特許第6760775号(P6760775)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ニューギンの特許一覧

<>
  • 特許6760775-遊技機 図000002
  • 特許6760775-遊技機 図000003
  • 特許6760775-遊技機 図000004
  • 特許6760775-遊技機 図000005
  • 特許6760775-遊技機 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760775
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   A63F7/02 310C
   A63F7/02 312A
【請求項の数】1
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-118826(P2016-118826)
(22)【出願日】2016年6月15日
(65)【公開番号】特開2017-221401(P2017-221401A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2017年8月30日
【審判番号】不服2019-13782(P2019-13782/J1)
【審判請求日】2019年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100148563
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 実
(72)【発明者】
【氏名】松本 泰明
【合議体】
【審判長】 ▲吉▼川 康史
【審判官】 鉄 豊郎
【審判官】 瀬津 太朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−268919(JP,A)
【文献】 特開2011−255002(JP,A)
【文献】 特開2010−154907(JP,A)
【文献】 特開2003−325777(JP,A)
【文献】 特開2008−61949(JP,A)
【文献】 特開2015−119860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技領域に開口部を有する遊技盤と、
前記遊技領域に存在する第1の壁と、
開口部を有し、該開口部が前記遊技盤の開口部と重なる状態に取り付けられ、遊技球の流通する通路を前記第1の壁とで形成する第2の壁を有する枠部材と、を備え、
前記枠部材は、該枠部材を前記遊技盤に取り付けるための取付部を備え、
前記第1の壁と前記第2の壁とで形成される通路を第1通路としたとき、
前記第1通路は、前記遊技盤の前面に直交し、かつ遊技球の流通方向に直交する平面による断面の幅が2球以上の遊技球が並ばない大きさの特定通路を含み、
前記特定通路は、クランク状に屈曲している屈曲通路を介して案内通路に繋がっており、
前記屈曲通路のうち、前記特定通路における遊技球の流通方向の延長線上にある壁面には第1緩衝部材が配置されており、
前記屈曲通路を挟んで、前記第1緩衝部材の反対側には第2緩衝部材が配置されており、
前記取付部は、前記特定通路を画成する前記第2の壁のうち、前記特定通路の前記幅が最も狭くなる部分を形成した部位の内側に配設されており、前記特定通路及び前記屈曲通路及び前記案内通路の内部には配設されておらず、
前記案内通路は、前記第2緩衝部材に接触した遊技球の流通方向の延長線上に延びており、前記案内通路よりも遊技球の流通方向における下流側において、前記遊技領域に開口している入球口に遊技球を案内可能な通路であり、
前記枠部材は、前記第1緩衝部材の下方部分に、前方へ向かって突出する突出壁を備えており、
前記案内通路は、前記突出壁と前記第2の壁との間に形成されており、
前記案内通路よりも遊技球の流通方向における下流側には、前記入球口を開閉する開閉部材が配置されており、
前記開閉部材は、遊技球を受けるための球受面を備え、
前記開閉部材が開放状態にあって、前記球受面が前記案内通路によって案内された遊技球の流通方向と交差する方向に沿って延在する状態にあるとき、前記球受面の先端は、遊技球の流通方向において前記突出壁の先端より後方側の位置にあることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機の一種であるパチンコ遊技機としては、遊技盤の遊技領域に、各種の装飾を施したセンター役物などの枠部材が装着されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のパチンコ遊技機では、枠部材の開口部を介して画像表示装置に表示された画像が視認可能である。枠部材は、画像表示装置を囲む区画壁を備える。この区画壁により、遊技領域を転動した遊技球が、画像表示装置側へ侵入することを規制している。また、枠部材の区画壁は、遊技領域の外郭を構成する外郭面とともに、遊技球の流通する通路を画成する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−77347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般に、枠部材は、該枠部材の取付部に挿通されたビス等の取付部材を遊技盤に取着することで遊技盤に取り付けられているが、枠部材の取付が遊技球の流通に意図しない影響を与えないことが好ましい。
【0006】
