(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記クランプ機構が前記開閉動作用カムによって閉じられる際に前記昇降動作用カムが前記突き部を下降させて、前記第一搬送機によって搬送される前記チップの上から前記突き部が前記チップを支持することを特徴とする請求項1又は2に記載のチップ移載装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているので、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0030】
1. チップ移載装置(チップ供給装置)の概要
図1は、チップ移載装置1の平面図である。
【0031】
このチップ移載装置1の前側と後ろ側に、第一搬送機10と処理機20がそれぞれ設けられている。そして、チップ移載装置1は、第一搬送機10によって等間隔で順次送られるチップ2を処理機20の第二搬送機24に順次移載するものである。ここで、チップ2は電子部品であるが、電子部品以外の小片であってもよい。
【0032】
第一搬送機10はベルトコンベア型の搬送機である。第一搬送機10は無端状ベルト11、複数の支持部12、モーター13及び複数のプーリー等を備える。
図1の図示方向に見て複数のプーリーが左右方向に配列され、これらプーリーの回転軸が前後方向に延び、無端状ベルト11がこれらプーリーに支持されている。何れかのプーリーがモーター13によって駆動されることによって、無端状ベルト11が循環し、無端状ベルト11の上部が矢印Aの方向に送られ、無端状ベルト11の下部が矢印Aの反対向きに送られる。無端状ベルト11の外周面(無端状ベルト11の上部の上面や無端状ベルト11の下部の下面)には、複数の支持部12がベルト11の長手方向に沿って等間隔で配列されるよう設けられている。これら支持部12は吸着ノズルにより構成されている。吸着ノズルの先端がベルト11の外方に向けて突き出るように設けられており、その先端に吸引口が設けられている。チップ2は矢印Aの方向に移動する支持部12の吸引口に載置され、支持部12が負圧によってチップ2を吸着する。
【0033】
処理機20は打錠処理を行うものである。具体的には、チップ移載装置1によって供給されたチップ2とともに粉末を圧縮により固形化することによって、チップ2が埋め込まれた錠剤を成形するものである。処理機20は、チップ受け部としての複数の臼21、上杵(図示略)、下杵(図示略)及び臼送り装置23を備える。上から見て、複数の臼21が閉じた経路(例えば、オーバル形状の経路)に沿って配列され、これら臼21が臼送り装置23によって閉経路に沿って移動されることによってこれら臼21が周回する。この臼送り装置23及びこれら臼21を有する装置が第二搬送機24である。
【0034】
各臼21には臼孔22が上下に貫通し、下杵及び上杵が臼孔22の貫通方向に沿って昇降可能となって各臼21に設けられている。臼21が閉経路に沿って一周する間に、チップ2がチップ移載装置1によって臼孔22に供給され、粉末が粉末供給装置によって臼孔22に供給され、臼孔22内の粉末及びチップ2が上杵と下杵によって上下に挟まれ、臼孔22内の粉末が上杵及び下杵の圧力によって固形化される。臼21がチップ移載装置1の後ろ側を矢印Bの方向に通過する際には、下杵が臼21の下方から臼孔22に差し込まれた状態にあり、上杵が臼孔22から上に抜けた状態にあり、チップ2がチップ移載装置1によって臼21の上から臼孔22に供給される。なお、臼21の軌跡となる閉経路がオーバル形状である場合、臼21が閉経路の一部の直線状区間を移動する際に、チップ2がチップ移載装置1によって臼孔22に供給される。
【0035】
チップ移載装置1はピックアップ機列3、走行ガイド110、開閉動作用カム120、昇降動作用カム130及び周運動用駆動装置140等を備える。
走行ガイド110は、閉じた経路状に形成されたガイドレールである。より具体的には、上から見て、走行ガイド110は、オーバル形状(角丸長方形)に形成されているので、前側の直線状並走区間110aと左側の半円弧状搬送区間110cと後ろ側の直線状並走区間110bと右側の半円弧状戻り区間110dから構成されている。前側の並走区間110aは、第一搬送機10の搬送路(その搬送路ではチップ2が矢印Aの方向に直線状に搬送される。)に対して並列した区間(第一並走区間)である。後ろ側の並走区間110bは、第二搬送機24の搬送路(その搬送路では臼21が矢印Bの方向に直線状に走行する。)に対して並列した区間(第二並走区間)である。並走区間110a,110bの左端同士が搬送区間110cによって接続され、並走区間110a,110bの右端同士が戻り区間110dによって接続されている。
【0036】
ピックアップ機列3は、モジュール化された複数のピックアップ機30(
図2〜
図8参照)を有する。これらピックアップ機30が走行ガイド110に沿って等間隔で配列されることによって、ピックアップ機列3が構成される。これらピックアップ機30は走行ガイド110の全周に渡って配列されているが、
図1において走行ガイド110、開閉動作用カム120及び昇降動作用カム130を見やすくするために、一部のピックアップ機30を図示する。
【0037】
これらピックアップ機30は、走行ガイド110上に支持されているとともに、走行ガイド110に沿って案内される。周運動用駆動装置140は、ピックアップ機30に動力を付与して、上から見て時計回りの方向へピックアップ機30を走行させる。これにより、ピックアップ機30が走行ガイド110に沿って周回される。ピックアップ機30の走行速度はベルト11及び臼21の走行速度に等しい。
【0038】
開閉動作用カム120は、ピックアップ機30の走行に伴って、ピックアップ機30に開閉動作を行わせるものである。昇降動作用カム130は、ピックアップ機30の走行に伴って、ピックアップ機30にチップ2の抑え動作及び突き落とし動作を行わせるものである。ピックアップ機30が支持部12と並行して並走区間110aを走行する際に、ピックアップ機30がチップ2を挟み込んでピックアップする動作を開閉動作用カム120によって行うとともに、ピックアップ機30がチップ2を上から抑える動作を昇降動作用カム130によって行う。その後、ピックアップ機30が並走区間110aから並走区間110bに向かって搬送区間110cを走行する際には、ピックアップ機30がチップ2をピックアップした状態を維持する。その後、ピックアップ機30が臼21と並行して並走区間110bを走行する際に、ピックアップ機30がチップ2を突き落とす動作を昇降動作用カム130によって行う。その後、ピックアップ機30が並走区間110bから並走区間110aに向かって戻り区間110dを走行する際に、ピックアップ機30が開いた状態を維持する。
