(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記軸受収容部のうち前記第一軸心方向に沿った一方側は、前記軸受が前記外部から前記軸受保持空間に到達するまでの区間において、少なくとも前記軸受に挿通される軸が通る幅で開放されている
ことを特徴とする請求項5に記載の自動調心軸受機構。
【発明の概要】
【0005】
本発明のアクチュエータは、出力軸を有する出力部と、前記出力軸に垂直な面に沿って延在する第一ウォーム及び第二ウォームと、を備え、前記出力部は、前記第一ウォームに歯合して前記出力軸を所定の回転軸の周りに回転させる回転機構と、前記第二ウォームに歯合して前記出力軸を前記回転軸に直交する方向に移動させる移動機構と、を有し、前記第一ウォームと前記第二ウォームとは前記出力軸を挟むように配置され、前記第二ウォームと前記出力軸との距離が前記第一ウォームと前記出力軸との距離より短いことを特徴とする。
【0006】
上記アクチュエータにおいて、第二ウォームは、出力部に設けられる移動機構と歯合して出力軸の回転軸に直交する方向に出力軸を移動させる。このとき、回転軸には、第二ウォームの回転方向の力も加わる。しかし、上記アクチュエータは、出力軸と第二ウォームとの距離が短いため、第二ウォームから出力軸へと伝わる上記力は小さく、出力軸のがたつきが抑制される。
【0007】
また、上記アクチュエータにおいて、前記移動機構は、前記出力部のうち前記第二ウォームと対向する面に形成されて前記第二ウォームと歯合する斜歯ラックを有することが好ましい。
【0008】
斜歯ラックは、当該斜歯ラックと歯合するウォームとの距離が近くても、当該斜歯ラックを備える部材と当該ウォームとの相対的な移動範囲を確保しやすい。よって、出力軸を所定の方向に移動させる移動機構として、出力部に形成される斜歯ラックが用いられることによって、斜歯ラックが出力軸に近い位置に設けられても出力軸の移動範囲を確保することが容易である。従って、第二ウォームと出力軸とを近づけ易くなるので、出力軸のがたつきを抑制することがより容易になる。
【0009】
また、上記アクチュエータにおいて、前記斜歯ラックが前記出力軸と前記第二ウォームとを最短で結ぶ線上に形成されることが好ましい。
【0010】
移動機構として機能する斜歯ラックが出力軸と第二ウォームとを最短で結ぶ線上に形成されることによって、斜歯ラックと第二ウォームとが歯合する作用点と出力軸との距離が近くなり、出力軸のがたつきを抑制することがより容易になる。
【0011】
また、上記アクチュエータは、回路基板を有し、前記回路基板の一方の面側に前記第一ウォームと前記第二ウォームとが配置され、前記回路基板上に配置される電子部品のうち前記第一ウォームまたは前記第二ウォームが配置される位置よりも突出して配置される電子部品が前記第二ウォームの前記出力軸とは反対側に配置されることが好ましい。
【0012】
第二ウォームが出力軸側に寄せて配置されることによってできる空間にラジアル部品のような背が高い電子部品が配置されることによって、空間が有効利用され、アクチュエータの小型化が容易になる。
【0013】
また、本発明の灯具は、上記アクチュエータと、光源を有し前記アクチュエータの前記出力軸に接続されるランプユニットと、を備えることを特徴とする。
【0014】
ランプユニットに接続されるアクチュエータの出力軸のがたつきが上述したように抑制されることによって、ランプユニットの動作の安定性が向上する。
【0015】
また、本発明の自動調心軸受機構は、軸受と、前記軸受を収容する軸受収容部と、を備え、前記軸受収容部は、前記軸受が使用されるときに保持される軸受保持空間を有し、前記軸受が外部から前記軸受保持空間に挿入されるときの前記軸受に挿通される軸の長手方向を第一軸心方向とし、前記軸受が使用されるときの前記軸受に挿通される軸の長手方向を第二軸心方向とするとき、前記第一軸心方向と前記第二軸心方向とは互いに交わる方向であり、前記軸受保持空間は、前記軸受に挿通される軸の長手方向が前記第一軸心方向から前記第二軸心方向になるように前記軸受が回転可能な空間であり、前記軸受保持空間を形成する内壁は、前記軸受が使用されるときに前記第二軸心方向への前記軸受の移動を規制することを特徴とする。
【0016】
上記自動調心軸受機構において、軸受保持空間内に保持される軸受は、少なくとも、軸受に挿通される軸の長手方向が第一軸心方向から第二軸心方向になる範囲で回転することができる。すなわち、軸受は、軸受保持空間において軸受中心周りにある程度回転することができる。従って、上記自動調心軸受機構によれば、軸受に挿入される軸の方向が予定している向きに対してある程度傾いたとしても、軸受保持空間内に保持される軸受がその軸の傾きに追従することができるので、軸の芯出しが容易である。また、軸受が挿入されるときの向きと使用されるときの向きとが異なり、軸受が使用される向きでは軸受中心軸方向への軸受の移動が規制されるので、他の部材を用いなくとも軸受の挿入及び固定が可能である。
【0017】
また、上記自動調心軸受機構において、前記軸受収容部のうち前記第一軸心方向に沿った一方側は、前記軸受が前記外部から前記軸受保持空間に到達するまでの区間において、少なくとも前記軸受に挿通される軸が通る幅で開放されていることが好ましい。
【0018】
上記のように軸受収容部の一部が開放されていることによって、軸受に軸が挿通されたままで軸受を軸受保持空間まで通すことができ、且つ、軸受に軸が挿通されたままで軸受保持空間おいて軸受の中心軸が第一軸心方向から第二軸心方向になるように軸受を回転させることができる。よって、軸受に軸が挿通された状態で当該軸を持って軸受を移動及び回転させることができるので、軸受の設置が容易になる。
【0019】
また、上記自動調心軸受機構において、前記軸受の外形は、前記軸受に挿通される軸の長手方向において中央部が両端部よりも突出した湾曲面であることが好ましい。
【0020】
軸受の外形が上記のような曲面であることによって、軸受保持空間で軸受を回転させることが容易になる。また、軸受の外形が曲面であることによって、軸受保持空間の内壁と軸受との接触面積を大きくし易くなるので、軸受の移動を規制しやすくなる。
【0021】
また、上記自動調心軸受機構において、前記第一軸心方向と前記第二軸心方向とが直交していることが好ましい。
【0022】
上記のように、軸受は、使用されるときの向きでは移動が規制される。ここで、上記のように第一軸心方向と第二軸心方向とが直交している形態とされることによって、軸受保持空間に挿入されるときの軸受の向きと軸受が使用されるときの軸受の向きとが大きく異なるため、軸受が意図せず軸受保持空間から外れることが抑制されやすくなる。
【0023】
また、本発明のアクチュエータは、上記自動調心軸受機構を有する出力部を備え、前記出力部は前記軸受に挿通されるガイドシャフトに沿って移動することを特徴とする。
【0024】
上記のように構造が簡易な自動調心軸受機構を用いることによって、動作精度が高く生産性の良いアクチュエータとすることができる。
【0025】
また、本発明の灯具は、上記アクチュエータと、光源を有し前記アクチュエータの前記出力部に接続されるランプユニットと、を備えることを特徴とする。
【0026】
上記のように動作精度が高いアクチュエータを用いることによって、ランプユニットの動作が安定する。
【0027】
また、本発明の固定部材は、回転部材を支持体に回転可能に固定する固定部材であって、前記回転部材の回転軸方向の移動を規制するように前記回転部材を保持し、前記回転部材が回転可能なように前記回転部材を保持する内周面と、前記支持体に係合する係合部が設けられる外周面と、を備えることを特徴する。
【0028】
上記固定部材は、回転部材の軸受と抜け止めとを一体の部材で兼ねる。このように回転部材の軸受と抜け止めとを一つの部材が兼ねることによって、回転部材を精度良く固定することが容易になる。
【0029】
また、上記固定部材は、前記回転部材の回転軸周りに回転させられることで前記係合部が前記支持体に係合して固定されることが好ましい。
【0030】
固定部材が回転部材の回転軸周りに回転して支持体に固定される形態とされることによって、固定部材を支持体に固定する際に回転部材の回転軸の方向がずれ難くなり、回転部材を精度良く固定することがより容易になる。
【0031】
また、本発明のアクチュエータは、出力軸を有する出力部と、前記出力軸を回転させるウォームと、を備え、前記ウォームは、固定部材によって回転軸方向の移動を規制されつつ前記出力部に回転可能に固定され、前記固定部材は、前記ウォームが回転可能なように前記ウォームを保持する内周面と、前記出力部に係合される係合部が設けられる外周面と、を有し、前記固定部材は前記係合部が前記出力部に係合して固定されることを特徴する。
【0032】
