(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列挙して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0017】
(1)本発明の一態様に係る電圧検出器は、電圧を検出し、検出した電圧値を示す検出値を出力する電圧検出器であって、検出対象である対象電圧が一端に印加される第1抵抗と、該第1抵抗の他端から電流が入力され、電流値が、該第1抵抗の他端から入力された電流の電流値と一致する電流を出力する出力回路と、該出力回路が出力した電流が一端に入力される第2抵抗とを備え、前記出力回路は、前記第1抵抗の他端の電圧値を所定電圧値に維持し、前記第2抵抗の一端の電圧値を前記検出値として出力する。
【0018】
上記の一態様にあっては、第1抵抗から入力される電流値は、第1抵抗の他端が所定電圧値に維持されているので、((対象電圧の電圧値)−(所定電圧値))/(第1抵抗の抵抗値)によって表される。第2抵抗の一端の電圧値が検出値として出力される。第1抵抗の他端から出力回路に入力される電流の電流値と、出力回路から第2抵抗の一端に入力される電流の電流値は一致する。このため、第2抵抗の他端が接地されている場合、検出値は、((対象電圧の電圧値)−(所定電圧値))・(第2抵抗の抵抗値)/(第1抵抗の抵抗値)で表される。「・」は積を表す。
【0019】
対象電圧の電圧値が所定電圧値未満である場合、対象電圧の電圧値は検出されない。対象電圧の電圧値が所定電圧値である場合、検出値はゼロVである。対象電圧の電圧値が所定電圧値以上である場合においては、対象電圧の電圧値の上昇と共に検出値も上昇する。所定電圧値を、ゼロVを超える電圧値に調整することによって、対象電圧の検出範囲の下限値を、ゼロVを超える電圧値に調整することが可能である。
【0020】
(2)本発明の一態様に係る電圧検出器では、前記出力回路は、エミッタが前記第1抵抗の他端に接続され、コレクタが前記第2抵抗の一端に接続されるPNP型の第1バイポーラトランジスタと、エミッタに該第1バイポーラトランジスタのベースが接続され、ベースに第2の所定電圧が印加されるNPN型の第2バイポーラトランジスタと、該第2バイポーラトランジスタのエミッタに一端が接続される第3抵抗とを有し、前記第2バイポーラトランジスタのベースは、該第2バイポーラトランジスタのコレクタに接続される。
【0021】
上記の一態様にあっては、電流は、第1バイポーラトランジスタのエミッタ及びベース、並びに、第3抵抗の順に流れると共に、第2バイポーラトランジスタのベース及びエミッタ、並びに、第3抵抗の順に流れる。第3抵抗に流れる電流の電流値に無関係に、第1バイポーラトランジスタのベース及びエミッタ間の電圧値から、第2バイポーラトランジスタのエミッタ及びベース間の電圧値を減算することによって算出される差分値が略ゼロVか又は略一定であると仮定する。ここで、第1バイポーラトランジスタのベース及びエミッタ間の電圧値はベースの電位を基準としたエミッタの電圧値であり、第2バイポーラトランジスタのエミッタ及びベース間の電圧値はエミッタの電位を基準としたベースの電圧値である。
【0022】
出力回路では、第1抵抗の他端の電圧値は、第2の所定電圧の電圧値に差分値を加算することによって算出される電圧値である。ここで、差分値が略ゼロVか又は略一定であるので、第1抵抗の他端の電圧値は、実質的に一定値に維持される。第1バイポーラトランジスタでは、第1抵抗の他端からエミッタに入力された電流の略全てが、コレクタから第2抵抗の一端に出力される。このため、第1抵抗の他端から入力される電流の電流値と、第2抵抗の一端に出力される電流の電流値とは実質的に一致する。
【0023】
(3)本発明の一態様に係る電圧検出器では、前記出力回路は、エミッタが前記第1抵抗の他端に接続され、コレクタが前記第2抵抗の一端に接続されるPNP型のバイポーラトランジスタと、カソードに該バイポーラトランジスタのベースが接続され、アノードに第2の所定電圧が印加されるダイオードと、該ダイオードのカソードに一端が接続される第3抵抗とを有する。
【0024】
上記の一態様にあっては、電流は、バイポーラトランジスタのエミッタ及びベース、並びに、第3抵抗の順に流れると共に、ダイオード及び第3抵抗の順に流れる。第3抵抗の流れる電流の電流値に無関係に、バイポーラトランジスタのベース及びエミッタ間の電圧値から、ダイオードの順方向電圧値を減算することによって算出される差分値が略ゼロV又は略一定であると仮定する。ここで、バイポーラトランジスタのベース及びエミッタ間の電圧値は、ベースの電位を基準としたエミッタの電圧値である。
【0025】
出力回路では、第1抵抗の他端の電圧値が、第2の所定電圧の電圧値に差分値を加算することによって算出される電圧値である。ここで、差分値が略ゼロV又は略一定であるため、第1抵抗の他端の電圧値は、実質的に一定値に維持される。バイポーラトランジスタでは、第1抵抗の他端からエミッタに入力される電流の略全てがコレクタから第2抵抗の一端に出力される。このため、第1抵抗の他端から入力される電流の電流値と、第2抵抗の一端に出力される電流の電流値とは実質的に一致する。
【0026】
(4)本発明の一態様に係る電圧検出器は、一端が前記第1抵抗の一端に接続されるスイッチを備え、前記対象電圧は、該スイッチを介して前記第1抵抗の一端に印加され、前記スイッチは、前記第2の所定電圧が印加されている場合にオンであり、前記第2の所定電圧の印加が停止している場合にオフである。
【0027】
上記の一態様にあっては、第2の所定電圧の印加が停止している場合、スイッチはオフであり、第1抵抗及び第2抵抗を電流が流れることはない。このため、第1抵抗及び第2抵抗で消費される電力が抑制される。
