特許第6760973号(P6760973)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6760973単純ヘルペスウイルス感染治療のための非特異的遅延型過敏反応
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6760973
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】単純ヘルペスウイルス感染治療のための非特異的遅延型過敏反応
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/122 20060101AFI20200910BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20200910BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   A61K31/122
   A61P31/22
   A61P17/00
【請求項の数】9
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2017-564322(P2017-564322)
(86)(22)【出願日】2016年2月26日
(65)【公表番号】特表2018-506591(P2018-506591A)
(43)【公表日】2018年3月8日
(86)【国際出願番号】US2016019978
(87)【国際公開番号】WO2016138504
(87)【国際公開日】20160901
【審査請求日】2019年2月26日
(31)【優先権主張番号】62/120,973
(32)【優先日】2015年2月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517301564
【氏名又は名称】スクエアエックス、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー、 マクタビッシュ
【審査官】 佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/124055(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0055132(US,A1)
【文献】 Am. J. Pathology, 1991, Vol.138, No.2, pp.477-486
【文献】 International Immunopharmacology, 2009, pp.984-989
【文献】 J.Am. Acad. Dermatol., 1999, Vol.41, pp.595-599
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/327
A61K 39/00−39/44
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療のための、局所免疫増感剤含む組成物であって、前記局所免疫増感剤はスクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)であり、前記組成物は以下の投与形態(a)で投与され、
投与形態(a):前記組成物は、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用されるか、若しくは、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用されるが、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時には適用されず、
これにより、前記適用後の前記ヒトにおける単純ヘルペスウイルスの発症の頻度、継続期間、又は重症度が低減される、
組成物。
【請求項2】
前記適用後の前記ヒトにおける新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記単純ヘルペスウイルスがHSV−1又はHSV−2である、請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒトが口唇ヘルペス又は性器ヘルペスを患っている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
投与形態(a)において、前記組成物が、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に性器若しくは唇以外の部位において適用、若しくは前記ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に適用される
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
投与形態(a)において、前記組成物が、前記ヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用される
請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記局所免疫増感剤がスクアリン酸ジブチルエステルのDMSO溶液である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、投与形態(a)で再度投与される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
再度の投与において、前記組成物が、
(i)先の投与において前記組成物が適用された7日後〜30日後に適用されるか、又は
(ii)先の投与において前記組成物が適用された7日後〜365日後であって、且つ前記ヒトに単純ヘルペスウイルスが発症している時に適用される、
請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
単純ヘルペスウイルス(HSV)は、透明液で満たされた小水疱を特徴とする、皮膚又は粘膜上の痛みを伴う病変を引き起こす。1型単純ヘルペスウイルス(HSV−1)は、しばしば、口、顔、及び目に感染する。2型単純ヘルペスウイルスは、しばしば、性器及び臀部に感染する。しかし、どの血清型もこれらの部位のすべてにおいて感染を引き起こしうる(Stalkup JR et al., Chapter 80, Human Herpesviruses in Dermatology, Bolognia JL et al. eds. 2003, Mosby Edingurgh, United Kingdom)。
【0002】
通常、単純ヘルペスウイルスへの一次感染は軽い発熱と感染部位での病変を引き起こす。平均して8〜12日間で治癒し、そしてウイルスは神経節に移動して、そこで潜在期で生息する。ウイルスは、身体的ストレス若しくは感情的ストレス、風邪、発熱、免疫抑制などの様々な原因により、又は明らかな原因無しに、再度活性化されうる。活性化により再発(secondary outbreak)が起こる。HSV-1の場合、再発では口の唇紅境界上の口唇ヘルペスが生じることが多い。HSV-2の場合、再発では、外陰部、膣、又は陰茎などの性器又はその周辺における病変が起こることが最も普通である。
【0003】
通常、痒み、刺痛、及び灼熱感が、皮膚又は粘膜の局所的な紅斑の数時間前に起こる。その後、小水疱が皮膚又は粘膜上に生じる。数日後、潰瘍は乾燥して潰れ、通常約10日間で治癒する。
【0004】
この再発により、多くの場合、局所痛及び全身の微熱が引き起こされる。
【0005】
HSV-2は、通常、性的接触により伝染する。HSV-1は、HSV-1ウイルスを含む唾液との接触により感染すると考えられている。一方又は両方の血清型の単純ヘルペスウイルスの感染は極めてよくみられる。世界の人口の90%以上がHSV-1に対する抗体を有していると推定した者もいる。米国の4千万人〜6千万人がHSV-2に感染している(Stalkup JR et al., 上記参照)。
【0006】
