(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリプロピレン層は、ランダムポリプロピレンにより構成された層と、ブロックポリプロピレンにより構成された層と、ランダムポリプロピレンにより構成された層とがこの順に積層された積層構成を有している、請求項1、7〜10のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルム。
少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子と、当該電池素子を封止する包装材料と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記包装材料の外側に突出した金属端子とを備える電池であって、
前記金属端子と前記包装材料との間に、請求項1〜14のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルムが介在される、電池。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の金属端子用接着性フィルムは、電池素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記電池素子を封止する包装材料との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、金属端子用接着性フィルムは、少なくとも1層のポリオレフィン骨格を有する樹脂層を備えており、金属端子用接着性フィルムを示差走査熱量計で測定した場合に、120℃以上156℃以下の範囲に融解ピークが観察されることを特徴とする。以下、本発明の金属端子用接着性フィルム及びこれを用いた本発明の電池について詳述する。
【0014】
なお、本明細書において、「〜」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2〜15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
【0015】
1.金属端子用接着性フィルム
本発明の金属端子用接着性フィルムは、電池素子の電極に電気的に接続された金属端子と、電池素子を封止する包装材料との間に介在されるものである。具体的には、例えば
図1〜3に示されるように、本発明の金属端子用接着性フィルム1は、電池素子4の電極に電気的に接続されている金属端子2と、電池素子4を封止する包装材料3との間に介在されている。また、金属端子2は、包装材料3の外側に突出しており、ヒートシールされた包装材料3の周縁部3aにおいて、金属端子用接着性フィルム1を介して、包装材料3に挟持されている。なお、本発明において、包装材料をヒートシールする際の熱としては、通常160〜220℃程度の範囲、圧力としては、通常0.5〜2.0MPa程度の範囲である。
【0016】
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と包装材料3との密着性を高めるために設けられている。金属端子2と包装材料3との密着性が高められることにより、電池素子4の密封性が向上する。前述のとおり、電池素子4を密封する際には、電池素子4の電極に電気的に接続された金属端子2が包装材料3の外側に突出するようにして、電池素子がヒートシールにより封止される。このとき、金属により形成された金属端子2と、包装材料3の最内層に位置する熱融着性樹脂層34(ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂により形成された層)とは異種材料により形成されているため、接着性フィルムを用いない場合には、金属端子2と熱融着性樹脂層34との界面において、電池素子の密封性が低くなりやすい。また、接着性フィルムを用いた場合にも、接着性フィルムの耐電解液性が低いと、電池素子の密封性が低くなりやすい。
【0017】
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、少なくとも1層のポリオレフィン骨格を有する樹脂層10を備えている。ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10は、単層であってもよいし、複数層であってもよい。
【0018】
また、図示を省略するが、後述の通り、本発明の金属端子用接着性フィルム1は、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10に加えて、さらに、不織布などの支持部材を有していてもよい。支持部材は、金属端子用接着性フィルム1の支持体として機能する層である。
【0019】
電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点から、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10は、例えば
図4,5に示されるように、ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12の少なくとも1層を備えていることが好ましく、ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12の双方を備えていることがより好ましい。
図4には、本発明の金属端子用接着性フィルム1が、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10によって形成されており、かつ、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10が、ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12の積層体である場合の模式図を示している。また、
図5には、本発明の金属端子用接着性フィルム1が、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10によって形成されており、かつ、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10が、酸変性ポリプロピレン層12、ポリプロピレン層11、及び酸変性ポリプロピレン層12がこの順に積層された積層体である場合の模式図を示している。
【0020】
なお、後述の通り、ポリプロピレン層11には、同一または異なるポリプロピレンにより構成された層が連続して複数積層されており、当該複数層がポリプロピレン層11を構成していてもよい。同様に、酸変性ポリプロピレン層12には、同一または異なる酸変性ポリプロピレンにより構成された層が連続して複数積層されており、当該複数層が酸変性ポリプロピレン層12を構成していてもよい。
【0021】
酸変性ポリプロピレンにより構成されている酸変性ポリプロピレン層12は、ポリプロピレンにより構成されているポリプロピレン層11と比較すると、金属材料に対する密着性に優れている。このため、酸変性ポリプロピレン層12が金属端子2側に位置するようにして、本発明の金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と包装材料3との間に配置することにより、電池素子の密封性を効果的に高めることができる。従って、本発明の金属端子用接着性フィルム1においては、酸変性ポリプロピレン層12が、金属端子用接着性フィルムの少なくとも片面側の表層を構成していることが好ましく、両面側の表層を構成していることがより好ましい。
【0022】
ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10が、ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12を含んでいる場合、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点から、酸変性ポリプロピレン層12の合計厚さを1とした場合の、ポリプロピレン層11の合計厚さとしては、好ましくは0.75〜3.2程度の範囲内、より好ましくは0.8〜2.0程度の範囲内が挙げられる。
【0023】
本発明の金属端子用接着性フィルム1の好ましい積層構成の具体例としては、酸変性ポリプロピレン層12/ポリプロピレン層11の2層構成;酸変性ポリプロピレン層12/ポリプロピレン層11/酸変性ポリプロピレン層12がこの順に積層された3層構成;酸変性ポリプロピレン層12/ポリプロピレン層11/酸変性ポリプロピレン層12/ポリプロピレン層11/酸変性ポリプロピレン層12がこの順に積層された5層構成;酸変性ポリプロピレン層12/支持部材(不織布など)/酸変性ポリプロピレン層12がこの順に積層された3層構成などが挙げられ、これらの中でも、酸変性ポリプロピレン層12/ポリプロピレン層11の2層構成;酸変性ポリプロピレン層12/ポリプロピレン層11/酸変性ポリプロピレン層12がこの順に積層された3層構成がより好ましい。
【0024】
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、全ての層がポリオレフィンにより構成されている(すなわち、全ての層がポリオレフィン骨格を有する樹脂層10により構成されている)ことが好ましい。本発明の金属端子用接着性フィルム1は、酸変性ポリプロピレン層12及びポリプロピレン層11の少なくとも一方のみによって構成されている態様も好ましく、ポリオレフィンによって構成された他のポリオレフィン層をさらに備えている態様も好ましい。ポリオレフィン層を構成するポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレン、酸変性ポリエチレンなどが挙げられる。酸変性ポリエチレンにおいて、エチレンを酸変性する成分としては、特に制限されないが、例えば、後述の酸変性ポリプロピレン層12で例示した酸変性に使用される不飽和カルボン酸またはその無水物などが挙げられる。
【0025】
本発明の金属端子用接着性フィルム1の厚みとしては、特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、好ましくは40〜200μm程度、より好ましくは55〜180μm程度、さらに好ましくは60〜150μm程度が挙げられる。
