(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760967
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】リッスンビフォアトークシステムにおけるハイブリッド自動再送要求(HARQ)
(51)【国際特許分類】
H04L 1/16 20060101AFI20200910BHJP
H04L 29/08 20060101ALI20200910BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20200910BHJP
H04W 74/08 20090101ALI20200910BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20200910BHJP
【FI】
H04L1/16
H04L13/00 307Z
H04W28/04 110
H04W74/08
H04W16/14
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-559333(P2017-559333)
(86)(22)【出願日】2016年5月14日
(65)【公表番号】特表2018-521544(P2018-521544A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】US2016032569
(87)【国際公開番号】WO2016183533
(87)【国際公開日】20161117
【審査請求日】2019年4月23日
(31)【優先権主張番号】62/161,443
(32)【優先日】2015年5月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514002477
【氏名又は名称】ケーブル テレビジョン ラボラトリーズ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】アンドレオリ−ファン、 ジェニファー
(72)【発明者】
【氏名】ババエイ、 アリレザ
【審査官】
阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】
特表2013−507880(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0293868(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103297188(CN,A)
【文献】
Ericsson,Discussion on LBT Protocols[online], 3GPP TSG-RAN WG1#80b R1-152326,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_80b/Docs/R1-152326.zip>,2015年 4月25日,P. 1-10
【文献】
Huawei, HiSilicon,Co-existence results using LBT category 4 (LBE with variable contention window)[online], 3GPP TSG RAN WG1 adhoc_LTE_LAA_1503 R1-150975,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_AH/LTE_LAA_1503/Docs/R1-150975.zip>,2015年 3月21日,P. 1-5
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 1/16
H04L 29/08
H04W 16/14
H04W 28/04
H04W 74/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
競合無線技術を含む無線周波数(RF)帯域で動作するロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)通信で動作可能な方法であって、
eNodeBにおいてユーザ機器(UE)からのデータのトランスポートブロックを処理し、前記トランスポートブロックは巡回冗長検査(CRC)を含み、
前記eNodeBにおける前記CRCに基づいて前記トランスポートブロックのチェックサムを判定し、
前記チェックサムに失敗し、
前記eNodeBから前記UEに、前記失敗したチェックサムに基づいた前記トランスポートブロックの非確認(NACK)を送信し、
前記UEが前記NACKを受信したことに応じて、前記UEにおけるコンテンションウィンドウを増加させ、
前記UEから前記eNodeBに前記トランスポートブロックを再送信すること
を含み、
前記トランスポートブロックは誤り訂正コード(ECC)をさらに含み、
前記方法は、前記eNodeBにおいて、
前記トランスポートブロックをバッファに格納し、
前記ECCを用いて前記トランスポートブロックの誤りを訂正し、
前記誤りを訂正することに応じて、前記トランスポートブロックの成功した受信の確認(ACK)を前記UEに送信すること
をさらに含む記載の方法。
【請求項2】
前記UEにおいて、
前記増加させたコンテンションウィンドウ内で前記ACKを受信し、
