(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0012】
なお、説明の便宜上、画像形成装置10が使用可能な設置状態(
図1に示される状態)で鉛直方向を上下方向D1と定義する。また、
図1に示される画像形成装置10の紙面左側の面を正面(前面)として前後方向D2を定義する。また、前記設置状態の画像形成装置10の正面を基準として左右方向D3を定義する。
【0013】
[第1実施形態]
まず、
図1及び
図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10の概略構成について説明する。ここで、
図1は画像形成装置10の構成を示す断面模式図である。また、
図2は画像形成部1の構成を示す断面模式図である。
【0014】
画像形成装置10は、電子写真方式により、情報処理装置から入力される画像データに基づく画像をシート状の用紙に形成するカラープリンターである。また、ファクシミリ、コピー機、及び複合機なども、本発明に係る画像形成装置の一例である。
【0015】
図1に示されるように、画像形成装置10は、複数の画像形成部1〜4、中間転写ベルト5、光走査装置6、二次転写ローラー7、定着装置8、排紙トレイ9、トナーコンテナー21〜24、給紙カセット31、及び搬送路32などを備える。
【0016】
画像形成装置10は、所謂タンデム型のものである。画像形成部1〜4は、中間転写ベルト5のベルト回転方向D4(
図1参照)に沿って並設されている。画像形成部1ではY(イエロー)、画像形成部2ではM(マゼンタ)、画像形成部3ではC(シアン)、画像形成部4ではK(ブラック)に対応するトナー像が形成される。
【0017】
図2に示されるように、画像形成部1は、感光体ドラム11(本発明における像担持体の一例)と、感光体ドラム11に対応して設けられた帯電部12、現像装置13、一次転写ローラー14、及びクリーニング装置15を備える。なお、画像形成部2〜4も同様に構成されているため、ここではそれらの説明を省略する。
【0018】
感光体ドラム11各々は、中間転写ベルト5のベルト回転方向D4に沿って並設されている。感光体ドラム11は、静電潜像及びトナー像を担持する像担持体である。感光体ドラム11は、左右方向D3に長尺であって、左右方向D3に沿って延在する回転軸111を有する。感光体ドラム11は、回転軸111が回転可能に支持されることで、回転方向D5(
図2参照)へ回転可能である。
【0019】
帯電部12各々は、帯電ローラー121を有する。帯電部12は、帯電ローラー121を用いて、不図示の電源から供給される電力により感光体ドラム11を所定電位に帯電させる。そして、帯電部12により帯電された感光体ドラム11に、光走査装置6によってレーザー光が照射され、画像データに基づく静電潜像が感光体ドラム11の外周面に形成される。
【0020】
現像装置13各々は、非磁性体のトナー及び磁性体のキャリアを含む現像剤を用いて、感光体ドラム11に形成された静電潜像を現像する。現像装置13については後段で詳述する。なお、現像装置13各々には、各色に対応する着脱可能なトナーコンテナー21〜24から前記トナーが補給される。また、前記現像剤には、前記トナーの帯電量及び流動性などを調整するための外添剤が混入されている。例えば、前記外添剤は、酸化チタン又はシリカなどである。なお、前記現像剤は、前記キャリアを含まない1成分現像剤であってもよい。
【0021】
一次転写ローラー14各々は、現像装置13によって現像された感光体ドラム11上のトナー像を中間転写ベルト5に転写する。中間転写ベルト5は、画像形成部1〜4各々の感光体ドラム11の上方を走行し、感光体ドラム11各々に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される被転写部材である。中間転写ベルト5上のトナー像は、二次転写ローラー7により、給紙カセット31から搬送路32を経て搬送される用紙に転写される。その後、用紙に転写されたトナー像は、定着装置8で加熱されて用紙に定着する。トナー像が定着した用紙は、排紙トレイ9に排出される。
【0022】
クリーニング装置15各々は、ブレード状のクリーニング部材151、及び搬送部材152を有する。クリーニング装置15は、クリーニング部材151を用いて、感光体ドラム11の表面を清掃する。クリーニング部材151によって感光体ドラム11の表面から除去されたトナーは、搬送部材152によって不図示のトナー回収容器へ搬送される。
【0023】
次に、
図3及び
図4を参照しつつ、現像装置13の構成について説明する。なお、
図3は現像装置13の構成を示す断面図である。また、
