特許第6760010号(P6760010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760010
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
   F02F 7/00 20060101AFI20200910BHJP
   F02F 11/00 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   F02F7/00 K
   F02F11/00 P
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-226831(P2016-226831)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-84172(P2018-84172A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】河野 一郎
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−146256(JP,U)
【文献】 実開昭59−125646(JP,U)
【文献】 実開平03−035246(JP,U)
【文献】 実開昭58−178016(JP,U)
【文献】 特開2015−102018(JP,A)
【文献】 特開2015−121145(JP,A)
【文献】 特開2015−094441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 7/00
F02F 11/00
F16M 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフトから動力を伝達するタイミング部材を有するエンジン本体と、
前記エンジン本体を車体に固定するためのエンジン支持部材と、
前記エンジン支持部材を貫通し、前記エンジン本体に締結される締結具と、
前記タイミング部材を覆い、前記エンジン支持部材のエンジン側締結部が挿通される開口部を有するカバー部材と、
前記開口部の内周面と前記エンジン支持部材の外周面との間に配置された弾性部材からなるシール部材とを備え
前記エンジン支持部材は、
前記エンジン支持部材の前記エンジン側締結部に配置され、一方の端部が前記エンジン本体に当接し、他方の端部が開口部近傍に配置されるスペーサー部と、
前記スペーサー部よりも前記エンジン本体側とは反対側に配置されるマウントブラケットとを含み、
前記シール部材は、前記スペーサー部と前記マウントブラケットとの境界部近傍に設けられている、内燃機関。
【請求項2】
前記シール部材は、周状に形成されているとともに、前記シール部材の外周面が前記開口部の内周面に当接し、前記シール部材の内周面が前記エンジン支持部材の外周面に当接するように構成されている、請求項1に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記エンジン支持部材は、外周部に周状の凹部を有し、
前記周状の凹部には、前記周状のシール部材が嵌め込まれている、請求項に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記周状のシール部材は、外周部に周状の溝部を有し、
前記溝部には、前記開口部の内周縁部が嵌め込まれている、請求項またはに記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に関し、特に、タイミング部材を覆うカバー部材を備える内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイミングベルトを覆うタイミングカバーを備える内燃機関が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、エンジン(エンジン本体)と、エンジンを車体に支持させるためのマウントブラケット(エンジン支持部材)とを含む内燃機関が開示されている。また、上記特許文献1に記載の内燃機関において、タイミングベルト(タイミング部材)が、エンジンとタイミングベルトカバー(カバー部材)との間に配置されている。
【0004】
タイミングベルトカバーは、エンジンから延びているマウントブラケットを挿通するための開口(開口部)を有している。また、マウントブラケットは、開口の周縁部に対向するリブを有している。ここで、マウントブラケットのリブとタイミングベルトカバーの開口の周縁部との間には、ゴム材からなるガスケットが設けられている。そして、上記特許文献1に記載の内燃機関では、リブとガスケットとにより、タイミングベルトカバーの開口部分においてシール性が保たれる。
