(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記真空引き用孔には、前記収容器から外部への空気の流出は許容し、外部から前記収容器への空気の流入は規制するバルブが設けられている、請求項1又は2に記載の吐出装置の真空引き構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図11の吐出装置100においては、フォロワープレート103を下降させて粘性材料102に密着させる場合、
図12に示すように、フォロワープレート103の吐出孔103aの周辺に空気が滞留した空間A1が形成される場合がある。このような空気が滞留した空間A1が存在すると、粘性材料102を塗布した際に当該粘性材料102に空気が混入して接着不良などが発生する。そのため、空気が滞留した空間A1がなくなるまで、例えば、フォロワープレート103の吐出孔103aから空気と共に大量に粘性材料102を吐出する必要があり、その結果、粘性材料102の無駄が生じていた。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、粘性材料の無駄を抑制しつつ、真空引きが可能な吐出装置の真空引き構造及び真空引き方法を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る吐出装置の真空引き構造は、収容器に収容された粘性材料の吐出に応じて、前記収容器を塞ぐフォロワープレートが下降する吐出装置の真空引き構造であって、
前記フォロワープレートに形成された真空引き用孔と、
前記フォロワープレートの真空引き用孔を下方から覆い、前記フォロワープレートと前記粘性材料との間に配置されたサブプレートと、
前記フォロワープレートと前記サブプレートとの間に形成され、前記サブプレートと前記粘性材料との空間に滞留する空気を前記真空引き用孔に導く導通路と、
を備える。
これにより、収容器の真空引きを行う際に、フォロワープレートの真空引き用孔からの粘性材料の排出がサブプレートによって抑制される。よって、収容器の真空引きを行う際に、粘性材料の無駄を抑制することができる。
【0008】
上述の吐出装置の真空引き構造において、前記サブプレートは、前記フォロワープレートに磁力により固定されることが好ましい。
これにより、サブプレートをフォロワープレートと共に吐出装置の上下方向に移動させることができる。
【0009】
上述の吐出装置の真空引き構造において、前記真空引き用孔には、前記収容器から外部への空気の流出は許容し、外部から前記収容器への空気の流入は規制するバルブが設けられていることが好ましい。
これにより、外部から収容器への空気の流入を抑制しつつ、確実に収容器の真空引きを行うことができる。
【0010】
本発明の一態様に係る吐出装置の真空引き方法は、収容器に収容された粘性材料の吐出に応じて、前記収容器を塞ぐフォロワープレートが下降する吐出装置の真空引き方法であって、
前記収容器に収容された前記粘性材料と前記フォロワープレートとの間にサブプレートが配置されるように、前記フォロワープレートで前記収容器を塞ぎ、前記フォロワープレートに形成された真空引き用孔を前記サブプレートによって下方から覆う工程と、
前記真空引き用孔から真空引きしつつ、前記フォロワープレートを下降させる工程と、
を備え、
前記サブプレートと前記粘性材料との空間に滞留した空気は、前記フォロワープレートと前記サブプレートとの間に形成され、前記サブプレートと前記粘性材料との空間に滞留する空気を前記真空引き用孔に導く導通路を介して排気する。
これにより、収容器の真空引きを行う際に、フォロワープレートの真空引き用孔からの粘性材料の排出がサブプレートによって抑制される。よって、収容器の真空引きを行う際に、粘性材料の無駄を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粘性材料の無駄を抑制しつつ、真空引きが可能な吐出装置の真空引き構造及び真空引き方法を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0014】
<実施の形態1>
先ず、本実施の形態の真空引き構造が構成される吐出装置の基本構成を説明する。
図1は、本実施の形態の真空引き構造が構成される吐出装置を模式的に示す部分断面図である。
図2は、本実施の形態の真空引き構造が構成される吐出装置のフォロワープレート周辺を拡大して示す部分断面図である。
図3は、本実施の形態のフォロワープレートを模式的に示す斜視図である。
図4は、本実施の形態のフォロワープレートを模式的に示す底面図である。なお、
