特許第6760189号(P6760189)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6760189-インクジェット記録装置 図000002
  • 特許6760189-インクジェット記録装置 図000003
  • 特許6760189-インクジェット記録装置 図000004
  • 特許6760189-インクジェット記録装置 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760189
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20200910BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   B41J2/165 501
   B41J2/01 305
   B41J2/01 403
   B41J2/165 205
   B41J2/165 207
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-75929(P2017-75929)
(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公開番号】特開2018-176468(P2018-176468A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】竹花 広輝
【審査官】 高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−024233(JP,A)
【文献】 特開2015−066879(JP,A)
【文献】 特開2012−024928(JP,A)
【文献】 特開2006−264178(JP,A)
【文献】 特開2007−230090(JP,A)
【文献】 特開2012−201076(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0265352(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2004−0070839(KR,A)
【文献】 特開2009−241560(JP,A)
【文献】 特開2012−171135(JP,A)
【文献】 特開平06−238905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づいて用紙に特定画像を形成する画像形成部と、
前記用紙から画像を読み取る読取部と、
前記画像形成部、及び前記読取部を制御する制御部と
を備え、
前記画像形成部は、
前記用紙に設定された着滴位置に向かってインクを吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルを振動させる振動部と、
前記複数のノズルが各々に形成された複数のノズルユニットと、
前記ノズルユニット毎に前記複数のノズル内のインクを加圧して前記ノズルから前記インクを吐出させる加圧部と
を有し、
前記制御部は、
前記着滴位置に向かってインクを吐出しない不吐出ノズルを前記複数のノズルが含まないことを示す特定画像と、前記読取部が読み取った前記画像とに基づいて、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むか否かを判定し、
前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含む場合に、前記複数のノズル内のインクの各々が振動するように前記振動部を制御して、前記不吐出ノズルの不吐出を解消する第1解消処理を実行し、
前記第1解消処理に続けて、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むか否かを更に判定
前記第1解消処理の後に、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むと判定した場合に、前記複数のノズルユニットのうち前記不吐出ノズルを含む前記ノズルユニットの前記複数のノズルからインクが吐出するように前記加圧部を制御して第2解消処理を実行し、
前記第2解消処理に続けて、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むか否かを更に判定し、
前記第2解消処理の後に、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むと判定した場合に、前記第2解消処理によって前記不吐出ノズルの数が減少したか否かを判定し、
前記第2解消処理によって前記不吐出ノズルの数が減少しなかったと判定した場合、前記複数のノズルからインクが吐出するように前記加圧部を制御して第3解消処理を実行し、
前記第3解消処理での前記加圧部による前記インクの加圧力は、前記第2解消処理での前記加圧部による前記インクの加圧力よりも大きく、
前記第2解消処理によって前記不吐出ノズルの数が減少したと判定した場合、前記第2解消処理を再度実行する、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記用紙を搬送方向に沿って搬送する主搬送部と、
前記主搬送部から分岐して前記用紙を搬送する副搬送部と
を更に備え、
前記画像形成部は、前記主搬送部によって搬送される前記用紙に前記特定画像を形成し、
前記副搬送部は、前記画像形成部の前記搬送方向の下流側から前記画像形成部の前記搬送方向の上流側に前記用紙を搬送し、
