特許第6760925号(P6760925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760925
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】光源ユニット及び車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/48 20180101AFI20200910BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20200910BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20200910BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20200910BHJP
   F21V 29/74 20150101ALI20200910BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20200910BHJP
   H01L 33/64 20100101ALI20200910BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20200910BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20200910BHJP
【FI】
   F21S45/48
   F21S41/19
   F21S43/19
   F21V29/503
   F21V29/74
   F21V23/00 160
   H01L33/64
   H01L33/00 H
   F21Y115:10
【請求項の数】7
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-509539(P2017-509539)
(86)(22)【出願日】2016年3月16日
(86)【国際出願番号】JP2016058357
(87)【国際公開番号】WO2016158423
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2018年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2015-72897(P2015-72897)
(32)【優先日】2015年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-147768(P2015-147768)
(32)【優先日】2015年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】小澤 篤
(72)【発明者】
【氏名】中川 智之
(72)【発明者】
【氏名】町田 勉
【審査官】 當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−060753(JP,A)
【文献】 特開2011−171277(JP,A)
【文献】 特開2014−170716(JP,A)
【文献】 特開2013−247062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 45/48
F21S 41/19
F21S 43/19
F21V 23/00
F21V 29/503
F21V 29/74
H01L 33/00
H01L 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源として機能する発光素子と、
前記発光素子が搭載された配線パターンと、
前記配線パターンに接続された電極パッドと、
前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、
前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、
所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、
前記給電体は絶縁性の樹脂材料によって形成された端子保持部と前記端子保持部に保持され外部電源に接続される接続端子とを有し、
前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され
前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、
前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えた
光源ユニット。
【請求項2】
前記給電体は前記接続端子の一端部が前記基板に隣接して位置され、
前記給電体の少なくとも両端部を除く部分が前記ソケットハウジングの内部に位置された
請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記給電体は前記端子保持部と前記接続端子が一体成形されることにより形成され、
前記給電体と前記ソケットハウジングが一体成形されることにより結合される
請求項1又は請求項2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
少なくとも前記導通接続部を遮蔽する遮蔽部材が設けられ、
前記ソケットハウジングと前記遮蔽部材には一方に位置決め穴が形成され他方に前記位置決め穴に挿通される位置決めピンが設けられ、
前記位置決め穴に前記位置決めピンが挿入された状態で前記遮蔽部材が前記ソケットハウジングに取り付けられる
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の光源ユニット。
【請求項5】
光源として機能する発光素子と、
前記発光素子が搭載された配線パターンと、
前記配線パターンに接続された電極パッドと、
前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、
前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、
所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、