図4はガイド部材139の構成を示す斜視図である。なお、
図3では、感光体ドラム11が破線によって示されている。また、
図3では、磁気ローラー134による前記現像剤の搬送経路R1が二点鎖線によって示されている。また、
図3では、現像ローラー136の回転によって生じる気流F1が一点鎖線によって示されている。
【0024】
図3に示されるように、現像装置13は、筐体131、第1撹拌部材132、第2撹拌部材133、磁気ローラー134、規制部材135、現像ローラー136、第1シール部材137、及び第2シール部材138を備える。
【0025】
筐体131は、前記現像剤及び現像装置13の構成部材各々を収容する収容空間を有する。
図3に示されるように、筐体131は、現像装置13の外面、及び前記収容空間を画定する内面を形成する複数の部材によって構成される。例えば、筐体131は、
図3に示されるガイド部材139を含む。ガイド部材139については後述する。
【0026】
筐体131は、左右方向D3に長尺である。
図3に示されるように、筐体131の底部には、左右方向D3に沿って形成された隔壁131Aが設けられている。筐体131の底部、側壁、及び隔壁131Aにより、筐体131の底部に、左右方向D3に長尺な第1トナー収容部131B及び第2トナー収容部131C(
図3参照)が形成されている。第1トナー収容部131B及び第2トナー収容部131C各々には、前記現像剤が収容される。また、第1トナー収容部131Bには、第1撹拌部材132が設けられる。また、第2トナー収容部131Cには、第2撹拌部材133が設けられる。
【0027】
筐体131の内部における第2トナー収容部131Cの上方には、前記現像剤に含まれる前記トナーを感光体ドラム11へ供給するための供給空間が形成されている。前記供給空間には、磁気ローラー134、規制部材135、及び現像ローラー136が設けられる。
【0028】
図3に示されるように、筐体131の上部には、前後方向D2における後方へ向けて開口する開口部131Dが形成されている。開口部131Dには、第1シール部材137、及び第2シール部材138が設けられる。開口部131Dからは、筐体131内部に収容される現像ローラー136の周面の一部が露出している。現像装置13は、開口部131Dから露出する現像ローラー136の周面が感光体ドラム11の周面と対向する姿勢で画像形成装置10の内部に配置される。
【0029】
第1撹拌部材132は、第1トナー収容部131Bに収容されている前記現像剤を撹拌すると共に、前記現像剤を左右方向D3のうちの一方へ搬送する。例えば、第1撹拌部材132は、前記現像剤を右方向へ搬送する。
【0030】
例えば、第1撹拌部材132は、左右方向D3に長尺な搬送スクリューであって、第1トナー収容部131Bに回転可能に設けられる。第1トナー収容部131Bに収容されている前記現像剤は、第1撹拌部材132により撹拌されることで摩擦帯電する。第1撹拌部材132により搬送される前記現像剤は、第1トナー収容部131Bにおける右方向の端部に設けられた連絡通路を経由して、第2トナー収容部131Cへ搬送される。
【0031】
第2撹拌部材133は、第2トナー収容部131Cに収容されている前記現像剤を撹拌すると共に、前記現像剤を第1撹拌部材132とは逆方向へ搬送する。例えば、第2撹拌部材133は、前記現像剤を左方向へ搬送する。
【0032】
例えば、第2撹拌部材133は、第1撹拌部材132と同様に、左右方向D3に長尺な搬送スクリューであって、第2トナー収容部131Cに回転可能に設けられる。第2トナー収容部131Cに収容されている前記現像剤は、第2撹拌部材133により撹拌されることで摩擦帯電する。第2撹拌部材133により搬送される前記現像剤は、第2トナー収容部131Cにおける左方向の端部に設けられた連絡通路を経由して、第1トナー収容部131Bへ搬送される。
【0033】
磁気ローラー134は、第2トナー収容部131Cから前記現像剤を汲み上げて、汲み上げられた前記現像剤に含まれる前記トナーを現像ローラー136に供給する。ここに、磁気ローラー134が、本発明における供給ローラーの一例である。
【0034】
図3に示されるように、磁気ローラー134は、回転スリーブ134Aを有する。回転スリーブ134Aは、左右方向D3に長尺な円筒状の部材である。回転スリーブ134Aは、第2撹拌部材133の上側で第2撹拌部材133に対向して設けられる。回転スリーブ134Aは、筐体131によって回転方向D6(
図3参照)へ回転可能に支持される。
【0035】
回転スリーブ134Aの内部には、磁極M1〜M5(