【0005】
ここで、上記特許文献1では、ガスケットは、タイミングベルトカバーのエンジン側の面に配置されている。このため、ガスケットをタイミングベルトカバーに押し付けると、タイミングカバーの厚み方向にガスケットから厚み方向の力が直接加えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭59−125646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の内燃機関において、タイミングベルトカバーの開口部分では、ガスケットの先端部とリブとの接触のみでシール性を保持していることによりシール性が低い。また、シール性を高めるためガスケットを押し潰した状態にすると、タイミングベルトカバーに直接的に力が加えられることにより、タイミングベルトカバーが破損するおそれがある。そのため、十分なシール性を確保することができ、かつ、タイミングカバーの破損を生じ難くすることができる内燃機関が望まれている。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、カバー部材の開口部分のシール性を十分に確保でき、かつ、カバー部材の破損を生じ難くする内燃機関を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面における内燃機関は、クランクシャフトから動力を伝達するタイミング部材を有するエンジン本体と、エンジン本体を車体に固定するためのエンジン支持部材と、エンジン支持部材を貫通し、エンジン本体に締結される締結具と、タイミング部材を覆い、エンジン支持部材のエンジン側締結部が挿通される開口部を有するカバー部材と、開口部の内周面とエンジン支持部材の外周面との間に配置された弾性部材からなるシール部材とを備え、エンジン支持部材は、エンジン支持部材のエンジン側締結部に配置され、一方の端部がエンジン本体に当接し、他方の端部が開口部近傍に配置されるスペーサー部と、スペーサー部よりもエンジン本体側とは反対側に配置されるマウントブラケットとを含み、シール部材は、スペーサー部とマウントブラケットとの境界部近傍に設けられている。
【0010】
この発明の一の局面による内燃機関では、上記のように、カバー部材の開口部の内周面とエンジン支持部材の外周面との間にシール部材が配置されている。これにより、カバー部材の開口部の内周面とエンジン支持部材の外周面との隙間が形成され難くなる。この結果、カバー部材の開口部の内周面とエンジン支持部材の外周面との間に十分なシール性を確保することができる。また、カバー部材の厚み方向と交差する方向において、シール部材をカバー部材の開口部の内周面に当接させることができる。これにより、シール部材を密着させるために力が加えられたとしても、カバー部材において、破損し易い厚み方向にかかる力を小さくするまたはなくすことができるので、タイミングカバーの破損を生じ難くすることができる。また、スペーサー部の境界部側の端部およびマウントブラケットの境界部側の端部に、弾性部材からなるシール部材が取り付けられているので、スペーサー部の境界部側の端部とマウントブラケットの境界部側の端部との間にずれが生じたとしても、シール部材によりずれを吸収することができる。この結果、スペーサー部とマウントブラケットとの隙間の十分なシール性を確保することができる。
【0013】
上記カバー部材の開口部の内周面とエンジン支持部材の外周面との間にシール部材が配置されている内燃機関において、好ましくは、シール部材は、周状に形成されているとともに、シール部材の外周面が開口部の内周面に当接し、シール部材の内周面がエンジン支持部材の外周面に当接するように構成されている。
【0014】
このように構成すれば、周状のシール部材を開口部の内周面とエンジン支持部材の外周面との全体(全周)に亘って当接させることができる。この結果、開口部のシール性を全体(全周)に亘って十分に確保することができるとともに、エンジン支持部材をカバー部材に当接し難くすることができる。
【0015】
上記シール部材が周状に形成されている内燃機関において、好ましくは、エンジン支持部材は、外周部に周状の凹部を有し、周状の凹部には、周状のシール部材が嵌め込まれている。
【0016】
このように構成すれば、エンジン支持部材に形成された凹部にシール部材が嵌め込まれていることにより、シール部材のエンジン支持部材に対する取り付け位置のずれが発生するのを抑制することができる。この結果、シール部材の位置ずれに起因する、シール部材とエンジン支持部材との隙間の発生を抑制することができるので、シール部材とエンジン支持部材とのシール性を確実に確保することができる。