図1及び
図2では、フォロワープレートなどを簡略化して示している。
【0015】
本実施の形態の吐出装置1は、
図1に示すように、収容器2、フォロワープレート3、ポンプ4及び昇降機構5を備えている。収容器2は、側壁2aと下面2bとで形成された空間内に粘性材料6が収容されており、上面が開口している。
【0016】
粘性材料6は、接着剤などの粘性部材であり、例えば、粘性材料6の粘度が94〜660Pa・sで、せん断速度が20sec
−1である。但し、粘性材料6は、後述の導通路13を介してフォロワープレート3の真空引き用孔11から流出しない粘度及びせん断速度であればよい。また、粘性材料6は、一例として接着剤を挙げているが、他の粘性部材であってもよい。
【0017】
収容器2は、例えば、ドラム缶などから成る。但し、収容器2は、内部に粘性材料を収容することができれば、ドラム缶に限らず、粘性材料6が収容される空間が側壁及び下面で形成されていればよい。
【0018】
フォロワープレート3は、
図2に示すように、収容器2を塞ぐように当該収容器2に嵌め込まれており、収容器2内で上下方向に移動可能である。詳細には、フォロワープレート3は、収容器2の内径形状に対応する周形状を有し、例えば、
図3に示すように、蓋部3a及びフランジ部3bを備えている。
【0019】
蓋部3aは、板状形状を基本形態としており、例えば、下面が円錐形状に形成されている。そして、蓋部3aの略中央部には、吐出孔3cが形成されている。また、蓋部3aには、フォロワープレート3で収容器2を塞ぐ際に、粘性材料6とフォロワープレート3との間の空気を抜くための空気抜き用孔3dが形成されている。
【0020】
フランジ部3bは、
図3に示すように、筒状形状を基本形態としており、蓋部3aの周縁部を囲むように設けられている。そして、フランジ部3bの外周面には、周方向に延在する溝部3eが形成されており、当該溝部3eにリング状のシール部材7が嵌め込まれている。
【0021】
このようなフォロワープレート3は、例えば、鋳造によって製造するが、他の製法によって製造してもよい。また、蓋部3aの下面を円錐形状に形成しているが、収容器2に収容されている粘性材料6の上面形状などに応じて、適宜、変更することができる。
【0022】
ポンプ4は、
図2に示すように、フォロワープレート3の吐出孔3cと接続されており、当該吐出孔3cから粘性材料6を汲み上げる。ポンプ4は、例えば、ドラムポンプを備えており、ポンプ4の下端部がフォロワープレート3の上面に固定されている。そして、ポンプ4は、
図1に示すように、汲み上げた粘性材料6を排出口4aからディスペンサ装置(図示を省略)に供給する。ちなみに、ポンプ4は、例えば、ディスペンサ装置内の粘性材料の減少に応じて、収容器2から粘性材料6を汲み上げてディスペンサ装置に供給する。
【0023】
昇降機構5は、フォロワープレート3を上下方向に昇降させる。昇降機構5は、例えば、
図1に示すように、ベース部5a、エレベータポンプ5b、梁材5c及びロッド5dを備えている。ベース部5aは、収容器2が載置される載置板である。エレベータポンプ5bは、吐出装置1の上下方向に伸縮することで、フォロワープレート3及びポンプ4を上下方向に昇降させる駆動源である。
【0024】
エレベータポンプ5bは、例えば、シリンダ5eからピストンロッド5fが上下方向に変位する構成とされており、収容器2を挟み込むように配置されている。そして、エレベータポンプ5bのシリンダ5eは、ベース部5aに固定されている。
【0025】
梁材5cは、エレベータポンプ5bのピストンロッド5f同士を連結する。つまり、梁材5cは、吐出装置1の上下方向から見て、収容器2を跨ぐようにエレベータポンプ5bのピストンロッド5fに掛け渡されている。この梁材5cには、ポンプ4の上端部が固定されている。
【0026】
ロッド5dは、フォロワープレート3を梁材5cに連結する。ロッド5dは、例えば、吐出装置1の上下方向に延在している。そして、ロッド5dの下端部は、フォロワープレート3に固定され、ロッド5dの上端部は、梁材5cに固定されている。
【0027】
これにより、エレベータポンプ5bの伸縮に対応するようにフォロワープレート3及びポンプ4が吐出装置1の上下方向に移動する。ちなみに、エレベータポンプ5bは、例えば、作業者が操作部を操作することによって駆動する。
【0028】
次に、上述の吐出装置1で構成される真空引き構造を説明する。真空引き構造10は、
図2に示すように、真空引き用孔11、サブプレート12及び導通路13を備えている。真空引き用孔11は、
図3及び