【0026】
本発明の金属端子用接着性フィルム1を示差走査熱量計で測定した場合に、120〜156℃の範囲に融解ピークが観察される。電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点から、当該融解ピークは、下限については、好ましくは約130℃以上、より好ましくは約135℃以上が挙げられ、上限については、好ましくは約150℃以下、より好ましくは148℃以下が挙げられ、好ましい範囲としては、120〜150℃程度、120〜148℃程度、130〜156℃程度、130〜150℃程度、130〜148℃程度、135〜156℃程度、135〜150℃程度、135〜148℃程度が挙げられる。なお、本発明の金属端子用接着性フィルム1においては、120〜156℃の範囲に融解ピークが観察されればよく、当該範囲内又は範囲外の融解ピークをさらに有していてもよい。なお、当該融解ピークの測定方法は、測定対象を本発明の金属端子用接着性フィルム1として、後述のポリプロピレン層11の融解ピーク温度の測定方法と同様にして測定された値である。本発明の金属端子用接着性フィルム1において、120〜156℃の範囲に融解ピークが観察される層は限定されないが、好ましくはポリオレフィン骨格を有する樹脂層10であり、より好ましくは後述のポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12の少なくとも一方である。本発明の金属端子用接着性フィルム1において、前記の融解ピーク温度は、好ましくは、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10の積層構成、組成や、樹脂層10を形成する際の加熱温度、加熱速度、冷却温度、冷却速度、加工速度などによって調整することができる。
【0027】
また、同様の観点から、本発明の金属端子用接着性フィルム1は、以下の測定方法で測定される金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率が、約40.0%以上であることが好ましく、約42.0%以上であることが好ましく、約45.0%以上であることが好ましい。当該厚さ残存率の上限については、約85.0%以下であることが好ましく、約80.0%以下であることが好ましく、約62.0%以下であることが好ましく、約60.0%以下であることが好ましく、約58.0%以下であることが好ましい。当該厚さ残存率の範囲としては、好ましくは、40.0〜85.0%程度、40.0〜80.0%程度、40.0〜62.0%程度、40.0〜60.0%程度、40.0〜58.0%程度、42.0〜85.0%程度、42.0〜80.0%程度、42.0〜62.0%程度、42.0〜60.0%程度、42.0〜58.0%程度、45.0〜85.0%程度、45.0〜80.0%程度、45.0〜62.0%程度、45.0〜60.0%程度、45.0〜58.0%程度が挙げられる。当該残存率が40.0%以上である金属端子用接着性フィルム1を用いることにより、包装材料に含まれるバリア層と金属端子との短絡を効果的に抑制することができ、かつ、包装材料と金属端子用接着性フィルムとの密着性をより一層高めることが可能となる。また、当該残存率が85%以下である金属端子用接着性フィルム1を用いることにより、金属端子の段差の形状に好適に追従することができ、また、金属端子の端部を好適に覆うことができる。
【0028】
(金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率の測定)
厚さ100μmのアルミニウム板(純アルミニウム系、JIS H4160−1994 A1N30H−O)と、金属端子用接着性フィルムを用意する。金属端子用接着性フィルムの厚さA(μm)をマイクロゲージで測定する。アルミニウム板及び金属端子用接着性フィルムの長さ方向及び幅方向が一致するようにして、アルミニウム板の中心部分に金属端子用接着性フィルムを重ねる。このとき、金属端子用接着性フィルムの表面とアルミニウム板とが接するように配置する。さらに、金属端子用接着性フィルムの上に厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを配置する。アルミニウム板の長さより長く、幅7mmの金属板を2枚用意し、金属端子用接着性フィルムの全面を覆うようにして、アルミニウム板と金属端子用接着性フィルムの上下から、温度190℃、面圧1.27MPa、時間3秒間の条件で、加熱及び加圧を行い、ポリエチレンテレフタレートフィルムを金属接着性フィルムから剥しアルミニウム板と金属端子用接着性フィルムの積層体を得る。当該積層体の加熱及び加圧が行われた部分の厚さB(μm)をマイクロゲージで測定する。以下の式によって、前記金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率を算出する。
金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率(%)=(厚さB−100)/厚さA×100
【0029】
なお、厚さ残存率の測定において、長さ方向とは、対象物の平面視の長辺に対応する長手方向であり、幅方向とは対象物の平面視の短辺に対応する短手方向である。長さ方向と幅方向の大きさが一致する場合(正方形)はどちらを長さ方向、幅方向としてもよい。
【0030】
当該残存率の測定にあたり、金属端子用接着性フィルムの面積によっては、面圧が1.27MPaとなるように加圧荷重をかけて測定することもできる。具体的には、[金属板による加圧荷重(N)]/[金属端子用接着性フィルムを加圧する面積(mm
2)]=面圧(MPa)という式により換算できる。なお、金属板による加圧荷重(N)は、金属板の圧力を調整するシリンダーの径やエア圧によって調整することができる。
【0031】
前述の金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率の測定において、温度190℃、面圧1.27MPa、時間3秒間の条件で測定を行えば、金属端子用接着性フィルム及びアルミニウム板の長さ及び幅は限定されないが、例えば、長さ70mm、幅5mmの金属端子用接着性フィルムで測定可能(裁断などの手法を採用してもよい)な場合には、このサイズの金属端子用接着性フィルムと、アルミニウム板として長さ60mm、幅25mmのものを用いて、金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率を好適に測定することができる。なお、[金属端子用接着性フィルムを加圧する面積(mm
2)]は、アルミニウム板と金属端子用接着性フィルムとが重なっている部分の面積であり、例えばこれらのサイズの金属端子用接着性フィルムとアルミニウム板とを用いる場合であれば、当該面積は、60mm×5mmとなる。また、アルミニウム板と金属端子用接着性フィルムの積層体を得る際の加熱及び加圧によって、前記アルミニウム板の厚みは実質的に変化しない。測定対象とする金属端子用接着性フィルムのサイズが異なっていても、上記の測定ができれば、アルミニウム板のサイズを変更しなくてもよい。
【0032】
なお、本発明の金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率は、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10の積層構成、組成、融点、メルトマスフローレート(MFR)、厚み、軟化点や、樹脂層10を形成する際の加熱温度、加熱速度、冷却温度、冷却速度、加工速度などによって調整することができる。
【0033】
本発明の金属端子用接着性フィルム1全体のメルトマスフローレート(MFR)としては、特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、好ましくは1〜15程度、より好ましくは2〜12程度、さらに好ましくは2〜10程度が挙げられる。金属端子用接着性フィルム1全体のメルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210−1(A法:質量測定法)の規定に準拠した方法により、測定温度230℃、加重2.16kgをかけ、メルトインデクサーを用いて測定した値である。
【0034】
また、本発明の金属端子用接着性フィルム1の流れ方向(MD)の熱収縮率(%)としては、下限は、好ましくは約40%以上、より好ましくは約50%以上、さらに好ましくは約75%以上が挙げられ、上限は、好ましくは約95%以下、より好ましくは約90%以下、さらに好ましくは約85%以下が挙げられる。また、当該熱収縮率(%)の範囲としては、好ましくは、40〜95%程度、40〜90%程度、40〜85%程度、50〜95%程度、50〜90%程度、50〜85%程度、75〜95%程度、75〜90%程度、75〜85%程度が挙げられる。ただし、本発明の金属端子用接着性フィルム1が、後述の支持部材として繊維質シートなどを含む場合には、熱収縮率は、通常、これらの値よりも小さくなる。当該熱収縮率(%)の測定方法は、以下の通りである。
【0035】
(熱収縮率(%)の測定方法)
金属端子用接着性フィルムを長さ50mm(MD)×幅4mm(TD)のサイズに切り出して試験片とする。次に、金尺にて試験片の長さM(mm)を計測する。次に、試験片の長さ方向の端部(約1mm)を金網にテープで固定し、試験片を金網から吊るした状態にする。この状態で、190℃に加熱されたオーブン内に120秒置いた後、試験片を金網ごと取出して、室温(25℃)環境で自然冷却する。次に、室温まで自然冷却した試験片の長さN(mm)を金尺にて測定する。下の式により、金属端子用接着性フィルムの熱収縮率を算出する。
熱収縮率(%)=(1−(長さN/長さM))×100
【0036】
