(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用表示装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図8を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用表示装置に関する。
図1は、実施形態に係る車両用表示装置の正面図、
図2は、実施形態に係る車両用表示装置の側面図、
図3は、実施形態に係る車両用表示装置の内部構成を示す側面図、
図4は、実施形態に係る車両用表示装置の内部構成を示す他の側面図、
図5は、第一の走行モードにおける車両用表示装置を示す図、
図6は、第二の走行モードにおける車両用表示装置を示す図、
図7は、第三の走行モードにおける車両用表示装置を示す図である。
【0011】
本実施形態の車両用表示装置1は、自動車等の車両に搭載される。
図1から
図3に示すように、本実施形態の車両用表示装置1は、収容部100と、加飾部材2と、虚像表示装置6と、駆動装置7と、第二の駆動装置8と、光源9と、を有する。収容部100は、軸方向の一端が閉塞された筒状の部材である。収容部100は、遮光性の部材であり、金属や合成樹脂等によって形成されている。収容部100は、車両の運転席に対して車両前後方向の前方に配置される。収容部100は、例えば、インストルメントパネルの開口部に配置される。収容部100は、正面視した場合の形状が台形の部材である。
【0012】
収容部100は、運転席と対向する開口部101を有する。車両用表示装置1の説明において、「奥行き方向X」は、収容部100の軸方向を示す。奥行き方向Xは、典型的には車両前後方向である。奥行き方向Xにおいて、「前面側」は運転席側であり、典型的には車両後側である。奥行き方向Xにおいて、「背面側」は運転席側とは反対側であり、典型的には車両前側である。開口部101は、収容部100の前面に設けられている。また、「高さ方向Z」は、収容部100が車両に配置された状態における高さ方向であり、典型的には車両上下方向である。幅方向Yは、奥行き方向Xおよび高さ方向Zと直交する方向であり、典型的には車幅方向である。幅方向Yにおいて、「左側」は運転席から見た場合の左側を示し、典型的には車両左側である。幅方向Yにおいて、「右側」は運転席から見た場合の右側を示し、典型的には車両右側である。
【0013】
開口部101の形状は、幅方向Yの長さが高さ方向Zの長さよりも大きい横長の形状である。加飾部材2は、収容部100の内部に配置されている。加飾部材2は、円環状に形成された部材である。本実施形態の加飾部材2は、円筒形状に形成されている。加飾部材2は、例えば、合成樹脂やアルミニウム等の金属で形成される。加飾部材2の表面の色は、例えば、シルバーや白色等の淡色である。加飾部材2が合成樹脂で形成される場合、加飾部材2の表面にシルバーや白色等の淡色のメッキがなされてもよい。メッキは、光沢を有するものであってもよい。加飾部材2の表面には、鏡面加工やつや消し加工がなされてもよい。
【0014】
加飾部材2の背面には、文字板3が配置されている。文字板3は、加飾部材2の内方の領域を背面側から閉塞している。文字板3は、円形の板状の部材であり、例えば、合成樹脂で成型されている。文字板3の色は、例えば、黒等の濃色である。文字板3の表面には、つや消し加工がなされてもよい。
【0015】
図3に示すように、虚像表示装置6は、表示装置61と、ハーフミラー62と、表示制御装置63とを有する。ハーフミラー62は、半透過性の部材である。ハーフミラー62は、入射する光の一部を反射すると共に、入射する光の他の一部を透過させる。ハーフミラー62は、透明な樹脂やガラス等により形成された本体部と、ハーフミラー層とを有する。ハーフミラー層は、本体部の表面に蒸着等により形成された、金属または無機多層薄膜などである。ハーフミラー62は、奥行き方向Xにおける開口部101と加飾部材2との間に配置されている。ハーフミラー62は、高さ方向Zの上側へ向かうに従って奥行き方向Xの背面側へ向かうように傾斜している。ハーフミラー62は、上記の傾斜姿勢で収容部100によって保持されている。
【0016】
表示装置61は、ハーフミラー62に向けて画像を投影する。表示装置61は、表示制御装置63によって制御される。表示装置61は、例えば、TFT−LCD(Thin Film Transistor−Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置である。表示装置61は、ハーフミラー62に対して高さ方向Zの上側に配置されている。また、表示装置61は、高さ方向Zにおいてハーフミラー62と対向している。
