(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760948
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】慢性弁膜疾患を診断するための方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6883 20180101AFI20200910BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20200910BHJP
【FI】
C12Q1/6883 Z
!C12N15/113 Z
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-540617(P2017-540617)
(86)(22)【出願日】2016年2月4日
(65)【公表番号】特表2018-504912(P2018-504912A)
(43)【公表日】2018年2月22日
(86)【国際出願番号】IB2016050583
(87)【国際公開番号】WO2016132244
(87)【国際公開日】20160825
【審査請求日】2019年1月29日
(31)【優先権主張番号】62/117,189
(32)【優先日】2015年2月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100140888
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 欣乃
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】リー, チンホン
【審査官】
福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−505427(JP,A)
【文献】
特表2010−533503(JP,A)
【文献】
BMC Vet Res, 2014, vol.10, no.1, p.205
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−90
C12Q 1/00−3/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物(ヒトを除く)の慢性弁膜疾患を診断する方法であって、
a.前記動物から生体試料を得るステップと、
b.慢性弁膜疾患と関連するマイクロRNA(miRNA)の量について前記生体試料を分析するステップと、
c.前記試料中で特定された前記miRNAの量を、慢性弁膜疾患に罹患していない1個体以上の比較対照動物由来の試料中に存在する前記miRNAの対応する量と比較するステップと、
d.前記動物の試料中に見出される前記miRNAの量が、前記対照動物の試料中に存在する前記miRNAの量よりも少ない場合に、前記動物は慢性弁膜疾患であると診断するステップと、を含み、
前記miRNAは、miR−302d、miR−380、miR−874、miR−582、miR−329b、miR−487b及びそれらの組み合わせからなる群から選択されるmiRNAを含む、方法。
【請求項2】
前記試料が血清試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記診断が、慢性弁膜疾患と関連する2つ以上のmiRNAの量の決定に基づくものである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記診断が、慢性弁膜疾患と関連する3つ以上のmiRNAの量の決定に基づくものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記診断が、上方制御される第2のmiRNAの量に基づくものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記miRNAが、さらにmiR−490を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記動物が、コンパニオンアニマルである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コンパニオンアニマルがイヌ科動物である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2015年2月17日に出願された、米国特許仮出願第62/117189号に対する優先権を主張するものであり、本開示は参照により本明細書に援用される。
【0002】
[0002]本発明は、概して、慢性弁膜疾患を診断及び予測するための方法、並びに特に、慢性弁膜疾患と関連するマイクロRNA(miRNA)を測定することによって慢性弁膜疾患を診断及び予測するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]心臓病は、イヌにおいて、最も一般的な障害の1つである。変性性僧帽弁疾患(DMVD)としても知られている、慢性弁膜疾患(CVD)は、全イヌの約9%が罹患しており、加齢に伴い増加し、全体的な累積罹患率は40%超である。CVDは、房室弁、最も一般的には僧帽弁が進行性に変性及び変形して初期の僧帽弁閉鎖不全に至ることが特徴である。僧帽弁閉鎖不全になると、僧帽弁の不適切な閉鎖が原因で血液が左心房に逆流する僧帽弁逆流が生じ、これによる収縮期心雑音が発生するようになる。CVDに罹患したイヌは、最終的には、左房室の容量過負荷、肺水腫、心房拡張及び上室性不整脈を発症する。
