(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天板と、前記天板を支える左右の脚体と、を備え、前記天板を回動させることによって当該天板の姿勢を水平姿勢と起立姿勢とに切り替え可能な折り畳み式テーブルであって、
前記天板の下面両側端に固定される軸受部材と、前記左右の脚体に設けられた支持部材と、前記支持部材同士を接続する支軸と、を更に備え、
前記軸受部材は、前記天板に固定される固定板の両側から一対の側板が垂下した断面略コ字形状を有し、
前記支持部材と前記軸受部材の外側の側板のうち何れか一方には、前記支軸と同軸に形成されると共に前記軸受部材を前記支持部材に対して回動可能に支持する回動軸部が形成され、
前記軸受部材の内側の側板には、前記支軸に外嵌することによって前記軸受部材を前記支軸に対して回動可能に支持する支軸孔が形成され、
前記天板の前記水平姿勢及び前記起立姿勢は、前記軸受部材の前記一対の側板同士の間に形成された収容空間の内部に収容されると共に当該軸受部材に支持されるラッチ部と、前記支持部材に設けられたラッチ受部が係合することによって維持され、
前記支持部材には、前記ラッチ受部の側面と隣接配置され、ラッチ受部のうち前記水平姿勢において前記ラッチ部と係合する箇所を側面視において覆うように突出することによって使用者が当該ラッチ受部に接触することを抑制する接触抑制部材が設けられる
折り畳み式テーブル。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して説明する。但し、以下で説明する実施形態は本発明を実施するための例示であり、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施形態の折り畳み式テーブルの天板が水平姿勢のときの全体斜視図、
図2は天板が水平姿勢のときの側面図、
図3は天板が起立姿勢のときの側面図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の折り畳み式テーブル100は、天板20と、天板20を支える左右の脚体30、30と、左右の脚体30、30を接続するビーム40と、天板20の下面両側端に固定され天板20をビーム40回りに回動可能に連結する回動機構10、10と、回動機構10、10と連結するレバー機構50、50と、天板20及び脚体30、30に連結されると共に天板20の下方に略垂直に配置される幕板60と、天板20の下面に固定される棚70とを、備える。尚、本明細書では、幕板60に対して脚体30、30が位置する方向を「手前」方向とし、天板20、脚体30、30で囲まれる領域を「内側」とする。
【0019】
本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、天板20を、
図2に示すような略水平な使用姿勢(水平姿勢)と、
図3に示すような天板20の前部が上方へ向いた折り畳み姿勢(起立姿勢)とに変更することができる。また、幕板60は、天板20と連動するようにリンク連結されたものであり、天板20の姿勢の切り替えに伴って、天板20下方に接近して垂下した使用姿勢と両脚体30、30の前縁に沿った折畳み姿勢との間を移動可能に設けられている。折り畳み式テーブル100は、天板20を起立姿勢とすることによって前後にスタッキング可能である。
【0020】
天板20は、水平姿勢若しくは起立姿勢において、回動機構10によって、それぞれの姿勢にロック(維持)されている。使用者は、レバー機構50、50より露出した操作レバー501、501のうち一方を天板20に近づく方向に押し上げることにより回動機構10のロックを解除し、天板20を水平姿勢と起立姿勢との間で回動変位させることができる。折り畳み式テーブル100は、天板20が水平姿勢若しくは起立姿勢に至ったとき、回動機構10によってロックが掛かるようになっている。
【0021】
脚体30、30は、回動機構10を介して天板20を支持する部材である。
図2、3に示すように、脚体30は側面視において略倒Y字形状を有している。脚体30は、ビーム40と接続される支持脚301と、支持脚301の端部より異なる二方向に延在し地面に接地する接地脚302、302とを有する。支持脚301の、折り畳み式テーブル100において内側に位置する面には、回動機構10及び幕板60を接続するためのネジ穴が複数設けられている(
図5参照)。また、接地脚302の端部には、折り畳み式テーブル100を円滑に移動させるためのキャスター303が設けられている。尚、本発明における脚体30の構造は特に限定されず、適宜変更することができる。
【0022】
図4は、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100が起立姿勢のときにおける部分斜視図、
図5〜7は、折り畳み式テーブル100の部分分解図、
図8は