単純ヘルペスウイルス感染の治療法はない。抗ウイルス療法により、再発におけるウイルスの排出及び症状がわずかに減少する。抗ウイルス療法は、免疫不全患者における慢性感染を治癒することはできる。抗ウイルス療法は、予防的にも使用される。しかしながら、抗ウイルス薬は感染に対処するものではないため、予防的な抗ウイルス療法が患者の生涯にわたって必要となりうる(Chakrabarty A et al. 2005, Skin Therapy Lett. 10(1): 1-4)。抗ウイルス薬を予防的に使用しても、頻度は低くなるものの、依然として発症が起こるのが普通である。通常使用される単純ヘルペスウイルスに対する抗ウイルス薬としては、アシクロビル(acyclovir)及びその誘導体、例えば、バラシクロビル(valacyclovir)及びファムシクロビル(famciclovir)が挙げられる。これらは通常経口投与されるが、静脈注射又は局所クリームによって投与することもできる。ドコサノール(docosanol)クリーム(ABREVA)はまた、発症期間を若干減少させることが示されている(Sacks SL et al. 2001, J Am Acad Dermatol . 45(2):222-30)。
【0007】
単純ヘルペスウイルス感染を治療する新たな物質及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のある実施態様は、遅延型過敏(DTH)反応を誘発する物質を、発症中に単純ヘルペスウイルス病変部位に局所投与することに関する。これにより、ウイルス濃度の高い該病変領域へのT細胞の遊走が引き起こされる。このことは、単純ヘルペスウイルスを認識するよう免疫系をトレーニングするようであり、そしてこのウイルスに対する免疫応答を強化し、これにより治療を受けた一回又は複数回の発症の後における、後の単純ヘルペスウイルス発症(例えば、口唇ヘルペス又は性器における発症)の重症度及び頻度を低減する。スクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)、ジフェニルシクロプロぺノン(DPCP)、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)、及びツタウルシ(poison ivy)葉抽出物などの、遅延型過敏反応を誘発する任意の化合物又は混合物を用いることができる。また、ムンプス抗原又は患者が免疫を有している可能性があるその他の抗原など、遅延型過敏反応を誘発するタンパク質抗原を、発症部位の皮膚又は粘膜に注射してもよい。本発明は、1型単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる口唇ヘルペスで試験された。本発明は、2型単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる性器ヘルペスでも機能する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態は、遅延型過敏(DTH)反応を誘発する物質を患者の単純ヘルペスウイルス(HSV)病変部位に局所投与して、単純ヘルペスウイルス感染の1回又は複数回の発症の間、該病変部位での遅延型過敏反応を誘発することを含む、単純ヘルペスウイルス感染の治療方法に関する。
【0010】
本発明の別の実施形態では、単純ヘルペスウイルスに感染した患者において単純ヘルペスウイルスが後に発症する頻度又は重症度を低減するのに有効な医薬を調製するための、ヒトにおいて遅延型過敏反応を誘発可能な物質の医学的使用が提供される。
【0011】
非常に驚くべきことに、頻繁に口唇ヘルペス(唇上の口唇ヘルペス病変)を患うヒトを対象とした臨床試験(以下の実施例2に記載)において、遅延型過敏反応を誘発する物質であるスクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)を上腕の内側面に局所的に適用することにより、実際に将来の単純ヘルペスウイルスの発症が予防されることが分かった。患者は上腕にスクアリン酸ジブチルエステルを一度だけ局所適用され、単純ヘルペスウイルス病変部位での追加の適用を受けておらず、これにより実際に将来の発症が予防された。結果はプラセボ対照群に対して統計的に有意であった。
【0012】
このことは、単純ヘルペスウイルスの発症部位以外の部位に遅延型過敏反応を誘発する物質を投与することにより、将来における単純ヘルペスウイルスの発症を予防可能であることを意味する。
【0013】
遅延型過敏反応を誘発できる物質は、大きくいえば、(1)例えばDMSO溶液の形態で、局所的に適用されたときに遅延型過敏反応を誘発する局所免疫増感剤(topical immunosensitizer)、例えばスクアリン酸ジブチルエステル、及び(2)皮内注射されたときに遅延型過敏反応を誘発するリコール抗原(recall antigen)、例えばカンジダ抽出物又はムンプス抗原、の2つのクラスが存在する。
【0014】
したがって、別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に性器若しくは唇以外の部位において適用する、若しくは該ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に適用すること、又は
(b)リコール抗原を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに性器若しくは唇以外の部位において皮内注射する、若しくは該ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に皮内注射すること、
を含む投与工程を含む単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は、(ii)リコール抗原を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部において皮内注射すること、をさらには含まない、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法が提供される。
【0015】
別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用する、若しくは、局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、又は
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくは、リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において皮内注射すること、
を含む投与工程を含む単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は、(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部において皮内注射すること、をさらには含まない、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法が提供される。
【0016】
別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に性器若しくは唇以外の部位において適用する、若しくは該ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に適用すること、又は
(b)リコール抗原を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに性器若しくは唇以外の部位において皮内注射する、若しくは該ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に皮内注射すること、
を含む第一の投与工程、並びに
第一の投与工程から1週間後〜2年後の間の少なくとも1回の別の時点で、同じ局所免疫増感剤を適用又は同じリコール抗原を皮内注射することによって、工程(a)又は工程(b)を繰り返すことを含む第二の投与工程、