【0039】
2. ピックアップ機の構成
図2〜
図8を参照して、ピックアップ機30について詳細に説明する。
図2はピックアップ機30の側面図であり、
図3〜
図5はピックアップ機30の平面図であり、
図6〜
図8はピックアップ機30の正面図である。なお、ピックアップ機30の前面とは、走行ガイド110の外側を向く面をいい、ピックアップ機30の後面とは、走行ガイド110の内側を向く面をいう。
【0040】
ピックアップ機30は移動体(走行体)40、クランプ機構50、挟持力発生機構60、開閉レバー70、突き棒(突き部)80、直動案内機構90、昇降レバー機構100等を備える。
【0041】
(1)移動体40
図2及び
図6〜
図8に示すように、移動体40はキャリッジ41、走行ローラー42,43及び支柱44を有する。キャリッジ41の上面には、支柱44が立てられた状態に設けられ、キャリッジ41の下面には、走行ローラー42,43が回転可能に取り付けられている。走行キャリッジ41が走行ガイド110上に配され、走行ローラー42,43の回転軸がキャリッジ41の下面から下方へ延び、走行ローラー42,43がそれぞれ走行ガイド110の外側と内側に配置される。走行ローラー42と走行ローラー43がこれらの間に走行ガイド110を挟み込むことによって、移動体40が走行ガイド110上に支持される。走行ローラー42,43が走行ガイド110に対して転動し、これにより移動体40が走行ガイド110に沿って走行する。
【0042】
(2)クランプ機構50
支柱44の上端には、横方向(水平方向)に開閉するとともにチップ2を挟持するクランプ機構50が取り付けられている。
図3〜
図5に示すように、このクランプ機構50は固定クランパー51及び可動クランパー55等を備える。
【0043】
固定クランパー51は固定ベース部52及び固定クランプ爪53を有する。この固定ベース部52が支柱44の上端面に伏せた状態で固定されている。上から見て、固定ベース部52が支柱44の上端面よりも大きく、固定ベース部52が支柱44の上面から前方及び左方へはみ出ている。固定クランプ爪53が固定ベース部52の前端に設けられている。ここで、
図2に示すように、固定クランプ爪53は横から見てクランク状に形作られており、固定クランプ爪53の上部53aが固定ベース部52の前端から垂下し、固定クランプ爪53の中部53bが上部53aの下端から前方へ曲折し、固定クランプ爪53の下部53cが中部53bの前端から下方へ曲折する。
【0044】
図3〜
図5に示すように、固定クランパー51には、可動クランパー55が組み付けられている。可動クランパー55は可動ベース部56、アーム部57及び可動クランプ爪58を有する。可動ベース部56が上下方向に延びた回転軸56aによって固定クランパー51の固定ベース部52に連結され、可動ベース部56が回転軸56aを中心にして回転可能に設けられている。可動ベース部56が固定ベース部52の左側の縁52aから左方へはみ出ており、そのはみ出た部位の前端には可動クランプ爪58が設けられている。横から見てこの可動クランプ爪58が固定クランプ爪53(
図2参照)とほぼ同形状に形作られ(
図2参考)、可動クランプ爪58の上部が可動ベース部56の前端から垂下し、可動クランプ爪58の中部が上部から前方へ曲折し、可動クランプ爪58の下部が中部から下方へ曲折する。
【0045】
可動ベース部56の回転によって可動クランプ爪58が固定クランプ爪53に対して接離する。ここで、可動クランプ爪58の下部と固定クランプ爪53の下部53cが回転軸56aの周方向に互いに向き合い、これらの互いに向き合う部位には窪み58d,53dがそれぞれ形成されている(
図3参照)。可動クランプ爪58が固定クランプ爪53に近接した場合(
図4及び
図5参照)、チップ2が窪み58d,53dに収まるようにしてクランプ爪58,53の間に挟まれる。
【0046】
可動ベース部56の後端には、アーム部57が可動ベース部56の後端から後方に延出するように設けられている。可動クランプ爪58が固定クランプ爪53から離れた場合(
図3参照)、アーム部57が固定クランパー51の固定ベース部52に重なり、可動クランプ爪58が固定クランプ爪53に近接した場合(
図4及び
図5参照)、アーム部57が固定ベース部52の左側の縁52aから左方へはみ出る。
【0047】
(3)挟持力発生機構60
可動クランパー55には、挟持力発生機構60が組み付けられている。この挟持力発生機構60は、チップ2が固定クランプ爪53と可動クランプ爪58との間に挟まれた状態において(
図4参照)、可動クランプ爪58を固定クランプ爪53側へ押し付けることによってチップ2を挟む力を発生させるものである。この挟持力発生機構60は作用レバー61、支持シャフト62及び付勢バネ(付勢部)63を有する。
【0048】
作用レバー61の基端が上下方向に延びた回転軸61aによって可動ベース部56の左端部に連結され、作用レバー61が回転軸61aを中心にして回転可能に設けられている。この作用レバー61が回転軸61aから後方に延び、作用レバー61とアーム部57がこれらの間に間隔を置いて並列されている。支持シャフト62はねじ部材であり、支持シャフト62の基端が可動ベース部56の左端面56bに固定され、その支持シャフト62が可動ベース部56の左端面56bから左方に延びて作用レバー61を貫通して支持シャフト62がコイルバネである付勢バネ63に通され、その付勢バネ63が支持シャフト62の頭部62aと作用レバー61との間に挟まれている。
【0049】
(4)開閉レバー70
可動クランパー55は開閉レバー70によって回転させられる。この開閉レバー70の中間部が上下方向に延びた回転軸70aによって固定クランパー51の固定ベース部52の後端部に連結され、その開閉レバー70が回転軸70aを中心にして回転可能に設けられている。開閉レバー70の一端側の部位が回転軸70aから前方に延び、開閉レバー70の一端部に押当てコロ71が設けられている。この押当てコロ71はアーム部57と作用レバー61との間に挿入されている。ここで、作用レバー61が可動ベース部56の左端面56bに当接している場合の作用レバー61とアーム部57との間の間隔は押当てコロ71の直径よりも大きい。