図4に示すように、フォロワープレート3に形成されている。そして、真空引き用孔11は、図示を省略した開閉バルブ及び真空計を介して真空引きポンプに接続されている。このような真空引き用孔11は、例えば、吐出孔3cの中央を中心とする略等しい円上に、略等しい間隔で配置されている。但し、真空引き用孔11の配置や個数は、フォロワープレート3の大きさなどに応じて、適宜、変更することができる。
【0029】
サブプレート12は、
図1及び
図2に示すように、フォロワープレート3の真空引き用孔11を下方から覆い、粘性材料6とフォロワープレート3との間に配置されている。
図5は、本実施の形態のサブプレートを模式的に示す斜視図である。
【0030】
サブプレート12は、
図5に示すように、板状部材であり、例えば、円錐形状を基本形態としている。そして、サブプレート12の頂部には、貫通孔12aが形成されている。また、サブプレート12の傾斜部12bは、フォロワープレート3の下面と略対応するように傾斜している。このようなサブプレート12は、プレス加工によって簡単に成形することができるが、他の製法で製造してもよい。また、サブプレート12の上面がフォロワープレート3の下面と略対応するように、サブプレート12は形成されていればよい。
【0031】
なお、サブプレート12は、
図4に示すように、フォロワープレート3の下面に設けられた磁石14によって当該フォロワープレート3に磁気接続されていることが好ましい。これにより、サブプレート12をフォロワープレート3と共に吐出装置1の上下方向に移動させることができる。ちなみに、
図4においてハッチングが施された部分が磁石14である。
【0032】
導通路13は、
図2に示すように、フォロワープレート3とサブプレート12との間に形成され、粘性材料6とサブプレート12との空間A2(
図7)とフォロワープレート3の真空引き用孔11とを接続し、当該空間A2に滞留する空気をフォロワープレート3の真空引き用孔11に導く。
【0033】
ここで、フォロワープレート3が鋳造品で、サブプレート12がプレス加工品の場合、フォロワープレート3に対して、サブプレート12の成形精度は低く、サブプレート12の傾斜部12bの傾斜角度は、フォロワープレート3の下面の傾斜角度に対して若干ズレている。そのため、サブプレート12における傾斜部12bの上面をフォロワープレート3の下面に接するように当該サブプレート12を配置した場合、サブプレート12における傾斜部12bの上面とフォロワープレート3の下面との間に隙間が形成される。そこで、本実施の形態では、当該隙間を導通路13としている。なお、
図2などでは、サブプレート12における傾斜部12bの上面とフォロワープレート3の下面との隙間を誇張して示している。
【0034】
但し、フォロワープレート3の下面及びサブプレート12における傾斜部12bの上面の少なくとも一方に、導通路13として溝部を形成してもよく、また、詳細は後述するが、真空引きした際に、サブプレート12における傾斜部12bの上面がフォロワープレート3の下面に密着しないように、サブプレート12における傾斜部12bの上面及びフォロワープレート3の下面の少なくとも一方の表面荒さを荒くしてもよい。
【0035】
次に、本実施の形態の真空引き方法の流れを説明する。
図6は、本実施の形態の真空引き方法において、フォロワープレートを下降させた状態を示す図である。
図7及び
図8は、本実施の形態の真空引き方法において、真空引きを実施した際の様子を示す図である。
図9は、本実施の形態の真空引き方法において、真空引きが完了した状態を示す図である。なお、
図6〜
図9では、フォロワープレート3などを簡略化して示している。また、
図6〜
図8では、空気の流れを破線で示している。
【0036】
ここで、本実施の形態の真空引き方法を実施する収容器2には、粘性材料6の中央が盛り上がった形態で収容されているものとし、粘性材料6は、アルミなどの包装材15によって包装された状態とする。
【0037】
先ず、フォロワープレート3の下面に磁石14を介してサブプレート12を磁気接続する。このとき、フォロワープレート3の吐出孔3cとサブプレート12の貫通孔12aとは、吐出装置1の上下方向から見て、略重なるように配置される。
【0038】
次に、粘性材料6を包装する包装材15の頂部に孔を開ける。その後、フォロワープレート3の真空引き用孔11と真空引きポンプとの間の開閉バルブを開いた状態とし、エレベータポンプ5bを制御してフォロワープレート3を下降させて、