【0004】
[0004]罹患した弁の外科的又は内科的な治療が可能ではあるが、ペットの飼い主による栄養学的介入が好ましい。早期の発見及び治療が不可欠であるが、症状がほとんどないことから、発見が難しい場合がある。特許出願(PCT/US201344011号)では、差次的に発現した遺伝子及び代謝産物を使用してCVDを診断する方法が記載されている。しかしながら、遺伝子発現による方法は、侵襲的であるとされる心臓組織の採取を必要とする。加えて、mRNAはあまり安定ではなく、実験的に取り扱うことが困難な場合がある。更に、血清由来の代謝産物測定は、生化学的性質及び該化合物の安定性に依存しているので、困難な場合がある。
【0005】
[0005]従って、最も適切で有効なレベルの治療を提供するため、動物のCVDを診断及び予測することへの必要性が依然としてある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]従って、本発明の目的は、動物における慢性弁膜疾患を診断及び予測するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本目的及びその他の目的は、動物における慢性弁膜疾患を診断及び予測するための、以下のステップを伴う方法を使用して達成される。すなわち、動物から試料を得るステップと、慢性弁膜疾患と関連するmiRNAの量について該試料を分析するステップと、該試料中で特定された該miRNAの量を、慢性弁膜疾患に罹患していない1個体以上の比較対照動物由来の試料中に存在する該miRNAの対応する量と比較するステップと、該動物の試料中に見出される該miRNAが、該対象動物の試料中とは差次的に発現している場合に、該動物は慢性弁膜疾患であると診断するステップ、である。
【0008】
[0008]本発明の、その他の及び更なる目的、特徴並びに利点は、当業者には容易に明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(定義)
[0009]用語「動物」は、慢性弁膜疾患に罹患しやすい又は罹患している任意の動物を意味し、ヒト、鳥類、ウシ科動物、イヌ科動物、ウマ科動物、ネコ科動物、ヤギ類、オオカミ類、ネズミ科動物、ヒツジ類又はブタ類が挙げられる。
【0010】
[0010]用語「miRNA」又は「バイオマーカー」は、約21〜25個のヌクレオチドを含む小型の一本鎖のノンコーディングRNA分子を意味し、かかるノンコーディングRNA分子のレベル又は強度は生体試料中で測定され、疾患状態を診断するためのマーカとして使用され得る。
【0011】
[0011]用語「差次的発現」又は「差次的に発現」は、試料中のmiRNA量の、欠如、存在又は変化をもとに検出された通りの、miRNAの発現の増加若しくは上方制御、又はmiRNAの発現の減少若しくは下方制御を意味する。
【0012】
[0012]用語「比較対照動物」は、同種及び同型の動物、又は、2つの異なる時点で評価される動物個体を意味する。
【0013】
[0013]用語「対応する量」は、慢性弁膜疾患であると診断されている動物のmiRNAに対応する比較対照動物由来のmiRNAの量を意味し、該miRNAは慢性弁膜疾患に関連している。
【0014】
[0014]用語「コンパニオンアニマル」は、交友、娯楽、精神的な支援、審美目的(extrovert display)、及び人間がその他の種の動物と分かち合うことを必要とする全てのその他の効用のために、人間により飼育される、イヌ、ネコ、トリ、ウサギ、モルモット、フェレット、ハムスター、マウス、アレチネズミ、乗馬用のウマ(pleasure horses)、乳牛、ヤギ、ヒツジ、ロバ、ブタ、及び更には外来種等の家畜を意味する。一態様では、コンパニオンアニマルはイヌ又はネコであり得る。ある特定の態様では、コンパニオンアニマルはイヌであり得る。
【0015】
[0015]用語「診断する」は、動物が慢性弁膜疾患に罹患しているかを決定すること、又は、動物が慢性弁膜疾患に罹患しやすいかを予測することを意味する。
【0016】
[0016]用語「初期段階」は、アメリカ獣医内科学会(American College of Veterinary Internal Medicine、ACVIM)の、心臓病(HF)を診断するためのガイドラインに基づく、心臓病(HF)の臨床的兆候がないが、軽度から中等度の心肥大を伴う、ステージBの心臓病(HF)を意味する。
【0017】
[0017]用語「末期」は、ACVIMに基づく中等度のHFの臨床的兆候を伴う、ステージCのHFを意味する。
【0018】
[0018]本明細書において使用する場合、範囲は、該範囲内のありとあらゆる値を列挙及び記載する必要を回避するために、本明細書においては省略表現で使用する。該範囲内の任意の適切な値は、適宜、該範囲の上限値、下限値、又は境界値として選択できる。
【0019】
[0019]本明細書で使用するとき、文脈により明確に記載のない限り、単語の単数形には複数形が包含され、逆に複数形には単数形が包含される。従って、「a」、「an]、及び「the」の言及には、概してそれぞれの用語の複数形が包含される。例えば、「方法(a method)」と言った場合は、複数の「方法(methods)」が含まれる。同じように、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」という用語は、排他的ではなく、むしろ包含的に解釈されるべきである。同様に、「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は」という用語は全て、そのような解釈が文脈から明らかに妨げられていない限り、包含的なものであると解釈されるべきである。
