特許第6760943号(P6760943)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760943
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】複合材料製部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/80 20060101AFI20200910BHJP
   F04D 29/02 20060101ALI20200910BHJP
   F04D 29/38 20060101ALI20200910BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20200910BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20200910BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   C04B35/80
   F04D29/02
   F04D29/38 G
   F01D25/00 L
   F01D25/00 X
   F02C7/00 C
   F02C7/00 D
   F01D5/28
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-534233(P2017-534233)
(86)(22)【出願日】2015年12月18日
(65)【公表番号】特表2018-508443(P2018-508443A)
(43)【公表日】2018年3月29日
(86)【国際出願番号】FR2015053626
(87)【国際公開番号】WO2016102842
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年11月27日
(31)【優先権主張番号】1463284
(32)【優先日】2014年12月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】315008740
【氏名又は名称】サフラン エアークラフト エンジンズ
(73)【特許権者】
【識別番号】502255911
【氏名又は名称】サフラン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ミッシェル ポドゴルスキ
(72)【発明者】
【氏名】カトリーヌ ビヨット カブル
(72)【発明者】
【氏名】ブリュノ ジャック ジェラール ダンブリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】リュドビック エドモン カミーユ モリシェ
(72)【発明者】
【氏名】エデュ ルイズ
(72)【発明者】
【氏名】シルバン テュレンヌ
【審査官】 末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0034113(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0116109(US,A1)
【文献】 特開平06−263549(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0109209(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0161626(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/122593(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84
F01D 5/28
F02C 7/00−7/36
F04D 29/02
F04D 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料から部品を製造する方法において、
耐火性繊維から繊維織物(10)を形成するステップと、
第1の期間において、第1の耐火性粒子(151、251)を含む第1のスリップ(150、250)で前記繊維織物(10)を含浸するステップと、
前記第1の耐火性粒子(151、251)を前記繊維織物(10)内だけに残すように、前記繊維織物を含浸した前記第1のスリップ(150、250)から液相(152、252)を除去するステップと、
第2の期間において、第2の耐火性粒子(161、261)を含む第2のスリップ(160、260)で繊維織物(20)を含浸するステップと、
前記第2の耐火性粒子(161、261)を前記繊維織物(20)内だけに残し、前記第1の耐火性粒子(151、251)及び前記第2の耐火性粒子(161、261)で満たされた繊維プリフォーム(30)を得るように、前記繊維織物を含浸した第2のスリップ(160、260)から液相(162、262)を除去するステップと、
前記繊維プリフォーム(30)に耐火性マトリックスを形成するように、前記繊維プリフォームに存在する第1の耐火性粒子(151、251)及び第2の耐火性粒子(161、261)を焼結するステップとを含み、
前記繊維織物を含浸する第1のステップ及び第2のステップのそれぞれが、
前記繊維織物(10)を、前記繊維織物(10)の第1面(10b)が載っている多孔性材料部分(120、220)を底部に含む含浸チャンバ(101)を有するモールド(110)に置くことであって、前記含浸チャンバ(101)が、前記繊維織物(10)の第2面(10a)に面して配置されている変形可能で不浸透性のダイヤフラム(140)によって上部で閉じられており、前記ダイヤフラムが、前記含浸チャンバ(101)を成形チャンバ(102)と隔てる、前記置くことと、