上記のような回転部材を精度良く固定できる固定部材によって回転部材であるウォームを固定することによって、当該ウォームによって駆動される出力軸の動作精度を向上させることができる。
【0033】
また、上記アクチュエータは、前記出力軸を露出させて前記出力部及び前記ウォームを収容する筐体を備え、前記出力部及び前記ウォームは前記出力軸の回転軸に直交する所定の方向に共に移動可能であり、前記固定部材は前記筐体に当接しており、前記出力部及び前記ウォームが前記所定の方向に共に移動するときに前記固定部材が前記筐体に対して摺動することが好ましい。
【0034】
出力部及びウォームが移動するときにウォームを固定する固定部材が筐体に当接して摺動することによって、ウォームの回転軸がずれることが抑制される。その結果、出力部が移動するときでも出力軸の回転の動作精度が低下することを抑制できる。
【0035】
また、本発明の灯具は、上記アクチュエータと、光源を有し前記アクチュエータの前記出力軸に接続されるランプユニットと、を備えることを特徴とする。
【0036】
ランプユニットに接続されるアクチュエータの出力軸の動作精度が上記のように高いことによって、ランプユニットの動作の安定性が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る固定部材、自動調心軸受機構、アクチュエータ及び灯具の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
図1は、本発明の実施形態に係る灯具を概略的に示す断面図である。
図2は、
図1に示す灯具のうち、ランプユニット、アクチュエータ及びブラケットを示す斜視図である。
図3は、
図2に示すランプユニット、アクチュエータ及びブラケットの分解斜視図である。なお、
図1から
図3及び以下に挙げる他の図において、図が煩雑になるのを防ぐため、参照符号を省略している場合がある。
【0040】
本実施形態の灯具1は車両用前照灯である。
図1に示すように、灯具1は、ランプユニット2とアクチュエータ20とブラケット15と筐体10とを主な構成として備える。以下の説明において、説明の便宜上、ランプユニット2からの光が出射される側を「前」、その反対側を「後」ということがある。
【0041】
<筐体10>
筐体10は、フロントカバー11とランプハウジング12とバックカバー14とを備える。筐体10の内側の空間は灯室LRとされる。ランプユニット2、ブラケット15、及びアクチュエータ20は灯室LRに収容される。
【0042】
ランプハウジング12の前方は開口しており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー11がランプハウジング12に固定されている。フロントカバー11は可視光を透過する材料で構成されている。また、ランプハウジング12の後方には前方よりも小さな開口14aが形成されている。バックカバー14はこの開口14aを塞ぐようにランプハウジング12に取り付けられている。
【0043】
<ランプユニット2>
ランプユニット2は、光源ユニット3、リフレクタ4、投影レンズ5、レンズホルダ6、シェード7、ソレノイド8、及びベースプレート9を主な構成として備える。
【0044】
光源ユニット3は、可視光発光素子3a、発光制御部3b、ヒートシンク3c、及び冷却ファン3dを主な構成として備える。本実施形態の光源ユニット3では、可視光発光素子3aは半導体発光素子とされる。可視光発光素子3aは、波長が概ね380nmから780nmの光を出射する。可視光発光素子3aに用いる半導体発光素子としては、例えばLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)やOLED(Organic Light-Emitting Diode)を挙げることができる。また、発光制御部3bは、可視光発光素子3aの発光を制御する。なお、可視光発光素子3aが半導体発光素子以外の発光素子とされても良いが、低電力化及び低発熱化等の観点から、可視光発光素子3aは上記のように半導体発光素子であることが好ましい。
【0045】
ヒートシンク3cの一方の面側には、配線基板等を介して、可視光発光素子3a及び発光制御部3bが搭載される。また、ヒートシンク3cの他方の面側には放熱フィンが一体に設けられている。ヒートシンク3cの放熱フィンが備えられる側には、冷却ファン3dが取付けられている。可視光発光素子3a及び発光制御部3bが発する熱はヒートシンク3cへと伝わり、ヒートシンク3cが冷却ファン3dによって冷却されることにより、効率良く光源ユニット3から熱が放出される。
【0046】
リフレクタ4は曲面状の板材から成る。リフレクタ4は、可視光発光素子3aに被さるようにして光源ユニット3に固定される。リフレクタ4の可視光発光素子3aと対向する面は反射面4aとされる。具体的には、反射面4aは回転楕円曲面を基調としており、当該楕円曲面の第1焦点及び第2焦点のうち第1焦点位置或いはその近傍の位置に可視光発光素子3aが配置される。可視光発光素子3aが出射する光の少なくとも一部は反射面4aによって投影レンズ5側へ反射される。
【0047】
投影レンズ5は非球面平凸レンズであり、可視光発光素子3aからの光が入射する側の面である入射面5bは平面状とされ、当該光が出射する側の面である出射面5aは当該光の出射方向に膨らむ凸面状とされる。また、投影レンズ5の外周にはフランジ5cが形成されている。また、投影レンズ5は、その後方焦点が上記リフレクタ4の反射面4aの第2焦点或いはその近傍に位置するよう配置されている。つまり、本実施形態のランプユニット2では、PES(Projector Ellipsoid System)光学系とされている。
【0048】
レンズホルダ6は投影レンズ5を保持する部材である。投影レンズ5は、上記フランジ5cがレンズホルダ6の一端に溶着されることで、レンズホルダ6に固定される。レンズホルダ6の投影レンズ5側と反対側の端部は、ねじ6a等により光源ユニット3に固定される。
【0049】
ベースプレート9は、板状部材であり、レンズホルダ6と光源ユニット3との間において、ねじ9a等により光源ユニット3に固定される。また、ベースプレート9には可視光発光素子3aから出射してリフレクタ4で反射される光が通る開口が形成されている。可視光発光素子3aから出射する光はこの開口を通り、投影レンズ5に入射する。
【0050】
ベースプレート9のうちアクチュエータ20が配置される側には、ランプユニット2とアクチュエータ20との接続に供される接続用凸部2bが設けられる。また、ベースプレート9のうち接続用凸部2bが設けられる側とは反対側には、ランプユニット2とブラケット15との接続に供される被支持凸部2aが設けられる。被支持凸部2aは、ベースプレート9側に向かって凸の椀状の曲面を有している。接続用凸部2bはアクチュエータ20が配置される側に開口を有する有底筒状である。
【0051】
シェード7は、可視光発光素子3aからの光の一部を遮る部材である。シェード7は、投影レンズ5と可視光発光素子3aとの間に設けられ、ベースプレート9に固定されている。可視光発光素子3aが発する光はリフレクタ4で反射され、当該光の一部はシェード7に照射される。シェード7に照射される光のうち一部はシェード7によって遮蔽されて投影レンズ5に入射せず、他の一部はシェード7によって反射されて投影レンズ5に入射する。こうして、シェード7により可視光発光素子3aからの光が制御されて投影レンズ5に入射するので、投影レンズ5から出射する光が所望の配光パターンとされる。また、本実施形態のシェード7は、回転軸7aを中心に回転可能に構成されており、ソレノイド8からの動力によって回転する。このようにシェード7を動かせることによって、シェード7の回転度合いに応じて配光パターンを変化させることができる。
【0052】
<ブラケット15>
ブラケット15は、ランプユニット2とアクチュエータ20との間に配置されてランプユニット2に対向する面とアクチュエータ20に対向する面とを有する板状の取付板16と、取付板16に連続して形成され、正面視においてランプユニット2を囲う枠状の枠部17と、を有する。
【0053】
取付板16は、ランプユニット2側からアクチュエータ20側まで貫通した貫通孔16aを有する。貫通孔16aにはランプユニット2の接続用凸部2bが通される。貫通孔16aは、接続用凸部2bを通すことができる幅を有するとともに、接続用凸部2bが前後方向に動けるように前後方向に所定の長さを有する。また、取付板16は、
図1に示すように、後端からアクチュエータ20が配置される側に延びる支持片16bを有する。支持片16bには厚さ方向に貫通する貫通孔15aが形成されている。貫通孔15aは、アクチュエータ20のブラケット15への取り付けに供される。
【0054】
