(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
ハエ類に対して高い誘引活性を有している物質としては、上記特許文献1に記載されているように、果実や野菜やその加工品、乳加工品等が知られている。すなわち、食料品や生ゴミからは、コバエ類を含むハエ類を誘引する揮散性のガスが発生しているものと考えられている。しかしながら、これら飛翔害虫を誘引する揮散性ガスを分析し誘引物質を特定する試みは未だ報告例がなく、生肉由来の飛翔害虫誘引物質が、ピリジン骨格を有する化合物であることは、今回初めて見出されたものである。
【0010】
本発明における生肉の種類としては特に限定されないが、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、馬肉、ウサギ肉、鯨肉、イルカ肉、鹿肉、猪肉、熊肉、魚肉等が例示でき、好ましくは牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、より好ましくは豚肉を挙げることができる。本発明の生肉は加工されていない生の肉を意味するものである。
本発明の生肉由来の誘引物質は、生肉から揮散されるガス状の物質であり、このガス状物質を飛翔害虫誘引剤の有効成分として使用することができる。ガス状の誘引物質の利用方法は、特に限定されないが、例えば、生肉をガス透過性フィルムに包装したものを、使用することもできる。
しかしながら、生肉は腐敗し取り扱いが困難なので、長期安定的な誘引効果を得るためには、生肉から揮散されるガス状の誘引物質自体を飛翔害虫誘引剤の有効成分として使用することが好適である。
飛翔害虫誘引剤の有効成分としては、ピリジン骨格を有する化合物のいずれか1種以上が好ましく、アセチル基および/またはメチル基を有するピリジン骨格を有する化合物のいずれか1種以上がより好ましく、さらに、アセチルピリジンまたはトリメチルピリジンから選択される1種以上の化合物が特に好ましい。また、ピリジン骨格を有する化合物に加えてヘプタノンおよび/またはジメチルジスルフィドを含有することが、本発明の飛翔害虫誘引剤の有効成分として好ましい。
【0011】
本発明の飛翔害虫誘引剤の有効成分として好ましい、アセチル基および/またはメチル基を有するピリジン骨格を有する化合物としては、具体的に以下の化合物が例示できる。
メチル基を有するピリジン骨格を有する化合物としては、例えば、2−メチルピリジン(α−ピコリン)、3−メチルピリジン(β−ピコリン)、4−メチルピリジン(γ−ピコリン)、2,3−メチルピリジン、2,4−メチルピリジン、2,5−メチルピリジン、2,6−メチルピリジン、3,4−メチルピリジン、3,5−メチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン(γ−コリジン)、2,3,5−トリメチルピリジン、4−エチル−2−メチルピリジン(α−コリジン)、3−エチル−4−メチルピリジン(β−コリジン)等が挙げられる。
アセチル基を有するピリジン骨格を有する化合物としては、例えば、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン等が挙げられる。メチル基およびアセチル基を有するピリジン骨格を有する化合物としては、例えば、2−アセチル−4−メチルピリジン等が挙げられる。
これらの中でも、特に、2,4,6−トリメチルピリジン(γ−コリジン)、2,3,5−トリメチルピリジン等のトリメチルピリジンや、2−アセチルピリジン、3−アセチルピリジン、4−アセチルピリジン等のアセチルピリジンが、本発明の飛翔害虫誘引剤の有効成分として好ましい。
【0012】
本発明の飛翔害虫誘引剤の有効成分として、ピリジン骨格を有する化合物に加えてヘプタノンを添加することが好ましく、そのヘプタノンの具体例としては、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等が挙げられる。これらの中で、2−ヘプタノンが好ましい。
後述する実施例においても詳細に説明するが、ヘプタノンは、単独でも飛翔害虫誘引効果を発揮するが、ピリジン骨格を有する化合物と組み合わせて使用することにより、相加効果以上の飛翔害虫誘引効果を発揮する。これは、本発明者が実験により初めて明らかにした、飛翔害虫誘引剤に関する相乗効果である。具体的には、アセチルピリジンとヘプタノン、トリメチルピリジンとヘプタノン、アセチルピリジンとトリメチルピリジンおよびヘプタノン等の組み合わせが、相乗効果を奏する本発明の飛翔害虫誘引剤として例示することができる。