一方、開閉レバー70の他端側の部位が回転軸70aから後方に延び、開閉レバー70の他端部にカムフォロワー72が設けられている。
【0050】
また、開閉レバー70には閉じバネ(閉じ付勢部)73の一端が接続されている。閉じバネ73の他端は固定クランパー51の固定ベース部52に接続されている。
図3〜
図5の図示方向に見て、開閉レバー70がこの閉じバネ73によって反時計回りの向きに付勢され、これによりカムフォロワー72が開閉動作用カム120に押し当てられている。
図3〜5に示すように開閉レバー70が開閉動作用カム120によって回転されることによって、クランプ機構50が開閉動作をする。クランプ機構50の開閉動作については後に詳細に説明する。
【0051】
(5)突き棒80
図2に示すように、固定クランプ爪53の上側には、突き棒80が配置されている。
図4及び
図5に示すように、上から見て、突き棒80の下部81は、クランプ機構50が閉じた場合のクランプ爪53,58の窪み53d,58d間の隙間に重なる。
【0052】
(6)直動案内機構90
図2及び
図6〜
図8に示すように、突き棒80は、直動案内機構90によって上下動可能となって固定クランパー51の固定ベース部52に組み付けられている。直動案内機構90は突き棒80を上下方向に案内するものである。これにより、突き棒80の下部81は、チップ2が窪み58d,53dに収まるようにしてクランプ爪58,53の間に挟まれた場合のチップ2の位置を上下方向に通るようになっている。ここで、直動案内機構90はシャフト91、保持体92、ブラケット93及びブラケット94を有する。保持体92が固定ベース部52上に設けられている。シャフト91が保持体92及び固定ベース部52を上下に貫通して、保持体92によって上下動可能に支持されている。シャフト91の上端にブラケット93が取り付けられ、シャフト91の下端にブラケット94が取り付けられている。下側のブラケット94には昇降コロ(昇降部)97が設けられている。一方、
図3〜
図5に示すように、上側のブラケット93が保持体92の上端面から前にはみ出て左方へ曲折しており、ブラケット93の先端部に突き棒80の上端82が固定されている。
【0053】
図2及び
図6〜
図8に示すように、保持体92の上部とブラケット93との間にはバネ95が設けられており、固定クランパー51の固定ベース部52とブラケット94との間にはバネ96が設けられている。バネ95とバネ96の組み合わせによってブラケット93、シャフト91、ブラケット94及び突き棒80が下方に向けて付勢されるので、バネ95とバネ96の組み合わせが下方付勢部である。
【0054】
(7)昇降レバー機構100
突き棒80、ブラケット93、ブラケット94及び昇降コロ97は昇降レバー機構100によって昇降される。
図6〜
図8に示すように、昇降レバー機構100は、昇降レバー101、カムフォロワー102、連結シャフト103、受け部材104及び付勢バネ(第二付勢部)105等を備える。連結シャフト103がベアリング等によって支柱44に取り付けられ、その連結シャフト103のラジアル荷重がベアリング及び支柱44に受けられる。連結シャフト103が支柱44を前後に貫通し、支柱44の後ろ側において連結シャフト103が昇降レバー101の基端部に連結され、支柱44の前側において連結シャフト103が受け部材104に連結されている。受け部材104及び昇降レバー101は連結シャフト103を中心にして回転する。
【0055】
昇降レバー101は連結シャフト103から連結シャフト103の径方向外方(より具体的には
図6〜
図8において右方)に延出し、昇降レバー101の先端部にはカムフォロワー102が設けられている。このカムフォロワー102は昇降動作用カム130に当接する。
【0056】
受け部材104には、上下一対の突片104a,104bが設けられている。これら突片104a,104bは連結シャフト103から連結シャフト103の径方向外方(より具体的には
図6〜
図8において右方)に延出する。上側突片104aが下側突片104bから上に離れており、これらの間に昇降コロ97が挿入されている。上側突片104aと下側突片104bの間の間隔は昇降コロ97の直径よりも大きい。
【0057】
受け部材104には付勢バネ105の上端部が接続され、付勢バネ105の下端部が支柱44に接続されている。そのため、
図6〜
図8の図示方向に見て、受け部材104及び昇降レバー101がこの付勢バネ105によって反時計回りの向きに付勢されている。これによって受け部材104の下側突片104bが昇降コロ97に押し当てられている。
また、付勢バネ105が受け部104及び昇降レバー101を反時計回りの向きに振り上げる力は、バネ95,96が昇降コロ97を下方へ押し下げる力よりも強い。そのため、受け部材104の下側突片104bが昇降コロ97に押し当てられると、昇降コロ97の下降が規制される。更に、カムフォロワー102が付勢バネ105の力によって昇降動作用カム130に押し当てられており、昇降動作用カム130によって昇降レバー101の振り上げ・振り下げがなされる。ここで、昇降レバー101及び受け部材104が昇降動作用カム130によって付勢バネ105の力に抗して時計回りの向きに振り下げられると、昇降コロ97がバネ95,96の弾性力によって下側突片104bの下降に追従する。一方、昇降レバー101及び受け部材104が昇降動作用カム130及び付勢バネ105によって反時計回りの向きに振り上げられると、昇降コロ97が受け部材104の下側突片104bによって押し上げられる。
なお、付勢バネ105の上端部が昇降レバー101に接続されていてもよい。
【0058】
図6〜8に示すように昇降レバー101が昇降動作用カム130によって回転されることによって、昇降コロ97と一緒にブラケット93、シャフト91、ブラケット94及び突き棒80も昇降する。ここで、昇降コロ97の直径が上側突片104aと下側突片104bの間の間隔よりも小さいので、昇降コロ97及び突き棒80の昇降が規制されると、下側突片104bが昇降コロ97から下方へ離れ得る。
【0059】
3. ピックアップ機の連結
以上のように構成された複数のピックアップ機30はオーバル状に配列されている。隣り合うピックアップ機30の移動体40(特にキャリッジ41)は、
図9の底面図に示すように、連結リンク31によって連結されている。
【0060】
4. 周運動用駆動装置
続いて、
