(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
実施形態の車両1は、例えば、不図示の内燃機関を駆動源とする自動車、すなわち内燃機関自動車であってもよいし、不図示の電動機を駆動源とする自動車、すなわち電気自動車または燃料電池自動車等であってもよいし、それらの双方を駆動源とするハイブリッド自動車であってもよいし、他の駆動源を備えた自動車であってもよい。また、車両1は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置、例えばシステムや部品等を搭載することができる。また、車両1における車輪3の駆動に関わる装置の方式、数、およびレイアウト等は、種々に設定することができる。
【0018】
図1は、第1の実施形態の周辺監視装置を搭載する車両1の車室2aの一部が透視された状態の一例が示された斜視図である。なお、本図を含むいくつかの図には、座標軸が描画されている。座標軸は、x軸、y軸、およびz軸を含む。車両1の前方を正の向きとする車両1の前後方向の軸をx軸とする。車両1の右方を正の向きとする車両1の車幅方向の軸をy軸とする。車両1の上方を正の向きとする車両1の上下方向の軸をz軸とする。
図2は、車両1が備える第1の実施形態の周辺監視システム100の構成を示す図である。
【0019】
図1に例示されるように、車体2は、不図示の乗員が乗車する車室2aを構成している。車室2a内には、乗員としての運転者の座席2bに臨む状態で、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等が設けられている。操舵部4は、例えば、ダッシュボード11から突出したステアリングホイールであり、加速操作部5は、例えば、運転者の足下に位置されたアクセルペダルであり、制動操作部6は、例えば、運転者の足下に位置されたブレーキペダルであり、変速操作部7は、例えば、センターコンソールから突出したシフトレバーである。なお、操舵部4、加速操作部5、制動操作部6、変速操作部7等は、これらには限定されない。
【0020】
また、車室2a内には、表示画面8が設けられている。表示画面8は、例えば、LCD(liquid crystal display)またはOELD(organic electroluminescent display)等である。また、表示画面8は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部9で覆われている。乗員は、表示画面8に表示される画像を操作入力部9を介して視認することができる。また、乗員は、表示画面8に表示される画像に対応した位置で手指等で操作入力部9を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示画面8、操作入力部9等は、例えば、ダッシュボード11の車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置10に設けられている。モニタ装置10は、スイッチ、ダイヤル、ジョイスティック、または押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。モニタ装置10は、例えば、ナビゲーションシステムまたはオーディオシステムと兼用され得る。
【0021】
また、
図1に例示されるように、車両1は、例えば、四輪自動車である。車両1は、左右2つの前輪3Fと、左右2つの後輪3Rとを有する。これら4つの車輪3は、いずれも転舵可能に構成されうる。
図2に例示されるように、車両1は、少なくとも2つの車輪3を操舵する操舵システム13を有している。操舵システム13は、アクチュエータ13aと、トルクセンサ13bとを有する。操舵システム13は、ECU14(electronic control unit)等によって電気的に制御されて、アクチュエータ13aを動作させる。操舵システム13は、例えば、電動パワーステアリングシステム、またはSBW(steer by wire)システム、等である。操舵システム13は、アクチュエータ13aによって操舵部4にトルク、すなわちアシストトルクを付加して操舵力を補ったり、アクチュエータ13aによって車輪3を転舵したりする。
【0022】
また、
図1に例示されるように、車両1の後方には、ヒッチボール16が設けられている。ヒッチボール16は、牽引対象のトレーラを車両1に連結する連結装置である。
【0023】
図3は、牽引対象のトレーラ200の一例を示す図である。この例では、トレーラ200はキャンピングトレーラであるが、牽引対象のトレーラ200はキャンピングトレーラに限定されない。トレーラ200の前端部には、ヒッチカプラ201が取り付けられている。ヒッチカプラ201は、トレーラ200側の連結装置であり、ヒッチボール16と結合可能である。連結作業においては、ヒッチボール16がヒッチカプラ201の真下にくるように車両1が移動せしめられ、その後、ヒッチカプラ201とヒッチボール16とが結合される。