図2で示すA−A断面における折り畳み式テーブル100の部分断面図である。以下、図を用いて、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100のビーム40、回動機構10、レバー機構50について説明する。
【0023】
ビーム40は、脚体30、30同士を接続することで折り畳み式テーブル100の剛性を高めると共に、天板20の回動軸となる部材である。ビーム40は、鉄鋼系材料で成形された鋼管であり、
図7に示すように、端部が開口する円筒形状を有している。また、
図1に示すように、ビーム40は、回動機構10を介して左右の脚体30、30を接続する。ビーム40が回動機構10を介して左右の脚体30、30を接続することによって梁部材として機能するため、折り畳み式テーブル100の構造体としての剛性を確保することができる。また、詳細については後述するが、ビーム40は、天板20の回動軸としての機能も備えている。そのため、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、従来の折り畳み式テーブルと比較して、より広い下肢空間を確保することができる。尚、ビーム40が、本発明における「支軸」に相当する。
【0024】
次に、回動機構10について説明する。回動機構10は、天板20を脚体30に対して回動可能に接続する機構であり、天板20の姿勢を水平姿勢若しくは起立姿勢にロックする機能を備えている。
図4に示すように、本実施形態に係る回動機構10は、軸ピン1、ラッチ2、ラッチプレート3、ラッチフレーム4、フレームカバー5、プレート補強部材6、接触抑制スペーサ7、を含む。回動機構10は、ラッチ2をラッチプレート3に係止することによって、天板20の姿勢を水平姿勢若しくは起立姿勢にロックする。
【0025】
ラッチプレート3は、ラッチ2を係止することによって天板20の姿勢をロックする部材である。また、ラッチプレート3は、軸ピン1とビーム40とを同軸となるように接続することで、軸ピン1とビーム40を介してラッチフレーム4を支持する機能を有する。
図5に示すように、ラッチプレート3は脚体30の支持脚301の上端部に接続される。ラッチプレート3は、鉄鋼系材料の加工によって形成され、
図7に示すように板形状を有している。また、ラッチプレート3は、長手方向の断面視において段差を形成しており、段差を境に互いに平行なラッチ受部31と接続部32とに区分される。尚、ラッチ受部31と接続部32との段差は傾斜部33によって接続されている。また、
図8に示すように、ラッチプレート3は、折り畳み式テーブル100において内方向に位置する面3Aと外
方向に位置する面3Bを有する。ここで、面3A、3Bにおけるラッチ受部31の領域をそれぞれ面31A、31B、接続部32の領域をそれぞれ面32A、面32B、傾斜部33の領域をそれぞれ面33A、面33Bと称する。面32Bは、面31Bの垂線方向において面31Bよりも突出している。また、
図7に示すように、ラッチ受部31の周縁には、ラッチ2と係合する部位である第一係合切欠311と第二係合切欠312が形成されている。第一係合切欠311は、天板20が水平姿勢のときにラッチ2を係止し、第二係合切欠312は、天板20が起立姿勢のときにラッチ2を係止するものである。折り畳み式テーブル100において、第二係合切欠312はラッチ受部31の上端に位置し、第一係合切欠311はラッチ受部31の手前の側端に形成されている。また、ラッチ受部31には、軸ピン1が挿通される接続孔313が形成されている。
【0026】
図8に示すように、折り畳み式テーブル100において、ラッチプレート3の面31Aには、ビーム40の一端が面31Aに対して垂直に接続される。このとき、ビーム40の中心軸は、接続孔313及び軸ピン1の中心軸と同軸となる。そして、
図5に示すように、ラッチプレート3が、支持脚301の内側の側面にネジ止めによって接続される。即ち、ラッチプレート3、3がビーム40の両端に接続され、更に、それぞれのラッチプレート3、3に脚体30、30が接続される。そうすることにより、左右の脚体30、30がビーム40によって接続され、折り畳み式テーブル100の構造体としての剛性が確保される。尚、ラッチプレート3は、本発明における「支持部材」に相当する。
【0027】
軸ピン1は、ビーム40と共に天板20の回動軸となる部材である。
図7、8に示すように、軸ピン1は、ラッチプレート3のラッチ受部31に設けられる。軸ピン1は、鉄鋼系材料によって円柱形状に形成され、軸方向において異なる径を有する。また、軸ピン1には、ラッチプレート3に設けられた接続孔313に挿通可能な外径寸法を有する回動軸部11と、接続孔313よりも外径寸法の大きい径大部12とが形成されている。また、径大部12の外径寸法は、ビーム40の外径寸法よりも小さい。
