特許第6760115号(P6760115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760115
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】蓄電池のヒューズ判定回路
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20200910BHJP
   H01M 10/44 20060101ALN20200910BHJP
【FI】
   H02J7/00 Y
   !H01M10/44 P
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-16417(P2017-16417)
(22)【出願日】2017年2月1日
(65)【公開番号】特開2018-125968(P2018-125968A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(74)【代理人】
【識別番号】100130982
【弁理士】
【氏名又は名称】黒瀬 泰之
(72)【発明者】
【氏名】三野 孝之
(72)【発明者】
【氏名】山嶋 雅之
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−036014(JP,A)
【文献】 特開2002−017040(JP,A)
【文献】 特開2010−081721(JP,A)
【文献】 米国特許第06531846(US,B1)
【文献】 特開2016−127769(JP,A)
【文献】 特開2013−250060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と、充電器又は負荷が接続される電源配線との間に接続されたヒューズの状態を判定するヒューズ判定回路であって、
前記ヒューズを介して前記蓄電池及び前記電源配線に接続され、前記ヒューズが接続状態のときに選択信号に応答して活性化する第1のトランジスタと、
前記ヒューズを介することなく前記電源配線に接続され、前記第1のトランジスタの出力によって制御される第2のトランジスタと、
前記第2のトランジスタの出力に基づいてヒューズの状態を判定する判定部と、を備えることを特徴とするヒューズ判定回路。
【請求項2】
前記ヒューズは、前記蓄電池と前記電源配線との間に直列に接続された第1及び第2のヒューズを含み、
前記第1のトランジスタは、前記第1及び第2のヒューズの接続点とグランドとの間に接続され、前記選択信号に応答してオンオフ制御されることを特徴とする請求項1に記載のヒューズ判定回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタのオン電流を前記第2のトランジスタの制御電極の電位レベルに変換する抵抗をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒューズ判定回路。
【請求項4】
前記第1及び第2のトランジスタは、並列接続された複数の前記蓄電池に対してそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のヒューズ判定回路。
【請求項5】
前記選択信号は、複数の前記第1のトランジスタに対して共通に割り当てられ、
前記複数の第2のトランジスタの出力は、ワイヤードオアされて前記判定部に供給されることを特徴とする請求項4に記載のヒューズ判定回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒューズ判定回路に関し、特に、蓄電池に設けられたヒューズの状態を判定するヒューズ判定回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車やハイブリッド自動車などに用いられる電源として、リチウムイオン電池などの蓄電池が広く用いられている。リチウムイオン電池は、過電流又は過電圧による発火などを防止するため、過電流又は過電圧が発生した場合に切断されるヒューズを備えていることがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−109596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のリチウムイオン電池を並列接続して使用する場合、一部のリチウムイオン電池に割り当てられたヒューズが切断されていても、この状態を外部から認識することができなかった。このため、メンテナンスに支障が生じるばかりでなく、一部のリチウムイオン電池がヒューズによって切り離された結果、全体の電池容量が減少しているにもかかわらず、外部からこれを認識できないため、想定される残容量に大きな誤差が生じるという問題もあった。
【0005】
したがって、本発明は、蓄電池に設けられたヒューズの状態を判定可能なヒューズ判定回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるヒューズ判定回路は、蓄電池と、充電器又は負荷が接続される電源配線との間に接続されたヒューズの状態を判定するヒューズ判定回路であって、前記ヒューズを介して前記蓄電池及び前記電源配線に接続され、前記ヒューズが接続状態のときに選択信号に応答して活性化する第1のトランジスタと、前記ヒューズを介することなく前記電源配線に接続され、前記第1のトランジスタの出力によって制御される第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタの出力に基づいてヒューズの状態を判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、選択信号に応答して出力される第2のトランジスタの出力によって、ヒューズの状態を判定することが可能となる。しかも、選択信号が非活性状態である場合には第1のトランジスタが非活性化されることから、ヒューズ判定回路による消費電力を最小限に抑えることも可能となる。