前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、
前記配置凹部における前記基板と前記係合部の間には電源回路に接続される接続端子の一部が位置され、
前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され
前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えた
光源ユニット。
【請求項6】
光源ユニットを備えた車輌用灯具であって、
前記光源ユニットは、
光源として機能する発光素子と、
前記発光素子が搭載された配線パターンと、
前記配線パターンに接続された電極パッドと、
前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、
前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、
所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、
前記給電体は絶縁性の樹脂材料によって形成された端子保持部と前記端子保持部に保持され外部電源に接続される接続端子とを有し、
前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され
前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、
前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えた
車輌用灯具。
【請求項7】
光源ユニットを備えた車輌用灯具であって、
前記光源ユニットは、
光源として機能する発光素子と、
前記発光素子が搭載された配線パターンと、
前記配線パターンに接続された電極パッドと、
前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、
前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、
所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、
前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、
前記配置凹部における前記基板と前記係合部の間には電源回路に接続される接続端子の一部が位置され、
前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され
前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えた
車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケットハウジングとソケットハウジングに配置された基板とを有する光源ユニット及びこれを備えた車輌用灯具についての技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2013−25934号公報
【背景技術】
【0003】
車輌用灯具には、例えば、ランプボデイとカバーによって構成された灯具外筐に対して着脱可能とされた光源ユニットが設けられ、光源ユニットの光源として発光ダイオード等の発光素子が用いられたものがある。
【0004】
このような光源ユニットは、光源として機能する発光素子と少なくとも発光素子に電流を供給するための配線パターンが形成された基板とが設けられ、基板がソケットハウジングに配置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1に記載された光源ユニットにあっては、基板が配置されたソケットハウジングがランプボデイに取り付けられている。基板には発光素子等に給電を行うための給電部材(接続端子)の一部が挿通され、給電部材における基板に挿通された部分が導電金属部材(半田)によって基板に接合されている。
【0006】
基板は背面が導熱金属部材に接触されており、発光素子からの光の出射時に発生する熱が導熱金属部材を介して放出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に記載された光源ユニットにあっては、基板に給電部材の一部が挿通され、給電部材における基板に挿通された部分が導電金属部材によって基板に接合されており、導熱金属部材と給電部材の干渉を回避するために、導熱金属部材が基板の中央部に対向する位置にのみ設けられている。
【0008】
従って、導熱金属部材の基板との接触面積が小さく、発光素子からの光の出射時における十分な放熱性を確保することができないおそれがある。
【0009】
そこで、本発明光源ユニット及び車輌用灯具は、上記した問題点を克服し、発光素子からの光の出射時に発生する熱に関する放熱性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1に、本発明に係る光源ユニットは、光源として機能する発光素子と、前記発光素子が搭載された配線パターンと、前記配線パターンに接続された電極パッドと、前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、前記給電体は絶縁性の樹脂材料によって形成された端子保持部と前記端子保持部に保持され外部電源に接続される接続端子とを有し、前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され、前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えたものである。
【0011】
これにより、給電体の接続端子が基板の外側に位置されるため、基板の放熱面積を大きくすることが可能になる。
【0012】
第2に、上記した本発明に係る光源ユニットにおいては、前記給電体は前記接続端子の一端部が前記基板に隣接して位置され、前記給電体の少なくとも両端部を除く部分が前記ソケットハウジングの内部に位置されることが望ましい。
【0013】
これにより、接続端子と基板の距離が小さくなると共に給電体がソケットハウジングから大きく突出して位置されない。
【0014】
