特許第6759997号(P6759997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6759997
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】トナー用ワックス組成物
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20200910BHJP
   C10M 105/36 20060101ALI20200910BHJP
   C10M 105/38 20060101ALI20200910BHJP
   C10N 20/00 20060101ALN20200910BHJP
   C10N 30/20 20060101ALN20200910BHJP
   C10N 40/36 20060101ALN20200910BHJP
   C10N 50/08 20060101ALN20200910BHJP
【FI】
   G03G9/097 365
   C10M105/36
   C10M105/38
   C10N20:00 A
   C10N30:20
   C10N40:36
   C10N50:08
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-221182(P2016-221182)
(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公開番号】特開2018-81119(P2018-81119A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年7月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124349
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 圭啓
(72)【発明者】
【氏名】上村 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】吉村 健司
【審査官】 廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−105128(JP,A)
【文献】 特開平8−50367(JP,A)
【文献】 特開平9−43909(JP,A)
【文献】 特開2003−215844(JP,A)
【文献】 特開2010−85909(JP,A)
【文献】 特開平10−48885(JP,A)
【文献】 特開平8−314300(JP,A)
【文献】 特開平8−297376(JP,A)
【文献】 特開平8−244358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/08−9/113
C10M 101/00−177/00
C10N 10/00−80/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記に示す化合物Aと化合物Bとからなり、化合物Aと化合物Bとの質量比が5:95〜50:50であり、融点が60℃以上であるトナー用ワックス組成物。
化合物A:炭素数が20〜50の二価の直鎖飽和脂肪酸と、炭素数が12〜24である一価の直鎖飽和アルコールとからなるジエステル化合物
化合物B:炭素数が16〜50の一価の直鎖飽和脂肪酸と、炭素数が16〜24の一価の直鎖飽和アルコールとからなるモノエステル化合物
【請求項2】
化合物Aの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Ca)と、化合物Bの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Cb)が下記式Iを満たす請求項1に記載のトナー用ワックス組成物。
(式I) |Ca−Cb|≦4
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、レーザープリンタなどの電子写真法や静電記録法などで記録される静電荷像の現像に使用されるトナーに対して好適に用いられるトナー用エステルワックス組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のプリンタ、ファクシミリ、およびこれらの機能を有する複写機に用いるトナーは、主成分となる熱可塑性樹脂の他に、着色剤(カーボンブラック、磁性粉、顔料など)、荷電制御剤、ワックスを含み、必要に応じて、流動性付加剤、クリーニング助剤、転写助剤を更に含む。
トナーは、定着工程において熱ロールによる加熱を受けて軟化し、且つ加圧ロールによる圧力を受けて印刷媒体表面に定着することにより画像が形成される。トナーに含まれるワックスは、定着時にトナーが定着ロールに残存すること(フィルミング)を防止するとともに、熱可塑性樹脂の軟化を促進して定着性を向上させる機能を有する。