耐火性粒子(151、251;161、261)の粉末を含むスリップ(150、250;160、260)を、前記繊維織物(10)の前記第2面(10a)と前記ダイヤフラム(140)との間の前記含浸チャンバ(101)に注入することと、
圧縮流体(170)を前記成形チャンバ(102)に注入することであって、前記圧縮流体が、前記ダイヤフラム(140)に圧力を加えて、前記スリップが前記繊維織物を通過するように強いる、前記注入することとを含み、
前記スリップ(150、250;160、260)から前記液相(152、252;162、262)を除去するそれぞれのステップが、前記繊維織物(10)を通過した前記スリップ(150、250;160、260)の前記液相(152、252;162、262)を、前記多孔性材料部分(120、220)を介して排液し、前記多孔性材料部分(120、220)により前記繊維織物の内部に前記耐火性粒子(151、251;161、261)を保持することを含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記第1の耐火性粒子(151)が、前記第2の耐火性粒子(161)の平均径よりも大きい平均径を表すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の耐火性粒子(151、251)が、前記第2の耐火性粒子(161、261)と同じ化学的性質であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の耐火性粒子(151、251)が、前記第2の耐火性粒子(161、261)の化学的性質とは異なる化学的性質であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のスリップ(260)から前記液相(262)を除去するステップの後、且つ前記焼結するステップの前に、
第3の期間において、第3の耐火性粒子(271)を含む第3のスリップ(270)で繊維織物(60)を含浸するステップと、
前記第3の耐火性粒子(271)を前記繊維織物(60)内だけに残し、前記第1の耐火性粒子(251)、前記第2の耐火性粒子(261)及び前記第3の耐火性粒子(271)で満たされた繊維プリフォーム(70)を得るように、前記繊維織物を含浸した前記第3のスリップ(270)から液相(272)を除去するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の耐火性粒子(271)が、前記第1の耐火性粒子(251)の平均径と同じくらいの平均径を表すこと、並びに前記第1の耐火性粒子(251)及び前記第3の耐火性粒子(271)が、前記第2の耐火性粒子(261)の平均径よりも小さい平均径を表すことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記多孔性材料部分(220)が、硬質であり、製造される複合材料からなる部品の形状に合う形状を表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記多孔性材料部分(120)が変形可能であり、前記モールド(110)の底部(111)が、製造される前記複合材料からなる部品の形状に対応する形状を表し、前記多孔性材料部分(120)が、前記モールド(110)の前記底部(111)の形状を為していることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記繊維プリフォームの糸を、アルミナ、ムライト、シリカ、アルミノ珪酸塩、硼珪酸塩、炭化珪素、及び、炭素の材料の中の1種以上から成っている繊維により形成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
耐火性粒子が、アルミナ、ムライト、シリカ、アルミノ珪酸塩、アルミノリン酸塩、ジルコニア、カーバイド、ホウ化物、及び、ニトリドから選択される材料製であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
得られる前記複合材料からなる部品が、タービンエンジンブレードを構成することを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に酸化物/酸化物型又はセラミックマトリックス複合材料(CMC)型の、すなわち、耐火性材料の繊維製繊維強化材を含み、同様に耐火性材料製であるマトリックスで高密度化されている熱構造複合材料から部品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物/酸化物複合材料部品は、一般的に、耐火性酸化物繊維から製造された複数の繊維プライ(層)を利用し、モールド内で立体裁断し、各層を耐火性酸化物粒子で満たしたスリップで予め含浸させることによって、製造される。次に、このように配置したプライのセットは、カウンターモールド又は真空シートを使用して成形され、オートクレーブを通過する。次に、このようにして得た充填されたプリフォームを焼結に付して、プリフォーム内に耐火性酸化物マトリックスを形成し、酸化物/酸化物複合材料からできている部品を得る。この技術は、セラミックマトリックス複合材料(CMC)から部品を製造するために使用することもできる。こうした状況では、繊維プライは、炭化珪素(SiC)繊維又は炭素繊維からできており、繊維プライは、カーバイド(例えばSiC)、ホウ化物(例えばTiB2)、又はニトリド(例えばSi34)の粒子で満たされたスリップで含浸させられる。