図3参照)を有する磁石が設けられている。前記磁石は、筐体131によって回転スリーブ134Aの内部で固定されて設けられる。前記磁石は、磁極M1が回転スリーブ134Aと第2撹拌部材133との対向位置P1(
図3参照)に、磁極M2が回転スリーブ134Aと規制部材135との対向位置P2(
図3参照)に、磁極M3が回転スリーブ134Aと現像ローラー136との対向位置P4(
図3参照)に、それぞれ向くように配置されている。磁気ローラー134は、磁極M1〜M5各々で発生する磁力により、第2トナー収容部131Cから前記現像剤を汲み上げて、汲み上げられた前記現像剤に含まれる前記トナーを現像ローラー136に供給する。
【0036】
具体的に、磁極M1は、第2トナー収容部131Cに収容されている前記キャリアを磁気的に引き寄せる。ここで、前記トナー及び前記キャリアは、第1撹拌部材132及び第2撹拌部材133による撹拌で摩擦帯電している。これにより、前記トナー及び前記キャリアの間には、静電気力による互いに引き寄せ合う力が働いている。そのため、前記キャリアが磁極M1で発生する磁力により回転スリーブ134Aに引き寄せられると、前記トナーも前記キャリアと共に回転スリーブ134Aに引き寄せられる。従って、対向位置P1において、回転スリーブ134Aの周面に前記現像剤が付着する。回転スリーブ134Aの周面に付着した前記現像剤は、回転スリーブ134Aの周面上で磁気ブラシを形成する。当該磁気ブラシは、回転スリーブ134Aが回転方向D6へ回転することで、対向位置P1(
図3参照)から搬送経路R1(
図3参照)に沿って搬送される。
【0037】
規制部材135は、磁気ローラー134による前記現像剤の搬送量を規制する。ここに、規制部材135が、本発明における規制部の一例である。
【0038】
例えば、規制部材135は、左右方向D3に長尺なブレード状の部材である。
図3に示されるように、規制部材135は、対向位置P1よりも回転方向D6における下流側に設けられる。規制部材135は、回転スリーブ134Aの周面との間に所定の間隙を隔てて設けられる。回転スリーブ134Aの周面上に形成された磁気ブラシは、対向位置P2を通過する際に規制部材135と接触する。これにより、当該磁気ブラシのサイズが、前記間隙を通過可能なサイズに規制される。
【0039】
現像ローラー136は、磁気ローラー134から供給される前記トナーを感光体ドラム11に供給する。
【0040】
図3に示されるように、現像ローラー136は、回転スリーブ136Aを有する。回転スリーブ136Aは、左右方向D3に長尺な円筒状の部材である。回転スリーブ136Aは、磁気ローラー134の上側で磁気ローラー134に対向して設けられる。具体的に、回転スリーブ136Aは、磁気ローラー134の直上より、前後方向D2における後方側の位置で、磁気ローラー134に対向して設けられる。回転スリーブ136Aは、筐体131によって回転方向D7(
図3参照)へ回転可能に支持される。回転スリーブ136Aが回転すると、回転スリーブ136Aの周囲に気流が発生する。当該気流は、筐体131の内面における現像ローラー136との対向部に沿って移動する。
【0041】
回転スリーブ136Aの内部には、磁極M6(
図3参照)を有する磁石が設けられている。磁極M6は、回転スリーブ136Aの内部において固定配置される。
【0042】
磁気ローラー134には、不図示の電源から、直流電圧及び交流電圧が印加される。また、現像ローラー136には、前記電源から直流電圧及び交流電圧が印加される。
【0043】
回転スリーブ134Aの周面上に形成された磁気ブラシは、対向位置P2を通過後、対向位置P4へ搬送される。そして、磁気ローラー134に印加される電圧と現像ローラー136に印加される電圧との電位差、並びに磁極M3及び磁極M6の間に形成される磁界により、前記トナーが現像ローラー136の表面に供給される。
【0044】
現像ローラー136に供給された前記トナーは、回転スリーブ136Aが回転方向D7へ回転することで、感光体ドラム11との対向位置P5(
図3参照)へ搬送される。そして、現像ローラー136に印加される電圧と感光体ドラム11の表面との電位差により、前記トナーが感光体ドラム11の表面に供給される。
【0045】
なお、現像ローラー136によって搬送される前記現像剤のうち、対向位置P5を通過後に現像ローラー136に残存する前記トナーは、対向位置P4を通過する際に磁気ローラー134上の磁気ブラシによって回収される。また、磁気ローラー134上の磁気ブラシは、対向位置P4を通過後、磁極M4の磁力により磁極M5の配置位置まで搬送される。そして、磁極M5の磁力により、磁気ローラー134の表面から引き剥がされる。
【0046】