枠部17のうち貫通孔16aと対向する位置には、被支持凸部2aの上記曲面に対応する曲面を有する溝17aが形成される。溝17aには、被支持凸部2aの曲面及び溝17aの曲面に対応した形状の摺動部材18aを介して、被支持凸部2aが嵌められる。そして、被支持凸部2aを覆うようにして押さえ部材18bが枠部17に固定されることによって、ランプユニット2とブラケット15とが接続される。ランプユニット2は、被支持凸部2aと接続用凸部2bとを結ぶ直線上の回転軸周りに所定の範囲で回転可能であると共に、当該回転軸に直交する前後方向に所定の範囲で振り子のように動けるように、ブラケット15に支持される。
【0055】
<アクチュエータ20>
図4は、アクチュエータ20から後述する第一蓋部材94を省略した平面図である。
図5は、アクチュエータ20の分解斜視図である。
図6は、
図5に表れている部材のうち一部を拡大して示す分解斜視図である。
図7は、収容部材35及び固定部材45のみを示す分解斜視図である。
図8は、
図7とは異なる方向から見る、収容部材35及び固定部材45のみを示す分解斜視図である。
【0056】
アクチュエータ20は、出力軸33を有する出力部30と、出力軸33に垂直な面に沿って延在する第一ウォーム40及び第二ウォーム50と、第一ウォーム40に駆動力を伝達する第一駆動機構60と、第二ウォーム50に駆動力を伝達する第二駆動機構70と、回路基板80と、これらを収容する筐体90と、を主な構成として備える。
【0057】
(出力部30)
出力部30は、出力軸部材31と出力軸部材31に重ねられる収容部材35とを備える。
【0058】
出力軸部材31は、
図6に示すように、円盤状のベース部32と、ベース部32の中央から一方の面側に突出する出力軸33と、ベース部32の外縁の一部から出力軸33が突出する側とは反対側に延びる垂下片32aと、垂下片32aからベース部32の径方向と平行に外側に突出して設けられるギア部34と、を有する。
【0059】
ギア部34は、外縁が円弧状に形成されており、当該外縁に斜歯歯車34aを有する。斜歯歯車34aは、第一ウォーム40に歯合して出力軸33を所定の回転軸33aの周りに回転させる回転機構として機能する。斜歯歯車34aは、回転軸33aを中心する円弧に沿う面に形成される斜歯歯車である。
【0060】
出力軸33は、ランプユニット2の接続用凸部2bに接続される部位である。出力軸33は、ベース部32側が開口した中空部を有する有底筒状の部位である。また、出力軸33は、外周面から外側に突出するように一対の連結凸部33bを有する。一対の連結凸部33bは、回転軸33aに直交する一直線上に形成されている。出力軸33は接続用凸部2bの中空部に挿入され、一対の連結凸部33bは、接続用凸部2bの図示されていない内周面の凹部にそれぞれ係合される。このように出力軸33と接続用凸部2bとが接続されることによってランプユニット2は出力軸33に追従して回転又は移動する。
【0061】
収容部材35は、
図7に示すように、挿入凸部36と、ギア収容部37と、ギア収容部37に隣接して設けられるウォーム収容部38と、挿入凸部36のギア収容部37が設けられる側とは反対側の外側に形成される斜歯ラック39と、を有する。
【0062】
挿入凸部36は、出力軸33の上記中空部に挿入される部位である。挿入凸部36は、出力軸33の中空部の内径よりやや小さい外径の略円筒状である。挿入凸部36が出力軸33の中空部に挿入されることにより、出力軸33は、収容部材35に対して相対的に回転軸33a周りに回転可能であるが、回転軸33aに直交する方向への収容部材35に対する相対的な移動は規制される。すなわち、出力軸33は、収容部材35に対して相対的に回転軸33a周りに回転可能であるが、収容部材35が回転軸33aに直交する方向へ移動するときは出力軸33も共に移動する。
【0063】
ギア収容部37は、出力軸部材31が重ねられる側に開口を有し、ギア部34が収容される凹部である。ギア部34は当該開口からギア収容部37に収容される。また、ギア収容部37は、出力軸33の回転方向に互いに離間して形成される突き当て壁37a,37bを有している。突き当て壁37aは
図4及び
図6に示しており、突き当て壁37bが形成される位置は
図4に点線で示している。突き当て壁37a,37bは、それぞれギア部34のうち出力軸33の回転方向の端面34b,34cに対向する向きに形成されている。出力軸33の収容部材35に対する相対的な回転軸33a周りの回転は、ギア部34のうち出力軸33の回転方向の一方の端面34bが突き当て壁37aに突き当たる位置から、ギア部34のうち出力軸33の回転方向の他方の端面34cが突き当て壁37bに突き当たる位置までの範囲で、可能である。また、ギア収容部37のうち突き当て壁37b側の端部には、ギア収容部37の上記開口の一部を塞ぐ蓋部37cが形成されている。平面視においてギア部34が蓋部37cに重なる位置にあるときは、ギア部34がギア収容部37から抜け出すことが抑制される。例えば、回転軸33aの初期位置を検出するために一旦限界まで回転軸33aを回転させる場合、ギア部34が突き当て壁37bに強く押し当てられると、ギア収容部37から抜け出す方向の力がギア部34に働く虞がある。しかし、蓋部37cが設けられることによって、ギア部34がギア収容部37側に押さえられ、ギア部34がギア収容部37から抜け出すことが抑制される。
【0064】
ウォーム収容部38は、第一ウォーム40が収容される部位であり、略円筒状に形成されている。ただし、
図7に示すように、ウォーム収容部38のうちギア収容部37が設けられる側は開口38aが形成されている。ウォーム収容部38に収容される第一ウォーム40の一部は、開口38aからギア収容部37側に露出する。このように第一ウォーム40がギア収容部37側に露出することによって、第一ウォーム40と斜歯歯車34aとが歯合できる。
【0065】
また、ウォーム収容部38のうち第一ウォーム40が挿入される入口側には、
図7に表れている貫通孔38dと
図8に表れている貫通孔38eとが形成されている。貫通孔38d及び貫通孔38eは、ウォーム収容部38の内周面側に形成される凹部であっても良い。
【0066】
さらに、ウォーム収容部38の入口側には、
図7に示すように、固定部材45を配置できるように固定部38bが設けられている。固定部材45は、第一ウォーム40を収容部材35に固定する部材である。固定部38bは、ウォーム収容部38の固定部38b側の端部に連続して形成される片38baと片38bbとによって形成される。片38baと片38bbとは対向して設けられ、それぞれウォーム収容部38の端部からのウォーム収容部38の長手方向に平行な方向に延びるように形成される。また、片38baと片38bbとの一方の端部同士の間には隙間38bcが形成されており、片38baと片38bbの他方の端部同士の間には隙間38bdが形成されている。片38bbのウォーム収容部38側の位置には、隙間38bc側に開放された溝38beが形成されている。また、溝38beのウォーム収容部38とは反対側には、片38ba側に突出する凸部38bfが形成されている。片38baのうち隙間38bd側のウォーム収容部38とは反対側には、片38bb側に突出する凸部38bgが形成されている。凸部38bgとウォーム収容部38の端部とで切り込み38bhが形成されている。
【0067】
また、ウォーム収容部38のうち固定部38bが設けられる側とは反対側には、
図8に表れているように、開口38cが形成されている。第一ウォーム40がウォーム収容部38に収容されるとき、第一ウォーム40の端部は開口38cから露出する。
【0068】
図7に示すように、斜歯ラック39は、出力部30のうち第二ウォーム50と対向する面に形成されて第二ウォーム50と歯合する斜歯ラックである。より具体的には、斜歯ラック39は、収容部材35のうち第二ウォーム50に対向して第二ウォーム50の長手方向と平行である面上に形成される。斜歯ラック39と第二ウォーム50とが歯合することにより、第二ウォーム50の回転に応じて、回転軸33aに直交する方向に出力部30を移動させることができる。すなわち、斜歯ラック39は、第二ウォーム50に歯合して出力軸33を回転軸33aに直交する方向に移動させる移動機構として機能する。
【0069】
また、本実施形態のアクチュエータ20では、斜歯ラック39が出力軸33と第二ウォーム50とを最短で結ぶ線上に形成される。移動機構として機能する斜歯ラック39が出力軸33と第二ウォーム50とを最短で結ぶ線上に形成されることによって、第二ウォーム50と斜歯ラック39とが歯合する作用点と出力軸33との距離が近くなり、第二ウォーム50から出力軸33に適切に力が伝わりやすくなる。
【0070】
