特許6760694IP Force 特許公報全文掲載

技術分野

がいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムに関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば送電設備,変電設備,配電設備,或いはき電設備に実際に備えられているがいし類の表面における付着塩分(主にNaCl)の定量的な計測に用いて好適な技術に関する。

発明が解決しようとする課題[発明の詳細な説明]から抜粋

しかしながら、従来のがいし類の汚損計測は、パイロットがいしの汚損採取によって行われているため、オフサイト且つオフライン計測であるという問題がある。 これを、レーザー誘起ブレイクダウン分光(LIBS:Laser Induced Breakdown Spectroscopy の略)を用いた手法に置き換えることができれば、がいし類の付着物質の多成分計測且つリアルタイム計測を遠隔にて実施し得ると期待される。 また、がいし類の汚損の程度については、一般汚損地域(具体的には、SDD<0.01 mg/cm2)から特殊地域(具体的には、SDD>0.35 mg/cm2)までの広範囲に及ぶ区分が規定されている(一般社団法人電気協同研究会「配電機材に対する劣化環境の定量評価」,電気協同研究,第69巻第3号,2013年)。 これに対し、発明者は、がいし類の表面の付着塩分をレーザー誘起ブレイクダウン分光を用いて定量的に計測する技術を構築するために計測対象物(即ち、がいし類)へのレーザー光の照射によるプラズマ光の発光強度について分析を行い、レーザー誘起ブレイクダウン分光を利用した計測によって得られる特定の発光線(即ち、発光波長,分析線の波長)の発光スペクトルを用いることによって付着塩分を定量的に計測し得ることを見出した。 発明者は、また、単一の発光線(即ち、発光波長,分析線の波長)の発光スペクトルのみを用いた場合には、発光の飽和や自己吸収と想定される事象により、低濃度から高濃度までの広範囲について高感度の計測を行うことは困難であるという事実に直面した。 そこで、本発明は、がいし類の表面の付着塩分を、遠隔で且つ迅速に、レーザー誘起ブレイクダウン分光を用いて定量的に計測することができるがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、がいし類の表面の付着塩分を、に加え、低濃度から高濃度までの広範囲に及ぶ計測が必要な場合への対応として、広範囲の濃度ついて高感度に、レーザー誘起ブレイクダウン分光を用いて定量的に計測することができるがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段[発明の詳細な説明]から抜粋

かかる目的を達成するため、本発明者等が種々試験・研究した結果、見出した知見によれば、Naの発光波長818.33 nm や819.48 nm の発光強度は高く(言い換えると、高感度であり)且つ塩分付着密度の変化に対して飽和し難い(即ち、塩分付着密度の増加に伴う強度変化の頭打ちが生じ難い)ので、低密度から高密度までの広い範囲に亙ってがいし類の表面の塩分付着密度が計測され得る。また、塩分付着密・・・ 続きを知財ポータルサイト IP Force にログインして見る
【発明の効果】
本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムによれば、測定器を充電部から十分に離して計測することができるので、充電線路のがいし類を安全に計測することが可能であり、したがって安定供給に貢献することが可能になり、延いては、がいし類の監視手法としての信頼性の向上が可能になる。 本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムによれば、また、がいし類の表面の付着物質分布を高い空間分解能で計測することができるので、塩分付着分布の偏りによる局所的な導電路の形成等をも検出することが可能になり、延いては、がいし類の監視手法としての信頼性の向上が可能になる。 本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムによれば、また、低密度から高密度までの広い範囲に亙ってがいし類の表面の塩分付着密度を計測することができるので、がいし類の監視手法としての有用性の向上が可能になる。 本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムによれば、また、種々の元素を計測対象とすることができるので、塩分付着密度と等価塩分付着密度とに寄与する多元素の同定が可能になり、延いては、がいし類の監視手法としての有用性の向上が可能になる。 また、本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムは、発光波長が589.00 nm,589.59 nm のNaの発光強度も利用するようにした場合には、塩分付着密度が低い場合に特に良好な精度で塩分付着密度を計測することができるので、付着塩分が低密度であっても良好な計測を行うことが可能になり、延いては、がいし類の監視手法としての信頼性の向上が可能になる。 また、本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムは、発光波長が837.59 nm のClの発光強度も利用するようにした場合には、塩分付着密度が高い場合に特に良好な精度で塩分付着密度を計測することができるので、付着塩分が高密度であっても良好な計測を行うことが可能になり、延いては、がいし類の監視手法としての信頼性の向上が可能になる。 また、本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムは、Clの発光強度とOの発光強度との比も利用するようにした場合には、塩分付着密度が高い場合に特に良好な精度で塩分付着密度を計測することができるので、付着塩分が高密度であっても良好な計測を行うことが可能になり、さらに、レーザー照射条件の変化に対して影響の少ない検量線を得ることができるので、レーザー照射条件の変動に強く且つ塩分付着密度について低密度から高密度までの広い範囲で適用が可能である検量線を設定することが可能になり、延いては、がいし類の監視手法としての信頼性の向上が可能になる。 また、本発明のがいし類の汚損の計測方法、計測装置、及び計測プログラムは、Clの発光強度とOの発光強度との比が用いられる場合には、塩分付着密度が高い場合に特に良好な精度で塩分付着密度を計測することができるので、付着塩分が高密度であっても良好な計測を行うことが可能になり、さらに、レーザー照射条件の変化に対して影響の少ない検量線を得ることができるので、レーザー照射条件の変動に強く且つ塩分付着密度について低密度から高密度までの広い範囲で適用が可能である検量線を設定することが可能になり、延いては、がいし類の監視手法としての信頼性の向上が可能になる。