図1を参照して、周運動用駆動装置140について説明する。周運動用駆動装置140は、モーター141及び駆動スプロケット142を有する。モーター141の出力軸が駆動スプロケット142に連結されている。
【0061】
一方、
図2及び
図8に示すように、移動体40の上面には2本のピン143が立設されている。より具体的には、ピン143が連結リンク31の回転軸と同軸になるように設けられている。上述のように複数のピックアップ機30がオーバル状に配列されているので、ピックアップ機30の数の2倍の数のピン143がオーバル状に配列され、これらピン143の列が駆動スプロケット142に噛み合う。モーター141が作動すると、ピン143の列及び移動体40の列が走行ガイド110に沿って周回する。
【0062】
5. 開閉動作用カム
開閉動作用カム120は、ピックアップ機30の走行時の動力を開閉レバー70の回転運動の動力に変換するものである。
図1に示すように、開閉動作用カム120が走行ガイド110に沿って周方向に設けられている。
図2に示すように、カムフォロワー72が開閉動作用カム120の径方向外側から開閉動作用カム120に当接している。
【0063】
上から見て、走行ガイド110から開閉動作用カム120までの間隔は、一定ではなく、周方向の位置に応じて設定されている。そのため、カムフォロワー72が移動体40の走行により開閉動作用カム120に沿って周方向に摺動すると、そのカムフォロワー72が上から見て走行ガイド110の直交方向に変位し、これにより開閉レバー70が回転する。より具体的には、
図10を参照して説明する。
【0064】
ここで、
図10において、実線で示す曲線129は、開閉動作用カム120の形状を表した曲線である。つまり、曲線129は移動体40の位置とカムフォロワー72の変位との関係を示した曲線であり、
図10の横方向は走行ガイド110に沿う移動体40の位置を表し、
図10の縦方向は開閉動作用カム120によるカムフォロワー72の変位を表す。また、
図10に示す位置P21は、
図1に示す並走区間110aと戻り区間110dとの接続箇所に相当する位置であり、
図10に示す位置P22は、
図1に示す並走区間110aと搬送区間110cとの接続箇所の位置であり、
図10に示す位置P23は、
図1に示す並走区間110bと搬送区間110cとの境界部の位置であり、
図10に示す位置P13は、
図1に示す並走区間110bと戻り区間110dとの境界部の位置である。位置P1〜位置P6は並走区間110a内にあり、位置P7〜位置P12は並走区間110b内にある。
【0065】
図10に示すように、移動体40が位置P13から位置P21を経由して位置P2までの区間を走行している間、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一基準値(ゼロ)に維持される。そのため、開閉レバー70の回転が規制される。
【0066】
移動体40が位置P2から位置P5までの区間を走行している間、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一基準値から第一最大値に増加する。そのため、上から見て(
図3〜
図5参照)、開閉レバー70が時計回りの向きに回転する。
【0067】
移動体40が位置P5から位置P7までの区間を走行している間、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一最大値に維持される。そのため、開閉レバー70の回転が規制される。
【0068】
移動体40が位置P7から位置P9までの区間を走行している間、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一最大値から第一所定値(第一所定値は第一基準値よりも大きく、第一最大値よりも小さい。)に減少する。そのため、上から見て(
図3〜
図5参照)、開閉レバー70が反時計回りの向きに回転する。
【0069】
移動体40が位置P9から位置P11までの区間を走行している間、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一所定値に維持される。そのため、開閉レバー70の回転が規制される。
【0070】
移動体40が位置P11から位置P13までの区間を走行している間、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一所定値から第一基準値に減少する。そのため、上から見て、開閉レバー70が反時計回りの向きに回転する。
【0071】
6. 昇降動作用カム
昇降用動作カム130は、ピックアップ機30の走行時の動力を昇降レバー機構100の回転運動の動力に変換するものである。
図1に示すように、昇降動作用カム130が走行ガイド110に沿って周方向に設けられている。
図2に示すように、カムフォロワー102が昇降動作用カム130の下から昇降動作用カム130に当接している。
【0072】
昇降動作用カム130の上下方向の位置(例えば、走行ガイド110の高さを基準とする。)は、一定ではなく、周方向の位置に応じて設定されている。そのため、カムフォロワー102が移動体40の走行により昇降動作用カム130に沿って周方向に摺動すると、カムフォロワー102が上下方向に変位し、これにより昇降レバー101が回転する。より具体的には、
図10を参照して説明する。
【0073】
ここで、
図10において、実線で示す曲線139は、昇降用動作用カム130の形状を表したものである。つまり、曲線139は移動体40の位置とカムフォロワー102の変位との関係を示した曲線であり、
図10の横方向は走行ガイド110に沿う移動体40の位置を表し、
図10の縦方向は昇降動作用カム130によるカムフォロワー102の変位を表す。なお、カムフォロワー102の位置が低くになるにつれて、カムフォロワー102の変位が増えるものとする。
【0074】
図10に示すように、移動体40が位置P12から位置P21を経由して位置P1までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二基準値(ゼロ)に維持される。そのため、昇降レバー101の回転が規制される。
【0075】
移動体40が位置P1から位置P3までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム120によって第二基準値から第二所定値(第二所定値は第二基準値よりも大きく、後述の第二最大値よりも小さい。)に増加する。そのため、前から見て(