前記読取部は、前記画像形成部の前記搬送方向の上流側に搬送された前記用紙から前記画像を読み取る、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記副搬送部は、前記用紙を搬送する際に、前記用紙の表面と裏面とを反転させ、
前記読取部は、前記副搬送部によって反転された前記用紙から前記画像を読み取る、請求項2に記載のインクジェット記録装置
【請求項4】
記画像形成部がメンテナンスを要することを外部に報知する報知部を更に備え、
前記制御部は、前記第3解消処理の後に、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むと判定した場合に、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むことを外部に報知するように前記報知部を制御する、請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記読取部が読み取った前記画像に基づいて、前記不吐出ノズルの位置を示す不吐出データを生成し、
前記不吐出データに基づいて、前記不吐出ノズルによって画像を形成するように画像形成部を制御し、
前記不吐出ノズルによって形成された前記画像に基づいて、前記不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第3解消処理の後に、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むと判定した場合、前記不吐出ノズルの周囲に配置されたノズルから吐出されるインク滴を大きくして前記用紙に画像を形成するように前記画像形成部を制御する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のマルチファンクション印刷装置は、プリントヘッドと、スキャナーと、制御手段とを備える。プリントヘッドは、記録媒体にインクで画像を形成する。プリントヘッドは、複数のノズルを有する。複数のノズルの各々は、記録媒体に向かってインクを吐出する。スキャナーは、記録媒体に形成された画像を読み取る。
【0003】
制御手段は、記録媒体に形成する画像のうちから、インクを正常に吐出しない不吐出ノズルを検出するための特定画像を検出する。制御手段は、記録媒体に画像を形成するようにプリントヘッドを制御するとともに、記録媒体に形成された画像のうちから特定画像を読み取るようにスキャナーを制御する。制御手段は、記録媒体に形成する画像のうちから検出した特定画像と、スキャナーによって読み取られた特定画像とに基づいて不吐出ノズルを検出する。特許文献1に記載のマルチファンクション印刷装置では、不吐出ノズルが検出された場合に、例えば、不吐出ノズルの不吐出を解消するようにインク吸引処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−238419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のマルチファンクション印刷装置(インクジェット記録装置)では、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理に続いて、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを確認する作業が実行されない。換言すると、特許文献1に記載のマルチファンクション印刷装置では、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを確認する操作信号を作業者が入力する必要がある。したがって、不吐出ノズルの不吐出を解消させる作業者の作業量が増加するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、不吐出ノズルの不吐出を解消させる作業者の作業量を軽減することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、画像形成部と、制御部とを備える。前記画像形成部は、画像データに基づいて用紙に画像を形成する。前記読取部は、前記用紙から前記画像を読み取る。前記制御部は、前記画像形成部、及び前記読取部を制御する。前記画像形成部は、前記用紙に設定された着滴位置に向かってインクを吐出する複数のノズルを有する。前記制御部は、前記画像データが示す画像と、前記読取部が読み取った前記画像とに基づいて、前記着滴位置に向かってインクを吐出しない不吐出ノズルを前記複数のノズルが含むか否かを判定する。前記制御部は、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含む場合に、前記不吐出ノズルの不吐出を解消するように解消処理を実行する。前記制御部は、前記解消処理に続けて、前記複数のノズルが前記不吐出ノズルを含むか否かを更に判定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不吐出ノズルの不吐出を解消させる作業者の作業量を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る画像形成部の底面を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示すブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る制御部によるメンテナンス処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る画像形成装置1の実施形態について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