ここで、現像装置13では、第1撹拌部材132及び第2撹拌部材133の回転により前記トナーが飛散することがある。また、現像装置13では、磁気ローラー134から現像ローラー136に前記トナーが供給される際、及び現像ローラー136から感光体ドラム11に前記トナーが供給される際に、前記トナーが飛散することがある。
【0047】
第1シール部材137及び第2シール部材138は、筐体131内を浮遊する前記トナーが現像装置13の外部へ漏出することを防止する。
【0048】
図3に示されるように、第1シール部材137は、開口部131Dの上部に設けられ、開口部131Dと感光体ドラム11との間に形成される間隙を封鎖する。例えば、第1シール部材137は、左右方向D3に長尺な可撓性のフィルム部材である。
【0049】
また、
図3に示されるように、第2シール部材138は、開口部131Dの下部に設けられ、開口部131Dと感光体ドラム11との間に形成される間隙を封鎖する。例えば、第2シール部材138は、第1シール部材137と同様に、左右方向D3に長尺な可撓性のフィルム部材である。
【0050】
ガイド部材139は、現像ローラー136から落下した前記トナー及び筐体131内を浮遊する前記トナーを磁気ローラー134へ案内する。
【0051】
例えば、ガイド部材139は、左右方向D3に長尺な板金部材である(
図4参照)。
図3に示されるように、ガイド部材139は、現像ローラー136の下側であって、規制部材135の上側に設けられる。具体的に、ガイド部材139は、表面139A(
図4参照)が現像ローラー136に対向し、且つ筐体131の底部へ向かう斜め下方に傾斜した姿勢で配置される。ガイド部材139の表面139Aは、筐体131の内面の一部である傾斜面131E(
図3参照)を形成する。
【0052】
傾斜面131Eの上端部は、開口部131Dの下端部に接続される。具体的に、ガイド部材139は、上側の端部が開口部131Dの下端部に固定される。また、傾斜面131Eの下端部は、磁気ローラー134と規制部材135との対向位置P2よりも回転方向D6の下流側であって、磁気ローラー134と現像ローラー136との対向位置P4よりも上流側の対向位置P3(
図3参照)で磁気ローラー134と対向する。例えば、ガイド部材139は、磁気ローラー134側の底部が筐体131の一部を構成する支持部材131G(
図3参照)によって支持されることで、筐体131の底面に対して所定の傾斜角度で傾斜した姿勢で配置される。
【0053】
現像装置13では、現像ローラー136が回転方向D7へ回転することで、現像ローラー136、第2シール部材138、及びガイド部材139によって形成される空間に、傾斜面131Eに沿って磁気ローラー134へ向けて流れる気流F1(
図3参照)が発生する。具体的に、現像ローラー136の回転により現像ローラー136の周囲に発生する気流のうちの一部が、第2シール部材138によって方向転換されることで、気流F1となる。気流F1により、現像ローラー136から落下した前記トナー及び筐体131内を浮遊する前記トナーは磁気ローラー134へ案内される。なお、気流F1の風量は、現像ローラー136の回転速度、現像ローラー136とガイド部材139との間の離間距離、傾斜面131Eの傾斜角度、及び筐体131の底面に対する第2シール部材138の傾斜角度などを変更することで、適宜調整可能である。
【0054】
ところで、現像装置13では、前記トナーが筐体131の内面における現像ローラー136との対向部に付着することがある。ここで、前記対向部には、傾斜面131E、及び現像ローラー136の上方に位置する上面131Fなどが含まれる。また、前記対向部に付着した前記トナーは、他の前記トナーを吸着させて凝集化することがある。当該凝集化した前記トナーが現像ローラー136に供給されると、当該凝集化した前記トナーが現像に用いられて、一部の濃度が過剰に濃い画像が形成されるなどの画像不良が生じるおそれがある。これに対し、前記対向部を振動させて、前記対向部における前記トナーの付着を抑制可能な現像装置が従来技術として知られている。
【0055】
しかしながら、上述の従来技術では、前記対向部を振動させるモーターなどの駆動部を設ける必要があり、現像装置13の構成が複雑化する。これに対し、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10では、以下に説明するように、構成を複雑化させることなく、前記対向部での前記トナーの付着を抑制することが可能である。
【0056】
具体的に、画像形成装置10では、傾斜面131Eに凸部139B(
図5及び
図6参照)が設けられている。
【0057】
以下、
図3〜
図6を参照しつつ、凸部139Bの構成について説明する。ここで、
