(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の変性ポリイミド(1)(以下、(1)成分ともいう。)は、所定の酸無水物基末端ポリイミド(A1)(以下、(A1)成分ともいう。)の当該末端酸無水物基を、所定の反応性アルコキシシリル化合物(A2)(以下、(A2)成分ともいう。)で封止(エンドキャップ)してなるポリマーである。
【0025】
(A1)成分としては、好ましくは、芳香族テトラカルボン酸無水物(a1)(以下、(a1)成分ともいう。)、ダイマージアミン(a2)(以下、(a2)成分ともいう。)を含むモノマー群(1)(以下、(1)成分ともいう。)の反応物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。
【0026】
(a1)成分としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸ニ無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸ニ無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸ニ無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物及び4,4’−[プロパン−2,2−ジイルビス(1,4−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。
【0027】
【化1】
(式中、Xは単結合、−SO
2−、−CO−、−O−、−O−C
6H
4−C(CH
3)
2−C
6H
4−O−又は−COO−Y−OCO−(Yは−(CH2)
l−(l=1〜20)若しくは−H
2C−HC(−O−C(=O)−CH
3)−CH
2−を示す。)を表す。)
【0028】
(a2)成分であるダイマージアミンは、オレイン酸等の不飽和脂肪酸の二量体であるダイマー酸から誘導される化合物であり(特開平9−12712号公報等参照)、各種公知のダイマージアミンを特に制限なく使用できる。
【0029】
(a2)成分の非限定的な構造式を以下に示す。各構造式において、m+n=6〜17であり、p+q=8〜19であり、破線部は炭素−炭素単結合または炭素−炭素二重結合を意味する。
【0036】
(a2)成分の市販品としては、例えばバーサミン551(BASFジャパン(株)製)、バーサミン552(コグニクスジャパン(株)製;バーサミン551の水添物)、PRIAMINE1075、PRIAMINE1074(いずれもクローダジャパン(株)製)等が挙げられ、二種以上を組みわせることができる。以下、水添ダイマージアミンの一例を示す。
【0038】
(1)成分には、必要に応じて、各種公知のジアミノポリシロキサン(以下、(a3)成分ともいう。)を含めることができる。具体的には、例えば、α,ω−ビス(2−アミノエチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(4−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(5−アミノペンチル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(2−アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(4−アミノフェニル)プロピル]ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。
【0039】
(1)成分には、必要に応じて、(a1)成分〜(a3)成分以外のジアミン(以下、(a4)成分ともいう。)を含めることができる。具体的には、例えば、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジメチルージアミノジシクロヘキシルメタン、テトラメチルージアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環式ジアミン;2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等のビスアミノフェノキシフェニルプロパン類;3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミノジフェニルエーテル類;p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン類;3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド等のジアミノジフェニルスルフィド類;3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン類;3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン等のジアミノベンゾフェノン類;3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミノジフェニルメタン類;2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン等のジアミノフェニルプロパン類;2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のジアミノフェニルヘキサフルオロプロパン類;1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン等のジアミノフェニルフェニルエタン類;1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等のビスアミノフェノキシベンゼン類;1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン等のビスアミノベンゾイルベンゼン類;1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジメチルベンゼン類;1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン等のビスアミノジトリフルオロメチルベンジルベンゼン類;2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル等のアミノフェノキシビフェニル類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン等のアミノフェノキシフェニルケトン類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド等のアミノフェノキシフェニルスルフィド類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン等のアミノフェノキシフェニルスルホン類;ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等のアミノフェノキシフェニルエーテル類;2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のアミノフェノキシフェニルプロパン類;その他、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス[(2−アミノメトキシ)エチル]エ−テル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコ−ルビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコ−ルビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコ−ルビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。
【0040】
酸成分である(a1)成分と、アミン成分である(a2)成分〜(a4)成分とのモル比[(a1)/〔(a2)+(a3)+(a4)〕]は特に限定されないが、接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスの観点より、通常0.9〜1.25程度、好ましくは0.9〜1.1程度である。
【0041】
(a2)成分〜(a4)成分における各成分の比率も特に限定されないが、耐熱接着性、接着性、フローコントロール性及及び低誘電特性のバランスの観点より、通常、以下の通りである。
[(a2)/〔(a2)+(a3)+(a4)〕]:10モル%〜100モル%程度、好ましくは30モル%〜100モル%程度
[(a3)/〔(a2)+(a3)+(a4)〕]:0モル%〜50モル%程度、好ましくは0モル%〜5モル%程度
[(a4)/〔(a2)+(a3)+(a4)〕]:0モル%〜90モル%程度、好ましくは0モル%〜70モル%程度
【0042】
(A1)成分は、各種公知の方法により製造できる。例えば、(a1)成分並びに(a2)成分、並びに必要に応じて用いる(a3)成分及び(a4)成分を、通常60〜120℃程度(好ましくは80〜100℃)の温度において、通常0.1〜2時間程度(好ましくは0.1〜0.5時間)、重付加反応させる。次いで、得られた重付加物を更に80〜250℃程度、好ましくは100〜200℃の温度において、0.5〜50時間程度(好ましくは1〜20時間)、イミド化反応、即ち脱水閉環反応させればよい。また、それら反応の際には、後述する(3)成分、特に非プロトン系極性溶媒を反応溶媒として使用することができる。
【0043】
なお、イミド化反応においては、各種公知の反応触媒、脱水剤、及び後述する溶剤を使用できる。反応触媒としては、トリエチルアミン等の脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物や無水安息香酸等の芳香族酸無水物等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。
【0044】
(A1)成分のイミド閉環率は特に限定されないが、通常70%以上、好ましくは85〜100%である。ここに「イミド閉環率」とは、(A1)成分における環状イミド結合の含有量を意味し(以下、同様。)、例えばNMRやIR分析等の各種分光手段により決定できる。
【0045】
(A1)成分の物性は特に限定されないが、接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスの観点より、通常、数平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値をいう。以下、同様。)が10000〜20000程度であり、ガラス転移温度(JIS−K7121)が20〜200℃程度である。
【0046】
また、(A1)成分末端酸無水物基の濃度も特に限定されないが、通常、5000〜20000eq/g程度である。
【0047】
(A2)成分は、(A1)成分の末端酸無水物基を変性し、本発明の接着剤組成物の溶融粘度を低くするとともに、該接着剤より得られる接着層の接着性及び耐熱接着性を維持しつつその低誘電特性を維持するために使用する必須成分である。
【0048】
(A2)成分は、一般式(1):Z
1−Si(R
1)
a(OR
2)
3−a(式(1)中、Zは一級アミノ基を含む基を、R
1は水素又は炭素数1〜8の炭化水素基を、R
2は炭素数1〜8の炭化水素基を、aは0、1又は2を示す。)で表される反応性アルコキシシリル化合物である。具体的には、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミンプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン及び3−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0049】
(A2)成分の使用量は特に限定されないが、本発明の接着層を低溶融粘度ないし低損失弾性率としつつ、該接着層の接着性、耐熱接着性及び低誘電特性を維持する観点より、(A1)成分の末端酸無水物基1モルに対し(A2)成分が0.2〜1.5モル程度、好ましくは0.3〜1.2モル程度とするのがよい。
【0050】
なお、(A2)成分とともに、(A1)成分の末端酸無水物基を変性する成分として、各種公知の一級アルキルアミンを併用できる。具体的には、例えば、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、tert−ペンチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、イソデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−ラウリルアミン、n−セチルアミン、n−ステアリルアミン等が挙げられる。これらの中でも、溶融粘度特性の観点より、アルキル基の炭素数が4〜15程度のものが好ましい。また、その使用量は、(A2)成分に対して通常5モル%未満である。
【0051】