前記ACKを受信したことに応じて前記コンテンションウィンドウを元のサイズにリセットすること
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NACKを送信することは、前記NACKをショート制御信号(Short Control Signal:SCS)で前記UEに送信するように構成することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記eNodeBにおいて前記UEからデータの他のトランスポートブロックを受信し、前記他のトランスポートブロックは他の巡回冗長検査(CRC)を含み、
前記eNodeBにおいて前記CRCに基づいて前記トランスポートブロックのチェックサムを判定し、
前記チェックサムを通過し、
前記eNodeBから前記UEに、前記他のトランスポートブロックの成功した受信の確認(ACK)を送信すること
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ACKはハイブリッド自動再送要求(HARQ)ACKである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記RF帯域はWiFi帯域である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
競合無線技術を含む無線周波数(RF)帯域で動作するロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)通信で動作可能なシステムであって、
eNodeBと、
ユーザ機器(UE)と、
前記eNodeBは前記UEからのデータのトランスポートブロックを処理するように動作可能であり、前記トランスポートブロックは巡回冗長検査(CRC)を含み、前記eNodeBは、前記CRCに基づいて前記トランスポートブロックのチェックサムを判定し、前記チェックサムに失敗し、及び前記失敗したチェックサムに基づいて前記トランスポートブロックの非確認(NACK)を前記UEに送信するようにさらに動作可能であり、
前記UEは、前記NACKを受信し、コンテンションウィンドウを増加させ、前記トランスポートブロックをeNodeBに再送信するように動作可能であり、
トランスポートブロックは、誤り訂正コード(ECC)をさらに含み、
前記eNodeBは、前記トランスポートブロックをバッファに格納し、前記ECCを使用して前記トランスポートブロックの誤りを訂正し、前記誤りを訂正することに応じて前記トランスポートブロックの成功した受信の確認(ACK)を前記UEに送信するようにさらに動作可能である
通信システム。
【請求項8】
前記UEは、前記増加させたコンテンションウィンドウ内でACKを受信し、前記ACKを受信したことに応じて前記コンテンションウィンドウを元のサイズにリセットするようにさらに動作可能である請求項7に記載の通信システム。
【請求項9】
前記eNodeBは、前記NACKをショート制御信号(SCS)も構成することによって前記UEに送信するようにさらに動作可能である請求項7に記載の通信システム。
【請求項10】
前記eNodeBは、前記UEからデータの他のトランスポートブロックを受信するようにさらに操作可能であり、前記他のトランスポートブロックは別の巡回冗長検査(CRC)を含み、前記eNodeBは、前記CRCに基づいて前記他のトランスポートブロックのチェックサムを判定し、チェックサムを通過し、前記他のトランスポートブロックの成功した受信の確認(ACK)を前記UEに送信するようにさらに動作可能である請求項7に記載の通信システム。
【請求項11】
前記ACKは、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)ACKである請求項7に記載の通信システム。
【請求項12】
前記RF帯域はWiFi帯域である請求項7に記載の通信システム。
【請求項13】
命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、競合無線技術を含む無線周波数(RF)帯域で動作するロングタームエボリューション(LTE)通信を使用するeNodeBのプロセッサによって実行されるときに、前記命令はプロセッサに、
ユーザ機器(UE)からのデータのトランスポートブロックを処理し、前記トランスポートブロックは巡回冗長検査(CRC)を含み、
前記CRCに基づいて前記トランスポートブロックのチェックサムを判定し、
前記チェックサムに失敗し、
コンテンションウィンドウを増加させ、前記トランスポートブロックを前記eNodeBに再送信するように前記UEに指示する前記失敗したチェックサムに基づいて前記トランスポートブロックの非確認(NACK)を前記UEに送信すること
を指示し、
前記トランスポートブロックは、誤り訂正コード(ECC)をさらに含み、
前記命令は、前記トランスポートブロックをバッファに格納し、前記ECCを使用して前記トランスポートブロックの誤りを訂正し、前記誤りを訂正することに応じてトランスポートブロックの成功した受信の確認(ACK)を送信するようプロセッサにさらに指示するコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記UEは、前記増加させたコンテンションウィンドウ内で前記ACKを受信し、前記ACKを受信したことに応じて前記コンテンションウィンドウを元のサイズにリセットするようにさらに動作可能である請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項15】