なお、電池素子の封止時において、金属端子用接着性フィルムが金属端子と包装材料との間に挟持された状態でヒートシールされる場合には、ヒートシールに用いられる金属板からの圧力によって、金属端子用接着性フィルムが寸法変化しない部分と、金属板からの距離が離れているために圧力が加わらず、収縮する部分とが存在する。このとき、圧力が加わらない部分についても、圧力が加わる部分に向かって適度に熱収縮することにより、圧力が加わる部分の厚みが薄くなりすぎることを効果的に抑制することができる。一方、金属端子用接着性フィルムの熱収縮が大き過ぎる場合には、金属端子の上に金属端子用接着性フィルム1を設置し、ヒートシールに供される前の予熱段階などにおいて金属端子用接着性フィルムが熱収縮によって動き、金属端子と金属端子用接着性フィルムとの位置関係にずれが生じる虞がある。このため、本発明の金属端子用接着性フィルム1は、前述の適度な熱収縮率を備えていることが望ましい。
【0037】
なお、本発明の金属端子用接着性フィルムの熱収縮率は、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10の積層構成、組成、融点、メルトマスフローレート(MFR)、厚みや、樹脂層10を形成する際の加熱温度、加熱速度、冷却温度、冷却速度、加工速度などによって調整することができる。
【0038】
本発明の金属端子用接着性フィルム1の一方側の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、下限については、好ましくは約0.5μm以上、より好ましくは約1μm以上、さらに好ましくは約5μm以上、さらに好ましくは約10μm以上が挙げられ、上限については、好ましくは約50μm以下、より好ましくは約30μm以下、さらに好ましくは約20μm以下、さらに好ましくは約18μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、0.5〜50μm程度、0.5〜30μm程度、0.5〜20μm程度、0.5〜18μm程度、1〜50μm程度、1〜30μm程度、1〜20μm程度、1〜18μm程度、5〜50μm程度、5〜30μm程度、5〜20μm程度、5〜18μm程度、10〜50μm程度、10〜30μm程度、10〜20μm程度、10〜18μm程度が挙げられる。具体的には、金属端子用接着性フィルム1の表層を構成している層において、外部に露出している表面の表面粗さが当該値を有することが好ましい。両側の表面粗さが当該値を有していてもよい。例えば、酸変性ポリプロピレン層12が、金属端子用接着性フィルム1の少なくとも片面側の表層を構成している場合であれば、酸変性ポリプロピレン層12の表面粗さが当該範囲にあることが好ましい。なお、金属端子用接着性フィルム1の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、JIS B 0601:2013に規定された方法により、金属端子用接着性フィルムの表面について測定した値である。
【0039】
(ポリプロピレン層11)
本発明において、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層は、ポリプロピレン層11を含んでいることが好ましい。ポリプロピレン層11は、ポリプロピレンにより構成された層である。
【0040】
本発明において、ポリプロピレン層11は、断面を電子顕微鏡で観察した際に海島構造が観察されることが好ましい。ポリプロピレン層11の断面(TDに沿った断面)に海島構造が観察されるとは、例えば
図9に示される電子顕微鏡写真のように、海の部分と島の部分とが観察されることをいう。
図9は、「高分子ミクロ写真集 目で見る高分子 1.分子集合の形と働き」(編者:社団法人高分子学会、発行者:山本格、発行所:株式会社培風館、昭和61年5月30日初版発行)の第29頁に「C」として示されている透過型電子顕微鏡写真(スケールバーは5μm)である。ポリプロピレン層11の断面に海島構造は、
図9のように、ポリプロピレン層の断面を四酸化オスミウム(OsO
4)染色して電子顕微鏡写真を観察することによって確認することができる。なお、
図9では海部分が島部分よりも明るくなっているが測定方法、条件によっては、海部分が島部分よりも暗く観える場合もある。何れにせよ、海部分と島部分が判別できれば海島構造における島の部分の面積の割合は測定可能である。
【0041】
ポリプロピレン層11の海島構造において、島の部分の面積の割合としては、特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、下限については、好ましくは約5%以上、より好ましくは約10%以上、より好ましくは約20%以上、さらに好ましくは約25%以上が挙げられ、上限については、好ましくは約50%以下、より好ましくは約40%以下、さらに好ましくは約35%以下が挙げられ、好ましい範囲としては、5〜50%程度、5〜40%程度、5〜35%程度、10〜50%程度、10〜40%程度、10〜35%程度、20〜50%程度、20〜40%程度、20〜35%程度、25〜50%程度、25〜40%程度、25〜35%程度が挙げられる。ポリプロピレン層11の海島構造における島の部分の面積の割合の測定方法は、以下の通りである。なお、島の部分の面積の割合が2%以下である場合、実質的に海島構造を有していないと評価される。
【0042】
(海島構造における島の部分の面積の割合の測定方法)
熱硬化性のエポキシ樹脂内に金属端子用接着性フィルムを包埋し硬化させる。市販品の回転式ミクロトーム(例えば、LEICA製 EM UC6)と、ガラスナイフを用いて目的とする方向の断面(TDに沿った断面)を作製する。包埋樹脂ごと四酸化ルテニウムにて一晩染色する。染色すると、樹脂が膨張し断面付近では海島構造を確認できないため、膨張部分をミクロトームでトリミングする。そして、1μmから2μmほどダイヤモンドナイフで切り進めた後の断面を観察する。染色した断面は、電界放出形走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製 S−4800 TYPE1,測定条件:3kV 20mA High WD6mm 検出器(Upper))で観測して画像(倍率は10000倍)を取得する。次に、画像を二値化できる画像処理ソフト(例えば、三谷商事製画像解析ソフトWinROOF(Ver7.4)を用い、当該画像について、海島構造の島の部分と海の部分とを二値化して、島の部分の占める面積の割合(島の部分の合計面積/画像の測定範囲の面積)を求める。具体的な画像処理の条件については、例えば実施例に記載の条件を採用する。
【0043】
ポリプロピレン層11の断面を電子顕微鏡で観察した際に海島構造が観察されることにより、金属端子用接着性フィルムの優れた耐熱性を保持しつつ、耐寒強度が高められる。また、電解液に接触した場合の金属端子との密着性も向上する。
【0044】
また、本発明において、ポリプロピレン層11は、広角X線回折を測定すると、ポリプロピレン結晶の回折図形から計算した040面に相当するピークの強度に対するポリプロピレン結晶の110面に相当するピークの強度の比(040面のピーク強度/110面のピーク強度)が、0.5〜1.5の範囲内になるポリプロピレンにより構成されていることが好ましい。このようなポリプロピレン層11は、例えば未延伸ポリプロピレンにより構成されていることが好ましい。ポリプロピレン層11が未延伸ポリプロピレンにより構成されており、延伸ポリプロピレンにより構成されていないことは、ポリプロピレン層11を前記のX線回折法で分析することによって確認することができる。具体的には、未延伸ポリプロピレンにより構成されているポリプロピレン層11の広角X線回折を測定すると、ポリプロピレン結晶の回折図形から計算した040面に相当するピークの強度に対するポリプロピレン結晶の110面に相当するピークの強度の比(040面のピーク強度/110面のピーク強度)が、0.5〜1.5の範囲内になり、延伸ポリプロピレンにより構成されているポリプロピレン層は、この範囲外となる。
【0045】
なお、110面に相当するピークは、2θ=14°付近に現れ、040面に相当するピークは、2θ=17°付近に現れる。広角X線回折による測定条件は、Soller/PCS(入射平行スリットの開口角):5.0deg、IS長手(長手制限スリットの長さ):10.0mm、PSA open(受光PSAの開口角はopen)、Soller(受光平行スリットの開口角):5.0deg、2θ/θ:2〜40deg、ステップは0.04degとする。
【0046】
また、本発明において、ポリプロピレン層11は、ポリプロピレン層をラマン分光法で分析した場合に、約809cm
-1に表れる結晶性のピーク強度の高さ「A」と、約842cm
-1に表れる非晶性のピーク強度の高さ「B」の比(A/B)が、1.6以下であることが好ましい。測定条件は、レーザー波長633nm、グレーティング600gr/mm、共焦点ホール100μm、顕微鏡レンズ10倍、露光時間15sec、積算回数1回とし、ポリプロピレン層11のMD(Machine Direction)に平行な断面に対して、MDと入射レーザー偏光面が平行になるように、ラマンスペクトルを測定する。また、710cm
-1と925cm
-1を結んだ直線をベースラインとした。解析条件は、ベースライン補正をした際の、809cm
-1と842cm
-1におけるピーク高さを、ピーク強度として算出する。なお、上述した約809cm
-1に表れる結晶性のピーク強度の高さ「A」とは、主鎖CC伸縮とCH3変角振動のコンビネーションモードに帰属されるピークである。また、約842cm
-1に表れる非晶性のピーク強度の高さ「B」とは、CH3変角振動モードに帰属されるピークである。このようなポリプロピレン層11は、例えば未延伸ポリプロピレンにより構成されていることが好ましい。ポリプロピレン層11が未延伸ポリプロピレンにより構成されており、延伸ポリプロピレンにより構成されていないことは、ポリプロピレン層11を前記のラマン分光法で分析することによって確認することができる。具体的には、ポリプロピレン層をラマン分光法で分析した場合に、約809cm
-1に表れる結晶性のピーク強度の高さ「A」と、約842cm
-1に表れる非晶性のピーク強度の高さ「B」の比(A/B)が、1.6以下である場合に、ポリプロピレン層11が未延伸ポリプロピレンにより構成されていると確認することができる。
【0047】