(1)成分の物性は特に限定されないが、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性のバランスの観点より、通常、数平均分子量が5000〜30000程度であり、ガラス転移温度(JIS−K7121)が20〜150℃程度である。
【0052】
本発明の接着剤組成物は、(1)成分、架橋剤(2)(以下、(2)成分ともいう。)及び有機溶剤(3)(以下、(3)成分ともいう。)を含有する。
【0053】
(2)成分としては、各種公知のものを特に制限なく使用でき、例えばポリフェニレンエーテル化合物(2−1)(以下、(2−1)成分ともいう。)、ポリエポキシ化合物(2−2)(以下、(2−2)成分ともいう。)、及びこれら以外の架橋剤(以下、(2−3)成分ともいう。)が挙げられる。
【0054】
(2−1)成分としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、下記一般式で示されるものが好ましい。
【0055】
【化9】
(式中、Z
2は炭素数1〜3のアルキレン基又は単結合を示し、mは0〜20を示し、nは0〜20を示し、mとnとの合計は1〜30を示す。)
【0056】
(2−2)成分の物性は特に限定されないが、接着性、耐熱接着性及び低誘電特性の観点より、末端水酸基濃度が900〜2500μmol/g程度、及び数平均分子量が800〜2000程度であるのがよい。
【0057】
(2−2)成分としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールF型エポキシ化合物、スチルベン型エポキシ化合物、トリアジン骨格含有エポキシ化合物、フルオレン骨格含有エポキシ化合物、線状脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物、トリフェノールフェノ−ルメタン型エポキシ化合物、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ化合物、ナフタレン骨格含有エポキシ化合物、アリールアルキレン型エポキシ化合物、テトラグリシジルキシリレンジアミン、これらエポキシ化合物をダイマー酸で変性してなる変性エポキシ化合物、ダイマー酸ジグリシジルエステル等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、市販品としては例えば、三菱化学(株)製の「jER828」や「jER834」、「jER807」、「jER630」、新日鐵化学(株)製の「ST−3000」、ダイセル化学工業(株)製の「セロキサイド2021P」、新日鐵化学(株)製の「YD−172−X75」等が挙げられる。
【0058】
(2−2)成分の中でも、下記構造のテトラグリシジルキシレンジアミンは、接着性、耐熱接着性及びフローコントロール性の観点で好ましく、例えば三菱ガス化学(株)製の「Tetrad−X」等の市販品を使用できる。
【0059】
【化10】
(式中、Z
3はフェニレン基又はシクロヘキセンシレン基を示す。)
【0060】
なお、(2−2)成分を使用する場合には、各種公知のエポキシ化合物用硬化剤を併用できる。具体的には、例えば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、あるいは4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸とヘキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−テトラヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、3−ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物等の酸無水物系硬化剤;ジシアンジアミド(DICY)、芳香族ジアミン(商品名「LonzacureM−DEA」、「LonzacureM−DETDA」等。いずれもロンザジャパン(株)製)、脂肪族アミン等のアミン系硬化剤;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、フェノール性水酸基含有ホスファゼン(大塚化学(株)製の商品名「SPH−100」等)等のフェノール系硬化剤、環状ホスファゼン系化合物、マレイン酸変性ロジンやその水素化物等のロジン系架橋剤等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。これらの中でもフェノール系硬化剤、特にフェノール性水酸基含有ホスファゼン系硬化剤が好ましい。これら硬化剤の使用量は特に制限されないが、通常、本発明の接着剤組成物の固形分を100重量%とした場合において0.1〜120重量%程度であり、好ましくは10〜40重量%程度である。
【0061】
また、(2−2)成分を使用する場合には、硬化触媒を使用することもできる。具体的には、例えば、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチルー2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾ−ル類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、及びサリチル酸等の有機酸のZn、Cu、及びFe等の有機金属塩が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、当該触媒の使用量は特に制限されないが、通常、本発明の接着剤組成物の固形分を100重量%とした場合において0.01〜5重量%程度である。
【0062】
(2−3)成分としては、例えば、ベンゾオキサジン化合物、ビスマレイミド化合物及びシアネートエステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種が挙げられる。
【0063】
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、6,6−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−フェニル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)、6,6−(1−メチルエチリデン)ビス(3,4−ジヒドロ−3−メチル−2H−1,3−ベンゾオキサジン)等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。なお、オキサジン環の窒素にはフェニル基、メチル基、シクロヘキシル基等が結合していてもよい。また、市販品としては例えば、四国化成工業(株)社製の「ベンゾオキサジンF−a型」や「ベンゾオキサジンP−d型」、エア・ウォ−タ−社製の「RLV−100」等が挙げられる。