図8に示すように、軸ピン1は、ラッチプレート3のラッチ受部31の面31Aから回動軸部11を挿通し、径大部12の端面が面31Aに当接すると共に回動軸部11が面31Bから垂直に突出した状態で、ラッチプレート3に溶接される(
図4、6参照)。
図8に示すように、折り畳み式テーブル100において、軸ピン1の中心軸とビーム40の中心軸とが同軸となっている。即ち、軸ピン1は、ビーム40の両端にラッチプレート3を挟んだ状態で、ビーム40と同軸となるように設けられている。そして、
図4、8に示すように、回動軸部11には、ラッチフレーム4が回動可能に外嵌される。尚、折り畳み式テーブル100における軸ピン1及びビーム40の中心軸であって天板20及びラッチフレーム4の回動中心となる軸を、回動軸A1と称する。
【0028】
プレート補強部材6は、ラッチプレート3に取り付けられると共にビーム40に当接することによって、ラッチプレート3及びビーム40の撓みを抑制するための部材である。プレート補強部材6は、鉄鋼系材料の加工によって形成され、
図7に示すように、ベース部6Aと、ベース部6Aの短手方向の両端からベース部6Aの面に対して垂直に延在する側壁部6B、6Bとを有する。また、プレート補強部材6は、ベース部6Aの短手方向において左右対称の形状を有している。
図5に示すように、プレート補強部材6は、折り畳み式テーブル100において、側壁部6B、6Bの先端がラッチプレート3に当接するように取り付けられる。
【0029】
図7に示すように、プレート補強部材6の側壁部6Bは、ラッチプレート3の面31A、32A、33Aに隙間無く当接できるように、先端が段差を有する形状となっている。更に、ベース部6Aの長手方向の一端には、円弧状の円弧切欠61が形成されており、円弧切欠61の径はビーム40の外径と略等しい。プレート補強部材6は、円弧切欠61と側壁部6Bとがビーム40と当接することによってビーム40を軸支する。尚、側壁部6
Bのベース部6Aからの高さ寸法は、ビーム40を好適に軸支可能なように、所定の高さ以上に設計されている。また、側壁部6Bには、接触抑制スペーサ7を取り付けるための取付スリット62が貫通している。
【0030】
ラッチ2は、ラッチプレート3と係合することによって天板20の姿勢を水平姿勢や起立姿勢にロックする部材である。
図4に示すように、ラッチ2は、ラッチフレーム4を介して天板20と連結される。ラッチ2は、鉄鋼系材料の加工によって形成されている。また、
図6に示すように、ラッチ2の長手方向の一端には、係合爪21が短手方向に湾曲するように突出して形成されている。係合爪21は、ラッチプレート3の第一係合切欠311及び第二係合切欠312と係合可能な形状を有している。また、ラッチ2の他端付近には、略小判形に形成された長孔22がラッチ2を厚み方向に貫通している。尚、ラッチ2が、本発明における「ラッチ部」に相当する。
【0031】
次に、ラッチフレーム4について説明する。ラッチフレーム4は、
図4に示すように、天板20に固定されると共にビーム40及び軸ピン1の回動軸部11に回動可能に取り付けられることによって、回動軸A1回りの天板20の回動を実現する部材である。
図9(a)は、ラッチフレーム4の全体を示し、
図9(b)は、ラッチフレーム4の摺動リング45が拡開された状態を示す図である。ラッチフレーム4は、鉄鋼系材料の加工によって形成され、
図9(a)に示すように、天板20に固定される略長方形状の固定板4Aと、固定板4Aの長手方向に沿う両端から固定板4Aに対して垂直に延在する第一側板41、第二側板42とを有する。第一側板41及び第二側板42は、平面視において外形が同形状であり、共に略台形状となっている。
図8に示すように、ラッチフレーム4は、断面視において略コ字形状を形成し、折り畳み式テーブル100において、第一側板41が第二側板42よりも内側に位置するように配置される。ここで、第一側板41と第二側板42との間に画定される空間を収容空間Sと称する。
図4に示すように、収容空間Sには、ラッチ2、ラッチプレート3、プレート補強部材6、接触抑制スペーサ7が収容される。第一側板41と第二側板42との間隔、即ち、固定板4Aの幅は、収容空間Sに上記の部材を収容するために十分な寸法となっている。
【0032】
また、
図9(a)に示すように、第一側板41及び第二側板42は、固定板4Aの長手方向において中途から側端にかけて幅が漸減するように形成されており、それぞれ、基端となる固定板4Aの端辺と平行な先端辺41A、42Aと、斜辺41B、42Bとを有する。斜辺41B、42Bは天板20が水平姿勢のときに、先端辺41A、42Aよりも手前に位置するように形成されている。第二側板42の、基端と先端辺42Aとの中央付近には、第二側板42を貫通する軸ピン孔44が形成されている。軸ピン孔44の径は、軸ピン1の回動軸部11を挿通可能であって、軸ピン孔44が回動軸部11の回りに摺動可能となるような寸法となっている。また、先端辺41Aには、第一側板41の基端付近にまで至るU字形状のU字切欠43が形成されている。U字切欠43には、ビーム40が摺動可能に挿通される摺動リング45が嵌着される。