前記命令は、前記プロセッサに、前記NACKを前記UEへのショート制御信号(SCS)で構成することをさらに指示する請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記命令は、前記プロセッサに、
前記eNodeBにおいて前記UEから他のトランスポートブロックのデータを受信し、前記他のトランスポートブロックは他の巡回冗長検査(CRC)を含み、
前記eNodeBにおいて前記CRCに基づいて前記他のトランスポートブロックのチェックサムを判定し、
前記チェックサムを通過し、
前記トランスポートブロックの成功した受信の確認(ACK)を前記UEに送信すること
をさらに含む請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記ACKは、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)ACKである請求項13に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この特許出願は、米国仮特許出願第62/161443号(2015年5月14日出願)に基づく優先権、及びそれに基づく早い出願日の享有を主張し、その全体の内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
携帯電話は、急速な進化を続けている。携帯電話ネットワークは、現在、様々な形態で存在し、様々な変調、シグナリング技術、及びプロトコルを使用して動作し、例えば、3G及びLTEネットワーク(それぞれ、第3世代移動通信技術及びLong Term Evolution)に見られる。消費者がより多くの容量を求めるため、ネットワークは進化している。例えば、一部の通信事業者、又は移動体通信事業者(Mobile Network Operators:MNO)は、3Gとより高速なLTEとの組み合わせを使用しているが、これは、MNOがデータと音声の需要増加をより良く満たすためにより高速なネットワークを必要とするからである。
【0003】
また、競合通信を含む無線周波数(RF)帯域でこれらの技術を実施するための取り組みが進められている。例えば、従来はWiFに使用されている免許不要の帯域(別名、LTE−U、免許支援アクセス(Licensed−Assisted−Access)、又は“LAA−LTE”)において、LTEの開発が加速されている。しかしながら、LTEとは異なり、WiFiは、WiFiシステムが相互に干渉しないように、リッスンビフォアトーク(Listen Before Talk:LBT)の方法を使用している。WiFiでLBTを用いると、WiFiノードは、送信の直後に確認(ACK)を受信すると、送信が成功したと判断する。ACKがないことは、衝突が発生し、WiFiノードがコンテンションウィンドウを2倍にし、そのチャネルについて再度争うことを意味している。しかしながら、ハイブリッド自動再送要求(Hybrid Automatic Repeat Request:HARQ)ACK及び非確認(NACK)は3サブフレーム(すなわち、データ送信後3ms)で送信されるので、LTEシステムはコンテンションウィンドウのサイズを変更することが困難である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書で提示されるシステム及び方法は、競合無線技術を含むRF帯域で動作するLTE通信を使用するUEのコンテンションウィンドウを増加させることを提供する。一実施形態では、eNodeBはユーザ機器(UE)からデータのトランスポートブロックを受信する。トランスポートブロックは、巡回冗長検査(CRC)を含んでいる。次に、eNodeBは、CRCに基づいたトランスポートブロックのチェックサムを判定し、チェックサムに失敗し、失敗したチェックサムに基づいてUEにトランスポートブロックの非確認(NACK)を送信する。UEは、NACKに応じて、コンテンションウィンドウを増加させ、eNodeBにトランスポートブロックを再送信する。
【0005】
本明細書に開示された様々な実施形態は、設計上の選択事項として様々な方法で実施してもよい。例えば、本明細書のいくつかの実施形態はハードウェアで実施されるが、他の実施形態は、ハードウェアを実装及び/又は動作させるように動作可能なプロセスを含んでもよい。他の例示的な実施形態は、ソフトウェア及びファームウェアを含み、以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態は、単なる例示として、添付の図面を参照して説明する。同じ参照番号は、すべての図面の同じ要素又は同じ種類の要素を表している。
【
図1】
図1は、競合無線システムを有するRF帯域で動作する例示的な無線通信システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、無線通信システムにおいてeNodeBで動作可能な例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、無線通信システムにおいてUEで動作可能な例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、無線通信システムにおけるUEとeNodeBとの間の例示的なメッセージング図である。