【0017】
上記シール部材が周状に形成されている内燃機関において、好ましくは、周状のシール部材は、外周部に周状の溝部を有し、溝部には、開口部の内周縁部が嵌め込まれている。
【0018】
このように構成すれば、シール部材の外周面と開口部の内周面とが当接している場合よりも、シール部材に形成された溝部に開口部の内周縁部が嵌め込まれている分、シール部材と開口部の内周縁部との接触面積を増加させることができる。この結果、シール部材の外周面と開口部の内周面とが当接している場合よりも、シール部材とカバー部材とのシール性をより十分に確保することができる。
【0019】
なお、上記一の局面による内燃機関において、以下の構成も考えられる。
【0020】
(付記項1)
たとえば、上記スペーサー部とマウントブラケットとが設けられている内燃機関において、好ましくは、マウントブラケットとスペーサー部との境界部に位置するスペーサー部の上端部に径小部が設けられており、径小部には、周状のシール部材が一体に装着されている。
【0021】
(付記項2)
また、上記径小部に周状のシール部材が装着されている内燃機関において、好ましくは、スペーサー部は、エンジン本体側に配置される第1スペーサー部と、マウントブラケットと第1スペーサー部との間に配置されるとともに径小部を有する第2スペーサー部とを含み、シール部材は、第2スペーサー部の径小部の外周部と開口部の内周部との間に配置されている。
【0022】
(付記項3)
また、上記一の局面による内燃機関において、好ましくは、カバー部材は、開口部の周状の内周部に、クランクシャフトの延びる方向に延びる周状のフランジ部を含み、フランジ部の内周面にシール部材が当接している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態によるエンジンの全体図を示す斜視図である。
図2】本発明の第1〜第3実施形態によるエンジンの正面図である。
図3】本発明の第1実施形態によるエンジンにおける図2の100−100線に沿った断面図である。
図4図4(a)は本発明の第1実施形態によるシール部材の平面図であり、図4(b)は図4(a)の110−110線に沿った断面図である。
図5】本発明の第1実施形態によるエンジンにおける図3の300線部分の拡大図である。
図6】本発明の第2実施形態によるエンジンにおける図2の100−100線に沿った断面図である。
図7図7(a)は本発明の第2実施形態によるシール部材の平面図であり、図7(b)は図7(a)の120−120線に沿った断面図である。
図8】本発明の第3実施形態によるタイミングベルトカバーにおける図2の100−100線に沿った断面図である。
図9図9(a)は本発明の第3実施形態によるシール部材の平面図であり、図9(b)は図9(a)の130−130線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下では、図1に示すように、クランクシャフト14aが延びる方向を前後方向とし、水平面内においてクランクシャフト14aに直交する方向を左右方向とする。また、シリンダの延びる方向を上下方向として説明を行なう。
【0025】
[第1実施形態]
まず、図1図4を参照して、本発明の第1実施形態による自動車用のエンジン1について説明する。
【0026】
エンジン1(内燃機関の一例)は、図1に示すように、カムカバー11、シリンダヘッド12、シリンダブロック13およびクランクケース14を含むエンジン本体15を備えている。エンジン本体15は、アルミニウム合金製である。エンジン本体15は、クランクケース14内に配置されたクランクシャフト14aから動力を伝達するタイミングチェーン15a(タイミング部材の一例)を有する。また、エンジン1は、エンジン本体15前側の側端部に取り付けられるタイミングチェーンカバー(以下、TCC2とする、カバー部材の一例)を備えている。TCC2は、タイミングチェーン15aおよびその周辺を覆う。TCC2は、樹脂製となっている。エンジン1は、シリンダヘッド12の上側にカムカバー11を介して取り付けられるヘッドカバーを備えている。ヘッドカバーは、樹脂製となっている。
【0027】
エンジン本体15は、前方向に開放された開口15bを有する。開口15bは、上下方向が長手方向および左右方向が短手方向となっている矩形形状に形成されている。開口15bは、カムカバー11からクランクケース14に亘って形成されている。