【0020】
[0020]本明細書に開示される方法及び組成物並びにその他の発展は、本明細書に記載された特定の方法論、手順及び試薬に限定されないが、その理由は、当業者であれば理解するであろうが、それらが変化し得るためだからである。更に、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とするものであり、開示又は請求の範囲を制限することを意図するものではなく、また制限するものでもない。
【0021】
[0021]別段の定めがない限り、本明細書において使用する全ての技術用語及び科学用語、専門用語、並びに頭字語は、本発明の分野(複数可)、又は該用語が使用される分野(複数可)の当業者により一般的に理解される意味を有する。
【0022】
[0022]本明細書で引用又は参照される全ての特許、特許出願、出版物、技術及び/又は学術論文、並びにその他の参照文献を、法律によって許される範囲でそれらの全体を本明細書に援用する。これらの参照についての論考は、それらにおいてなされる主張を要約することを意図するにすぎない。そのような特許、特許出願、刊行物、若しくは参照文献の一切、又は、それらのいずれの部分も、関連する、必須の、又は先行する技術であると認めるものではない。そのような特許、特許出願、出版物、及びその他の参照文献が、関連性があり、必須であり、又は先行技術であるというあらゆる主張に対し、正確性及び妥当性に異議を申し立てる権利を明確に留保するものである。
【0023】
本発明
[0023]本発明者らは、本明細書で記載されるmiRNAが動物の生体試料中に存在し得ること、慢性弁膜疾患の閾値を示す又は予測することにより、試料中の該miRNAの量が慢性弁膜疾患を診断するための生化学的指標として機能し得ることを発見した。そこで、本発見により獣医及びその他の臨床医は、試料中のこれらの「バイオマーカー」について試験を行い、動物が慢性弁膜疾患に罹患しやすい又は罹患しているか、及び更なる診断又は治療が必要であるかを決定することができる。更なる診断又は治療の必要性を確定するので、こうした更なる診断又は治療の費用及びリスクを適正化することができる。
【0024】
[0024]上記によると、本発明は、動物の慢性弁膜疾患を診断するための方法を提供する。該方法は、動物から生体試料を得るステップと、慢性弁膜疾患と関連するマイクロRNA(miRNA)の量について該試料を分析するステップと、該試料中で特定された該miRNAの量を、慢性弁膜疾患に罹患していない1個体以上の比較対照動物由来の試料中に存在する該miRNAの対応する量と比較するステップと、該動物の試料中に見出される該miRNAの量が、該対照動物の試料中とは差次的に発現している場合に、該動物は慢性弁膜疾患であると診断するステップと、を含む。
【0025】
[0025]一実施形態では、動物の慢性弁膜疾患を診断するための方法は、動物から生体試料を得るステップと、慢性弁膜疾患と関連するmiRNAの量について該試料を分析するステップと、該試料中で特定された該miRNAの量を、慢性弁膜疾患に罹患していない1個体以上の比較対照動物由来の試料中に存在する該miRNAの対応する量と比較するステップと、該動物の試料中に見出される該miRNAの量が、該対照動物の試料中に存在する該miRNAの量よりも多い場合に、該動物は慢性弁膜疾患であると診断するステップと、を含み得る。
【0026】
[0026]その他の実施形態では、動物の慢性弁膜疾患を診断するための方法は、動物から生体試料を得るステップと、慢性弁膜疾患と関連するmiRNAの量について該試料を分析するステップと、該試料中で特定された該miRNAの量を、慢性弁膜疾患に罹患していない1個体以上の比較対照動物由来の試料中に存在する該miRNAの対応する量と比較するステップと、該動物の試料中に見出される該miRNAの量が、該対照動物の試料中に存在する該miRNAの量よりも少ない場合に、該動物は慢性弁膜疾患であると診断するステップと、を含み得る。
【0027】
[0027]各種実施形態では、慢性弁膜疾患と診断された動物ではなく、かつ慢性弁膜疾患に罹患していないと判断されている、1個体以上の比較対照動物を、miRNAについて評価することができ、かかる評価結果は、miRNAを評価される動物の結果と比較するための基準値として使用される。いくつかの実施形態では、miRNAの基準値は多数の比較対照動物を評価することによって決定することができる。
【0028】
[0028]別の実施形態では、一匹の動物について、miRNAの量を、該動物の生涯を通して何度も決定することができ、結果を用いて、該動物が、慢性弁膜疾患に罹患しやすい又は罹患しているかを、決定することができる。例えば、該動物の加齢と共に、miRNAの量が増加又は減少する場合、該動物は、慢性弁膜疾患に罹患しやすい又は罹患していると診断することができる。ある実施形態において、動物を定期的に評価し、miRNAの結果を記録することができる。次の評価で、miRNAの量が前回の評価(複数含む)から増加又は減少している場合、該動物は慢性弁膜疾患に罹患しやすい又は罹患していると診断することができる。いくつかの態様では、miRNAの特異的な変化を、慢性弁膜疾患の初期段階又は末期段階と相関させることができる。