【0064】
ビスマレイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6’−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、4,4’−ジフェニルスルフォンビスマレイミド等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、市販品としては例えば、JFEケミカル(株)社製の「BAF−BMI」等が挙げられる。
【0065】
シアネートエステル化合物としては、例えば、2−アリルフェノールシアネートエステル、4−メトキシフェノールシアネートエステル、2,2−ビス(4−シアナトフェノール)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビスフェノールAシアネートエステル、ジアリルビスフェノールAシアネートエステル、4−フェニルフェノールシアネートエステル、1,1,1−トリス(4−シアナトフェニル)エタン、4−クミルフェノールシアネートエステル、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、4,4’−ビスフェノールシアネートエステル、及び2,2‐ビス(4‐シアナトフェニル)プロパン等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。また、市販品としては例えば、「PRIMASET BTP−6020S(ロンザジャパン(株)製)」、「CYTESTER TA(三菱ガス化学(株)製)」等が挙げられる。
【0066】
(2)成分の使用量特に限定されないが、本発明の接着剤及び接着シートを低溶融粘度ないし低損失弾性率としつつ、それらより得られる接着層の接着性、耐熱接着性、フローコントロール性及び低誘電特性を維持する観点より、通常、(1)成分100重量部に対して、固形分重量換算で3〜30重量部程度、好ましくは5〜15重量部程度である。
【0067】
(3)成分としては、各種公知の溶剤を特に制限なく使用できる。具体例としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルカプロラクタム、メチルトリグライム、メチルジグライム等の非プロトン性極性溶剤や、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン等の脂環式溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール、クレゾ−ル等のアルコール系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤等が挙げられ、二種以上組み合わせてもよい。
【0068】
また、本発明の接着剤組成物には、必要に応じ、前記開環エステル化反応触媒や脱水剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、粘度調節剤、リン系難燃剤、難燃フィラー、シリカフィラー及びフッ素フィラー等の添加剤を配合できる。
【0069】
(3)成分の使用量は特に限定されないが、本発明の接着剤組成物の固形分濃度が通常10〜50重量%程度となる範囲であればよい。
【0070】
本発明の接着シートは、本発明の接着剤組成物を前記支持シートに塗工してなるフィルム状の接着材である。該支持シートとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリイミド−シリカハイブリッド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、エチレンテレフタレートやフェノール、フタル酸、ヒドロキシナフトエ酸等とパラヒドロキシ安息香酸とから得られる芳香族系ポリエステル樹脂(所謂液晶ポリマー;(株)クラレ製、「ベクスター」等)等のプラスチックフィルムが挙げられる。また、塗工手段も特に限定されず、ギャップコーター、カーテンコーター、ロールコーター及びラミネーター等が挙げられる。また、塗工層の厚みも特に限定されないが、乾燥後の厚みが通常1〜100μm程度、好ましくは3〜50μm程度となる範囲であればよい。塗工後、該接着剤組成物を加熱下に硬化させ、(3)成分を蒸発させることにより、目的の接着シートが得られる。なお、該支持シートから剥離した接着層は、フィルム状接着材として利用可能である。その厚みは特に限定されないが、通常、3〜40μm程度である。
【0071】
本発明の樹脂付銅箔は、本発明の接着剤組成物又は本発明の接着シートからなる接着層と、銅箔とから構成される物品である。銅箔としては、例えば、圧延銅箔や電解銅箔が挙げられる。また、その厚みも特に限定されず、通常は1〜100μm程度、好ましくは2〜38μm程度である。また、該銅箔は、各種表面処理(粗化、防錆化等)が施されたものであってよい。防錆化処理としては、例えば、Ni,Zn,Sn等を含むメッキ液を用いたメッキ処理や、クロメート処理等の、所謂鏡面化処理が挙げられる。また、塗工手段としては前記した方法が挙げられる。また、該樹脂付銅箔の接着層は未硬化であってもよく、また加熱下に部分硬化ないし完全硬化させたものであってもよい。部分硬化の接着層は、いわゆるBステージと呼ばれる状態にある。また、接着層の厚みも特に限定されず、通常、0.5〜30μm程度である。また、該樹脂付銅箔の接着面に更に銅箔を貼り合わせ、両面樹脂付銅箔にすることもできる。
【0072】
本発明の銅張積層板は、本発明の樹脂付銅箔と、銅箔若しくは絶縁性シートとを、加熱・加圧下に貼り合わせてなる物品、又は、絶縁性シートに本発明の接着剤組成物を塗工してなるシートと銅箔とを加熱・加圧下に貼り合わせてなる物品であり、いずれもCCL(Copper Clad Laminate)とも呼ばれる。該銅張積層板における絶縁性シートの枚数は特に制限されない。該銅箔としては前記したものが挙げられる。該絶縁性シートとしては、前記支持体のうち絶縁性のものや、プリプレグが好ましい。該プリグレグは、ガラス布等の補強材に該絶縁性樹脂を含浸させ、Bステージまで硬化させたシート状材料のことをいい(JIS C 5603)、該絶縁性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリイミド−シリカハイブリッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、液晶ポリマー及びアラミド樹脂等が挙げられる。該絶縁性シート及びプリプレグの厚みは特に限定されず、通常、20〜500μm程度である。また、加熱・圧着条件は特に限定されず、通常150〜280℃程度(好ましくは170℃〜240℃程度)、及び0.5〜20MPa程度(好ましくは1〜8MPa程度)である。