図5は
図4に示されるガイド部材139の表面139Aの一部領域A1を拡大した平面図である。また、
図6は凸部139Bの断面図である。
【0058】
凸部139Bは、現像ローラー136の回転によって生じる気流F1(
図3参照)の一部を乱すことが可能である。凸部139Bによって気流F1の一部が乱されることで、傾斜面131Eの表面に乱流F2(
図6参照)が発生し、乱流F2により傾斜面131Eにおける前記トナーの流動性が向上する。これにより、傾斜面131Eにおける前記トナーの付着が抑制される。従って、傾斜面131E上における前記トナーの凝集化、及び当該凝集化したトナーが傾斜面131Eから滑落することで磁気ローラー134に供給されて、磁気ローラー134から現像ローラー136を経由して感光体ドラム11に供給されることを抑制可能である。
【0059】
凸部139Bは、傾斜面131Eの表面から突出して形成される。例えば、凸部139Bは、
図6に示されるように、球面139B1を有する。例えば、凸部139Bは、傾斜面131Eを形成するガイド部材139の表面139A(
図4参照)に対して、粒子X1(
図6参照)を含む溶剤を用いたコーティング加工を施すことで形成される。これにより、
図5及び
図6に示されるように、ガイド部材139の表面139Aにおける一部又は全部の領域に粒子X1が敷き詰められて、複数の凸部139Bが形成される。
【0060】
なお、凸部139Bは、ガイド部材139の表面139Aに対するプレス加工により形成されてもよい。この場合、凸部139Bは、ガイド部材139の表面139Aにおける一部又は全部の領域に敷き詰められて形成されてもよい。また、凸部139Bは、ガイド部材139の表面139Aにおける一部又は全部の領域に対して、予め定められた下限値を超える面積比率で形成されてもよい。例えば、前記下限値は、表面139Aにおける一部又は全部の領域に対する凸部139Bの面積比率ごとに、画像形成装置10で予め定められた画像を予め定められた枚数印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を確認する実験の結果に基づいて設定される。例えば、画像形成装置10において、前記下限値は10パーセントである。
【0061】
ここで、凸部139Bの直径が小さすぎる場合には、凸部139Bにおいて前記トナーを移動させることが可能な風量の乱流F2を形成することができないことがある。また、凸部139Bの直径が大きすぎる場合には、前記トナーが凸部139Bとの接触により傾斜面131Eに付着しやすくなることがある。そのため、凸部139Bの直径は、上記の事情を考慮して、適宜の値に設定されることが望ましい。
【0062】
具体的に、凸部139Bの直径は、前記トナーの平均粒径の7分の1以上であって且つ3倍未満に設定されることが望ましい。例えば、画像形成装置10では、平均粒径が7マイクロメートルの前記トナーが用いられる。この場合、凸部139Bの直径は、1マイクロメートル以上であって且つ21マイクロメートル未満に設定されることが望ましい。
【0063】
また、画像形成装置10では、傾斜面131Eに表層部139C(
図6参照)が設けられている。
【0064】
表層部139Cは、凸部139Bの直径よりも粒径が小さく且つ前記トナーよりも粒径が小さい複数の粒子X2(
図6参照)によって形成されており、凸部139Bの表面を覆う。具体的に、表層部139Cは、凸部139Bの表面を覆うように凸部139Bの表面に付着した複数の粒子X2によって凸部139B上に形成される層である。凸部139Bの表面が粒子X2によって形成される表層部139Cによって覆われることで、前記トナーが凸部139Bの表面に接触する際の前記トナーと凸部139Bとの接触面積が低減する。そのため、前記トナーと凸部139Bとの間に働く付着力を低減させることが可能である。ここに、粒子X2が、本発明における特定粒子の一例である。
【0065】
例えば、表層部139Cは、傾斜面131Eを形成するガイド部材139の表面139Aに対して、粒子X2を含む溶剤を用いたコーティング加工が施されることで形成される。これにより、
図6に示されるように、凸部139Bの表面に粒子X2が敷き詰められて、表層部139Cが形成される。
【0066】
ここで、粒子X2の直径が小さすぎる場合及び大きすぎる場合には、前記トナーが凸部139Bの表面に接触する際の前記トナーと凸部139Bとの接触面積が低減しないことがある。そのため、粒子X2の直径は、上記の事情を考慮して、適宜の値に設定されることが望ましい。
【0067】