を含む、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法が提供される。
【0017】
別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又は
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射すること、
を含む投与工程を含む単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法により、前記投与工程後のヒトにおける単純ヘルペスウイルスの発症の頻度、重症度、又は継続期間が低減される、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法が提供される。
【0018】
別の実施形態では、
単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に投与された場合に、又は単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において投与された場合に、単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染した患者において単純ヘルペスウイルスが後に発症する頻度を低減するのに有効な医薬を調製するための、ヒトにおいて遅延型過敏(DTH)反応を誘発可能な物質(局所免疫増感剤又はリコール抗原)の医学的使用、が提供される。
【0019】
別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又は(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射すること、によって投与された場合に、単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染した患者における後の単純ヘルペスウイルス発症の頻度を低減するのに有効な医薬を調製するための局所接触増感剤又はリコール抗原の医学的使用、
が提供される。
【0020】
別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に性器若しくは唇以外の部位に適用する、又は該ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に適用することを含む、第一の投与工程、及び
(b)同じ局所免疫増感剤を該ヒトにおける単純ヘルペスウイルスの発症の間に上皮における単純ヘルペスウイルス病変に病変部位において適用することを含む、第二の投与工程、
を含み、
第二の投与工程は第一の投与工程の少なくとも1週間後に行われ、第二の投与工程は前記ヒトにおける投与部位での局所的な紅斑を引き起こさない、
単純ヘルペスウイルス感染の治療方法が提供される。
【0021】
別の実施形態では、
単純ヘルペスウイルス感染の治療方法において使用される、局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物であって、
前記方法は、(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用する、若しくは、局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部位以外の部位で適用すること、又は、(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくは、リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位に単純ヘルペスウイルスの発症の間に皮内注射すること、を含む投与工程を含み、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は、(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部位において皮内注射すること、をさらには含まず、
前記方法により、前記投与工程の後の前記ヒトにおける新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減する、
局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物が提供される。
【0022】
別の実施形態では、
単純ヘルペスウイルス感染の治療方法において使用される局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物であって、
前記方法は、(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又は、(b)リコール抗原を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射すること、を含む投与工程を含み、
前記方法により、前記投与工程の後の患者における新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減する、
局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物が提供される。
【0023】
これらの方法により、一回又は複数回の投与工程後のヒトにおける発症の頻度、継続期間、又は重症度が低減される。通常は局所免疫増感剤は局所的に適用されるであろうが、「局所免疫増感剤を皮膚に適用する」との用語は、局所免疫増感剤を皮内注射することも包含する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一つの実施形態は、遅延型過敏(DTH)反応を誘発する物質を、患者に、単純ヘルペスウイルス病変部位において局所投与して、単純ヘルペスウイルス感染の1回又は複数回の発症の間、該病変部位での遅延型過敏反応を誘発することを含む、単純ヘルペスウイルス感染(HSV)の治療方法に関する。「発症」は、単純ヘルペスウイルス感染に起因する灼熱感、刺痛、痛み、又は可視的病変の一時的な発現(episode)をいう。発症は患者が感染の徴候を有していない休止期間とは区別される。
【0025】
遅延型過敏(DTH)反応は、IV型過敏反応としても知られており、通常は免疫源との接触の24〜48時間後に最大強度に達する免疫反応である。遅延型過敏反応により、免疫源との接触部位に可視的な紅斑が形成される。遅延型過敏反応は主としてT細胞応答である(Goldsby, Richard A. et al. 2000, Kuby Immunology, 4th edition, WH Freeman and Co., New York, chapter 16)。遅延型過敏反応は、抗原が感作TDTH細胞を活性化するときに起こる。TDTH細胞の活性化の結果、種々のサイトカインが分泌され、マクロファージを当該領域に引き寄せて活性化する。
【0026】
T細胞及び細胞性免疫はウイルス感染との戦いを担う免疫系の主要戦力である。細胞性免疫は、単純ヘルペスウイルスなどの細胞内病原体が含まれる細胞を認識及び排除することを担う。理論に拘束されるものではないが、発明者らは本発明の遅延型過敏反応により単純ヘルペスウイルス発症領域へのT細胞の遊走が引き起こされると考えている。発症中に前記領域に多数の単純ヘルペスウイルス粒子及び単純ヘルペスウイルスタンパク質が存在することにより、T細胞は単純ヘルペスウイルス及び単純ヘルペスウイルスが含まれる細胞を認識することをよりよく学習する。その結果、その後においては単純ヘルペスウイルスに対する免疫応答はより強くなり、体内からウイルス及びウイルス感染細胞を除去する働きが向上し、それにより発症が予防され発症の重症度が低減される。これは、免疫系による認識が弱かったエピトープがよりよく認識されるようになる、「エピトープ アンヴェイリング(epitope unveiling)」というプロセスである。
【0027】