【
図5】
図5は、無線通信システムにおけるUEとeNodeBとの間の例示的なメッセージング図である。
【
図6】
図6は、無線通信システムにおけるUEとeNodeBとの間の例示的なメッセージング図である。
【
図7】
図7は、無線通信システムにおいてeNodeBで動作可能な別の例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、無線通信システムにおいてUEで動作可能な別の例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、コンピュータ可読媒体が本明細書の方法を実施するための命令を提供する例示的なコンピューティングシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面及び以下の説明は、本発明の特定の例示的な実施形態を示している。したがって、当業者は、本明細書において明示的に記載又は図示されていないが、本発明の原理を具現化し、本発明の範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解されるであろう。また、本明細書に記載された例は、本発明の原理の理解を助けることを意図しており、そのように具体的に列挙された例及び条件に限定されるものではないと解されるべきである。その結果、本発明は以下の特定の実施形態又は実施例には限定されない。
【0008】
図1は、競合無線システムを有するRF帯域で動作する例示的な無線通信システムのブロック図である。無線通信システムは、無線電話ネットワーク110に通信可能に結合されたノードB111を備えている。一般に、eNodeB111は、UE112(例えば、モバイルハンドセット及び他の無線デバイス)を介する加入者とのデータ及び音声を含む無線通信を維持又は支援するように動作可能な任意のシステム、装置、ソフトウェア、又はこれらの組み合わせである。これに関して、eNodeB111は、例えば、2G、3G、LTEなどを介したRFを通じて無線電話ネットワーク110を実施してもよい。
【0009】
競合無線システムは、無線ネットワーク120に通信可能に結合された無線アクセスポイント(WAP)121を備えている。WAP121の無線システムはeNodeB111の無線通信システムと競合するが、これは、WAP121の無線システムがeNodeB111の無線通信システムの通信プロトコルと非互換の無線技術の形態を使用するからである。したがって、UE112−2とWAP121との間の通信は、UE112−1とeNodeB111との間の通信と干渉することがあり得る。
【0010】
説明のために、eNodeB111はLTE無線電話ネットワークの一部であり、WAP121はWiFiネットワーク(例えば、WiFiホットスポット又はパーソナルWiFiルータ)の一部であってもよい。一般に、このことは、eNodeB111が、WiFi通信が盛んに行われている免許不要のRF帯域内で動作することを意味している。これらの帯域は、WiFi通信で非常に混雑しているので、WiFiデバイス(例えば、UE112−2)は、WiFiを介して動作するときに互いに干渉しないことを確保するためにリッスンビフォアトーク(Listen Before Talk:LBT)を採用している。しかしながら、LTE通信は、UE112間の通信が確実に維持されることを確保するために、所与の時間に周波数の全帯域を占有する傾向がある。したがって、少なくとも、LTE無線電話ネットワークは、帯域の他の通信システムと干渉するようになる。したがって、免許不要帯域の他の無線システムとより「友好的」であるように、本明細書の実施形態は無線電話ネットワーク110のUE112−1とeNodeB111との間のLBT動作を提供している。
【0011】
LTEのメディアアクセス制御(MAC)は中央スケジューラを使用し、そこでは、eNodeB111がUL及びダウンリンク(DL)トラフィックをスケジューリングしている。一般に、LBTは、LTEのDL送信に問題がないが、これは、チャネルの争いに成功したときにeNodeB112が送信するからである。しかしながら、UL送信は、時間及び周波数の正確なインスタンスでスケジュールされる。そして、LBTは、スケジュールされたUL送信のタイミングを乱す。しかし、UE112−1は各UL送信の前にLBTの何らかの形式を実行する必要があるが、これは、スケジュールされた送信の時にチャネルがクリアでないかも知れないからである。
【0012】
LTE−UとWiFi間の公平な共存を確保する1つの方法は、既存の要件を変更して「WiFi類似の」チャネル競合アルゴリズムにすることである。このことに関して、UE112−1は、コンテンションウィンドウのサイズを増加させ、いくつかの実施形態ではコンテンションウィンドウのサイズを2倍にしている。例えば、WiFiノード(例えば、WAP121)は、送信の直後に確認(ACK)を受信すると、送信が成功したと判定する。ACKが欠如は、衝突が発生したことを意味している。次に、WiFiノードは、そのコンテンションウィンドウのサイズ(例えば、時間)を2倍にし、チャネルについて再度争う。しかし、LTEは、そのようなメカニズムを有していない。
【0013】