上記のような回転軸33aに直交する方向への出力軸33の移動をスムーズに行うために、収容部材35は、長手方向が回転軸33aに直交する方向となるように配置される棒状のガイドシャフト100に案内されて移動する。収容部材35は、ガイドシャフト100の軸受が配置される軸受収容部35a,35bを有する。軸受収容部35a,35bは、収容部材35の移動方向、すなわちガイドシャフト100の長手方向に離間して設けられる。
【0071】
軸受収容部35aには、ガイドシャフト100の軸受となる軸受101が配置される。軸受101の外径は軸受収容部35aの内径と略同じ大きさであり、軸受101は、例えば圧入によって軸受収容部35aに固定される。
【0072】
軸受収容部35bには、ガイドシャフト100の軸受となる軸受102が配置される。ここで、
図7から
図10(B)を参照しながら、軸受収容部35bについて説明する。
図9は、
図7に矢印IXで示す方向から軸受収容部35bを見る概略図である。
図10(A)は、
図7に示すA−Aでの矢視断面を概略的に示す図において、軸受102が使用されるときの軸受102及びガイドシャフト100を破線で示す図である。
図10(B)は、
図7に示すB−Bでの矢視断面を概略的に示す図において、軸受102が使用されるときの軸受102及びガイドシャフト100を破線で示す図である。なお、「軸受102が使用されるとき」とは、ガイドシャフト100が軸受101及び軸受102に挿通されて収容部材35がガイドシャフト100に沿って移動可能な状態のときを意味する。
【0073】
軸受収容部35bは、対向する一対の片35da,35dbと、当該一対の片35da,35dbの一方の端部を結ぶ片35dcと、一対の片35da,35dbの他方の端部を結ぶ片35ddと、を有する。
【0074】
片35da、片35db、及び片35ddの内側の面によって、軸受収容部35a側に凸となり、壁面が窪んでいる曲面状の内壁35eが形成されている。また、片35dcの内側の面には、曲面状の窪み35fが形成されている。内壁35e及び窪み35fは軸受102の外周面に合わせた曲面を有している。
図10(A)及び
図10(B)に示すように、軸受102が使用されるとき、内壁35e及び窪み35fは軸受102に当接する。このように、軸受102が使用されるとき、軸受102は内壁35e及び窪み35fによって囲まれる軸受保持空間35c内に保持される。軸受102が使用されるとき、内壁35eは軸受102の外周面のうちガイドシャフト100の長手方向の一方の側に当接し、窪み35fは他方の側に当接するので、軸受102はガイドシャフト100の長手方向への移動が規制される。また、内壁35e及び窪み35fが軸受102に外周面に合わせた曲面状に形成されていることから、軸受保持空間35cにおいて、軸受102は回転することができる。
【0075】
また、内壁35eのうち軸受収容部35a側には開口35gが形成されている。開口35fにはガイドシャフト100が通される。
【0076】
また、軸受収容部35bのうち軸受102が挿入される入口側において、
図7に特によく表れているように、片35daと片35ddとの間の片35ddの入口側端部は開放されており、さらに、片35ddの入口側端部には溝35hが形成されている。
【0077】
また、軸受収容部35bを軸受102が挿入される入口側から見て、対向する一対の片35daと片35dbとの間隔は軸受102の外径よりも大きい。一方、同様に軸受収容部35bを軸受102が挿入される入口側から見て、片35dcと片35ddとの間隔は、軸受102の外径よりも小さい。
【0078】
次に、このような軸受収容部35bに軸受102を配置する方法について、
図11(A)から
図11(D)を参照しつつ説明する。
図11(A)から
図11(D)は、軸受102の配置過程を説明する図である。
図11(A)及び
図11(B)は、それぞれ軸受102を軸受保持空間35cに配置する前の様子を示しており、
図11(C)及び
図11(D)は、それぞれ軸受102が軸受保持空間35cに配置されるときの様子を示している。また、
図11(A)及び
図11(C)は
図10(A)と同じ場所を示す図であり、
図11(B)及び
図11(D)は、
図10(B)と同じ場所を示す図である。
【0079】
上述したように、軸受収容部35bのうち軸受102が挿入される入口側において、片35daと片35dbとの間隔は軸受102の外径よりも大きく、片35dcと片35ddとの間隔は軸受102の外径よりも小さい。よって、軸受102が所定の向きでなければ、軸受102を軸受保持空間35cへと通すことができない。この所定の向きは、軸受102が使用されるときの向きとは異なる向きである。
【0080】
ここで、軸受保持空間35cへと通すことができるときの軸受102に挿通されるガイドシャフト100の長手方向を第一軸心方向yとし、
図11(A)に一点鎖線で示す。また、軸受102が使用されるときの軸受102に挿通されるガイドシャフト100の長手方向を第二軸心方向xとし、
図11(C)に一点鎖線で示す。第一軸心方向yと第二軸心方向xとは、互いに交わる方向である。
【0081】
図11(A)及び
図11(B)に示すように、まずは軸受102に挿通されるガイドシャフト100の長手方向が第一軸心方向yとなるようにして、外部から軸受保持空間35cに向けて軸受102を挿入する。本実施形態において、第一軸心方向yは回転軸33aと平行であり、軸受保持空間35cへと通すことができるときの軸受102の移動方向は第一軸心方向yと直交する方向である。ただし、軸受保持空間35cへと通すことができるときの軸受102の移動方向は第一軸心方向yと交わる方向であれば良い。そして、軸受102が軸受保持空間35cに達すると、
図11(C)及び
図11(D)に示すように、軸受102に挿通されるガイドシャフト100の長手方向が第一軸心方向yから第二軸心方向xになるように、軸受102を回転させる。このようにして、軸受102を軸受保持空間35cに配置することができる。
【0082】
上記特許文献1のアクチュエータでは、出力軸をスムーズに移動させるために、出力軸をガイドシャフトに沿わせて移動させている。このガイドシャフトは、筐体に設けられる凹部に固定されている。しかし、当該筐体の構成部材は主に樹脂成型品であるため、当該部材の作製に用いる金型の誤差や温度変化等によって軸受の設置位置にずれが生じる場合があり、軸の芯出し精度の向上が求められている。
【0083】
本実施形態では、軸受保持空間35c内に保持される軸受102は、少なくとも、軸受102に挿通されるガイドシャフト100の長手方向が第一軸心方向yから第二軸心方向xになる範囲で回転することができる。すなわち、上記軸受102及び軸受保持空間35cによれば、軸受102は軸受保持空間35cにおいて軸受中心周りに回転することができる。従って、軸受102に挿入されるガイドシャフト100の方向が予定されている向きに対してある程度傾いたとしても、軸受保持空間35c内に保持される軸受102がその軸の傾きに追従することができるので、ガイドシャフト100の芯出しが容易である。すなわち、軸受102と軸受収容空間35cとによって、自動的にガイドシャフト100の芯出しが可能な自動調心軸受機構が構成される。当該自動調心軸受機構によれば、例えば、出力部30を構成する部材の作製に用いる金型の誤差や温度変化による構成部材の体積変化が生じてもガイドシャフト100をそれらの誤差や変化に追従させることができる。また、軸受102が挿入されるときの向きと使用されるときの向きとが異なり、軸受102が使用されるときの向きでは軸受中心軸方向への軸受102の移動が規制されるので、他に軸受102を固定するための部材等がなくとも軸受102の挿入及び固定が可能である。
【0084】
このような軸受102及び軸受保持空間35cを含む自動調心軸受機構において、第一軸心方向yに沿った一方側は、軸受102が外部から軸受保持空間35cに到達するまでの区間、すなわち
図10(A)に示す区間D1において、少なくとも軸受102に挿通されるガイドシャフト100が通る幅で開放されていることが好ましい。本実施形態の軸受収容部35bでは、
図7を用いて説明したように、入口側において片35daと片35dbとの間が一部開放されるとともに溝35hが形成されることによって、上記区間D1において、第一軸心方向yに沿った一方側がガイドシャフト100が通る幅で開放されている。このように軸受収容部35bの一部が開放されていることによって、
図11(A)及び
図11(D)に示すように、軸受102にガイドシャフト100を挿通させたままで軸受102を軸受保持空間35cに挿入することができ、且つ、軸受102にガイドシャフト100を挿通させたままで軸受保持空間35cおいて軸受102の中心軸が第一軸心方向yから第二軸心方向xになるように軸受102を回転させることができる。よって、軸受102にガイドシャフト100を挿通させた状態で当該ガイドシャフト100を持って軸受102を移動及び回転させることができるので、軸受102の設置が容易になる。