【0017】
表示装置61から投影される画像は、矢印A1で示すように、ハーフミラー62によって奥行き方向Xの前面側に向けて反射される。ハーフミラー62によって反射された画像は、アイポイントEPから見た場合に、ハーフミラー62よりも背面側の位置で結像する虚像として視認される。アイポイントEPは、運転者の視点位置として予め定められた位置である。虚像が結像する位置は、例えば、加飾部材2の前面の位置や、加飾部材2の前面よりもわずかに前面側あるいは背面側の位置である。
【0018】
本実施形態の虚像表示装置6は、
図1に示す画像表示領域12に虚像を表示させる。画像表示領域12は、収容部100の内部において、アイポイントEPから開口部101を通して見ることができる領域である。画像表示領域12は、幅方向Yにおける開口部101の左側端部から右側端部までの範囲である。また、画像表示領域12は、高さ方向Zにおける開口部101の上端部から下端部までの範囲である。画像表示領域12の形状は、例えば、矩形である。
【0019】
本実施形態の車両用表示装置1では、加飾部材2および文字板3が可動式である。以下の説明では、加飾部材2および文字板3をまとめて「可動部材20」と称する。車両用表示装置1は、可動部材20を移動させる駆動装置7および第二の駆動装置8を有する。可動部材20は、
図3に示す起立位置と、
図4に示す傾倒位置とに位置づけることが可能である。可動部材20は、起立位置と傾倒位置との間の位置で停止させられてもよい。
【0020】
起立位置は、可動部材20がアイポイントEPと対向する位置である。可動部材20が起立位置にある場合、
図3に示すように、側面視した場合に加飾部材2の中心軸線X1上にアイポイントEPが位置する。可動部材20が起立位置にある場合、奥行き方向Xに対する可動部材20の中心軸線X1の傾斜角度θが最小となる。起立位置にある可動部材20は、上端部20aが下端部20bよりもわずかに背面側に位置するように傾斜している。なお、傾斜角度θは、車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度でもある。すなわち、傾斜角度θが0であれば、加飾部材2は直立した姿勢となり、傾斜角度θが大きな角度となるほど、加飾部材2が車両上下方向に対して傾いた姿勢となる。起立位置にある加飾部材2の姿勢は、車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度が小さい起立姿勢である。
【0021】
図4に示す傾倒位置は、可動部材20が表示装置61と対向する位置である。可動部材20が傾倒位置にある場合、奥行き方向Xに対する可動部材20の中心軸線X1の傾斜角度θが最大となる。なお、奥行き方向Xに対する中心軸線X1の傾斜角度θは、車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度でもある。つまり、可動部材20が傾倒位置にある場合、加飾部材2の可動範囲において車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度が最も大きい。傾倒位置にある加飾部材2の姿勢は、起立姿勢と比較して車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度が大きい傾倒姿勢である。
【0022】
駆動装置7は、動力源71、動力伝達機構72、駆動制御装置73、および変換部材74を有する。駆動装置7は、可動部材20の背面側に配置されている。動力源71は、例えば、回転式のモータである。動力伝達機構72は、動力源71から出力される回転力によって軸部材75を回転させる。変換部材74は、軸部材75の回転によって軸部材75の軸線方向に沿って往復移動する。軸部材75は、高さ方向Zに沿って延在する円柱形状の部材である。軸部材75は、上端部が下端部よりもわずかに背面側に位置するように傾斜している。軸部材75の傾斜角度は、起立位置にある可動部材20の傾斜角度に対応している。
【0023】
軸部材75の外周面には、螺旋状の溝部75aが形成されている。変換部材74は、溝部75aに係合するナット状の回転部材を有している。この回転部材は、軸部材75の回転運動を軸部材75の軸線方向に沿った直線運動に変換する。変換部材74は、軸部材75が軸線周りに回転することにより、軸部材75に沿って高さ方向Zに移動する。
【0024】