本発明において、ポリプロピレン層11のMDの確認方法は、次の通りである。ポリプロピレン層11の長さ方向の断面と、当該長さ方向の断面と平行な方向から10度ずつ角度を変更し、長さ方向の断面と垂直な方向までの各断面(合計10の断面)について、それぞれ、電子顕微鏡で観察して海島構造を確認する。次に、各断面において、それぞれ、個々の島の形状を観察する。個々の島の形状について、ポリプロピレン層11の厚み方向とは垂直方向の最左端と、当該垂直方向の最右端とを結ぶ直線距離を径yとする。各断面において、島の形状の当該径yが大きい順に上位20個の径yの平均を算出する。島の形状の当該径yの平均が最も大きかった断面と平行な方向をMDと判断する。
【0048】
ポリプロピレン層11に含まれるポリプロピレンとしては、好ましくは、ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(すなわち、ブロックポリプロピレンであり、例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(すなわち、ランダムポリプロピレンであり、例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレンが挙げられる。ポリプロピレン層11が前述の海島構造となる組成としては、例えば、ポリプロピレン層11がポリプロピレンのブロックコポリマーを含有する組成、ポリプロピレンのブロックコポリマーとポリプロピレンのランダムコポリマーとを含有する組成、ポリプロピレンのランダムコポリマーを含有する組成、ホモポリプロピレンとランダムポリプロピレンとポリエチレン成分を含む組成などが挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレン層11は、ブロックポリプロピレン又はランダムポリプロピレンを含んでいることがより好ましく、ブロックポリプロピレン又はランダムポリプロピレンにより構成されていることがさらに好ましい。なお、ブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンに含まれるプロピレンの割合としては、それぞれ、好ましくは10〜90質量%程度、より好ましくは30〜80質量%程度が挙げられる。
【0049】
本発明の金属端子用接着性フィルム1において、ポリプロピレン層11は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。また、ポリプロピレン層11には、同一または異なるポリプロピレンにより構成された層が連続して複数積層されており、当該複数層がポリプロピレン層11を構成していてもよい。ポリプロピレン層11は、ブロックポリプロピレン又はランダムポリプロピレンにより構成された層を含んでいることが好ましい。
【0050】
ポリプロピレン層11が単一の層により構成されている場合、ポリプロピレン層11は、ランダムポリプロピレンにより構成された層(ランダムポリプロピレン層)であるか、ブロックポリプロピレンにより構成された層(ブロックポリプロピレン層)であることが好ましい。また、ポリプロピレン層11が複数層により構成されている場合の態様としては、ランダムポリプロピレン層とブロックポリプロピレン層との積層体、ランダムポリプロピレン層とランダムポリプロピレン層との積層体、ランダムポリプロピレン層と、ブロックポリプロピレン層と、ランダムポリプロピレン層とがこの順に積層された積層体などが好ましい。
【0051】
なお、本発明において、ポリプロピレンにより構成された層が連続して複数積層されている場合には、これらの層をまとめてポリプロピレン層11という。同様に、酸変性ポリプロピレンにより構成された層が連続して複数積層されている場合には、これらの層をまとめて酸変性ポリプロピレン層12という。
【0052】
ポリプロピレン層11の厚さは、特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、下限は、好ましくは約15μm以上、より好ましくは約20μm以上が挙げられ、上限は、好ましくは約120μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは約80μm以下、さらに好ましくは約70μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、15〜120μm程度、15〜100μm程度、15〜80μm程度、15〜70μm程度、20〜120μm程度、20〜100μm程度、20〜80μm程度、20〜70μm程度が挙げられる。なお、機序の詳細は明らかではないが、酸変性ポリプロピレン層の厚さが大きすぎると、酸変性ポリプロピレン層の凝集破壊が生じやすく、金属端子用接着性フィルムの密着性が低下しやすくなる傾向にある。
【0053】
電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、金属端子用接着性フィルム1において、ポリプロピレン層11が金属端子用接着性フィルム1の厚みの約40%以上を占めることが好ましく、約45%以上を占めることがさらに好ましく、上限としては、ポリプロピレン層11が金属端子用接着性フィルム1の厚みの約85%以下を占めることが好ましく、約80%以下を占めることがさらに好ましい。金属端子用接着性フィルム1の厚みに占めるポリプロピレン層11の厚みの好ましい範囲としては、40〜85%程度、40〜80%程度、45〜85%程度、45〜80%程度が挙げられる。
【0054】
ポリプロピレン層11の融解ピーク温度としては、金属端子用接着性フィルム1全体としての融解ピーク温度が前記の範囲内となれば特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、下限については、好ましくは約120℃以上、より好ましくは約130℃以上、さらに好ましくは約135℃以上が挙げられ、上限については、例えば165℃以下、好ましくは約160℃以下、より好ましくは約156℃以下、さらに好ましくは約150℃以下、特に好ましくは148℃以下が挙げられ、好ましい範囲としては、120〜165℃程度、120〜160℃程度、120〜156℃程度、120〜150℃程度、120〜148℃程度、130〜165℃程度、130〜160℃程度、130〜156℃程度、130〜150℃程度、130〜148℃程度、135〜165℃程度、135〜160℃程度、135〜156℃程度、135〜150℃程度、135〜148℃程度が挙げられる。なお、本発明において、ポリプロピレン層11の融解ピーク温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定した値であり、昇温速度を10℃/min、温度測定範囲を−50〜200℃とし、サンプルパンとしてアルミニウムパンを使用して測定される。
【0055】
(酸変性ポリプロピレン層12)
本発明において、酸変性ポリプロピレン層12は、酸変性ポリプロピレンにより構成された層である。酸変性ポリプロピレン層12についても、断面を電子顕微鏡で観察した際に海島構造が観察されることが好ましい。なお、酸変性ポリプロピレン層12における海島構造の確認方法は、前述のポリプロピレン層11における確認方法と同様である。
【0056】
本発明において、ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12の少なくとも一方について、前記の海島構造が観察されるものである場合、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10は、断面を電子顕微鏡で観察した際に海島構造が観察される層を含んでいる。
【0057】
酸変性ポリプロピレン層12の海島構造において、島の部分の面積の割合としては、特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、好ましくは10〜50%程度、より好ましくは15〜40%程度、さらに好ましくは20〜40%程度が挙げられる。酸変性ポリプロピレン層12の海島構造における島の部分の面積の割合の測定方法は、測定対象を酸変性ポリプロピレン層12とすること以外は、前述のポリプロピレン層11における測定方法と同様である。なお、島の部分の面積の割合が2%以下である場合、実質的に海島構造を有していないと評価される。
【0058】
酸変性ポリプロピレンとしては、酸変性されたポリプロピレンであれば特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたポリプロピレンが挙げられる。酸変性に使用される不飽和カルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられ、これらの中でも無水マレイン酸が好ましい。
【0059】
酸変性されるポリプロピレンとしては、好ましくは、ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(すなわちブロックポリプロピレンであり、例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(すなわちランダムポリプロピレンであり、例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレンが挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンのブロックコポリマーまたはポリプロピレンのランダムコポリマーを含んでいることが好ましい。なお、酸変性されるポリプロピレンがランダムポリプロピレンである場合、酸変性ポリプロピレンは、ランダムベースの酸変性ポリプロピレン(ランダムポリプロピレンを骨格とする酸変性ポリプロピレン)となる。同様に、酸変性されるポリプロピレンがブロックポリプロピレンである場合、酸変性ポリプロピレンは、ブロックベースの酸変性ポリプロピレン(ブロックポリプロピレンを骨格とする酸変性ポリプロピレン)となる。
【0060】
金属端子用接着性フィルムを赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出されることが好ましい。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリプロピレンを測定すると、波数1760cm
-1付近と波数1780cm