この発明についての権利主張の範囲[特許請求の範囲]

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この特許公報に記載されている図面[図面の簡単な説明]から抜粋

【図1】本発明のがいし類の汚損の計測方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。

【図2】実施形態のがいし類の汚損の計測方法をがいし類の汚損の計測プログラムを用いて実施する場合の当該プログラムによって実現されるがいし類の汚損の計測装置の機能ブロック図である。

【図3】レーザー光の照射及び発光スペクトルの計測を行う態様の一例を示す概念図である。

【図4】本発明のがいし類の汚損の計測方法の他の実施形態の一例を示すフローチャートである。

【図5A】実施例1における塩分付着密度が0.008 mg/cm2 のときのNaの発光線(発光波長:589.00 nm,589.59 nm)を含む波長帯域の発光スペクトルを示す図である。

【図5B】実施例1における塩分付着密度が0.248 mg/cm2 のときのNaの発光線(発光波長:589.00 nm,589.59 nm)を含む波長帯域の発光スペクトルを示す図である。

【図6】実施例1におけるレーザーエネルギー別の各塩分付着密度に対するNa(発光波長:589.00 nm)の発光強度を示す図である。

【図7A】実施例1における塩分付着密度が0.008 mg/cm2 のときのNaの発光線(発光波長:818.33 nm,819.48 nm)及びOの発光線(発光波長:777.19 nm)を含む波長帯域の発光スペクトルを示す図である。

【図7B】実施例1における塩分付着密度が0.515 mg/cm2 のときのNaの発光線(発光波長:818.33 nm,819.48 nm)及びOの発光線(発光波長:777.19 nm)を含む波長帯域の発光スペクトルを示す図である。

【図8】実施例1におけるレーザーエネルギー別の各塩分付着密度に対するNa(発光波長:819.48 nm)の発光強度を示す図である。

【図9】実施例1におけるレーザーエネルギー別の各塩分付着密度に対するO(発光波長:777.19 nm)の発光強度を示す図である。

【図10A】実施例1における塩分付着密度が0.026 mg/cm2 のときのClの発光線(発光波長:837.59 nm)及びOの発光線(発光波長:844.64 nm)を含む波長帯域の発光スペクトルを示す図である。

【図10B】実施例1における塩分付着密度が0.515 mg/cm2 のときのClの発光線(発光波長:837.59 nm)及びOの発光線(発光波長:844.64 nm)を含む波長帯域の発光スペクトルを示す図である。

【図11】実施例1におけるレーザーエネルギー別の各塩分付着密度に対するCl(発光波長:837.59 nm)の発光強度を示す図である。

【図12】実施例1におけるレーザーエネルギー別の各塩分付着密度に対するO(発光波長:844.64 nm)の発光強度を示す図である。

【図13】実施例1におけるレーザーエネルギー別の各塩分付着密度に対するO(発光波長:844.64 nm)の発光強度に対するCl(発光波長:837.59 nm)の発光強度の比を示す図である。

選択図 図1出願人が指定した本件の代表的な図

10 がいし類の汚損の計測装置   17 がいし類の汚損の計測プログラム

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