変換部材74は、保持部材76を介して可動部材20と連結されている。保持部材76は、可動部材20の背面側に接続されており、可動部材20と共に高さ方向Zに移動する。変換部材74と保持部材76の上端部とは、回転軸76aを介して連結されている。回転軸76aの中心軸線の方向は、幅方向Yである。保持部材76は、回転軸76aを回転中心として回転自在である。
【0025】
保持部材76の下端には、被ガイド部76bが設けられている。被ガイド部76bは、保持部材76における幅方向Yの両側に設けられている。本実施形態の被ガイド部76bは、回転自在に支持された車輪等の回転体である。収容部100の内部には、被ガイド部76bを案内するガイド部材11が配置されている。ガイド部材11は、ガイドレール11aを有する。被ガイド部76bは、ガイドレール11aに挿入されており、ガイドレール11aに沿って転動する。ガイドレール11aは、全体として奥行き方向Xに沿って延在している。ガイドレール11aにおける背面側の端部には、弧状部11bが設けられている。弧状部11bは、奥行き方向Xの背面側へ向かうに従って高さ方向Zの上側へ向かうように湾曲している。
【0026】
駆動制御装置73は、動力源71が出力する回転力の大きさおよび回転方向を制御する。
図3に示すように、可動部材20が起立位置にある場合、被ガイド部76bはガイドレール11aにおける背面側の端部に位置する。このときに、変換部材74は、軸部材75の上端部に位置している。可動部材20を起立位置から傾倒位置に向けて移動させる場合、駆動制御装置73は、変換部材74を下側に向けて移動させるように動力源71を制御する。より具体的には、駆動制御装置73は、動力源71によって、変換部材74を下側に向けて移動させる回転方向に軸部材75を回転させる。
【0027】
変換部材74が軸部材75に沿って下側に向けて移動すると、被ガイド部76bがガイドレール11aに案内されて前面側に向けて移動する。変換部材74が下側に向けて移動するに従って、可動部材20の下端部20bが軸部材75に対して前面側に向けて離れるように相対移動していく。その結果、高さ方向Zに対する可動部材20の傾斜角度が増加していく。駆動制御装置73は、可動部材20が傾倒位置に到達すると、動力源71の出力を停止させる。傾倒位置は、車両上下方向に沿った加飾部材2の可動範囲における最も下側の位置である。
【0028】
駆動制御装置73は、可動部材20を傾倒位置から起立位置に向けて移動させる場合、変換部材74を上側に向けて移動させるように動力源71を制御する。より具体的には、駆動制御装置73は、動力源71によって、変換部材74を上側に向けて移動させる回転方向に軸部材75を回転させる。変換部材74が軸部材75に沿って上側に向けて移動すると、被ガイド部76bがガイドレール11aに案内されて背面側に向けて移動する。変換部材74が上側に向けて移動するに従って、可動部材20の下端部20bが軸部材75に近づくように背面側に向けて相対移動する。その結果、高さ方向Zに対する可動部材20の傾斜角度が減少していく。駆動制御装置73は、可動部材20が起立位置に到達すると、動力源71の出力を停止させる。
【0029】
本実施形態の車両用表示装置1は、更に、可動部材20を幅方向Yに移動させる第二の駆動装置8を有する。第二の駆動装置8は、保持部材76に配置されている。第二の駆動装置8は、例えば、モータ等の第二の動力源と、第二の動力伝達機構とを有する。第二の動力伝達機構は、第二の動力源の出力による回転運動を幅方向Yに沿った直線運動に変換する。第二の駆動装置8は、保持部材76と可動部材20との間に介在している。第二の駆動装置8は、可動部材20を保持部材76に対して幅方向Yに相対移動させる。本実施形態では、第二の駆動装置8の動作は、駆動制御装置73によって制御される。すなわち、駆動制御装置73は、第二の動力源の出力および回転方向を制御する。
【0030】
第二の駆動装置8は、可動部材20を
図1に示す第一の位置P1および第二の位置P2に位置付ける。第一の位置P1は、収容部100の内部の画像表示領域12における幅方向Yの中央位置である。第二の位置P2は、画像表示領域12における第一の位置P1よりも幅方向Yの端部寄りの位置である。本実施形態の第二の位置P2は、第一の位置P1よりも右寄りの位置である。
図1には、第二の位置P2に位置付けられた加飾部材2が破線で示されている。
【0031】