また、ジメチルジスルフィドとピリジン骨格を有する化合物と組み合わせて使用することにより、低濃度においても相加効果以上の飛翔害虫誘引効果を発揮することを、本発明者は実験により明らかにした。具体的には、アセチルピリジンとジメチルジスルフィド、トリメチルピリジンとジメチルジスルフィド、アセチルピリジンとトリメチルピリジンおよびジメチルジスルフィド等の組み合わせが、相乗効果を奏する本発明の飛翔害虫誘引剤として例示することができる。さらに、2−ヘプタノンとジメチルジスルフィドおよびピリジン骨格を有する化合物と組み合わせることにより、格別顕著な飛翔害虫誘引効果が得られることも、本発明者は実験により初めて明らかにした。具体的には、アセチルピリジンとヘプタノンとジメチルジスルフィド、トリメチルピリジンとヘプタノンとジメチルジスルフィド、アセチルピリジンとトリメチルピリジンとヘプタノンとジメチルジスルフィド等の組み合わせが、相乗効果を奏する本発明の飛翔害虫誘引剤として例示することができる。詳細は、後述する実施例により説明する。
【0013】
本発明の生肉由来の誘引物質は、有効成分をそのまま液体の状態で容器に充填し、揮散させてもよいが、液体状、ゲル状、固体状のいずれの状態に製剤化しても使用することができる。液体状の製剤とする場合には、アルコール類(多価アルコール類を含む)、ケトン類、エステル類、エーテル類(グリコールエーテル類など)、油脂、灯油、流動パラフィン等の有機溶媒あるいは水、及びこれらの混合溶媒等の溶媒に溶解して用いることが好ましい。アルコール類としては、例えば、エタノール、プロパノール、オクタノール等が挙げられる。エステル類としては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル等が挙げられる。エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。油脂としては、例えば、パーム油、オリーブ油等が挙げられる。溶媒の配合量は、誘引剤全量に対して1〜99.999重量%とするのが好ましい。
ゲル状の製剤とする場合は、前記液体状の製剤にゲル化剤を配合することが好ましい。ゲル化剤としては、例えば、カルボキシルビニルポリマー等のアクリル系増粘剤、セルロースゲルやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤、カラギーナン等の天然物由来の増粘多糖類、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等のカオリン群、アンティゴライト、アメサイト、クロンステダイト等のアンティゴライト群、パイロフィライト等の滑石パイロフィライト群、イライト、海緑石、セラドナイト、セリサイト、白雲母等の緑泥石(クロライト)雲母型粘土鉱物群、バーミキュライト等のバーミキュライト群、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ラポナイト、ヘクトライト等のスメクタイト群等の粘土鉱物類等の少なくとも1種以上が挙げられる。
【0014】
本発明の飛翔害虫誘引剤は、飛翔害虫に対する誘引活性を高めるために、誘引効果を有することが公知の、例えば、紹興酒、ビール、ワイン等の酒類、酒粕、果実酢、醸造酢、穀物酢、黒酢、赤酢、食酢の酢類、各種果実、果実エキス、野菜や果実の発酵物等の果実加工品、液糖、黒糖、砂糖等の糖類、味噌、酵母、蜂蜜、アセトイン、乳酸製品等、各種の植物性又は動物性の食餌、各種誘引性香料等から選択される少なくとも一つを含んでもよい。これにより、ハエ類、蚊類、コバエ類等の飛翔害虫に対してさらに高い誘引効果を示すことができる。
本発明の飛翔害虫誘引剤は、発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて任意の成分を更に含有してもよい。任意の成分として、酸化防止剤、光安定化剤等の安定化剤、不揮発性オイル、殺虫剤、殺菌剤、防黴剤、防腐剤、界面活性剤、香料、着色料、増粘剤等が例示される。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ジブチルヒドロキシアニソール、トコフェロール、γ−オリザノール、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル類等が挙げられる。光安定化剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。酸化防止剤や光安定化剤を配合することにより、例えば、生肉由来の誘引物質の変質を防ぐことができる。不揮発性オイルは、例えば、ヤシ油や脂肪酸グリセリド等の親油性溶剤が好ましい。不揮発性オイルを配合することにより、生肉由来の誘引物質の蒸気圧を低下させて揮散速度を調節することができる。