【0028】
(5)本発明の一態様に係る信号出力装置では、前述した電圧検出器と、PWM信号を出力する出力部と、該出力部が出力するPWM信号のデューティを、前記電圧検出器が出力した検出値に応じて調整する調整部とを備える。
【0029】
上記の一態様にあっては、PWM(Pulse Width Modulation)信号のデューティは、電圧検出器が出力した検出値に応じて調整される。
【0030】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係る電源システムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
(実施形態1)
図1は、実施形態1における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。電源システム1は、好適に車両に搭載され、発電機10、バッテリ11、給電スイッチ12、負荷13、レギュレータ14、電圧検出器15、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)16及び切替え部17を備える。レギュレータ14は入力端及び出力端を有する。
【0032】
発電機10の一端と、バッテリ11の正極とは、給電スイッチ12の一端に接続されている。給電スイッチ12の他端は、負荷13の一端に接続されている。発電機10の他端、バッテリ11の負極、及び、負荷13の他端は接地されている。給電スイッチ12の一端には、更に、レギュレータ14の入力端と、電圧検出器15とが接続されている。レギュレータ14の出力端は、電圧検出器15と、マイコン16とに接続されている。電圧検出器15は、更に、マイコン16に接続されている。切替え部17もマイコン16に接続されている。
【0033】
発電機10は、車両の図示しないエンジンに連動して交流電力を発生させる。発電機10は、発生した交流電力を直流電力に整流し、整流した直流電力に係る直流の電圧を出力する。エンジンが動作を停止している場合、発電機10も動作を停止している。
【0034】
発電機10が作動している場合、発電機10はバッテリ11に電力を供給する。これにより、バッテリ11が充電される。
発電機10が作動している場合において、給電スイッチ12がオンであるとき、発電機10は、バッテリ11に加えて、負荷13に電力を供給する。
【0035】
発電機10が動作を停止している場合において、給電スイッチ12がオンであるとき、バッテリ11は負荷13に電力を供給する。
給電スイッチ12がオフである場合、負荷13に電力が供給されることはない。
【0036】
マイコン16には、図示しない装置から、負荷13への給電を指示する給電信号と、負荷13への給電の停止を指示する停止信号とが入力される。
マイコン16は、給電信号が入力された場合、切替え部17にPWM信号を出力する。切替え部17は、マイコン16からPWM信号が入力されている間、給電スイッチ12のオン及びオフへの切替えを交互に行う。これにより、発電機10又はバッテリ11から、給電スイッチ12を介して、負荷13に電力が供給され、負荷13は作動する。
【0037】
負荷13は、車両に搭載された電気機器であり、例えば、白熱電球である。
切替え部17は、マイコン16から入力されたPWM信号に従って、給電スイッチ12のオフからオンへの切替え、又は、給電スイッチ12のオンからオフへの切り替えを周期的に行う。
【0038】
負荷13の性能は、負荷13に印加される電圧の電圧値と、給電スイッチ12のオン及びオフへの切替えに係る切替えデューティとに依存する。切替えデューティは、1周期において、給電スイッチ12がオンである期間が占める割合であり、ゼロを超えており、かつ、1未満である値に調整される。
【0039】
負荷13が白熱電球であると仮定する。白熱電球が発する光の強度は、白熱電球に供給される電力の平均値に依存する。一定期間に亘る電力の平均値が大きい程、白熱電球が発する光の強度は大きい。白熱電球に供給される電力の電力値は、白熱電球に印加される電圧の電圧値が高い程、大きい。従って、白熱電球が発する光の強度は、白熱電球に印加される電圧の電圧値が高い程、大きく、切替えデューティが大きい程、大きい。
【0040】
マイコン16は、停止信号が入力された場合、切替え部17へのPWM信号の出力を停止する。切替え部17へのPWM信号の出力が停止した場合、切替え部17は、給電スイッチ12をオフに切替え、PWM信号が入力されるまで、給電スイッチ12のオフを維持する。給電スイッチ12がオフである場合、前述したように、負荷13に電力が供給されず、負荷13は動作を停止している。
【0041】
PWM信号は、ハイレベル電圧及びローレベル電圧によって構成される。PWM信号が示す電圧がローレベル電圧からハイレベル電圧に切替わった場合、切替え部17は給電スイッチ12をオフからオンに切替える。PWM信号が示す電圧がハイレベル電圧からローレベル電圧に切替わった場合、切替え部17は給電スイッチ12をオンからオフに切替える。
【0042】
PWM信号では、ローレベル電圧からハイレベル電圧への切替え、又は、ハイレベル電圧からローレベル電圧への切替えが周期的に行われる。PWM信号に係る信号デューティは、1周期において、PWM信号がハイレベル電圧を示す期間が占める割合であり、ゼロを超えており、かつ、1未満である値に調整される。
【0043】
PWM信号がハイレベル電圧を示す場合、給電スイッチ12はオンであり、PWM信号がローレベル電圧を示す場合、給電スイッチ12はオフである。このため、信号デューティは切替えデューティに一致する。マイコン16は、信号デューティを調整することによって、切替えデューティを調整する。