第3に、上記した本発明に係る光源ユニットにおいては、前記給電体は前記端子保持部と前記接続端子が一体成形されることにより形成され、前記給電体と前記ソケットハウジングが一体成形されることにより結合されることが望ましい。
【0015】
これにより、給電体が一体成形により形成された後に給電体とソケットハウジングが一体成形されて結合される。
【0016】
第4に、上記した本発明に係る光源ユニットにおいては、少なくとも前記導通接続部を遮蔽する遮蔽部材が設けられ、前記ソケットハウジングと前記遮蔽部材には一方に位置決め穴が形成され他方に前記位置決め穴に挿通される位置決めピンが設けられ、前記位置決め穴に前記位置決めピンが挿入された状態で前記遮蔽部材が前記ソケットハウジングに取り付けられることが望ましい。
【0017】
これにより、導通接続部が遮蔽部材によって遮蔽され、光源ユニットを把持したときに導通接続部に誤って指等が接触されることがない。
【0018】
第5に、別の本発明に係る光源ユニットは、光源として機能する発光素子と、前記発光素子が搭載された配線パターンと、前記配線パターンに接続された電極パッドと、前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、前記配置凹部における前記基板と前記係合部の間には電源回路に接続される接続端子の一部が位置され、前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され、前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えたものである。
【0019】
これにより、配置凹部において給電体の接続端子が基板の外側に位置されるため、基板の放熱面積を大きくすることが可能になる。
【0020】
第6に、本発明に係る車輌用灯具は、光源ユニットを備えた車輌用灯具であって、前記光源ユニットは、光源として機能する発光素子と、前記発光素子が搭載された配線パターンと、前記配線パターンに接続された電極パッドと、前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、前記給電体は絶縁性の樹脂材料によって形成された端子保持部と前記端子保持部に保持され外部電源に接続される接続端子とを有し、前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され、前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えたものである。
【0021】
これにより、光源ユニットにおいて、給電体の接続端子が基板の外側に位置されるため、基板の放熱面積を大きくすることが可能になる。
【0022】
第7に、別の本発明に係る車輌用灯具は、光源ユニットを備えた車輌用灯具であって、前記光源ユニットは、光源として機能する発光素子と、前記発光素子が搭載された配線パターンと、前記配線パターンに接続された電極パッドと、前記配線パターンが形成され前記電極パッドが搭載された基板と、前記電極パッドに外部電力を供給する給電体と、所定の部材に係合される係合部を有し前記基板と前記発光素子と前記給電体を保持するソケットハウジングとを備え、前記ソケットハウジングに前記基板が配置される配置凹部が形成され、前記配置凹部における前記基板と前記係合部の間には電源回路に接続される接続端子の一部が位置され、前記接続端子と前記電極パッドが導通接続部によって接続され 前記基板の外周面と前記配置凹部の内周面との間に隙間が形成され、前記隙間は少なくとも1つの浅溝部と少なくとも1つの深溝部を備えたものである。
【0023】
これにより、光源ユニットの配置凹部において、給電体の接続端子が基板の外側に位置されるため、基板の放熱面積を大きくすることが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、給電体の接続端子が基板の外側に位置されるため、基板の放熱面積を大きくすることが可能になり、発光素子からの光の出射時における放熱性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図2乃至図16と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の断面図である。
図2】光源ユニットの分解斜視図である。
図3】光源ユニットの斜視図である。
図4】光源ユニットの断面図である。
図5】光源ユニットの正面図である。
図6】光源ユニットの背面図である。
図7】発光素子及び導電ワイヤーを封止した封止部上にレンズ部が配置された状態を示す概略拡大断面図である。
図8】電極パッドと端子部が直線状に形成された接続端子とがワイヤーによって接続された状態を示す概略拡大断面図である。
図9】電極パッドと端子部が屈曲された接続端子とがワイヤーによって接続された状態を示す概略拡大断面図である。
図10】基板の外周面と配置凹部の内周面との間に形成された隙間における浅溝部を示す拡大断面図である。
図11】基板の外周面と配置凹部の内周面との間に形成された隙間における深溝部を示す拡大断面図である。
図12】遮蔽部材を分離して示す光源ユニットの斜視図である。
図13】樹脂成形部の第1の変形例について浅溝部の位置を概念的に示す正面図である。
図14図13のXIV−XIV線に沿う拡大断面図である。
図15】樹脂成形部の第1の変形例について浅溝部の位置を概念的に示す正面図である。
図16】樹脂成形部の第2の変形例について基板と位置決め部の位置を概念的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
以下に示した実施の形態は、本発明光源ユニットをストップランプ及びテールランプの機能を有するコンビネーションランプにおいて用いられる光源ユニットに適用し、本発明車輌用灯具をこの光源ユニットを備えた車輌用灯具に適用したものである。但し、本発明の適用範囲はストップランプ及びテールランプの機能を有するコンビネーションランプにおいて用いられる光源ユニット及びこれを備えた車輌用灯具に限られることはない。
【0028】
本発明光源ユニットは、ヘッドランプ、クリアランスランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ等又はこれらの組み合わせであるコンビネーションランプ等の各種の車輌用灯具に用いられる光源ユニットに広く適用することができる。また、本発明車輌用灯具は、これらの各種の光源ユニットを備えた車輌用灯具に広く適用することができる。