図3に示すように、光源9は、収容部100の内部空間における高さ方向Zの上部に配置されている。光源9は、可動部材20よりも高さ方向Zの上側に配置されている。光源9は、可動部材20の構成要素に対して上側から光を照射する。光源9は、例えば、加飾部材2に対して光を照射して加飾部材2をアイポイントEPから視認可能とする。光源9は、加飾部材2に対して直接光を照射しても、間接的に光を照射してもよい。光源9は、例えば、表示制御装置63によって制御される。また、本実施形態の車両用表示装置1では、表示制御装置63が駆動制御装置73と通信可能に接続されている。駆動制御装置73は、表示制御装置63の指令に応じて可動部材20の姿勢および位置を制御する。
【0032】
本実施形態の駆動装置7は、車両の走行モードに応じて加飾部材2の状態を変化させる。車両の走行モードは、運転者の操作入力に対する車両の走行特性や、運転者の操作入力に対する車両の挙動の応答性を設定するためのものである。車両の走行モードは、運転者によって選択される。駆動装置7は、複数の走行モードを有する車両において、運転者によって選択された走行モードに応じて加飾部材2の状態を変化させる。
【0033】
以下の説明では、第一から第三の走行モードを有する車両を例にして、車両用表示装置1の動作について説明する。本実施形態では、運転者の操作入力に対する車両の挙動の応答性が他の走行モードにおける応答性よりも高い走行モードを「第一の走行モード」と称する。第一の走行モードは、例えば、スポーツモードと称される走行モードである。第一の走行モードでは、他の走行モードと比較して、運転者の運転操作に対する車両の挙動の応答性が高くなる。例えば、第一の走行モードでは、他の走行モードと比較して、運転者の加速操作に対する車両の出力トルクの応答性が高くなる。第一の走行モードでは、運転者の操舵操作に対する車両の旋回応答性が高くされてもよい。
【0034】
第一の走行モード以外の走行モードとして、少なくとも第二の走行モードが選択可能である。本実施形態では、更に、第三の走行モードが選択可能である。第二の走行モードは、例えば、ノーマルモードと称される走行モードである。第二の走行モードでは、第一の走行モードと比較して、運転者の運転操作に対する車両の挙動の応答性が低い。第三の走行モードは、例えば、エコモードと称される走行モードである。第三の走行モードでは、燃料消費や電力消費の低減を優先した車両特性となる。第三の走行モードでは、第一の走行モードと比較して、運転者の運転操作に対する車両の挙動の応答性が低い。
【0035】
表示制御装置63は、車両側の制御装置と通信可能に接続されている。車両側の制御装置は、運転者によって選択された走行モードについての情報を有する制御装置であり、例えば、車両を統合制御する電子制御装置(ECU)である。表示制御装置63は、車両側の制御装置から、選択されている走行モードについての情報を取得する。表示制御装置63は、取得した情報に基づいて駆動装置7を制御する。より詳しくは、表示制御装置63は、選択されている走行モードが第一の走行モードである場合、加飾部材2を起立位置に位置付けるよう駆動装置7に指令する。駆動装置7は、表示制御装置63の指令に応じて、
図5に示すように、加飾部材2を起立位置に位置付ける。
【0036】
表示制御装置63は、第一の走行モードが選択されている場合、光源9を点灯させる。光源9は、表示制御装置63の指令に応じて点灯し、加飾部材2に光を照射する。光源9の光によって加飾部材2が照らされることにより、加飾部材2が視認可能となる。光源9の光により、加飾部材2には高輝度部2aおよび低輝度部2bが発生する。高輝度部2aは、光源9の光によって低輝度部2bよりも明るく見える部分である。
【0037】
表示制御装置63は、加飾部材2よりも内側の領域にモード表示画像21、指針画像22、指標画像23、および車速画像24を表示させる。各画像21,22,23,24は、それぞれ文字板3と重畳して表示される虚像である。
【0038】
モード表示画像21は、現在の走行モードを示す画像である。モード表示画像21は、第一の走行モードを示す文字を含む。モード表示画像21は、第一の走行モードに応じた色の画像、例えば赤色の画像とされてもよい。本実施形態では、文字板3の略中心の位置にモード表示画像21が表示される。
【0039】
指標画像23は、指針画像22によって指し示される指標の画像である。本実施形態の指標画像23は、機関の回転速度を示す文字や目盛りである。指標画像23は、複数の文字画像および目盛り画像を含む。複数の文字画像および目盛り画像は、加飾部材2の内周面に沿って周方向に等間隔で配置される。
【0040】
指針画像22は、現在の機関の回転速度を示す画像である。車速画像24は、車両の現在の走行速度を表示する画像である。車速画像24は、例えば、モード表示画像21よりも画像上下方向の上側に表示される。
【0041】