一般に、eNodeB111で受信されたデータに誤りがあると、eNodeB111はデータをバッファし、NACKを送信し、それは、UE112−1からの再送信を促す。eNodeB111が再送信されたデータを受信したとき、eNodeB111はそのデータとバッファされたデータとを誤り訂正のために合成する。このプロセスはまだ発生することがあるが、コンテンションウィンドウサイズの増加に伴い強化される。一つの既存の機構は、ハイブリッドARQ(HARQ)である。本明細書の実施形態は、高速な再送信及びより高いデータレートを確保するため、MAC及びPHY層における既存のHARQメカニズムに加えて、このフィードバックプロセスにおけるLTEについてPHY層に新たなメカニズムを提供している。
【0014】
また、UE112−1におけるコンテンションウィンドウを増加させるために必要なフィードバックループの遅延を低減するように、eNodeB111は、データの受信の直後に、LBTを実行することなく、SCS NACKと称されるショート制御信号(SCS)を介して非確認(NACK)を送信する。欧州連合の基準によると、SCSのデューティ周期がノードの最大送信時間の5%未満である限り、LBTを実行せずにSCSを送信することができる。
【0015】
隣接するノードは、送信に先立ってLBTを実行し、HARQ NACKの送信後にチャネルがビジーであると検出すると「バックオフ」する。しかしながら、LTEでは、eNodeB111は、HARQ ACK又はHARQ NACKの送信を決定する前に、受信したデータを誤り訂正及びソフト合成するためにより多くの処理時間を必要とする。したがって、データとともに誤り訂正コード(ECC)を送信することに加えて、UE112−1は巡回冗長検査CRCを含み、それは、一般に短くペイロードの効率にほとんど影響を与えることがなく、より迅速に誤りを検出するようにすることができる。そして、誤りが検出されたとき、SCS NACKは、衝突の相対的に低い確率を提供するためにデータがeNodeB111によって受信された後に短時間ウィンドウ内でLBTなしで送信されることになる。
【0016】
図2は、無線通信システムにおいてeNodeB111で動作可能な例示的なプロセス200を示すフローチャートである。この実施形態では、eNodeB111は、プロセス要素201において、UE112−1からのデータのトランスポートブロックを受信する。次に、eNodeB111は、プロセス要素202において、データのチェックサムを判定するためにトランスポートブロックのCRCを使用する。データがチェックサム(プロセス要素203)を通過すると、eNodeB111は、データを処理し、プロセス要素201において、UE112−1からの他のトランスポートブロックの受信を待つ。
【0017】
しかしながら、チェックサムに失敗すると、eNodeB111は、NACKをUE112−1に送信し、UE112−1がプロセス要素204においてそのコンテンションウィンドウを増加させることができるようにする。例えば、eNodeB111は、競合無線通信がUE112−2とWAP121との間でチャネルについて争う時間を有さないことを確保するために、HARQ NACKをUE1112−1に直ちに送信するように、SCSを使用してもよい。ほぼ同時に、eNodeB111は、プロセス要素205において、トランスポートブロックのデータをバッファに格納し、プロセス要素206において、トランスポートブロックによって提供されたECCを使用してトランスポートブロックのデータの誤りの訂正を開始する。
【0018】
ECC(プロセス要素207)を用いてデータの誤りが訂正されると、eNodeB111は、プロセス要素201において、ACKをUE112−2に送信し、次のトランスポートブロックを待つ。このACKがUE112−1の増加させたコンテンションウィンドウの間にUE112−1によって受信されると、UE112−1は、通常の動作を再開するために、コンテンションウィンドウを減少させて元のサイズ(例えば、時間の量)に戻してもよい。しかしながら、誤りがECCによって訂正されないと、eNodeB111は、UE112−1から同じトランスポートブロックを受信すると、プロセス要素208において、ソフト誤り訂正で誤りの訂正を開始してもよい。例えば、eNodeB111は、データの誤りを判定するために、両方のトランスポートブロックのデータを組み合わせてもよい。代わりに、又は追加して、eNodeB111は、誤りを判定するために、次のトランスポートブロックのCRC及び/又はECCを使用してもよい。
【0019】
図3は、無線通信システムにおいてUE112−1で動作可能な例示的なプロセス250を示すフローチャートである。この実施形態では、UE112−1は、プロセス要素251において、データのトランスポートブロックをeNodeB111に送信する。上述のように、データのトランスポートブロックは、トランスポートブロックのデータの迅速な誤りチェックをするためにeNodeB111についてのCRCを含んでいる。そして、トランスポートブロックのデータに誤りがあると、eNodeB111はUE112−1にNACKを直ちに送信する(例えば、SCSを介したHARQ NACK)。これに関して、UE112−1は、プロセス要素252においてNACKを受信し、プロセス要素253においてそのコンテンションウィンドウを増加させる。
【0020】