【0085】
また、上記自動調心軸受機構において、軸受102の外形は、
図11(A)及び
図11(D)に示すように、軸受102に挿通されるガイドシャフト100の長手方向において中央部が両端部よりも突出した湾曲面であることが好ましい。軸受102の外形が上記のような曲面であることによって、軸受保持空間35cで軸受102を回転させることが容易になる。また、軸受102の外形が曲面であることによって、軸受保持空間35cを形成する内壁35eや窪み35fと軸受102との接触面積を大きくすることが容易になるので、軸受102の移動を規制することが容易になる。
【0086】
また、第一軸心方向yと第二軸心方向xとは互いに直交していることが好ましい。このように第一軸心方向yと第二軸心方向xとの向きが互いに大きく異なることによって、軸受102が意図せず軸受保持空間35cから外れることを抑制しやすくなる。
【0087】
本実施形態のアクチュエータ20は上記自動調心軸受機構を有する出力部30を備え、出力部30は軸受102に挿通されるガイドシャフト100に沿って移動する。このようなアクチュエータ20は、上記のように構造が簡易な自動調心軸受機構を用いており、動作精度が高く生産性の良いアクチュエータとされる。
【0088】
(第一ウォーム40)
図6に示すように、第一ウォーム40は外周に歯車42を有する。第一ウォーム40は、長手方向に沿った回転軸の周りに回転する棒状の回転部材である。また、第一ウォーム40の長手方向の一方の端部には周方向に沿った溝43が形成されている。溝43には、第一ウォーム40を収容部材35に固定するための固定部材45が嵌められる。さらに、第一ウォーム40は、溝43が形成される側とは反対側の端部が開口した中空状とされ、第一ウォーム40の回転軸に沿って歯車42に囲まれるように不図示の中空部を有する。
【0089】
固定部材45は、第一ウォーム40を回転可能に収容部材35に固定する固定部材である。収容部材35は、固定部材45を介して第一ウォーム40を支持する支持体である。固定部材45は、厚さ方向に貫通する貫通孔45bを有すると共に外形が概ね円形である。ただし、一部が切り欠かれることによって外周面と貫通孔45bを形成する内周面とが繋がっている。固定部材45は弾性を有しており、固定部材45が第一ウォーム40の溝43に嵌められるとき、当該切り欠かれた部分45cが広げられて、第一ウォーム40が貫通孔45bに挿入される。
【0090】
また、固定部材45は、第一ウォーム40が回転可能なように第一ウォーム40を保持する内周面と、複数の突起が設けられる外周面と、を有する。固定部材45の外周面の形状について、
図7及び
図8を参照しつつ説明する。
【0091】
固定部材45のうちウォーム収容部38側となる部分の外径はウォーム収容部38の内径より細く形成されており、当該部分がウォーム収容部38に挿入される。固定部材45のウォーム収容部38に挿入される部分のうち外周面の互いに対向する位置には凸部45d,45eが形成されている。凸部45d,45eは、ウォーム収容部38の貫通孔38d,38eに対応する位置に設けられている。なお、ウォーム収容部38の入口側の内周面は、45d,45eを貫通孔38d,38eまで導けるように図示していない溝が形成されている。また、固定部材45のうちウォーム収容部38に挿入されずに固定部38bに配置される部分の外周面には、ウォーム収容部38側となる位置に2つの凸部45g,45hが形成されている。凸部45gは切り込み38bdに嵌まるように形成されており、凸部45hは溝38beに嵌まるように形成されている。また、凸部45hのウォーム収容部38とは反対側に隣り合う位置には、
図6に示すようにラッチ45iが形成されている。さらに、固定部材45の外周面には凹部45j,45kが設けられている。凹部45j,45kは、固定部材45を収容部材35に固定する際及び固定部材45が収容部材35に固定されているときに隙間38bc、38bdにおいて露出する。このように露出する凹部45j,45kが設けられることによって、凹部45j,45kに力を加えて固定部材45を回転させやすくなるため、固定部材45の固定及び取り外しが容易になる。
【0092】
固定部材45を収容部材35に固定する際には、凸部45gが隙間38bdに位置し、且つ、凸部45hが隙間38bcに位置するように固定部材45をウォーム収容部38側に押し付ける。その後、固定部材45を回転させることによって、凸部45dは貫通孔38dに、凸部45eは貫通孔38eに、凸部45gは切り込み38bhに、凸部45hは溝38beに、ラッチ45iは凸部38bfに、それぞれ嵌められ、固定部材45が収容部材35に固定される。
【0093】
なお、
図7及び
図8では第一ウォーム40を省略しているが、固定部材45は第一ウォーム40の溝43に嵌められた状態で第一ウォーム40と共にウォーム収容部38に挿入され、第一ウォーム40の回転軸周りに固定部材45を回転させることで上記のように固定部材45が収容部材35に固定される。固定部材45は、収容部材35に一旦固定されると第一ウォーム40が回転しても固定部材45は回転しない程度の力で、収容部材35に固定される。このように、固定部材45は、第一ウォーム40の溝43に嵌められると共に収容部材35に固定されることによって、第一ウォーム40が回転軸方向に移動することを規制するように第一ウォーム40を保持する。
【0094】
上記のように、固定部材45は、第一ウォーム40の軸受と抜け止めとを兼ねる。この第一ウォーム40や以下に詳述する他のウォームは、出力軸33に駆動力を伝える重要や役割を担うため、精度良く固定されている必要がある。固定部材45が第一ウォーム40の軸受と抜け止めとを兼ねることによって、第一ウォーム40を精度良く収容部材35に固定することが容易になる。このように第一ウォーム40が精度良く固定されることによって、第一ウォーム40から出力部30へと適切に力が加わりやすくなり、出力軸33の回転の動作精度を向上させることができる。また、固定部材45を収容部材35に固定する際に固定部材45を第一ウォーム40の回転軸周りに回転させる形態とされることによって、固定部材45を収容部材35に固定する際に第一ウォーム40の回転軸の位置がずれ難くなり、第一ウォーム40をより精度良く固定することができる。
【0095】
(第一駆動機構60)
図5に示すように、第一駆動機構60は、軸部材61と伝達ギア62とモータ63とを有する。
【0096】
図6に示すように、軸部材61は、長手方向に沿った回転軸の周りに回転する棒状の回転部材である。軸部材61は、上述した第一ウォーム40の中空部に挿入される軸部61aと、軸部61aの第一ウォーム40に挿入される側とは反対側に設けられるはすば歯車部61cと、はすば歯車部61cの軸部61aとは反対側に形成される周方向に沿った溝61dと、を有する。溝61dには、軸部材61を筐体90に固定するための固定部材64が嵌められる。
【0097】
軸部61aは、長手方向に沿った複数の突起部61bを外周に有している。また、第一ウォーム40の中空部は、複数の突起部61bに係合する長手方向に沿った溝を有している。軸部61aは第一ウォーム40の中空部内を長手方向に移動可能とされ、軸部材61と第一ウォーム40とは相対的に長手方向に移動可能とされる。また、軸部61aが第一ウォーム40の中空部に挿入された状態で、軸部61aのそれぞれの突起部61bが第一ウォーム40の中空部内のそれぞれの溝に嵌まり、軸部61aと第一ウォーム40との相対的な回転が規制される。従って、軸部材61は第一ウォーム40と共に長手方向に平行な回転軸周りに回転可能である。このため、はすば歯車部61cの回転軸は、第一ウォーム40の回転軸と方向が同じとなる。
【0098】
固定部材64は、軸部材61を回転可能に支持体である筐体90に固定する固定部材である。固定部材64は、厚さ方向に貫通する貫通孔64bを有すると共に外形が概ね四角形である。ただし、一部が切り欠かれることによって外周面と貫通孔64bを形成する内周面とが繋がっている。固定部材64は弾性を有しており、固定部材64を軸部材61の溝61dに嵌めるとき、当該切り欠かれた部分64cが広げられて軸部材61が貫通孔64bに挿入される。また、固定部材64は、軸部材61が回転可能なように軸部材61を保持する内周面と、外形の四角形のうち欠かれた部分64cに対向する一辺に沿って形成される厚さ方向に突出する突起64aと、を有している。固定部材64は、軸部材61の溝61dに嵌められた状態で筐体90に固定される。このように、固定部材64は、軸部材61の溝61dに嵌められると共に筐体90に固定されることによって、軸部材61が回転軸方向に移動することを規制するように軸部材61を保持する。
【0099】