ヒトパピローマウイルスによって引き起こされるいぼは、DNCBなどの接触増感剤を局所的に適用して、又はムンプス抗原、カンジダ抗原、若しくは白癬菌抗原など、患者において遅延型過敏反応を引き起こすヒトパピローマウイルスとは関連のないタンパク質抗原を病巣内注射して、遅延型過敏反応をいぼの部位で誘発することによって治療できることが先に示されている(U.S. patent no. 6,350,451; U.S. published patent application no. 20050175634; Johansson, E. et al. 1984, Dinitrochlorobenzene (DNCB) treatment of viral warts, Acta Derm. Verereol (Stockh) 64:529-533; Dunnigan, W.G. et al., 1982, Dinitrochlorobenzene immunotherapy for verrucae resistant to standard treatment modalities, J. Am. Acad. Dermatol. 6:40-45)。
【0028】
本発明も同様の機序で機能するようである。
【0029】
遅延型過敏反応を誘発するために使用される本発明の免疫源は、対象者が以前に遭遇し、該対象者が免疫認識を形成したタンパク質抗原であってもよい。これは結核菌抗原などのアレルゲン又は抗原に対する皮膚試験の原理である。免疫源は、ツタウルシ(poison ivy)、ウルシ(poison oak)、及びその他の刺激性植物中の活性刺激性成分であるオイルである、ウルシオールなどの局所接触増感剤であってもよい。局所接触増感剤は、典型的には、ハプテンである。ハプテンは単独では免疫応答を誘発しないが、タンパク質及びほかの巨大分子と結合すると、免疫応答及びハプテン決定基を特異的に認識する抗体を誘発する小分子である。局所接触増感剤は、典型的には、皮膚においてタンパク質と反応して免疫原性である付加体を形成するハプテンである。
【0030】
したがって、いくつかの実施形態では、遅延型過敏反応を誘発する物質は、局所接触増感剤であり、これはヒトの皮膚に適用されると遅延型過敏反応を誘発する物質である。局所接触増感剤はまた、本明細書において局所免疫増感剤ともいわれる。これら2つの用語は同じ意味を有しており、互換的に使用される。
【0031】
したがって、いくつかの実施形態では、前記方法は、遅延型過敏反応を誘発する物質を患者に単純ヘルペスウイルス病変部位において局所適用して、該病変部位における遅延型過敏反応を誘発することを含む。
【0032】
局所的に適用された接触増感剤は通常、アセトン又はジメチルスルホキシドなどの有機溶媒を溶媒とする溶液として適用される。接触増感剤が水溶性である場合は、代わりに、接触増感剤は水溶液の形態で適用できる。接触増感剤はまた、クリーム、軟膏、オイルなどの形態でも適用できる。
【0033】
遅延型過敏反応を誘発する物質が局所的に適用される(遅延型過敏反応を誘発する物質が局所接触増感剤である)具体的な実施形態では、前記物質は、スクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)、ジフェニルシクロプロぺノン(DPCP)、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)、又は1−クロロ−2,6−ジニトロベンゼンである。いくつかの実施形態では、前記物質は、スクアリン酸又はそのエステルである。より具体的な実施形態では、前記物質は、スクアリン酸ジエステル、例えば、スクアリン酸ジエチルエステル、又はスクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)である。
【0034】
スクアリン酸の構造を以下に示す。
【0035】
【化1】
【0036】
スクアリン酸ジブチルエステルの系統名は、3,4−ジブトキシ−3−シクロブテン−1,2−ジオンである。その構造を以下に示す。
【0037】
【化2】
【0038】
これらの接触増感剤は、Spectrum Chemical Manufacturing Corp.の一部門であるSpectrum Chemicals & Laboratory Products(カリフォルニア州ガーデナ及びニュージャージー州ニューブランズウィック)などの、いくつかの商業的供給源から入手可能である。
【0039】
他の実施形態では、遅延型過敏反応を誘発する物質は、ウルシオール又は刺激性植物の抽出物を含む。
【0040】
本明細書において、用語「局所接触増感剤」は「局所免疫増感剤」と同じ意味を有している。これら2つの用語は、ヒトの皮膚に局所適用されると、予め感作されたヒトのうち過半数で、局所的な遅延型過敏反応を誘発する任意の物質を意味する(局所的な遅延型過敏反応は、適用部位での局所的紅斑が投与後の最初の24時間以内にピークに達するのではなく、投与の例えば約2日後にピークに達するといった、遅れてピークに達することにより示される)。適切な試験は、アセトン又はDMSO中の2%w/vの濃度の試験物質を、0.2mlの量で1cm以下の皮膚領域に適用すること(試験適用)を、同じ濃度及び量の同じ物質を同じヒトに試験適用前2〜12週間の期間に予め適用(感作適用)した後に行うものである。局所接触増感剤の場合、前記試験適用により過半数のヒトで局所的な遅延型過敏反応が誘発される。
【0041】
別の実施形態では、遅延型過敏反応を誘発する物質はタンパク質抗原である。タンパク質抗原は単純ヘルペスウイルス抗原であってもよいが、通常は、単純ヘルペスウイルス抗原ではない。遅延型過敏反応を誘発する任意の抗原を使用することができる。対象者は抗原に対する予め存在する感受性を有していてもよい。ムンプス抗原、カンジダ抗原、及び白癬菌抗原は、この点で好ましい三種の抗原である。人口の大部分が、これらの抗原の1種又は複数種に対して予め存在する感受性を有しているからである。対象者が予め存在する感受性を有していない、その他の外来(非自己)抗原を使用することも出来る。この場合、対象者に単純ヘルペスウイルス発症部位において抗原を局所的に投与して発症部位で遅延型過敏反応を誘発する前に、前記対象者に抗原を投与することで前記対象者を抗原に対して感作しておく(すなわち、抗原で対象者を免疫化する)べきである。
【0042】
ある具体的な実施形態では、遅延型過敏反応を誘発する物質は、リコール抗原である。
【0043】
典型的なリコール抗原は、免疫応答を試験するための免疫原性皮膚試験に一般的に用いられる抗原であり、特に、ムンプス抗原、カンジダ抗原、及び白癬菌抗原である。試験により、体が抗原を「記憶」しているかどうか、すなわち、皮内注射により抗原が投与された皮膚において遅延型過敏反応があるかどうかが示される。
【0044】
本明細書において、「リコール抗原」との用語は、複数のタンパク質抗原を含む物質又は混合物であって、皮内皮膚試験において、リコール抗原に以前に感作又は暴露された免疫能の正常なヒトの大多数で(紅斑の遅延型出現により示される)遅延型過敏反応を誘発する物質又は混合物と定義される。典型的なリコール抗原は、免疫応答を試験するための免疫学的皮膚試験に一般的に用いられる抗原であり、特に、ムンプス抗原、カンジダ抗原、及び白癬菌抗原である。これらの各々は、「抗原」という単一の用語で呼ばれるが、実際は免疫応答を誘発できる数種又は多種の分子物質からなる。
【0045】
ある具体的な実施形態では、リコール抗原は、ムンプス抗原(例えば、死滅全ムンプスウイルス)、カンジダ抽出物、又は白癬菌抽出物であってもよい。
【0046】
ある具体的な実施形態では、リコール抗原は、死滅ウイルス体全体、死滅細菌体全体、又は死滅微生物体全体である。
【0047】
したがって、いくつかの実施形態では、前記方法は、患者に、遅延型過敏反応を誘発する物質を単純ヘルペスウイルス病変部位において病巣内(例えば、皮内)注射して、該患者の該病変部位において遅延型過敏反応を誘発することを含む。
【0048】
前記物質を病巣内注射する具体的な実施形態では、前記物質は、ムンプス抗原、カンジダ抗原、又は白癬菌抗原を含む。
【0049】
抗原の用量は、これらの抗原を用いた皮膚試験において用いられる用量と略同一であってもよい。この用量は、軽度から中程度の遅延型過敏反応を誘発する用量であるべきである。