具体的に、粒子X2の粒径は、5ナノメートル以上500ナノメートル未満の範囲から適宜の値に設定される。例えば、粒子X2の粒径を、前記トナーに添付される外添剤と同程度のサイズ(約20ナノメートル)とすることが考えられる。
【0068】
なお、画像形成装置10において、傾斜面131Eに表層部139Cが設けられていなくてもよい。また、凸部139Bは、球面139B1を有していなくてもよい。また、凸部139B及び表層部139Cは、上面131Fに設けられていてもよい。また、凸部139Bの形状、サイズ、及び傾斜面131Eにおける面積比率は、気流F1の風量に応じて適宜選択されるものであってよい。
【0069】
[実施例1]
粒子径5.0マイクロメートルのポリメタクリル酸メチル分散液及び粒子径100ナノメートルのアクリルエマルジョン溶液が70対30の重量比で混合されて作製されたコーティング液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。当該コーティング加工が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139A上に粒子径5.0マイクロメートルのポリメタクリル酸メチルが均一に並び、その表面を100ナノメートルのアクリル微粒子が覆っている状態が観察された。当該コーティング加工が施されたガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズ(画像形成装置10の具体例)に搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良は確認されなかった。
【0070】
[比較例1]
粒子径100ナノメートルのアクリルエマルジョン溶液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。当該コーティング加工が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139Aを粒子径100ナノメートルのアクリル微粒子が覆っている状態が観察された。当該コーティング加工が施されたガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズに搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良が確認された。
【0071】
[比較例2]
粒子径30マイクロメートルのポリメタクリル酸メチル分散液及び粒子径100ナノメートルのアクリルエマルジョン溶液が70対30の重量比で混合されて作製されたコーティング液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。当該コーティング加工が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139A上に粒子径30マイクロメートルのポリメタクリル酸メチルが均一に並び、その表面を100ナノメートルのアクリル微粒子が覆っている状態が観察された。当該コーティング加工が施されたガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズに搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良が確認された。
【0072】
比較例1及び比較例2から、凸部139Bの直径が100ナノメートル(比較例1)である場合、及び30マイクロメートル(比較例2)である場合は、傾斜面131Eに設けられた凸部139Bによる前記トナーの付着の抑制効果が見られないことが判明した。また、実施例1から、凸部139Bの直径が5.0マイクロメートルである場合は、傾斜面131Eに設けられた凸部139Bによる前記トナーの付着の抑制効果が生じることが判明した。
【0073】
このように、画像形成装置10では、筐体131の内面における現像ローラー136との前記対向部である傾斜面131Eに、現像ローラー136の回転によって生じる気流F1の一部を乱す凸部139Bが設けられている。これにより、傾斜面131Eの表面に乱流F2が発生し、乱流F2により傾斜面131Eにおける前記トナーの流動性が向上する。従って、傾斜面131Eにおける前記トナーの付着を抑制することが可能である。
【0074】
[第2実施形態]
以下、
図7及び
図8を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置10について説明する。ここで、
図7は第2実施形態に係る画像形成装置10に設けられるガイド部材139の表面139Aの一部領域A1(
図4参照)を拡大した平面図である。また、
図8は凹部139Dの断面図である。