上記のように、固定部材64は、軸部材61の軸受と抜け止めとを兼ねる。固定部材64が軸部材61の軸受と抜け止めとを兼ねることによって、軸部材61を精度良く筐体90に固定することが容易になる。このように軸部材61が精度良く固定されることによって、軸部材61から第一ウォーム40へと適切に力が加わりやすくなり、出力軸33の動作精度を向上させることができる。
【0100】
図5に示すように、モータ63は、コイルを有するコアアッセンブリ63aと、コアアッセンブリ63aの中心に配置される軸受63bと、コアアッセンブリ63aを覆うロータ部材63cと、を有する。ロータ部材63cは、コアアッセンブリ63aの外周を覆うように配置される円筒状の磁石63dと、磁石63dの一方の端部を覆うように配置される蓋部材63eと、蓋部材63eに固定されて軸受63bに挿通される軸63fと、を有する。また、蓋部材63eのコアアッセンブリ63aが配置される側とは反対側には、回転軸が軸63fと一致する平歯車63gが設けられる。
【0101】
伝達ギア62は、平歯車62aと、平歯車62aの中心からの一方の面側に突出して設けられ、平歯車62aと回転軸の方向が一致するウォーム62bと、を有し、中心に回転軸に沿った貫通孔を有する。伝達ギア62は、平歯車62aがロータ部材63cの平歯車63gと歯合し、ウォーム62bが軸部材61のはすば歯車部61cと歯合するように配置される。
【0102】
(第二ウォーム50)
第二ウォーム50は、長手方向に沿った回転軸の周りに回転する棒状の回転部材である。
図5に示すように、第二ウォーム50は外周に歯車52を有する。また、第二ウォーム50の長手方向の一方の端部には周方向に沿った溝53が形成されている。溝53には、第二ウォーム50を筐体90に固定するための固定部材55が嵌められる。さらに、第二ウォーム50は、第一ウォーム40と同様に中空部を有する。
【0103】
固定部材55は、支持体である筐体90に第二ウォーム50を回転可能に固定する固定部材である。固定部材55は固定部材64と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。固定部材55は、第二ウォーム50の軸受と抜け止めとを兼ねる。固定部材55が第二ウォーム50の軸受と抜け止めとを兼ねることによって、第二ウォーム50を精度良く筐体90に固定することが容易になる。このように第二ウォーム50が精度良く固定されることによって、第二ウォーム50から出力部30へと適切に力が加わりやすくなり、出力軸33の動作精度を向上させることができる。
【0104】
(第二駆動機構70)
図5に示すように、第二駆動機構70は、軸部材71と伝達ギア72とモータ73とを有する。
【0105】
軸部材71は、長手方向に沿った回転軸の周りに回転する棒状の回転部材であり、軸部材61と同様の構成である。軸部材71の軸部は第二ウォーム50の中空部に挿入され、軸部材71は第二ウォーム50と共に長手方向に平行な回転軸周りに回転可能である。また、軸部材71は第二ウォーム50と回転軸の方向が同じとなるウォーム部を有する。さらに、軸部材71は、固定部材74によって筐体90に固定される。
【0106】
固定部材74は、支持体である筐体90に軸部材71を回転可能に固定する固定部材である。固定部材74は固定部材64と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。固定部材74は、軸部材71の軸受と抜け止めとを兼ねる。固定部材74が軸部材71の軸受と抜け止めとを兼ねることによって、軸部材71を精度良く筐体90に固定することが容易になる。このように軸部材71が精度良く固定されることによって、軸部材71から第二ウォーム50へと適切に力が加わりやすくなり、出力軸33の動作精度を向上させることができる。
【0107】
モータ73はモータ63と同様の構成であり、モータ73はコアアッセンブリ、軸受及びロータ部材を有し、当該ロータ部材は平歯車を有する。
【0108】
伝達ギア72は、伝達ギア62と同様の構成であり、平歯車及びウォームを有する。当該平歯車はモータ73の平歯車と歯合し、当該ウォームは軸部材71のウォーム部と歯合する。
【0109】
(回路基板80)
回路基板80上には、図示しない所定のパターンの回路が形成され、電子部品81,82,83及びコネクタ84等が搭載される。電子部品81,82,83は、回路基板80上に配置される電子部品の中では大きな部品である。電子部品81,82,83は、例えばラジアル部品とされ、電子部品81及び電子部品82は例えばコンデンサであり、電子部品83は例えばコイルである。コネクタ84は、回路基板80上において前方の中央部に配置される。
【0110】
(筐体90)
図12は筐体90の分解斜視図である。
図13は、
図12とは異なる方向から見る筐体90の分解斜視図である。筐体90は、筐体本体91と筐体本体91の一方の側に配置される第一蓋部材94と筐体本体91の他方の側に配置される第二蓋部材95とを備える。筐体本体91は、中板部92と中板部92の外周を囲む枠部93とを有する。枠部93は、中板部92の第一蓋部材94側及び第二蓋部材95側に延びるように設けられる。第一蓋部材94は、中板部92の一方の面と枠部93の内周面とで形成される空間を覆い、第二蓋部材95は、中板部92の他方の面と枠部93の内周面とで形成される空間を覆う。
【0111】
中板部92は外形が概ね長方形の板状であり、当該長方形の一対の長辺のうち一方の長辺の両端に位置する角部は丸められており、他方の長辺の両端に位置する角部は切り欠かれている。また、切り欠かれている角部のうち一方の角部近傍は、第一蓋部材94側に突出する凸部92cが形成されている。凸部92cが形成されている部分では中板部92と第一蓋部材94との間が狭くなり中板部92と第二蓋部材95との間が広くなる。
【0112】
枠部93は上記のような形状の中板部92の外周を囲うように形成される。そして、枠部93のうち中板部92の切り欠かれた角部を囲う部分には、外側に突出する一対の被取付片91aが設けられる。一対の被取付片91aは、厚さ方向に貫通する貫通孔を有している。また、枠部93のうちコネクタ84と重なる位置にはコネクタ84を覆うように外側に突出するコネクタカバー部93aが設けられる。また、枠部93のうちコネクタカバー部93aが設けられる側とは反対側には、外側に突出する外形が樽状の樽状凸部93bが形成される。枠部93の外周面のうち被取付片91a、コネクタカバー部93a、及び樽状凸部93bが形成されていない部分には、中板部92の周方向において互いに離隔して複数の係止凸部93cが設けられる。また、枠部93の内周面のうち第二蓋部材95側には、中板部92の周方向において互いに離隔して複数の凹部93dが形成されている。
【0113】
第一蓋部材94は、筐体本体91の一方の大部分を覆う板状の蓋本体部94aを有する。第一蓋部材94を筐体本体91に被せたときの平面視において、第一蓋部材94のうち枠部93に形成される複数の係止凸部93cに重なる位置には、蓋本体部94aの外周から枠部93に重なるように延びる複数の係止片94cが設けられる。複数の係止片94cはそれぞれ孔を有しており、それぞれの係止片94cの当該孔に係止凸部93cが係止され、第一蓋部材94が筐体本体91に固定される。
【0114】
また、蓋本体部94aには、略中央部に厚さ方向に貫通する貫通孔94bが形成されている。貫通孔94bには出力軸33が挿入される。従って、筐体90は出力軸33を露出させて出力部30等を収容する。貫通孔94bは、出力軸33を挿入可能な幅と、出力軸33が上述したように移動することを許容できる長さを有する。
【0115】
また、第一蓋部材94は、被取付片91a,91aと重なる位置に、被取付片94d,94dを有する。被取付片94d,94dは厚さ方向に貫通する貫通孔を有しており、当該貫通孔は被取付片91a,91aの貫通孔と重なる。
【0116】
第二蓋部材95は、回路基板80と概ね同じ外形を有している。第二蓋部材95の筐体本体91側の面の外縁部には、枠部93の内周と重なる外周を有する凸部95aが連続的に設けられている。この凸部95aに設けられる爪95bが枠部93の内周面に設けられる凹部93dに嵌められることによって、第二蓋部材95が筐体本体91に固定される。
【0117】
次に、筐体90内における各部材の配置について説明する。
【0118】
筐体本体91と第一蓋部材94との間には、出力部30、第一ウォーム40、第二ウォーム50、第一駆動機構60及び第二駆動機構70等が配置される。具体的には下記の通りである。
【0119】
図12に示すように、中板部92の第一蓋部材94側の面の中央から凸部92c側に寄った位置において、前後方向に一直線に並んで支持突起111、112、113が設けられている。支持突起111はコネクタカバー部93aが設けられる側に設けられ、支持突起113は樽状凸部93bが設けられる側に設けられ、支持突起112は支持突起111と支持突起113との間に設けられる。