【0029】
[0029]本発明では、生体由来の任意の試料が有用となり得る。例としては、血液(血清/血漿)、脳脊髄液(CSF)、尿、糞便、呼気、唾液又は任意の組織の生検が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、試料は、血清試料であり得る。本明細書では用語「血清」が使用されるが、当業者は、また、血漿又は全血若しくは全血分画を使用してもよいことを理解するであろう。
【0030】
[0030]発現の減少又は増加を、ポリヌクレオチドの定量化に対して本技術分野において周知である任意の方法(例えば、PCR法(RT−PCR法及びqPCR法が挙げられるが、それらに限定されない)、配列決定法、ノーザンブロット法、マイクロアレイ法又はその他のハイブリダイゼーション法等)を使用して、miRNAレベルで測定することができる。
【0031】
[0031]慢性弁膜疾患を診断するためには、1つのmiRNAを使用すれば十分ではあるが、1つ以上、2つ以上、3つ以上、又は4つ以上のそのようなmiRNAを使用することも、本発明に包含される。miRNAを、任意の組み合わせにて評価し、診断に使用することができる。このように、本方法としては、miRNAの上方制御及びmiRNAの下方制御に基づいてCVDの診断を挙げることができる。
【0032】
[0032]一実施形態では、診断は、動物の試料中に見出されるmiRNAの量が対照動物の試料中に存在するmiRNAの量と比較して多いかどうかの判断に基づくことができる。一態様では、miRNAとしては、miR−103、miR−98、let−7c、又はlet−7bを挙げることができる。
【0033】
[0033]一実施形態では、診断は、動物の試料中に見出されるmiRNAの量が対照動物の試料中に存在するmiRNAの量と比較して少ないかどうかの判断に基づくことができる。一態様では、miRNAとしては、miR−302d、miR−380、miR−874、miR−582、miR−490、miR−329b、又はmiR−487bを挙げることができる。
【0034】
[0034]差次的に発現したmiRNAは、本明細書で例示されるように、統計学的に有意なものであり得る。いくつかの態様では、統計的有意性としては、p<0.05、p<0.01あるいはp<0.001を挙げることができる。
【0035】
[0035]各種実施形態では、動物はヒト又はコンパニオンアニマルであり得る。一態様では、コンパニオンアニマルは、イヌ等のイヌ科動物又はネコ等のネコ科動物であり得る。ある特定の態様では、動物はイヌ科動物であり得る。
【実施例】
【0036】
[0036]本発明は、以下の実施例により更に例示することができるが、これらの実施例は、例示的な目的でのみ挙げられるものであり、別途記載のない限り、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0037】
実施例1
[0037]罹患血清試料及び正常血清試料を比較する、差次的発現プロファイリング試験を通してmiRNAを特定した。イヌを、認定心臓専門獣医により実施又は評価される心臓超音波検査、心臓の病理検査、又はそれらの両方により、健康な心臓又はCVDのいずれかを有すると分類した。アメリカ獣医内科学会(ACVIM)/ヨーロッパ獣医内科専門医会(European College of Veterinary Internal Medicine、ECVIM)の段階分けスキームを使用して、イヌを、イヌの心臓病(HF)のステージに基づいて、3つのグループのいずれかに分類した。グループA(ステージA、危険はあるが罹患していない、6匹)、グループB(ステージB、軽度から中等度の心肥大はあるが、心臓病の臨床的徴候は見られない、6匹)、又はグループC(ステージC、中等度の心臓病の臨床的徴候を有する、6匹)とした(表1)。これらの3グループの犬を、年齢、体の大きさ及び性別により割り付けた。血清を各グループの犬から採取し、使用するまで−80℃で保存した。
【表1】
【0038】
[0038]QiagenのmiScript(登録商品)のmiRNA PCR array systemを使用してmiRNA抽出及び定量PCRを行う目的で試料をQiagenに提出した。計277の既知のイヌ科動物のmiRNAを分析した。データ分析を分散分析(ANOVA)を使用して実施した。ANOVAのP値を多重検定のために調整し、偽陽性率(FDR)をBenjamini and Hochberg法を使用して計算した。グループB対グループAとの遺伝子発現比(expression fold change)(FC_BvA)及びグループC対グループAとの遺伝子発現比(FC_CvA)を計算した。差次的に発現したmiRNAを、FDR<0.05の閾値を使用して選定した。計11のmiRNAを選定した(表2)。
【表2】
【0039】
[0039]明細書では、本発明の典型的な好ましい実施形態を開示してきた。具体的な用語が使用されるが、これらは一般的に、かつ説明目的でのみ使用されるものであり、限定を意図するものではない。本発明の範囲は、「特許請求の範囲」において規定する。上記の技術を考慮すれば、本発明には多くの改変及び変形が可能であることは明らかである。従って、具体的に記載のもの以外であっても、添付の特許請求の範囲内で、本発明が実施可能であると理解される。