特許第6760852号(P6760852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760852
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】構造体
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/16 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   E04H17/16 101
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-5319(P2017-5319)
(22)【出願日】2017年1月16日
(65)【公開番号】特開2018-115430(P2018-115430A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100168228
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 達則
(72)【発明者】
【氏名】赤井 忠剛
【審査官】 新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−092045(JP,U)
【文献】 特開2011−140844(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0248842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/14 − 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦材と、横材を備え、横材の端面を縦材の側面に突き合わせてあり、縦材は、横材側に突出する突起を有しており、横材は、縦壁と、見込壁と、タッピングホールを有しており、横材の見込壁を挟んで、縦材の突起と横材の縦壁が略連続しており、横材のタッピングホールが、見込壁の、縦壁又は突起に隣接する位置に設けてあり、縦材を横材のタッピングホールにネジ止めしてあることを特徴とする構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦材と横材を備えるフェンスなどの構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェンスなどの構造体において、図6に示すように、下材102の見込壁122の前後方向中央にタッピングホール123を設けてあり、下材102の端面に縦材101を取り付けてあって、下材102のタッピングホール123に縦材101をネジ止めしたものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような構造体が、梱包状態で落下して、下材102が地面に衝突すると、縦材101に固定されている上材などの荷重が下材102のネジ止め部に掛かり、タッピングホール123からネジの先端が抜けたり、タッピングホール123を設けた見込壁122が変形したりして、縦材101と下材102のズレが発生する場合があった。
【0004】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、落下による衝撃を受けても、縦材と横材のズレが発生することのない構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、縦材と、横材を備え、横材の端面を縦材の側面に突き合わせてあり、縦材は、横材側に突出する突起を有しており、横材は、縦壁と、見込壁と、タッピングホールを有しており、横材の見込壁を挟んで、縦材の突起と横材の縦壁が略連続しており、横材のタッピングホールが、見込壁の、縦壁又は突起に隣接する位置に設けてあり、縦材を横材のタッピングホールにネジ止めしてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、横材の縦壁が縦材の突起と略連続しており、落下時の衝撃荷重をネジ止め部と縦材の突起で分散して受けるものであり、また、タッピングホールが、見込壁の、縦壁又は突起に隣接する位置に設けてあるものなので、タッピングホールからネジが抜けたり、タッピングホールを設けた見込壁が変形したりすることがなく、縦材と横材のズレが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】縦材と下材の連結部を示す縦断面図である。
図2】縦材と下材の連結部を示す横断面図である。
図3】縦材と下材の連結部を示す分解斜視図である。
図4】縦材と上材の連結部を示す縦断面図である。