この発明の目的は、遊技盤に対する枠部材の取付が、流通する遊技球に意図しない影響を与えることを抑制できる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するための遊技機は、遊技領域に開口部を有する遊技盤と、前記遊技領域に存在する第1の壁と、開口部を有し、該開口部が前記遊技盤の開口部と重なる状態に取り付けられ、遊技球の流通する通路を前記第1の壁とで形成する第2の壁を有する枠部材と、を備え、前記枠部材は、該枠部材を前記遊技盤に取り付けるための取付部を備え、前記第1の壁と前記第2の壁とで形成される通路を第1通路としたとき、前記第1通路は、前記遊技盤の前面に直交し、かつ遊技球の流通方向に直交する平面による断面の幅が2球以上の遊技球が並ばない大きさの特定通路を含み、前記特定通路は、クランク状に屈曲している屈曲通路を介して案内通路に繋がっており、前記屈曲通路のうち、前記特定通路における遊技球の流通方向の延長線上にある壁面には第1緩衝部材が配置されており、前記屈曲通路を挟んで、前記第1緩衝部材の反対側には第2緩衝部材が配置されており、前記取付部は、前記特定通路を画成する前記第2の壁のうち、前記特定通路の前記幅が最も狭くなる部分を形成した部位の内側に配設されており、前記特定通路及び前記屈曲通路及び前記案内通路の内部には配設されておらず、前記案内通路は、前記第2緩衝部材に接触した遊技球の流通方向の延長線上に延びており、前記案内通路よりも遊技球の流通方向における下流側において、前記遊技領域に開口している入球口に遊技球を案内可能な通路であり、前記枠部材は、前記第1緩衝部材の下方部分に、前方へ向かって突出する突出壁を備えており、前記案内通路は、前記突出壁と前記第2の壁との間に形成されており、前記案内通路よりも遊技球の流通方向における下流側には、前記入球口を開閉する開閉部材が配置されており、前記開閉部材は、遊技球を受けるための球受面を備え、前記開閉部材が開放状態にあって、前記球受面が前記案内通路によって案内された遊技球の流通方向と交差する方向に沿って延在する状態にあるとき、前記球受面の先端は、遊技球の流通方向において前記突出壁の先端より後方側の位置にあることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、遊技盤に対する枠部材の取付が、流通する遊技球に意図しない影響を与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】パチンコ遊技機を模式的に示す斜視図。
図2】遊技盤を模式的に示す正面図。
図3】遊技盤を模式的に示す部分断面正面図。
図4図2の4−4線断面図。
図5】遊技盤のうち第1大入賞口の周囲を拡大して示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、パチンコ遊技機の一実施形態について説明する。この明細書における上、下、左、右、前(表)、及び後(裏)は、遊技者から見たときの各方向を示すものとする。
図1に示すように、遊技機としてのパチンコ遊技機10は、枠体11を備えている。枠体11は、遊技店などの島設備に固定される第1枠11aと、該第1枠11aに対して開閉が可能に軸支された第2枠11bと、を備えている。第2枠11bは、パチンコ遊技機10に搭載された遊技部品を保護するための保護ガラス板を備えている(図示しない)。第2枠11bは、各種の遊技部品を搭載するための枠である。パチンコ遊技機10は、枠体11の前面側に、発射ハンドル15を備えている。パチンコ遊技機10では、発射ハンドル15の操作量(回動量)に応じた強度にて、遊技媒体としての遊技球が発射される。
【0015】
パチンコ遊技機10は、枠体11の前面側に、装飾ランプ16を備えている。装飾ランプ16は、演出の1つとして、内蔵された発光体を発光、点滅、及び消灯させる演出(以下、発光演出と示す)を行う。パチンコ遊技機10は、枠体11の前面側に、スピーカ17を備えている。スピーカ17は、演出の1つとして、人や動物の声、効果音、及び楽曲などの音声を出力する演出(以下、音声演出と示す)を行う。
【0016】
パチンコ遊技機10は、略四角板状の部材である遊技盤20を備えている。この実施形態の遊技盤20は、透明なアクリル板であり、遊技盤20の背後にある各種の遊技部品を遊技者が視認可能である。例えば、遊技盤20は、表面にキャラクタや風景といった所定の絵柄が付されたベニヤ板であってもよい。遊技盤20は、第2枠11bに組み付けられている。遊技盤20は、前面側に、遊技球が流通(転動)する遊技領域21を備えている。遊技盤20は、遊技領域21の略中央に、遊技盤20の厚さ方向に貫通する開口部20aを有する。
【0017】
図2又は図3に示すように、遊技盤20は、第1レール22を備えている。第1レール22は、遊技球を案内する案内面として、遊技盤20の左下部分から右上部分に向かって、且つ左上方向に向かって膨らむ円弧面22bを有する部材である。第1レール22の先端部22aは、遊技盤20における右上部分に配置されている。遊技盤20は、第2レール23を備えている。第2レール23は、遊技球を案内する案内面として、遊技盤20の右上部分から下部分に向かって、且つ右下方向に向かって膨らむ円弧面23aを有する部材である。レール22,23は、金属製の帯状部材を円弧状に屈曲させることによって構成されていてもよく、上記遊技球の案内面を有する板状部材により構成されていてもよい。この実施形態において、遊技領域21は、遊技盤20の前面がレール22,23によって区画されることによって、形成されている。即ち、レール22,23は、遊技領域21を囲っており、遊技領域21の外郭を構成している。また、レール22,23は、遊技盤20に存在しており、レール22,23は第1の壁に相当する。
【0018】
また、遊技盤20は、第1レール22の内側に、第3レール24を備えている。第3レール24は、遊技盤20の左下部分から左上部分に向かって、且つ第1レール22に沿って延びている円弧状の部材である。遊技盤20は、発射ハンドル15の操作によって発射された遊技球が遊技領域21へと向かって通過する発射通路21bを備えている。発射通路21bは、第1レール22と第3レール24との間の空間である。遊技盤20は、第3レール24の先端部に、逆流防止弁24aを備えている。
【0019】