【0050】
ある具体的な実施形態では、前記方法は、発症部位で遅延型過敏反応を誘発する前に、遅延型過敏反応を誘発する物質を患者に投与して、該物質に対する感受性を患者に発現させることをさらに含む。この前感作工程は、病巣内投与された抗原又は局所適用された前記物質によって行うことができる。前感作工程では、前記物質を発症部位において投与してもよい。この工程は、単純ヘルペスウイルス及び単純ヘルペスウイルス感染細胞を刺激認識することを促進するために有益である。あるいは、前感作工程では、前記物質はどの部位に投与してもよい。例えば、患者に発症した時又は発症していない時に、局所接触増感剤を前腕上に投与してもよく、注射可能な抗原を皮内注射により前腕に投与してもよい。
【0051】
ある具体的な実施形態では、前記方法は、単純ヘルペスウイルス病変部位で遅延型過敏反応を誘発する工程の前に、遅延型過敏反応を誘発する物質を患者に少なくとも1つの用量レベルで投与して、単純ヘルペスウイルス病変部位で遅延型過敏反応を誘発するための、投与対象物質の用量レベルを決定することを含んでいてもよい。
【0052】
それぞれ単純ヘルペスウイルス−1及び単純ヘルペスウイルス−2発症の病変について最も一般的な領域である唇及び性器はともに、非常に敏感な領域である。また唇は非常に目立つ領域である。このため、これらの領域では激しい遅延型過敏反応が誘発されないことが望ましい。そのような激しい遅延型過敏反応は痛みを伴い醜いことがあるからである。よって、単純ヘルペスウイルス病変部位に前記物質を適用する前に、適切なレベルの遅延型過敏反応を誘発する用量を見出すために前腕などのより敏感度が低く且つより目立たない領域で前記物質を1又はそれ以上の用量で試験してもよい。単純ヘルペスウイルス病変部位での遅延型過敏反応がかなり軽度である場合であっても、前記方法が機能することがわかった。激しい遅延型過敏反応を誘発する必要は無いようである。しかし、遅延型過敏反応がより強ければ、前記方法は、後の発症を防止する単純ヘルペスウイルスに対する持続性免疫の誘発により有効なものでありうる。
【0053】
前記方法が機能するためには、遅延型過敏反応を誘発することは必須ではない。実施例2に記載の本発明者らによる臨床試験では、スクアリン酸ジブチルエステル適用部位で目に見える紅斑を発生しなかった治療患者であっても、プラセボ投与患者と比べて、次の単純ヘルペスウイルスの発症までの期間のメジアン値が、それでもなお長かった。
【0054】
したがって、本明細書に記載の全ての方法において、方法が遅延型過敏反応を誘発することを含む場合、該方法は、実際に目に見える遅延型過敏反応を誘発せずに、遅延型過敏反応を誘発可能な物質(局所免疫増感剤又はリコール抗原)を投与することを含んでいてもよい。このことは、投与が単純ヘルペスウイルス病変部位で行われていようが、そのヒトの体の他の部位で行われていようが、当てはまる。
【0055】
DNCBの場合は、適切な感作用量はアセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、又は他の溶媒中の2%DNCB溶液であるようであり、適切な治療用量は、例えば、0.05%〜2.0%のDNCBである。スクアリン酸ジブチルエステルの適切な感作用量は2%溶液であり、適切な治療用量は、例えば、0.05%〜2%の溶液である。これらの範囲より高い又は低い用量もまた、一部の患者では使用されうる。
【0056】
一つの実施形態においては、局所接触増感剤の溶液は、繰り返しこすったり広がった領域にわたって溶液を塗り広げることをせずに、所望の適用部位の皮膚又は粘膜上に前記溶液で飽和した綿棒を軽く押さえることによって適用される。感作適用及び治療適用の両方について、局所接触増感剤は洗い落とす前の少なくとも数時間の間、皮膚につけたままにしておくことが好ましい。
【0057】
別の実施形態では、局所接触増感剤の溶液は、マイクロピペット、シリンジ、又はマイクロシリンジなど、固定容積機器を用いて適用される。これにより、規定の容積を適用することが可能となり、ひいては規定の量の接触増感剤を適用することが可能になる。このことは、強度のレベルの予測可能性がより高い遅延型過敏反応を引き起こすのに有用である。非標的領域に溶液が広がったり流れたりせずに、病変などの限定された標的領域に溶液を適用することが可能な典型的な容積は、2〜40マイクロリットルである。
【0058】
前記方法の特定の実施形態では、単純ヘルペスウイルスは、1型単純ヘルペスウイルスである。他の実施形態では、単純ヘルペスウイルスは、2型単純ヘルペスウイルスである。
【0059】
特定の実施形態では、前記方法は、遅延型過敏反応を誘発する物質を患者の唇上の又は唇に隣接する単純ヘルペスウイルス病変部位において投与することを含む。
【0060】
特定の実施形態では、前記方法は、遅延型過敏反応を誘発する物質を患者の性器上の単純ヘルペスウイルス病変部位において投与することを含む。
【0061】
特定の実施形態では、前記方法は、遅延型過敏反応を誘発する物質を患者の単純ヘルペスウイルス病変部位の皮膚に局所的に適用することを含む。他の実施形態では、前記方法は、前記物質を患者の単純ヘルペスウイルス病変部位の粘膜に局所的に適用することを含む。
【0062】
前記方法により将来の発症の重症度若しくは将来の発症の頻度、又はその両方を低減することができる。前記方法は、単純ヘルペスウイルス病変部位で遅延型過敏反応が誘発されている間の発症の重症度を低減することを目的とするものではない。実際のところ、前記方法により、当該特定発症は実際は悪化する可能性がある。遅延型過敏反応は炎症に関与しており、軽い発熱を引き起こしうる。炎症及び発熱はそれら自体が単純ヘルペスウイルス発症の誘因であるので、遅延型過敏反応が単純ヘルペスウイルスを誘発して現在の単純ヘルペスウイルス発症を悪化させる可能性がある。しかし、当該発症が治まる又は収拾されると、後の発症は頻度が大幅に低くなる及び/又は重症度が大幅に低くなることが分かる。
【0063】
遅延型過敏反応が誘発されている間の単純ヘルペスウイルスの発症を悪化させるという遅延型過敏反応の傾向に対抗するため、一つの実施形態では、前記方法は、遅延型過敏反応が誘発されている発症の間、アシクロビル又はバラシクロビルなどの抗ウイルス薬で患者を治療することが含んでいてもよい。
【0064】
さらなる発症が起こった場合には、単純ヘルペスウイルス病変部位において遅延型過敏反応を誘発する工程を2回以上繰り返して単純ヘルペスウイルスに対する免疫応答をさらに強化してもよい。先の治療に起因する免疫応答を十分に発達させるために、治療と治療との間は少なくとも2週間の間隔を空けることが好ましい。
【0065】
後の発症(例えば、治療の後の発症、遅延型過敏反応を誘発するために物質が投与されない発症)の回数及び重症度を減少させるレベルの免疫を形成するために、多くの患者は2回以上の治療を必要とすることがある。形成した免疫は後の発症を完全に防止することが好ましい。したがって、遅延型過敏反応を誘発する物質は、一回の発症において病変に投与される。この発症が治まり後の再度の発症が発生した場合には、前記物質を病変部位に再度投与してもよい。1〜3回又はそれ以上の回数の発症の間に前記物質を投与した後は、患者は長期間発症せずにすみうる。しかし免疫は最終的には消滅しえ、発症が再度起こりうる。その後、必要に応じて1回又は複数回の発症の間、発症を防止する免疫を再度形成するために遅延型過敏反応を誘発する物質を再度適用してもよい。
【0066】
したがって、一つの実施形態では、前記方法は、(a)遅延型過敏(DTH)反応を誘発する物質を患者に単純ヘルペスウイルス病変部位において局所投与して、単純ヘルペスウイルス感染の1回の発症の間(例えば、6カ月間にわたる期間におけるただ1回の発症の間)、前記病変部位での遅延型過敏反応を誘発することを含む。一つの実施形態では、前記方法には、遅延型過敏(DTH)反応を誘発する物質を患者に単純ヘルペスウイルス病変部位において局所投与して、単純ヘルペスウイルス感染の1回の発症の間、前記病変部位での遅延型過敏反応を誘発することを含むが、前記一回の発症の前後3ヶ月以内の別の発症の間、単純ヘルペスウイルス病変部位での遅延型過敏反応を誘発するために遅延型過敏反応を誘発する物質を患者に該病変部位において投与することを含まない。