【0029】
以下の説明においては、光軸方向を前後方向とし光の出射方向を後方として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0030】
先ず、車輌用灯具の概略構成について説明する(図1参照)。
【0031】
車輌用灯具1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0032】
車輌用灯具1は後方に開口された凹部を有するランプボデイ2とランプボデイ2の後側の開口2aを閉塞するカバー3とを備えている。ランプボデイ2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0033】
ランプボデイ2の前端部は前後に貫通された略円筒状のユニット取付部6として設けられ、ユニット取付部6の内側の空間が取付孔6aとして形成されている。ユニット取付部6の内周面には内方に突出された係合突部7、7、・・・が周方向に離隔して設けられている。
【0034】
次に、ランプボデイ2に取り付けられる光源ユニット8の構造について説明する(図2乃至図6参照)。
【0035】
ランプボデイ2のユニット取付部6には光源ユニット8が着脱可能にされている。光源ユニット8はソケットハウジング9と給電体10と発光モジュール11を有している(図2乃至図6参照)。
【0036】
ソケットハウジング9は樹脂成形部12と放熱板13が一体成形されることにより形成されている。一体成形としては、例えば、金型のキャビティに金属材料が保持された状態で溶融樹脂(樹脂材料)が充填されて金属材料と樹脂材料によって成形品が一体に形成される所謂インサート成形が用いられている。
【0037】
樹脂成形部12は熱伝導性に優れ、例えば、カーボン等が含有された樹脂材料によって形成され、導電性をも有している。樹脂成形部12は、熱伝導係数が1W/(mK)〜30W/(mK)にされていることが好ましく、熱伝導率が放熱板13の熱伝導率より低く後述する端子保持部(21)より高くされていることが好ましい。樹脂成形部12は前後方向を向く円板状のベース面部14とベース面部14の中央部から後方に突出された突状部15とベース面部14から前方に突出された第1の放熱フィン16、16、・・・とベース面部14から前方に突出された第2の放熱フィン17、17とベース面部14から前方に突出されたコネクター連結部18とを有している。
【0038】
突状部15は外形が円形状に形成された基板配置部19と基板配置部19の外周面に設けられた係合部20、20、・・・とを有している。
【0039】
基板配置部19には後方に開口された配置凹部19aが形成されている。配置凹部19aは略矩形状に形成され、発光モジュール11の外形状より一回り大きくされている。係合部20、20、・・・は周方向に離隔して設けられている。係合部20、20、・・・は基板配置部19の後端部に位置されている。
【0040】
第1の放熱フィン16、16、・・・は、例えば、左右方向において等間隔に並んで設けられ、ベース面部14の左右両端部以外の部分における上半部から突出されている(図6参照)。
【0041】
第2の放熱フィン17、17は左右方向においてそれぞれ第1の放熱フィン16、16、・・・の両側に位置され、ベース面部14の左右両端部から突出されている。第2の放熱フィン17、17は左右方向における厚みが第1の放熱フィン16、16、・・・の左右方向における厚みより厚くされている。
【0042】
コネクター連結部18は軸方向が前後方向にされた筒状に形成され、第1の放熱フィン16、16、・・・の下側に位置されている。
【0043】
放熱板13は熱伝導性の高いアルミニウム等の板状の金属材料が所定の形状に形成されて成る(図2及び図4参照)。放熱板13は第1の放熱部13aと第2の放熱部13b、13bと第3の放熱部13c、13cと第4の放熱部13d、13dから成る。
【0044】
第1の放熱部13aと第4の放熱部13d、13dはそれぞれ前後方向を向く略矩形状に形成され、第2の放熱部13b、13bと第3の放熱部13c、13cはそれぞれ左右方向を向く略矩形状に形成されている。第3の放熱部13c、13cはそれぞれ後端部が第1の放熱部13aの左右両端部に連続され、第4の放熱部13d、13dは、それぞれ内側の端部が第3の放熱部13c、13cの前端部に連続され、それぞれ外側の端部が第2の放熱部13b、13bの後端部に連続されている。従って、第3の放熱部13c、13cはそれぞれ第1の放熱部13aに対して直交する方向へ折り曲げられて形成され、第4の放熱部13d、13dはそれぞれ第3の放熱部13c、13cに対して直交する方向へ折り曲げられて形成され、第2の放熱部13b、13bはそれぞれ第4の放熱部13d、13dに対して直交する方向へ折り曲げられて形成されている。
【0045】
放熱板13は第1の放熱部13aが樹脂成形部12における基板配置部19の配置凹部19aに位置され、樹脂成形部12に対して露出されている(図4参照)。放熱板13は、第2の放熱部13b、13bがそれぞれ第2の放熱フィン17、17の内部に位置され、第3の放熱部13c、13cが基板配置部19の内部に位置され、第4の放熱部13d、13dがベース面部14の内部に位置されている。
【0046】
樹脂成形部12には基板配置部19からベース面部14に亘る位置に図示しない挿入配置孔が形成され、挿入配置孔は配置凹部19aとコネクター連結部18の内部とに連通されている。
【0047】
給電体10は絶縁性の樹脂材料によって形成された端子保持部21と端子保持部21に保持され図示しない電源回路(外部電力)に接続される接続端子22、22、22とを有している(図2参照)。
【0048】
端子保持部21は前後方向に延び上下の厚みが薄い扁平な形状に形成されている。
【0049】
接続端子22、22、22は金属材料によって形成され、一部を除いて端子保持部21の内部において左右に並んで位置されている。接続端子22は前後に延びる端子部23と端子部23の後端寄りの位置から互いに反対方向へ突出された抜け止め突部24、24とから成る。端子部23は前端側の部分がコネクター接続部23aとして設けられ後端部がワイヤー接続部23bとして設けられている。ワイヤー接続部23bの表面の少なくとも一部には、例えば、ニッケルや金等による表面処理が施されている。
【0050】