【0015】
また、本発明の飛翔害虫誘引剤は、設置場所に応じて適宜製剤の設計をすれば良く、液剤、粉剤、顆粒剤、打錠剤、ベイト剤、ペースト剤、ゲル剤、エアゾール剤、スプレー剤等の製剤として用いたり、担体に担持させて用いることができる。
例えば、有効成分である生肉由来の誘引剤を担体に担持させてガス透過性の袋に封入して使用することができる。担体に誘引剤を担持させるには、薬剤保持担体に薬剤を滴下塗布する方法、練りこむ方法、含浸塗布する方法、スプレー塗布する方法等が挙げられる。上記担体としては、例えば、濾紙、パルプ、リンター、厚紙、ダンボール等の紙類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、高吸油性ポリマー等の樹脂類;セラミック;ガラス繊維、炭素繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の化学繊維、木綿、絹、羊毛、麻等の天然繊維等からなる不織布や編織布等の布綿;ゼオライト、パーライト等の無機鉱物;多孔性ガラス材料;多孔性金属材料、多孔質セルロース材料、ケイ酸カルシウム、シリカゲル等の粒状物;小麦粉、コーンスターチ、デキストリン等の有機物等が挙げられる。
【0016】
さらに、生肉由来の誘引物質は混練用樹脂と混練して混練物としてもよく、シート状等、任意の形状に成形して使用することができる。
上記混練用樹脂は、生肉由来の誘引物質と混練可能であれば特に限定されない。このような混練用樹脂は、例えば、ロジン、ロジンエステル又はこれらの変性物、ワックス類、高級脂肪酸、高級アルコール、シュガーエステル、ポリオレフィン、各種アクリル系樹脂等が挙げられる。上記のロジン、ロジンエステル又はこれらの変性物としては、例えば、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸、デヒドロアビエチン酸等のアビエチン酸類、d−ピマル酸、イソ−d−ピマル酸、レボピマル酸等のピマル酸類の有機酸の一種又は二種以上を含む天然産のロジン、あるいは、世界各国産の松脂を加工して得られたもの、例えば、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン、これらのロジンに水素添加、不均化、重合等の処理を行った変性ロジン、または上記の各種ロジンをエステル化したエステルガム等のロジンエステル等が挙げられる。
【0017】
上記ワックス類としては、例えば、蜜ロウ、牛ロウ、ラノリン等の動物ワックス、木ロウ、ライスワックス、カルナバワックス等の植物ワックス、オゾケライト等の鉱物ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス等が挙げられる。
上記高級脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。また、上記高級アルコールとしては、例えば、ステアリルアルコール等があげられる。さらに、上記シュガーエステルとしては、例えば、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル等が挙げられる。さらにまた、上記ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。また、上記各種アクリル系樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。
【0018】
上記の混練用樹脂は、それぞれ単独で使用することができ、また、2種以上を混合して使用することもできる。上記生肉由来の誘引物質と混練用樹脂との混練物中における生肉由来の誘引物質の混合割合は、樹脂100重量部に対して0.0001〜20重量部が好ましい。0.0001重量部よりも少ない場合、容器内部に存在する誘引剤が混練用樹脂から放出され容器外部に透過するのに時間がかかるため、十分な量が揮散せず、目的の誘引効果が得られない場合があるため好ましくない。また、20重量部を超えた場合、液体の生肉由来の誘引物質を十分に保持することができないため好ましくない。
上記混練物は、上記混練用樹脂を溶融混練し、この溶融混練物に生肉由来の誘引物質を添加し、均一に混合することで得ることができる。
【0019】