図6に示すように、粘性材料6とサブプレート12との空間A2の空気をフォロワープレート3とサブプレート12との間に形成された導通路13を介してフォロワープレート3の空気抜き用孔3d及び真空引き用孔11から抜きつつ、フォロワープレート3で収容器2を塞ぐ。
【0039】
次に、フォロワープレート3の空気抜き用孔3dを栓部材で塞いで、エレベータポンプ5bを非制御状態、即ち、フォロワープレート3の下降に追従するようにピストンロッド5fが下降するフリー状態とし、真空引きポンプを稼動させる。これにより、
図7に示すように、粘性材料6とサブプレート12との空間A2の空気が、導通路13におけるサブプレート12の裾野側の端部及び頂部側の端部から当該導通路13に流入し、導通路13を介してフォロワープレート3の真空引き用孔11から排出される。このとき、フォロワープレート3のフランジ部3bに設けられたシール部材7によって、外部から収容器2内への空気の流入が抑制される。
【0040】
そして、さらに真空引きポンプを稼動させると、粘性材料6とサブプレート12との空間A2の空気が、導通路13を介してフォロワープレート3の真空引き用孔11から排出され、
図8に示すように、フォロワープレート3の下面における吐出孔3cの周辺に粘性材料6が密着する。これにより、フォロワープレート3の吐出孔3c周辺の空気が略排出された状態となる。このとき、導通路13におけるサブプレート12の頂部側の端部は、粘性材料6によって略塞がれる。
【0041】
その後、さらに真空引きポンプを稼動させると、粘性材料6とサブプレート12との空間A2の空気が、導通路13におけるサブプレート12の裾野側の端部から当該導通路13に流入し、導通路13を介してフォロワープレート3の真空引き用孔11から排出され、
図9に示すように、粘性材料6とサブプレート12との空間A2が略塞がれて、真空計が予め設定された閾値を超えると、フォロワープレート3の真空引き用孔11と真空引きポンプとの間の開閉バルブを閉じる。これにより、本実施の形態の真空引き方法が完了する。
【0042】
このように本実施の形態では、サブプレート12をフォロワープレート3と粘性材料6との間に配置し、サブプレート12によってフォロワープレート3の真空引き用孔11を下方から覆いつつ、サブプレート12とフォロワープレート3との間に形成した導通路13を介して、サブプレート12と粘性材料6との空間A2の空気を排出する。これにより、収容器2の真空引きを行う際に、フォロワープレート3の真空引き用孔11からの粘性材料6の排出がサブプレート12によって抑制される。よって、収容器2の真空引きを行う際に、粘性材料6の無駄を抑制することができる。
【0043】
ここで、収容器2内の粘性材料6を汲み上げる際に当該粘性材料6に空気が混入しないようにするためには、
図12で示す空間A1の空気を排出しておくことが重要である。そのため、サブプレート12の頂部側の端部は、当該空間A1まで到達、好ましくはフォロワープレート3の吐出孔3c近傍まで到達しているとよい。
【0044】
しかも、収容器2の真空引きを行う際に、サブプレート12によってフォロワープレート3の真空引き用孔11が下方から覆われているので、粘性材料6がフォロワープレート3の真空引き用孔11まで略到達しない。そのため、フォロワープレート3の真空引き用孔11の目詰まりを抑制でき、収容器2の真空引きを最後までスムーズに行うことができ、また、フォロワープレート3の真空引き用孔11の掃除の手間を抑制することができる。
【0045】
ここで、複数のサブプレート12を用いて収容器2の真空引きを行うことが好ましい。例えば、収容器2内の粘性材料6が減少し、新しい収容器2に交換する際には、他のサブプレート12を用いて当該新しい収容器2の真空引きを行う。このとき、新しい収容器2の真空引きなどを行っている間に、交換前の収容器2の真空引きを行う際に用いたサブプレート12に付着した粘性材料6を乾燥させて容易に除去することができる。このように複数のサブプレート12を使い回すことにより、サブプレート12に付着した粘性材料6を除去するための洗浄剤の使用を抑制でき、しかも、サブプレート12の洗浄時間を短縮することができる。
【0046】
<実施の形態2>
図10に示すように、フォロワープレート3の真空引き用孔11には、収容器2から外部への空気の流出は許容し、外部から収容器2への空気の流入は規制するバルブ21が設けられていることが好ましい。これにより、外部から収容器2への空気の流入を抑制しつつ、確実に収容器2の真空引きを行うことができる。なお、
図10では、フォロワープレート3を簡略化して示している。
【0047】
本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。