【0120】
支持突起113は、固定部材74の外形に合わせた溝を有している。固定部材74の支持突起113への固定方法を説明するため、
図14に固定部材74及び支持突起113のみの分解斜視図を示す。
図14に示すように、支持突起113に形成される溝のうち固定部材74の凸部74aが挿入される位置には、凸部74aの形状に対応して支持突起113の厚さ方向の内側に突出する一対の支持部113aが形成されている。この一対の支持部113aによって、凸部74aの動きが規制され、固定部材74が支持突起113に固定され易くなる。固定部材74は、軸部材71に嵌められた状態で上記のように支持突起113の溝に挿入されることで回転が抑制されるように固定され、軸部材71の位置が固定される。
【0121】
また、固定部材55は固定部材74と同様にして支持突起111に固定される。すなわち、支持突起111は、固定部材55の外形に合わせた溝を有しており、固定部材55は第二ウォーム50に嵌められた状態で当該溝に挿入されることで回転が抑制されるように固定され、第二ウォーム50の位置が固定される。ただし、固定部材55及び固定部材74は、固定部材74の凸部74aと固定部材55の凸部とが第二ウォーム50及び軸部材71に対して互いに反対側になるように固定される。
【0122】
なお、第二ウォーム50及び軸部材71は、第二ウォーム50の中空部に軸部材71の軸部が挿入された状態で固定される。そして、支持突起112が有する溝には、第二ウォーム50が回転可能なように、第二ウォーム50のうち歯車52が形成されていない部分が支持される。
【0123】
出力部30は、構成部材が組み付けられた状態で筐体本体91と第一蓋部材94との間に配置される。すなわち、
図6に示すように、出力軸部材31と収容部材35とが重ねられ、軸受101、軸受102、ガイドシャフト100、第一ウォーム40、及び固定部材45が収容部材35に取り付けられ、固定部材64が嵌められた軸部材61の軸部61aが第一ウォーム40の中空部に挿入された状態とされる。そして、この状態でガイドシャフト100及び固定部材64が筐体90に設けられる支持突起等に支持される。詳しくは下記の通りである。
【0124】
中板部92の第一蓋部材94側の面の略中央には、支持突起114が備えられる。支持突起114は、出力部30を配置する際にガイドシャフト100を支えることで出力部30の組み付けを容易にする。また、枠部93のうち樽状凸部93bが形成される位置の内周面が外周面側に突出して凹部115が形成される共に、当該凹部115に連続する溝を有する支持突起116が中板部92に形成される。凹部115及び支持突起116の溝にはガイドシャフト100の一方の端部が支持される。また、枠部93のうちコネクタカバー部93aが形成される位置の内周面には外周面側に向かって凹んだ不図示の凹部が形成されており、当該凹部にガイドシャフト100の他方の端部が支持される。さらに、中板部92の第一蓋部材94側の面には、固定部材64の外形に合わせた溝を有する支持突起117が形成されており、固定部材64は当該溝に挿入され、固定部材64は回転が抑制されるように固定される。このようにして、出力部30が筐体本体91と第一蓋部材94との間に配置される。
【0125】
モータ63は、
図5に示すように、中板部92から第一蓋部材94側に立てられた筒状突起118がコアアッセンブリ63aの中心に挿入されて固定される。また、モータ73は、モータ63と同様にして、中板部92から第一蓋部材94側に立てられた筒状突起119に固定される。また、伝達ギア62は中板部92に形成される凹部120に一方の端部が挿入されるピン121に挿入され、伝達ギア72は中板部92に形成される凹部122に一方の端部が挿入されるピン123に挿入される。なお、ピン121は伝達ギア62の回転軸と重なり、ピン123は伝達ギア72の回転軸と重なる。
【0126】
以上のようにして各部材が筐体本体91と第一蓋部材94との間に配置される。なお、第一ウォーム40及び第二ウォーム50は、回転軸がガイドシャフト100の長手方向と平行になるように配置される。また、モータ63、モータ73、伝達ギア62及び伝達ギア72は、第一ウォーム40及び第二ウォーム50に対して第一ウォーム40及び第二ウォーム50の長手方向に直交する方向に配置される。
【0127】
上記のように各部材が配置される筐体本体91に第一蓋部材94が被せられると、蓋本体部94aの筐体本体91側の面に設けられる突起によって、筐体本体91に配置される部材が押さえつけられる。具体的には、
図13に示すように、蓋本体部94aの筐体本体91側の面には、固定部材45に当接するリブ130、固定部材55に当接する凸部131、固定部材64に当接する凸部132、固定部材74に当接する凸部133、ピン121に当接する凸部134、及びピン123に当接する凸部135が形成されている。このように軸受も兼ねる固定部材45、固定部材55、固定部材64、及び固定部材74が中板部92と第一蓋部材94とで挟まれて固定されることによって、第一ウォーム40、第二ウォーム50、軸部材61、及び軸部材71の回転軸がぶれることが抑制され、出力軸33の回転又は移動の動作精度が向上される。また、ピン121及びピン123が中板部92と第一蓋部材94とで挟まれて固定されることによって、伝達ギア62及び伝達ギア72の浮き上がりが抑制されるので、第一駆動機構60及び第二駆動機構70から第一ウォーム40及び第二ウォーム50へと駆動力が適切に伝達され難くなることを抑制できる。
【0128】
なお、固定部材45は出力部30の移動に伴って移動するため、固定部材45に当接するリブ130は、固定部材45の移動範囲全域に渡って設けられる。すなわち、出力部30の移動に伴って第一ウォーム40が移動することにより、固定部材45も出力軸33の回転軸33aに直交する所定の方向に共に移動するが、このように固定部材45が移動する間において、固定部材45はリブ130当接している。よって、出力部30及び第一ウォーム40が所定の方向に共に移動するときに固定部材45は筐体90に対して摺動する。このように、出力部30が移動するときに固定部材45が筐体90に当接して摺動することによって、第一ウォーム40の回転軸がずれることが抑制される。その結果、出力部30が移動するときでも出力軸33の回転の動作精度を向上させることができる。なお、本実施形態において固定部材45は軸受としての機能も有するため、摩耗しにくい材料で構成されている。固定部材45を構成する材料としては、例えばポリアセタールが挙げられる。
【0129】
また、蓋本体部94aには、凹部115に挿入される突起136も形成されている。突起136が凹部115に挿入されることによって、突起136によってガイドシャフト100がコネクタカバー部93a側に押し当てられ、ガイドシャフト100の位置がずれることが抑制される。
【0130】
図5に示すように、筐体本体91と第二蓋部材95との間には、回路基板80及び回路基板80上に配置される電子部品81,82,83及びコネクタ84等の部品が配置される。回路基板80は、中板部92の第二蓋部材95側に設けられる突起80aが回路基板80に形成される貫通孔80bに圧入されると共に、中板部92の第二蓋部材95側に設けられる突起80dが回路基板80に形成される切り欠き80eに圧入されることによって、筐体本体91と第二蓋部材95との間に固定される。なお、突起80aの端部は第二蓋部材95の凹部80cに挿入され、突起80dの端部は第二蓋部材95の凹部80fに挿入される。
【0131】
なお、回路基板80上に配置される電子部品のうち第一ウォーム40または第二ウォーム50が配置される位置よりも突出して配置される電子部品81,82,83は、第二ウォーム50の出力軸33とは反対側に配置される。具体的には、電子部品81,82,83は、凸部92cによって形成される空間に配置される。上述したように第二ウォーム50は出力軸33側に寄せて配置されており、第二ウォーム50が出力軸33側に寄せて配置されることによってできる空間にラジアル部品である電子部品81,82,83が配置されることによって、筐体90内の空間が有効利用され、アクチュエータ20の小型化が容易になる。
【0132】
また、上述したように、本実施形態のアクチュエータ20では、ラジアル部品である電子部品81,82,83、モータ63及びモータ73等も第一ウォーム40及び第二ウォーム50に対して長手方向に直交する方向に配置される。このようにアクチュエータ20を構成する部材のうち体積の大きな部材が第一ウォーム40及び第二ウォーム50に対して長手方向に直交する方向に配置されることによって、アクチュエータ20の前後方向の長さを短くすることができる。アクチュエータ20の前後方向の長さを短くできれば、灯具1の前後方向の長さを短くすることができるので、車内空間を広くできる等の利益が得られる。