【0003】
このような次第ではあるが、この種類の製造方法は、マトリックスの割合が高く、且つ/又は材料の厚さが異なる特性、例えば機械的特性を有する複合材料部品を製造することを可能にしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の欠点を改善すること、並びに、特に酸化物/酸化物型又はCMC型の複合材料部品の製造を制御して、材料中に存在するマトリックスの体積分率を最適化する、及び/又は材料の厚さ方向が異なる特性を材料に与えることを可能にする解決法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明は、複合材料から部品を製造する方法であって、
・耐火性繊維から繊維織物を形成するステップと、
・第1の期間、第1の耐火性粒子を含む第1のスリップで前記繊維織物を含浸するステップと、
・前記第1の耐火性粒子を前記繊維織物内だけに残すように、前記繊維織物を含浸した前記第1のスリップから液相を除去するステップと、
・第2の期間、第2の耐火性粒子を含む第2のスリップで前記繊維織物を含浸するステップと、
・前記第2の耐火性粒子を前記繊維織物内だけに残し、前記第1及び第2の耐火性粒子で満たされた繊維プリフォームを得るように、前記織物を含浸した前記第2のスリップから液相を除去するステップと、
・前記繊維プリフォームに耐火性マトリックスを形成するように、前記プリフォームに存在する前記第1及び第2の耐火性粒子を焼結するステップと、を含む前記方法を提供する。
【0006】
したがって、大きさ及び/又は化学的性質が異なる粒子を含むスリップで、2つ以上の連続する含浸を実施することによって、最終部品のマトリックス体積分率及び/又は部品の厚さ方向におけるマトリックスの特性を制御することが可能である。
【0007】
発明の第1の態様において、第1の粒子は、第2の粒子の平均径よりも大きい平均径を表す。したがって、第1の粒子間に存在する間隙を満たすように第2の粒子を使用して、最終部品中の高いマトリックス体積分率を得ることが可能である。
【0008】
第1の粒子は、第2の粒子と同じ化学的性質であり得るか、又は、第1の粒子は、第2の粒子の化学的性質とは異なる化学的性質であり得る。異なる化学的性質を有する第1及び第2の粒子を使用することにより、得られるマトリックスに特定の特性を与えることが可能である。
【0009】
本発明の方法の第2の態様において、方法は、第2のスリップから液相を除去するステップの後、且つ焼結するステップの前に、
・第3の期間、第3の耐火性粒子を含む第3のスリップで繊維織物を含浸するステップと、
・第3の耐火性粒子を繊維織物内だけに残し、第1、第2、及び第3の耐火性粒子で満たされた繊維プリフォームを得るように、前記織物を含浸した第3のスリップから液相を除去するステップとをさらに含む。
【0010】
したがって、織物の表面に織物の中心部に存在する粒子とは異なる粒子を堆積することが可能である。
【0011】
こうした状況では、第3の粒子は、第1の粒子の平均径と同じくらいの平均径を表し得、第1及び第3の粒子は、第2の粒子の平均径よりも小さい平均径を表す。このことにより、粒子の焼結によりマトリックスを形成した後、部品の表面に存在するマトリックスが、焼結前にプリフォームの中心部に存在する粒子よりも微細な粒子から得られるので、改良された表面形状を表す部品を得ることが可能になる。
【0012】
本発明の方法の第3の態様において、繊維織物を含浸するステップのそれぞれは、
・前記繊維織物を、前記織物の第1面が載っている多孔性材料製部分を底部に含む含浸チャンバを有するモールドに置くことであって、前記含浸チャンバが、前記繊維織物の第2面に面して配置されている変形可能で不浸透性のダイヤフラムによって上部で閉じられており、前記ダイヤフラムが、前記含浸チャンバを成形チャンバと隔てる、前記置くことと、
・耐火性粒子の粉末を含むスリップを、前記繊維織物の前記第2面と前記ダイヤフラムとの間の前記含浸チャンバに注入することと、
・圧縮流体を前記成形チャンバに注入することであって、前記流体が、前記ダイヤフラムに圧力を加えて、前記スリップが前記繊維織物を通過するように強いる、前記注入することとを含み、且つ、
前記スリップから液相を除去するそれぞれのステップは、前記繊維織物を通過した前記スリップの前記液相を、前記多孔性材料部分を介して排液し、前記多孔性部分により前記織物内部に前記耐火性粒子の粉末を保持することを含む。
【0013】
スリップから液体を排液するのに役立つ多孔性材料部分の使用により、本発明の方法は、織物中にも存在する耐火性固体粒子を除去することなく、繊維織物に導入されているスリップから液相を除去することを可能にする。排液によりスリップの液相を除去することは、繊維織物内の耐火性粒子の分布を乱すことを回避することも可能にし、結果的に最終部品のマトリックスの構造を制御することを可能にする。
【0014】
多孔性材料部分は、硬質であり得、製造される複合材料の形状に合う形状を表し得る。別の態様において、多孔性材料部分は、変形可能であり得、モールドの底部は、製造される複合材料部品の形状に対応する形状を表し、こうした状況では、多孔性材料部分は、モールドの底部の形状に合う。
【0015】
プリフォームの糸を、アルミナ、ムライト、シリカ、アルミノ珪酸塩、硼珪酸塩、炭化珪素、及び炭素の材料のうちの1種以上から成っている繊維により形成し得る。