【0075】
第2実施形態に係る画像形成装置10では、凸部139Bに替えて、凹部139D(
図8参照)が、傾斜面131Eに設けられている。なお、その他の点は、第1実施形態と第2実施形態とで共通である。
【0076】
凹部139Dは、凸部139Bと同様に、現像ローラー136の回転によって生じる気流F1の一部を乱すことが可能である。凹部139Dによって気流F1の一部が乱されることで、傾斜面131Eの表面に乱流F3(
図8参照)が発生し、乱流F3により傾斜面131Eにおける前記トナーの流動性が向上する。これにより、傾斜面131Eにおける前記トナーの付着が抑制される。
【0077】
凹部139Dは、傾斜面131Eの表面から陥没して形成される。例えば、凹部139Dは、
図8に示されるように、球面139D1を有する。例えば、凹部139Dは、傾斜面131Eを形成するガイド部材139の表面139A(
図4参照)に対して、所定の温度で溶融する粒子及びコーティング剤を含む溶剤を用いたコーティング加工を施した後、当該ガイド部材139を加熱して前記粒子を溶融させることで形成される。これにより、
図7及び
図8に示されるように、ガイド部材139の表面139Aにおける一部又は全部の領域に、前記粒子及び前記コーティング剤の重量比に応じた密度で複数の凹部139Dが形成される。
【0078】
なお、凹部139Dは、ガイド部材139の表面139Aに対するプレス加工により形成されてもよい。この場合、凹部139Dは、ガイド部材139の表面139Aにおける一部又は全部の領域に敷き詰められて形成されてもよい。また、凹部139Dは、ガイド部材139の表面139Aにおける一部又は全部の領域に対して、前記下限値を超える面積比率で形成されてもよい。
【0079】
ここで、凹部139Dの直径が小さすぎる場合には、凹部139Dにおいて前記トナーを移動させることが可能な風量の乱流を形成することができないことがある。また、凹部139Dの直径が大きすぎる場合には、前記トナーが凹部139Dに入り込み、傾斜面131Eに付着しやすくなることがある。そのため、凹部139Dの直径は、上記の事情を考慮して、適宜の値に設定されることが望ましい。
【0080】
具体的に、凹部139Dの直径は、凸部139Bと同様に、前記トナーの平均粒径の7分の1以上であって且つ3倍未満に設定されることが望ましい。例えば、第2実施形態に係る画像形成装置10では、凹部139Dの直径は、前記トナーの平均粒径より大きい。
【0081】
また、第1実施形態に係る画像形成装置10と同様に、傾斜面131Eに表層部139C(
図8参照)が設けられている。なお、表層部139Cの構成は、第1実施形態に係る画像形成装置10と同様であるため、その説明を省略する。
【0082】
なお、第2実施形態に係る画像形成装置10において、傾斜面131Eに表層部139Cが設けられていなくてもよい。また、凹部139Dは、球面139D1を有していなくてもよい。また、凹部139D及び表層部139Cは、上面131Fに設けられていてもよい。また、凹部139Dの形状、サイズ、及び傾斜面131Eにおける面積比率は、気流F1の風量に応じて適宜選択されるものであってよい。
【0083】
[実施例2]
粒子径5.0マイクロメートルのポリメタクリル酸メチル分散液及びフッ素コーティング溶液が50対50の重量比で混合されて作製されたコーティング液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。そして、当該コーティング加工が施されたガイド部材139を250度で加熱処理することで、ポリメタクリル酸粒子を溶融させた。以上の処理が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139A上に直径5.0マイクロメートルの凹部139Dが均一に並ぶ状態が観察された。当該ガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズに搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良は確認されなかった。
【0084】
[実施例3]
粒子径5.0マイクロメートルのポリメタクリル酸メチル分散液及びフッ素コーティング溶液が25対75の重量比で混合されて作製されたコーティング液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。そして、当該コーティング加工が施されたガイド部材139を250度で加熱処理することで、ポリメタクリル酸粒子を溶融させた。以上の処理が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139A上に直径5.0マイクロメートルの凹部139Dが被覆率20パーセントで均一に並ぶ状態が観察された。当該ガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズに搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良は確認されなかった。