本発明の飛翔害虫の誘引剤は、混練物、多孔質単体に担持させたもの、あるいはペースト状にしたものを、容器または袋に封入して使用してもよい。上記容器の種類としては、例えば、射出成型容器、ブリスター容器などが挙げられる。その材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられ、これらを単独、または複数組み合わせて使用することができる。さらに、上記容器の一部に袋状の構成材料を使用してもよい。上記袋の構成材料としては、具体的にはポリエチレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのフィルムが挙げられ、これらを単独、または複数をラミネートして使用することもできる。さらに、上記フィルムに不織布、紙などをラミネートしたものを使用してもよい。
上記のような製剤とした本発明の飛翔害虫誘引剤は、単独で、または他の成分等と併用して、誘引殺虫剤、粘着捕獲器、電気、熱、超音波等を用いた防除装置等に用いることができ、飛翔害虫の防除を効率的に行うことができる。
【0020】
本発明の飛翔害虫は、その種類に限定がなく、例えば双翅目(ハエ目)昆虫のうちでコバエといわれるショウジョウバエ科(キイロショウジョウバエ、クロショウジョウバエ等)、ノミバエ科(オオキモンノミバエ、コシアキノミバエ等)、クロバネキノコバエ科、キノコバエ科、ケバエ科、ニセケバエ科、ショクガバエ科(ハナアブ科)、チーズバエ科、チョウバエ科、ツヤホソバエ科、トゲハネバエ科、ハネフリバエ科、ハマベバエ科、ハヤトビバエ科、ミギワバエ科等が好適に挙げられ、その他にも比較的大型のハエであるイエバエ科(イエバエ、サシバエ等)、クロバエ科(ケブカクロバエ、キンバエ等)、ニクバエ科、フンバエ科等いずれも本発明の飛翔害虫に含まれる。また双翅目以外の昆虫である半翅目(カメムシ目)のアブラムシ類、ウンカ類、カメムシ類、ヨコバイ類、さらに鱗翅目(チョウ目)である果実吸蛾類等も含むことができる。
【0021】
本発明の飛翔害虫の誘引装置を配置する場所としては、食料品が置かれる調理台、生ゴミのゴミ箱、三角コーナーが置かれる流し等の台所が最適である。
そして、この飛翔害虫の誘引剤を使用することで、ノミバエ、クロバネキノコバエ、キノコバエ、チョウバエ等の飛翔害虫が食料品や生ゴミの周辺に誘引されることなく、結果としてさらなる繁殖を抑制することが可能となる。
【実施例】
【0022】
以下、試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
【0023】
本発明の生肉由来の誘引物質を採取、分析、同定することにより特定した。
【0024】
<誘引物質の分析評価>
(1)分析検体
検体1:冷蔵保存した豚肉を室温状態にしたもの
検体2:豚肉を室温で3日間放置したもの
(2)評価方法
検体1、2をガラス瓶に入れ、蓋をしてしばらく時間がたってから、瓶の中のガスをGC/MSのトータルイオンクロマトグラム(TIC)により分析を行った。解析条件は以下の通りである。また、解析結果を
図1に示す。
(GC/MSの解析条件)
ガスクロマトグラフ重量分析装置:5975(株式会社島津製作所製)
カラム:TC−WAX 50m×0.25mmID,0.15μm(ジーエルサイエンス株式会社製)
カラム温度:70℃→4℃/分→218℃
注入温度(Injection温度):250℃
注入口圧力:11.1psi
スプリット比:20/1
MS温度:230℃
SPME脱着時間:1min(250℃)
【0025】
検体2からは、検体1に比べて2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンが特異的に多く検出され、これらが飛翔害虫の誘引に関与しているものと考えられた。この点を次の試験において確認する。
【0026】
<誘引物質単剤での誘引効果>
(1)試験検体
誘引物質として2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンそれぞれ及び、下記表1に示す混合組成物を、0.005重量%となるように、ミリスチン酸イソプロピルで希釈したものを試験検体とした。また、誘引物質を含まないミリスチン酸イソプロピルのみを含有する試験検体を比較例として使用した。
【0027】
【表1】
【0028】
(2)試験方法
温度25〜28℃に設定した金属製のピート・グラディーチャンバー(1.8m×1.8m×1.8m)内に、供試虫であるノミバエ約100頭を放ち20分間安定化させた。金属製のピート・グラディーチャンバー内に
図2に示す試験系、すわなち、床中央に直径500mmのろ紙を置き、そのろ紙の上に、試験検体100μLを含浸させた直径70mmのろ紙を入れた直径100mm、高さ45mmのプラスチックカップ(KP−200M、鴻池プラスチック株式会社製)を載置した。直径500mmのろ紙上またはプラスチックカップ内にランディングした供試虫の数を経時的に計測した。試験は2回行い、試験開始から5分間の総ランディング数の平均を