パチンコ遊技機10は、情報表示パネル25を備えている。情報表示パネル25は、遊技盤20のうち、遊技領域21の外側であって、且つ遊技者から視認可能な位置に設けられている。情報表示パネル25では、パチンコ遊技機10の制御状態を示す各種の情報が表示により報知される。
【0020】
情報表示パネル25は、特別図柄表示部を備えている。特別図柄表示部は、所定の図柄を変動表示させるとともに、最終的に特別図柄を確定停止表示させる特別図柄変動ゲームを表示する。特別図柄表示部にて導出が可能な特別図柄には、大当り図柄と、はずれ図柄とが少なくともある。この実施形態では、内部抽選(所謂、大当り抽選)に当選すると、特別図柄変動ゲームにおいて大当り図柄が導出されたのち、該大当りの特別図柄変動ゲームの終了後に、大当り遊技が付与される。
【0021】
情報表示パネル25は、特別保留表示部を備えている。特別保留表示部は、始動条件が成立したが未だ実行条件が成立していないことで、その実行が保留されている特別図柄変動ゲームの回数を認識可能に表示する。情報表示パネル25は、普通図柄表示部を備えている。普通図柄表示部は、所定の図柄を変動表示させるとともに、最終的に普通図柄を導出させる普通図柄変動ゲームを表示する。情報表示パネル25は、普通保留表示部を備えている。普通保留表示部は、始動条件が成立したが未だ実行条件が成立していないことで、その実行が保留されている普通図柄変動ゲームの回数を認識可能に表示する。また、情報表示パネル25は、右打ち表示部を備えている。右打ち表示部は、遊技球の発射強度に関する情報(この実施形態では、右打ち情報)を表示する。なお、上述した複数の表示部は、同じ情報表示パネル25にある必要はなく、この実施形態とは異なる部分に別々に設けられていてもよい。
【0022】
パチンコ遊技機10は、遊技領域21の略中央に、枠部材としてのセンター枠40を備えている。センター枠40は、開口部40aを有しており、その全体が枠状の部材である。センター枠40は、各種のキャラクタなどを模した装飾が施されていてもよい。センター枠40は、単一の部材として構成されている。センター枠40は、遊技者から見たときに、センター枠40の開口部40aが遊技盤20の開口部20aと重なる状態で、遊技盤20に組み付けられている。
【0023】
センター枠40は、遊技盤20の表面20bに沿って延びる環状のフランジ41を備えている。フランジ41は、遊技盤20の表面20bとともに、遊技領域21の後壁を構成している。この実施形態において、遊技盤20の表面20b及びフランジ41と、保護ガラス板の内面との離間距離は、2球以上の遊技球が並ばない距離である。例えば、センター枠40は、フランジ41のうち左上部分において、前方に向かって突出する複数の障害壁41aを備えていてもよい。障害壁41aは、遊技領域21を流通する遊技球の挙動に変化を与える。
【0024】
また、センター枠40は、開口部40aの下縁部において、左右方向に沿って延びているステージ42を備えている。ステージ42は、遊技球を左右方向に沿って転動させる。センター枠40は、遊技領域21のうち、センター枠40よりも左側の領域を流通する遊技球を、ステージ42へと案内するワープ路43を備えている。
【0025】
センター枠40は、開口部40aの下縁部において左右方向に沿って延びている第1区画壁44を備えている。例えば、第1区画壁44は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂など、背後にある遊技部品を視認可能となるように、透明な樹脂材料を用いて形成されている。第1区画壁44は、ステージ42の後端部から上方へ向かって延びている板状の後壁板44aと、該後壁板44aの上端部から前方(遊技者側)へ向かって延びている天板44bと、を備えている。天板44bの先端部は、図示しない保護ガラス板の内面と、遊技球の直径以上の隙間を設けることなく近接している。即ち、第1区画壁44は、ステージ42を転動する遊技球が跳ね上がって開口部40aの内部に侵入することを抑制している。
【0026】
また、センター枠40は、開口部40aのうち左下部分から右下部分に向かって、且つ上方に向かって膨らむ円弧状に延びている第2区画壁45を有する。例えば、第2区画壁45は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂など、背後にある遊技部品を視認可能となるように、透明な樹脂材料を用いて形成されている。第2区画壁45は、フランジ41から前方に向かって突出している壁状の部位である。第2区画壁45の先端部は、図示しない保護ガラス板の内面と、遊技球の直径以上の隙間を設けることなく近接している。即ち、第2区画壁45は、遊技領域21を流通する遊技球が開口部40aの内部に侵入することを抑制している。
【0027】
センター枠40の開口部40aは、第1区画壁44及び第2区画壁45によって、遊技球の直径以上の隙間を設けることなく、全周にわたって囲われている。したがって、この実施形態において、発射ハンドル15の操作によって発射された遊技球は、遊技領域21のなかでも、上述したレール22〜24と、区画壁44,45とによって挟まれた領域内を流通するようになっている。
【0028】
図3に示すように、センター枠40は、該センター枠40を遊技盤20に取り付けるための複数の取付部41cをフランジ41に備えている。複数の取付部41cは、フランジ41の外縁部に配設され、複数の取付部41cのうちの多くは第2区画壁45に沿って配設されている。ステージ42よりも下方には第2区画壁45は立設されていないことから、ステージ42の下方に配設された取付部41cは、第2区画壁45に沿う位置に配置されていない。
【0029】
図4に示すように、取付部41cはビス50が挿通された取付孔41dを備えている。取付部41cは、フランジ41においてビス50の軸部50bを取り囲む円筒状の部位である。また、取付部41cは、フランジ41においてビス50の頭部50aが押し当てられた部位と、その押し当てられた部位を囲む部位でもある。取付部41cに挿通されたビス50の軸部50bは遊技盤20の表面20bから螺入されている。複数のビス50の遊技盤20への螺入により、センター枠40が遊技盤20の表面20bに取り付けられている。