【0024】
なお、ヒッチボール16およびヒッチカプラ201は連結装置の組み合わせの一例である。例えば第5輪およびキングピンの組み合わせなど、他の任意の連結装置が採用され得る。
【0025】
また、
図1に例示されるように、車体2には、複数のカメラ15として、例えば4つのカメラ15a〜15dが設けられている。各カメラ15は、例えば、CCD(charge coupled device)またはCIS(CMOS image sensor)等の撮像素子を内蔵する撮像装置である。各カメラ15は、所定のフレームレートで撮像画像を出力することができる。各カメラ15は、広角レンズまたは魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°〜220°の範囲を撮影することができる。よって、各カメラ15は、車両1の周辺環境を逐次撮影し、撮像画像として出力する。
【0026】
カメラ15aは、例えば、車体2の後側の端部2cに位置され、リアハッチのドア2dのリアウインドウの下方の壁部に設けられている。
図4に例示されるように、カメラ15aの光軸は、カメラ15aの撮像領域900にヒッチボール16が入るように、水平方向よりも若干路面800の方向に向けて設定されている。カメラ15bは、例えば、車体2の右側のドアミラー2eに設けられている。カメラ15cは、例えば、車体2の前側、すなわち車両前後方向のフロントバンパーまたはフロントグリル等に設けられている。カメラ15dは、例えば、車体2の左側のドアミラー2eに設けられている。
【0027】
図2に例示されるように、周辺監視システム100は、モニタ装置10、操舵システム13、ECU14、および舵角センサ17等を備える。モニタ装置10、操舵システム13、ECU14、および舵角センサ17は、電気通信回線としての車内ネットワーク18に接続されている。車内ネットワーク18は、例えば、CAN(controller area network)として構成されている。ECU14は、車内ネットワーク18を通じて制御信号を送ることで、操舵システム13等を制御することができる。また、ECU14は、車内ネットワーク18を介して、トルクセンサ13bおよび舵角センサ17等のセンサ値、ならびに操作入力部9等の操作情報を、受け取ることができる。
【0028】
舵角センサ17は、例えば、ステアリングホイール等の操舵部4の操舵量を検出するセンサである。ECU14は、運転者による操舵部4の操舵量、または自動操舵時の各車輪3の操舵量等を、操舵情報として舵角センサ17から取得し、取得した操舵情報を各種制御に供する。
【0029】
ECU14は、周辺監視装置の一例である。ECU14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)14a、ROM(Read Only Memory)14b、RAM(Random Access Memory)14c、およびSSD(Solid State Drive)14dを備える。CPU14aは、演算装置であり、ROM14b、RAM14c、およびSSD14dは、記憶装置である。即ち、ECU14は、コンピュータとしてのハードウェア構成を備える。なお、ECU14は、複数のコンピュータによって構成されてもよい。
【0030】
CPU14aは、ROM14bにインストールされ記憶された周辺監視プログラム140を実行することによって、周辺監視装置としての機能を実現する。周辺監視プログラム140は、ROM14bに替えてSSD14dにインストールされていてもよい。RAM14cは、CPU14aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。SSD14dは、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、ECU14の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。CPU14a、ROM14b、およびRAM14c等は、同一パッケージ内に集積され得る。また、ECU14は、CPU14aに替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサまたは論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD14dに替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSD14dまたはHDDは、ECU14とは別に設けられてもよい。