【0028】
エンジン1は、開口15b近傍のエンジン本体15の内部において、クランクシャフト14aに取り付けられたクランクシャフトタイミングスプロケット15cを備えている。エンジン1は、開口15b近傍のエンジン本体15の内部において、図示しないカムシャフトを駆動するためのカムシャフトスプロケット15dを備えている。クランクシャフトタイミングスプロケット15cとカムシャフトスプロケット15dとは、タイミングチェーン15aにより繋がれている。
【0029】
TCC2は、図1に示すように、本体部21と、取付部22とを含んでいる。本体部21は、エンジン本体15の側端部の平面形状に重なるように凹状に形成されている。取付部22は、本体部21の外周部に沿って周状にかつフランジ状に形成されている。取付部22には、複数の貫通孔23が形成されている。TCC2は、段付きボルトを複数の貫通孔23に挿入させてエンジン本体15に締結することにより、エンジン本体15に固定されている。
【0030】
エンジン1は、マウントブラケット3を備えている。エンジン1は、エンジン本体15をマウントブラケット3に固定することにより、エンジン本体15を図示しない車体に固定するように構成されている。具体的には、図1に示すように、エンジン本体15は、マウントブラケット3と締結具5(図3参照)により締結するための複数のボス部4を有する。複数のボス部4のそれぞれには、締結具5が螺合されるねじ穴15eが形成されている。複数のボス部4は、最も右方に配置されている第1ボス部41と、最も左方に配置されている第2ボス部42と、最も上方に配置されている第3ボス部43とを有している。
【0031】
TCC2は、図1に示すように、本体部21に形成される複数のボス部4に対応する位置に配置された複数の開口部20を有している。開口部20は、TCC2を前後方向に貫通している。複数の開口部20は、第1ボス部41に対応する位置に配置されている第1開口部24を有している。複数の開口部20は、第2ボス部42に対応する位置に配置されている第2開口部25を有している。複数の開口部20は、第3ボス部43に対応する位置に配置されている第3開口部26を有している。そして、図2に示すように、マウントブラケット3は、TCC2の第1開口部24、第2開口部25および第3開口部26に対応する位置に配置され、締結具5を用いてエンジン本体15に固定されている。
【0032】
マウントブラケット3は、第1開口部24に対応する第4ボス部31と、第2開口部25に対応する第5ボス部32と、第3開口部26に対応する第6ボス部33とを有している。第4ボス部31は、円筒状に形成されている。第4ボス部31は、マウントブラケット3を厚み方向に貫通し、締結具5が挿通する第1挿通孔31aを有する。第5ボス部32は、円筒状に形成されている。第5ボス部32は、マウントブラケット3を厚み方向に貫通し、締結具5が挿通する第2挿通孔32aを有する。第6ボス部33は、円筒状に形成されている。第6ボス部33は、マウントブラケット3を厚み方向に貫通し、締結具5が挿通する第3挿通孔33aを有する。
【0033】
以下に、第1ボス部41、第1開口部24および第4ボス部31の部分における締結具5による締結構造に関して説明する。
【0034】
マウントブラケット3とエンジン本体15とは、図3に示すように、締結具5を用いて固定されるように構成されている。具体的には、エンジン1は、第4ボス部31と第1ボス部41との間に配置されているスペーサー部6(エンジン支持部材およびエンジン側締結部の一例)を含んでいる。第4ボス部31、第1ボス部41およびスペーサー部6は、エンジン本体15側から、第1ボス部41、スペーサー部6および第4ボス部31の順に配置されている。ここで、締結具5が、第4ボス部31、スペーサー部6を貫通し、第1ボス部41のねじ穴15eに螺合されることにより、マウントブラケット3は、エンジン本体15に固定される。また、スペーサー部6は、TCC2の第1開口部24を挿通している。
【0035】
スペーサー部6は、略円筒状となっている。スペーサー部6の中心部分には、上下方向に延びている貫通孔60が形成されている。スペーサー部6は、アルミニウム合金製となっている。スペーサー部6は、他の部分より直径が小さくなった径小部61と、径小部61以外の径大部62とを有している。径小部61は、径大部62の上方に配置されている。径小部61は、スペーサー部6の外周部における周状の凹部63となっている。径小部61は、円筒状となっており、中心部分に第1貫通孔61aを有している。径大部62は、円筒状となっており、中心部分に第2貫通孔62aを有している。また、第1ボス部41は、エンジン本体15の一部であり、中心にねじ穴15eが形成されている。