加飾部材2が起立位置にあることで、メータ表示の視認性が向上する。例えば、加飾部材2よりも内側の領域(以下、単に「内方領域」と称する。)10をアイポイントEPから見た場合の大きさは、加飾部材2の姿勢によって変化する。加飾部材2が起立位置にある場合、加飾部材2が傾倒位置にある場合と比較して、内方領域10が広くなる。従って、内方領域10に表示する各画像21,22,23,24を大きなサイズとして視認性を向上させることができる。また、内方領域10が大きいことで、指針画像22の動きがよりダイナミックとなり、第一の走行モードの特性と合致する。
【0042】
表示制御装置63は、第一の走行モード以外の走行モードが選択されている場合、加飾部材2を傾倒位置に位置付けるよう駆動装置7に指令する。駆動装置7は、表示制御装置63の指令に応じて加飾部材2を傾倒位置に位置付ける。
図6には、第二の走行モードにおける車両用表示装置1の状態が示されている。本実施形態では、第二の走行モードが選択されている場合、光源9が点灯される。
【0043】
図6に示すように、第二の走行モードでは、加飾部材2が傾倒位置に位置付けられている。内方領域10には、モード表示画像25、指針画像27、指標画像26、および車速画像28が表示される。指針画像27および指標画像26は、鳥瞰画像である。より詳しくは、指針画像27および指標画像26は、加飾部材2の傾斜角度に応じた鳥瞰画像で表示される。すなわち、指針画像27および指標画像26は、文字板3上の文字や目盛り、指針を斜め上方から鳥瞰視した場合の形状を模した画像である。
【0044】
モード表示画像25および車速画像28は、鳥瞰画像ではない通常の態様で表示される。モード表示画像25および車速画像28は、内方領域10の中心部に表示される。画像上下方向における加飾部材2よりも上側の領域には、車両画像29、車線画像30、および標識画像31が表示される。車両画像29および車線画像30は、鳥瞰画像である。車両画像29および車線画像30の視点位置は、指針画像27および指標画像26の視点位置と共通である。画像26,27,29,30等が鳥瞰画像で表示されることにより、奥行き感が演出される。標識画像31は、車両の現在位置に関連する案内や規制等を示すものである。標識画像31は、例えば、制限速度等を表示する。
【0045】
図7には、第三の走行モードにおける車両用表示装置1の状態が示されている。本実施形態では、第三の走行モードが選択されている場合、光源9が点灯される。
図7に示すように、第三の走行モードでは、加飾部材2が傾倒位置に位置付けられている。第三の走行モードでは、主として加飾部材2よりも外側の領域に情報が表示される。加飾部材2よりも画像上下方向の上側には、モード表示画像32および車速画像33が表示される。モード表示画像32は、第三の走行モードに応じた色の画像、例えば青色の画像とされてもよい。
【0046】
第三の走行モードでは、車両情報画像34が表示される。車両情報画像34は、車両の駆動系の動作状態や負荷の大きさを示す画像である。車両情報画像34は、画像表示領域12の中央に表示される。本実施形態の車両情報画像34は、一部が加飾部材2と重畳するように表示される。車両情報画像34は、加飾部材2の傾斜角度に応じた鳥瞰画像である。このように、第三の走行モードでは、低燃費を意識した運転において必要とされる車両情報画像34が中央部に表示される。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の車両用表示装置1は、車両に搭載される収容部100と、加飾部材2と、駆動装置7と、を有する。加飾部材2は、収容部100の内部に配置された環状の部材である。駆動装置7は、車両の走行モードに応じて加飾部材2の状態を変化させる装置である。車両の走行モードに応じて加飾部材2の状態が変化することで、現在の走行モードが運転者にとってより直感的に認識しやすくなる。このように、本実施形態では、現在の走行モードを示す機能が加飾部材2に付加されている。従って、本実施形態の車両用表示装置1は、加飾部材2の有用性を向上させることができる。
【0048】
本実施形態において、加飾部材2の状態を変化させる装置は、走行モードに応じて加飾部材2の姿勢を変化させる駆動装置7である。走行モードに応じて加飾部材2の姿勢が異なることで、運転者にとって走行モードが認識しやすくなる。
【0049】