図3に示す。
図3中の「DMDS」はジメチルジスルフィドを、「トリメチルピリジン」は2,4,6−トリメチルピリジンを意味する。また、「DMDS(ジメチルジスルフィド)」のデータは参考例である。
【0029】
図3の結果から、2−ヘプタノン、2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンは、単剤での飛翔害虫誘引効果に優れることが、さらに、2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィド、2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンを混合した混合組成物は非常に優れた誘引効果を奏することが明らかとなった。この優れた誘引効果は、相加効果以上の誘引効果である。
【0030】
<誘引混合組成物の誘引効果>
上記表1に示す混合組成物の濃度を変えて、誘引効果の変化を確認した。
(1)試験検体
誘引物質として上記表1に示す混合組成物を、0.1重量%、0.01重量%、0.005重量%、0.001重量%となるように、ミリスチン酸イソプロピルで希釈したものを試験検体とした。また、誘引物質を含まないミリスチン酸イソプロピルのみを含有する試験検体を比較例として使用した。
(2)試験方法
上記「誘引物質単剤での誘引効果」と同じ試験方法により、試験を実施し、直径500mmのろ紙上またはプラスチックカップ内にランディングした供試虫の数を経時的に計測した。試験は2回行い、試験開始から5分間の総ランディング数の平均を
図4に示す。
【0031】
図4の結果から、上記表1に示す混合組成物は少なくとも0.1〜0.001重量%の濃度範囲において、飛翔害虫に対して優れた誘引効果を示すことが明らかとなった。
【0032】
<低濃度混合における誘引効果>
誘引物質として2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジン、2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィドの低濃度混合における、飛翔害虫誘引効果を確認した。
(1)試験検体
誘引物質として2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジン、2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィドを使用した。単独の場合、2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジン、2−ヘプタノン、ジメチルジスルフィドそれぞれ0.0001重量%をミリスチン酸イソプロピルで希釈したものを試験検体a〜dとした。
2−アセチルピリジンと2−ヘプタノンの1:1(重量比)混合物を使用して、2−アセチルピリジンと2−ヘプタノンの合計量が0.0001重量%となるようにミリスチン酸イソプロピルで希釈したものを試験検体Aとした。
また、2−アセチルピリジンとジメチルジスルフィドの1:1(重量比)混合物を使用して、2−アセチルピリジンとジメチルジスルフィドの合計量が0.0001重量%となるようにミリスチン酸イソプロピルで希釈したものを試験検体Bとした。
さらに、2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンおよび2−ヘプタノンの1:1:1(重量比)混合物を使用して、2,4,6−トリメチルピリジン、2−アセチルピリジンおよび2−ヘプタノンの合計量が0.0001重量%となるようにミリスチン酸イソプロピルで希釈したものを試験検体Cとした。
(2)試験方法
上記「誘引物質単剤での誘引効果」と同じ試験方法により、試験を実施し、直径500mmのろ紙上またはプラスチックカップ内にランディングした供試虫の数を経時的に計測した。試験は2回行い、試験開始から5分間の総ランディング数の平均を
図5に示す。
【0033】
図5の結果から明らかな様に、本発明の飛翔害虫誘引剤の有効成分であるピリジン骨格を有する化合物と、ヘプタノンおよび/またはジメチルジスルフィドとを併用することにより、有効成分濃度が0.0001重量%という非常に低濃度において、相加効果以上の誘引効果が得られることが確認された。この、本発明の飛翔害虫誘引剤における相乗効果は、本発明者が実験により初めて明らかにする、格別顕著な効果である。