【0031】
周辺監視プログラム140は、コンピュータにインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)、またはフラッシュメモリ等の、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供され得る。
【0032】
また、周辺監視プログラム140は、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、周辺監視プログラム140は、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布され得る。
【0033】
ECU14は、複数のカメラ15で得られた撮像画像に基づいて演算処理または画像処理を実行し、より広い視野角の画像を生成したり、車両1を上方から見た仮想的な俯瞰画像を生成したりすることができる。また、ECU14は、各カメラ15で得られた広角画像のデータに演算処理または画像処理を実行し、特定の領域を切り出した画像を生成したり、特定の領域のみを示す画像を生成したり、特定の領域のみが強調されたような画像を生成したりする。また、ECU14は、撮像画像をカメラ15が撮像した視点とは異なる視点(仮想視点)から撮像したような仮想画像に変換(視点変換)することができる。ECU14は、取得した撮像画像を表示画面8に表示することで、例えば、車両1の右側方または左側方の安全確認、車両1を俯瞰してその周囲の安全確認を実行できるような周辺監視情報を提供することができる。また、車両1の後退時には、ECU14は、カメラ15aで得られた撮像画像に基づいて、車両1の後方の環境を示す画像を表示画面8に表示する。車両1の後方の環境を示す画像を表示画面8に表示するモードを、リアビューモードと表記する。また、カメラ15aで得られた撮像画像を、後方画像と表記する。
【0034】
ここで、運転者は、車両1にトレーラ200を連結する場合、車両1の後方にトレーラ200の略正面を臨む位置に車両1を移動させ、その後、車両1を後退させることによって、ヒッチボール16とヒッチカプラ201とを結合可能な位置まで車両1を移動させる。本実施形態の周辺監視装置としてのECU14は、車両1の後退時に、ヒッチボール16の予想軌跡を示す線形状の画像である軌跡画像を、後方画像に重畳して表示画面8に表示する。ヒッチボール16の予想軌跡とは、現在の舵角で後退した場合にヒッチボール16が辿る経路である。
【0035】
図5は、第1の実施形態の周辺監視装置による表示例を示す図である。図示するように、表示画面8の表示領域80には、ヒッチボール16を写した画像300およびヒッチカプラ201を写した画像400を含む、後方画像が表示されている。この後方画像において、紙面下方は、車両1側に相当する。後方画像には、点線の軌跡画像500が重畳されている。軌跡画像500は、舵角に応じて略リアルタイムに変化する。運転者は、ヒッチカプラ201の画像400と軌跡画像500とが重なるように操舵部4を操作し、ヒッチカプラ201の画像400と軌跡画像500とが重なった状態で車両1を後退させることによって、車両1を、ヒッチボール16とヒッチカプラ201とが結合可能な位置まで移動させることができる。
【0036】
ここで、軌跡画像500は、車両1側の端点から遠くなるほど太い。車両1とトレーラ200との距離が近い場合、運転者は、軌跡画像500の細い部分をヒッチカプラ201の画像400に合わせるために、自然に正確な操舵を行うことになる。車両1とトレーラ200との距離が十分離れている場合、運転者は、軌跡画像500の太い部分にヒッチカプラ201を合わせればよいので、ヒッチカプラ201の画像400に軌跡画像500を合わせることは容易である。即ち、運転者は、車両1とトレーラ200との距離が十分離れているときから正確な操舵を行わなくてもよくなる。よって、運転者の負担が軽減される。
【0037】
なお、軌跡画像500の線種は点線に限定されない。
図6に例示されるように、軌跡画像500の線種は実線であってもよい。また、軌跡画像500の太さは、車両1側の端点から遠くなるにしたがって連続的に変化してもよいし、段階的に変化してもよい。
【0038】
図7は、第1の実施形態の周辺監視装置としてのECU14の機能的構成を示すブロック図である。ECU14は、取得部101、演算部102、および出力部103として機能する。CPU14aは、ROM14bから周辺監視プログラム140を読み出して実行することによって、取得部101、演算部102、および出力部103としての機能を実現する。
【0039】
