆動ロール38の合成抵抗を検知させる。本実施形態の二次転写装置30では、合成抵抗検知部70が導出した合成抵抗に基づいて、制御部100によりファーブラシ40、44に印加するクリーニングバイアスが決定される。
【0051】
このように印加するバイアスを制御することで、駆動ロール38の抵抗に応じて最適なバイアスが印加されるため、転写ベルト36の表面がファーブラシ40、44によって綺麗にクリーニングされる。
【0052】
なお、合成抵抗検知モードとする(合成抵抗を検知する)タイミングとしては、予め定められた画像形成(二次転写)枚数(例えば200枚)毎に行う場合の他、センサ(図示省略)で温度及び湿度の少なくとも一方をモニターし、例えば温度が予め定められた閾値以上変化したタイミングや湿度が予め定められた閾値以上変化したタイミング等が考えられる。
【0053】
上述したように、本実施形態の二次転写装置30は、トナー像転写モード、転写ベルト汚れ防止モード、及び合成抵抗検知モードのうちのいずれかのモードで、それぞれのモードに応じたバイアスを印加する。図3に示すように、トナー像転写モードでは、クリーニング装置32は極性がプラスのクリーニングバイアスを印加し、クリーニング装置34は極性がマイナスのクリーニングバイアスを印加し、転写バイアス印加装置72は極性がマイナスの転写バイアスを印加する。
【0054】
また、転写ベルト汚れ防止モードでは、クリーニング装置32は極性がプラスのクリーニングバイアスを印加し、クリーニング装置34は極性がマイナスのクリーニングバイアスを印加し、転写バイアス印加装置72は極性がプラスでトナー像転写モードよりも弱い(大きさが小さい)転写バイアスを印加する。さらに、合成抵抗検知モードでは、クリーニング装置32はマイナスのクリーニングバイアスを印加するか若しくはクリーニングバイアスを印加せず、クリーニング装置34は極性がマイナスのクリーニングバイアスを印加し、転写バイアス印加装置72は極性がマイナスの転写バイアスを印加する。
【0055】
このように、他のモードから合成抵抗検知モードに切り替えた場合、クリーニングバイアス及び転写バイアスが変化する場合がある。この際、一般的に、転写ベルトの帯電状態は、他のモードにおいて印加していたバイアスからの変化により生じたオフセット電圧の影響を受ける。一例として、図4には、転写ベルト汚れ防止モードから合成抵抗検知モードへ切り替えた場合における、転写ベルトの帯電状態の時間変化の一例を表す。
【0056】
一例として、図4に電圧Aとして示したように、一般的な二次転写装置では、オフセット電圧の影響により、転写ベルト汚れ防止モードから合成抵抗検知モードへ切り替えた際に、電圧がすぐに基準電圧に達せず、転写ベルトの回転周期に応じて階段状に変化する。このように転写ベルトの電圧が階段状に変化している状態において、合成抵抗検知モードにおける合成抵抗の検知を実施してしまうと、転写ベルトの電圧が基準電圧で安定している場合に比べ、導出される合成抵抗の値が適正でなくなり、その結果、導出されるバイアスの値も適正でなくなる。さらに、バイアスの値が適正でなくなることにより、トナー像の転写むらや転写ベルトのクリーニング不良等が生じるため、二次転写に起因して画像の品質が低下する。
【0057】
一方、本実施形態の二次転写装置30では、上記電圧Aで示した変化を示す一般的な二次転写装置と異なり、一例として、図4に電圧Bとして示したように、上記オフセット電圧の影響が抑制されるため、転写ベルト36の電圧が上述したように階段状に変化せずに、速やかに基準電圧に達する。
【0058】
すなわち、図4に電圧Bとして例示したように、転写ベルト36の帯電状態を変化させるために、本実施形態の画像形成装置10の二次転写装置30では、合成抵抗検知モードに移行するのに先だって、合成抵抗検知モードにおいて転写ベルト36に印加するバイアスと同極性のバイアスを予め転写ベルト36に印加する予備帯電を行う。
【0059】
次に、本実施形態の画像形成装置10における二次転写装置30の作用について説明する。
【0060】
本実施形態の二次転写装置30において上記予備帯電を行うための動作について説明する。図5には、転写ベルト汚れ防止モードから合成抵抗検知モードに移行する場合における、クリーニングバイアス及び転写バイアスの時間変化の一例のタイムチャートを示す。本実施形態の二次転写装置30は、制御部100の制御により、一例として図5に示した期間T1及び期間T2の間に、転写ベルト36に対して予備帯電を行う。
なお、トナー像転写モードから合成抵抗検知モードに切り替えた場合においても、上記と同様に予備帯電を行うことが好ましい。