【0067】
別の実施形態では、前記方法は、(a)遅延型過敏(DTH)反応を誘発する物質を、患者に、単純ヘルペスウイルス感染の2回又は複数回の発症の間(例えば、6カ月の期間間における2回又は複数回の発症の間)、単純ヘルペスウイルス病変部位において局所投与して、前記病変部位での遅延型過敏反応を誘発することを含む。
【0068】
本発明の一つの実施形態によれば、単純ヘルペスウイルス(HSV)の発症の頻度又は重症度の低減に有効な医薬を調製するための、ヒトにおいて遅延型過敏反応を誘発可能な物質の医学的使用が提供される。
【0069】
特定の実施形態では、前記物質は、局所的に投与された場合にヒトにおいて遅延型過敏反応を誘発可能な局所接触増感剤である。
【0070】
別の実施形態では、前記物質は、皮内注射された場合にヒトにおいて遅延型過敏反応を誘発可能な抗原である。
【0071】
本発明の方法はまた、後の発症の継続期間及び重症度を低減することにより、感染の伝播を低減する。このことは、HSV−1感染及びHSV−2感染の両方、並びに性器ヘルペス及び口腔ヘルペスの両方に当てはまる。
【0072】
前記方法の一つの実施形態では、前記方法によりHSV−1の感染伝播が低減される。
【0073】
前記方法の一つの実施形態では、前記方法によりHSV−2の感染伝播が低減される。
【0074】
本発明の方法の一つの実施形態では、前記方法により口腔ヘルペスの感染伝播が低減される。
【0075】
本発明の方法の一つの実施形態では、前記方法により性器ヘルペスの感染伝播が低減される。
【0076】
特定の実施形態では、前記方法により後の発症の頻度が少なくとも50%低減される(すなわち、治療後の次の発症までの時間が100%以上増加する)。他の実施形態では、前記方法により後の発症の頻度が75%以上低減される。他の実施形態では、前記方法により後の発症の頻度が70%以上、80%以上、又は90%以上低減される。一つの実施形態では、前記方法により発症と発症との間の時間が増加する。特定の実施形態では、前記方法により発症と発症との間の時間が2倍以上、3倍以上、4倍以上、又は5倍以上増加する(例えば、治療された発症の解消から次の後の発症までの時間が、以前の発症と発症との間の平均時間と比較して増加する)。
【0077】
局所接触増感剤又はリコール抗原を投与する工程による免疫効果の形成には、2週間又はそれ以上要すると考えられている。遅延型過敏反応に特徴的な炎症は、完全に消失するのに最大で3週間を要しうる。炎症は単純ヘルペスウイルス発症の誘因として知られており、1回又は複数回の投与工程の後の単純ヘルペスウイルスの発症の低減は、投与工程の3週間後までは完全に効果が現れないことがある。したがってある具体的な実施形態では、前記方法により投与工程の21日以上後に開始する発症の頻度が低減される。ある具体的な実施形態では、前記方法により、投与工程後21日目からこの投与工程の21日以上後に開始する次の発症までのメジアン時間が、2倍以上、又は3倍以上、又は4倍以上増加する。
【0078】
特定の実施形態では、本発明の方法により、後の発症の継続期間が低減される。特定の実施形態では、本発明の方法により、後の発症における病変の治癒までの時間が10%以上、20%以上、30%以上、又は40%以上低減される。
【0079】
前記方法は細胞性免疫を刺激すると考えられている。細胞性免疫は、以下の実施例2に記載のように、末梢血単核細胞増殖アッセイによってアッセイしてもよい。前記方法のある具体的な実施形態では、前記方法により、(実施例2に例示されるように)単純ヘルペスウイルス粒子による刺激の増殖アッセイにおいて末梢血単核細胞の刺激インデックスが増加する。ある具体的な実施形態では、前記方法により、刺激インデックスが治療前の30未満から、治療後の30超、50超、又は60超へと増加する。他の実施形態では、前記方法により、刺激インデックスが治療前の50未満から、治療後の50超又は60超へと増加する。他の実施形態では、前記方法により、刺激インデックスが10以上、20以上、30以上、40以上、又は50以上増加する。他の実施形態では、前記方法により、刺激インデックスは2倍以上、3倍以上、又は4倍以上になる。
【0080】
免疫応答促進剤を遅延型過敏反応を誘発する物質と共に用いて、遅延型過敏反応により単純ヘルペスウイルスに対する免疫の形成を促進してもよい。使用可能な促進剤の一例は、サイトカインである。使用可能なサイトカインの中には、インターフェロン(例えば、インターフェロンα)、顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)、インターロイキン2、及びインターロイキン12がある。これらは各々、細胞性免疫応答又は抗ウイルス免疫応答を促進することが示されている(Kiline MO et al. 2006, J. Immunol. 177:6962-73; Arora A. et al. 2006, J. Surg. Oncol. 94:403- 412; Horn et al., 米国特許出願公開第20050175634号)。
【0081】
米国特許出願公開第20050175634号には、いぼにおいて遅延型過敏反応を誘発するために関連性のない抗原を病巣内注射することが報告されている。この文献には、一部の患者は抗原のみの病巣内注射を受け、他の患者はインターフェロンα又はGM−CSFの病巣内注射も受けた場合の研究が報告されている。治療に対して応答した患者の割合は、インターフェロンα又はGM−CSFを抗原と共に投与された患者の方が、抗原のみを投与された患者よりも高かったが、治療された対象者の数は、この差が統計的に有意な差であるとするには不十分であった。
【0082】
サイトカインの適切な用量は、当該技術分野で知られているか、又は最良の結果を与える用量範囲を同定するための実験によって決定できる。インターフェロンαの適切な用量は、例えば、局所投与で約1,000,000IUである。
【0083】
サイトカインの投与は、病変部位での皮内注射によるものであってもよい。また、サイトカインの投与は、局所投与、例えば軟膏、クリーム、又はローションでの局所投与、によるものであってもよい(Syed TA et al. 1995. J. Mol. Medicine 73 : 141-144)。
【0084】
別の実施形態では、免疫応答促進剤は、サイトカインの合成を刺激する医薬である。一つの実施形態では、免疫応答促進剤は、サイトカインの合成を刺激する合成(すなわち、天然に存在する分子ではない)医薬である。具体例には、イミキモド(imiquimod)及びレシキミド(resiquimod)がある(Spruance SL et al. 2001, J. Infect Dis. 184: 196-200; Bernstein DI et al. 2005, Clinical Infectious Disease 41 :808- 814)。
【0085】
免疫応答促進剤は、免疫応答促進剤が遅延型過敏反応の間に影響を与えることになる任意の適切な時期に投与することができる。この時期は遅延型過敏反応を誘発する物質が投与される時期と同じ時期であってもよく、多少前後してもよい。免疫応答促進剤は、遅延型過敏反応前又は遅延型過敏反応中に投与されるべきである。
【0086】
患者が単純ヘルペスウイルスの発症を有している可能性がある又は有していない可能性がある時に該患者の腕に局所免疫増感剤を適用することにより、将来の発症が低減される。これは、局所免疫増感剤又はリコール抗原を単純ヘルペスウイルス(HSV)病変部位に一度も投与しなくてもそうである。この発見により、別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、若しくは局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、又は(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくはリコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位に単純ヘルペスウイルスの発症の間に皮内注射すること、を含む投与工程を含む単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部位において皮内注射すること、をさらには含まない、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法が提供される。