【0033】
摺動リング45は、樹脂材料によって形成され、
図9(a)に示すように、U字切欠43に嵌着されると共にビーム40回りに摺動することによって、ラッチフレーム4のビーム40に対する相対回動を許容する部材である。摺動リング45には、ビーム40を挿通可能な径を有するビーム孔451が形成されている。即ち、摺動リング45は、ビーム40の側面に対してビーム孔451の内壁で摺動可能となっている。また、ビーム孔451は、摺動リング45がU字切欠43に嵌着されたときに、中心軸が軸ピン孔44の中心軸と同軸となるように形成されている。ラッチフレーム4は、ビーム孔451と軸ピン孔44の中心軸が一致していることによって、回動軸A1回りに回動自在に取り付けることができる。また、摺動リング45は、U字切欠43に嵌着可能とするために、平面視においてU字切欠43の内縁と同形状となるU字形状のU字縁452と、U字縁452の端部同
士を接続する直線縁453とによって外形を形成している。直線縁453の中央付近には、ビーム孔451にまで至るスリット454が形成されている。
図9(b)に示すように、摺動リング45は、スリット454を拡開することによって、U字縁452の中央付近に形成されたヒンジ部455を支点として半割状態とすることができる。
【0034】
また、
図9(a)に示すように、ラッチフレーム4の第一側板41及び第二側板42には、フレームカバー5を取付けるための取付孔46、46がそれぞれ設けられている。また、第一側板41及び第二側板42には、レバー機構50の操作レバー501をラッチフレーム4に対して回動可能に接続するための、レバー貫通孔47、47が設けられている。尚、ラッチフレーム4が本発明における「軸受部材」に相当し、摺動リング45が「嵌着部材」に相当し、ビーム孔451が「支軸孔」に相当する。
【0035】
接触抑制スペーサ7は、
図4、7に示すように、プレート補強部材6を介してラッチプレート3に設けられる部材である。接触抑制スペーサ7は、ラッチプレート3のラッチ受部31に隣接するように設けられることによって、ラッチプレート3に使用者の指等が接触することを抑制する。
図10は、接触抑制スペーサ7を示す図である。接触抑制スペーサ7は、樹脂材料の加工によって形成される。
図10(a)、(b)に示すように、接触抑制スペーサ7は、土台となる支板71と、支板71の両面の周縁から支板71の面に対して垂直に延設された縁板72と、縁板72に囲まれた領域を分断する仕切板73とを有する。縁板72は、
図10(b)に示す接触抑制面721を有する。接触抑制スペーサ7は、折り畳み式テーブル100において、収容空間Sの内部に設けられ、支板71がラッチプレート3と平行となると共に接触抑制面721が手前に位置するように配置される。
【0036】
接触抑制面721は曲面で形成され、天板20が回動する際にフレームカバー5と接触しないように、側面視においてドーム形状を有している。また、
図4に示すように、接触抑制面721は、折り畳み式テーブル100において、ラッチ受部31に隣接し、且つ、ラッチ受部31よりも手前に突出するように形成されている。その結果、使用者の指がラッチ受部31に接触することが抑制される。また、
図10(b)に示すように、接触抑制スペーサ7のプレート補強部材6と対向する面には、プレート補強部材6の取付スリット62と係合する取付片74と、ビーム40と当接するように円弧形状に切り欠けられたビーム当接片75が設けられている。尚、接触抑制スペーサ7が、本発明における「接触抑制部材」に相当する。
【0037】
フレームカバー5は、
図6に示すように、ラッチフレーム4の第一側板41及び第二側板42の端部同士を接続することによって、収容空間Sを覆う部材である。即ち、フレームカバー5は、天板20と共に回動軸A1を軸として回動する。フレームカバー5は、樹脂材料によって形成され、中途で折り曲がった帯形状を有している。フレームカバー5は、短手方向において対称の形状を有しているため、折り畳み式テーブル100の両端の回動機構10、10で共通の形状を用いることができる。
【0038】
図11(a)は、フレームカバー5を示す図、
図11(b)は、折り畳み式テーブル100におけるフレームカバー5とラッチ2の位置関係を示す図である。
図11(a)に示すように、フレームカバー5は、折り曲げ部分を境に、ラッチフレーム4の第一側板41及び第二側板42の先端辺41A、42Aに当接する第一カバー部5Aと、斜辺41B、42Bに当接する第二カバー部5Bとに区分される。第一カバー部5Aの長手方向の長さは、ラッチフレーム4の先端辺41A、42Aの長さよりも短く形成されている。また、フレームカバー5の、ラッチフレーム4に装着された際に内側に位置する面、即ち収容空間Sに対向する面(以下、「カバー裏面」)には、フレームカバー5の剛性を高めるためのリブ51が形成されている。リブ51は、フレームカバー5の両側端付近に長手方向に沿うように形成される縦リブ51a、51aと、縦リブ51a、51aと直交する複数の