【0036】
図3に示すように、スペーサー部6の径小部61は、第1開口部24を挿通している。スペーサー部6の径小部61の直径D1は、第1開口部24の直径D2よりも小さく形成されている。ここで、第1実施形態の内燃機関では、スペーサー部6の径小部61の外周面611とTCC2の第1開口部24の内周面24aとの間には、シール部材7が配置されている。ここで、シール部材7は、図4(b)に示すように、外周面7aが第1開口部24(開口部の一例)の内周面26aに当接している。また、シール部材7は、内周面7bがスペーサー部6の外周面611に当接している。ここで、シール部材7は、径小部61(周状の凹部63)に嵌め込まれている。
【0037】
<シール部材>
シール部材7は、図3に示すように、スペーサー部6の径小部61とTCC2の第1開口部24との隙間の止水部材として設けられている。具体的には、図4(a)に示すように、シール部材7は、Oリングとなっている。シール部材7は、平面視において周状に形成されている。また、シール部材7の中心部分の孔は、径小部61にシール部材7を嵌め込むための固定孔71となっている。すなわち、固定孔71の直径は、径小部61の外径と略同じとなっている。また、図4(b)に示すように、シール部材7は、径方向内側に凹んだ溝部72を有する。溝部72には、第1開口部24の内周縁部が嵌め込まれている。溝部72は、シール部材7の外周部に周状に形成されている。溝部72の径方向の深さは、シール部材7の外周面7aから内周面7bまでの径方向の長さの半分よりも小さくなっている。このような溝部72は、図4(a)に示すように、シール部材7の外周面7aの全周に亘って形成されている。また、シール部材7の前後方向の厚みは、第1開口部24の内周縁部の前後方向の長さよりも大きくなっている。
【0038】
また、シール部材7は、ニトリルゴム、フッ素ゴムまたはテフロン(登録商標)などといった弾性材料により形成された弾性部材である。シール部材7は、図3に示すように、第4ボス部31、スペーサー部6およびTCC2に接触している。また、シール部材7は、第4ボス部31の後面と径大部62の前面との間に配置されている。すなわち、シール部材7は、第4ボス部31とスペーサー部6との境界部B近傍に配置されている。さらに、シール部材7は、エンジン本体15および車体からTCC2に伝達される振動を抑制するダンパーとして機能するような弾性を有している。これにより、第4ボス部31から伝達される車体からの振動が、シール部材7を介してTCC2に伝達されることが抑制される。また、スペーサー部6から伝達されるエンジン本体15からの振動が、シール部材7を介してTCC2に伝達されることが抑制される。この結果、TCC2がエンジン本体15からの振動および車体からの振動により破損し難くすることができる。
【0039】
エンジン1では、径小部61にシール部材7を組み付けたスペーサー部6をTCC2に取り付ける。そして、エンジン1では、TCC2をエンジン本体15に取り付ける。エンジン1では、エンジン本体15に取り付けられたTCC2の第1開口部24にマウントブラケット3を配置し、締結具5により締結することによりエンジン本体15が車体に固定されている。このように、TCC2の内周縁部には、上下方向からだけでなく左右方向から力が加えられている。ここで、第1開口部24の内周縁部を上下方向に挟み込むことによって、いずれか一方からのみ力が加えられる場合とことなり、TCC2の変形を抑制することができる。これにより、第1開口部241の内周縁部にかかる力が分散されるので、TCC2の破損を抑制することができる。
【0040】
このとき、図5に示すように、締結具5の締結により、シール部材7には圧縮力がかかる。すなわち、図5に示すように、シール部材7には、第4ボス部31に上方から押圧されることにより上方から第1圧縮力P1がかかる。シール部材7には、径大部62に下方から押圧されることにより下方から第2圧縮力P2がかかる。シール部材7には、第1圧縮力P1および第2圧縮力P2によりシール部材7がつぶされて径小部61の外周面611に接触することにより、径小部61の外周面611から第3圧縮力P3がかかる。
【0041】
また、第1圧縮力P1に対して、シール部材7から上方に向けた第1反力R1が生じる。第2圧縮力P2に対して、シール部材7から下方向に向けた第2反力R2が生じる。第3圧縮力P3に対して、シール部材7から径小部61に向けた第3反力R3が生じる。このようにして、シール部材7、第4ボス部31およびスペーサー部6が密着する。
【0042】