取得部101は、各カメラ15から撮像画像を取得する。特に、第1取得部101は、リアビューモードにおいて、後方画像をカメラ15aから取得する。
【0040】
また、取得部101は、舵角センサ17から操舵情報を取得する。
【0041】
演算部102は、操舵情報に基づいてヒッチボール16の予想軌跡を演算する。ヒッチボール16の予想軌跡の演算方法は、特定の方法に限定されない。
【0042】
図8は、ヒッチボール16の予想軌跡の演算方法の一例を説明するための図である。演算部102は、運転者が操舵部4を操作することによって前輪3Fのタイヤ角を変更した場合、前輪3Fの向き3Faと直交する方向と、後輪3Rを支持する後輪車軸31の延長方向と、の交点に、車両1の旋回中心G1が存在する。つまり、車両1が前輪3Fのタイヤ角にしたがって旋回する場合、後輪車軸31の中心32もこの旋回中心G1を中心とする円弧33に沿って移動する。また、車両1に対するヒッチボール16の相対位置は、固定されているため、ヒッチボール16も旋回中心G1を中心とする円弧に沿って移動する。このように、スリップが発生していない場合等の通常の走行で旋回が行われている場合、ヒッチボール16が辿る軌跡は、前輪3Fのタイヤ角に基づいて一意に決定される。例えば、演算部102は、操舵情報から前輪3Fのタイヤ角を求める。そして、演算部102は、タイヤ角によって旋回中心G1を求め、旋回中心G1を中心とするヒッチボール16の軌跡160(予想軌跡)を求める。
【0043】
なお、車両1を基準としたヒッチボール16の相対位置は、例えば、乗員によって操作入力部9に入力される。例えば、取得部101は、車両1の後端部からの飛び出し量、路面800からの高さ、などの数値情報を操作入力部9を介して取得し、演算部102は、入力されたこれらの数値情報から車両1を基準としたヒッチボール16の相対位置を演算する。
【0044】
なお、ARSなどが採用されることにより後輪3Rが転舵可能に構成される場合、演算部102は、後輪3Rのタイヤ角を考慮してヒッチボール16の予想軌跡を演算してもよい。
【0045】
予想軌跡の長さは、任意に設計され得る。例えば予想軌跡は、3メートルなど、予め設定されていてもよい。また、予想軌跡の長さが乗員によって変更可能であってもよい。
【0046】
出力部103は、ヒッチボール16の予想軌跡を示す軌跡画像500を後方画像に重畳し、軌跡画像500が重畳された表示画面8に表示する。軌跡画像500の生成方法は、特定の方法に限定されない。
【0047】
図9は、軌跡画像500の生成方法の一例を説明するための図である。まず、出力部103は、仮想空間700に、仮想的な路面701、仮想視点702、およびヒッチボール16の予想軌跡である軌跡160を配置する。本図においては、説明をわかりやすくするために、車体2のモデル601、車輪3のモデル602、およびヒッチボール16のモデル603、からなる車両1のモデル600が仮想空間700に配置されている。仮想視点702は、カメラ15aの位置に対応する位置に配置される。仮想視点702の光軸の向きおよび画角は、カメラ15aの光軸の向きおよび画角に対応する。軌跡160は、ヒッチボール16のモデル603の位置を始点とした円弧の形状を有する。出力部103は、軌跡160を仮想視点702から見た2次元画像に透視投影することによって、カメラ15aから見た予想軌跡を演算する。そして、出力部103は、カメラ15aから見た予想軌跡の形状を有し、車両1側から遠くなるにしたがって太くなる画像(軌跡画像500)を生成する。出力部103は、生成した軌跡画像500を、後方画像に重畳する。
【0048】
図10は、第1の実施形態の周辺監視装置としてのECU14の動作を説明するフローチャートである。ここでは、リアビューモードでの動作のみ説明する。なお、S101〜S105の処理は、ループ処理を構成しており、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0049】
まず、後方画像をカメラ15aから、舵角情報を舵角センサ17から、それぞれ取得する(S101)。すると、演算部102は、舵角情報に基づき、例えば上述した方法を用いてヒッチボール16の予想軌跡を演算する(S102)。出力部103は、例えば上述した方法を用いて予想軌跡を示す軌跡画像500を生成する(S103)。軌跡画像500は、車両1側の端部から遠いほど太い。出力部103は、軌跡画像500を後方画像に重畳し(S104)、軌跡画像500が重畳された後方画像を表示画面8に表示する(S105)。S105の処理の後、制御がS101に移る。
【0050】
S101〜S105の処理の開始タイミングおよび終了タイミングは、任意に設計され得る。例えば、ECU14は、運転者が変速操作部7の位置をリバースレンジに設定するに応じて、S101〜S105の処理を開始する。また、例えば、ECU14は、運転者が変速操作部7の位置をリバースレンジから他の位置に変更するに応じて、S101〜S105の処理を終了する。