横リブ51bとを有する。縦リブ51a及び横リブ51bは、それぞれ、第一カバー部5Aのカバー裏面に対して垂直に突出している。縦リブ51a、51aには、ラッチフレーム4の取付孔46、46と係合することによってラッチフレーム4にフレームカバー5を固定する取付爪52、52が形成されている。
【0039】
また、第一カバー部5Aのカバー裏面には、突起53が形成されている。詳細については後述するが、突起53は、使用者の指が回動機構10の内部に接触することを抑制すると共に、ラッチ2の軸方向の位置ずれを抑制するために設けられている。突起53は、側面視において三角形状を有すると共に縦リブ51aと平行となるように等間隔に配置される複数の三角リブ531と、横リブ51bと平行となるように配置されると共に複数の三角リブ531を接続することによって三角リブ531を補強する補強リブ532とを有する。三角リブ531は、第一カバー部5Aの先端に連なる斜面531aを有している。フレームカバー5は、天板20が水平姿勢及び起立姿勢にあるときや水平姿勢から起立姿勢との間を回動する際に、斜面531aと接触抑制スペーサ7の接触抑制面721との隙間が所定の大きさ以下となるように形成されている。また、突起53は、フレームカバー5の短手方向において中央に位置している。突起53の両側端に位置する三角リブ531、531と縦リブ51a、51aとの間には、同幅寸法のラッチガイド54、54が形成されている。ここで、ラッチガイド54は、三角リブ531と縦リブ51aとの間に形成される空間のことを指す。
図11(b)に示すように、ラッチガイド54の幅寸法は、ラッチ2の厚み寸法よりも若干大きくなっている。
【0040】
尚、
図12に示すように、フレームカバー5とラッチフレーム4が接続された状態では、外部から収容空間Sの内部に通じる開口Hが形成されている。開口Hは、天板20が水平姿勢と起立姿勢と回動する際にラッチプレート3やプレート補強部材6、接触抑制スペーサ7に、フレームカバー5とラッチフレーム4が干渉しないために形成されている(
図13A〜13D参照)。尚、フレームカバー5が、本発明における「カバー部材」に相当し、突起53が「突起部」に相当する。また、三角リブ531及び縦リブ51aが本発明における「一対のガイド壁」に相当する。
【0041】
次に、レバー機構50について説明する。
図1に示すように、レバー機構50、50は、折り畳み式テーブル100の両側に設けられている。また、
図5に示すように、レバー機構50は、使用者が回動操作する操作レバー501と、使用者が一方のレバー機構50に設けられた操作レバー501を操作した際に、他方のレバー機構50を連動させるためのリンクパイプ502と、ラッチ2をラッチプレート3に係合する方向に附勢するバネ部材(図示なし)と、を有する。尚、レバー機構50、50において、リンクパイプ502は同一のものが用いられる。
図5に示すように、操作レバー501は、使用者が保持する操作部501aと、操作部501aの側面から垂直に突出する接続柱501bとを有している。接続柱501bは断面視において略小判形に形成されている。
【0042】
図6に示すように、折り畳み式テーブル100において、操作レバー501の接続柱501bが、ラッチフレーム4に設けられたレバー貫通孔47、47に挿通されることによってラッチフレーム4を貫通する。このとき、接続柱501bは、ラッチフレーム4の内部のラッチ2に設けられた長孔22を貫通すると共に、接続柱501bの側面が長孔22の内壁と係合する。その結果、ラッチ2が、ラッチフレーム4に対して回動可能に接続される。そして、操作部501aの回動操作に伴って、ラッチ2は接続柱501bの延伸方向を回動軸A2として回動することができる。また、リンクパイプ502は両端が開口した四角筒形状を有している。リンクパイプ502の一端には、ラッチフレーム4を貫通した接続柱501bの先端が挿入されると共に接続柱501bの側面がリンクパイプ502の内壁と係合する。即ち、操作部501aの回動操作に伴って、リンクパイプ502が同方向に回動する。そして、リンクパイプ502の他端には、他方のレバー機構50の接続
柱501bが接続される。そうすることによって、折り畳み式テーブル100において、使用者が一方の操作レバー501を回動操作するのみで、回動機構10、10のラッチ2、2を同時且つ同方向に回動させることができる。
【0043】
次に、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100において、回動機構10を組み立てる際の順序について説明する。まず、