【0061】
本実施形態の画像形成装置10では、期間T1及び期間T2は、合成抵抗検知モードに移行した際に転写領域Xに位置する転写ベルト36の領域が、クリーニングバイアス印加装置74及びクリーニングバイアス印加装置78で予備帯電されるように定められる。具体的には、期間T1は、転写ベルト36において、ファーブラシ40が接触する位置からファーブラシ44が接触する位置までの距離を、転写ベルト36の移動速度で除算して得られた値となる。また、期間T2は、転写ベルト36において、ファーブラシ44が接触する位置から転写領域Xまでの距離を、転写ベルト36の移動速度で除算して得られた値となる。
【0062】
制御部100は、例えば、画像形成装置10の主電源スイッチが投入された場合、CPU102が、ROM104に記憶されている制御プログラム105を実行することにより、図5に示した予備帯電制御処理を実行する。
【0063】
ステップS100で制御部100は、上述した合成抵抗検知モードとするタイミング(以下、「合成抵抗検知モード移行タイミング」という)から期間T1及び期間T2を減じたタイミングであるか否かを判定する。合成抵抗検知モード移行タイミングから期間T1及び期間T2を減じたタイミングではない場合、ステップS100の判定が否定判定となり、待機状態となる。一方、合成抵抗検知モード移行タイミングから期間T1及び期間T2を減じたタイミングに達した場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
【0064】
ステップS102で制御部100は、クリーニングバイアス印加装置74により、図5に示したようにクリーニングバイアスを印加させて、クリーニング装置32、より具体的にはファーブラシ40を予備帯電させる。本実施形態では、図5に示すように、予備帯電において印加するバイアスは、合成抵抗検知モードで印加するバイアスと大きさを同じとしているが、極性が同じであれば大きさは異なっていてもよい。なお、本実施形態と同様に、バイアスの大きさについても同一とすることが好ましい。
【0065】
次のステップS104で制御部100は、合成抵抗検知モード移行タイミングから、期間T2を減じたタイミングであるか否かを判定する。合成抵抗検知モード移行タイミングから期間T2を減じたタイミングではない場合、ステップS104の判定が否定判定となり、待機状態となる。一方、合成抵抗検知モード移行タイミングから期間T2を減じたタイミングに達した場合、ステップS104の判定が肯定判定となり、ステップS106へ移行する。
【0066】
ステップS106で制御部100は、クリーニングバイアス印加装置78により、図5に示したようにクリーニングバイアスを印加させて、クリーニング装置34、より具体的にはファーブラシ44を予備帯電させる。本実施形態では、図5に示すように、予備帯電において印加するバイアスは、合成抵抗検知モードで印加するバイアスと大きさを同じとしているが、極性が同じであれば大きさは異なっていてもよい。なお、本実施形態と同様に、バイアスの大きさについても同一とすることが好ましい。
【0067】
次のステップS108で制御部100は、合成抵抗検知モード移行タイミングであるか否かを判定する。合成抵抗検知モード移行タイミングではない場合、ステップS108の判定が否定判定となり、待機状態となる。一方、合成抵抗検知モード移行タイミングに達した場合、ステップS108の判定が肯定判定となり、ステップS110へ移行する。
【0068】
ステップS110で制御部100は、二次転写装置30を合成抵抗検知モードに移行させる。本ステップの実行により、合成抵抗検知モードに移行することにより、制御部100の制御により二次転写装置30において上述した合成抵抗の検知及び検知結果に基づいた処理が行われる。
【0069】
次のステップS112で制御部100は、本予備帯電制御処理を終了するか否かを判定する。例えば、画像形成装置10の主電源スイッチが切られた場合等、予め定められた終了条件を満たす場合、ステップS112の判定が肯定判定となり、本予備帯電制御処理を終了する。一方、終了条件を満たさない場合、ステップS112の判定が否定判定となり、ステップS100に戻り、本予備帯電制御処理を繰り返す。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置10の二次転写装置30は、中間転写体21と対向する位置に設けられ、中間転写体21に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写ベルト36と、中間転写体21を、転写ベルト36に対向する側とは反対の側から支持するバックアップロール48と、中間転写体21と、バックアップロール48との合成抵抗を検知する合成抵抗検知部70と、バックアップロール48に対して、中間転写体21から記録媒体Pにトナー像を転写するトナー像転写モードにおいて転写用の転写バイアスを印加し、合成抵抗検知部70が合成抵抗を検知する合成抵抗検知モードにおいて検知用の転写バイアスを印加する転写バイアス印加装置72と、合成抵抗検知部70が合成抵抗を検知するのに先立ち、転写ベルト36を検知用の転写バイアスと同極性に帯電させるファーブラシ40及びファーブラシ44と、を備える。