【0030】
図2又は図3に示すように、パチンコ遊技機10は、演出表示装置26を備えている。演出表示装置26は、例えば、液晶ディスプレイである。演出表示装置26は、センター枠40の開口部40aを介して、遊技者が表示領域を視認可能となるように、遊技盤20に組み付けられている。演出表示装置26は、演出の1つとして、所定のキャラクタや文字を模した絵柄を表示する演出(以下、表示演出と示す)を行う。例えば、演出表示装置26は、表示演出の1つとして、演出図柄を複数列で変動表示させるとともに、最終的に演出図柄の組み合わせを導出させる演出図柄変動ゲームを実行可能である。また、演出図柄変動ゲームでは、リーチ演出や予告演出といった表示演出が行われる場合がある。
【0031】
パチンコ遊技機10は、センター枠40の下方において、遊技領域21に開口している第1始動入賞口27を備えている。パチンコ遊技機10は、第1始動入賞口27に入賞した遊技球を検知する第1始動センサを備えている(図示しない)。なお、この明細書において「入賞」とは、遊技球が入賞口へ入球することである。
【0032】
パチンコ遊技機10は、センター枠40の下方において、遊技領域21に開口している第2始動入賞口28を備えている。パチンコ遊技機10は、第2始動入賞口28に入賞した遊技球を検知する第2始動センサを備えている(図示しない)。この実施形態では、第1,第2始動センサによって遊技球が検知されると、特別図柄変動ゲームの始動条件が成立し得る。パチンコ遊技機10は、第2始動入賞口28を開閉する第1可変部材29を備えている。第1可変部材29は、遊技球が第2始動入賞口28へ入賞し易い開状態と、遊技球が第2始動入賞口28に入賞し難い、又は入賞できない閉状態と、に動作可能である。
【0033】
パチンコ遊技機10は、センター枠40の右上方において、遊技領域21に開口している第1大入賞口30を備えている。第1大入賞口30は、所謂上アタッカである。パチンコ遊技機10は、第1大入賞口30を開閉する第2可変部材31を備えている。第2可変部材31は、所謂大入賞口扉である。第2可変部材31は、遊技球が第1大入賞口30へ入賞し易い開状態と、遊技球が第1大入賞口30に入賞し難い、又は入賞できない閉状態と、に動作可能である。
【0034】
パチンコ遊技機10は、センター枠40の右下方において、遊技領域21に開口している第2大入賞口32を備えている。第2大入賞口32は、所謂下アタッカ(Vアタッカ)である。パチンコ遊技機10は、第2大入賞口32を開閉する第3可変部材33を備えている。第3可変部材33は、遊技球が第2大入賞口32へ入賞し易い開状態と、遊技球が第2大入賞口32に入賞し難い、又は入賞できない閉状態と、に動作可能である。
【0035】
パチンコ遊技機10は、遊技領域21のうち、センター枠40の右方において、遊技球が通過(入球)可能なゲート34を備えている。ゲート34は、遊技球の流通方向における第1大入賞口30と第2大入賞口32の間にある。この実施形態では、遊技球がゲート34を通過すると、普通図柄変動ゲームの始動条件が成立し得る。パチンコ遊技機10は、アウト口35を備えている。この実施形態では、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球は、アウト口35から機外へと排出される。なお、パチンコ遊技機10は、入賞口27,28,30,32とは異なる入賞口を備えていてもよい。また、パチンコ遊技機10は、釘や風車など、遊技領域21を流通する遊技球の挙動に変化を与えるための部材を備えている。
【0036】
次に、第1大入賞口30と、その周辺構造について詳しく説明する。
図5に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技領域21の上部分に、遊技領域21の外周に沿って延びる特定通路としての上部通路21cを備えている。上部通路21cは、第1レール22と第2区画壁45とで形成された通路(空間)であり、遊技球が流通する通路の一部を構成する。上部通路21cは、発射通路21bに繋がる通路である。したがって、十分な発射強度で右打ちされた遊技球は、第1レール22の円弧面22bに接した状態で、発射通路21b及び上部通路21cの順で通過する。上部通路21cのうち最も狭い部分において、遊技盤20の表面20bに沿う方向(面方向)における第1レール22と第2区画壁45の対向面の離間距離(幅)L21cは、遊技球の直径の例えば1倍を超えて2倍未満である。即ち、遊技盤20の表面20bに直交し、かつ上部通路21cにおける遊技球の流通方向D1と直交する平面Sで切断したと仮定したときに、上部通路21cにおいて遊技球が流通する空間の断面は、2球以上の遊技球が並ばない大きさである。
【0037】
パチンコ遊技機10は、遊技領域21の右上部分に、上部通路21cに繋がる通路であって、クランク状に屈曲している屈曲通路21dを備えている。パチンコ遊技機10は、屈曲通路21dのうち、上部通路21cにおける遊技球の流通方向D1の延長線上にある壁面に、第1緩衝部材46を備えている。即ち、第1緩衝部材46は、屈曲通路21dに到達する遊技球の流通方向D1の延長線上に配設されている。第1緩衝部材46は、第1レール22の先端部22aに隣接しており、且つ第1レール22よりも遊技領域21の内側の部分に配設されている。例えば、第1緩衝部材46は、ブチルゴムやウレタンゴムなど、ゴム弾性を有する軟質な材料から形成されている。第1緩衝部材46は、第1レール22に沿って飛来した遊技球の球威を減殺する。
【0038】