【0044】
発電機10が作動している場合、レギュレータ14の入力端には、発電機10が出力した電圧が入力される。発電機10が動作を停止している場合、レギュレータ14の入力端には、バッテリ11から電圧が入力される。レギュレータ14は、入力端に入力されている電圧を用いて、電圧値が基準電圧値Vrである所定電圧を生成し、生成した所定電圧を出力端から電圧検出器15及びマイコン16に出力する。基準電圧値Vrは、一定値であり、予め設定されている。
【0045】
所定電圧を、レギュレータ14が出力端から出力している場合、電圧検出器15は電圧を検出し、マイコン16は作動している。レギュレータ14が電圧の出力を停止している場合、電圧検出器15は電圧を検出せず、マイコン16は動作を停止している。
レギュレータ14は、例えば、車両のイグニッションスイッチがオフからオンに切替わった場合に作動し、イグニッションスイッチがオンからオフに切替わった場合に動作を停止する。
【0046】
電圧検出器15に関して、検出対象である対象電圧は、接地電位を基準としたバッテリ11の正極の電圧である。電圧検出器15は、対象電圧を検出し、対象電圧の電圧値を示すアナログの検出値をマイコン16に出力する。マイコン16への検出値の入力可能範囲は、予め設定されており、例えば、ゼロVから基準電圧値Vrまでの範囲である。対象電圧の電圧値は、電圧検出器15が検出した電圧値に相当する。
【0047】
マイコン16は、第1入力部20、第2入力部21、出力部22、A/D変換部23、記憶部24及び制御部25を有する。第2入力部21、出力部22、A/D変換部23、記憶部24及び制御部25はバス26に接続されている。A/D変換部23は、バス26の他に、第1入力部20に接続されている。第1入力部20は、更に、電圧検出器15に接続されている。出力部22は、バス26の他に、切替え部17に接続されている。
【0048】
電圧検出器15から第1入力部20にアナログの検出値が入力される。第1入力部20は、電圧検出器15から入力されたアナログの検出値をA/D変換部23に出力する。
【0049】
A/D変換部23は、第1入力部20から入力されたアナログの検出値をデジタルの検出値に変換する。入力可能範囲内において、N(2以上の整数)個のデジタルの電圧値が等間隔に設定されている。例えば、入力可能範囲がゼロVから基準電圧値Vrまでの範囲である場合、1目盛の幅はVr/(N−1)である。デジタルの検出値がK(K:自然数)ビットのデータで表される場合、例えば、Nは2のK乗である。
【0050】
A/D変換部23は、第1入力部20から入力されたアナログの検出値に基づいて、N個のデジタルの電圧値中の1つをデジタルの検出値として選択する。一例として、A/D変換部23は、四捨五入を行うことによって、N個のデジタルの電圧値の中から、第1入力部20から入力されたアナログの検出値に最も近いデジタルの電圧値を、デジタルの検出値として選択する。もう1つの例として、A/D変換部23は、切り捨てを行うことによって、N個のデジタルの電圧値の中から、第1入力部20から入力されたアナログの検出値に、1番目又は2番目に近いデジタルの電圧値を、デジタルの検出値として選択する。
【0051】
制御部25は、A/D変換部23から、A/D変換部23が変換したデジタルの検出値を取得する。制御部25が取得した検出値が示す電圧値は、取得時点における対象電圧の電圧値と略一致する。
【0052】
第2入力部21には、図示しない装置から給電信号及び停止信号が入力される。第2入力部21は、給電信号又は停止信号が入力された場合、入力された信号を制御部25に通知する。
【0053】
出力部22は、制御部25の指示に従って、切替え部17へのPWM信号の出力と、切替え部17へのPWM信号の出力の停止とを行う。出力部22には、デューティを示すデューティ情報が記憶されている。出力部22が切替え部17に出力するPWM信号の信号デューティは、デューティ情報が示すデューティである。制御部25は、デューティ情報が示すデューティを変更することによって、PWM信号の信号デューティを調整する。
【0054】
出力部22がPWM信号を出力している間に、デューティ情報が示すデューティが制御部25によって変更された場合、出力部22はPWM信号の信号デューティを調整する。
【0055】
記憶部24は、例えば不揮発性メモリである。記憶部24には、コンピュータプログラムP1が記憶されている。制御部25は、CPU(Central Processing Unit)を有し、制御部25のCPUは、コンピュータプログラムP1を実行することによって、給電開始処理、給電停止処理及デューティ調整処理を実行する。給電開始処理は、出力部22にPWM信号を切替え部17に出力させ、負荷13への給電を開始する処理である。給電停止処理は、出力部22にPWM信号の出力を停止させ、負荷13への給電を停止する処理である。デューティ調整処理は、PWM信号の信号デューティを調整する処理である。コンピュータプログラムP1は、給電開始処理、給電停止処理及びデューティ調整処理を制御部25のCPUに実行させるために用いられる。
【0056】