図7に示す状態から、ラッチプレート3の接続孔313から軸ピン1を挿入し、回動軸部11が面31Bから突出した状態で軸ピン1とラッチプレート3とを溶接する。その状態で、軸ピン1の中心軸とビーム40の中心軸とが同一となるように、ビーム40の両端にラッチプレート3を溶接する。次に、プレート補強部材6をラッチプレート3に溶接する。その状態で、プレート補強部材6に接触抑制スペーサ7を接続する。次に、ラッチフレーム4のU字切欠43にビーム40を逃がしながら、ラッチプレート3をラッチフレーム4内の収容空間Sに収納し、回動軸部11を軸ピン孔44に挿通する。そして、
図9(b)に示すように、摺動リング45をスリット454から拡開して半割状態にし、摺動リング45をビーム40に装着することでビーム孔451にビーム40を挿通する。その状態で、摺動リング45をラッチフレーム4のU字切欠43に嵌着する。このようにして、ラッチフレーム4がビーム40と回動軸部11とに接続される。そして、天板20にラッチフレーム4の固定板4Aを固定すると共にレバー機構50をラッチフレーム4に接続する。その状態でフレームカバー5の取付爪52、52をラッチフレーム4の取付孔46、46と係合することによってラッチフレーム4にフレームカバー5を固定する。これにより、
図4に示す回動機構10が組み立てられる。
【0044】
尚、この状態では、プレート補強部材6は、ラッチプレート3に溶接されると共に、円弧切欠61と側壁部6Bとでビーム40の下方に溶接されている。そのため、ラッチプレート3やビーム40の撓みが抑制されている。また、回動機構10に開口Hが形成されていることによって、天板20が回動するための空間が確保されている。より詳細には、天板20の回動がラッチフレーム4やフレームカバー5によって阻害されない。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、回動軸部11がビーム40と同軸となるように設けられている。そのため、折り畳み式テーブル100によれば、梁部材と天板の回動軸とを別部材によって構成する従来の折り畳み式テーブルと比較して、より広い下肢空間を確保することができる。
【0046】
そして、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、天板20に固定されたラッチフレーム4が、回動軸部11のみでなくビーム40に対しても回動可能に取り付けられる。より詳細には、ラッチフレーム4は、第二側板42に形成された軸ピン孔44がビーム40と同軸に設けられた回動軸部11に回動可能に支持されると共に、第一側板41に形成されたビーム孔451がビーム40に回動可能に支持されている。即ち、ラッチフレーム4は、回動軸部11とビーム40との2箇所で支えられている。そのため、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100によると、ラッチフレームを1箇所で支持する片持ち方式である従来の折り畳み式テーブルと比較して、ラッチフレーム4の剛性をより高めることができ、荷重によるラッチフレーム4に捩れや撓みを生じ難くすることができる。その結果、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100によれば、天板20をより安定して支持することがきる。
【0047】
また、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、ビーム孔451が、ラッチフレーム4の第一側板41に形成されたU字切欠43に嵌着可能な摺動リング45に形成されている。そのため、ビーム40にラッチフレーム4を接続する際に、ビーム40をU字切欠43に逃がすことができ、ラッチプレート3やプレート補強部材6が接続されているビーム40に対してラッチフレーム4を容易に接続することができる。また、ビーム40をU字切欠43に逃がしながら回動軸部11を軸ピン孔44に挿通した後で、摺動リング4
5をビーム40に装着した状態で摺動リング45をU字切欠43に嵌着することによって、ラッチフレーム4をビーム40と回動軸部11とに接続することができ、ビーム40とビーム孔451との軸合わせを容易に行うことができる。従って、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100によれば、従来よりも組み立てを容易に行うことができる。
【0048】
また、折り畳み式テーブル100の回動機構10には、ラッチフレーム4が回動するための空間を確保するために、開口Hが形成されている。そのため、例えば、