増加させたコンテンションウィンドウの間にeNodeB111からUE112−1によってACKが受信されると、UE112−1は、プロセス要素251において、eNodeB111にデータの次のトランスポートブロックを送信する。そうでなければ、UE112−1は、プロセス要素255において、データのトランスポートブロックをeNodeB111に再送信してもよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、トランスポートブロックのデータが失効したとき、UE112−1は、データ及びトランスポートブロックを破棄する。例えば、トランスポートブロックは、UE112−1の呼出しの間に音声データの比較的小さい部分を含んでもよい。音声データの比較的小さい部分をドロップすることは、全体的な音声会話にごくわずかな影響しか及ぼさないであろう。したがって、UE112−1は、トランスポートブロックがもはや有効ではないと結論し、トランスポートブロックを再送信から完全にドロップしてもよい。
【0022】
図4から
図6は、無線通信システムにおけるUE112−1とeNodeB111との間の例示的なメッセージング図である。
図4のメッセージング図は、eNodeB111へのトランスポートブロックによるデータの成功した送信を示している。UE112−1からトランスポートブロックを受信すると、eNodeB111は、CRCチェックを行う。得られたチェックサムがCRCチェックを通過したため、eNodeB111は、LTE通信において典型的であるようにSCS ACKをUE112−1に送信する。
【0023】
図5のメッセージング図は、トランスポートブロックのデータがCRCチェックに失敗したときを示している。これに関して、eNodeB111はSCS NACKをUE112−1に送信し、次に、UE112−1はそのコンテンションウィンドウを増加させる。この間、eNodeB111は、ECCを用いてトランスポートブロックの誤り訂正を行う。ECCがトランスポートブロックのデータを成功して訂正すると、eNodeB111は、このコンテンションウィンドウを元のサイズに戻してもよいように、HARQ ACKをUE112−1に送信する。
【0024】
図6のメッセージング図は、CRCチェックとECCの両方が失敗したときを示している。SCS NACKは、CRCチェックが失敗したときeNodeB111によって既に送信されているので、eNodeB 111は、ECCが失敗したときにもHARQ NACKを送信する必要はない。SCS NACKは、そのトランスポートブロックを再送するように、eNodeB111からUE112−1への指示である。再び、UE112−1は、そのコンテンションウィンドウを増加させ、トランスポートブロックをeNodeB111に再送信する。eNodeB111は、ECCを用いてソフト誤り訂正を行うために、再送されたトランスポートブロックのデータを組み合わせる。ソフト誤り訂正が通過すると、eNodeB111はHARQ ACKをUE112−1に送信し、UE112−1がそのコンテンションウィンドウをリセットできるようにする。
【0025】
図7は、無線通信システムにおいて、eNodeB111を用いて動作可能な別の例示的なプロセス275を示すフローチャートである。この実施形態では、eNodeB111は、プロセス要素276において、UE112からデータのトランスポートブロックを受信する。トランスポートブロック内には、データの整合性をチェックするために使用されるCRCがある。これに関して、eNodeB111は、プロセス要素277において、トランスポートブロックのCRCに基づいてデータのチェックサムを判定する。チェックサムが通過すると(プロセス要素278)、eNodeBは、プロセス要素279において、UE112にSCS ACKを送信し、プロセス要素280において、プロセスが終了する(すなわち、UE112が別のデータのトランスポートブロックを送信する必要があるまで)。
【0026】
また、チェックサムが失敗すると(プロセス要素278)、eNodeB111は、プロセス要素281において、トランスポートブロックのSCS NACKをUE112に送信する。eNodeB111は、プロセス要素282において、データのトランスポートブロックをバッファに格納し、その後で、プロセス要素283において、トランスポートのECCを使用してトランスポートブロックの誤りを訂正する。誤りが訂正されると(プロセス要素285)、eNodeB111は、プロセス要素284において、UE112にHARQ ACKを送信し、プロセス要素280において、UE112が別のトランスポートブロックをeNodeB111に送信する必要があるまで、プロセスを終了する。
【0027】
トランスポートブロックの誤りが訂正できないと(すなわち、プロセス要素285)、eNodeB111は、プロセス要素286において、再試行がそのタイマを超えたかどうかを判定する。タイマが満了していないと、eNodeB111は、プロセス要素280において、UE112が別のトランスポートブロックを送信する必要があるまで、プロセス275を終了してもよい。タイマが満了していると、eNodeB111は、UE112が別のトランスポートブロックをeNodeB111に送信する必要があるまで、プロセス要素287内のUE112にHARQ NACKを送信してプロセス275を終了することができる。
【0028】