なお、コンピュータプログラムP1は、制御部25のCPUが読み取り可能に、記憶媒体A1に記憶されていてもよい。この場合、図示しない読み出し装置によって記憶媒体A1から読み出されたコンピュータプログラムP1が記憶部24に記憶される。記憶媒体A1は、光ディスク、フレキシブルディスク、磁気ディスク、磁気光ディスク又は半導体メモリ等である。光ディスクは、CD(Compact Disc)−ROM(Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)−ROM、又は、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)等である。磁気ディスクは、例えばハードディスクである。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部装置からコンピュータプログラムP1をダウンロードし、ダウンロードしたコンピュータプログラムP1を記憶部24に記憶してもよい。
【0057】
制御部25は、第2入力部21に給電信号が入力された場合、給電開始処理を実行する。給電開始処理では、制御部25は、出力部22に指示して、PWM信号を切替え部17に出力させる。これにより、切替え部17は、給電スイッチ12のオン及びオフへの切り替えを交互に行う。結果、発電機10又はバッテリ11から負荷13に給電され、負荷13は作動する。制御部25は、出力部22にPWM信号を出力させた後、給電開始処理を終了する。
【0058】
制御部25は、第2入力部21に停止信号が入力された場合、給電停止処理を実行する。給電停止処理では、制御部25は、出力部22に指示して、PWM信号の出力を停止させる。これにより、切替え部17は、給電スイッチ12をオフに維持する。結果、負荷13への給電が停止し、負荷13は動作を停止する。制御部25は、出力部22にPWM信号の出力を停止させた後、給電停止処理を終了する。
【0059】
図2は、デューティ調整処理の手順を示すフローチャートである。制御部25は、給電開始処理が終了してから、給電停止処理が開始されるまでの間、デューティ調整処理を周期的に実行する。
デューティ調整処理では、制御部25は、まず、A/D変換部23からデジタルの検出値を取得し(ステップS1)、取得したデジタルの検出値に基づいて対象電圧の電圧値を算出する(ステップS2)。
【0060】
次に、制御部25は、ステップS2で算出した電圧値が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。閾値は、一定値であり、予め設定されている。制御部25は、ステップS2で算出した電圧値が閾値以上であると判定した場合(S3:YES)、出力部22に指示して、PWM信号の出力を停止させる(ステップS4)。これにより、切替え部17は、給電スイッチ12をオフに維持するので、負荷13への対象電圧の印加が停止する。
【0061】
以上のように、対象電圧の電圧値が閾値以上である場合、負荷13への対象電圧の印加が停止するので、負荷13に過電圧が印加されることはない。例えば、閾値を18Vに設定することによって、電圧値が20V以上である過電圧の印加が防止される。
【0062】
制御部25は、ステップS4を実行した後、デューティ調整処理を終了する。この後、制御部25は、所定の条件が成立するまで、デューティ調整処理を実行することはない。所定の条件は、例えば、第2入力部21に停止信号及び給電信号が順次に入力され、再開された給電開始処理が終了することである。
【0063】
制御部25は、ステップS2で算出した電圧値が閾値未満であると判定した場合(S3:NO)、ステップS2で算出した電圧値に基づいて、デューティを決定する(ステップS5)。その後、制御部25は、デューティ情報のデューティをステップS5で決定したデューティに変更する(ステップS6)。これにより、PWM信号の信号デューティと、給電スイッチ12のオン及びオフへの切替えに係る切替えデューティとが、ステップS5で制御部25が決定したデューティに調整される。
【0064】
制御部25は、ステップS6を実行した後、デューティ調整処理を終了する。この場合においては、給電
停止処理が開始されない限り、デューティ調整処理は再び実行される。
【0065】
対象電圧の電圧値は種々の原因で変動する。ステップS5では、制御部25は、例えば、予め設定されている設定電圧値をステップS2で算出した電圧値で除算し、除算した値の2乗値を算出する。制御部25は、デューティをこの2乗値に決定する。設定電圧値は、対象電圧の電圧値の変動範囲の下限値以下である。このようにデューティが決定される場合においては、たとえ、対象電圧の電圧値が変動したときであっても、負荷13に供給される電力の平均値は略一定に維持される。
【0066】
前述したように、ステップS2では、制御部25は、A/D変換部23から取得したデジタルの検出値に基づいて電圧値を算出する。デジタルの検出値は、電圧検出器15が出力したアナログの検出値に応じた値である。従って、制御部25は、出力部22が出力するPWM信号の信号デューティを、電圧検出器15が出力したアナログの検出値に応じて調整する調整部として機能する。
電圧検出器15及びマイコン16は信号出力装置として機能する。
【0067】
前述したように、白熱電球が発する光の強度は、白熱電球に供給される電力の平均値に依存する。このため、負荷13が白熱電球である場合、白熱電球が発する光の強度は、たとえ、対象電圧の電圧値が変動しても略一定であり、白熱電球が殆どちらつかない。
【0068】
ステップS1で取得したデジタルの検出値が示す対象電圧の電圧値、即ち、ステップS2で算出される電圧値が実際の対象電圧の電圧値に近い程、負荷13に供給される電力の平均値の変動幅は小さい。この場合において、負荷13が白熱電球であるとき、白熱電球が発する光の強度の変動も小さい。従って、A/D変換部23から取得されるデジタルの検出値が示す対象電圧の電圧値と実際の対象電圧の電圧値との誤差が小さいことが好ましい。
【0069】