-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。例えば、酸変性ポリプロピレン層12が酸変性ポリプロピレンにより構成された層である場合、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリプロピレンを測定すると、波数1760cm
-1付近と波数1780cm
-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。なお、酸変性ポリプロピレン層12が酸変性ポリプロピレンにより構成された層であることは、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
【0061】
本発明の金属端子用接着性フィルム1において、酸変性ポリプロピレン層12は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。また、酸変性ポリプロピレン層12には、同一または異なる酸変性ポリプロピレンにより構成された層が連続して複数積層されており、当該複数層が酸変性ポリプロピレン層12を構成していてもよい。
【0062】
酸変性ポリプロピレン層12の好ましい態様としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンにより構成された層が挙げられる。
【0063】
本発明の金属端子用接着性フィルムにおいて、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10は、特に、ランダムベースの酸変性ポリプロピレン層12と、ランダムポリプロピレン層11と、ランダムベースの酸変性ポリプロピレン層12とがこの順に積層された積層構成を有していることが好ましい。
【0064】
酸変性ポリプロピレン層12の厚さは、特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、下限は、好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約15μm以上が挙げられ、上限は、好ましくは約50μm以下、より好ましくは約45μm以下、さらに好ましくは約35μm以下が挙げられ、好ましい範囲としては、10〜50μm程度、10〜45μm程度、10〜35μm程度、15〜50μm程度、15〜45μm程度、15〜35μm程度が挙げられる。
【0065】
酸変性ポリプロピレン層12の融解ピーク温度としては、特に制限されないが、電解液に接触した場合の金属端子との密着性を高める観点からは、下限については、好ましくは約120℃以上、より好ましくは約130℃以上、さらに好ましくは約135℃以上が挙げられ、上限については、例えば165℃以下、好ましくは約160℃以下、より好ましくは約156℃以下、さらに好ましくは約150℃以下、特に好ましくは148℃以下が挙げられ、好ましい範囲としては、120〜165℃程度、120〜160℃程度、120〜156℃程度、120〜150℃程度、120〜148℃程度、130〜165℃程度、130〜160℃程度、130〜156℃程度、130〜150℃程度、130〜148℃程度、135〜165℃程度、135〜160℃程度、135〜156℃程度、135〜150℃程度、135〜148℃程度が挙げられる。なお、本発明において、酸変性ポリプロピレン層12の融解ピーク温度は、ポリプロピレン層11の融解ピーク温度の測定方法と同様にして測定された値である。
【0066】
金属端子用接着性フィルムのヒートシール時の潰れを抑制しつつ、シール強度を向上させる観点から、本発明の金属端子用接着性フィルム1において、ポリプロピレン層11の軟化点と酸変性ポリプロピレン層12の軟化点の差の絶対値としては、上限は、好ましくは約40℃以下、より好ましくは約30℃以下、さらに好ましくは約20℃以下が挙げられ、下限は、好ましくは約0℃以上、より好ましくは約5℃以上、さらに好ましくは約10℃以上が挙げられる。ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12の軟化点は、次のようにして測定した値である。
【0067】
(軟化点の測定方法)
走査型熱顕微鏡(Anasys社製のNanoTA)を用い、サーマルプローブのカンチレバーのモデルはEX−AN2−200、昇温速度5℃/sの条件で測定された値である。また、軟化点は、ピークトップ温度とした。
【0068】
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、必要に応じて、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。なお、添加剤の種類、含有量などによっては、金属端子用接着性フィルム1が変色することもある。
【0069】
金属端子用接着性フィルム1全体に含まれている滑剤の含有量としては、好ましくは0〜2000ppm程度が挙げられる。
【0070】
(滑剤量の測定)
金属端子用接着性フィルム1全体に含まれている滑剤の含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)を用いて測定した値である。具体的には、沸騰還流させたメタノール中にて、金属端子用接着性フィルム内の添加剤をメタノール中に抽出し、得られたメタノール抽出液を、GC−MSで分析して、金属端子用接着性フィルム全体に含まれる滑剤量を測定する。
【0071】
滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド、芳香族ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'−ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族ビスアミドの具体例としては、m−キシリレンビスステアリン酸アミド、m−キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'−ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0072】
また、本発明の金属端子用接着性フィルム1は、必要に応じて充填剤を含んでいてもよい。金属端子用接着性フィルム1が充填剤を含むことにより、充填剤がスペーサー(Spacer)として機能するために、金属端子2と包装材料3のバリア層33との間の短絡をより一層効果的に抑制することが可能となる。充填剤の粒径としては、0.1〜35μm程度、好ましくは5.0〜30μm程度、さらに好ましくは10〜25μm程度の範囲が挙げられる。また、金属端子用接着性フィルム1に充填剤を添加する場合、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10に含まれることが好ましく、充填剤の含有量としては、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10を形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、5〜30質量部程度、より好ましくは10〜20質量部程度が挙げられる。
【0073】
充填剤としては、無機系、有機系のいずれも用いることができる。無機系充填剤としては、例えば、炭素(カーボン、グラファイト)、シリカ、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、シリコンカーバイド、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系充填剤としては、例えば、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリメタクリル酸メチル架橋物、ポリエチレン架橋物等が挙げられる。形状の安定性、剛性、内容物耐性の点から、酸化アルミニウム、シリカ、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物が好ましく、特にこの中でも球状の酸化アルミニウム、シリカがより好ましい。ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10を形成する樹脂成分への充填剤の混合方法としては、予めバンバリーミキサー等で両者をメルトブレンドし、マスターバッチ化したものを所定の混合比にする方法、樹脂成分との直接混合方法などを採用することができる。
【0074】
また、金属端子用接着性フィルム1は、それぞれ、必要に応じて顔料を含んでいてもよい。顔料としては、無機系の各種顔料を用いることができる。顔料の具体例としては、上記充填剤で例示した炭素(カーボン、グラファイト)や、酸化チタンなどが好ましく例示できる。炭素(カーボン、グラファイト)は、一般に電池の内部に使用されている材料であり、電解液に対する溶出の虞がない。また、着色効果が大きく接着性を阻害しない程度の添加量で充分な着色効果を得られると共に、熱で溶融することがなく、添加した樹脂の見かけの溶融粘度を高くすることができる。さらに、熱接着時(シール時)に加圧部が薄肉となることを防止して、シール強度の低下を防ぐことができる。
【0075】
金属端子用接着性フィルム1に顔料を添加する場合、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10に含まれることが好ましく、その添加量としては、たとえば、粒径が約0.03μmのカーボンブラックを使用した場合、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10を形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、0.05〜0.3質量部程度、好ましくは0.1〜0.2質量部程度が挙げられる。金属端子用接着性フィルム1に顔料を添加することにより、金属端子用接着性フィルム1の有無をセンサーで検知可能なもの、または目視で検査可能なものとすることができる。なお、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10が、ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12を有する場合であって、充填剤と顔料とを添加する場合、1つの層に充填剤と顔料を添加してもよいが、金属端子用接着性フィルム1の熱融着性を阻害しない観点からは、充填剤及び顔料は、例えば、ポリプロピレン層11及び酸変性ポリプロピレン層12に分けて添加することが好ましい。