【0073】
本発明のプリント配線板は、前記銅張積層板の銅箔面に回路パターンを形成してなる物品である。パターニング手段としては、例えばサブトラクティブ法やセミアディティブ法が挙げられる。セミアディティブ法としては、例えば、本発明の銅張積層板の銅箔面に、レジストフィルムでパターニングした後、電解銅メッキを行い、レジストを除去し、アルカリ液でエッチングする方法が挙げられる。また、該プリント配線板における回路パターン層の厚みは特に限定されない。
【0074】
本発明の多層基板は、前記プリント配線板をコア基材とし、その上に同一のプリント配線板や他の公知のプリント配線板又はプリント回路板を積層した後、加熱及び加圧下に圧着することを特徴とする。積層の際には本発明のポリイミド系接着剤のみならず、他の公知のポリイミド系接着剤を使用することもできる。また、多層基板における積層数は特に限定されない。
【実施例】
【0075】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明するが、それらによって本発明の範囲が限定されることはない。また、各例中、部及び%は特記しない限り重量基準である。なお、数平均分子量は、市販の測定機(「HLC−8220GPC」、東ソー(株)社製)を用いて得られた値であり、また、ガラス転移温度は市販の測定器(「DSC6200」、セイコーインスツル(株)社製)を用いて得られた値である。
【0076】
製造例1−1
撹拌機、分水器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(商品名「BTDA」、ダイセル化学工業(株)製。)50.0g、シクロヘキサノン240.0g、及びメチルシクロヘキサン48.0gを仕込み、60℃まで加熱した。次いで、ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE 1075」、クローダジャパン(株)製)75.8g及びα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(商品名「KF−8010」、信越化学工業(株)製。)6.5gを2時間かけて徐々に添加し、140℃で3時間かけてイミド化反応させることにより、重量平均分子量が約25,000及び軟化点が約80℃の酸無水物基末端ポリイミド(A1−1)の溶液(不揮発分30.2%)を得た。なお、該(A1−1)成分の酸成分/アミン成分のモル比は1.05であった。
【0077】
製造例1−2
製造例1と同様の反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BTDA−UP」、エボニックジャパン(株)製;3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の含有量が99.9%以上)210.0g、シクロヘキサノン1008.0g、メチルシクロヘキサン201.6gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、水添ダイマージアミン(商品名「PRIAMINE 1075」、クローダジャパン(株)製)341.7gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約80℃及び重量平均分子量約35,000のポリイミド樹脂(A1−2)の溶液(不揮発分30.0%)を得た。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.03であった。
【0078】
製造例1−3
製造例1と同様の反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BisDA−1000」、SABICジャパン合同会社製;4,4’−[プロパン−2,2−ジイルビス(1,4−フェニレンオキシ)]ジフタル酸二無水物の含有量が98.0%) 65.0g、シクロヘキサノン266.5g、メチルシクロヘキサン44.4gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 43.7g、及び1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン5.4gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約100℃及び重量平均分子量約30,000のポリイミド(A1−3)の溶液(不揮発分29.2%)を得た。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.05であった。
【0079】
製造例1−4
製造例1と同様の反応容器に、市販の芳香族テトラカルボン酸二無水物(商品名「BTDA−PF」、エボニックジャパン(株)製;3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物の含有量が98%) 200.0g、シクロヘキサノン960.0g、メチルシクロヘキサン192.0gを仕込み、溶液を60℃まで加熱した。次いで、PRIAMINE 1075 319.2gを滴下した後、140℃で10時間かけてイミド化反応させることにより、軟化点約80℃及び重量平均分子量約25,000のポリイミド(A1−4)の溶液(不揮発分29.8%)を得た。なお、酸成分/アミン成分のモル比は1.05であった。
【0080】
製造例2−1
製造例1と同様の反応容器に(A1−1)成分の溶液100.0gを入れ、次いでN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−603」、信越化学工業(株)製)のトルエン溶液(固形分10%)2.10gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約25,000及び軟化点約80℃の変性ポリイミド(1−1)の溶液(不揮発分29.8%)を得た。なお、該(A1−1)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−603のモル数は0.4であった。
【0081】
製造例2−2