最近では環境意識の高まりから、複写機などには消費電力を低減するために、低温定着に対応したトナーが求められており、一般に、直鎖飽和脂肪酸と直鎖飽和アルコールとからなる低融点のモノエステルワックスがトナー用ワックスとして使用される。この場合、ワックスを過度に低融点化した場合には、トナーの保存環境下でワックスの融解によるブロッキングを引き起こすことがあるため、一定温度以上の融点を有するモノエステルワックスを使用する必要がある。
【0003】
また近年、プロダクションプリンティングなど、印刷の多様化によって、従来では紙であった印刷媒体が、OHPフィルムや樹脂フィルムといった多様な印刷媒体へ対応することが要求されている。しかし、これらOHPフィルムや樹脂フィルム等は一般に透明であり、透明な印刷媒体に対して、モノエステルワックスを含むトナーで印刷した場合、エステルワックスの結晶由来の濁りが発生し、フィルムの透明性を損なう、顔料の発色を阻害するなどの課題があった。
【0004】
トナーの現像性、転写性、定着性、および保存安定性が向上し、更には両面印刷において画像光沢度が均一となるトナーを提供することを目的として、特許文献1には、ジエステルワックスをトナー用ワックスとして使用することが提案されている。
同文献には、炭素数が6〜32の2価の直鎖飽和脂肪酸、及び炭素数が6〜32である1価の直鎖飽和アルコールからなるジエステル化合物をトナー用ワックスとして使用することが提案されており、同文献のトナー用ワックスによれば、フィルム定着器のような軽負荷定着工程においてジエステル化合物がトナー樹脂を軟化することで印刷表面の平滑性が向上し、良好な顔料発色が得られることが開示されている。一方で、冷却固化時に速やかに結晶化するジエステル化合物を使用することによって、エステルワックスの結晶由来の濁りによる透明性には課題がある。そのため、同文献のトナー用ワックスはトナー樹脂を軟化させることはできるものの、エステルワックスの光透過率を向上させることはできない。
【0005】
低温定着性が得られながら定着分離性および耐ホットオフセット性が得られ、さらに、画質安定性に優れる静電荷像現像用トナーを提供することを目的として、特許文献2には、モノエステルワックス、ジ・トリエステルワックス、および結晶核剤としてソルビトール誘導体を含有するトナーが提案されている。
同文献には、モノエステルワックス、炭素数6以下の2価の直鎖飽和脂肪酸(即ち、短鎖二塩基酸)と炭素数16〜18の1価の直鎖飽和アルコールとのジエステル化合物、トリエステルワックス、及びソルビトール誘導体を結晶核剤として含有するトナーが提案されており、低温定着性、顔料の発色、保存安定性が良好なトナーが開示されている。一方で、上記の短鎖二塩基酸ではエステルワックスの結晶由来の濁りによる透明性を改善することはできず、ソルビトール誘導体ではエステルワックスの透明性を向上させる効果は得られないことから、印刷表面の濁りについては改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5495530号公報
【特許文献2】特許第5794120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、トナーの保存環境下でのトナーのブロッキングを抑制しながら低温定着性を付与することができるとともに、透明な印刷媒体を使用しても濁りを生じ難いトナー用ワックス組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定構造のジエステルワックスと特定構造のモノエステルワックスとを特定の割合で配合することで、モノエステルワックスの融点の低下を抑制するとともに、エステルワックス組成物の光透過率の向上によってエステルワックスの結晶由来の濁りが解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に示す化合物Aと化合物Bとからなり、化合物Aと化合物Bとの質量比が5:95〜50:50であり、融点が60℃以上であるトナー用ワックス組成物である。
化合物A:炭素数が20〜50の二価の直鎖飽和脂肪酸と、炭素数が12〜24である一価の直鎖飽和アルコールとからなるジエステル化合物
化合物B:炭素数が16〜50の一価の直鎖飽和脂肪酸と、炭素数が16〜24の一価の直鎖飽和アルコールとからなるモノエステル化合物
【0010】
また、本発明のトナー用ワックス組成物は、化合物Aの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Ca)と、化合物Bの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Cb)が下記式Iを満たすことが好ましい。
(式I) |Ca−Cb|≦4
【発明の効果】
【0011】
本発明のトナー用ワックス組成物は、融点が低く低温で融解し易いことから、トナーに低温定着性を付与することができる。また、化合物Aまたは化合物Bのエステルワックス単独の場合よりも、光透過率を向上させることができ、印刷画像の透過光や顔料発色を阻害し難いことから、透明な印刷媒体に印刷するためのトナーに適用した場合であっても、良好な画質性能を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明のトナー用ワックス組成物は、下記に示す化合物Aと化合物Bからなる。