前述したように、第1入力部20への検出値の入力可能範囲内において、N個のデジタルの電圧値が等間隔に設定されている。この1目盛の幅を、対象電圧の検出に係る電圧値の幅に換算することによって算出される値が、電圧検出に係る分解能である。分解能が小さい程、A/D変換部23から取得されるデジタルの検出値が示す対象電圧の電圧値と実際の対象電圧の電圧値との誤差の最大値が小さい。
【0070】
電源システム1では、電圧検出器15が特有の構成を有するため、小さい分解能を実現することができる。以下では、電圧検出器15について説明する。
【0071】
図3は電圧検出器15の回路図である。電圧検出器15は、抑制回路30、出力回路31及び抵抗R1,R2を有する。抑制回路30は、第1スイッチ40、第2スイッチ41及び抵抗R3,R4,R5を有する。出力回路31は、第1トランジスタ50、第2トランジスタ51及び抵抗R6を有する。第1スイッチ40及び第1トランジスタ50夫々は、PNP型のバイポーラトランジスタである。第2スイッチ41及び第2トランジスタ51夫々は、NPN型のバイポーラトランジスタである。
【0072】
抑制回路30に関しては、第1スイッチ40のエミッタと、抵抗R3の一端とはバッテリ11の正極に接続されている。第1スイッチ40のコレクタは抵抗R1の一端に接続されている。第1スイッチ40のベースは、抵抗R3の他端と、抵抗R4の一端とに接続されている。抵抗R4の他端は、第2スイッチ41のコレクタに接続されている。第2スイッチ41のエミッタは接地されている。第2スイッチ41のベースは抵抗R5の一端に接続されている。抵抗R5の他端はレギュレータ14の出力端に接続されている。
【0073】
出力回路31に関しては、第1トランジスタ50のエミッタは抵抗R1の他端に接続されている。第1トランジスタ50のコレクタは抵抗R2の一端に接続されている。第1トランジスタ50のベースは、第2トランジスタ51のエミッタに接続されている。第2トランジスタ51のベースは、レギュレータ14の出力端と、第2トランジスタ51のコレクタに接続されている。第2トランジスタ51のエミッタには、抵抗R6の一端が更に接続されている。抵抗R6の他端は接地されている。抵抗R6は第3抵抗として機能する。
抵抗R2の他端は接地されている。抵抗R2の一端は、マイコン16の第2入力部21に接続されている。
【0074】
抑制回路30の動作を説明する。第1スイッチ40について、エミッタの電位を基準としたベースの電圧値が負の一定電圧値以下である場合、エミッタ及びコレクタ間を電流が流れることが可能である。このとき、第1スイッチ40はオンである。第1スイッチ40について、エミッタの電位を基準としたベースの電圧値が負の一定電圧値を超えている場合、エミッタ及びコレクタ間を電流が流れることはない。このとき、第1スイッチ40はオフである。
【0075】
第2スイッチ41について、エミッタの電位、即ち、接地電位を基準としたベースの電圧値が正の一定電圧値以上である場合、エミッタ及びコレクタ間を電流が流れることが可能である。このとき、第2スイッチ41はオンである。第2スイッチ41について、エミッタの電位を基準としたベースの電圧値が正の一定電圧値未満である場合、エミッタ及びコレクタ間を電流が流れることはない。このとき、第2スイッチ41はオフである。
【0076】
レギュレータ14が作動した場合、レギュレータ14の出力端の電圧値は基準電圧値Vrに調整され、
第2スイッチ41のベース及び
エミッタには、電圧値が基準電圧値Vrである所定電圧が印加される。第2スイッチ41に係る正の一定電圧値は、基準電圧値Vrよりも低い。このため、レギュレータ14が作動している場合、第2スイッチ41において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧値が正の一定電圧値以上であるため、第2スイッチ41はオンである。
【0077】
第2スイッチ41がオンである場合、電流は、発電機10の一端、又は、バッテリ11の正極から抵抗R3,R4及び第2スイッチ41の順に流れ、抵抗R3で電圧降下が生じる。このとき、第1スイッチ40においては、エミッタの電位を基準としたベースの電圧値が負の一定電圧値以下であり、第1スイッチ40はオンである。
以上のように、レギュレータ14の出力端から、電圧値が基準電圧値Vrである所定電圧が、第2トランジスタ51のベース及びコレクタに印加されている場合、第1スイッチ40はオンである。
【0078】
第1スイッチ40がオンである場合、電流は、発電機10の一端、又は、バッテリ11の正極から第1スイッチ40、抵抗R1、出力回路31の第1トランジスタ50及び抵抗R2の順に流れ、抵抗R1の一端には、第1スイッチ40を介して対象電圧が印加される。このとき、接地電位を基準とした抵抗R2の一端の電圧値は、対象電圧の電圧値に応じた電圧値であり、アナログの検出値として、マイコン16の第1入力部20に出力される。抵抗R1は第1抵抗として機能し、抵抗R2は第2抵抗として機能する。
【0079】
レギュレータ14が動作を停止した場合、第2スイッチ41において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧値は、ゼロVであり、正の一定電圧値未満であり、第2スイッチ41はオフである。第2スイッチ41がオフである場合、抵抗R3,R4に電流は流れないので、抵抗R3で電圧降下は生じることはない。結果、第2スイッチ41がオフである場合、第1スイッチ40において、エミッタの電位を基準としたベースの電圧値は、ゼロVであるので、負の一定電圧値以上であり、第1スイッチ40はオフである。
以上のように、レギュレータ14の出力端からの所定電圧の印加が停止している場合、第1スイッチ40はオフである。