製造例1と同様の反応容器に(A1−2)成分の溶液100.0gを入れ、次いでKBM603のトルエン溶液(固形分10%)1.00gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約35,000及び軟化点約80℃の変性ポリイミド(1−2)の溶液(不揮発分29.8%)を得た。なお、該(A1−2)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−603のモル数は0.4であった。
【0082】
製造例2−3
製造例1と同様の反応容器に(A1−3)成分の溶液100.0gを入れ、次いでKBM−603のトルエン溶液(固形分10%)1.40gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約30,000及び軟化点約100℃の変性ポリイミド(1−3)の溶液(不揮発分28.9%)を得た。なお、該(A1−3)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−603のモル数は0.4であった。
【0083】
製造例2−4
製造例1と同様の反応容器に(A1−4)成分の溶液100.0gを入れ、次いでKBM−603のトルエン溶液(固形分10%)1.60gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約25,000及び軟化点約80℃の変性ポリイミド(1−4)の溶液(不揮発分29.5%)を得た。なお、該(A1−4)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−603のモル数は0.4であった。
【0084】
製造例2−5
製造例1と同様の反応容器に(A1−2)成分の溶液100.0gを入れ、次いでKBM603のトルエン溶液(固形分10%)1.90gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約25,000及び軟化点約80℃の変性ポリイミド(1−5)の溶液(不揮発分29.6%)を得た。なお、該(A1−2)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−603のモル数は0.8であった。
【0085】
製造例2−6
製造例1と同様の反応容器に(A1−1)成分の溶液100.0gを入れ、次いで3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−903」、信越化学工業(株)製)のトルエン溶液(固形分10%)1.70gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約25,000及び軟化点約80℃の変性ポリイミド(1−6)の溶液(不揮発分29.9%)を得た。なお、該(A1−1)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−903のモル数は0.4であった。
【0086】
製造例2−7
製造例1と同様の反応容器に(A1−1)成分の溶液100.0gを入れ、次いでN−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−573」、信越化学工業(株)製)のトルエン溶液(固形分10%)2.40gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約25,000及び軟化点約80℃の変性ポリイミド(1−7)の溶液(不揮発分29.7%)を得た。なお、該(A1−1)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−573のモル数は0.4であった。
【0087】
製造例2−8
製造例1と同様の反応容器に(A1−1)成分の溶液100.0gを入れ、次いで3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名「KBM−403」、信越化学工業(株)製)のトルエン溶液(固形分10%)2.10gを更に仕込み、25℃で6時間保温することによって、重量平均分子量約25,000及び軟化点約80℃の変性ポリイミド(1−8)の溶液(不揮発分29.8%)を得た。なお、該(A1−1)成分の末端酸無水物基1モルに対するKBM−403のモル数は0.4であった。
【0088】
実施例1
(1−1)成分の溶液100.00g、(2)成分としてビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(商品名「jER828」、三菱化学(株)製)0.61g及び水酸基含有ポリフェニレンエーテル(商品名「SA90」SABIC(株)製)のトルエン溶液(固形分50%)5.40g、並びに(3)成分としてトルエン4.36gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0089】
実施例2
(1−2)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.61g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.40g、並びに(3)成分としてトルエン4.36gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0090】
実施例3
(1−3)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.59g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.24g、並びに(3)成分としてトルエン1.21gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0091】
実施例4
(1−4)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.60g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.35g、並びに(3)成分としてトルエン3.31gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0092】
実施例5
(1−5)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.61g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.37g、並びに(3)成分としてトルエン3.66gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0093】