【0071】
このように、本実施形態の二次転写装置30によれば、合成抵抗検知モードに移行するのに先立ち、ファーブラシ40及びファーブラシ44により転写ベルト36を、合成抵抗検知モードにおいて印加される転写バイアスと同極性に帯電させる。そのため、合成抵抗検知モードに移行した際に、転写ベルト36の帯電状態が、上記図5に示した電圧Bのように変化し、速やかに、基準電圧に達する。
【0072】
従って、合成抵抗検知部70による、適正な合成抵抗の検知が可能となり、その結果、導出されるバイアスの値も適正になる。このように本実施形態の二次転写装置30によれば、バイアスの値が適正となることにより、トナー像の転写むらや転写ベルト36のクリーニング不良等を抑制することができる。従って、本実施形態の二次転写装置30によれば、合成抵抗を検知するのに先立ち、転写ベルト36を検知用の転写バイアスと同極性に帯電させない場合に比べて、二次転写に起因する画像の品質の低下を抑制する。
【0073】
画像の品質の向上等を目的としたトナーの小粒径化に伴い、転写ベルトの電圧を高くする場合がある。転写ベルトの電圧が高くなるほど、上記図5に電圧Aとして示した転写ベルトの電圧が階段状に変化する現象が顕著になる傾向がある。そのため本実施形態の画像形成装置10(二次転写装置30)は、このように転写ベルト36が高電圧となる場合に適用することにより、より顕著な効果が得られる。
【0074】
なお、本実施形態では、二次転写装置30が、クリーニング装置32及びクリーニング装置34を備え、ファーブラシ40及びファーブラシ44の各々が本発明の帯電部として機能する形態について説明したが当該形態に限定されないことはいうまでもない。例えば、転写ベルト36を予備帯電する帯電部、及び転写ベルト36をクリーニングする清掃部材は、ファーブラシに限定されず、例えば、その他のロールや、ブレードであってもよい。例えば、図7には、クリーニング装置34がファーブラシ40及び回収ローラ42に代わり、導電性のクリーニングブレード45を備える場合を示す。図7に示した例では、電源80を備えるクリーニングバイアス印加装置78が、制御部100の制御によりクリーニングバイアスをクリーニングブレード45に印加する。なお、図7に示した例では、クリーニングブレード45が、転写ベルト36の予備帯電に用いられる。
【0075】
また、転写ベルト36の帯電部は、導電フィルム等であってもよい。
【0076】
また、転写ベルト36の帯電部と、清掃部材とを別個に設けてもよいことはいうまでもない。この場合、帯電部が、清掃部材よりも転写領域Xに近い位置に設けられていることが好ましい。
【0077】
また、本実施形態では清掃部材として、クリーニング装置32及びクリーニング装置34を設けたが、清掃部材の数は当該形態に限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよいことはいうまでもない。
また、本実施形態において説明した、バイアスの極性における「プラス」及び「マイナス」は一例であり、本実施形態に限定されない。なお、本実施形態では、中間転写体21に転写されるトナーの極性がマイナスである場合の極性を説明したため、トナーの極性がプラスならば、バイアスの極性が本実施形態と異なる場合があることはいうまでもない。
【0078】
なお、上記実施形態は、本発明の一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0079】
10 画像形成装置
21 中間転写体
30 二次転写装置
32、34 クリーニング装置
36 転写ベルト
40、44 ファーブラシ
42、46 回収ローラ
48 バックアップロール
70 合成抵抗検知部
72 転写バイアス印加装置
74、78 クリーニングバイアス印加装置
100 制御部
102 CPU
105 制御プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7