【0076】
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10を用意することによって製造することができる。例えば、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10が、少なくとも1層のポリプロピレン層と、少なくとも1層の酸変性ポリプロピレン層とを有する場合であれば、これらの層を積層することにより製造することができる。少なくとも1層のポリプロピレン層と、少なくとも1層の酸変性ポリプロピレン層との積層方法としては、特に制限されず、例えば、サーマルラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出しラミネート法などを用いて行うことができる。
【0077】
[支持部材]
図示を省略するが、本発明の金属端子用接着性フィルム1は、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10に加えて、さらに、支持部材を有していてもよい。支持部材は、金属端子用接着性フィルム1の支持体として機能する層である。
【0078】
支持部材としては、例えば、繊維質シートが挙げられる。また、繊維質シートとしては、不織布、メッシュ、織物等が挙げられる。繊維質シートは、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0079】
不織布を形成する繊維としては、特に制限されず、セルロース、羊毛、絹、綿、麻などの天然繊維や、ガラス繊維、炭素繊維、岩石繊維、さらには、ポリエステル、芳香族ポリエステル系樹脂(液晶ポリマー)、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリアリレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイドなどの耐熱性合成樹脂を繊維化した化学繊維などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性が高く、電解液性の高いポリアリレートが好ましい。
【0080】
繊維質シートは、繊維径が1.9〜18.2μmの範囲内にある繊維により形成されていることが好ましい。繊維質シートは、単一の繊維径を有する繊維により形成されていてもよいし、複数種類の繊維径を有する繊維の混合物であってもよい。
【0081】
支持部材の厚さについては、特に制限されず、好ましくは20〜80μm程度、より好ましくは35〜70μm程度が挙げられる。支持部材が繊維質シートにより形成されている場合、支持部材の目付としては、好ましくは5〜30g/m
2程度、より好ましくは10〜20g/m
2程度が挙げられる。
【0082】
支持部材を用いる場合、支持部材と、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10とを積層することによって、本発明の金属端子用接着性フィルム1を製造することができる。例えば、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10を構成する樹脂が溶融した状態で、支持部材と積層することによって、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10と支持部材とを密着させることができる。支持部材が繊維質シートである場合には、ポリオレフィン骨格を有する樹脂層10を構成する樹脂が溶融した状態で、支持部材に含浸させることもできる。
【0083】
金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と包装材料3との間に介在させる方法としては、特に制限されず、例えば、
図1〜3に示すように、金属端子2が包装材料3によって挟持される部分において、金属端子2に金属端子用接着性フィルム1を巻き付けてもよい。また、図示を省略するが、金属端子2が包装材料3によって挟持される部分において、金属端子用接着性フィルム1が2つの金属端子2を横断するようにして、金属端子2の両面側に配置してもよい。
【0084】
[金属端子2]
本発明の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と包装材料3との間に介在させて使用される。金属端子2(タブ)は、電池素子4の電極(正極または負極)に電気的に接続される部材であり、金属材料により構成されている。金属端子2を構成する金属材料としては、特に制限されず、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などが挙げられる。例えば、リチウムイオン電池の正極に接続される金属端子2は、通常、アルミニウムなどにより構成されている。また、リチウムイオン電池の負極に接続される金属端子は、通常、銅、ニッケルなどにより構成されている。
【0085】
金属端子2の表面は、耐電解液性を高める観点から、化成処理が施されていることが好ましい。例えば、金属端子2がアルミニウムにより形成されている場合、化成処理の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物などの耐酸性皮膜を形成する公知の方法が挙げられる。耐酸性皮膜を形成する方法の中でも、フェノール樹脂、フッ化クロム(III)化合物、リン酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が好適である。
【0086】
金属端子2の大きさは、使用される電池の大きさなどに応じて適宜設定すればよい。金属端子2の厚さとしては、好ましくは50〜1000μm程度、より好ましくは70〜800μm程度が挙げられる。また、金属端子2の長さとしては、好ましくは1〜200mm程度、より好ましくは3〜150mm程度が挙げられる。また、金属端子2の幅としては、好ましくは1〜200mm程度、より好ましくは3〜150mm程度が挙げられる。
【0087】
[接着性フィルム付き金属端子]
本発明の接着性フィルム付き金属端子は、金属端子2と、金属端子2の一部を被覆している金属端子用接着性フィルム1とを備える。前記の通り、金属端子用接着性フィルムは、金属端子2と包装材料3との間に介在させて使用される。本発明の接着性フィルム付き金属端子においては、予め金属端子2の一部が金属端子用接着性フィルム1で被覆されている。金属端子2を金属端子用接着性フィルム1で被覆する部分は、金属端子2が包装材料3によって挟持される部分に対応する位置とする。金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2に巻き付けられていることが好ましい。
【0088】
[包装材料3]
包装材料3としては、少なくとも、基材層31、バリア層33、及び熱融着性樹脂層34をこの順に有する積層シートからなる積層構造を有するものが挙げられる。
図6に、包装材料3の断面構造の一例として、基材層31、接着剤層32、バリア層33、接着層35、及び熱融着性樹脂層34がこの順に積層されている態様について示す。接着剤層32は、基材層31とバリア層33との密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。また、接着層35は、バリア層33と熱融着性樹脂層34の密着性を高めることなどを目的として、必要に応じて設けられる層である。
【0089】
包装材料3においては、基材層31が最外層側になり、熱融着性樹脂層34が最内層になる。電池の組み立て時に、電池素子4の周縁に位置する熱融着性樹脂層34同士を接面させて熱融着することにより電池素子4が密封され、電池素子4が封止される。なお、
図1〜3には、エンボス成形などによって成形されたエンボスタイプの包装材料3を用いた場合の電池40を図示しているが、包装材料3は成形されていないパウチタイプであってもよい。なお、パウチタイプには、三方シール、四方シール、ピロータイプなどが存在するが、何れのタイプであってもよい。
【0090】
[基材層31]
包装材料3において、基材層31は、包装材料の基材として機能する層であり、最外層側を形成する層である。
【0091】
基材層31を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層31を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。
【0092】
基材層31の厚さについては、例えば、10〜50μm程度、好ましくは15〜30μm程度が挙げられる。
【0093】
[接着剤層32]
包装材料3において、接着剤層32は、基材層31に密着性を付与させるために、基材層31上に必要に応じて配置される層である。即ち、接着剤層32は、基材層31とバリア層33の間に必要に応じて設けられる。
【0094】
接着剤層32は、基材層31とバリア層33とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層32の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着剤層32の形成に使用される接着剤についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
【0095】
接着剤層32の厚さについては、例えば、2〜50μm程度、好ましくは3〜25μm程度が挙げられる。
【0096】
[バリア層33]
包装材料において、バリア層33は、電池用包装材料の強度向上の他、電池内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層33を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層33は、例えば、金属箔や金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム合金箔により形成することがさらに好ましい。電池用包装材料の製造時に、バリア層33にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H−O、JIS H4160:1994 A8079H−O、JIS H4000:2014 A8021P−O、JIS H4000:2014 A8079P−O)など軟質アルミニウム合金箔により形成することがより好ましい。