【0011】
図1を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置1を示す図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、複合機である。なお、画像形成装置1は、印刷機、複写機、又はファクシミリ機であってもよい。複合機は、例えば、コピー機能、プリンター機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する。
【0013】
画像形成装置1は、用紙Sの表面及び裏面に画像を形成し得る。用紙Sは、表面と裏面とを有する。表面は、裏面に対向する。用紙Sは、例えば、普通紙、コピー紙、再生紙、薄紙、厚紙、光沢紙、又はOHP(Overhead Projector)用紙である。
【0014】
画像形成装置1は、筐体2と、給紙部3と、画像形成部4と、キャップ部5aと、ワイパー部5bと、操作パネル6と、搬送部7と、排出トレイ8と、制御部9とを備える。筐体2は、箱状に形成される。筐体2は、給紙部3と、画像形成部4と、キャップ部5aと、ワイパー部5bと、搬送部7と、制御部9とを内部に収容する。
【0015】
操作パネル6は、例えば、筐体2の上部の表面に配置される。操作パネル6は、例えば、ディスプレーを含む。ディスプレーは、各種の画面を表示する。また、操作パネル6は、タッチパネル機能を有する。操作パネル6は、使用者の操作に応じた操作信号を制御部9に出力する。使用者の操作は、例えば、用紙Sに画像の形成を開始させる操作を含む。
【0016】
給紙部3は、給紙カセット31と、手差しトレイとを有する。給紙カセット31は、筐体2の下部に配置される。給紙カセット31は、筐体2に着脱自在に装着される。給紙カセット31内には、複数の用紙Sが重ねられた状態で収納され得る。手差しトレイの一部は、筐体2から外部に露出する。手差しトレイには、複数の用紙Sが重ねられた状態で載置され得る。
【0017】
搬送部7は、搬送路の搬送方向に沿って用紙Sを搬送する。搬送部7は、例えば、複数のローラー対70と、複数のガイド板と、複数の搬送ベルトとを有する。複数のガイド板は、並べて配置されて用紙Sの搬送路を形成する。複数のローラー対70及び複数の搬送ベルトは、搬送路に沿って所定の間隔で配置される。複数のローラー対70及び複数の搬送ベルトは、搬送路の搬送方向の下流側に向かって用紙Sを送出し得る。
【0018】
搬送部7は、主搬送部71と、副搬送部72とに区分される。主搬送部71は、給紙部3から画像形成部4を介して排出トレイ8まで延在する。主搬送部71は、第1搬送方向D1に沿って用紙Sを搬送する。第1搬送方向D1は、主搬送部71に沿って給紙部3から画像形成部4を介して排出トレイ8に向かう方向である。
【0019】
副搬送部72は、分岐点P1において主搬送部71から分岐する。分岐点P1は、搬送路において、画像形成部4よりも第1搬送方向D1の下流側、かつ、排出トレイ8よりも第1搬送方向D1の上流側に位置する。また、副搬送部72は、合流点P2において主搬送部71に合流する。合流点P2は、搬送路において、画像形成部4よりも第1搬送方向D1の上流側、かつ、給紙部3よりも第1搬送方向D1の下流側に位置する。副搬送部72は、分岐点P1から反転路72aを介して合流点P2まで延在する。副搬送部72は、第2搬送方向D2に沿って用紙Sを搬送する。第2搬送方向D2は、副搬送部72に沿って分岐点P1から反転路72aを介して合流点P2に向かう方向である。反転路72aは、副搬送部72によって搬送される用紙Sをスイッチバックさせて、用紙Sの表面と裏面とを反転させる。
【0020】
搬送部7は、読取部73を更に有する。読取部73は、合流点P2よりも第1搬送方向D1の下流側、かつ、画像形成部4よりも第1搬送方向D1の上流側に配置される。また、読取部73は、画像形成部4に対向する搬送ベルトに並べて配置される。読取部73は、例えば、給紙部3から送出されて主搬送部71によって搬送される用紙Sの第1搬送方向D1の幅を読み取る。読取部73は、読み取った用紙Sの幅を示す画像データを生成して制御部9に出力する。なお、制御部9は、用紙Sの幅を示す画像データに基づいて、例えば、用紙Sのサイズを判定する。
【0021】
また、読取部73は、用紙Sから画像を読み取る。本実施形態において、読取部73は、副搬送部72によって反転されて、合流点P2に搬送された用紙Sから画像を読み取る。読取部73は、読み取った画像を示す画像データを生成して制御部9に出力する。読取部73は、例えば、CIS(Contact Image Sensor)ユニットである。CISユニットは、LED(Light Emitting Diode)、結像レンズ及びイメージセンサーを有する。
【0022】
画像形成部4は、主搬送部71によって搬送される用紙Sの表面に画像を形成する。画像形成部4は、記録ヘッド41を有する。記録ヘッド41は、インクで用紙Sに画像を形成する。記録ヘッド41は、ブラック色に対応する記録ヘッド41kと、マゼンタ色に対応する記録ヘッド41mと、シアン色に対応する記録ヘッド41cと、イエロー色に対応する記録ヘッド41yとを有する。複数の記録ヘッド41k、41m、41c、41yは、この順で第1搬送方向D1の上流側から下流側に向けて並べて配置される。
【0023】
画像形成部4は、振動部44と、加圧部45とを更に有する。振動部44は、複数の記録ヘッド41k、41m、41c、41yを振動させる。振動部44は、例えば、モーターと、モーターの回転軸に軸支される偏心用の偏心部材とを有する。加圧部45は、制御部9から入力される制御信号に応じて変形し、複数の記録ヘッド41k、41m、41c、41yから吐出されるインクの吐出量を変化させる。