【0133】
次に、アクチュエータ20のブラケット15への取付方法について説明する。
【0134】
上述したように、アクチュエータ20の筐体90は、樽状凸部93b、被取付片91a,91a及び被取付片94d,94dを有している。アクチュエータ20をブラケット15への取り付ける際、まず、
図1に示すように、樽状凸部93bをブラケット15の貫通孔15aに挿入する。その後、樽状凸部93bを支点としてアクチュエータ20をブラケット15側に押し付けるように回転させ、
図3に示すように、被取付片91a,91a及び被取付片94d,94dの貫通孔にボルト15cを挿入して当該ボルト15cをブラケット15に螺入し、アクチュエータ20をブラケット15に固定することができる。このように、アクチュエータ20は、コネクタ84の両側に設けられる被取付片91a,91a及び被取付片94d,94dと、コネクタ84とは反対側に設けられる樽状凸部93bとによって、3点でブラケット15に支持される。
【0135】
次に、アクチュエータ20及び灯具1の動作について説明する。
【0136】
図示していない電源回路からコネクタ84を介してモータ63に通電されモータ63が回転すると、伝達ギア62及び軸部材61が連動して回転し、第一ウォーム40に駆動力が伝達される。そして第一ウォーム40が回転すると、第一ウォーム40に歯合する斜歯歯車34aを有する出力軸部材31が回転する。すなわち、出力軸33が回転する。出力軸33が回転することにより、接続用凸部2bを介して接続されているランプユニット2が回転する。このようにランプユニット2が回転することによって、ランプユニット2からの光の照射範囲が変えられる。
図15(A)は、ランプユニット2が回転するときのランプユニット2からの光の照射範囲の変化を示す図である。例えば、当初実線で示されている位置をランプユニット2からの光が照らしている場合、出力軸33を回転させてランプユニット2を回転させることにより、その回転方向に応じて破線又は点線で示す範囲を照らすことができる。
【0137】
一方、図示していない電源回路からコネクタ84を介してモータ73に通電されモータ73が回転すると、伝達ギア72及び軸部材71が連動して回転し、第二ウォーム50に駆動力が伝達される。そして第二ウォーム50が回転すると、第二ウォーム50に歯合する斜歯ラック39を有する収容部材35が回転軸33aに直交する方向に移動する。すなわち、出力軸33が回転軸33aに直交する前後方向に移動する。出力軸33がこのように移動することにより、接続用凸部2bを介して接続されているランプユニット2は被支持凸部2aを支点として前または後に振られる。このようにランプユニット2が前または後に振られることによって、ランプユニット2からの光の照射範囲が変えられる。
図15(B)は、ランプユニット2が前または後に振られるときのランプユニット2からの光の照射範囲の変化を示す図である。例えば、当初実線で示されている位置をランプユニット2からの光が照らしている場合、出力軸33を前に移動させてランプユニット2を前に振ることにより、光の出射される方向が上げられて点線で示す範囲を照らすことができる。一方、出力軸33を後に移動させてランプユニット2を後に振ることにより、光の出射される方向が下げられて破線で示す範囲を照らすことができる。
【0138】
なお、上記特許文献1のアクチュエータでは、出力軸を回転又は移動させるために、出力軸を挟んで設けられる一対のウォームが用いられている。これらのウォームは、出力軸を回転又は移動させるとき、出力軸の回転軸に直交する面内の回転軸周りに回転する。このウォームの回転は歯車等を介して所定の方向の力に変換されて出力軸へと伝わり、出力軸が回転又は移動する。また、上記特許文献1のアクチュエータでは、ウォームと出力軸を備える部材とは、ウォームと出力軸との間において出力軸の回転軸に平行な面内で接する。従って、ウォームが回転すると、出力軸の回転軸に対して平行に近い方向の力が出力軸に加わる。出力軸に加わるこのような力が大きくなると、出力軸にがたつきが生じる懸念がある。
【0139】
一方、上記のように、アクチュエータ20において、第二ウォーム50は、出力部30に設けられる移動機構である斜歯ラック39と歯合して出力軸33の回転軸33aに直交する方向に出力軸33を移動させる。斜歯ラック39は、出力部30と第二ウォーム50との間において出力軸33の回転軸33aに平行な面に形成される。従って、このように第二ウォーム50によって出力軸33を移動させるとき、第二ウォーム50が回転し、出力軸33には出力軸33の回転軸33aに対して平行に近い方向の力が加えられる。しかし、アクチュエータ20は、出力軸33と第二ウォーム50との距離が短いため、第二ウォーム50から出力軸33へと伝わる第二ウォーム50の回転方向の力は小さく、出力軸33のがたつきが抑制される。
【0140】
また、本実施形態のアクチュエータ20では、出力軸33を所定の方向に移動させる移動機構として、出力部30に形成される斜歯ラック39が用いられる。斜歯ラックは、当該斜歯ラックと歯合するウォームとの距離が近くても、当該斜歯ラックを備える部材と当該ウォームとの相対的な移動範囲を確保しやすい。よって、出力軸33を所定の方向に移動させる移動機構として、出力部30に形成される斜歯ラック39が用いられることによって、斜歯ラック39が出力軸33に近い位置に設けられても出力軸33の移動範囲を確保しやすくなる。従って、第二ウォーム50と出力軸33とを近づけ易くなるので、出力軸33のがたつきを抑制することがより容易になる。
【0141】
また、本実施形態の灯具1は、ランプユニット2に接続されるアクチュエータ20の出力軸33のがたつきが上述したように抑制されることによって、ランプユニット2の動作の安定性が向上する。
【0142】
以上、本発明について好適な実施形態を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、移動機構は斜歯ラックに限定されない。ただし、上述したように移動機構として斜歯ラックを用いることにより、出力軸のがたつきを抑制し易くなる。また、移動機構として機能する斜歯ラックの形成位置は第二ウォームに歯合できる位置であれば特に限定されないが、上述したように斜歯ラックは出力軸と第二ウォームとを最短で結ぶ線上に形成されることが好ましい。また、電子部品の配置位置も限定されないが、アクチュエータの小型化や前後方向の長さを短くする等の観点からは、電子部品は上述した位置に設けられることが好ましい。
【0143】
また、上記実施形態の自動調心軸受機構では、軸受収容部のうち第一軸心方向に沿った一方側は、軸受が外部から軸受保持空間に到達するまでの区間において、少なくとも軸受に挿通される軸が通る幅で開放されている例を挙げて説明したが、軸受収容部が上記のように開放されていなくてもよい。ただし、軸受を容易に設置できる等の観点からは、上記のように軸受収容部の一部が開放されていることが好ましい。また、自動調心軸受機構を構成する軸受の外形は特に限定されない。さらに、自動調心軸受機構において第一軸心方向と第二軸心方向とは交わる方向であればよく、第一軸心方向と第二軸心方向とが直交する形態には限定されない。
【0144】
また、上記実施形態では車両用前照灯のアクチュエータに自動調心軸受機構を用いる場合を例示したが、自動調心軸受機構の用途及びのアクチュエータの用途は特に限定されない。
【0145】
また、上記実施形態では固定部材の外周面に複数の突起が形成される形態を例示して説明したが、本発明の固定部材は、回転部材を支持する支持体に係合可能な係合部を外周面に有していればよい。従って、例えば、支持体が凸部を有するとともに、固定部材の外周面に当該凸部に係合する凹部が形成される形態であってもよい。
【0146】
また、上記実施形態では固定部材が摺動する形態を例示して説明したが、本発明の固定部材は、摺動性を有する材料で構成される形態に限定されるものではない。また、上記実施形態では固定部材を車両用前照灯に用いる例を挙げたが、本発明の固定部材の用途は、長手方向に沿った回転軸の周りに回転する棒状の回転部材を支持体に回転可能に固定する用途であれば特に限定されない。
【0147】
また、上記実施形態では車両用前照灯にアクチュエータを用いる場合を例示したが、アクチュエータの用途は特に限定されない。
【0148】
以上のように、本発明によれば、シャフトの芯出しが容易な自動調心軸受機構、ウォームのような回転部材を精度良く固定できる固定部材、出力部のがたつきが抑制されるアクチュエータ、及び当該アクチュエータを備える灯具が提供される。これらの自動調心軸受機構、固定部材、アクチュエータ及び灯具は車両用前照灯等に好適に利用される。