【0085】
[比較例3]
粒子径0.5マイクロメートルのポリメタクリル酸メチル分散液及びフッ素コーティング溶液が50対50の重量比で混合されて作製されたコーティング液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。そして、当該コーティング加工が施されたガイド部材139を250度で加熱処理することで、ポリメタクリル酸粒子を溶融させた。以上の処理が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139A上に直径0.5マイクロメートルの凹部139Dが均一に並ぶ状態が観察された。当該ガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズに搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良が確認された。
【0086】
[比較例4]
粒子径30マイクロメートルのポリメタクリル酸メチル分散液及びフッ素コーティング溶液が50対50の重量比で混合されて作製されたコーティング液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。そして、当該コーティング加工が施されたガイド部材139を250度で加熱処理することで、ポリメタクリル酸粒子を溶融させた。以上の処理が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139A上に直径30マイクロメートルの凹部139Dが均一に並ぶ状態が観察された。当該ガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズに搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良が確認された。
【0087】
[比較例5]
粒子径5.0マイクロメートルのポリメタクリル酸メチル分散液及びフッ素コーティング溶液が10対90の重量比で混合されて作製されたコーティング液を用いて、ガイド部材139の表面139Aに対してコーティング加工を施した。そして、当該コーティング加工が施されたガイド部材139を250度で加熱処理することで、ポリメタクリル酸粒子を溶融させた。以上の処理が施されたガイド部材139の表面139Aを電子顕微鏡で観察した結果、表面139A上に直径5.0マイクロメートルの凹部139Dが被覆率8パーセントで均一に並ぶ状態が観察された。当該ガイド部材139を、京セラドキュメントソリューションズ社製複合機Taskalfa406ciシリーズに搭載し、当該複合機において予め定められた画像を20万枚印刷させて、当該印刷中に出力される印刷物における画像不良の有無を目視で確認する実験を行った。この実験の結果、出力された印刷物に画像不良が確認された。
【0088】
比較例3及び比較例4から、凹部139Dの直径が0.5マイクロメートル(比較例3)である場合、及び30マイクロメートル(比較例4)である場合は、傾斜面131Eに設けられた凹部139Dによる前記トナーの付着の抑制効果が見られないことが判明した。また、実施例2から、凹部139Dの直径が5.0マイクロメートルである場合は、傾斜面131Eに設けられた凹部139Dによる前記トナーの付着の抑制効果が生じることが判明した。
【0089】
また、比較例5から、ガイド部材139の表面139Aにおける凹部139Dの被覆率が8パーセントである場合は、傾斜面131Eに設けられた凹部139Dによる前記トナーの付着の抑制効果が見られないことが判明した。また、実施例3から、ガイド部材139の表面139Aにおける凹部139Dの被覆率が20パーセントである場合は、傾斜面131Eに設けられた凹部139Dによる前記トナーの付着の抑制効果が生じることが判明した。
【0090】
このように、第2実施形態に係る画像形成装置10では、筐体131の内面における現像ローラー136との前記対向部である傾斜面131Eに、現像ローラー136の回転によって生じる気流F1の一部を乱す凹部139Dが設けられている。これにより、第1実施形態に係る画像形成装置10と同様に、傾斜面131Eにおける前記トナーの付着を抑制することが可能である。