【0008】
本発明において、前記ヒューズは、前記蓄電池と前記電源配線との間に直列に接続された第1及び第2のヒューズを含み、前記第1のトランジスタは、前記第1及び第2のヒューズの接続点とグランド配線との間に接続され、前記選択信号に応答してオンオフ制御されることが好ましい。このような3端子ヒューズ回路を用いれば、異常発生時に蓄電池を確実に切り離すことが可能となる。
【0009】
本発明によるヒューズ判定回路は、前記第1のトランジスタのオン電流を前記第2のトランジスタの制御電極の電位レベルに変換する抵抗をさらに備えることが好ましい。これによれば、簡単な回路構成によってヒューズの状態を判定することが可能となる。
【0010】
本発明において、前記第1及び第2のトランジスタは、並列接続された複数の前記蓄電池に対してそれぞれ設けられていても構わない。この場合、前記選択信号は、複数の前記第1のトランジスタに対して共通に割り当てられ、前記複数の第2のトランジスタの出力は、ワイヤードオアされて前記判定部に供給される構成であっても構わない。これによれば、並列接続された複数の蓄電池からなるシステムのメンテナンス性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、蓄電池に設けられたヒューズの状態を簡単な回路構成によって判定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態によるヒューズ判定回路を備える蓄電池システムのブロック図である。
図2図2は、検知部11〜14の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるヒューズ判定回路を備える蓄電池システムのブロック図である。
【0015】
図1に示す蓄電池システムは、4つの蓄電池B1〜B4が並列接続された構成を有している。蓄電池B1〜B4は例えばリチウムイオン電池であり、並列接続することによって電池容量が大容量化されている。蓄電池B1〜B4に対する充電は、充電器30によって行われる。蓄電池B1〜B4が駆動する負荷については図示しないが、例えば充電器30と並列に接続される。
【0016】
図1に示すように、蓄電池B1〜B4の負極(−)はグランド配線GNDに共通に接続され、蓄電池B1〜B4の正極(+)はそれぞれ3端子ヒューズ回路を介して電源配線PLに共通に接続される。電源配線PLは、充電器30に接続される配線である。電源配線PLとグランド配線GNDとの間の電圧、つまり蓄電池B1〜B4の出力電圧は、電圧監視部21によって監視されている。
【0017】
3端子ヒューズ回路とは、直列接続された2つのヒューズ及びその接続点から導出された制御端子を有するヒューズ回路であり、過電流によって自ら溶断するだけでなく、ヒータ抵抗を用いた加熱によっても溶断することができる。本実施形態においては、蓄電池B1にはヒューズFA1,FB1が割り当てられ、蓄電池B2にはヒューズFA2,FB2が割り当てられ、蓄電池B3にはヒューズFA3,FB3が割り当てられ、蓄電池B4にはヒューズFA4,FB4が割り当てられている。図1には、蓄電池B4に割り当てられたヒューズFA4,FB4がすでに溶断された状態が示されている。
【0018】
蓄電池B1〜B4に割り当てられたこれらのヒューズには、それぞれ検知部11〜14が接続されている。検知部11〜14は、それぞれ対応するヒューズの状態、つまり接続状態であるか切断状態(溶断された状態)であるかを検知する回路であり、判定部22から供給される選択信号CTLによって活性化される。検知部11〜14の出力は、それぞれダイオードD11〜D14を介してワイヤードオアされ、これによって生成された検出信号DETが判定部22に供給される。
【0019】
電圧監視部21及び判定部22は、制御回路23に接続されている。制御回路23は、蓄電池システムの制御及び監視を行う回路であり、例えば、蓄電池B1〜B4の全体の残容量の算出などを行う。
【0020】
図2は、検知部11〜14の回路図である。
【0021】
図2に示すように、検知部11〜14は互いに同じ回路構成を有しているため、代表して検知部11の回路構成について説明すると、検知部11は、Pチャンネル型のMOSトランジスタTPと、Nチャンネル型のMOSトランジスタTNを備えている。トランジスタTPのソースは抵抗R1を介してヒューズFA1,FB1の接続点に接続され、ドレインは抵抗R2を介してグランド配線GNDに接続され、ゲート電極は抵抗R3を介して自己のソースに接続されている。図2に示す符号Fで示す部分は、3端子ヒューズ回路である。また、トランジスタTPのゲート電極にはダイオードD0のアノードも接続されている。ダイオードD0のカソードには、判定部22から選択信号CTLが供給される。
【0022】
かかる構成により、選択信号CTLがハイレベルである場合には、抵抗R3に電流が流れないことから、トランジスタTPのゲート−ソース間電圧がゼロとなり、トランジスタTPはオフ状態となる。これに対し、選択信号CTLがローレベルに活性化すると、ヒューズFA1,FB1の状態に応じてトランジスタTPのオンオフ状態が決まる。つまり、ヒューズFA1,FB1が接続状態である場合には、抵抗R3に電流が流れることから、トランジスタTPのゲート−ソース間電圧がしきい値電圧を超え、トランジスタTPはオン状態となる。これに対し、ヒューズFA1,FB1が切断状態である場合には、抵抗R3に電流が流れないことから、トランジスタTPはオフ状態となる。