【0024】
排出トレイ8には、画像が形成された用紙Sが主搬送部71を介して排出される。なお、排出トレイ8には、画像が形成された用紙Sが順次積載される。
【0025】
キャップ部5aは、複数のキャップを有する。複数のキャップの各々は、複数の記録ヘッド41k、41m、41c、41yに対応する。キャップ部5aは、記録ヘッド41に対向する位置に移動可能である。キャップ部5aは、例えば、記録ヘッド41が一定時間以上利用されない場合に、複数のキャップをそれぞれ対応する記録ヘッド41k、41m、41c、41yに密着させる。この結果、記録ヘッド41k、41m、41c、41yのインクの乾燥が抑制される。
【0026】
ワイパー部5bは、複数のワイパーブレードを有する。ワイパー部5bは、記録ヘッド41に対向する位置に移動可能である。ワイパー部5bは、記録ヘッド41に対向する位置に移動して、複数のワイパーブレードによって、記録ヘッド41に付着したインクの拭き取り(ワイピング)を行う。複数のワイパーブレードの各々は、複数の記録ヘッド41k、41m、41c、41yに対応する。
【0027】
制御部9は、例えば、プロセッサーと、記憶部とを有する。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、例えば、半導体メモリー及びHDD(Hard Disk Drive)を含む。プロセッサーは、記憶部に記憶されたコンピュータープログラムに基づいて、給紙部3と、画像形成部4と、キャップ部5aと、ワイパー部5bと、操作パネル6と、搬送部7とを制御する。制御部9は、例えば、用紙Sに形成する画像を示す画像データに基づいて、用紙Sにインクの着滴位置を設定し、用紙Sに設定した着滴位置にインクを吐出するように画像形成部4を制御する。
【0028】
次に、図2を参照して、画像形成部4の構成について更に説明する。図2は、複数の記録ヘッド41の底面を示す図である。図2に示すように、画像形成部4は、複数の記録ヘッド41に加えて、複数のノズルユニット42と、複数のノズル43とを更に有する。
【0029】
複数の記録ヘッド41k、41m、41c、41yの各々は、本実施形態において、色毎に千鳥状に配置される。複数の記録ヘッド41k、41m、41c、41yの各々には、複数のノズルユニット42が配置される。複数のノズルユニット42は、ブラック色に対応するノズルユニット42kと、マゼンタ色に対応するノズルユニット42mと、シアン色に対応するノズルユニット42cと、イエロー色に対応するノズルユニット42yとを有する。
【0030】
複数のノズルユニット42の各々には、複数のノズル43が配置される。複数のノズル43の各々は、用紙Sに向かってインクを吐出する。詳しくは、複数のノズル43の各々は、制御部9によって用紙Sに設定された着滴位置に向かってインクを吐出する。
【0031】
記録ヘッド41kは、ブラック色のインクタンクに接続される。記録ヘッド41kのノズルユニット42に配置されたノズル43は、ブラック色のインクを吐出する。記録ヘッド41mは、マゼンタ色のインクタンクに接続される。記録ヘッド41mのノズルユニット42に配置されたノズル43は、マゼンタ色のインクを吐出する。記録ヘッド41cは、シアン色のインクタンクに接続される。記録ヘッド41cのノズルユニット42に配置されたノズル43は、シアン色のインクを吐出する。記録ヘッド41yは、イエロー色のインクタンクに接続される。記録ヘッド41yのノズルユニット42に配置されたノズル43は、イエロー色のインクを吐出する。
【0032】
記録ヘッド41k、41c、41m、41yの各々は、例えば、ピエゾ方式のようなインクの吐出方式を適用することができる。ピエゾ方式では、ピエゾ素子を用いてインクが吐出される。詳しくは、ピエゾ方式では、所定の波形のパルスがピエゾ素子に入力されることによって、パルスに対応するようにピエゾ素子が変形する。この結果、ピエゾ素子の変形による圧力がノズル43内のインクに伝達し、インクのメニスカスが振動することによって、ノズル43からインクが吐出される。
【0033】
次に、図1から図3を参照して、制御部9について更に説明する。図3は、画像形成装置1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部9は、操作パネル6から入力される操作信号に基づいて、給紙部3、画像形成部4、操作パネル6及び搬送部7を制御する。
【0034】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出の解消を開始させる操作信号に基づいて、不吐出ノズルを検出する処理と、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理と、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理とを実行する。
【0035】
不吐出ノズルは、用紙Sに設定された着滴位置にインクを吐出しないノズル43である。不吐出ノズルは、インクを吐出しないノズル43、及び吐出したインクが着滴位置に着滴しないノズル43を含む。ノズル43は、例えば、ノズル43内のインクのメニスカスの水分が減少してインクの粘度が上昇した場合に、用紙Sの着滴位置にインクを吐出できないおそれがある。また、ノズル43は、例えば、紙粉のようなゴミがノズル43内に詰まった場合にも、用紙Sの着滴位置にインクを吐出できないおそれがある。
【0036】