接続端子22はコネクター接続部23aが端子保持部21から前方に突出されワイヤー接続部23bが端子保持部21から後方に突出されている。接続端子22は抜け止め突部24、24が端子保持部21の内部に位置されることにより、端子保持部21からの前後方向における脱落が防止されている。
【0051】
給電体10は端子保持部21と接続端子22、22、22が、例えば、インサート成形によって一体に形成されている。給電体10はコネクター接続部23a、23a、23a及びワイヤー接続部23b、23b、23b以外の部分が樹脂成形部12に形成された挿入配置孔に挿入され、コネクター接続部23a、23a、23aがコネクター連結部18の内部に位置され(図6参照)、ワイヤー接続部23b、23b、23bが配置凹部19aに位置される(図3参照)。
【0052】
給電体10は、例えば、インサート成形により形成された状態において金型のキャビティに配置され、キャビティに樹脂成形部12を形成するための溶融樹脂が充填され、ソケットハウジング9と、例えば、インサート成形によって一体に形成される。
【0053】
このように給電体10は端子保持部21と接続端子22、22、22が一体成形されることにより形成され、給電体10とソケットハウジング9が一体成形されることにより結合される。
【0054】
従って、給電体10が一体成形により形成された後に給電体10とソケットハウジング9が一体成形され、接続端子22、22、22の端子保持部21に対する良好な位置精度及び給電体10のソケットハウジング9に対する良好な位置精度を確保することができると共に給電体10とソケットハウジング9の結合作業が不要になり作業性の向上を図ることができる。
【0055】
発光モジュール11は前後方向を向き略矩形状に形成された基板25と基板25上に搭載された発光素子26、26、・・・と基板25上に搭載された各種の制御素子27、27、・・・とを有している(図2乃至図5参照)。
【0056】
基板25は、例えば、セラミック基板であり、基板25には発光素子26、26、・・・に電流の供給等を行うための配線パターンが形成されている。基板25の大きさは放熱板13の第1の放熱部13aの大きさより一回り大きくされている。
【0057】
発光素子26、26、・・・・は基板25の中央部に、例えば、五つが搭載され、発光素子26、26、・・・としては発光ダイオード(LED)が用いられている。発光素子26、26、・・・は、一つの発光素子26の周囲に四つの発光素子26、26、・・・が周方向に等間隔に離隔した状態で搭載され、中央の発光素子26が、例えば、テールランプ用の光源として機能し、周囲の四つの発光素子26、26、・・・が、例えば、ストップランプ用の光源として機能する。発光素子26、26、・・・はそれぞれ導電ワイヤー28、28、・・・によって配線パターンに接続されている(図7参照)。
【0058】
接続端子22、22、22はそれぞれテールランプ用の電源供給端子とストップランプ用の電源供給端子とアース用の電源供給端子として設けられている。
【0059】
尚、基板25に搭載される発光素子26の数及び機能は車輌用灯具1の種類や必要な輝度等に応じて任意に設定することが可能である。
【0060】
制御素子27、27、・・・としては、例えば、ダイオードやコンデンサや抵抗器等が用いられ、発光モジュール11における発光素子26、26、・・・の外側の位置に搭載され、それぞれ配線パターンに接続されている。
【0061】
基板25は背面が放熱板13における第1の放熱部13aの表面に接着剤30によって接着されている(図4参照)。接着剤30としては熱伝導性の接着剤が用いられている。
【0062】
基板25の下端部には配線パターンに接続された電極パッド29、29、29が左右に並んで形成されている(図3参照)。
【0063】
電極パッド29、29、29はそれぞれ接続端子22、22、22におけるワイヤー接続部23b、23b、23bの近傍に位置されている。
【0064】
電極パッド29、29、29は、例えば、アルミニウム等によって形成され導通接続部として機能するワイヤー31、31、31によりそれぞれ接続端子22、22、22のワイヤー接続部23b、23b、23bに超音波溶着や半田付けによって接続されている。ワイヤー接続部23bとワイヤー31の接続は、ワイヤー接続部23bにおけるニッケルや金等による表面処理が施された部分で行われている。尚、電極パッド29、29、29と接続端子22、22、22の接続はワイヤー31、31、31以外の他の導通接続部によって行われていてもよい。
【0065】
尚、接続端子22は、図8に示すように、端子部23が直線状に形成され、端子部23の後端面がワイヤー31との接合部分にされていてもよく、また、図9に示すように、端子部23の後端部が90°屈曲され、端子部23の周面がワイヤー31との接合部分にされていてもよい。
【0066】
基板25には発光素子26、26、・・・と制御素子27、27、・・・の間に枠体32が取り付けられている(図3図4及び図7参照)。枠体32は、例えば、樹脂材料によって略円環状に形成され、発光素子26、26、・・・と導電ワイヤー28、28、・・・を囲む位置に配置されている。
【0067】
枠体32の内部には封止部33が塗布され、封止部33によって発光素子26、26、・・・と導電ワイヤー28、28、・・・が封止されている(図7参照)。封止部33は枠体32の内部に液状の封止用樹脂が充填(注入)され、硬化されることにより成形され、発光素子26、26、・・・と導電ワイヤー28、28、・・・を封止する。従って、枠体32は封止用樹脂の制御素子27、27、・・・側への不必要な流動を防止し、封止部33を所定の形状に定める機能を有している。
【0068】
封止部33は屈折率が発光素子26、26、・・・と空気の屈折率の中間にされており、封止部33が発光素子26、26、・・・を封止することにより、発光素子26、26、・・・の屈折率と空気の屈折率との相違が緩和され、発光素子26、26、・・・からの外部への光の出射効率の向上が図られる。
【0069】
封止部33上にはレンズ部34が配置されている。レンズ部34は所定の成形用樹脂によって後方に凸の半球状に形成されている。レンズ部34は、例えば、液状の所定の成形用樹脂が溶融された状態で枠体32の内部において硬化前又は硬化後の封止部33上に充填され、硬化されることにより形成される。従って、枠体32はレンズ部34を形成する成形用樹脂の制御素子27、27、・・・側への不必要な流動を防止し、レンズ部34を所定の形状に定める機能をも有している。