【0016】
耐火性粒子は、アルミナ、ムライト、シリカ、アルミノ珪酸塩、アルミノリン酸塩、ジルコニア、カーバイド、ホウ化物、及びニトリドから選択される材料製であり得る。
【0017】
一実施形態において、得られる複合材料部品は、タービンエンジンブレードを構成する。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として与えられる本発明の特定の実施形態の以下の説明から、及び添付の図面の参照により、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る工具の分解断面図である。
図2】繊維織物が工具内の適所にある、閉じた場合の図1の工具を示す断面図である。
図3】本発明の方法の実施形態に係る、図2の工具で異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する2つの連続的ステップを示す断面図である。
図4】本発明の方法の実施形態に係る、図2の工具で異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する2つの連続的ステップを示す断面図である。
図5】本発明の方法の実施形態に係る、図2の工具で異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する2つの連続的ステップを示す断面図である。
図6】本発明の方法の実施形態に係る、図2の工具で異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する2つの連続的ステップを示す断面図である。
図7】本発明の方法の別の実施形態に係る、異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する3つの連続的なステップを示す断面図である。
図8】本発明の方法の別の実施形態に係る、異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する3つの連続的なステップを示す断面図である。
図9】本発明の方法の別の実施形態に係る、異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する3つの連続的なステップを示す断面図である。
図10】本発明の方法の別の実施形態に係る、異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する3つの連続的なステップを示す断面図である。
図11】本発明の方法の別の実施形態に係る、異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する3つの連続的なステップを示す断面図である。
図12】本発明の方法の別の実施形態に係る、異なるそれぞれの大きさを有する粒子で満たされたスリップで繊維織物を含浸する3つの連続的なステップを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
特に酸化物/酸化物型又はCMC型の熱構造複合材料から部品を製造するための本発明に係る方法は、部品の強化材を形成するための繊維織物の製造によって開始する。
【0021】
使用する繊維織物は、様々な種類及び形状、例えば特に、
・2次元(2D)織りにより得られるファブリックと、
・3次元(3D)織りにより得られるファブリックと、
・ブレードと、
・ニットと、
・フェルトと、
・糸若しくはトウの一方向(UD)シート、又は複数のUDシートを様々な方向に重ね合わせ、例えばステッチングにより、化学結合剤により、若しくはニードリングによりUDシートを互いに結合することにより得られる多方向(nD)シート
であり得る。
【0022】
ファブリック、ブレード、ニット、フェルト、シート、トウなどの複数の重ね合わせ層であって、例えばステッチングにより、糸若しくは硬質の要素を埋め込むことにより、又はニードリングにより互いに結合している前記層から成っている繊維構造を使用することも可能である。
【0023】
用語「二次元織り」は、本明細書で、単一の経糸の層の糸の一方の側から他方の側に各緯糸が通る、又はその逆が行われる従来の織り方を意味するように使用される。
【0024】
用語「3次元織り」若しくは「3D織り」、又は「多層織り」は、本明細書で、インターロック、マルチプレーン(multi-plain)、マルチサテン(multi-satin)、及びマルチツイル(multi-twill)の織り方の中から特に選択され得る織り方で織ることにより、複数の経糸の層の経糸を少なくとも一部の緯糸が連結する、又はその逆が行われる織り方を意味するように使用される。
【0025】
酸化物/酸化物又はCMC型の複合材料部品の繊維強化材を形成するための繊維織物を織るために使用する糸は、特に、アルミナ、ムライト、シリカ、アルミノ珪酸塩、硼珪酸塩、炭化珪素、炭素、又はこれらの材料の中の2種以上の混合物のいずれかにより構成されている繊維製であり得る。
【0026】
繊維織物を製造したら、繊維織物を、本発明に係る2つ以上の異なるスリップで連続して含浸する。
【0027】