【0087】
別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に性器若しくは唇以外の部位において適用、若しくは該ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に適用すること、又は(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに性器若しくは唇以外の部位において皮内注射、若しくは該ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に皮内注射すること、を含む第一の投与工程、及び
第一の投与工程後1週間〜2年間の間の少なくとも1回の別の時点で前記ヒトに同じ局所免疫増感剤を適用又は同じリコール抗原を皮内注射することによって工程(a)又は工程(b)を繰り返すことを含む第二の投与工程
を含む、単純ヘルペスウイルス感染の治療方法が提供される。
【0088】
別の実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又は(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射すること、を含む投与工程を含む単純ヘルペスウイルス感染の治療方法であって、
前記方法により、前記投与工程後のヒトにおいて単純ヘルペスウイルスの発症の頻度、重症度、又は継続期間が低減される、
単純ヘルペスウイルス感染の治療方法が提供される。
【0089】
上腕の内側面は、ヒトが体側で腕をだらりとしたときに胸部と接触する上腕表面をいう。上腕の内側面は、実施例2に記載の臨床試験において初期用量の局所免疫増感剤が適用され、有効性が証明された場所である。適用により発疹が引き起こされる可能性があり、上腕の内側面は衣服で隠れるため発疹が見苦しい又は恥ずかしくはないので、上腕の内側面は前記物質を適用するのに好ましい部位である。また、上腕の内側面は腋窩の主要なリンパ節に近く、このことは有効性の根拠の一部である可能性がある。したがって、上腕の内側面は、有効性の目的で薬を適用するのに特に好ましい部位でありうるとともに、発疹が現れた場合には体の隠れた部位である。
【0090】
さらに、本明細書に記載の単純ヘルペスウイルス治療方法のある具体的な実施形態では、前記方法によって投与工程後のヒトにおいて新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減される。
【0091】
ある具体的な実施形態では、前記方法は、局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に投与すること、又は局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、を含む。
【0092】
ある具体的な実施形態では、投与工程は、局所免疫増感剤をヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又はリコール抗原をヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射することを含む。
【0093】
ある具体的な実施形態では、前記局所免疫増感剤は、スクアリン酸、スクアリン酸エステル、ジフェニルシクロプロぺノン(DPCP)、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)、又は1−クロロ−2,6−ジニトロベンゼンを含む。
【0094】
ある具体的な実施形態では、前記局所免疫増感剤はスクアリン酸ジブチルエステルであり、DMSOを溶媒とする溶液として適用される。
【0095】
ある具体的な実施形態では、治療されるヒトは口唇ヘルペスを患っている。
【0096】
ある具体的な実施形態では、治療されるヒトは性器ヘルペスを患っている。
【0097】
ある具体的な実施形態では、前記方法により、工程(a)の後には後の単純ヘルペスウイルス発症における病変の治癒時間が30%以上低減される。
【0098】
ある具体的な実施形態では、前記方法により、発症と発症との間の時間が2倍以上増加する。
【0099】
ある具体的な実施形態では、前記方法により、発症と発症との間の時間が4倍以上増加する。
【0100】
ある具体的な実施形態では、前記方法により、死滅単純ヘルペスウイルス粒子による増殖刺激を用いた増殖試験において、患者の末梢血単核細胞(PBMC)の刺激インデックスが、治療前の該患者のPMBCの刺激インデックスと比較して、2倍以上になる。
【0101】
ある具体的な実施形態では、前記方法により、投与工程後の次の発症までのメジアン時間が、2倍以上、3倍以上、又は4倍以上増加する。
【0102】
ある具体的な実施形態では、前記方法により、投与工程後21日目からこの投与工程の21日以上後に開始する次の発症までのメジアン時間が、2倍以上、3倍以上、又は4倍以上増加する。
【0103】
さらに、一つの実施形態では、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、若しくは局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、又は(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくはリコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において皮内注射すること、を含む第一の投与工程を含む単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部において皮内注射すること、をさらには含まない、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法が提供される。
【0104】
これの具体的なさらなる実施形態では、前記方法は、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、若しくは、局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、又は
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくはリコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において皮内注射すること、
を含む第二の投与工程をさらに含む。
【0105】
ある具体的な実施形態では、第二の投与工程は、第一の投与工程の7日後〜30日後に行われる。
【0106】
ある具体的な実施形態では、第二の投与工程は、第一の投与工程の7日後〜365日後に行われ、且つヒトに単純ヘルペスウイルスが発症している時(しかしながら、該単純ヘルペスウイルスの発症の間に、単純ヘルペスウイルス病変部位以外の部位に投与することを含む)に行われる。
【0107】
ある具体的な実施形態では、第一の投与工程及び第二の投与工程は、どちらも、(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に該ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、又は局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、を含む。
【0108】
ある具体的な実施形態では、第一の投与工程又はその後の投与工程により、投与部位においてヒトに紅斑が形成される。他の実施形態では、第一の投与工程又はその後の投与工程により、投与部位においてヒトに紅斑が形成されない。