【0070】
成形用樹脂は封止部33上に充填され、硬化されることによりレンズ部34が形成される。従って、枠体32はレンズ部34を形成する成形用樹脂の制御素子27、27、・・・側への不必要な流動を防止し、レンズ部34を所定の形状に定める機能をも有している。
【0071】
また、レンズ部34は屈折率が発光素子26と空気の屈折率の中間にされており、発光素子26、26、・・・から出射された光が封止部33とレンズ部34の界面において全反射され難く、光の外部への出射効率の向上を図ることができる。
【0072】
さらに、枠体32が設けられていることにより、枠体32の内側に封止用樹脂又は成形用樹脂が注入されるときに封止用樹脂又は成形用樹脂の注入位置が所定の位置に対してずれた場合においても封止用樹脂又は成形用樹脂が一定の形状に形成され、封止用樹脂又は成形用樹脂の成形精度の向上が図られる。
【0073】
成形用樹脂は粘度が封止用樹脂の粘度より高くされ、封止用樹脂に対して流動性が低くされている。成形用樹脂の粘度は、例えば、40Pa・s(パスカル・秒)以上にされ、封止用樹脂の粘度は、例えば、5〜15Pa・sにされている。
【0074】
成形用樹脂が40Pa・s以上にされることにより、成形用樹脂が封止用樹脂上に注入されたときに必要以上に流動されずレンズ部34の形状が所望の形状に形成され易い。
【0075】
一方、封止用樹脂が5〜15Pa・sにされることにより、封止用樹脂が基板25上に注入されたときに所望の状態に流動され平面状の形状を維持し易く、良好な成形性を確保することが可能である。また、封止用樹脂が5〜15Pa・sにされることにより、封止用樹脂が基板25上に注入されたときの導電ワイヤー28、28、・・・に対する負荷が小さく、導電ワイヤー28、28、・・・の断線等の発生を抑制することができる。
【0076】
尚、封止用樹脂が基板25上に注入されるときには枠体32の内側に封止用樹脂が注入され、枠体32によって封止用樹脂(封止部33)の形状が定められるため、封止用樹脂の粘度は5Pa・s未満であってもよい。
【0077】
また、レンズ部34は金型によって形成され封止部33上に配置される場合もあるが、この場合にはレンズ部34が金型によって所定の形状に形成されるため、粘度が40Pa・s未満の成形用樹脂が用いられていてもよい。尚、弾性率については常温(25°C)においてレンズ部(硬化後)34が封止部33(硬化後)より高くされている。弾性率は封止部33が1MPa未満にされレンズ部34が1MPa以上にされていることが望ましい。
【0078】
レンズ部34が配置された状態においては、発光素子26、26、・・・と導電ワイヤー28、28、・・・が封止部33に封止された状態でレンズ部34によって覆われる。
【0079】
尚、上記には、枠体32が樹脂材料によって形成された例を示したが、枠体32は金属材料によって形成されていてもよく、また、樹脂材料によって形成され表面に金属蒸着等の処理が行われていてもよく、また、白色の樹脂によって形成されていてもよい。枠体32がこのような構成にされることにより、枠体32を発光素子26、26、・・・から出射される光の一部を反射するリフレクターとして機能させることが可能になる。
【0080】
上記のように構成された光源ユニット8には、突状部15に、例えば、ゴム材料や樹脂材料によって形成された環状のガスケット36が外嵌状に取り付けられる(図1及び図4参照)。ガスケット36は樹脂材料又はゴム材料によって形成されている。光源ユニット8はガスケット36が取り付けられた状態において、突状部15がランプボデイ2のユニット取付部6に前側から挿入され、周方向に回転されて係合部20、20、・・・がそれぞれ係合突部7、7、・・・に後側から係合される(図1参照)。このとき係合突部7、7、・・・は係合部20、20、・・・とガスケット36に挟持され、光源ユニット8がランプボデイ2に取り付けられる。光源ユニット8がランプボデイ2に取り付けられた状態においては、ガスケット36によってユニット取付部6が閉塞され、外部からのユニット取付部6を介しての灯室5への水分等の異物の侵入が防止される。
【0081】
逆に、光源ユニット8が周方向において上記とは反対方向へ回転されると、係合部20、20、・・・の係合突部7、7、・・・に対する係合が解除され、突状部15をユニット取付部6から引き出すことにより、光源ユニット8をランプボデイ2から取り外すことができる。
【0082】
光源ユニット8がランプボデイ2に取り付けられた状態において、電源回路から接続端子22、22、22を介して配線パターンに電流が供給されると、少なくとも一つの発光素子26から光が出射される。このとき車輌用灯具1がテールランプとして機能する場合には中央に位置された一つの発光素子26から光が出射され、車輌用灯具1がストップランプとして機能する場合には中央に位置された以外の四つの発光素子26、26、・・・から光が出射される。
【0083】
発光素子26から出射された光は封止部33及びレンズ部34を透過され、カバー3を介して外部に照射される。このときレンズ部34によって光の照射方向が制御され、光が所定の方向へ向けて外部に照射される。このとき枠体32がリフレクターとして機能する場合には、発光素子26から出射された光の一部が枠体32で反射されて外部に照射される。
【0084】
発光素子26からの光の出射時には発光モジュール11において熱が発生するが、発生した熱は熱伝導性に優れた接着剤30を介して第1の放熱部13aに伝達され放熱板13及び樹脂成形部12に伝達される。放熱板13及び樹脂成形部12に伝達された熱は、主に、第1の放熱フィン16、16、・・・と第2の放熱フィン17、17から外部に放出される。
【0085】
上記のように、光源ユニット8にあっては、発光モジュール11に電極パッド29、29、29が設けられ、発光モジュール11の外側に給電体10が配置され電極パッド29、29、29と接続端子22、22、22がそれぞれワイヤー31、31、31によって接続されている。
【0086】
このような構成においては、例えば、電極パッド29、29、29と接続端子22、22、22とワイヤー31、31、31を樹脂によって封止してもよい。
【0087】