【0097】
バリア層33の少なくとも一方の表面には、耐腐性皮膜が設けられていてもよい。
【0098】
バリア層33の厚みは、水蒸気などのバリア層としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、10〜50μm程度、好ましくは10〜40μm程度とすることができる。
【0099】
[接着層35]
包装材料3において、接着層35は、熱融着性樹脂層34を強固に接着させるために、バリア層33と熱融着性樹脂層34の間に、必要に応じて設けられる層である。
【0100】
接着層35は、バリア層33と熱融着性樹脂層34を接着可能である接着剤によって形成される。接着層の形成に使用される接着剤の組成については、特に制限されないが、例えば、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物が挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、酸変性ポリプロピレン層12で記載したものと同じものが例示できる。また、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレンなどが、不飽和カルボン酸またはその無水物(例えば酸変性ポリプロピレン層12で例示したもの)で酸変性されたものも例示できる。
【0101】
接着層35の厚さについては、例えば、1〜40μm程度、好ましくは2〜30μm程度が挙げられる。
【0102】
[熱融着性樹脂層34]
包装材料3において、熱融着性樹脂層34は、最内層に該当し、電池の組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して電池素子を密封する層である。
【0103】
熱融着性樹脂層34に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンが挙げられる。
【0104】
前記ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン層11で例示したものと同じものや、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレンなどが挙げられる。また、酸変性ポリオレフィンとしては、接着層35で記載したものと同じものが挙げられる。
【0105】
また、熱融着性樹脂層34の厚さとしては、特に制限されないが、好ましくは2〜2000μm程度、より好ましくは5〜1000μm程度、さらに好ましくは10〜500μm程度が挙げられる。
【0106】
2.電池40
本発明の電池40は、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた電池素子4と、当該電池素子4を封止する包装材料3と、正極及び負極のそれぞれに電気的に接続され、包装材料3の外側に突出した金属端子2とを備えている。本発明の電池40においては、金属端子2と包装材料3との間に、本発明の金属端子用接着性フィルム1が介在されることを特徴とする。
【0107】
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた電池素子4を、包装材料3で、正極及び負極の各々に接続された金属端子2が外側に突出させた状態で、本発明の金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と熱融着性樹脂層34との間に介在させ、電池素子4の周縁に包装材料のフランジ部(熱融着性樹脂層34同士が接触する領域であり、包装材料の周縁部3a)が形成できるようにして被覆し、フランジ部の熱融着性樹脂層34同士をヒートシールして密封させることによって、包装材料3を使用した電池40が提供される。なお、包装材料3を用いて電池素子4を収容する場合、包装材料3の熱融着性樹脂層34が内側(電池素子4と接する面)になるようにして用いられる。
【0108】
本発明の電池は、一次電池、二次電池のいずれであってもよいが、好ましくは二次電池である。二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、好ましくは、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
【0109】
なお、電池を構成している包装材料、金属端子、及び金属端子用接着性フィルムの、包装材料と金属端子用接着性フィルムと金属端子が積層されている部分の厚さを測定した場合、包装材料の好ましい厚さとしては10〜65μm程度が挙げられ、金属端子の厚さとしては50〜1000μm程度が挙げられ、金属端子用接着性フィルムの好ましい厚さとしては30〜80μm程度が挙げられ、包装材料の好ましい厚さと金属端子用接着性フィルムの好ましい厚さの合計としては、40〜145μm程度が挙げられる。
【実施例】
【0110】
以下に実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、以下の融解ピーク温度の測定では、測定値の小数点第一位を四捨五入した。また、以下の電解液浸漬後のシール強度の測定、熱収縮率の測定、金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率の測定、表面粗さ(算術平均粗さRa)の測定、及び海島構造における島の部分の面積の割合の測定では、それぞれ、測定値の小数点第二位を四捨五入した。
【0111】
実施例及び比較例において、融解ピーク温度の測定、熱収縮率の測定、電解液浸漬後のシール強度の測定、厚さ残存率の測定、耐電解液性及び海島構造における島の部分の面積の割合の測定の評価は、以下のようにして行った。それぞれの結果は、表1、及び表2に示す。
【0112】
(融解ピーク温度の測定)
示差走査熱量計(DSC)を用いて金属端子用接着性フィルムを測定した。装置としては、島津製作所の「DSC−60 Plus」を用いた。また、測定条件は、昇温速度を10℃/min、温度測定範囲を−50〜200℃とし、サンプルパンとしてアルミニウムパンを使用した。
【0113】
(熱収縮率の測定)
金属端子用接着性フィルムを長さ50mm(MD)×幅4mm(TD)のサイズに切り出して試験片とした。次に、金尺にて試験片の長さM(mm)を計測した。次に、試験片の長さ方向の端部(約1mm)を金網にテープで固定し、試験片を金網から吊るした状態にした。この状態で、190℃に加熱されたオーブン内に120秒置いた後、試験片を金網ごと取出して、室温(25℃)環境で自然冷却した。次に、室温まで自然冷却した試験片の長さN(mm)を金尺にて測定した。以下の式により、金属端子用接着性フィルムの熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=(1−(長さN/長さM))×100
【0114】
(耐電解液性の評価)
金属端子用接着性フィルムを15mm(MD)×100mm(TD)のサイズに切り出して試験片とした。次に、試験片を電解液(1M LiPF
6の溶液(エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1:1、体積比)に浸漬し、85℃のオーブン内で24時間保管した。次に、試験片を取り出し、水で洗浄した後、試験片を目視で観察した。試験片の層間が剥離していなかった場合を「A」とし、試験片の層間が剥離していた場合を「C」とした。
【0115】
(電解液浸漬後のシール強度の測定)
金属端子用接着性フィルム1を長さ50mm(MD)×幅10mm(TD)のサイズに切り出した。また、金属端子2(アルミニウム板、長さ60mm、幅22.5mm、厚み0.3mm)を用意した。次に、
図7の模式図に示すように、ホットプレート25の上に、厚さ2mmのアルミニウム板24を載せ、さらにその上に金属端子2を載せた。次に、ホットプレート25を加熱することにより、金属端子2を190℃に加熱した。次に、
図7に示すように、真鍮製ブロック21とシリコーンゴム22とテフロン(登録商標)クロス23の積層体を用いて、金属端子2の上に、面圧0.0082MPa、10秒間の条件で、金属端子用接着性フィルム1を押しつけることにより、金属端子2の表面に金属端子用接着性フィルム1を熱融着させて積層体を得た。次に、積層体を電解液(1M LiPF
6の溶液(エチレンカーボネート:ジメチルカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1:1の体積比、水分1000ppm)に浸漬し、85℃のオーブン内で72時間保管した。次に、電解液から積層体を取り出し水洗し乾燥させた。その後、
図8の模式図に示すように、得られた積層体の金属端子2から、金属端子用接着性フィルム1を、引張速度175mm/mimで長さ方向(MD)に剥離して、電解液浸漬後のシール強度(N/10mm)を測定した。結果を表1に示す。
【0116】
(金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率の測定)