さらに、図5に示すように、シール部材7に圧縮力がかかることにより、TCC2の第1開口部24の内周縁部には圧縮力がかかる。すなわち、第1開口部24の内周縁部には、シール部材7に上方から押圧されることにより上方から第4圧縮力P4がかかる。第1開口部24の内周縁部には、シール部材7に下方から押圧されることにより下方から第5圧縮力P5がかかる。第1開口部24の内周縁部には、シール部材7に内方から押圧されることにより第6圧縮力P6がかかる。
【0043】
また、TCC2では、第4圧縮力P4に対して第1開口部24の内周縁部から上方に向けた第4反力R4、第5圧縮力P5に対して第1開口部24の内周縁部から下方向に向けた第5反力R5が生じる。また、TCC2では、第6圧縮力P6に対してシール部材7から径小部61に向けた第6反力R6が生じる。このようにして、シール部材7およびTCC2の第1開口部24の内周縁部が密着する。
【0044】
上記したように、シール部材7が、第4ボス部31、スペーサー部6およびTCC2の第1開口部24の内周縁部が密着することにより、スペーサー部6とTCC2の第1開口部24との隙間のシール性を向上させることができる。
【0045】
また、第2ボス部42および第2開口部25(第3ボス部43および第3開口部26)の部分における締結具5による締結構造に関しては、第1ボス部41および第1開口部24の部分における締結具5による締結構造と同様であるため説明は省略する。
【0046】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0047】
第1実施形態では、エンジン1は、TCC2の第1開口部24の内周面24aとスペーサー部6の外周面611との間に配置された弾性部材からなるシール部材7を備えている。これにより、TCC2の第1開口部24の内周面24aとスペーサー部6の外周面611との隙間が形成され難くなる。この結果、TCC2の第1開口部24の内周面24aとスペーサー部6の外周面611との間のシール性を十分に確保することができる。また、TCC2の厚み方向と交差する方向において、シール部材7を第1開口部24の内周面24aに当接させることができる。これにより、シール部材7をシール部材7に密着させるために力が加えられたとしても、TCC2において、破損し易い厚み方向にかかる力を小さくすることができるので、TCC2の破損を生じ難くまたはなくすことができる。
【0048】
また、第1実施形態では、シール部材7は、スペーサー部6と第4ボス部31との境界部B近傍に設けられている。これにより、スペーサー部6と第4ボス部31との境界部B近傍にスペーサー部6を設けることにより、スペーサー部6および第4ボス部31がシール部材7を圧縮することができる。この結果、シール部材7とスペーサー部6および第4ボス部31との間のシール性を十分に確保することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、シール部材7は、周状に形成されているとともに、シール部材7の外周面7aがTCC2の第1開口部24の内周面24aの全周に亘って当接している。また、シール部材7の内周面7bが、スペーサー部6の外周面611の全周に亘って当接している。これにより、第1開口部24のシール性を十分に確保することができる。また、スペーサー部6がTCC2に当接し難くすることができる。この結果、スペーサー部6とTCC2との当接による、TCC2の破損を生じ難くすることができる。
【0050】
また、第1実施形態では、スペーサー部6は、外周部に周状の凹部63を有し、周状の凹部63には、周状のシール部材7が嵌め込まれている。これにより、スペーサー部6に形成された凹部63にシール部材7が嵌め込まれているため、シール部材7のスペーサー部6に対する位置ずれが発生するのを抑制することができる。この結果、シール部材7の位置ずれに起因する、シール部材7とスペーサー部6との隙間の発生を抑制することができるので、シール部材7とスペーサー部6との隙間のシール性を確実に確保することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、周状のシール部材7は、外周部に周状の溝部72を有し、溝部72には、第1開口部24の内周縁部が嵌め込まれている。これにより、シール部材7の外周面7aと第1開口部24の内周面24aとが当接している場合よりも、シール部材7に形成された溝部72に第1開口部24の内周縁部が嵌め込まれている分、シール部材7と第1開口部24の内周縁部との接触面積を増加させることができる。この結果、シール部材7の外周面70aと第1開口部24の内周面24aとが当接している場合よりも、シール部材7とTCC2とのシール性をより十分に確保することができる。