本発明の方法の第1の実施形態は、2種類の耐火性酸化物粒子、すなわち、第1の種類の粒子が、第2の種類の粒子の平均径よりも大きい平均径を有する2種類の耐火性酸化物粒子から形成されたマトリックスを有する酸化物/酸化物複合材料から部品を製造することからなるものとして記載されている。以下で詳細に説明するように、第1の粒子と平均径が第1の粒子よりも小さい第2の粒子とを繊維織物中に連続して堆積することにより、耐火性酸化物粒子を用いた織物の充填が最適化され、最終材料中の微小孔が著しく減少する。第1及び第2の耐火性酸化物粒子は、同じ化学的性質を有し得るか、又は、異なる化学的性質を有し得る。第2の粒子の化学的性質を改変することにより、第1の粒子に対する焼結条件に影響を与えることが可能である。例えば、ジルコニアである第2の粒子を導入することは、アルミナである第1の粒子に対する焼結温度を低下させることを可能にする。非常に厚い2D繊維織物(2D織りプライの積層物)、又は複雑な形状を表す3D織物に固体粒子で満たされたスリップを導入することを可能にするように特に構成されている本発明に係る工具を使用して、本実施例における繊維織物を含浸する。
【0028】
繊維織物10を工具100に置く。ここで説明している実施例において、繊維織物10は、上記の技術(例えば、2Dプライの積み重ね又は3D織り)を用いて、Nextel 610(商標)アルミナ糸を用いて製造される。本実施例において、繊維織物10は、酸化物/酸化物複合材料製のブレードの繊維強化材を形成するためのものである。
【0029】
工具100は、孔112を備える底部111を有するモールド110を備える。また、モールド110は、バルブ1140が取り付けらえた注入ポート114を有する側壁113も有する。多孔性材料製部分120は、底部111の内面111a上に配置されている。多孔性材料製部分120は、底部111の内面111aと接触している底面120b、及び繊維織物10を受けるための上面120aを有する。ここで説明している実施例において、部分120は、変形可能な材料でできており、一方、モールド110の底部111の内面111aは、製造される最終部品、具体的には本実施例においては航空エンジンブレードの形状に対応する形状又は輪郭を表す。部分120は、変形可能であるので、底部111の内面111aの輪郭に合い、その上面120aで、表面111aの形状と類似の形状を表す。例として、部分120は、微小孔性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、例えば供給業者Porex(登録商標)により販売されている「微小孔性PTFE」製品から製造され得る。
【0030】
別の実施形態において、多孔性材料部分は、硬質であり、製造される最終部品の形状に対応する形状の上面を表す。こうした状況では、多孔性材料部分は、特に熱成形により製造され得る。
【0031】
例として、多孔性材料部分は、数ミリメートルの厚さ及び約30%の平均孔率を表し得る。多孔性材料製部分の平均孔径(D50)は、例えば1マイクロメートル(μm)〜2μmの範囲にあり得る。
【0032】
工具100は、バルブ1310が取り付けられた注入ポート131を有する蓋130、及び変形可能なダイヤフラム140も備え、前記ダイヤフラムは、工具が閉じられると(図2)、繊維織物10が存在する含浸チャンバ110を、ダイヤフラム140の上に位置する成形チャンバ102と隔てる。ダイヤフラム140は、例えばシリコーン製であり得る。
【0033】
多孔性材料部分120aの上面120a上に織物10を置いた後、モールド110を蓋130で閉じる(図2)。次に、第1のスリップ150を、バルブ1140を開放させている注入ポート114を介して、含浸チャンバ101に注入する(図3)。本実施例において、スリップ150は、織物中に耐火性酸化物マトリックスの部分を形成するためのものである。スリップ150は、液相152の懸濁液中のアルミナ粒子151の粉末に対応し、前記粒子は、0.1μm〜10μmの範囲にある平均粒径を表す。スリップの液相152は、特に、水(酸性pH)、エタノール、又は所望の粉末を懸濁液にすることができる任意のその他の液体により構成され得る。有機結合剤も加え得る(例えば、水溶性であるポリビニルアルコール(PVA))。結合剤は、乾燥後及び焼結前に未焼結プリフォームが確実に結合するのに役立つ。
【0034】
アルミナに加えて、耐火性酸化物粒子は、ムライト、シリカ、ジルコニア、アルミノ珪酸塩、及びアルミノリン酸塩から選択される材料であることが、同様に良好であり得る。耐火性酸化物粒子は、その塩基組成に応じて、アルミナ、ジルコニア、アルミノ珪酸塩、希土類酸化物、(例えば環境若しくは熱障壁に使用される)希土類二珪酸塩、又は最終材料に特定の機能を付与するのに適当な任意の他の充填材(カーボンブラック、グラファイト、炭化珪素など)の粒子とも混合され得る。
【0035】
含浸チャンバ101に注入されるスリップ150の量は、含浸させられる繊維織物10の体積に応じて決められる。最終的な沈降物の厚さを制御し、それにより繊維体積分率(Fvf)及びマトリックス体積分率(Mvf)を制御するのは、初期に導入される粉末の量である。
【0036】
スリップ150を含浸チャンバ101に注入したら、注入ポート114のバルブ1140を閉じた後、圧縮流体170、例えば油を、バルブ1310を開放させている注入ポート131を介して、成形チャンバ102に注入することによって、成形オペレーションを実施する(図4)。圧縮流体170は、ダイヤフラム140を介してスリップ150に圧力をかけ、スリップ150が前記繊維織物10に浸透するように強いる。流体170は、ダイヤフラム140全体に静水圧をかけ、結果として、織物10の上に存在する全スリップに静水圧をかける。スリップを織物に浸透させ、得られるプリフォームの質を低下させることなく多孔性材料部分を介してスリップの液相が排液されることを可能にするのに充分な程度織物を圧縮するために、ダイヤフラム140によりスリップ及び繊維織物に加えられる圧力は、1.5MPa(15バール)未満、例えば0.7MPa(7バール)であることが好ましい。