【0051】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、演算部102は、ヒッチボール16の予想軌跡を舵角情報に基づいて演算する。そして、出力部103は、予想軌跡を示す軌跡画像500を後方画像に重畳し、軌跡画像500が重畳された後方画像を表示画面8に表示する。軌跡画像500は、車両1側の端部から遠くなるほど、連続的にまたは段階的に太くなる。
【0052】
よって、運転者は、車両1とトレーラ200との距離が十分離れているときから正確な操舵を行わなくても、ヒッチカプラ201の画像400と軌跡画像500とを合わせることができるので、運転者の負担が軽減される。
【0053】
なお、出力部103は、
図11に例示されるように、軌跡画像500の車両1側とは反対側の端部501を点滅表示させてもよい。軌跡画像500の線種が実線である場合であっても、出力部103は、軌跡画像500の車両1側とは反対側の端部だけ点滅表示させてもよい。軌跡画像500の太い部分が点滅表示されることによって、軌跡画像500の視認性が向上する。
【0054】
また、取得部101は、乗員から入力される太さ情報を取得し、出力部103は、太さ情報に応じて軌跡画像500の太さの変化率を決定してもよい。
【0055】
例えば、出力部103は、
図12に例示されるように、太さの変化率を増加させるためのボタン502と、太さの変化率を減少させるためのボタン503と、を表示する。ボタン502およびボタン503に対するタッチ入力は、操作入力部9によって検知され、太さ情報の入力として取得部101に取得される。
【0056】
取得部101がボタン502のタッチ入力を取得した場合、出力部103は、太さの変化率の設定を、より大きくする。即ち、出力部103は、
図13に例示されるように、軌跡画像500の車両1側の端部から反対側の端部に至るまでの太さの変化率を
図12の場合に比べて大きくした軌跡画像500を表示する。
【0057】
取得部101がボタン503のタッチ入力を取得した場合、出力部103は、太さの変化率の設定を、より小さくする。即ち、出力部103は、
図14に例示されるように、軌跡画像500の車両1側の端部から反対側の端部に至るまでの太さの変化率を
図12の場合に比べて小さくした軌跡画像500を表示する。
【0058】
なお、太さ情報の入力方法はこれに限定されない。例えば、出力部103は、任意のタイミングで設定画面を表示し、周辺監視装置としてのECU14は、設定画面を介して太さ情報が入力可能に構成されてもよい。また、周辺監視装置としてのECU14は、音声によって入力可能に構成されてもよいし、他の入力操作部から入力可能に構成されてもよい。
【0059】
よって、運転者は、好みまたは技量に応じて太さの変化率を設定することが可能となる。
【0060】
<第2の実施形態>
出力部103は、軌跡画像500の表示様態を、車両1とトレーラ200との距離(以降、車間距離)に応じて変更してもよい。
【0061】
例えば、車間距離がしきい値Dthより大きい場合には、出力部103は、
図15に例示されるように、車両1側の端点から遠くなるにつれて軌跡画像500の透過率を小さくする。しきい値Dthは、予め設定される。しきい値Dthは、例えば1mである。透過率は、連続的に変化せしめられてもよいし、段階的に変化せしめられてもよい。
【0062】
車間距離がしきい値Dthより小さい場合には、出力部103は、
図16に例示されるように、軌跡画像500の透過率を均一にする。例えば出力部103は、軌跡画像500の透過率を、0%でも100%でもなく、十分に大きい所定の値で均一にしてもよく、その場合には、予測軌跡を示しながら、同時に、ヒッチボール16の画像300とヒッチカプラ201の画像400との視認性を向上させることができる。
【0063】
取得部101は、撮像画像、操舵情報のほかに、車間距離を取得する。車間距離の測定方法としては、任意の方法が採用可能である。
【0064】
一例では、車両1の後部に、クリアランスソナー、レーザレンジスキャナ、ステレオカメラ、などの距離測定装置を設け、取得部101は、距離測定装置から車間距離を取得する。別の例では、取得部101は、カメラ15aから取得した後方画像を用いてモーションステレオ法に基づく演算を行うことによって、車間距離を演算する。
【0065】
図17は、第2の実施形態の周辺監視装置としてのECU14の動作を説明するフローチャートである。なお、S201〜S208の処理は、ループ処理を構成しており、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0066】