ワイヤー31、31、31が樹脂に封止されることにより、例えば、光源ユニット8のランプボデイ2に対する着脱時にワイヤー31、31、31に誤って指等が接触されることがなく、ワイヤー31、31、31の断線やワイヤー31、31、31の電極パッド29、29、29と接続端子22、22、22からの外れを防止することができる。
【0088】
また、上記したように、ソケットハウジング9の基板配置部19に形成された配置凹部19aは発光モジュール11の基板25の外形状より一回り大きくされている。従って、配置凹部19aに発光モジュール11が配置された状態においては、基板25の外周面と配置凹部19aの内周面との間に隙間35が形成される(図5参照)。上記したように、基板25の大きさは放熱板13の第1の放熱部13aの大きさより一回り大きくされているため、基板25が接着剤30によって放熱板13の第1の放熱部13aに取り付けられるときに接着剤30の一部が第1の放熱部13aの外周側にはみ出され、はみ出された接着剤30が隙間35に充填される。
【0089】
隙間35は基板25の周囲における四つの直線状の溝部のうち、ワイヤー31、31、31の前側に位置する直線状の一つの部分が浅溝部35aとして形成され(図10参照)、他の三つの直線上の部分がそれぞれ深溝部35b、35b、35bとして形成されている(図11参照)。浅溝部35aは深溝部35b、35b、35bより深さが浅くされ、浅溝部35aを形成する底面が第1の放熱部13aの表面と略同じ高さにされている。従って、基板25の第1の放熱部13aに対する取付時にはみ出される接着剤30の表面30aが、深溝部35bより浅溝部35aにおいて基板25に近い位置に存在する(図10及び図11参照)。
【0090】
このように隙間35におけるワイヤー31、31、31の前側に位置する部分が浅溝部35aとして形成され、浅溝部35aにおいて接着剤30によって基板25の裏面(前面)の部分が埋まるため、ワイヤー31、31、31が電極パッド29、29、29と超音波接合によって接続されるときに、ワイヤー31、31、31と電極パッド29、29、29の接合部分への適切な超音波の伝播が可能になる。従って、ワイヤー31、31、31と電極パッド29、29、29の接合部分に十分な量の超音波が伝播される。ワイヤー31、31、31の電極パッド29、29、29に対する強固な接合状態を確保することができる。
【0091】
さらに、電極パッド29、29、29と接続端子22、22、22とワイヤー31、31、31が遮蔽部材37によって覆われる構成にされていてもよい(図12参照)。遮蔽部材37が用いられる場合には、例えば、ソケットハウジング9の突状部15に位置決め穴15a、15aが形成されると共に係止突部15b、15bが設けられる。遮蔽部材37には位置決めピン37a、37aが設けられると共に係止孔37b、37bが形成されている。
【0092】
遮蔽部材37は位置決めピン37a、37aがそれぞれ位置決め穴15a、15aに挿通されてソケットハウジング9に対して位置決めされると共に係止孔37b、37bにそれぞれ係止突部15b、15bが係止されてソケットハウジング9に取り付けられる。
【0093】
このように少なくともワイヤー31、31、31を遮蔽する遮蔽部材37が設けられ、位置決めピン37a、37aがそれぞれ位置決め穴15a、15aに挿通されて遮蔽部材37がソケットハウジング9に取り付けられる。
【0094】
従って、ワイヤー31、31、31が遮蔽部材37によって確実に遮蔽され、例えば、光源ユニット8のランプボデイ2に対する着脱時にワイヤー31、31、31に誤って指等が接触されることがなく、ワイヤー31、31、31の断線やワイヤー31、31、31の電極パッド29、29、29と接続端子22、22、22からの外れを防止することができる。
【0095】
また、遮蔽部材37は、例えば、発光素子26、26、・・・から出射される光の一部を遮蔽するシェードとして機能する形状や大きさに形成されていてもよい。遮蔽部材37がシェードとしても用いられることにより、光源ユニット8の機能性の向上を図ることができると共に部品点数の増大を来すことなく所望の配光パターンを形成することができる。
【0096】
光源ユニット8にあっては、絶縁性の樹脂材料によって形成された端子保持部21と端子保持部21に保持された接続端子22、22、22とを有しソケットハウジング9に結合された給電体10が設けられ、接続端子22、22、22と発光モジュール11に設けられた電極パッド29、29、29がワイヤー31、31、31によって接続されている。
【0097】
従って、発光モジュール11に接続端子22、22、22を挿通するためのスペースを設ける必要がなく、接続端子22、22、22が発光モジュール11の外側に位置されているため、接続端子22、22、22が放熱板13の第1の放熱部13aと干渉せず、基板25と放熱板13の接触面積を大きくして放熱面積を大きくすることが可能になり、発光素子26、26、・・・からの光の出射時における放熱性の向上を図ることができる。
【0098】
また、給電体10は接続端子22、22、22の一端部が基板25と隣接して位置され、給電体10の少なくとも両端部を除く部分がソケットハウジング9の内部に位置されている。
【0099】
従って、ワイヤー31、31、31の長さが短くなると共に給電体10がソケットハウジング9から大きく突出して位置されないため、光源ユニット8の製造コストの低減及び小型化を図ることができる。
【0100】
さらに、ソケットハウジング9に発光モジュール11が配置される配置凹部19aが形成され、配置凹部19aにおける発光モジュール11と係合部20の間に接続端子22、22、22のワイヤー接続部23b、23b、23bが位置され、接続端子22、22、22と電極パッド29、29、29がワイヤー31、31、31によって接続されている。
【0101】
従って、接続端子22、22、22が放熱板13の第1の放熱部13aと干渉せず、基板25と放熱板13の接触面積を大きくして放熱面積を大きくすることが可能になり、発光素子26、26、・・・からの光の出射時における放熱性の一層の向上を図ることができる。
【0102】
また、配置凹部19aに発光モジュール11と接続端子22、22、22のワイヤー接続部23b、23b、23bとが位置されているため、ワイヤー接続部23b、23b、23bと電極パッド29、29、29を接続するワイヤー31、31、31に誤って指等が接触され難く、ワイヤー31、31、31の断線やワイヤー31、31、31を電極パッド29、29、29と接続端子22、22、22から外れ難くすることができる。