【0037】
いくつかの機能が、織物に浸透するスリップが通る面10aとは反対の繊維織物の面10b側に位置する多孔性材料部分120により実施される。特に、部分120は、スリップの液体が、繊維織物から排液されるのを可能にし、このようにして排液された液体は、ベント112を介して本実施例において吐出される。排液を、成形オペレーションの間及び後の両方に実施する。もはや液体がベント112を通って流れ出なくなったときに、排液は終了する。圧縮流体により圧力をスリップに加えることと組み合わせて、ポンピングPを、例えばプライマリー真空ポンプ(図1〜4に図示せず)により、ベント112を介して適用することが可能である。このようなポンピングは任意である。加熱が十分であり得る。このような次第ではあるが、これらの両方を組み合わせると、乾燥の速度を速めることができる。
【0038】
また、工具は、成形チャンバ内部の温度を上げ、蒸発によるスリップからの液体の排出を促進するために、工具の壁に組み込まれた抵抗素子などの加熱手段を備え得る。成形チャンバ内の温度は、80℃〜105℃の範囲にある温度に上昇され得る。
【0039】
多孔性材料部分120は、スリップに存在する耐火性酸化物の固体粒子を保持することも可能にし、それにより、耐火性酸化物粒子が、繊維織物に定着することにより、ますます堆積するようになる。
【0040】
部分120の上面120aは、製造される最終部品の形状に対応するモールド100の底部111の形状を再現するので、部分120は、成形オペレーションの間繊維織物の形状を維持させることも可能にする。
【0041】
このようにして、耐火性酸化物粒子、本実施例においてはアルミナ粒子151で満たされた中間体繊維プリフォーム20が得られる(図4)。次に、中間体プリフォームは、成形チャンバ102から圧縮流体を全部出すことにより成形圧力から解放されるが、それでもなお、プリフォームは、成形形状を維持する。
【0042】
任意の冷却段階の後、中間体繊維プリフォーム20を、注入ポート114のバルブ1140を開放させた後、注入ポート114を通して注入される第2のスリップ160で含浸する(図5)。本実施例において、スリップ160は、プリフォーム中の耐火性酸化物マトリックスの形成を完了させるためのものである。スリップ160は、液相162の懸濁液中のアルミナ粒子161の粉末に対応する。アルミナ粒子161は、粒子151の平均粒径よりも小さく、0.1μm〜1μmの範囲内(大きい粒子と微細な粒子との間に10倍の差がある)にあり得る平均粒径を表す。スリップの液相162は、特に、水(酸性pH)、エタノール、又は所望の粉末を懸濁液にすることができる任意のその他の液体により構成され得る。有機結合剤も加え得る(例えば、水溶性であるPVA)。結合剤は、乾燥後及び焼結前に未焼結プリフォームが確実に結合するのに役立つ。液相162は、液相152と同じ性質であることが好ましい。
【0043】
含浸チャンバ101に注入されるスリップ160の量は、含浸させられる中間体繊維プリフォーム20の体積に応じて決められる。
【0044】
スリップ160を含浸チャンバ101に注入したら、注入ポート114のバルブ1140を予め閉じ、圧縮流体170を、バルブ1310を開放させている注入ポート131を介して、成形チャンバ102にもう一度注入することによって、成形オペレーションを実施する(図6)。圧縮流体170は、ダイヤフラム140を介してスリップ160に圧力をかけ、スリップ160が中間体繊維プリフォーム20に浸透するように強いる。スリップを織物に浸透させるように、プリフォームの質を低下させることなく多孔性材料部分を介してスリップの液相が排液されることを可能にするのに充分な程度織物を圧縮するために、ダイヤフラム140によりスリップ及びプリフォームに加えられる圧力は、1.5MPa(15バール)未満、例えば0.7MPa(7バール)であることが好ましい。
【0045】
もはや液体がベント112を通って流れ出なくなったときに、排液は終了する。圧縮流体により圧力をスリップに加えることと組み合わせて、ポンピングPを、例えばプライマリー真空ポンプ(図1〜4に図示せず)を、ベント112を介して使用することにより実施することが可能である。このポンピングは任意である。加熱が充分であり得る。このような次第ではあるが、これらの両方を組み合わせると、乾燥の速度を速めることができる。
【0046】
さらに、成形チャンバ内の温度は、蒸発によるスリップからの液体の排出を促進するために、例えば80℃〜105℃の範囲にある温度に上昇され得る。
【0047】
アルミナ粒子161を、多孔性材料部分120により、プリフォームに保持する。粒子161は、粒子151の平均径よりも小さい平均径であるので、先に堆積された粒子151間に残存する間隙に定着することにより、堆積するようになる。
【0048】
このようにして、アルミナ粒子151及び161で満たされた繊維プリフォーム30が得られる(図6)。次に、プリフォームを、成形チャンバ102から圧縮流体を全部出すことにより成形圧力から解放する。
【0049】
次に、プリフォームを工具から抜き出し、1000℃〜1200℃の範囲にある温度で空気中で焼結加熱処理に付して、耐火性酸化物粒子を共に焼結させ、それによって、プリフォーム内に耐火性酸化物マトリックスを形成する。このことにより、高く制御された微小孔の体積分率を表し、結果として非常に小さいマクロ孔の体積分率を表す、3D織りにより得られる繊維強化材を有する酸化物/酸化物複合材料製部品を製造する。