図4に示すように、起立姿勢において、収容空間S内部のラッチプレート3の第一係合切欠311の位置に開口Hが開口しており、第一係合切欠311がフレームカバー5によって覆われていない。しかしながら、上述したように、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、ラッチプレート3にプレート補強部材6を介して接触抑制スペーサ7が設けられている。そして、接触抑制スペーサ7は、収容空間Sにおいてラッチプレート3と隣接配置されている。接触抑制スペーサ7の接触抑制面721はラッチプレート3よりも手前に突出しているため、使用者の指等が開口Hからラッチプレート3に接触することが抑制される。その結果、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100によれば、天板20の回動の際に使用者の指等が不意に収容空間Sに巻き込まれることを抑制することができる。
【0049】
次に、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100の天板20を水平姿勢から起立姿勢に切り替える際の動作について説明する。
図13A〜13Dは、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100の天板20が水平姿勢から起立姿勢に至る過程における説明図である。
図13Aは、天板20が水平姿勢にある状態を示す図である。
図13Aに示すように、天板20が水平姿勢から起立姿勢へ至る際の天板20の回動軸A1回りの回動方向を第一方向D1、第一方向D1とは反対の方向であって、起立姿勢から水平姿勢へ至る際の回動方向を第二方向D2とする。また、折り畳み式テーブル100は、操作レバー501の操作部501aの先端を天板20に近づける操作を行うことによって、天板20の姿勢維持を解除する。その際、操作レバー501が回動軸A2を軸に回動すると共にラッチ2が操作レバー501と同方向に回動して係合爪21がラッチプレート3から離間する。この、天板20の姿勢維持を解除するために操作レバー501及びラッチ2が回動軸A2回りに方向を解除方向D3とし、解除方向D3と反対回りの方向を係合方向D4とする。本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、ラッチ2がバネ部材の附勢力によって、常に係合方向D4に附勢されている。
【0050】
図13Aに示すように、水平姿勢の状態では、ラッチ2の係合爪21がラッチプレート3の第一係合切欠311と係合することによって、ラッチ2がラッチプレート3に係止されている。そのため、天板20の第一方向D1への回動が規制されている。また、ラッチ2はバネ部材によって係合方向D4に附勢されており、不用意に係合爪21と第一係合切欠311との係合が解除されることを抑制している。その結果、この状態では、天板20は水平姿勢にロックされている。
【0051】
この状態から天板20の姿勢を起立姿勢に切り替えるには、使用者が折り畳み式テーブル100の両端に設けられたレバー機構50、50のうち、一方のレバー機構50を操作してロックを解除する必要がある。尚、レバー機構50、50及び回動機構10、10はそれぞれ、リンクパイプ502を介して連動しているため、一方のレバー機構50を操作するのみでロックの解除が可能である。以下、一方のレバー機構50及び回動機構10のみの動作について説明し、他方の動作は同様の動きであるため、説明は割愛する。
【0052】
天板20のロックを解除するには、使用者が操作レバー501の操作部501aの先端を天板20に接近させる方向に押し上げることによって、操作レバー501を解除方向D3へ回動させる。すると、それに伴ってラッチ2も解除方向D3へ回動するため、
図13Bに示すように、ラッチ2の係合爪21が第一係合切欠311から離れる。その結果、係
合爪21と第一係合切欠311との係合が解除され、天板20の水平姿勢のロックが解除される。この状態で天板20の姿勢を切り替えることが可能となる。即ち、天板20をD1へ回動させることが可能となる。
【0053】
天板20のロックが解除された状態で、天板20の姿勢を水平姿勢から起立姿勢に切り替えるためには、天板20を第一方向D1に回動させる。
図13Cは、天板20が第一方向D1へ回動した状態を示す図、
図13Dは、天板20が起立姿勢にロックされた状態を示す図である。使用者が天板20を第一方向D1へ回動させようと天板20を押操作すると、ラッチフレーム4の軸ピン孔44及びビーム孔451が回動軸部11及びビーム40回りに摺動することによって、天板20が第一方向D1へ回動する。天板20は、
図13Cに示す状態を経て、完全に起立した状態となる。ラッチ2はバネ部材によって常に係合方向D4に附勢されているため、自動的に係合方向D4へ回動し、
図13Dに示すように、係合爪21と第二係合切欠312とが係合する。その結果、天板20の第二方向D2への回動が規制され、天板20が起立姿勢にロックされる。以上の動作によって、天板20の姿勢が水平姿勢から起立姿勢へと切り替えられる。
【0054】