なお、本明細書において記号「〜」を用いて規定された数値範囲は「〜」の両端(上限および下限)の数値を含むものとする。例えば「2〜5」は2以上5以下を表す。
【0013】
〔化合物A〕
本発明で用いられる化合物Aは、二価の直鎖飽和脂肪酸と、一価の直鎖飽和アルコールとからなるジエステル化合物である。
【0014】
化合物Aにおける二価の直鎖飽和脂肪酸は、炭素数が20〜50であり、好ましくは20〜30である。二価の直鎖飽和脂肪酸の炭素数が小さすぎる場合には、化合物Bと組み合わせても本発明の効果が得られないことがある。
二価の直鎖飽和脂肪酸の例としては、エイコサン二酸、ドコサン二酸、テトラコサン二酸、ヘキサコサン二酸、オクタコサン二酸、トリアコンタン二酸などが挙げられる。
【0015】
化合物Aにおける一価の直鎖飽和アルコールは、炭素数が12〜24であり、好ましくは炭素数が16〜24であり、特に好ましくは炭素数が18〜24である。一価の直鎖飽和脂肪酸の炭素数が小さすぎる場合には、化合物Aの融解温度が低くなりトナーのブロッキングを引き起こすことがある。また炭素数が大きすぎる場合には、化合物Aの融点が90℃を超えるために、融解時のトナー表面への染み出し性が劣り、ロールとの離型性が低下することがある。
一価の直鎖飽和アルコールの例としては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコールなどが挙げられる。
【0016】
トナーの保存安定性の点で、化合物Aの酸価は10mgKOH/g以下が好ましく、水酸基価は10mgKOH/g以下が好ましい。
なお、酸価はJOCS(日本油化学会)2.3.1−1996に準拠して測定することができ、水酸基価はJOCS(日本油化学会)2.3.6.2−1996に準拠して測定することができる。
【0017】
〔化合物B〕
本発明で用いられる化合物Bは、一価の直鎖飽和脂肪酸と、一価の直鎖飽和アルコールとからなるモノエステル化合物である。
一価の直鎖飽和脂肪酸は、炭素数が16〜50であり、好ましくは18〜30である。1価の直鎖飽和脂肪酸の例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、ヘキサコサン酸、オクタコサン酸、トリアコンタン酸などが挙げられる。
【0018】
化合物Bにおける一価の直鎖飽和アルコールは、炭素数が16〜24であり、好ましくは18〜24である。
一価の直鎖飽和アルコールの例としては、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコールなどが挙げられる。
【0019】
化合物Bの一価の直鎖飽和脂肪酸と一価の直鎖飽和アルコールとの合計炭素数が32未満の場合には、化合物Bの融点が低く、トナーのブロッキング等、保存安定性を損ねることがある。
【0020】
〔化合物A、Bの製造方法〕
化合物Aおよび化合物Bの製造法としては、例えば、アルコールと脂肪酸からの脱水縮合反応を利用する方法が挙げられる。反応の際には触媒を使用しても良く、触媒としては、酸性または塩基性触媒、例えば、チタン化合物、スズ化合物などが挙げられる。反応の際には、脂肪酸とアルコールとを等モル比で、あるいは一方の成分を他方の成分よりも過剰に添加し反応させる。その後、再結晶法、蒸留法、溶剤抽出法、吸着処理法などによって、高純度化させても良い。
【0021】
〔トナー用ワックス組成物〕
本発明のトナー用ワックス組成物は、化合物Aと化合物Bとからなり、化合物Aと化合物Bとの質量比(化合物A:化合物B)が5:95〜50:50であり、好ましくは10:90〜30:70である。
化合物Aと化合物Bの質量比が5:95〜50:50を満たさない場合には本発明の効果が得られず、10:90〜30:70を満たす場合には本発明の効果がより顕著に得られる。
【0022】
本発明のトナー用ワックス組成物は、化合物Aの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Ca)と、化合物Bの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Cb)が下記式Iを満たすことが好ましく、この場合、本発明の効果がより顕著となる。
(式I) |Ca−Cb|≦4
【0023】
本発明のトナー用ワックス組成物は公知の方法により製造することができる。例えば、化合物Aと化合物Bを加熱溶融して均一に混合後、冷却固化して粉砕、または造粒して製造する方法が、品質のばらつき防止の観点から好ましい。また、化合物Aと化合物Bを一括合成しても良い。
【0024】
〔トナー用ワックス組成物の使用方法〕
本発明のトナー用ワックス組成物は、一般には、バインダー樹脂、着色剤、外添剤、帯電制御剤などとともに配合され、通常の製法によってトナーが製造される。トナー中における本発明のトナー用ワックス組成物の配合量は、バインダー樹脂100質量部に対して、通常、0.1〜40質量部である。トナー中には、本発明のトナー用ワックス組成物が単独であるいは2種類以上混合して添加される。
【実施例】
【0025】
以下に本発明のトナー用ワックス組成物の製造例およびその評価方法を示すことで、本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の実施例および比較例において、「%」は質量基準を意味する。