図5】構造体の正面図である。
図6】従来の構造体における縦材と下材の連結部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この構造体は、種々の用途に用いられるものであるが、ここでは住宅の敷地境界などに設置されるフェンスの場合を例に挙げる。図5に示すように、このフェンスは、左右に並べて立設した支柱5の前側にパネル体10を取り付けたものであり、前側が道路側、後側が家側となる。パネル体10は、左右の縦材1の間に、下材(横材)2、上材3及び3本の中間材4を取り付けて面状に形成したものである。なお、縦材1、下材2、上材3、中間材4及び支柱5は、何れもアルミ製の押出形材からなる。
【0009】
縦材1は、図1及び図2に示すように、断面略矩形の前側ホロー部12及び後側ホロー部13と、前側ホロー部12と後側ホロー部13を連結する連結壁14を備え、後側ホロー部13の内周側面(下材2、上材3及び中間材4側の面)の前端部から内周側に向けて突出する突起11を設けてあり、前側ホロー部12の内周側面の前端部から内周側に向けて突出する前側片15を設けてある。突起11及び前側片15は、何れも縦材1の長手方向(上下方向)に沿って延びるものであるが、突起11は下端部及び上端部を切除してあり、前側片15よりも短くなっている。なお、縦材1の外周側には、後述の下材2、上材3及び中間材4を取り付けるネジを覆い隠すカバー材16を取り付けてある。
【0010】
下材2は、図1に示すように、断面略矩形の上側ホロー部24及び下側ホロー部25を備える。上側ホロー部24は下側ホロー部25よりも上下に長く、両者の前側面は面一であり、後側面は下側ホロー部25の方が僅かに後側に突出している。ここで、下側ホロー部25の後側面を構成する壁面を縦壁21、下側ホロー部25の上側面及び上側ホロー部24の下側面を共通して構成する壁面を見込壁22、上側ホロー部24の後側面を構成する壁面を見付壁26とする。また、見込壁22は後側に延出しており、後端で下側に屈曲した上側突出片27を形成している。さらに、下側ホロー部25の下端部から後側に延出して後端で下側に屈曲した下側突出片28を設けてある。そして、上側ホロー部24内に、上下2つのタッピングホール23,29を設けてある。下側のタッピングホール23は、下端部後側、すなわち見込壁22と見付壁26が交わる角部に設けてあり、断面略C字形で、見込方向(前側)に向けて開口している。上側のタッピングホール29は、上端部後側、すなわち、上側ホロー部24の上側面と見付壁26が交わる角部に設けてあり、断面略C字形で、前側下方に向けて開口している。
【0011】
このように形成した縦材1と下材2について、図1図3に示すように、下材2の端面を縦材1の側面の下端部に突き合わせて接合してある。この際、下材2の下端が、縦材1の下端よりも下側に位置する。また、下材2の上側ホロー部24が、縦材1の突起11と前側片15の間に丁度納まり、下材2の見付壁26及びタッピングホール23,29が、縦材1の突起11の見込方向(前側)に隣接している。さらに、突起11の下端が、下材2の見込壁22に上側から当接しており、下側ホロー部25の後側面(縦壁21)は上側ホロー部24の後側面よりも後側に突出しているので、下材2の見込壁22を挟んで、縦材1の突起11と下材2の縦壁21が上下方向の一直線上に略連続している。そして、縦材1の、下材2の2つのタッピングホール23,29に対応する位置にはネジ孔を形成してあり、外周側からネジ孔にネジを挿入して、縦材1を下材2のタッピングホール23,29にネジ止めしてある。
【0012】
また、上材3は、図4に示すように、断面略矩形の下側ホロー部34及び上側ホロー部35を備える。下側ホロー部34は上側ホロー部35よりも上下に長く、両者の前側面は面一であり、後側面は上側ホロー部35の方が僅かに後側に突出している。ここで、上側ホロー部35の後側面を構成する壁面を縦壁31、上側ホロー部35の下側面及び下側ホロー部34の上側面を共通して構成する壁面を見込壁32、下側ホロー部34の後側面を構成する壁面を見付壁36とする。また、見込壁32は後側に延出しており、上側ホロー部35の後側面の下端部から後側に向けて略矩形状に突出した突出部37を形成している。さらに、上側ホロー部35の上端部から後側に延出して後端で下側に屈曲した突出片38を設けてある。そして、下側ホロー部34内に、上下2つのタッピングホール33,39を設けてある。上側のタッピングホール33は、上端部後側、すなわち見込壁32と見付壁36が交わる角部に設けてあり、断面略C字形で、前側下方に向けて開口している。下側のタッピングホール39は、下端部後側、すなわち、下側ホロー部34の下側面と見付壁36が交わる角部に設けてあり、断面略C字形で、前側上方に向けて開口している。