尚、天板20を起立姿勢から水平姿勢へと切り替える際には、上記と逆の操作を行えばよい。即ち、操作レバー501を解除方向D3へ回動させることによって、ラッチ2の係合爪21とラッチプレート3の第二係合切欠312との係合を解除し、天板20を第二方向D2へ回動させる。そうすることによって天板20が水平姿勢となる。この状態で、操作レバー501が係合方向D4へ回動し、ラッチ2の係合爪21とラッチプレート3の第一係合切欠311とが係合することによって、天板20が水平姿勢にロックされる。
【0055】
ここで、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、フレームカバー5の突起53を形成する三角リブ531の斜面531aが、接触抑制スペーサ7との隙間が常に所定の大きさ以下となるように形成されている。
図13A〜13Dの図中における点Pは、斜面531a上の点であって、フレームカバー5が回動する軸である回動軸A1から最も近い点を示す。また、図中の一点鎖線で示される円Cは、回動軸A1を中心とする円を示し、円Cの半径は回動軸A1と点Pとの距離と等しい。即ち、天板20が水平姿勢と起立姿勢との間を回動する際に、点Pは円C上を移動する。折り畳み式テーブル100は、円Cと、接触抑制スペーサ7の接触抑制面721との距離が所定の値以下となるように設計されている。そうすることによって、天板20が水平姿勢と起立姿勢との間においてどの位置にあっても、斜面531aと接触抑制スペーサ7との隙間が所定の大きさ以下に保たれる。所定の大きさとは、使用者の指等が隙間に侵入することを防止することができる程度の大きさである。
【0056】
即ち、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100は、フレームカバー5のカバー裏面に突起53が設けられており、突起53が、天板20が水平姿勢と起立姿勢との間を回動する際に使用者の指等がフレームカバー5と接触抑制スペーサ7との隙間から収容空間Sの内部に入り難くなるように形成されている。そのため、折り畳み式テーブル100によれば、天板20の回動の際に使用者の指等が不意に収容空間Sの内部に巻き込まれることをより一段と抑制することができる。
【0057】
また、上述したように、天板20の姿勢のロックを解除若しくは姿勢をロックするための操作レバー501の回動操作に伴い、ラッチ2も解除方向D3若しくは係合方向D4へ回動する。このとき、ラッチ2の回動は、フレームカバー5のカバー裏面から収容空間Sに向けて立設する三角リブ531及び縦リブ51aによって形成されたラッチガイド54によってガイドされている。より詳細には、ラッチ2は、その回動する範囲において、回動軸A2の軸方向から縦リブ51aと三角リブ531との隙間に受け入れられている。そのため、本実施形態に係る折り畳み式テーブル100によれば、ラッチ2の回動軸A2回
りの回動はガイドしつつも、ラッチ2の回動軸方向への位置ずれを抑制することができる。
【0058】
尚、以上の説明では、ラッチガイド54を縦リブ51aと突起53によって形成したが、本発明はこれに限定するものではない。即ち、ラッチガイド54はフレームカバー5のカバー裏面より収容空間Sの内部に向かって立設する一対のガイド壁によって形成されていてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、ラッチプレート3より回動軸部11が突出し、ラッチフレーム4に軸ピン孔44が形成されていたが、本発明はこれに限定するものではない。即ち、ラッチフレーム4に天板20の回動軸となる回動軸部が設けられ、ラッチプレート3に当該回動軸部を軸支する孔が設けられていてもよい。また、本発明は、ラッチプレート3と脚体30を一体の部材としてもよい。
【0060】
また、本実施形態では、ラッチプレート3、プレート補強部材6、接触抑制スペーサ7を、それぞれ別部材で構成したが、本発明はこれに限定しない。即ち、プレート補強部材6と接触抑制スペーサ7とを一体の部材で構成してもよいし、ラッチプレート3とプレート補強部材6とを一体の部材で構成してもよく、また、ラッチプレート3とプレート補強部材6と接触抑制スペーサ7とを一体の部材で構成してもよい。
【0061】
また、本実施形態では、摺動リング45とフレームカバー5を別部材として構成したが、本発明はこれに限定するものではなく、摺動リング45とフレームカバー5を一体の部材として構成してもよい。
【0062】
更に、本実施形態では、ラッチ2がラッチプレート3と係合するための爪を有し、ラッチプレート3が切欠を有したが、本発明はこれに限定するものではない。即ち、ラッチ2が係合用の切欠を有し、ラッチプレート3が係合用の爪を有していてもよい。
【0063】
尚、上記した種々の内容は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、可能な限り組み合わせることができる。