制御部9は、不吐出ノズルを検出する処理において、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むか否かを判定する。詳しくは、制御部9は、まず、給紙部3から画像形成部4に向かって用紙Sを搬送するように主搬送部71を制御する。
【0037】
次に、制御部9は、不吐出ノズル検出用の画像データに基づいて、主搬送部71によって搬送される用紙Sの表面に特定画像を形成するように画像形成部4を制御する。特定画像は、複数のノズル43が不吐出ノズルを含まないことを示す画像である。不吐出ノズル検出用の画像データは、例えば、制御部9の記憶部に予め記憶される。不吐出ノズル検出用の画像データは、例えば、画像形成部4が有する全てのノズル43を用いて形成されるソリッド画像を示す。
【0038】
制御部9は、表面に画像が形成された用紙Sを分岐点P1から合流点P2に搬送するように副搬送部72を制御する。この結果、用紙Sの表面と表紙Sの裏面とが反転する。また、制御部9は、合流点P2から主搬送部71によって搬送される用紙Sの表面に形成された画像を読み取るように読取部73を制御する。この結果、制御部9には、読取部73で読み取られた画像を示す画像データが入力される。
【0039】
制御部9は、不吐出ノズル検出用の画像データが示す特定画像と、読取部73から入力された画像データが示す画像とに基づいて、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むか否かを判定する。詳しくは、制御部9は、不吐出ノズル検出用の画像データが示す特定画像と、読取部73から入力された画像データが示す画像とを比較する。制御部9は、比較結果に基づいて、例えば、読取部73から入力された画像データが示す画像が空白を有する線図である場合に、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むと判定する。
【0040】
制御部9は、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むと判定した場合に、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理を実行する。不吐出ノズルの不吐出を解消する処理は、本発明の解消処理の一例である。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理において、フラッシング処理を実行する。フラッシング処理は、本発明の第1解消処理の一例である。
【0041】
制御部9は、フラッシング処理において、複数のノズル43内のインクが振動するように振動部44を制御する。この結果、複数のノズル43内のインクは、ノズル43から吐出しない程度に振動されて、不吐出ノズル内のインクの粘度が正常範囲に遷移する。よって、インクを消費することなく、インクの粘度の上昇に起因する不吐出ノズルの不吐出が解消される。
【0042】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理の後に、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を実行する。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理において、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むか否かを更に判定する。
【0043】
詳しくは、制御部9は、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理の後に、不吐出ノズル検出用の画像データに基づいて、読取部73によって画像が読み取られた用紙Sの裏面に特定画像を形成するように画像形成部4を制御する。この後、制御部9は、不吐出ノズルを検出する処理と同様に、用紙Sの裏面に形成された画像を読み取るように主搬送部71、副搬送部72及び読取部73を制御する。
【0044】
また、制御部9は、不吐出ノズル検出用の画像データが示す特定画像と、読取部73から入力された画像データが示す画像(用紙Sの裏面に形成された画像)とに基づいて、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むか否かを判定して、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを判定する。この結果、新たな用紙Sを使用することなく、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを確認することができる。
【0045】
本実施形態の画像形成装置1では、不吐出ノズルの不吐出の解消を開始させる操作信号に応じて、不吐出ノズルを検出する処理が実行され、複数のノズル43が不吐出ノズルを含む場合には、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理が実行される。また、本実施形態の画像形成装置1では、作業者が操作することなく、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理の後に、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理が実行される。したがって、不吐出ノズルの不吐出を解消させる作業者の作業量を軽減することができる。
【0046】