図6〜
図8参照)、昇降レバー101が時計回りの向きに振り下げられる。
【0076】
移動体40が位置P3から位置P4までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二所定値に維持される。そのため、昇降レバー101の回転が規制される。
【0077】
移動体40が位置P4から位置P6までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二所定値から第二基準値に減少する。そのため、前から見て(
図6〜
図8参照)、昇降レバー101が反時計回りの向きに振り上げられる。
【0078】
移動体40が位置P6から位置P8までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二基準値に維持される。そのため、昇降レバー101の回転が規制される。
【0079】
移動体40が位置P8から位置P10までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二基準値から第二最大値に増加する。そのため、前から見て(
図6〜
図8参照)、昇降レバー101が時計回りの向きに振り下げられる。
【0080】
移動体40が位置P10から位置P11までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二最大値に維持される。そのため、昇降レバー101の回転が規制される。
【0081】
移動体40が位置P11から位置P12までの区間を走行している間、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二最大値から第二基準値に減少する。そのため、前から見て(
図6〜
図8参照)、昇降レバー101が反時計回りの向きに振り上げられる。
【0082】
7. チップ移載装置の動作
続いて、チップ移載装置1の動作について説明する。
周運動用駆動装置140のモーター141が定速制御回路によって定速制御されると、ピックアップ機30の移動体40が走行ガイド110に沿って周回する。移動体40は、支持部12と並行して、走行ガイド110の並走区間110aに沿って
図1の矢印Aの方向に直動している際には、位置P21、位置P1〜P6及び位置P22をこれらの順に通過する。ここで、移動体40が位置P21を通過するのと同期して支持部12が位置P21を通過するので、その位置P21においてピックアップ機30の突き棒80の下端が支持部12に支持されたチップ2の真上に重なる。
【0083】
また、移動体40は、臼21と並行して、走行ガイド110の並走区間110bに沿って
図1の矢印Bの方向に直動している際には、位置P23及び位置P7〜位置P13をこれらの順に通過する。ここで、移動体40が位置P23を通過するのと同期して臼21が位置P23を通過するので、その位置P23においてピックアップ機30の突き棒80の下端が臼21の臼孔22の真上に重なる。
【0084】
以下に、移動体40が走行ガイド110に沿って一周する間のピックアップ機30の動作について詳細に説明する。
【0085】
(1)位置P1の到達直前の状態
ピックアップ機30の移動体40が位置P1に到達する直前では、ピックアップ機30のクランプ機構50、挟持力発生機構60及び開閉レバー70が
図3に示す状態になっている。つまり、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一基準値になっているので(
図10参照)、開閉レバー70に設けられた押当てコロ71がアーム部57に押し当てられ、可動クランプ爪58が固定クランプ爪53から離れ、クランプ機構50が開いた状態にある。また、押当てコロ71が作用レバー61から離れているとともに、付勢バネ63によって作用レバー61が可動ベース部56の左端面56bに当接している。
【0086】
更に、移動体40が位置P1に到達する直前では、ピックアップ機30の突き棒80、直動案内機構90及び昇降レバー機構100が
図6に示す状態になっている。つまり、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二基準値になっているので(
図10参照)、昇降レバー101が振り上げられた状態にあるとともに、昇降コロ97が受け部材104の下側突片104bによって押し上げられた状態にある。また、突き棒80が上昇した状態にあり、突き棒80の下端が支持部12上のチップ2から上に離れている。この際の突き棒80の位置を最上位置という。
【0087】
(2)位置P1から位置P3までの抑え動作区間
移動体40が位置P1から位置P3まで移動する際に、突き棒80、直動案内機構90及び昇降レバー機構100が
図6の状態から
図8の状態へ変化する。
【0088】
具体的には、カムフォロワー102が昇降動作用カム130によって第二基準値から第二所定値に変位し、これに伴い昇降レバー101が付勢バネ105の弾性力に抗して振り下げられるので、受け部材104の突片104a,104bが下降する。そうすると、昇降コロ97が受け部材104の突片104bに当接した状態で、昇降コロ97及び突き棒80がバネ95,96の弾性力によって下降する。そして、突き棒80の下端がチップ2に当接して、チップ2がその上から突き棒80によって抑えられる。
【0089】
突き棒80の下端がチップ2に当接した後も、昇降レバー101が昇降動作用カム130によって振り下げられる。ところが、突き棒80及び昇降コロ97の下降がチップ2及び支持部12によって規制されているので、受け部材104の突片104bが昇降コロ97から下方に離れる(
図8参照)。従って、チップ2の厚みや姿勢に誤差・ばらつきがあっても、チップ2が昇降動作用カム130によって過度に下方へ押し付けられることがない。
なお、チップ2が薄い場合には、カムフォロワー102の変位が第二所定値に到達した時点で、突き棒80の下端がチップ2に当接するので、受け部材104の突片104bが昇降コロ97から下方に離れないこともある。
【0090】
(3)位置P3から位置P4までの抑え維持区間
移動体40が位置P3から位置P4まで移動する際には、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二所定値に維持され、昇降レバー101が振り下げられた状態に保たれる。更に、突き棒80の下端がバネ95,96の弾性力によってチップ2に当接している状態(