また、パチンコ遊技機10は、屈曲通路21dを挟んで、第1緩衝部材46の反対側に第2緩衝部材47を備えている。第2緩衝部材47は、第1緩衝部材46に比して、硬く、且つ滑り性が高い材料から形成されている。例えば、第2緩衝部材47は、ポリエチレンなどから形成されている。第2緩衝部材47は、第1緩衝部材46に接触した遊技球の流通方向D2の延長線上に配設されている。第2緩衝部材47は、屈曲通路21dに面しており、第2区画壁45の一部を構成している。また、上述の第1緩衝部材46は、屈曲通路21dに面している。したがって、第1の壁としての第1レール22、及び第1緩衝部材46と、第2の壁としての第2区画壁45(第2緩衝部材47)とにより、遊技球の流通する通路である屈曲通路21dが形成されている。また、この実施形態の第2緩衝部材47は、第2緩衝部材47を覆っている装飾部としての飾り板47aを取り外すことで、交換が可能に構成されている。
【0039】
ここで、センター枠40の取付部41cについて詳細に説明する。
複数の取付部41cのうち、遊技盤20の表面20bに対し直交する前後方向において飾り板47aと重なる位置にある取付部41c(以下、特定取付部411cと記載する)について説明する。
【0040】
この特定取付部411cは、第2区画壁45のうち、遊技領域21の右上部に位置する上部通路21cを形成した部位沿いに位置している。即ち、特定取付部411cは、第2区画壁45のうち、上部通路21cの最も狭い部分を形成した部位沿いに位置している。そして、特定取付部411cは、第2区画壁45よりも内側に配設されている。なお、第2区画壁45よりも内側とは、第2区画壁45よりも開口部40a側のことであり、より具体的には演出表示装置26側のことである。第2区画壁45において、上部通路21cに面しない面を内面45aとする。特定取付部411cは、遊技盤20の面方向に沿って、第2区画壁45の内面45aから僅かな距離しか離れていない。面方向に沿った第2区画壁45の内面45aから特定取付部411cまでの距離は、ビス50の螺入時にビス50の頭部50aを第2区画壁45の内面45aに接触させないために最低限必要な距離である。したがって、特定取付部411cは、第2区画壁45の内面45aの直近にある。
【0041】
特定取付部411cは、第2区画壁45によって上部通路21cから隔てられ、上部通路21c内に突出していない。また、特定取付部411cは、第2緩衝部材47よりも内側に配設され、第2緩衝部材47によって屈曲通路21dから隔てられ、屈曲通路21d内に突出していない。
【0042】
図4に示すように、特定取付部411cは、前後方向において、飾り板47aよりも遊技盤20寄りの位置にあり、飾り板47aの裏側にある。即ち、特定取付部411cは、飾り板47aによって前側から覆われている。飾り板47aは、前後方向に貫通する貫通孔47bを備える。前後方向において、特定取付部411cの取付孔41dは飾り板47aの貫通孔47bに重なる位置にある。ビス50の軸部50bは、飾り板47aの貫通孔47bから特定取付部411cの取付孔41dに挿入され、ビス50の頭部50aが特定取付部411cの表面に押し当てられるまで螺入されている。よって、前後方向において、ビス50も、飾り板47aよりも遊技盤20寄りにあり、飾り板47aの裏側にある。
【0043】
図5に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技領域21の右上部分に、屈曲通路21dを介して上部通路21cの下流側に繋がる通路であって、屈曲通路21dから受け入れた遊技球を下方へと案内する案内通路21eを備えている。即ち、この実施形態において、上部通路21c、及び屈曲通路21dは、案内通路21eに繋がる通路を構成している。案内通路21eは、第2緩衝部材47に接触した遊技球の流通方向D3の延長線上に延びている。ここで、センター枠40のフランジ41は、遊技領域21の右上部分であって、第1緩衝部材46の下方部分に、前方へ向かって突出する突出壁41bを備えている。案内通路21eは、この突出壁41bと第2区画壁45との間にある空間である。したがって、第1の壁としての突出壁41bと、第2区画壁45とにより、遊技球の流通する通路である案内通路21eが形成されている。遊技盤20の表面20bに直交し、かつ案内通路21eにおける遊技球の流通方向(案内方向D4)と直交する平面S1で切断したと仮定したときに、案内通路21eにおいて遊技球が流通する空間の断面は、2球以上の遊技球が並ばない大きさである。
【0044】
この実施形態の案内通路21eは、遊技球が1球ずつ通過する通路である。パチンコ遊技機10は、遊技領域21の右上部分に、案内通路21eに繋がる通路であって、案内通路21eよりも幅広な通路(空間)である右上部通路21fを備えている。右上部通路21fは、屈曲通路21d及び案内通路21eの下方にある。右上部通路21fは、第2レール23と第2区画壁45との間にある空間である。したがって、第1の壁としての第2レール23と、第2区画壁45とにより、遊技球の流通する通路である右上部通路21fが形成されている。
【0045】
右上部通路21fの左側部には、上述した第1大入賞口30が開口している。この実施形態において、第1大入賞口30は、案内通路21eよりも遊技球の流通方向における下流側において、遊技領域21に開口している入球口に相当する。
【0046】
右上部通路21fには、第1大入賞口30を開閉する上述の第2可変部材31が配設されている。第2可変部材31は、遊技球を受けるための球受面31aを備えている。また、第2可変部材31は、第1大入賞口30の下端部に位置する回動軸31bを備えている。第2可変部材31は、回動軸31bを中心として回動可能に組み付けられている。パチンコ遊技機10は、第2可変部材31を動作させるためのアクチュエータとして、例えばソレノイドなどを備えている(図示しない)。
【0047】