【0050】
アルミナに加えて、耐火性酸化物粒子151及び161は、ムライト、シリカ、ジルコニア、アルミノ珪酸塩、及びアルミノリン酸塩から選択される材料であることが、同様に良好であり得る。耐火性酸化物粒子は、その塩基組成に応じて、アルミナ、ジルコニア、アルミノ珪酸塩、希土類酸化物、(例えば環境若しくは熱障壁に使用される)希土類二珪酸塩、又は最終材料に特定の機能を付与するのに役立つ任意の他の充填材(カーボンブラック、グラファイト、炭化珪素など)の粒子とも混合され得る。
【0051】
CMC複合材料部品を、炭化珪素繊維又は炭素繊維で繊維織物を製造し、カーバイド粒子(例えばSiC)、ホウ化物粒子(例えばTiB2)、又はニトリド粒子(例えばSi34)で満たされたスリップを使用することにより、同様の方法で得ることができる。
【0052】
そして次に、本発明の方法により制御された最終表面状態を有するCMC複合材料から部品を製造することからなる本発明の方法の第2の実施形態を説明する。さらに正確に言えば、下記で詳細に説明するように、織物の中心部に堆積された耐火性粒子の平均径より著しく小さい平均径を有する耐火性粒子を、繊維織物の表面近傍に堆積することによって、最終材料中の微小孔を著しく減らし、空気力学的用途に対応するより平滑な表面状態を表す最終部品を得る。耐火性粒子は、同じ化学的性質であるか、又は、異なる化学的性質であり得る。
【0053】
本実施例において、繊維織物を、図1〜6を参照して上記で説明した工具100に類似の工具200を使用して含浸させる。したがって、工具200は、同じ要素、すなわち、
・ベント212を備えた底部211及びバルブ2140が取り付けらえた注入ポート214を備えた側壁213を有するモールド210(図7)と、
・バルブ2310が取り付けられた注入ポート231を有する蓋230、及び例えばシリコーン製の変形可能なダイヤフラム240、前記ダイヤフラムは、工具が閉じられると(図7)、繊維織物40が存在する含浸チャンバ201を、ダイヤフラム240の上に位置する成形チャンバ202と隔てることと、
・底部211の内面211a上に置かれ、底部211の内面211aと接触している底面220b、及び繊維織物40を受けるための上面220aを有する、多孔性材料部分220と、を備える。
【0054】
ここで説明している実施例において、多孔性材料部分220は、硬質材料でできており、多孔性材料部分220の上面220aは、製造される最終部品、具体的には航空エンジンブレードの形状に対応する形状を表す。
【0055】
なお、ここで説明している実施例において、繊維織物40は、上記の技術の1つの使用により、炭化珪素繊維から製造される。本実施例における繊維織物40は、SiC/SiC複合材料ブレード、すなわちSiCマトリックスにより高密度化されたSiC繊維強化材を含むCMC材料製ブレードの繊維強化材を形成するためのものである。
【0056】
織物40を多孔性材料部分220の上面220aに置いた後、蓋230でモールド210を閉じ、その後、注入ポート214のバルブ2140を開放させ、注入ポート214を介して、第1のスリップ250を含浸チャンバ201に注入する(図7)。スリップ250は、織物40の底面40bに存在するマトリックス部分を形成するためのものであり、前記部分は、最終製品の底面の表面状態に寄与する。スリップ250は、液相252の懸濁液中のSiC粒子251の粉末に対応し、前記粒子は、0.1μm〜5μmの範囲にある平均粒径を表す。スリップの液相252は、特に、水(酸性pH)、エタノール、又は所望の粉末を懸濁液にすることができる任意のその他の液体により構成され得る。有機結合剤も加え得る(例えば、水溶性であるPVA)。結合剤は、乾燥後及び焼結前に未焼結プリフォームが確実に結合するのに役立つ。
【0057】
含浸チャンバ201に注入されるスリップ250の量は、形成したい粒子251の層の織物の底面からの厚さに応じて決められる。
【0058】
スリップ250を含浸チャンバ201に注入したら、注入ポート214のバルブ2140を予め閉じ、圧縮流体280、例えば油を、バルブ2310を開放させている注入ポート231を介して、成形チャンバ202に注入することによって、成形オペレーションを実施する(図8)。圧縮流体280は、ダイヤフラム240を介してスリップ250に圧力をかけ、スリップ250が繊維織物40に浸透するように強いる。多孔性材料部分220により保持される粒子251は、織物40の底面40bから定着することにより堆積するようになり、一方、スリップの液相252は、部分220により織物40から排液される。
【0059】
もはや液体がベント112を通って流れ出なくなったときに、多孔性材料部分220を介した排液は、終了する。圧縮流体により圧力をスリップに加えることと組み合わせて、ポンピングPを、例えばプライマリー真空ポンプ(図1〜4に図示せず)により、ベント112を介して適用することも可能である。このポンピングは任意である。加熱が充分であり得る。このような次第ではあるが、これらの両方を組み合わせることは、乾燥の速度を速めるのに役立つ。
【0060】
乾燥した後、任意でポンピングもした後、底面50b上にSiC粒子251の層2510を有する中間体繊維プリフォーム50が、このようにして得られる。次に、中間体プリフォーム50を、成形チャンバ202から圧縮流体を全部出すことにより成形圧力から解放する。
【0061】