まず、後方画像、舵角情報、および車間距離を取得する(S201)。すると、演算部102は、舵角情報に基づき、第1の実施形態と同様の方法で、ヒッチボール16の予想軌跡を演算する(S202)。出力部103は、第1の実施形態と同様の方法で、予想軌跡を示す軌跡画像500を生成する(S203)。軌跡画像500は、車両1側の端部から遠いほど太い。
【0067】
続いて、出力部103は、車間距離がしきい値Dthより大きいか否かを判定する(S204)。車間距離がしきい値Dthより大きいと判定された場合(S204、Yes)、出力部103は、軌跡画像500の透過率を、車両1側の端部から遠いほど減少させる(S205)。車間距離がしきい値Dthより大きくないと判定された場合(S204、No)、出力部103は、軌跡画像500の全体の透過率を同一の値に設定する(S206)。
【0068】
なお、ここでは、車間距離がしきい値Dthと等しい場合には、S206の処理が実行される、としているが、車間距離がしきい値Dthと等しい場合の処理はこれに限定されない。車間距離がしきい値Dthと等しい場合、S205の処理が実行され得る。
【0069】
S205またはS206の処理の後、出力部103は、軌跡画像500を後方画像に重畳し(S207)、軌跡画像500が重畳された後方画像を表示画面8に表示する(S208)。S208の処理の後、制御がS201に移る。
【0070】
以上述べたように、第2の実施形態によれば、取得部101は、車間距離をさらに取得する。出力部103は、車間距離がしきい値Dthよりも大きい場合、軌跡画像500の透過率を車両1側の端部から遠くなるにしたがって連続的にまたは段階的に小さくし、車間距離がしきい値Dthよりも小さい場合、軌跡画像500の透過率を均一にする。
【0071】
車両1とトレーラ200との距離が遠い場合、第1の実施形態と同様に、運転者は、車両1とトレーラ200との距離が十分離れているときから正確な操舵を行わなくても、ヒッチカプラ201の画像400と軌跡画像500とを合わせることができるので、運転者の負担が軽減される。車両1とトレーラ200との距離が近い場合、軌跡画像500の透過率を十分に大きな均一の値に設定することで、ヒッチボール16の画像300とヒッチカプラ201の画像400との視認性が向上し、その結果、ヒッチボール16とヒッチカプラ201との位置合わせを行い易くすることが可能である。
【0072】
なお、車間距離に応じて透過率の設定を変更する例を説明したが、軌跡画像500の表示様態の変更方法はこれに限定されない。
【0073】
例えば、出力部103は、透過率を変更するかわりに、太さの変化率を車間距離に応じて変更してもよい。例えば、車間距離がしきい値Dthより大きい場合には、出力部103は、第1の実施形態と同様に、車両1側の端点から遠くなるほど軌跡画像500の太さを太くする。そして、車間距離がしきい値Dthより小さい場合には、出力部103は、軌跡画像500の太さを均一にする。よって、車両1とトレーラ200との距離が近い場合、軌跡画像500の太さを十分に細い均一の値に設定することで、ヒッチボール16の画像300とヒッチカプラ201の画像400との視認性が向上し、位置合わせを行い易くすることが可能である。即ち、トレーラ200の連結作業を効果的に支援することが可能である。
【0074】
別の例では、出力部103は、軌跡画像500の長さを、車間距離が小さくなるに応じて短くする。よって、余分な線を表示しないことで、運転者に、ヒッチボール16、ヒッチカプラ201、および予想軌跡の関係を、よりわかりやすく提示することが可能である。
【0075】
さらに別の例では、出力部103は、軌跡画像500の長さを、ヒッチカプラ201の画像400に応じて制御する。具体的には、出力部103は、軌跡画像500のうちの、車両1側の端点を基準としてヒッチカプラ201の画像400よりも遠い部分を表示しない。一例では、出力部103は、後方画像に含まれるヒッチカプラ201の画像400を、画像認識などによって特定し、トラッキングする。別の例では、出力部103は、後方画像に含まれるヒッチカプラ201の画像400の位置を乗員にタッチさせ、タッチ入力に基づいて後方画像に含まれるヒッチカプラ201の画像400を特定し、その後、後方画像に含まれるヒッチカプラ201の画像400の位置をトラッキングする。出力部103は、ヒッチボール16の画像300からヒッチカプラ201の画像400までの軌跡画像500を生成し、後方画像に重畳する。余分な線を表示しないことで、運転者に、ヒッチボール16、ヒッチカプラ201、および予想軌跡の関係を、よりわかりやすく提示することが可能である。
【0076】