図8参照)に保たれる。
【0091】
(4)位置P2から位置P5までの閉じ動作区間
移動体40が位置P2から位置P5まで移動する際に、クランプ機構50、挟持力発生機構60及び開閉レバー70が
図3の状態から
図4の状態へ変化する。
【0092】
具体的には、カムフォロワー72が開閉動作用カム120によって第一基準値から第一最大値に変位するので、開閉レバー70が閉じバネ73に抗して時計回りの向きに回転する。そうすると、作用レバー61が押当てコロ71によって押されるので、可動クランパー55が回転軸56aを中心にして反時計回りの向きに回転するとともに、可動クランプ爪58が固定クランプ爪53に近づく。そして、チップ2が可動クランプ爪58と固定クランプ爪53との間に挟まれると、可動クランパー55の回転が停止する。ここで、上述したようにチップ2がその上から突き棒80によって抑えられているので、可動クランプ爪58がチップ2に当たったときの衝撃力によってチップ2が飛散してしまうことを防止することができる。なお、チップ2が可動クランプ爪58と固定クランプ爪53との間に挟まれた時点における移動体40の位置は位置P4よりも僅かに上流側である。
【0093】
チップ2が可動クランプ爪58と固定クランプ爪53との間に挟まれた時点では、カムフォロワー72の変位が未だ第一最大値に至っていない。そのため、チップ2が可動クランプ爪58と固定クランプ爪53との間に挟まれた後も、開閉レバー70が開閉動作用カム120により時計回りに回転する。そうすると、作用レバー61が回転軸61aを中心にして回転し、付勢バネ63が圧縮される(
図4参照)。圧縮された付勢バネ63の弾性力が作用レバー61及び可動クランパー55に掛かって、可動クランプ爪58が固定クランプ爪53側へ押される。これにより、クランプ機構50に挟持力が付与されて、その挟持力によってチップ2が挟持される。
【0094】
(5)位置P4から位置P6までの抑え解除動作区間
移動体40が位置P4から位置P6まで移動する際には、突き棒80、直動案内機構90及び昇降レバー機構100が
図8の状態から
図6の状態へ変化する。
【0095】
具体的には、カムフォロワー102が昇降動作用カム130によって第二所定値から第二基準値に変位し、これに伴い昇降レバー101が付勢バネ105の弾性力により振り上げられ、受け部材104の突片104a,104bが上昇する。そうすると、受け部材104の突片104bが昇降コロ97に当接する。
【0096】
突片104bが昇降コロ97に当接した時点では、カムフォロワー102の変位が第二基準位置に至っていない。そのため、受け部材104の突片104bと昇降コロ97の当接後も、昇降レバー101が昇降動作用カム130及び付勢バネ105により振り上げられる。そうすると、昇降コロ97が受け部材104の突片104bによって押し上げられ、それに伴い、突き棒80が上昇して突き棒80の下端がチップ2から上へ離れる。そして、移動体40が位置P6に到達した時点で、カムフォロワー102の変位が第二基準値に至るので、昇降レバー101の振り上げが止まって、突き棒80が最上位置に到達する。
【0097】
なお、突き棒80の下端がチップ2から上に離れた時点では、上述のようにチップ2が可動クランプ爪58と固定クランプ爪53との間に挟まれた状態にあるとともに、挟持力が挟持力発生機構60からクランプ機構50に付与された状態にある。
【0098】
(6)位置P5から位置P7までの挟持力付与状態維持区間
移動体40が位置P5から位置P7まで移動する際には、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一最大値に維持されるので、開閉レバー70の位置が開閉動作用カム120によって保持される(
図4参照)。そのため、チップ2が可動クランプ爪58と固定クランプ爪53の間に挟まれた状態が保たれる。更に、付勢バネ63の圧縮状態が保たれて、付勢バネ63からクランプ機構50に挟持力が付与された状態が掛かった状態も保たれる。
チップ2がクランプ機構50によって挟持されているので、移動体40が位置P5から位置P7まで移動することによって、チップ2が位置P5から位置P7まで搬送される。
【0099】
なお、ベルト11のうち
図1に示す位置P6から左方の部位(下流部)は、僅かに下りに傾斜している。それゆえ、支持部12が位置P6から下流側へ移動する際に僅かに下降する。そのため、移動体40が位置P6よりも下流側の位置P22において直線運動から円運動に変わる際に、クランプ爪58,53と支持部12の上端との干渉を防止することができる。
【0100】
(7)位置P6から位置P8までの抑え解除状態維持区間
移動体40が位置P6から位置P8まで移動する際には、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二基準値に保たれる。そのため、昇降レバー101が振り上げられた状態に保たれ、突き棒80の位置が最上位置に保たれる。
【0101】
(8)位置P7から位置P9までの挟持力減少区間
移動体40が位置P7から位置P9まで移動する時に、クランプ機構50、挟持力発生機構60及び開閉レバー70が
図4の状態から
図5の状態へ変化する。
【0102】
具体的には、カムフォロワー72が開閉動作用カム120によって第一最大値から第一所定値に変位するので、開閉レバー70が閉じバネ73の弾性力により反時計回りの向きに回転する。そうすると、作用レバー61が付勢バネ63の弾性力によって押当てコロ71に追従する。この際、可動クランパー55が停止しており、クランプ機構50が閉じた状態に保たれ、チップ2が可動クランプ爪58と固定クランプ爪53との間に挟まれている。ところが、付勢バネ63の弾性力が付勢バネ63の復元によって減少するので、チップ2に対する挟持力が減少する。
【0103】
カムフォロワー72が開閉動作用カム120によって第一最大値から第一所定値に変位している最中に、作用レバー61が可動ベース部56の左端面56bに当接すると、作用レバー61の動きが止まる。作用レバー61の停止後も、開閉レバー70が開閉動作用カム120及び閉じバネ73により反時計回りの向きに回転する。そして、押当てコロ71が作用レバー61から離れてアーム部57に当接する前に、カムフォロワー72が第一所定値に至るので、開閉レバー70が止まる(
図5参照)。
【0104】