この実施形態において、第2可変部材31は、回動軸31bを中心として、上下方向に沿って略直立した状態(以下、閉鎖状態ST1と示す)に動作されることで、第1大入賞口30に遊技球が入球不能となるように、第1大入賞口30を閉鎖する。第2可変部材31は、回動軸31bを中心として、右方へと傾いた状態(以下、開放状態ST2と示す)に動作されることで、第1大入賞口30に遊技球が入球可能となるように、第1大入賞口30を開放する。この実施形態において、第2可変部材31は、第1大入賞口30を開閉する開閉部材に相当する。そして、閉鎖状態ST1は、入球口としての第1大入賞口30を閉じている状態に相当し、開放状態ST2は、第1大入賞口30を開いている状態に相当する。
【0048】
図5において実線で示すように、第2可変部材31は、閉鎖状態ST1に動作されている場合、右上部通路21fには突出せず、且つ案内通路21eによる遊技球の案内方向D4の延長線上にも位置していない。したがって、第2可変部材31が閉鎖状態ST1に動作されている場合、案内通路21eを通過した遊技球は、第2可変部材31に受け止められることなく第1大入賞口30の下流側へと右上部通路21fを通過する。即ち、第2可変部材31が閉鎖状態ST1に動作されている場合、遊技球は、第1大入賞口30に入賞しない。
【0049】
その一方で、図5において二点鎖線で示すように、第2可変部材31は、開放状態ST2に動作されている場合、右上部通路21fに突出し、且つ案内通路21eによる遊技球の案内方向D4の延長線上に位置する。そして、開放状態ST2に動作されている場合、第2可変部材31は、案内通路21eによって案内された遊技球の案内方向D4と交差する方向(以下、延在方向D5と示す)に沿って延在している。したがって、開放状態ST2に動作されている場合、案内通路21eを通過した遊技球の殆どは、第2可変部材31の球受面31aによって受け止められる。
【0050】
また、開放状態ST2において、第2可変部材31は、第1大入賞口30側へ傾いている。そして、第2可変部材31が開放状態ST2に動作されている場合、球受面31aは、第1大入賞口30に近接するほど下方へと下がる。このため、第2可変部材31の球受面31aによって受け止められた遊技球は、第1大入賞口30に入賞するように案内される。即ち、第2可変部材31が開放状態ST2に動作されている場合、案内通路21eを通過した遊技球の殆どは、第1大入賞口30に入賞するようになっている。
【0051】
パチンコ遊技機10は、遊技領域21の右部分に、右上部通路21fに繋がる通路であって、右上部通路21fよりも幅狭な通路である右部通路21hを備えている。右部通路21hは、右上部通路21fの下方にある。ここで、フランジ41は、フランジ41から前方へ向かって突出する外壁48を備えている。外壁48は、上下方向に沿って延びている第2区画壁45の右方において、該第2区画壁45に沿って略平行に延びている。右部通路21hは、第2区画壁45と外壁48との間の空間である。そして、第1の壁としての外壁48と、第2区画壁45とにより、遊技球の流通する通路である右部通路21hが形成されている。この実施形態において、右部通路21hは、左右方向に交互に屈曲したジグザグの通路である。
【0052】
遊技盤20の表面20bに直交し、かつ右部通路21hにおける遊技球の流通方向D6と直交する平面S2で切断したと仮定したときに、右部通路21hにおいて遊技球が流通する空間の断面は、2球以上の遊技球が並ばない大きさである。
【0053】
次に、パチンコ遊技機10における大当りについて説明する。
この実施形態のパチンコ遊技機10は、特別図柄の大当り図柄として、複数種類の大当り図柄を備えている。複数種類の大当り図柄には、それぞれ大当り遊技の種類が定められている。なお、複数種類の大当り図柄には、大当り遊技の終了後の遊技状態が定められていてもよい。即ち、この実施形態において、大当り図柄は、遊技者に付与する特典を定めた大当りの種類に相当する。
【0054】
大当り遊技では、大当り遊技の開始を報知するオープニング演出が行われたのち、大入賞口30,32の何れかを開放するラウンド遊技が行われる。ラウンド遊技は、予め定めた上限回数を上限として行われる。1回のラウンド遊技において、大入賞口30,32の何れかは、予め定めた上限個数の遊技球が入賞する第1条件、又は予め定めた上限時間が経過する第2条件のうち何れかの条件が成立する迄の間にわたって開放される。そして、大当り遊技では、最終回のラウンド遊技が終了すると、大当り遊技の終了を報知するエンディング演出が行われる。大当り遊技は、エンディング演出の終了に伴って終了される。
【0055】
次に、この実施形態のパチンコ遊技機10における遊技性について説明する。
図2に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技領域21において、遊技球が流通する経路として、遊技球の発射強度に応じた複数通りの経路を備えている。この実施形態では、センター枠40の左側を通ってアウト口35へと至る第1経路R1と、センター枠40の右側を通ってアウト口35へと至る第2経路R2と、が形成されている。第2経路R2は、上部通路21c、屈曲通路21d、案内通路21e、右上部通路21f、及び右部通路21hを通る経路である。
【0056】
第1経路R1には、第1始動入賞口27がある。第2経路R2には、第1大入賞口30、ゲート34、第2大入賞口32、及び第2始動入賞口28がある。遊技球の発射強度のうち、遊技球が第1経路R1を流通するように発射される発射強度は、第1発射強度に相当し、遊技球が第2経路R2を流通するように発射される発射強度は、第2発射強度に相当する。この実施形態において、第1発射強度で遊技球を発射することは、所謂「左打ち」であり、第2発射強度で遊技球を発射することは、所謂「右打ち」である。大当り遊技では、遊技球を右打ちしなければ、第1大入賞口30や第2大入賞口32に遊技球を入賞させることができない。
【0057】
次に、上記のように構成したパチンコ遊技機10の作用について説明する。