【0023】
このように、トランジスタTPは、ヒューズFA1,FB1を介して充電器30及び蓄電池B1に接続されていることから、選択信号CTLがローレベルに活性化すると、ヒューズFA1,FB1の状態に応じてオンオフ状態が決まることになる。
【0024】
一方、Nチャンネル型MOSトランジスタTNのドレインは、ヒューズFA1,FB1を介することなく抵抗R4を介して電源配線PLに接続され、ソースはグランド配線GNDに接続され、ゲート電極はトランジスタTPのドレインに接続されている。また、トランジスタTNのドレインには、ダイオードD11のアノードが接続されている。
【0025】
かかる構成により、トランジスタTPがオンすると、抵抗R2に流れるオン電流によって、トランジスタTNのゲート−ソース間電圧がしきい値電圧を超え、トランジスタTNはオン状態となる。つまり、抵抗R2は、トランジスタTNのオン電流をゲート−ソース間電圧に変換する役割を果たす。トランジスタTNがオンすると、ダイオードD11のアノードはグランドレベル(ローレベル)となる。これに対し、トランジスタTPがオフ状態である場合には、トランジスタTNのゲート−ソース間電圧がゼロとなり、トランジスタTNはオフ状態となる。トランジスタTNがオフ状態である場合、ダイオードD11はオンし、検出信号DETはハイレベルとなる。
【0026】
他の検知部12〜14についても同様の回路構成を有しているため、重複する説明は省略する。また、選択信号CTLは検知部11〜14に対して共通であり、検出信号DETも検知部11〜14に対して共通である。このため、選択信号CTLをローレベルに活性化させると、検知部11〜14が同時に活性化し、蓄電池B1〜B4に対応するヒューズの状態が同時に検知される。図1及び図2に示す例では、蓄電池B1〜B3に対応するヒューズが接続状態であり、蓄電池B4に対応するヒューズが切断状態であることから、検知部11〜13においてはトランジスタTP,TNがいずれもオンするのに対し、検知部14においてはトランジスタTP,TNがいずれもオフする。その結果、ダイオードD14がオンすることから、ワイヤードオアされた検出信号DETはハイレベルとなる。これにより、判定部22は、検知部11〜14のいずれかに対応するヒューズが切断されていることを認識することができる。
【0027】
判定部22は、ヒューズ切断の有無に関する情報を制御回路23に供給する。これにより、制御回路23は、蓄電池システムの全体の電池容量が減少していることが分かるため、例えば、電圧監視部21から供給される現在の電圧レベルに基づいた残容量の計算に補正を加えることができる。その結果、ユーザが意図しない残容量の低下を回避することが可能となる。また、ヒューズ切断の有無に関する情報は、制御回路23を介して外部に出力することができ、これにより、メンテナンス性を高めることも可能となる。
【0028】
選択信号CTLの活性化は、定期的に短時間行えば足りる。選択信号CTLがハイレベルに非活性化している期間は、ヒューズの状態とは無関係に全てのトランジスタTP,TNがオフ状態となることから、検知部11〜14による電力消費は生じない。したがって、本実施形態によれば、消費電力の増大を最小限に抑えつつ、任意のタイミングでヒューズの状態を判定することが可能となる。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上記実施形態では、本発明をリチウムイオン電池に適用した場合を例に説明したが、本発明の対象がリチウムイオン電池に限定されるものではなく、他の種類の蓄電池に適用することも可能である。
【0031】
また、上記実施形態では、並列接続された複数の蓄電池B1〜B4に対して共通の選択信号CTL及び検出信号DETを割り当てているが、蓄電池ごとに選択信号CTL及び検出信号DETを個別に割り当てても構わないし、複数の蓄電池をいくつかのグループに分類し、グループごとに選択信号CTL及び検出信号DETを個別に割り当てても構わない。さらには、選択信号CTLについては複数の蓄電池に対して共通とし、検出信号DETについては蓄電池ごとに個別としても構わない。これらによれば、どの蓄電池(或いはどのグループに属する蓄電池)がヒューズによって切り離されているのか、個別に判定することが可能となる。
【0032】
さらに、上記実施形態では、トランジスタTNを電源配線PLに接続しているが、ヒューズの状態にかかわらず動作電圧が得られる限り、トランジスタTNを電源配線PLに接続することは必須でなく、例えば、蓄電池に接続しても構わない。
【0033】
さらに、上記実施形態では、3端子ヒューズ回路を用いた場合を例に説明したが、蓄電池と充電器との間に切断可能であればこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
11〜14 検知部
21 電圧監視部
22 判定部
23 制御回路
30 充電器
B1〜B4 蓄電池
D0,D11〜D14 ダイオード
F 3端子ヒューズ回路
FA1,FB1,FA2,FB2,FA3,FB3,FA4,FB4 ヒューズ
GND グランド配線
PL 電源配線
R1〜R4 抵抗
TP Pチャンネル型MOSトランジスタ(第1のトランジスタ)
TN Nチャンネル型MOSトランジスタ(第2のトランジスタ)
図1
図2