場合によっては冷却段階の後、中間体繊維プリフォーム50を、注入ポート214のバルブ2140を開放させて、注入ポート214を介して注入される第2のスリップ260で含浸する(図9)。スリップ260は、プリフォーム50の中心部に、すなわち、底面50bと上面50aとの間に位置するプリフォーム50の厚みに、耐火性マトリックスを形成するためのものである。スリップ260は、液相262の懸濁液中のSiC粒子261の粉末に対応する。SiC粒子261は、粒子251の平均粒径よりも大きく、0.1μm〜5μmの範囲内にあり得る平均粒径を表す。スリップの液相162は、特に、水(酸性pH)、エタノール、又は所望の粉末を懸濁液にすることができるその他の液体により構成され得る。有機結合剤も加え得る(例えば、水溶性であるPVA)。結合剤は、乾燥後及び焼結前に未焼結プリフォームが確実に結合することを可能にする。液相262は、液相252と同じ性質であることが好ましい。
【0062】
含浸チャンバ201に注入されるスリップ260の量は、含浸させられる中間体繊維プリフォーム40の厚さに応じて決められる。
【0063】
スリップ260を含浸チャンバ201に注入したら、上述のように、圧縮流体280を再度注入することにより、成形オペレーションを実施する。成形オペレーションの間、多孔性材料部分220により保持される粒子261は、プリフォーム内部に定着することにより堆積するようになり、スリップ260の液体262は、部分220を通してプリフォームから排液される(図10)。
【0064】
このことにより、底面60b上にSiC粒子251の層2510を有し、プリフォームの厚み中に広がるSiC粒子260の層2610を有する中間体繊維プリフォーム60が製造される。次に、中間体プリフォーム60を、成形チャンバ202から圧縮流体を全部出すことにより成形圧力から解放する。
【0065】
任意の冷却段階の後、中間体繊維プリフォーム60を、注入ポート214のバルブ2140を開放させて、注入ポート214を介して注入される第3のスリップ270で含浸する(図11)。スリップ270は、プリフォーム60の中心部に、すなわち、底面40bと上面40aとの間に位置するプリフォーム40の厚みに、SiCマトリックスを形成することを完了させることを第1に意図されており、プリフォーム60の上面60a上に存在するマトリックス部分を形成することを第2に意図されており、前記部分は、最終製品の上面の表面状態に関与する。スリップ270は、液相272の懸濁液中のSiC粒子271の粉末に対応し、前記粒子271は、0.1μm〜5μmの範囲にある平均粒径を表す。スリップの液相272は、特に上記の相のいずれかにより構成され得、液相252及び262と同種であることが好ましい。粒子271は、粒子251と同じ大きさであり得る。このような次第ではあるが、最終部品の底面と上面に異なる表面状態を有することが望まれる場合には、粒子271は、粒子251とは異なる大きさであり得る。
【0066】
含浸チャンバ201に注入されるスリップ270の量は、形成したい粒子271の層の織物の上面からの厚さと、粒子261間に存在し、粒子271で満たされる必要がある間隙の体積との両方に応じて決められる。
【0067】
スリップ270を含浸チャンバ201に注入したら、上述のように、圧縮流体280を再度注入することにより、成形オペレーションを実施する。成形オペレーションの間、粒子271は、粒子261間に存在する間隙に最初に定着し、次にプリフォーム60の上面60a上に定着することにより堆積するようになり、一方、スリップ270の液体271は、部分220を通してプリフォームから排液される。圧縮流体により圧力をスリップに加えることと組み合わせて、ポンピングPを、例えばプライマリー真空ポンプ(図1〜4に図示せず)により、ベント112を介して適用することが可能である。このポンピングは任意である。加熱が充分であり得る。このような次第ではあるが、これらの両方を組み合わせることは、乾燥の速度を速めることを可能にする。
【0068】
このようにして、底面70b上にSiC粒子251の層2510を有し、プリフォームの厚み中に広がるSiC粒子261の層2610を間隙中の粒子271と共に有し、上面70a上にSiC粒子271の層2710を有する最終繊維プリフォーム70が得られる。次に、最終プリフォーム70を、成形チャンバ202から圧縮流体を全部出すことにより離型する。
【0069】
プリフォーム70を工具から抜き出し、1800℃〜2000℃の範囲にある温度で空気中で焼結加熱処理に付して、耐火性SiC粒子を共に焼結させ、それによって、プリフォーム内にSiCマトリックスを形成する。このようにして、3D織りによって得られる繊維強化材を有し、非常に小さい微小孔体積分率、及び改良された、空気力学的用途に対応する表面状態を表すSiC/SiC複合材料部品が得られる。
【0070】
酸化物/酸化物複合材料製部品は、耐火性酸化物繊維(例えばアルミナ繊維)を使用して繊維織物を製造することにより、及び(例えば、アルミナ、ムライト、シリカなどの)耐火性酸化物粒子で満たしたスリップを使用することにより、同じ方法で得られ得る。
【0071】
複数のスリップで繊維構造を含浸するステップ及び各スリップから液相を除去するステップは、工具100又は200を使用して、上記以外の技術を用いても実施され得る。注入型技術、樹脂トランスファー成形(RTM)として知られる射出成形型技術、又はadvanced powder solutions(APS)として知られるサブマイクロメーター粉末の吸引を伴う方法を使用して、繊維プリフォーム用織物をスリップで含浸するステップ、及び各スリップの液相を除去するステップを実施することも可能である。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12