図5に示す状態では、付勢バネ63が圧縮されておらず、付勢バネ63から可動クランパー55に弾性力が作用していない。そのため、チップ2に対する挟持力がほぼゼロに除荷されるものの、チップ2が摩擦力等で可動クランプ爪58と固定クランプ爪53との間に支持されている。
【0105】
(9)位置P9から位置P11までの除荷状態維持区間
移動体40が位置P9から位置P11まで移動する際に、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一所定値に維持されるので、開閉レバー70の位置が開閉動作用カム120によって保持される(
図5参照)。この際、後述するようにチップ2が突き棒80によって突き落とされる。
【0106】
(10)位置P8から位置P10までの突き落とし動作区間
移動体40が位置P8から位置P10まで移動する際に、突き棒80、直動案内機構90及び昇降レバー機構100が
図6の状態から
図7の状態へ変化する。
【0107】
具体的には、カムフォロワー102が昇降動作用カム130によって第二基準値から第二最大値に変位するので、これに伴い昇降レバー101が付勢バネ105の弾性力に抗して振り下げられるので、受け部材104の突片104a,104bが下降する。そうすると、昇降コロ97が受け部材104の突片104bに当接した状態で、昇降コロ97及び突き棒80がバネ95,96の弾性力によって下降する。そして、突き棒80の下端がチップ2に当たって、チップ2が突き棒80によって突き落とされる。そのチップ2は臼21の臼孔22に落下する。
【0108】
チップ2が突き棒80によって突き落とされる際には、上述のようにチップ2を挟み込む力がほぼゼロとなっている。そのため、チップ2がクランプ爪53,58から外れるときにクランプ爪53,58からチップ2に作用する力は小さく、チップ2が安定した姿勢で落下する。
【0109】
(11)位置P10から位置P11までの最下位置維持区間
移動体40が位置P10から位置P11まで移動する際には、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二最大値に維持されるので、昇降レバー101が振り下げられた状態に保たれ、突き棒80の高さが保たれる(
図7参照)。
【0110】
(12)位置P11から位置P12までの戻し動作区間
移動体40が位置P11から位置P12まで移動する際には、突き棒80、直動案内機構90及び昇降レバー機構100が
図7の状態から
図6の状態へ変化する。
【0111】
具体的には、カムフォロワー102が昇降動作用カム130によって第二最大値から第一基準値に変位し、これに伴い昇降レバー101が昇降動作用カム130及び付勢バネ105によって振り上げられる。そうすると、昇降コロ97が受け部材104の突片104bによって押し上げられ、それに伴い、突き棒80が上昇する。そして、移動体40が位置P12に到達した時点で、カムフォロワー102の変位が第二基準値に至るので、昇降レバー101の振り上げが止まって、突き棒80が最上位置に到達する(
図6参照)。
【0112】
(13)位置P11から位置P13までの開き動作区間
移動体40が位置P11から位置P13まで移動する際には、クランプ機構50、挟持力発生機構60及び開閉レバー70が
図4の状態から
図3の状態へ変化する。
【0113】
具体的には、カムフォロワー72が開閉動作用カム120によって第一所定値から第一基準値に変位するので、開閉レバー70が閉じバネ73の弾性力によって反時計回りの向きに回転する。そうすると、アーム部57が押当てコロ71によって押されて、可動クランパー55が回転軸56aを中心にして時計回りの向きに回転する。そのため、クランプ機構50が開いて、可動クランプ爪58が固定クランプ爪53から離れる。
そして、移動体40が位置P13に到達した時点で、カムフォロワー72が第一基準値に至るので、開閉レバー70が止まるとともに、可動クランパー55も止まる(
図3参照)。
【0114】
(14)位置P12から位置P13及び位置P1を経由して位置P2までの区間
移動体40が位置P12から位置P1まで移動する際には、カムフォロワー102の変位が昇降動作用カム130によって第二基準値に維持されるので、昇降レバー101が振り上げられた状態に保たれる。これにより、突き棒80の位置が最上位置に保たれる(
図6参照)。
また、移動体40が位置P13から位置P2に移動する際には、カムフォロワー72の変位が開閉動作用カム120によって第一基準値に維持されるので、開閉レバー70の位置が開閉動作用カム120によって保持される。これにより、クランプ機構50が開いた状態に保たれる(
図3参照)。
【0115】
8. 効果・利点
以上の実施形態には次のような効果・利点がある。
(1) ピックアップ機30にはクランプ機構50及び突き棒80が採用されているが、吸着ノズルは採用されていない。クランプ機構50によって挟まれたチップ2が突き棒80によって突き落とされる際には、臼21や臼孔22に向けて風圧が発生しない。よって、臼孔22内の粉末が飛散することを抑制することができる。
【0116】
(2) 位置P9から位置P11までの区間ではチップ2が付勢バネ63の弾性力を利用しない僅かな摩擦力でクランプ機構50によって支持されているので、チップ2が位置P10の近傍において突き棒80によって突き落とされても、チップ2が安定した姿勢で落下する。
【0117】
(3) ピックアップ機30が位置P9から位置P11まで直線運動している。その際に、チップ2に対する挟持力が除荷されても、チップ2がピックアップ爪53,58から離脱することを防止することができる。
特に、ピックアップ機30が等速度運動をしているので、チップ2に慣性力が作用しない。そのため、チップ2がピックアップ爪53,58から離脱することを防止することができる。
【0118】
(4) 位置P2から位置P5の範囲において、チップ2は突き棒80によって支持された状態でクランプ機構50によって挟持される。そのため、チップ2の飛散を防止することができる。
【0119】
(5) チップ2が位置P2の近傍において突き棒80の下端によって抑えられた後、突き棒80が昇降動作用カム130から遮断される。そのため、チップ2の厚みに誤差・ばらつきがあっても、チップ2を適切な力で抑えることができる。
【0120】
9. 変更例
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。以上の実施形態からの変更点について以下に説明する。以下に説明する各変更点を組み合わせて適用してもよい。また、以下の(1)〜(7)の変形例は、以下に説明する変更点を除いて、上述の実施形態と同様であるので、変更点以外の説明について省略する。