長さ60mm、幅25mm、厚さ100μmのアルミニウム板(純アルミニウム系、JIS H4160−1994 A1N30H−O)と、長さ70mm、幅5mmの前記金属端子用接着性フィルムを用意した。次に、金属端子用接着性フィルムの厚さA(μm)をマイクロゲージで測定した。次に、アルミニウム板及び金属端子用接着性フィルムの長さ方向及び幅方向が一致するようにして、アルミニウム板の中心部分に金属端子用接着性フィルムを重ねた。さらに、金属端子用接着性フィルムの上に厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを配置する。次に、アルミニウム板の長さよりも長く、幅7mmの金属板を2枚用意し、次に、金属端子用接着性フィルムの全面を覆うようにして、金属端子用接着性フィルムの上下から、温度190℃、面圧1.27MPa、時間3秒間の条件で、加熱及び加圧を行い、ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層体から剥し、アルミニウム板と金属端子用接着性フィルムの積層体を得た。次に、当該積層体の加熱及び加圧が行われた部分の厚さB(μm)をマイクロゲージで測定した。以下の式によって、金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率を算出した。このとき、厚さBは、積層体の中心部1箇所と、積層体の長さ方向の両端部(アルミニウム板と金属端子用接着性フィルムとが積層されている部分の両端部)から前記中心部に向かって10mmの2箇所の合計3箇所の平均値とした。
金属端子用接着性フィルムの厚さ残存率(%)=(厚さB−100)/厚さA×100
【0117】
<海島構造における島の部分の面積の割合の測定方法>
熱硬化性のエポキシ樹脂内に金属端子用接着性フィルムを包埋し硬化させた。市販品の回転式ミクロトーム(LEICA製 EM UC6)と、ガラスナイフを用いて目的とする方向の断面(TDに沿った断面)を作製する。包埋樹脂ごと四酸化ルテニウムにて一晩染色した。染色すると、樹脂が膨張し断面付近では海島構造を確認できないため、膨張部分をミクロトームでトリミングした。そして、1μmから2μmほどダイヤモンドナイフで切り進めた後の断面を観察した。染色した断面について、電界放出形走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 S−4800 TYPE1,測定条件:3kV 20mA High WD6mm 検出器(Upper))で観測して画像(倍率は10000倍)を取得した。次に、画像を二値化できる画像処理ソフト(三谷商事製画像解析ソフトWinROOF(Ver7.4)を用い、当該画像について、海島構造の島の部分と海の部分とを二値化して、島の部分の占める面積の割合(島の部分の合計面積/画像の測定範囲の面積)を求めた。具体的な画像処理の条件は、以下の通りである。なお、本測定では、島部分が海部分よりも染色されたため、島部分が海部分よりも明るく観察された。
[画像処理条件]
3×3pix 平均化
二値化:自動二値化
孤立点除去:1画素から成り立っている物体または背景を除去する。
削除:形状特徴値、または、濃度特徴値を求めて粒子を削除(0.005μm
2の面積をノイズとして認識)
【0118】
<表面粗さ(算術平均粗さRa)の測定方法>
JIS B 0601:2013に規定された方法により、金属端子用接着性フィルムの一方側の表面について、算術平均粗さRaを測定した。
【0119】
<金属端子用接着性フィルムの製造>
(実施例1)
ポリプロピレン層として、ブロックポリプロピレン層(60μm、融解ピーク温度121℃、159℃)の未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)を用意した。次に、この未延伸ポリプロピレンフィルムの両面に、それぞれ、ブロックベースの無水マレイン酸変性ポリプロピレン(20μm、融解ピーク温度157℃)を押出しラミネート法により積層して、酸変性ポリプロピレン層(20μm)/ポリプロピレン層(60μm)/酸変性ポリプロピレン層(20μm)が順に積層された金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0120】
(実施例2)
ポリプロピレン層として、ランダムポリプロピレン層(4μm)/ブロックポリプロピレン層(22μm)/ランダムポリプロピレン層(4μm)が順に積層されている3層構成の未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP,合計厚さ30μm、融解ピーク温度155℃)を用意した。次に、未延伸ポリプロピレンフィルムの両面に、それぞれ、ブロックベースの無水マレイン酸変性ポリプロピレン(16μm、融解ピーク温度157℃)を押出しラミネート法により積層して、酸変性ポリプロピレン層(16μm)/ポリプロピレン層(30μm)/酸変性ポリプロピレン層(16μm)が順に積層された金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0121】
(実施例3)
液晶ポリマー製不織布(目付14g/m
2)を用意した。次に、液晶ポリマー製不織布の両面に、それぞれ、ランダムベースの無水マレイン酸変性ポリプロピレン(44μm、融解ピーク温度140℃)を押出しラミネート法により積層して、酸変性ポリプロピレン層(44μm)/液晶ポリマー製不織布(目付14g/m
2)/酸変性ポリプロピレン層(44μm)が順に積層された金属端子用接着性フィルム(総厚100μm)を製造した。
【0122】
(実施例4)
ポリプロピレン層として、ブロックポリプロピレン層(80μm、融解ピーク温度121℃、159℃、未延伸ポリプロピレンフィルム(CPP))を用意した。次に、この未延伸ポリプロピレンフィルムの両面に、それぞれ、ブロックベースの無水マレイン酸変性ポリプロピレン(35μm、融解ピーク温度140℃)を押出しラミネート法により積層して、酸変性ポリプロピレン層(35μm)/ポリプロピレン層(80μm)/酸変性ポリプロピレン層(35μm)が順に積層された金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0123】
(実施例5)
ランダムベースの酸変性ポリプロピレン(融解ピーク温度140℃)とランダムポリプロピレン(融解ピーク温度142℃)を、Tダイ型の製膜機を用いて、酸変性ポリプロピレン層(25μm)/ポリプロピレン層(100μm)/酸変性ポリプロピレン層(25μm)が順に積層されるようにして共押出して、金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0124】
(実施例6)
ランダムベースの酸変性ポリプロピレン(融解ピーク温度135℃)とランダムポリプロピレン(融解ピーク温度142℃)を、Tダイ型の製膜機を用いて、酸変性ポリプロピレン層(25μm)/ポリプロピレン層(100μm)/酸変性ポリプロピレン層(25μm)が順に積層されるようにして共押出して、金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0125】
(実施例7)
ランダムベースの酸変性ポリプロピレン(融解ピーク温度140℃)とホモポリプロピレン(融解ピーク温度160℃)を、Tダイ型の製膜機を用いて、酸変性ポリプロピレン層(25μm)/ホモポリプロピレン層(100μm)/酸変性ポリプロピレン層(25μm)が順に積層されるようにして共押出して、金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0126】
(実施例8)
酸変性ポリプロピレン(融解ピーク温度140℃)とブロックポリプロピレン(融解ピーク温度164℃)を、Tダイ型の製膜機を用いて、酸変性ポリプロピレン層(35μm)/ポリプロピレン層(80μm)/酸変性ポリプロピレン層(35μm)が順に積層されるようにして共押出して、金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0127】
(比較例1)
ポリプロピレン層として、延伸ポリプロピレンフィルム(OPP,ホモポリプロピレン、厚さ50μm、融解ピーク温度165℃)を用意した。次に、延伸ポリプロピレンフィルムの両面に、それぞれ、ブロックベースの無水マレイン酸変性ポリプロピレン(融解ピーク温度157℃)を押出しラミネート法により積層して、酸変性ポリプロピレン層(25μm)/ポリプロピレン層(50μm)/酸変性ポリプロピレン層(25μm)が順に積層された金属端子用接着性フィルムを製造した。
【0128】
(包装材料の製造)
フェノール樹脂、フッ化クロム(三価)化合物、リン酸の3成分からなる化成処理液で両面を化成処理(リン酸クロメート処理)したアルミニウム箔(厚み40μm)を用意した。次に、このアルミニウム箔の一方の面と、二軸延伸ナイロンフィルム(厚み25μm)とをウレタン系接着剤を介して積層した。次に、アルミニウム箔の他方の面と、未延伸ポリプロピレンフィルム(厚み30μm)とを酸変性ポリプロピレン樹脂(厚み15μm、不飽和カルボン酸でグラフト変性したポリプロピレン)でサンドイッチラミネートすると共に、熱風により酸変性ポリプロピレン樹脂の軟化点以上の温度に加熱して、二軸延伸ナイロンフィルム(25μm)/アルミニウム箔(厚み40μm)/酸変性ポリプロピレン樹脂(厚み15μm)/未延伸ポリプロピレンフィルム(15μm)が順に積層された包装材料を製造した。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
表1及び表2において、PPはポリプロピレン、PPaは酸変性ポリプロピレンを意味する。また、表1において、融解ピーク温度として複数の値が示されている場合、金属端子用接着性フィルムに複数の融解ピークが観察されたことを意味しており、例えば、実施例1では、融解ピーク温度として121℃、157℃、及び159℃が観察された。
【0132】
表1に示されるように、少なくとも1層のポリオレフィン骨格を有する樹脂層を備えており、金属端子用接着性フィルムを示差走査熱量計で測定した場合に、120℃以上156℃以下の範囲に融解ピークが観察される実施例1〜9の金属端子用接着性フィルムは、いずれも、耐電解液性に優れ、さらに、電解液浸漬後のシール強度(すなわち電解液浸漬後の密着性)が高かった。
【解決手段】電池素子の電極に電気的に接続された金属端子と、電池素子を封止する包装材料との間に介在される金属端子用接着性フィルムであって、少なくとも1層のポリオレフィン骨格を有する樹脂層を備えており、前記樹脂層は、酸変性ポリプロピレン層を含んでおり、前記金属端子用接着性フィルムの少なくとも一方側の表層は、層の厚さ10μm以上の前記酸変性ポリプロピレン層によって構成されており、前記酸変性ポリプロピレン層は、断面を電子顕微鏡で観察した際に海島構造が観察され、前記金属端子用接着性フィルムを示差走査熱量計で測定した場合に、120℃以上156℃以下の範囲に融解ピークが観察される。