【0103】
尚、車輌用灯具1のように屋外で用いられる照明は、発光素子26、26、・・・が点灯されている状態において太陽光等の外光が入射されたときに、外部からの視認性が低下して点灯状態を認識し難くなるおそれがある。
【0104】
そこで、周囲の明るさに対して発光素子26、26、・・・の発光輝度が変化されるように構成されることが望ましい。このような構成としては、例えば、発光モジュール11又は発光モジュール11以外の部分に外光の光強度を検出するためのセンサーを設け、センサーによる検出結果に応じて発光素子26、26、・・・の発光輝度を変化させる構成を用いることが可能である。
【0105】
このような構成を用いることにより、例えば、周囲が暗いときには発光素子26、26、・・・の発光輝度を低くする制御を行い、車輌用灯具1に太陽光等の外光が入射されたときには発光輝度を高くして外部からの視認性を高める制御を行うことができる。
【0106】
次に、樹脂成形部の第1の変形例について図13乃至図15を参照して説明する。尚、図13及び図15は光源ユニット8を概念的に示す正面図である。
【0107】
第1の変形例に係る樹脂成形部12Aにおいては、隙間35における四つの直線状の部分のそれぞれの中央部に浅溝部35a、35a、・・・が形成され、それ以外の部分が深溝部35b、35b、・・・として形成されている(図13参照)。
【0108】
上記構成において、基板25が接着剤30によって第1の放熱部13aの後面に接着されるときに、図14に示すように、浅溝部35a、35a、・・・の後面に接着剤30の一部がはみ出され、深溝部35b、35b、・・・に接着剤30の大部分が流れ込む。
【0109】
従って、浅溝部35a、35a、・・・にはみ出された接着剤30を目視で確認することが可能となり、基板25が第1の放熱部13aに接着されていること及び基板25と第1の放熱部13aの間に接着剤30が行き渡ったことを確認することができる。また、隙間35には深溝部35b、35b、・・・の間にそれぞれ深溝部35b、35b、・・・より前後方向における厚みが厚い浅溝部35a、35a、・・・が形成されている。これにより、基板25の周囲の全体において樹脂成形部12Aの剛性が高くなり、樹脂成形部12Aの強度を高めることもできる。
【0110】
尚、浅溝部35aの後面の位置は、浅溝部35aの後面に接着剤30がはみ出される位置であれば任意の位置でよく、第1の放熱部13aの後面と同じ位置でもよいし、第1の放熱部13aの後面より前側であってもよい。
【0111】
また、樹脂成形部12Aにおいては、一つの浅溝部35aが隙間35におけるワイヤー31、31、31の前側に位置されることが望ましい。
【0112】
これにより、ワイヤー31、31、31と電極パッド29、29、29の接合部分に十分な量の超音波が伝播されるため、接着剤30を目視で確認することができることの他に、ワイヤー31、31、31の電極パッド29、29、29に対する強固な接合状態を確保することもできる。
【0113】
尚、図15に示すように、浅溝部35a、35a、・・・は隙間35の四隅に形成されていてもよい。また、浅溝部35aはこれらの位置に限定されず隙間35の少なくとも一箇所に形成されていればよい。
【0114】
これらの場合にも、浅溝部35aが直線状の部分の中央部に位置された場合(図13及び図14参照)と同様に、浅溝部35aにはみ出された接着剤30を目視で確認することが可能になり、基板25が第1の放熱部13aに接着されていること及び基板25と第1の放熱部13aの間に接着剤30が行き渡ったことを確認することができる。
【0115】
次に、樹脂成形部の第2の変形例について図16を参照して説明する。尚、図16は光源ユニット8を概念的に示す正面図である。
【0116】
第2の変形例に係る樹脂成形部12Bにおいては、基板配置部19における配置凹部19aの4隅のうちの少なくとも隣り合う2箇所に位置決め部19b、19bが設けられている。位置決め部19bの後面は基板25の前面(裏面)より後側に位置され、位置決め部19bの内側の側面は上下方向及び左右方向に対して、例えば、45度傾斜する斜面として形成されている。
【0117】
基板25は、例えば、隣り合う2箇所の角部に面取部25a、25aを有している。面取部25a、25aは位置決め部19b、19bと同じ角度で面取りされている。
【0118】
上記構成において、第1の放熱部13aの後面に基板25が配置されるときに、面取部25aが位置決め部19bの内側の側面に突き当てられて面取部25aが位置決め部19bに面接触される。これにより、基板配置部19に対して基板25が位置決めされ、基板25の鉛直面内における回転が防止される。
【0119】
従って、面取部25a、25aをそれぞれ位置決め部19b、19bの内側の側面に突き当てるだけで基板25の基板配置部19に対する位置が定められるため、基板25の基板配置部19に対する位置決めを容易に行うことができる。また、基板25の樹脂成形部12Bに対する高い位置精度が確保されるため、発光素子26、26、・・・のランプボデイ2に対する高い位置精度も容易に確保することができる。
【0120】
尚、位置決め部19bは配置凹部19aの4隅のうちの3箇所又は4箇所に設けられていてもよく、この場合には、基板25に三つ又は四つの面取部25aを形成して、基板25の基板配置部19に対する位置決めを行うことも可能である。
【0121】
但し、上記したように、隣り合う2箇所に位置決め部19b、19bを設けて位置決めを行うことにより、二つの位置決め部19b、19bと二つの面取部25a、25aのみの良好な加工精度を確保すればよく、良好な加工精度を確保する部分が少なくて済み、樹脂成形部12Bの製造コストの低減を図ることができる。
【符号の説明】
【0122】
1…車輌用灯具、8…光源ユニット、9…ソケットハウジング、10…給電体、11…発光モジュール、15a…位置決め穴、19a…配置凹部、20…係合部、21…端子保持部、22…接続端子、25…基板、26…発光素子、29…電極パッド、31…ワイヤー(導通接続部)、35…隙間、35a…浅溝部、35b…深溝部、7…遮蔽部材
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