図8は、無線通信システムにおいてUE112で動作可能な別の例示的なプロセス290を示すフローチャートである。この実施形態では、UE112は、プロセス要素291において、eNodeB111にデータのトランスポートブロックを送信する。次に、UE112は、SCS NACK、SCS ACK、HARQ ACK、又はHARQ NACKをプロセス要素292で受信したかどうかを判定する。
【0029】
UE112がSCS NACKを受信すると、UE112は、プロセス要素297において、コンテンションウィンドウを増加させ、プロセス要素297において、トランスポートブロックを再送信する。その後、プロセス290は、プロセス要素299において、UE112が別のトランスポートブロックを送信する必要があるまで終了する。
【0030】
UE112がSCS ACK又はHARQ ACKを受信すると、UE112は、プロセス要素293において、トランスポートブロックをバッファ解除する。例えば、トランスポートブロックがeNodeB111によって成功して受信されたため、UE112はもはやトランスポートブロックを保持する必要がない。したがって、UE112は、トランスポートブロックを送信から除去して、別のトランスポートブロックが送信されるようにすることができる。そこから、UE112は、プロセス要素294において、そのコンテンションウィンドウをリセットし、プロセス290は、プロセス要素299において、終了する(すなわち、UE112が別のトランスポートブロックを送信する必要があるまで)。
【0031】
UE112がHARQ NACKを受信すると、UE112は、プロセス要素295において、そのコンテンションウィンドウを増加させ、プロセス要素296においてトランスポートブロックを再送信する。これは、eNodeB111は、ソフトコンバイニング及び/又は誤り訂正(例えば、トランスポートのECCを介して)を介してトランスポートブロックの誤りを訂正することを可能にする。その後、プロセス290は、プロセス要素299において、終了する(すなわち、UE112が別のトランスポートブロックのデータを送信する必要があるまで)。
【0032】
本発明は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、又はハードウェアとソフトウェアとの両方の要素を含む実施形態の形態を取ることができる。一実施形態では、本発明は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むが、これに限定されないソフトウェアで実施される。
図7は、コンピュータ可読媒体306が本明細書に開示される方法のいずれかを実行するための命令を提供することができるようなコンピューティングシステム300を示している。
【0033】
また、本発明は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、又はそれに関連して使用するためのプログラムコードを提供することができるコンピュータ可読媒体306からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。この説明の目的のために、コンピュータ可読媒体306は、コンピューティングシステム300を含む命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用されるプログラムを有形に格納することができる任意の装置とすることができる。
【0034】
媒体306は、任意の有形の電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム(又は装置又はデバイス)とすることができる。コンピュータ可読媒体の例306は、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、取り外し可能コンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、剛体磁気ディスク、及び光ディスクを含んでいる。光ディスクのいくつかの例は、コンパクトディスクのリードオンリメモリ(CD−ROM)、コンパクトディスクのリードライト(CD−R/W)及びDVDを含んでいる。
【0035】
コンピューティングシステム300は、プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適し、システムバス310を通じてメモリ308に直接的又は間接的に結合された1つ又は複数のプロセッサ302を含むことができる。メモリ308は、プログラムコード、大容量記憶装置、実行中に大容量記憶装置からコードが検索される回数を減らすために少なくとも一つのプログラムコードの一時ストレージを提供するキャッシュメモリの実際の実行の間に使用されるローカルメモリを含むことができる。入出力(I/O)デバイス304(キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含むが、限定されない)は、直接に、又は介在するI/Oコントローラを通じて、システムに結合されることができる。ネットワークアダプタは、コンピューティングシステム300が、ホストシステムインターフェイス312などを通じて他のデータ処理システムに、又は介在するプライベートネットワーク又はパブリックネットワークを介してリモートプリンタ又はストレージデバイスに結合されることを可能にしてもよい。モデム、ケーブルモデム、及びイーサネット(登録商標)カードは、現在利用可能な種類のネットワークアダプタのほんの一部である。