【0080】
第1スイッチ40がオフである場合、抵抗R1、出力回路31の第1トランジスタ50及び抵抗R2に電流が流れることはないので、対象電圧の電圧値に無関係に抵抗R2の一端はゼロVであり、電圧検出器15で対象電圧が検出されることはない。
【0081】
負荷13は、レギュレータ14が動作を停止している場合において作動させる必要がない電気機器である。従って、レギュレータ14が動作を停止している場合、電圧検出器15は電圧を検出する必要はない。電圧検出器15では、レギュレータ14が動作を停止している場合、即ち、レギュレータ14の出力端からの所定電圧の印加が停止している場合、抑制回路30の第1スイッチ40はオフであり、電流が抵抗R1,R2を流れることはない。このため、抵抗R1,R2で消費される電力が抑制される。
【0082】
次に、出力回路31の動作を説明する。抑制回路30の第1スイッチ40がオンである場合、抵抗R1の他端から第1トランジスタ50のエミッタに電流が入力される。第1トランジスタ50において、抵抗R1の他端からエミッタに入力された電流の略全てがコレクタから出力される。従って、抵抗R1の他端から第1トランジスタ50のエミッタに入力される電流の電流値と、第1トランジスタ50のコレクタから出力される電流の電流値とは実質的に一致する。第1トランジスタ50のコレクタから出力された電流は抵抗R2の一端に入力される。
抵抗R1の他端から
エミッタに入力された電流のごく一部がベースから抵抗R6に出力される。
【0083】
レギュレータ14の出力端から第2トランジスタ51のコレクタ及びベースに電流が入力される。第2トランジスタ51においては、コレクタ及びベースに入力された電流が抵抗R6に出力される。
【0084】
以下では、第1トランジスタ50のベースの電位を基準とした第1トランジスタ50のエミッタの電圧値をエミッタ電圧値Ve1と記載し、第2トランジスタ51のエミッタの電位を基準とした第2トランジスタ51のベースの電圧値をベース電圧値Vb2と記載する。更に、抵抗R6を流れる電流の電流値を抵抗電流値Irと記載する。
【0085】
第1スイッチ40がオンであると仮定する。電流が第1スイッチ40を流れた場合に第1スイッチ40で生じる電圧降下の幅は非常に小さい。このため、以下では、電流が第1スイッチ40を流れた場合に第1スイッチ40で生じる電圧降下の幅をゼロVとみなす。
【0086】
接地電位を基準とした抵抗R1の他端の電圧値は、(Vr−Vb2+Ve1)によって表される。従って、対象電圧の電圧値をVaで表し、かつ、抵抗R1の抵抗値をr1で表した場合、抵抗R1から第1トランジスタ50のエミッタに入力される電流の電流値は、(Va−(Vr−Vb2+Ve1))/r1によって表される。前述したように、第1トランジスタ50において、抵抗R1の他端から入力された電流の略全てがコレクタから抵抗R2の一端に出力される。従って、抵抗R2の抵抗値をr2と表した場合、抵抗R2の両端間の電圧値は、(Va−(Vr−Vb2+Ve1))・r2/r1によって表される。(Va−(Vr−Vb2+Ve1))が負である場合、抵抗R2の両端間の電圧値はゼロVであり、対象電圧の電圧値は検出されない。
【0087】
図4は、第1トランジスタ50及び第2トランジスタ51の特性の説明図である。
図4では、抵抗電流値Irとエミッタ電圧値Ve1との関係が太線で示されている。また、抵抗電流値Irとベース電圧値Vb2との関係が細線で示されている。
図4には、第1スイッチ40がオンである状態で対象電圧の電圧値が変動した場合における抵抗電流値Irの変動範囲である設計範囲も示されている。例えば、電源システム1の設計において、対象電圧の電圧値の変動範囲が5Vから25Vまでの範囲内である場合、設計範囲は、対象電圧の電圧値がこの範囲で変動したときの抵抗電流値Irの変動範囲である。
【0088】
図4に示すように、抵抗電流値Irが設計範囲内の値である場合、エミッタ電圧値Ve1はベース電圧値Vb2と略一致している。従って、抵抗電流値Irが設計範囲内にある場合においては、(Ve1−Vb2)は略ゼロVであるため、第1トランジスタ50は、接地電位を基準とした抵抗R1の他端の電圧値を実質的に基準電圧値Vrに維持する。
以上のように、出力回路31の第1トランジスタ50は、抵抗R1の他端の電圧値を実質的に基準電圧値Vrに維持しつつ、電流値が抵抗R1から入力された電流の電流値と実質的に一致する電流を抵抗R2に出力する。
【0089】
抵抗電流値Irが設計範囲内の値である場合、抵抗R2の両端間の電圧値、即ち、抵抗R2の一端からマイコン16の第1入力部20に出力されるアナログの検出値は、((Va−Vr)・r2/r1)で表される。アナログの検出値の変動範囲は入力可能範囲に含まれる必要がある。アナログの検出値の変動範囲が入力可能範囲に含まれるように、抵抗値r1,r2を設定する。
【0090】
対象電圧の電圧値の変動範囲が5Vから25Vまでの範囲であり、基準電圧値Vrが5Vであり、入力可能範囲がゼロVから5Vまでの範囲であると仮定する。この場合、(Va−Vr)は、ゼロVから20Vまでの範囲で変動する。r2/r1が1/4である場合、アナログの検出値の変動範囲は、ゼロVから5Vまでの範囲であり、入力可能範囲に含まれる。
なお、デューティ調整処理のステップS2においては、制御部25は、ステップS1で取得したデジタルの検出値Vsを((Vs・r1/r2)+Vr)に代入することによって、対象電圧の電圧値Vaを算出する。
【0091】
図5は電圧検出器15の効果の説明図である。