【0026】
〔化合物A1の調製〕
窒素導入管、撹拌羽、冷却管を取り付けた2L容の4つ口フラスコに、エイコサン二酸534g(1.56mol)、ステアリルアルコール866g(3.21mol)を加え、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応させた。
粗生成物100gに対して1Lのヘキサンを用い、再結晶を2回実施した。得られた精製物を減圧乾燥し、エイコサン二酸ジステアリル(化合物A1)749gを得た。
【0027】
〔測定方法〕
調製された化合物A1については、下記に記載の方法で酸価、水酸基価、融点、および光透過率を測定した。表1に測定結果を示す。
【0028】
酸価:JOCS(日本油化学会)2.3.1−1996に準拠して測定した。
水酸基価:JOCS(日本油化学会)2.3.6.2−1996に準拠して測定した。
融点:示差走査熱量分析計(DSC)として、セイコーインスツル株式会社製の「DSC−6200」を使用した。測定は、約10mgの化合物A1を試料ホルダーに入れ、レファレンス材料として空の試料ホルダーを用いて行い、150℃に昇温した後、10℃/minで150℃から30℃まで降温し、30℃から150℃まで昇温した。得られたDSCチャート上の昇温時のピークトップを融点(Tm)とした。
光透過率:光透過率の測定には日本電色工業株式会社製の「NDH 5000」を使用した。測定試料として、内径26mm、厚さ1mmのSUS製リングを厚み2mmのガラス板上に置き、0.30gの化合物A1をリングの内側に秤量し、ホットプレートで120℃まで加熱し、冷却固化させてワックスの均一な膜を作成した。測定については、厚さ2mmのガラス板の光透過率を100とし、上記ワックス膜の平行線透過率と拡散透過率を測定し、これらの合計値を算出した。また、5回測定し、各合計値の平均値を光透過率とした。
【0029】
〔化合物A2〜A4、A6〜A8の調製〕
表1に示す二価の直鎖飽和脂肪酸(二塩基酸と表記)と、一価の直鎖飽和アルコールとを用い、化合物A1の調製に準じて、化合物A2〜A4、A6〜A8の調製を行った。また、化合物A1と同様に、酸価、水酸基価、融点、および光透過率を測定した。表1に測定結果を示す。
【0030】
〔化合物A5の入手〕
モノステアリン酸ソルビタンについては、東京化成工業株式会社より製品名「スパン60」を入手し、化合物A1と同様に、酸価、水酸基価、融点、および光透過率を測定した。表1に測定結果を示す。
【0031】
〔化合物B1の調製〕
窒素導入管、撹拌羽、冷却管を取り付けた2L容の4つ口フラスコに、ステアリン酸627g(3.01mol)、ステアリルアルコール772g(2.87mol)を加え、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応した。
粗生成物100gに対して1Lのヘキサンを用い、再結晶を2回実施した。得られた精製物を減圧乾燥し、ステアリン酸ステアリル(化合物B1)831gを得た。
また、化合物A1のエイコサン二酸ジステアリルと同様に、酸価、水酸基価、融点、および光透過率を測定した。表2に測定結果を示す。
【0032】
〔化合物B2〜B5の調製〕
表2に示す一価の直鎖飽和脂肪酸(一塩基酸と表記)、および一価の直鎖飽和アルコールを用い、化合物B1の調製に準じて化合物B2〜B5の調製を行った。また、化合物B1と同様に、酸価、水酸基価、融点、および光透過率を測定した。表2に測定結果を示す。
【0033】
〔トナー用ワックス組成物の調製および評価〕
〔実施例1〕
撹拌羽、窒素導入管を取り付けた0.3L容のセパラブルフラスコに、化合物A1を40g、化合物B1を160g秤量し、窒素気流下、120℃で1時間撹拌した。その後、冷却、固化、粉砕を経て、実施例1に記載のトナー用ワックス組成物を得た。
また、得られたトナー用ワックス組成物の融点、光透過率を化合物A1と同様の方法で測定した。表3に測定結果を示す。
【0034】
〔実施例2〜9、および比較例1〜4〕
表1に示す化合物Aおよび表2に示す化合物Bを用い、実施例1と同様にして、実施例2〜9、および比較例1〜4のトナー用ワックス組成物を得た。得られたトナー用ワックス組成物の融点および光透過率を化合物A1と同様に測定し、表3、および4に記載した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
〔実施例と比較例との対比〕
表3に記載の実施例1〜9と表4に記載の比較例1〜4との対比から明らかなように、実施例1〜9のトナー用ワックス組成物は、特定の化合物Aと特定の化合物Bを所定比率含有することによって、比較例1〜4のトナー用ワックス組成物に比して、光透過率が向上し、光透過率を65%以上得ることができた。
特に、化合物Aと化合物Bの質量比が10:90〜30:70の範囲にあり、化合物Aの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Ca)と、化合物Bの一価の直鎖飽和アルコールの炭素数(Cb)が下記式Iを満たす場合には、効果がより顕著であった。
(式I) |Ca−Cb|≦4