【0052】
[第2実施形態]
図6図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。ここでは一例として、第2実施形態では、シール部材70が先細り形状となり、TCC200の第1開口部241の内周縁部にフランジ部242が設けられている例について説明する。
【0053】
図6に示すように、TCC200(カバー部材の一例)は、第1開口部241の周状の内周部に、前後方向(クランクシャフト14aの延びる方向)に延びる周状のフランジ部242を有している。フランジ部242は、前方に突出する前側突出部242aと、後方に突出する後側突出部242bとを有している。前側突出部242aの前方への突出長さと後側突出部242bの後方への突出長さとは、略等しくなっている。このように、フランジ部242の前後方向の長さは、他のTCC200の前後方向の厚みよりも大きくなっている。前側突出部242aの先端T1は、第4ボス部31の下端位置T2よりも前方に位置している。また、後側突出部242bの先端T3は、スペーサー部6の径大部62の上端位置T4よりも後方に位置している。
【0054】
TCC200の前後方向に延びるフランジ部242の内周面242cには、シール部材70が当接している。シール部材70の径方向の外側の先端部は、フランジ部242の内周面242cにおける前後方向の中央部分に当接している。
【0055】
シール部材70は、図6に示すように、スペーサー部6の径小部61に嵌め込まれている。また、シール部材70は、スペーサー部6と第4ボス部31との境界部Bに設けられている。ここで、シール部材70は、図7(a)に示すように、平面視において周状に形成されている。また、シール部材70の中心部分の孔は、径小部61にシール部材70を嵌め込むための固定孔71となっている。ここで、図7(b)に示すように、シール部材70の外周面70aは、先細り形状となっている。すなわち、シール部材70の外周面70aは、円弧状となっている。シール部材70の前後方向の厚みは、第1開口部24の内周縁部の前後方向の長さよりも大きくなっている。
【0056】
なお、第2実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0057】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
第2実施形態では、前後方向に延びたTCC200のフランジ部242の内周面241aに、シール部材70が当接している。これにより、シール部材70の位置ずれが前後方向に生じたとしても、シール部材70とTCC200のフランジ部242とが当接する。この結果、TCC200の第1開口部241の内周面241aとスペーサー部6の径小部61の外周面611との隙間のシール性を保持することができる。
【0059】
また、第2実施形態では、前後方向に延びたTCC200のフランジ部242の内周面242cに、シール部材70が当接している。これにより、シール部材70の位置ずれが前後方向に生じたとしても、シール部材70とTCC200のフランジ部242とが当接する。この結果、TCC200の第1開口部241の内周面241aとスペーサー部6の径小部61の外周面611との隙間のシール性を保持することができる。
【0060】
また、第2実施形態では、シール部材70の形状が先細り形状となっている。これにより、シール部材70とTCC200のフランジ部242との接触面積を小さくすることができる。この結果、スペーサー部6とTCC200とのシール性を保持するとともに、車体およびエンジン本体15からの振動をTCC200により伝達し難くすることができる。
【0061】
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0062】
[第3実施形態]
図8図9を参照して、本発明の第3実施形態の構成について説明する。ここでは一例として、第3実施形態では、スペーサー部600が第1スペーサー部601と第2スペーサー部602とに分かれている例について説明する。
【0063】
スペーサー部600は、図8に示すように、後方(エンジン本体15側)に配置される第1スペーサー部601を含んでいる。スペーサー部600は、第4ボス部31(マウントブラケット3)と第1スペーサー部601との間に配置されるとともに径小部61を有する第2スペーサー部602を含んでいる。
【0064】