図5には、電圧検出器15に関して、アナログの検出値(Va−Vr)・r2/r1と、対象電圧の電圧値Vaとの関係が太線で示されている。設定条件は、対象電圧の電圧値の変動範囲が5Vから25Vまでの範囲であり、基準電圧値Vrが5Vであり、入力可能範囲がゼロVから5Vまでの範囲であり、r2/r1は1/4である。電圧検出器15の効果を容易に理解することができるように、デジタルの電圧値の数であるNは、2の3乗、即ち、8であると仮定する。
【0092】
前述したように、アナログの検出値は、入力可能範囲で等間隔に配置されたN(=8)個のデジタルの電圧値中の1つに変換される。N個のデジタルの電圧値に係る1目盛を、対象電圧の検出に係る電圧値の幅に換算することによって、電圧検出器15に係る分解能が算出される。電圧検出器15の分解能は、対象電圧の電圧値に係る変動範囲の幅を(N−1)で除算することによって算出され、
図5の例では、2.86Vである。
【0093】
電圧を検出する従来の構成として、対象電圧を分圧する分圧構成が考えられる。分圧構成では、2つの抵抗が設けられており、一方の抵抗の一端がバッテリ11の正極に接続され、一方の抵抗の他端が他方の抵抗の一端に接続され、他方の抵抗の他端は接地されている。2つの抵抗は、対象電圧を分圧し、分圧した電圧の電圧値を、アナログの検出値として、一方の抵抗の他端からマイコン16の第1入力部20に出力する。
【0094】
一方の抵抗の抵抗値をraで表し、他方の抵抗の抵抗値をrbで表した場合、アナログの検出値は、Va・rb/(ra+rb)で表される。分圧構成では、アナログの検出値の変動範囲が入力可能範囲に含まれるように、抵抗値ra,rbを設定する。具体的には、対象電圧の電圧値Vaは、ゼロVから25Vまでの範囲で変動する。このため、rb/(ra+rb)が1/5である場合、アナログの検出値の変動範囲は、ゼロVから5Vまでの範囲であり、入力可能範囲に含まれる。
【0095】
図5には、分圧構成に関して、アナログの検出値Va・rb/(ra+rb)と、対象電圧の電圧値Vaとの関係が
細線で示されている。分圧構成の分解能は、対象電圧の電圧値に係る変動範囲の上限値を(N−1)で除算することによって算出され、
図5の例では、3.57Vである。
【0096】
前述したように、A/D変換部23は、アナログの検出値に基づいて、N個のデジタルの電圧値中の1つをデジタルの検出値として選択する。このため、分解能が小さい程、アナログの検出値とデジタルの検出値との誤差は小さく、デジタルの検出値が示す対象電圧の電圧値と実際の対象電圧の電圧値との誤差は小さい。
【0097】
図5に示すように、電圧検出器15では、基準電圧値Vrを、ゼロVを超える電圧値に調整することによって、対象電圧の検出範囲の下限値を、ゼロVを超える電圧値に調整することができる。分圧構成の検出範囲の下限値は、必ずゼロVである。結果、電圧検出器15に係るグラフの傾きは、分解能に係るグラフの傾きよりも小さく、電圧検出器15の分解能は小さい。
【0098】
なお、抵抗電流値Irが設計範囲内の値である場合において、エミッタ電圧値Ve1とベース電圧値Vb2は略一致していなくてもよい。例えば、抵抗電流値Irが設計範囲内の値である場合において、エミッタ電圧値Ve1からベース電圧値Vb2を減算することによって算出される差分電圧値Vdが略一定であってもよい。この第1トランジスタ50は、抵抗R1の他端の電圧値を(Vr+Vd)に維持する。(Vr+Vd)は略一定である。この場合であっても、電圧検出器15に係る分解能は小さい。アナログの検出値は((Va−Vr−Vd)・r2/r1)で表される。デューティ調整処理のステップS2においては、制御部25は、ステップS1で取得したデジタルの検出値Vsを((Vs・r1/r2)+Vr+Vd)に代入することによって、対象電圧の電圧値を算出する。
【0099】
また、抑制回路30に関して、第1スイッチ40は、PNP型のバイポーラトランジスタに限定されず、例えば、Pチャネル型のFET(Field Effect Transistor)であってもよい。更に、第2スイッチ41は、NPN型のバイポーラトランジスタに限定されず、例えば、Nチャネル型のFETであってもよい。バイポーラトランジスタのコレクタ、エミッタ及びベース夫々は、FETのドレイン、ソース及びゲートに対応する。
【0100】
(実施形態2)
図6は、実施形態2における電圧検出器15の回路図である。
以下では、実施形態2について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通しているため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0101】
実施形態2における電源システム1を実施形態1における電源システム1と比較した場合、電圧検出器15の構成が異なる。実施形態2における電圧検出器15を実施形態1における電圧検出器15と比較した場合、出力回路31の構成が異なる。
【0102】
実施形態2における出力回路31は、実施形態1と同様に、第1トランジスタ50及び抵抗R6を有する。実施形態2における出力回路31はダイオードD1を更に有する。
【0103】
第1トランジスタ50のエミッタは抵抗R1の他端に接続されている。第1トランジスタ50のコレクタは抵抗R2の一端に接続されている。ダイオードD1のカソードに第1トランジスタ50のベースが接続されている。レギュレータ14の出力端から、ダイオードD1のアノードに、電圧値が基準電圧値Vrである所定電圧が印加されている。ダイオードD1のカソードに抵抗R6の一端が接続されている。抵抗R6の他端は接地されている。
【0104】
抑制回路30では、実施形態1と同様に、レギュレータ14の出力端から所定電圧が印加されている場合、第1スイッチ40はオンであり、レギュレータ14の出力端からの所定電圧の印加が停止している場合、第1スイッチ40はオフである。