実施例6
(1−6)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.61g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.42g、並びに(3)成分としてトルエン4.71gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0094】
実施例7
(1−1)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.30g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)2.62g、並びに(3)成分としてトルエン4.10gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0095】
実施例8
(1−1)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.99g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)8.76g、並びに(3)成分としてトルエン9.82gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0096】
実施例9
(1−1)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.63g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.53g、並びに(3)成分としてメチルエチルケトン6.81gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0097】
実施例10
(1−1)成分の溶液100.00g、(2)成分として市販の多官能系エポキシ樹脂(商品名「jER630」、三菱化学(株)製;N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン)1.98g及びBis−A型シアネートエステル(商品名「CYTESTER TA」、三菱ガス化学(株)製)のメチルエチルケトン溶液(固形分40%)3.51g、並びに(3)成分としてトルエン7.46gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0098】
比較例1
(A1−1)成分の溶液100.00g、jER828 0.62g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.47g、並びにトルエン5.76gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0099】
比較例2 (1−7)成分の溶液100.00g、(2)成分としてjER828 0.61g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.38g、並びに(3)成分としてトルエン4.01gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0100】
比較例3
(1−8)成分の溶液100.00g、jER828 0.61g及びSA90のトルエン溶液(固形分50%)5.40g、並びにトルエン4.36gを混合し、不揮発分30.0%の接着剤組成物を得た。
【0101】
<接着シートの作製>
実施例1〜11、比較例1及び2の接着剤組成物を、支持シート(商品名「カプトン100EN」、東レ・デユポン(株)製;膜厚25μm;熱膨張係数;15ppm/℃)に、乾燥後の厚みが20μm及び左右マージンがそれぞれ1cmとなるようギャップコーターにて塗布した後、180℃で3分間乾燥させることによって接着シートを得た。
【0102】
<銅張積層板の作製>
実施例及び比較例の前記接着シートより、ギャップコートの方向と垂直となる方向で、幅10cm、長さ4cmのフィルム片を切り取った。次いで該フィルム片の接着面を、市販の電解銅箔(商品名「F2−WS」、古河サーキットフォイル(株)製、18μm厚、幅10cm、長さ5cm)の鏡面側に重ねた、試験サンプルを作製した。試験サンプルの概略図を
図1に示す。
【0103】
次いで、実施例及び比較例の該試験サンプルをプレス用支持体の上に置き、上方向より同素材からなる支持体を介して圧力5MPa、170℃及び30分間の条件で加熱プレスをすることにより積層フィルムを作製した。
【0104】
1.接着性試験
前記実施例及び比較例の銅張積層板について、JIS C 6481(フレキシブルプリント配線板用銅張積層板試験方法)に準じ、引き剥がし強さ(N/cm)を測定した。結果を表1に示す。
【0105】
2.はんだ耐熱試験
前記実施例及び比較例の銅張積層板を、288℃のはんだ浴に銅箔側を下にして30秒浮かべ、外観変化の有無を確認した。変化無しを○、発泡、膨れがある場合を×とした。結果を表1に示す。
【0106】
3.フローコントロール性の評価
前記実施例及び比較例の積層フィルムにおける、接着層(硬化層)の端位置が、加熱プレス前後で変化が無いかどうか、目視で確認した。水平方向での流出の長さでフローコントロール性を評価した。水平方向で流出していないものほど(最も良好=流出無し=流出長さ0mm)フローコントロール性が良好だと判断できる。結果を表1に示す。良好な代表例(流出長さ0mm)として実施例1の評価サンプルの外観写真を
図2に、不良な代表例(流出長さ5mm)として比較例1の評価サンプルの外観写真を
図3に示す。
【0107】
<比誘電率及び誘電正接測定用硬化物サンプルの作製>
実施例及び比較例の接着剤組成物を、フッ素樹脂PFA平皿(直径75mm,(株)相互理化学硝子製作所製)に約7g注ぎ、30℃×10時間、70℃×10時間、100℃×6時間、120℃×6時間、150℃×6時間、180℃×12時間の条件で硬化させることによって、膜厚約300マイクロメートルの比誘電率及び誘電正接用の硬化物サンプルを得た。
【0108】
次いで、実施例及び比較例の該硬化物サンプルについて、JIS C2565に準じ、10GHzにおける比誘電率及び誘電正接を、市販の誘電率測定装置(空洞共振器タイプ、エーイーティー製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
【0109】
【表1】