本実施形態の駆動装置7は、第一の走行モードが選択されている場合、加飾部材2の姿勢を他の走行モードにおける加飾部材2の姿勢と異ならせる。なお、第一の走行モードは、運転者の操作入力に対する車両の挙動の応答性が他の走行モードにおける応答性よりも高い走行モードである。第一の走行モードを選択した運転者は、運転操作自体を楽しみたがっていると考えられる。加飾部材2の姿勢を、第一の走行モードを選択する運転者の心理状態に合致した姿勢とすれば、更に加飾部材2の有用性を向上させることができる。また、加飾部材2の姿勢が変化する動作自体によっても演出性を向上させることができる。
【0050】
本実施形態の駆動装置7は、第一の走行モードが選択されている場合、加飾部材2を起立姿勢とする。起立姿勢は、車両上下方向に対する加飾部材2の傾斜角度が小さい姿勢である。起立姿勢は、典型的には加飾部材2が運転者(アイポイントEP)と正対する姿勢である。加飾部材2の起立姿勢は、第一の走行モードを選択し、運転操作を楽しみたいという運転者の心理に合致する。一方、駆動装置7は、第一の走行モード以外の走行モードが選択されている場合、加飾部材2の姿勢を傾倒姿勢とする。傾倒姿勢は、起立姿勢と比較して車両上下方向に対する傾斜角度が大きい姿勢である。加飾部材2を傾倒姿勢とすることで、起立姿勢の場合よりも加飾部材2の外側の領域を広くして、多様な表示を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態の駆動装置7は、加飾部材2の姿勢および位置を変化させる装置である。駆動装置7は、加飾部材2の姿勢および位置を同時に変化させる。言い換えると、駆動装置7は、上下方向における加飾部材2の位置を変化させ、かつ上下方向の位置に応じて加飾部材2の姿勢を変化させる。駆動装置7は、第一の走行モードが選択されている場合、加飾部材2を収容部100の内部の画像表示領域12における中央に位置付ける。加飾部材2が中央に位置付けられることで、加飾部材2を用いたメータ表示が運転者から視認しやすくなる。
【0052】
一方、駆動装置7は、第一の走行モード以外の走行モードが選択されている場合、加飾部材2を画像表示領域12における車両上下方向の下部に位置付ける。つまり、第一の走行モード以外の走行モードでは、加飾部材2が下部に位置付けられ、かつ傾倒姿勢とされる。その結果、加飾部材2よりも上側に大きな表示領域が確保される。よって、加飾部材2よりも上側の領域において多様な表示を行うことが可能となる。例えば、傾倒姿勢の加飾部材2と三次元画像との組み合わせにより、奥行き感のある空間を表現することができる。
【0053】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。上記実施形態の駆動装置7は、第一の走行モードにおける加飾部材2の姿勢および位置の両方を他の走行モードにおける姿勢および位置と異ならせた。これに代えて、駆動装置7は、第一の走行モードにおける加飾部材2の姿勢および位置の何れか一方を他の走行モードにおける姿勢および位置と異ならせてもよい。例えば、駆動装置7は、第一の走行モードにおける加飾部材2の姿勢を他の走行モードにおける姿勢と異ならせ、かつ加飾部材2の位置は実質的に変化させないようにしてもよい。この場合、駆動装置7は、加飾部材2の位置を変化させることなく加飾部材2の姿勢を変化させる機構を有するようにすればよい。例えば、駆動装置7は、幅方向Yの回転軸周りに加飾部材2を回動させる機構を有していてもよい。
【0054】
第一の走行モードにおける加飾部材2の位置と、他の走行モードにおける加飾部材2の位置との変化は、高さ方向Zの変化には限定されず、幅方向Yの変化であってもよい。例えば、表示制御装置63は、第一の走行モードが選択されている場合に第二の駆動装置8によって加飾部材2を第一の位置P1に位置付け、第一の走行モード以外の走行モードが選択されている場合、第二の駆動装置8によって加飾部材2を第二の位置P2に位置付けるようにしてもよい。
【0055】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。車両用表示装置1は、選択されている走行モードが第一の走行モードであるか否かによって光源9の点灯および消灯を切り換えてもよい。例えば、表示制御装置63は、第一の走行モードが選択されている場合に光源9を点灯させ、第一の走行モード以外の走行モードが選択されている場合は光源9を消灯させてもよい。光源9が消灯されている場合、加飾部材2が実質的に運転者から視認されなくなる。
【0056】
第一の走行モードでは、光源9の光によって加飾部材2が視認される。一方、第一の走行モード以外の走行モードでは、加飾部材2が実質的に見えなくなる。従って、運転者は、現在の走行モードが第一の走行モードであるか否かを容易に知ることができる。
【0057】