【0105】
出力回路31では、抑制回路30の第1スイッチ40がオンである場合、抵抗R1の他端から第1トランジスタ50のエミッタに電流が入力される。第1トランジスタ50において、抵抗R1の他端からエミッタに入力された電流の略全てがコレクタから出力される。従って、抵抗R1の他端から第1トランジスタ50のエミッタに入力される電流の電流値と、第1トランジスタ50のコレクタから出力される電流の電流値とは実質的に一致する。第1トランジスタ50のコレクタから出力された電流は抵抗R2の一端に入力される。
抵抗R1の他端から
エミッタに入力された電流のごく一部がベースから抵抗R6に出力される。
【0106】
また、
電流がレギュレータ14の出力端からダイオードD1のアノードに入力される。ダイオードD1のアノードに入力された電流は、ダイオードD1のカソードから抵抗R6に出力される。
【0107】
以下では、電流がダイオードD1を流れた場合におけるダイオードD1の順方向電圧値、即ち、ダイオードD1において、カソードの電位を基準としたアノードの電圧値をダイオード電圧値Vfと記載する。実施形態1と同様に、電流が第1スイッチ40を流れた場合に第1スイッチ40で生じる電圧降下の幅をゼロVとみなす。抵抗R1から第1トランジスタ50のエミッタに入力される電流の電流値は、(Va−(Vr−Vf+Ve1))/r1によって表される。前述したように、第1トランジスタ50において、抵抗R1の他端から入力された電流の略全てがコレクタから抵抗R2の一端に出力される。従って、抵抗R2の両端間の電圧値は、(Va−(Vr−Vf+Ve1))・r2/r1によって表される。(Va−(Vr−Vf+Ve1))が負である場合、抵抗R2の両端間の電圧値はゼロVであり、対象電圧の電圧値は検出されない。
【0108】
エミッタ電圧値Ve1とダイオード電圧値Vfとの関係は、実施形態1で述べたエミッタ電圧値Ve1とベース電圧値Vb2との関係と同様である。従って、抵抗電流値Irが設計範囲内の値である場合、エミッタ電圧値Ve1がダイオード電圧値Vfと略一致しているか、又は、エミッタ電圧値Ve1からダイオード電圧値Vfを減算することによって算出される差分電圧値Vtが略一定である。
【0109】
以上のように構成された実施形態2における電源システム1及び電圧検出器15も実施形態1と同様の効果を奏する。
エミッタ電圧値Ve1がダイオード電圧値Vfと略一致している場合、抵抗R6の一端から出力されるアナログの検出値は、実施形態1と同様に、(Va−Vr)・r2/r1で表され、抵抗R1の他端の電圧値は、実質的に基準電圧値Vrに維持される。
【0110】
差分電圧値Vtが略一定である場合、抵抗R6の一端から出力されるアナログの検出値は、(Va−Vr−Vt)・r2/r1で表され、抵抗R1の他端の電圧値は(Vr+Vt)に維持される。(Vr+Vt)は略一定である。
【0111】
(実施形態3)
図7は、実施形態3における電源システム1の要部構成を示すブロック図である。
以下では、実施形態3について、実施形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施形態1と共通しているため、実施形態1と共通する構成部には実施形態1と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0112】
実施形態3における電源システム1は、実施形態1における電源システム1が備える構成部に加えて、レギュレータ60を更に有する。レギュレータ60は、レギュレータ14と同様に入力端及び出力端を有する。レギュレータ14,60の入力端は、給電スイッチ12の一端に接続されている。レギュレータ14の出力端は、電圧検出器15において、抵抗R5の他端と、第2トランジスタ51のベース及びコレクタとに接続されている。レギュレータ60の出力端はマイコン16に接続されている。
【0113】
レギュレータ60は、入力端に入力されている電圧を用いて、電圧値が第2の基準電圧値である電圧を生成し、生成した電圧を出力端からマイコン16に出力する。第2の基準電圧値は、一定であり、予め設定されている。
電圧値が第2の基準電圧値である電圧を、レギュレータ60が出力端から出力している場合、マイコン16は作動している。レギュレータ60が電圧の出力を停止している場合、マイコン16は動作を停止している。レギュレータ60は、レギュレータ14と同様に、例えば、車両のイグニッションスイッチがオフからオンに切替わった場合に作動し、イグニッションスイッチがオンからオフに切替わった場合に動作を停止する。
【0114】
以上のように構成された実施形態3における電源システム1では、マイコン16に出力する電圧の電圧値と、電圧検出器15に出力する電圧の電圧値とを各別に調整することができる。例えば、基準電圧値Vrを10Vに設定し、第2の基準電圧値を5Vに設定することができる。
実施形態3における電源システム1及び電圧検出器15夫々は、実施形態1における電源システム1及び電圧検出器15が奏する効果も同様に奏する。
【0115】
なお、実施形態3において、電圧検出器15は実施形態2と同様に構成されてもよい。この場合、レギュレータ14の出力端は、電圧検出器15において、抵抗R5の他端とダイオードD1のアノードとに接続される。電圧検出器15が実施形態2と同様に構成された場合であっても、電源システム1及び電圧検出器15夫々は、実施形態3で述べた効果を同様に奏する。
【0116】
開示された実施形態1〜3はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。