また、出力部103は、ヒッチカプラ201から予想軌跡までの距離を演算し、距離に応じて軌跡画像500の表示様態を変えてもよい。ヒッチカプラ201から予想軌跡までの距離は、3次元空間内での距離であってもよいし、後方画像上の距離であってもよい。変更される表示様態は、例えば、色または輝度である。一例では、出力部103は、ヒッチカプラ201から予想軌跡までの距離が遠いほど、軌跡画像500を、より赤い色で着色表示し、ヒッチカプラ201から予想軌跡までの距離が近いほど、より青い色で着色表示する。出力部103は、軌跡画像500の全体ではなく、軌跡画像500の先端部のみの表示様態を変えてもよい。よって、運転者は、ヒッチカプラ201の画像400と軌跡画像500とを注視する代わりに、軌跡画像500の表示様態の変化に着目することで、軌跡画像500がヒッチカプラ201の画像400に近づくように舵角をコントロールすることが可能となる。
【0077】
<第3の実施形態>
出力部103は、第1または第2の実施形態の軌跡画像500に加えて、ヒッチカプラ201の目標到達位置を示す識別情報(以降、単に識別情報)を後方画像に重畳表示してもよい。
【0078】
例えば出力部103は、
図18に例示されるように、ヒッチボール16の画像300に、識別情報504を重畳する。この例では、識別情報504は、十字線の形状を有するイラスト画像である。出力部103は、任意の方法でヒッチボール16の画像300の位置を特定する。出力部103は、画像認識によってヒッチボール16の画像300の位置を特定してもよいし、乗員からのヒッチボール16の画像300の位置をタッチする入力、または車両1の後端部からの飛び出し量および路面800からの高さなどの数値入力に基づいてヒッチボール16の画像300の位置を特定してもよい。
【0079】
ここで、ヒッチボール16は、車幅方向の中心に設けられる。これに対し、カメラ15aは、
図19に例示されるように、車幅方向の中心からオフセットした位置に設けられる場合がある。
図19の例では、リアナンバープレート19の左側上方にカメラ15aが設けられている。
【0080】
図20は、カメラ15a、ヒッチボール16、およびヒッチカプラ201の目標到達位置の位置関係を示す図である。本図に例示されるように、カメラ15aは、車両1の車幅方向の中心、即ちヒッチボール16に対し、Doffsetだけ紙面左側にオフセットされた位置に設けられている。また、ヒッチカプラ201の目標到達位置202は、ヒッチボール16の上方にDgapだけずれた位置に存在する。このような場合、カメラ15aとヒッチボール16の中心161とを結ぶ直線162は、カメラ15aとヒッチカプラ201の目標到達位置202の中心203とを結ぶ直線204とは一致しない。よって、後方画像において、ヒッチカプラ201の目標到達位置202は、ヒッチボール16が写っている画像300の位置とは一致しない。
【0081】
カメラ15aが、車両1の車幅方向の中心、即ちヒッチボール16に対し、車幅方向にオフセットした位置に設けられる場合、出力部103は、例えば、DoffsetおよびDgapから3次元空間内の目標到達位置202を演算し、3次元空間内の目標到達位置202を仮想視点702から見た2次元画像に透視投影することによって、識別情報504の表示位置を演算する。こうして演算された位置は、
図21に例示されるように、ヒッチボール16の画像300の位置から表示画面8の少なくとも横方向にオフセットされている。
【0082】
なお、DoffsetおよびDgapは、例えば数値入力によって設定される。DoffsetおよびDgapの入力タイミングは、特定のタイミングに設定されない。DoffsetおよびDgapは、車両1の製造時、出荷時、運転開始時、連結作業時など、任意のタイミングに設定され得る。例えば、任意のタイミングで設定画面が呼び出し可能であり、設定画面を介してDoffsetおよびDgapが入力可能に構成されてもよい。なお、Doffsetは予め設定され、Dgapは任意のタイミングで設定可能に構成されてもよい。また、Dgapとして所定の小さい値(例えば5センチ)が固定的に使用されてもよい。
【0083】
以上述べたように、第3の実施形態によれば、出力部103は、ヒッチカプラ201の目標到達位置202を示す識別情報504を後方画像に重畳して表示画面8に表示する。目標到達位置202を示す識別情報504の表示位置は、後方画像の少なくとも横方向にオフセットした位置である。よって、運転者は、識別情報504にヒッチカプラ201が写っている画像400が重なるように車両1を移動させることによって、ヒッチボール16とヒッチカプラ201とが結合可能な位置に車両1をより正確に移動させることができるようになる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。