図5に示すように、大当り遊技中、発射ハンドル15の操作によって、十分な発射強度で右打ちされた遊技球は、発射通路21b及び上部通路21cの順で通過し、流通方向D1に沿って通過する。このとき、上部通路21cのうち、最も狭い部分には取付部41cやビス50が突出しておらず、それら取付部41cやビス50によって遊技球が前方へ弾かれたり、意図しない方向へ転動したりすることなく、第1緩衝部材46に衝突する。
【0058】
遊技球は、第1緩衝部材46に接触して球威が減殺されるとともに、第2緩衝部材47へ向かって流通方向D2に跳ね、さらに第2緩衝部材47に接触する。第2緩衝部材47に接触した遊技球は、下方向である流通方向D3に沿って滑り落ちる。そして、遊技球は、案内通路21eへと流れ込むとともに、該案内通路21eによって右上部通路21fへと向かう案内方向D4に沿って案内される。
【0059】
そして、図中において二点鎖線で示すように、第2可変部材31が開放状態ST2に動作されると、第2可変部材31は、案内方向D4の延長線上に位置するとともに、該案内方向D4と直交する延在方向D5に沿って延在する。右上部通路21fへと流入した遊技球は、その殆ど全てが第2可変部材31の球受面31aによって受け止められ、第1大入賞口30に入賞するように案内される。
【0060】
また、通常遊技中、発射ハンドル15の操作によって第1発射強度で左打ちされた遊技球は、発射通路21bを通過し、センター枠40の左側を通ってアウト口35へと至る第1経路R1を流通する。遊技者は、第1経路R1を流通する遊技球がワープ路43や第1始動入賞口27に向かうように遊技球の行方を追う。このため、遊技者の興趣の向上の観点からすると、第1経路R1に存在する釘等の障害部材によって遊技球の挙動に変化を与えるのが好ましい。第1経路R1に面する第2区画壁45よりも遊技領域21側(外側)に取付部41cが突出した状態に配設されていると、これら取付部41c及びビス50が遊技球の挙動に変化を与えることとなり、好ましい。
【0061】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)遊技球の流通する上部通路21cにおいて、遊技球は第2区画壁45よりも外側を流通する。このため、上部通路21cを画成する第2区画壁45よりも内側(内面45a寄り)にある特定取付部411cが、流通する遊技球に意図しない影響を与えることを抑制できる。例えば、取付部41cが第2区画壁45の外側で上部通路21c内に突出していると、上部通路21cを通過する遊技球が取付部41cに接触して、前方に弾かれるといった意図しない挙動を遊技球にさせてしまう可能性がある。しかし、特定取付部411cを第2区画壁45よりも内側に配設することで、遊技球が前方に弾かれることを抑制でき、好ましい態様でセンター枠40を遊技盤20に取り付けることができる。
【0062】
(2)上部通路21cの少なくとも一部は、遊技球が1球ずつしか通過できない狭い通路である。特定取付部411cは、第2区画壁45のうち、上部通路21cの最も狭い部分を画成する右上部の内側にあり、上部通路21cに突出していない。このため、上部通路21cを流通する遊技球の勢いが、特定取付部411cによって弱まったり、流通方向D1とは異なる方向に転動したりすることを抑制し、上部通路21cを流通する遊技球に意図しない影響を与えることを抑制できる。
【0063】
(3)上部通路21cの少なくとも一部は、遊技球が1球ずつしか通過できない狭い通路である。上部通路21cは、勢い良く流通してきた遊技球を第1緩衝部材46に向かわせるために狭くした通路である。このような上部通路21c内に特定取付部411cが突出していると、遊技球の勢いが弱まり、しかも第1緩衝部材46に衝突し難くなるといった意図しない影響を遊技球に与えることになる。しかし、特定取付部411cは、第2区画壁45のうち、上部通路21cの最も狭い部分を画成する部位の内側にあり、上部通路21cに突出していない。このため、上部通路21cを流通する遊技球の勢いが弱まることを抑制し、第1緩衝部材46に衝突し難くなるといった意図しない影響を与えることを抑制できる。
【0064】
(4)特定取付部411cは、遊技球の流通方向における案内通路21eよりも上流側の上部通路21cを画成する第2区画壁45の内側にある。特定取付部411cによって、上部通路21cを流通する遊技球が前方に弾かれることが抑制され、遊技球の運動を不均一化させることなく第1緩衝部材46に衝突させることができる。遊技球を第1大入賞口30に入賞させやすくするためには、遊技球の軌道を収束させ、かつ運動の強さを均一にすることが望ましい。このため、上部通路21cの一部を狭くする必要がある。特定取付部411cは、第2区画壁45において上部通路21cを画成する部位の内側に配設されている。よって、遊技球の運動を不均一化させることなく、第1緩衝部材46に衝突させ、安定して案内通路21eに流れ込ませやすくできる。また、第2可変部材31は、第1大入賞口30を開いている状態においては、案内通路21eによって案内された遊技球の案内方向D4(流通方向)上に位置し、かつ案内通路21eによって案内された遊技球の流通方向と交差する延在方向D5に沿って延在する。このため、案内通路21eによって案内された遊技球は、第2可変部材31によって効率よく第1大入賞口30と取り込まれる。したがって、案内通路21eを流通する遊技球の第1大入賞口30での取りこぼしを低減し、遊技者の興趣を向上できる。
【0065】
(5)遊技盤20の表面20bに直交する前後方向において、特定取付部411cは、センター枠40が備える飾り板47aよりも遊技盤20寄りで飾り板47aに重なる位置にある。特定取付部411cは飾り板47aよりも遊技盤20寄りの裏側に重なるため、遊技者は特定取付部411c及びビス50を視認し難くなり、遊技者の興趣の低下を抑制できる。
【0066】
(6)特定取付部411cは、飾り板47aよりも遊技盤20寄りで飾り板47aに重なる位置にあるが、飾り板47aは貫通孔47bを備える。このため、貫通孔47bによって、特定取付部411cの取付孔41dへのビス50の螺入を容易に行うことができる。