続いて、制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消されていないと判定した場合に、読取部73から入力された画像データが示す画像に基づいて、不吐出ノズルの数及び不吐出ノズルの位置を示す不吐出データを生成する。読取部73から入力された画像データが示す画像は、不吐出が解消されていない場合に、例えば、線図である。制御部9は、線図の空白の数及び各空白の位置に基づいて、不吐出ノズルの数及び不吐出ノズルの位置を特定する。制御部9は、不吐出データを記憶部に記憶する。
【0047】
本実施形態において、制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消されていないと判定した場合に、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理を更に実行する。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理において、第1パージ処理を実行する。
【0048】
制御部9は、第1パージ処理において、不吐出データに基づいて、不吐出ノズルを含むノズルユニット42の複数のノズル43がインクを吐出するように加圧部45を制御する。この結果、不吐出ノズル内の粘度の低下したインク及びゴミは、インクとともにノズル43から吐出される場合がある。
【0049】
制御部9は、第1パージ処理の後に、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を更に実行する。制御部9は、用紙Sの表面に更に特定画像を形成するように画像形成部4を制御し、用紙Sの表面に更に形成された画像を読み取るように読取部73を制御して、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を更に実行する。なお、制御部9は、用紙Sの表面に更に特定画像を形成するスペースが無い場合には、給紙部3から用紙Sを新たに搬送して、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を更に実行する。
【0050】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を更に実行した結果、複数のノズル43が不吐出ノズルを含む場合に、前回生成した不吐出データと今回生成した不吐出データとに基づいて、第1パージ処理によって不吐出ノズルの数が減少したか否かを判定する。制御部9は、第1パージ処理によって不吐出ノズルの数が減少した場合に、第1パージ処理を再度実行する。
【0051】
制御部9は、第1パージ処理によって不吐出ノズルの数が減少しなかった場合に、第2パージ処理を実行する。制御部9は、第2パージ処理において、第1パージ処理の加圧部45の加圧力よりも大きい加圧力でノズル43からインクが吐出するように加圧部45を制御する。この結果、不吐出ノズル内の粘度の低下したインク及びゴミがより強く押圧されて、不吐出ノズル内のインクとともにノズル43から吐出される場合がある。
【0052】
制御部9は、第2パージ処理の後に、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を更に実行する。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消されない場合に、例えば、不吐出ノズルの不吐出を解消できないエラーを外部に報知する。本実施形態において、制御部9は、エラー画面を表示するように操作パネル6を制御して、外部にエラーを報知する。この結果、例えば、作業者によって画像形成部4がメンテナンスされて、不吐出ノズルの不吐出が解消される。
【0053】
本実施形態の画像形成装置1では、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かが確認されて、フラッシング処理、第1パージ処理及び第2パージ処理が段階的に実行される。したがって、不吐出ノズルの不吐出の解消に消費されるインクの消費量を抑制しつつ、不吐出ノズルの不吐出を解消することができる。また、本実施形態の画像形成装置1では、作業者の操作を要することなく、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かの確認、フラッシング処理、第1パージ処理及び第2パージ処理が実行される。よって、作業者の作業量を低減しつつ、不吐出ノズルの不吐出を解消することができる。
【0054】
次に、図1から図4を参照して、制御部9による不吐出ノズルを検出する処理と、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理と、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理とについて更に説明する。図4は、不吐出ノズルを検出する処理と、不吐出ノズルの不吐出を解消する処理と、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理とを示すフローチャートである。
【0055】
図4に示すように、制御部9は、ステップS10において、作業者の操作を示す操作信号が入力されると、ステップS20において、給紙部3から画像形成部4に向かって用紙Sを搬送するように搬送部7を制御する。制御部9は、給紙部3から用紙Sを搬送させた後に、ステップS30において、不吐出ノズルを検出する処理を実行する。
【0056】
制御部9は、不吐出ノズルを検出する処理を実行して、ステップS40において、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むか否かを判定する。制御部9は、複数のノズル43が不吐出ノズルを含まないと判定した場合に(ステップS40のNo)、処理を終了する。