第一の走行モード以外の走行モードが複数存在する場合は、虚像表示装置6による表示内容によって走行モードの違いを表現可能である。例えば、走行モードに応じて、画像表示領域12に表示される虚像における基調の色を異ならせるようにしてもよい。一例として、走行モードに応じて画像表示領域12の背景色を異ならせるようにしてもよい。第一の走行モード以外の走行モードでは、加飾部材2が視認されないため、画像表示領域12の全体を使って虚像による多様な表示を行うことが可能となる。
【0058】
以上説明したように、本変形例の光源9は、第一の走行モードが選択されている場合に点灯し、第一の走行モード以外の走行モードが選択されている場合、消灯する。光源9は、加飾部材2の状態をライトアップされている状態と、ライトアップされていない状態とに変化させる。言い換えると、光源9は、加飾部材2の状態を視認可能な状態と実質的に視認不能な状態とに変化させる。本変形例によれば、現在の走行モードがどの走行モードであるかの識別を容易とすることができる。
【0059】
[実施形態の第3変形例]
実施形態の第3変形例について説明する。
図8は、実施形態の第3変形例に係る車両用表示装置の要部を示す図である。第3変形例の加飾部材2は、複数の構成部が組み合わされて円環状となる分割式である。
図8に示す加飾部材2は、正面視した場合に高さ方向Zの中心線に関して線対称となるように二分割されている。加飾部材2は、第一構成部13および第二構成部14を有する。第一構成部13および第二構成部14の形状は、半円環形状である。
【0060】
文字板3は、加飾部材2と同様に二分割されている。文字板3は、それぞれが半円形状の第一構成部15および第二構成部16を有する。第一構成部15は、加飾部材2の第一構成部13と接続されている。第二構成部16は、加飾部材2の第二構成部14と接続されている。
【0061】
車両用表示装置1は、第一構成部13,15および第二構成部14,16を幅方向Yに沿って移動させる駆動装置を有する。駆動装置は、第一構成部13,15および第二構成部14,16を互いに異なる方向に移動させる。例えば、駆動装置は、第一構成部13,15を左側に向けて移動させる場合(矢印Y1)、第二構成部14,16を右側に向けて移動させる(矢印Y2)。一方、駆動装置は、第一構成部13,15を右側に向けて移動させる場合(矢印Y3)、第二構成部14,16を左側に向けて移動させる(矢印Y4)。
【0062】
第一構成部13,15と第二構成部14,16とは第一の位置P1において互いに当接する。つまり、駆動装置は、第一構成部13,15を第一の位置P1に向けて移動させるときには、同時に第二構成部14,16を第一の位置P1に向けて移動させる。一方、駆動装置は、第一構成部13,15を第一の位置P1から遠ざかる方向に向けて移動させるときには、同時に第二構成部14,16を第一の位置P1から遠ざかる方向に向けて移動させる。
【0063】
駆動装置は、第一の走行モードが選択されている場合、第一構成部13,15および第二構成部14,16を第一の位置P1に位置付ける。言い換えると、駆動装置は、第一の走行モードが選択されている場合、第一構成部13,15と第二構成部14,16とを組み合わせ、結合させて加飾部材2を円環状にする。一方、駆動装置は、第一の走行モード以外の走行モードが選択されている場合、第一構成部13,15と第二構成部14,16とを離間させる。従って、第一の走行モード以外の走行モードでは、加飾部材2が複数に分離した状態となる。
【0064】
このように第一の走行モードでは加飾部材2が円環状をなし、他の走行モードでは加飾部材2が複数の構成部13,14に分離されることで、現在の走行モードが運転者にとって容易に認識可能となる。なお、加飾部材2は、上下に分割されてもよく、三つ以上の構成部に分割されてもよい。
【0065】
[実施形態の第4変形例]
実施形態の第4変形例について説明する。加飾部材2の形状は、例示したものには限定されない。円環状の加飾部材2は、加飾部材2が閉じているものだけでなく、加飾部材2の一部が欠けて開いた形状のものも含む。このように一部が開いた円環状の加飾部材2としては、例えば、C字形状の加飾部材2が挙げられる。
【0066】
画像表示領域12に表示される画像は、虚像には限定されない。例えば、加飾部材2の背面側に液晶表示装置等の表示装置が配置されてもよい。この場合の加飾部材2の移動方向は、幅方向Yであることが好ましい。すなわち、加飾部材2は、幅方向Yに移動し、かつ高さ方向Zの移動や傾倒/起立動作は行わなくてもよい。
【0067】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。