第1スペーサー部601は、略円筒状となっている。第1スペーサー部601の中心部分には、上下方向に延びている第3貫通孔603が形成されている。第1スペーサー部601は、アルミニウム合金製となっている。第1スペーサー部601は、第4ボス部31の下部の直径と略同じとなっている。第2スペーサー部602は、略円筒状となっている。第2スペーサー部602の中心部分には、上下方向に延びている第4貫通孔604が形成されている。第2スペーサー部602は、アルミニウム合金製となっている。第2スペーサー部602の直径は、第4ボス部31の直径よりも小さくなっている。
【0065】
図8に示すように、第2スペーサー部602は、第1開口部241内に配置されている。第2スペーサー部602の直径D3は、第1開口部241の直径D2よりも小さく形成されている。ここで、第2スペーサー部602の外周面611とTCC2の第1開口部241の内周面241aとの間には、シール部材70が配置されている。
【0066】
図9(a)に示すように、シール部材70は、第2スペーサー部602の外側に配置されている。シール部材70は、平面視において周状に形成されている。ここで、図9(b)に示すように、シール部材70の外周面70aは、先細り形状と成っている。すなわち、シール部材70の外周面70aは、円弧状となっている。ここで、シール部材70の外径における第2スペーサー部602の外径よりも大きい部分は、第1圧縮力P1および第2圧縮力P2(図5参照)に対する圧縮代となっている。
【0067】
なお、第3実施形態のその他の構成は、第2実施形態と同様である。
【0068】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0069】
第3実施形態では、スペーサー部600が第1スペーサー部601と第2スペーサー部602とに分かれて別体に設けられている。これにより、スペーサー部600を容易な形状の第1スペーサー部601と第2スペーサー部602とに分けることができる。これにより、スペーサー部材が一体の場合よりも、スペーサー部600の製造を行い易くすることができる。
【0070】
なお、第3実施形態のその他の効果は、第2実施形態と同様である。
【0071】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0072】
たとえば、第1、第2および第3実施形態では、第4ボス部31とスペーサー部6(600)とは別体に形成されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ブラケット本体とスペーサー部とは一体に形成されもよい。
【0073】
また、第1、第2および第3実施形態では、TCC2(200)には3個の開口部(第1開口部24、第2開口部25および第3開口部26)が形成されているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、TCCは、1個の開口部であってもよいし、2個の開口部であってもよいし、4個以上の開口部を有していてもよい。
【0074】
また、第1実施形態では、第1開口部24をスペーサー部6(600)が挿通しているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ブラケット本体が第1開口部を挿通していてもよい。
【0075】
また、第1実施形態では、スペーサー部6の外周面611とシール部材7の外周面 7aとが面一となっているが、本発明はこれに限定されない。たとえば、シール部材の外周面がスペーサー部の外周面よりも突出していてもよい。
【0076】
また、第1、第2および第3実施形態では、スペーサー部6(600)は、アルミニウム合金製であるが、本発明はこれに限定されない。たとえば、スペーサー部は、鉄製であってもよい。
【0077】
また、第1、第2および第3実施形態では、TCC2(200)は樹脂製となっているが、本発明はこれに限定されない。本発明では、TCCは金属製であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 エンジン(内燃機関)
2、200 TCC(カバー部材)
3 マウントブラケット(エンジン支持部材)
5 締結具
6、600 スペーサ部(エンジン支持部材、エンジン側締結部)
7、70 シール部材
14a クランクシャフト
15 エンジン本体
15a タイミングチェーン(タイミング部材)
61 径小部
63 凹部
72 溝部
242 フランジ部
601 第1スペーサー部
602 第2スペーサー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9