【0057】
制御部9は、複数のノズル43が不吐出ノズルを含むと判定した場合に(ステップS40のYes)、ステップS50において、フラッシング処理を実行する。制御部9は、フラッシング処理を終了した後に、ステップS60において、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を実行する。
【0058】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を実行して、ステップS70において、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを判定する。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消された場合に(ステップS70のYes)、処理を終了する。
【0059】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消されなかった場合に(ステップS70のNo)、ステップS80において、第1パージ処理を実行する。制御部9は、第1パージ処理を終了した後に、ステップS90において、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を実行する。
【0060】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を実行して、ステップS100において、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを判定する。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消された場合に(ステップS100のYes)、処理を終了する。
【0061】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消されなかった場合に(ステップS100のNo)、ステップS110において、不吐出ノズルが減少したか否かを判定する。制御部9は、不吐出ノズルが減少した場合に(ステップS110のYes)、ステップS80に戻る。
【0062】
制御部9は、不吐出ノズルが減少しなかった場合に(ステップS110のNo)、ステップS120において、第2パージ処理を実行する。制御部9は、第2パージ処理を終了した後に、ステップS130において、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を実行する。
【0063】
制御部9は、不吐出ノズルの不吐出の解消を確認する処理を実行して、ステップS140において、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを判定する。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消された場合に(ステップS140のYes)、処理を終了する。なお、制御部9は、不吐出ノズルの不吐出が解消されなかった場合に(ステップS140のNo)、ステップS150において、エラー画面を表示するように操作パネル6を制御して、処理を終了する。
【0064】
以上、図1から図4を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置1について説明した。但し、本発明は、実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【0065】
例えば、本発明の実施形態では、不吐出ノズルの解消を確認する際に、不吐出ノズル検出用の画像データに基づいて、用紙Sに画像を形成するように画像形成部4を制御していたが、本発明はこれに限定されない。制御部9は、不吐出ノズルの解消を確認するための画像を用紙Sに形成するように画像形成部4を制御すればよい。制御部9は、例えば、不吐出データに基づいて、不吐出ノズルによって画像を形成するように画像形成部4を制御してもよい。この結果、不吐出ノズルの解消を確認する際のインクの使用量を低減することができる。
【0066】
また、本発明の実施形態では、不吐出ノズルを検出する際に給紙部3から送出された用紙Sの表面又は裏面に画像を形成して、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを確認していたが、本発明はこれに限定されない。制御部9は、給紙部3から新しい用紙Sを送出して、不吐出ノズルの不吐出が解消されたか否かを確認してもよい。
【0067】
また、本発明の実施形態では、第2パージ処置によって不吐出ノズルの不吐出が解消されなかった場合に、エラー画面を表示するように操作パネル6を制御していたが、本発明はこれに限定されない。制御部9は、不吐出ノズルの不吐出を解消できなかった場合に、不吐出ノズルを補間する補間処理を実行してもよい。制御部9は、補間処理において、例えば、不吐出ノズルの周囲に配置されたノズル43から吐出されるインク滴を大きくして、用紙Sに画像を形成するように画像形成部4を制御する。
【0068】
なお、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、インクで用紙に画像を形成する画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 画像形成装置
4 画像形成部
43 ノズル
73 読取部
9 制御部
S 用紙
図1
図2
図3
図4