【0067】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・センター枠40は、複数の部材を組み合わせて環状に構成されていてもよい。例えば、センター枠40は、第2区画壁45の右上部となる部位であり、飾り板47aと前後方向に重なる部位を構成する枠構成部材を備えていてもよい。この場合、センター枠40は、枠構成部材と、センター枠40のその他の部位となる枠本体とを一体化して構成される。そして、枠構成部材は、枠本体において枠構成部材に隣接した部位に、ビス等で固定されて一体化されている。また、枠構成部材及び枠本体は、それぞれ第2区画壁45を形成する壁形成部を備え、枠構成部材と枠本体から立設された壁形成部が繋がって一連の第2区画壁45が形成される。そして、枠構成部材の壁形成部に沿って特定取付部411cが配設され、センター枠40において、枠構成部材の壁形成部よりも開口部40a側(演出表示装置26側)に特定取付部411cが配設され、第2区画壁45の内側に特定取付部411cが配設されている。
【0068】
このように構成した場合、例えば、枠構成部材を1本のビス50で遊技盤20に取り付けるため、ビス50を特定取付部411cに挿通した場合、1本のビス50では、枠構成部材がビス50を中心に回動する虞がある。枠構成部材が回動すると、その回動が、遊技球の流通、特に上部通路21cの最も狭い部分での遊技球の流通に意図しない影響を与えてしまい、好ましくない。また、枠構成部材は、第1緩衝部材46に衝突し、跳ね返った遊技球が当たる場所に配設されており、回動は好ましくない。
【0069】
よって、枠構成部材は、回動を規制した状態に取り付けておくのが好ましい。しかし、特定取付部411c以外にも取付部41cを設けるには、その取付部41cを第2区画壁45の外側で上部通路21c内に配設することになって好ましくない。よって、枠構成部材の回動を規制しつつ、特定取付部411cが遊技球の流通に意図しない影響を与えることを抑制するために、枠構成部材は、枠本体に対しビス等で固定される。即ち、枠構成部材は、特定取付部411cに挿通された1本のビス50だけで遊技盤20に取り付けられているのではなく、その他のビスによって枠本体に固定された状態で遊技盤20に取り付けられる。
【0070】
・特定取付部411cの前側に飾り板47aは無く、特定取付部411cは飾り板47aに覆われていなくてもよい。
・特定取付部411cは、第2区画壁45の右上部の内側以外の部位にあってもよい。
【0071】
・例えば、センター枠40が、センター枠40の開口部40aを横断する球通路を備える場合は、取付部41cを、その球通路内に突出せず、かつ球通路を形成する第2区画壁の内側に配設してもよい。
【0072】
・複数の取付部41cのうち、第2区画壁45に沿って配設された取付部41cの全てが、第2区画壁45の内側に配設されていてもよい。
・案内通路21eが延びる方向は、適宜変更できる。即ち、案内通路21eによる遊技球の案内方向D4は、適宜変更できる。そして、第2可変部材31は、開放状態ST2において、案内方向D4の延長線上に位置し、且つ案内方向D4と交差する延在方向D5に沿って延在すれば、どのような位置に配設されていてもよい。
【0073】
・案内通路21e、第1大入賞口30、及び第2可変部材31の位置は、変更してもよい。例えば、案内通路21e、第1大入賞口30、及び第2可変部材31のうちの一部又は全部は、遊技領域21の中央よりも下方にあってもよい。
【0074】
・屈曲通路21dは備えていなくてもよく、上部通路21cに案内通路21eが繋がっていてもよい。
・第1大入賞口30は、案内通路21eによる遊技球の案内方向D4の延長線上に配置されていてもよい。
【0075】
・2球以上の遊技球が並ばない大きさの特定通路は、案内通路21eや右部通路21hであってもよい。案内通路21eが特定通路の場合、第1の壁は、センター枠40が備える突出壁41bとなり、遊技領域21に存在することとなる。また、第2の壁は第2区画壁45となり、取付部41cは、第2区画壁45の内側に配設される。右部通路21hが特定通路の場合、第1の壁は、センター枠40が備える外壁48となり、遊技領域21に存在することとなる。また、第2の壁は第2区画壁45となり、取付部41cは第2区画壁45の内側に配設される。
【0076】
・第2区画壁45において、2球以上の遊技球が並ぶ大きさの通路を画成する部位の内側に取付部41cを配設してもよい。この場合、2球以上の遊技球が並ぶ大きさの通路は、右上部通路21fや屈曲通路21dである。
【0077】
・枠部材は、開口部を有し、該開口部が遊技盤20の開口部20aと重なる状態に取り付けられ、かつ遊技球の流通する通路を第1レール22とで形成するのであれば、センター枠40以外の部材であってもよい。
【0078】
・第1の壁を第2レール23とし、第2レール23と第2区画壁45で遊技球の通路が形成された場合、第2区画壁45の内側に取付部41cを配設してもよい。
・第2の壁は、センター枠40に存在する壁であれば、第2区画壁45以外の壁であってもよい。
【0079】
・特別図柄変動ゲームは、演出表示装置26にて表示してもよい。この場合、演出ゲームを表示しないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0080】
S…平面、D1〜D3…流通方向、D4…案内方向(流通方向)、D5…延在方向(交差する方向)、20…遊技盤、20a…開口部、21…遊技領域、21b…発射通路、21c…上部通路(特定通路)、21e…案内通路、22…第1レール(第1の壁)、23…第2レール(第1の壁)、30…第1大入賞口(入球口)、31…第2可変部材(開閉部材)、40…センター枠(枠部材)、40a…開口部、41c…取付部、45…第2の壁としての第2区画壁、47a…飾り板(装飾部)、411c…特定取付部。
図1
図2
図3
図4
図5