【0013】
このように形成した上材3についても、図4に示すように、上材3の端面を縦材1の側面の上端部に突き合わせて接合してある。この際、上材3の上端が、縦材1の上端よりも上側に位置する。また、上材3の下側ホロー部34が、縦材1の突起11と前側片15の間に丁度納まり、上材3の見付壁36及びタッピングホール33,39が、縦材1の突起11の見込方向(前側)に隣接している。さらに、突起11の上端が、上材3の見込壁32に下側から当接している。そして、縦材1の、上材3の2つのタッピングホール33,39に対応する位置にはネジ孔を形成してあり、外周側からネジ孔にネジを挿入して、縦材1を上材3のタッピングホール33,39にネジ止めしてある。
【0014】
さらに、中間材4は、図4に示すように、断面略矩形の中空形材からなり、後側面の上下方向中央部に、断面略C字形で下向きに開口するタッピングホール41を設けてあり、さらにタッピングホール41から前側面まで延びる見込壁42を設けてある。3本の中間材4は同形状であって、下材2と上材3の間に等間隔に並んで配置してあり、縦材1側からタッピングホール41にネジ止めしてある。
【0015】
このようにして、左右の縦材1の間に、下材2、上材3及び3本の中間材4を取り付けて、面状のパネル体10を形成してあり、この状態で梱包され、搬送される。そして、このパネル体10を、左右に並べて立設した支柱5の前側に取り付けてある。より詳しくは、図1に示すように、支柱5の下部に略L字形の支持具6をネジ止めして取り付けてあり、支持具6にパネル体10(下材2)を載置してある。また、図4に示すように、支柱5の上端部の前側面に貫通孔51を形成してあり、貫通孔51に、引寄せ具7を挿入してある。引寄せ具7は、上向き片からなる前側の係合部71と、下向き片からなる後側の固定部72と、係合部71と固定部72をつなぐ連結部73を有しており、貫通孔51から係合部71が前側に突出している。そして、係合部71にパネル体10の上材3の上端の突出片38が係合しており、固定部72に支柱5の後側からネジを螺合してあって、ネジを回すことで引寄せ具7を後側に引き寄せ、すなわち引寄せ具7に係合するパネル体10(上材3)を支柱5に引き寄せている。なお、図5に示すように、パネル体10の端部(縦材1の上下端部)には、小口キャップ8を取り付けてあり、また、パネル体10を左右に連結した箇所においては、連結部材9を取り付けてある。
【0016】
このように構成した本発明の構造体においては、施工前の搬送時にパネル体10が梱包状態で落下した場合、下側に位置する下材2が地面に衝突して、縦材1に固定された上材3や中間材4の荷重が下材2に対して下向きにかかるが、この衝撃荷重を、2つのネジ止め部(タッピングホール23,29)と、下材2の縦壁21に略連続する縦材1の突起11で分散して受ける。この際、縦材1の突起11は上下に延びており、また下材2の縦壁21も上下に延びていて、両者が上下方向の一直線上に略連続しているので、上下方向の衝撃荷重に対して強固な構造となっているとともに、特に下側のタッピングホール23が、見込壁22の、突起11に隣接する位置に設けてあることにより、タッピングホール23,29からネジが抜けたり、下側のタッピングホール23を設けた見込壁22が変形したりすることがなく、縦材1と下材2のズレが発生しない。また、下材2の上側ホロー部24の後側面を構成する壁面である見付壁26が、縦材1の突起11の前側に隣接しており、荷重を受けた際に突起11が変形することを防ぐので、より強固である。さらに、下側のタッピングホール23が前側に向けて開口しているので、荷重を受けた際に特にネジが抜けにくい。また、縦材1の突起11の上端が上材3の突出部37に下側から当接しており、上下反転した状態で搬送して落下した場合でも、上材3にかかる衝撃荷重を、2つのネジ止め部(タッピングホール33,39)と、縦材1の突起11で分散して受けるので、タッピングホール33,39からネジが抜けることがなく、縦材1と上材3のズレが発生しない。
【0017】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。たとえば、パネル体は、縦材に少なくとも下材と上材を取り付けた構造のものであればよい。また、下材のタッピングホールが、見込壁の、縦壁に隣接する位置(下側ホロー部内)に設けてあってもよい。さらに、上材が、下材と上下対称な構造、すなわち、上材の見込壁を挟んで縦材の突起と上材の縦壁が略連続する構造を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0018】
1 縦材
2 下材(横材)
11 突起
21 縦壁
22 見込壁
23 タッピングホール
図1
図2
図3
図4
図5
図6