【0121】
(1) 上記実施形態では、隣り合うピックアップ機30が連結リンク31によって連結されていた。それに対して、無端ベルトによって複数のピックアップ機30が連結されていてもよい。この場合、スプロケット142の代わりにプーリーを設け、そのプーリーによって無端ベルトが周回するものとしてもよい。
【0122】
(2) 作用レバー61が可動ベース部56の左端面56bに当接している場合の作用レバー61とアーム部57との間の間隔が押当てコロ71の直径に等しくてもよい。この場合、移動体40が位置P9に到達した時点で、押当てコロ71がアーム部57に当接するとともに、作用レバー61が可動ベース部56の左端面56bに当接する。
【0123】
(3) 昇降コロ97の直径が受け部材104の上側突片104aと下側突片104bとの間の間隔にほぼ等しく、昇降コロ97が上側突片104aと下側突片104bとの間に挟まれていてもよい。この場合、移動体40が位置P3に到達した時点(カムフォロワー102の変位が第二所定値に到達した時点)で、突き棒80の下端がチップ2に当接する。
【0124】
(4) 上記実施形態では、走行ガイド110がオーバル形状であり、並走区間110bが直線状であった。それに対して、
図11に示すように、並走区間110bが走行ガイド110の内側に向けて凹状の円弧状であってもよい。この場合、臼21の軌道となる閉経路の一部となる円弧状区間が走行ガイド110の並走区間110bに並列されている。なお、臼21が臼送り装置23によって円に沿って移動され、臼21の軌跡となる閉経路が円状であることが好ましい。
【0125】
(5) 上記実施形態では、走行ガイド110が所謂レール部材であり、移動体40が走行ガイド110上を走行する構成であった。それに対して、固定溝カム部材がピックアップ機列3の下方に設けられ、その固定溝カム部材にガイド溝が凹設され、上から見て、ガイド溝が走行ガイド110の平面形状と合同形状又は相似形状に形成されていてもよい。この場合、走行ローラー42,43が移動体40(特に、キャリッジ41)の下面に設けられている代わりに、ピン等からなる摺動部材が下方に突出するように移動体40(特に、キャリッジ41)に設けられ、その摺動部材がガイド溝に挿入されている。そうすると、ガイド溝の幅方向における摺動部材の動きがガイド溝によって拘束されるので、摺動部材とともに移動体40がガイド溝に沿って走行する。
【0126】
(6) 上記実施形態では、走行ガイド110の並走区間110a及び並走区間110bが搬送区間110c及び戻り区間110dよりも長かった。それに対して、並走区間110a及び並走区間110bの長さが搬送区間110c及び戻り区間110dの長さ以下であってもよい。
【0127】
(7) 上記実施形態では、隣り合うピックアップ機30が連結リンク31によって連結されており、周回運動用駆動装置140のモーター141の動力が駆動スプロケット141及びピン143によってピックアップ機30の周回運動の動力としてピックアップ機30に伝動される構成であった。それに対して、周回運動用駆動装置140を
図12の平面図に示すような周回運動用駆動装置140Aに変更してもよい。以下、周回運動用駆動装置140Aについて詳細に説明するが、上記(4)〜(6)の変形例における変更点も併せて採用するので、それらについてまず説明する。なお、周方向に配列された複数のピックアップ機30を見やすくするために、
図12では、開閉動作用カム120及び昇降動作用カム130の図示を省略する。
【0128】
上記(4)の変形例で説明したように、並走区間110bが走行ガイド110の内側に向けて凹状の円弧状であり、臼21の軌道となる閉経路の一部となる円弧状区間が走行ガイド110の並走区間110bに並列され、臼21が臼送り装置23によって円に沿って移動され、臼21の軌跡となる閉経路が円状である。また、上記(6)の変形例で説明したように、走行ガイド110の並走区間110a及び並走区間110bが搬送区間110c及び戻り区間110dよりも長い。そのため、ピックアップ機30の数は
図1又は
図11の場合よりも
図12の場合の方が少ない上、臼21の円形軌跡の半径は
図1又は
図11の場合よりも
図12の場合の方が短い。よって、コンパクト且つ低コストな装置を提供することができる。
【0129】
上記(5)の変形例で説明したように、ピックアップ機30の移動体40が走行ガイド110と相似形状のガイド溝116によって周方向に案内される。具体的には、
図13に示すように、ピックアップ機30の移動体40には棒材45の一端部が固定され、その棒材45が移動体40から固定クランプ爪53の反対側へ延出し、
図12に示すように、棒材45の他端部に摺動部材46が下方に突出するように設けられ、その摺動部材46がガイド溝116に挿入され、ガイド溝116の幅方向における摺動部材46の動きがガイド溝116によって拘束される。ここで、後述の回転盤143Aの下方に固定溝カム部材115が設けられ、その固定溝カム部材115にガイド溝116が形成され、上から見て、ガイド溝116と走行ガイド110が同心状に配置されている。ガイド溝116のうち並走区間116a、並走区間116b、搬送区間116c及び戻り区間116dが走行ガイド111の並走区間111a、並走区間111b、搬送区間111c及び戻り区間111dにそれぞれ対応する。
【0130】
続いて、周運動用駆動装置140Aについて詳細に説明する。周運動用駆動装置140Aはモーター141Aと回転盤143Aを有する。モーター141Aの出力軸142Aが回転盤143Aに連結され、回転盤143Aがモーター141Aによって回転駆動される。回転盤143Aには、複数の棒材45がモーター141Aの出力軸を中心にして放射状に取り付けられている。これら棒材45は、リニア軸受等によって、回転盤143Aに対して、モーター141Aの出力軸の径方向に移動可能に設けられている。そのため、回転盤143Aが回転すると、ピックアップ機30の移動体40及び棒材45がモーター141Aの出力軸周りに周回するとともに、ガイド溝116及び走行ガイド110の形状に応じてモーター141Aの出力軸の径方向に変位する。これにより移動体40が走行ガイド110に沿って走行する。
【0131】
なお、移動体40がガイド溝116によって案内されるので、走行ガイド110が設けられていなくてもよい。