【0109】
局所免疫増感剤又はリコール抗原が単純ヘルペスウイルス病変部位以外の部位に投与されるある具体的な実施形態では、投与工程は、局所免疫増感剤をヒトの脊椎上の皮膚若しくはヒトの三叉神経節上の皮膚に適用すること、又はリコール抗原をヒトの脊椎上の皮膚若しくはヒトの三叉神経節上の皮膚に皮内投与すること、を含む。単純ヘルペスウイルスは脊椎及び三叉神経節中に住み着くことが知られているので、これらは局所免疫増感剤又はリコール抗原の効果的な投与部位で有りうる。
【0110】
本発明を以下の実施例により説明する。これらの実施例は本発明を例示することを目的しており、本発明の範囲を限定することを目的としていない。
【実施例】
【0111】
実施例1
頻繁な重度の口唇ヘルペスを患っている個人の治療
治療を受けた個人は、発明者のうちの一人である。彼は男性であり、この治療の時点で42歳であった。対象者は、下唇に頻繁な口唇ヘルペスを患っていた。通常発症は7〜10日間続き、しばしばより長い期間続いた。対象者は、人生の大半で頻繁な口唇ヘルペスを患ってきた。この治療前の6カ月間、発症はほぼ連続的であった。ある発症が治癒すると、次の発症はしばしば1週間以内に開始していた。
【0112】
アセトンを溶媒とする2%DNCB溶液に綿棒を浸し、この綿棒を前腕上の2点に接触させることよって、対象者をDNCBに前感作した。発疹は形成されなかった。2週間後、対象者の前腕に、感作用量が投与された部位とは異なる場所の小さな2点で、再度2%DNCB溶液を適用した。非常に強いが限局的な発疹が引き続いて起こり、3週間続いた。その後、対象者の上腕上の別々の小さい点に、0.1%溶液、0.2%溶液、及び0.3%溶液を適用した。0.1%溶液は、ほとんど紅斑を引き起こさなかった。0.2%溶液は、溶液の適用の2週間後に始まり約3日間続いた、軽度ではあるが容易にわかる紅斑を引き起こした。この結果に基づいて、次の口唇ヘルペスに適用する用量として、0.2%溶液を選択した。
【0113】
対象者の下唇に口唇ヘルペスを引き起こした次の単純ヘルペスウイルスの発症の時、対象者はアセトンを溶媒とする0.2%DNCB溶液を、自分の下唇上の口唇ヘルペス部位に適用し、一晩そのままにした。翌朝対象者は溶液を洗い流した。口唇ヘルペスの領域で軽度の紅斑が2〜3日で引き起こされてさらに5日間続き、約7日で口唇ヘルペスは解消したが、これはこの個人についての典型的な持続期間又は通常よりもいくぶん短い継続期間であった。この治療の後、対象者は、次の4週間ほぼ毎週、下唇に口唇ヘルペスが発症したが、それらの重症度は減少しており、以前より継続期間がはるかに短いものであった。それぞれの発症は開始から完全に解消するまで1日であった。唇へのDNCBの最初の適用からおよそ2カ月後、対象者は軽度の口唇ヘルペスを発症し、発症開始後すぐに下唇上の単純ヘルペスウイルス病変部位にアセトンを溶媒とする0.2%DNCB溶液を適用した。この時、適用による炎症及び紅斑は2カ月前に患者の下唇の前記病変にDNCBを最初に適用した際の炎症及び紅斑よりも重度であった。これは、免疫系がDNCBだけではなく、この2回目の適用においてはヘルペスウイルス抗原もまた認識していることによると考えられる。より大きい炎症により、口唇ヘルペスの発症は1回目のDNCB処置と2回目のDNCB処置の間のいずれの発症よりも悪いものであった。これらの発症は非常に軽度であったが、この単純ヘルペスウイルスの発症は7日間続きDNCB処置が行われる前の典型的な発症と同じくらい重度であるか、又はわずかに重度であった。遅延型過敏反応と関連する炎症が悪化すると発症は悪化し、遅延型過敏反応が治まったときに減少するのみであるようであった。
【0114】
病変部位での2回目のDNCB処置の後、対象者は6カ月間全く発症せず、これは今までで最も長く口唇ヘルペスが発症しなかった期間であると患者は報告している。6カ月間の期間の最後に、対象者は軽度の口唇ヘルペスを発症し、0.1%DNCB溶液を口唇ヘルペスに適用することを選択した。再度、これにより中程度の遅延型過敏反応が誘発され、炎症が発症を悪化させたようであり、発症は約10日間続いた。発症が治まった時、対象者は現時点までの期間であるさらなる6カ月間のあいだ発症していない。
【0115】
最初のDNCB処置の前の数カ月間及び実施例に記載の期間の全体にわたり、患者は抗ウイルス薬を服用しなかった。
【0116】
実施例2
スクアリン酸ジブチルエステルによる口唇ヘルペスの治療
以下の基準を満たす30人を募集する。
【0117】
【表1-1】
【0118】
スクリーニング面接において、バイタルサインを記録し、患者が現在受けている全ての投薬、口唇ヘルペスの現在及び過去の治療、口唇ヘルペスの重症度及び継続期間について情報を収集する。
【0119】
1回目の来院
調査に際し、DMSOを溶媒とする2%スクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)溶液に綿棒を浸し、前腕上1cmの領域を拭くことによって、患者をスクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)に感作する。参加者は最初の治療まで少なくとも2週間待つよう言われる。
【0120】
調査の間ずっと、参加者は、発熱、腫れ、痛み、発赤、痒み、灼熱感、全ての病変の大きさ、及び全ての服薬を含む、患者が経験する全ての症状を毎日記録する被験者日記をつけることを求められる。
【0121】
2回目の来院
スクアリン酸ジブチルエステルに対する感受性を形成させるための2週間の期間の後、参加者の次の発症の開始時に(発症の最初の徴候の72時間以内)、各参加者は口唇ヘルペス病変部位をDMSOを溶媒とする0.5%スクアリン酸ジブチルエステル溶液で拭かれた。
【0122】
3回目の来訪
2回目の訪問における前回の処置の2週間以上後の次の別の発症時に、調査日記を回収する。以前にスクアリン酸ジブチルエステル処置された病変部位を超える0.5cm超の発赤、水疱形成、又は灼熱感が日記に記されている場合は、スクアリン酸ジブチルエステルの用量を0.1%まで減らす。スクアリン酸ジブチルエステル処置に起因する発赤又は炎症が日記に記されていない場合は、用量を2%まで増やす。それ以外の場合は、用量を0.5%で維持する。参加者は口唇ヘルペス病変部位をスクアリン酸ジブチルエステル溶液で拭かれる。
【0123】
スクアリン酸ジブチルエステルにより引き起こされる過敏反応が過剰である場合は、患者を局所ステロイド抗炎症クリームで治療する。患者が要望する場合は、発症が解消するまで経口バラシクロビルで発症を治療する。
【0124】
2回目の来院後の少なくとも6カ月間、患者は日記をつける。2カ月ごとに日記を回収する。
【0125】
1回目の来院時、スクアリン酸ジブチルエステル適用の前、ヘルペスウイルスに対する免疫応答を試験するための末梢血単核細胞(PBMC)増殖アッセイに使用するため、各患者から血液試料を採取する。
【0126】
2回目の来院後に再度の発症を経験しなかった場合における2回目の来院(単純ヘルペスウイルス病変への最初のスクアリン酸ジブチルエステル治療適用)の2カ月後、又は3回目の来院(2回目の発症の病変へのスクアリン酸ジブチルエステル治療適用)の1カ月後に、患者から血液試料を採取する。第一の治療前血液試料及び第二の治療後血液試料を用いて、治療前後におけるヘルペスウイルスに対する免疫応答を試験するためのPBMC増殖アッセイを行う。
【0127】
PBMC増殖アッセイ
治療前及び治療後の単核細胞を単離するため、上述の時点でヘパリン添加試験管中に静脈血を採取する。処理のため試料検体を直ちにラボに移す。
【0128】
静脈血(15ml)を50mlの遠心管に移し、生理食塩水又はPBSで全量30mlまで希釈し、Fico/Lite−LymphoH(商標)(Atlanta Biologicals)で支持し、Eppendorf Model 5804R遠心機中で2100rpm、20分間遠心する。境界面の細胞を回収し生理食塩水/PBSで2回洗浄し、遠心して生理食塩水/PBS中に再懸濁する。Beckman Coulter Zl粒子計数器を用いて細胞数を計数し、細胞を凍結培地(RPMI/20%ヒトAB血清)中に再懸濁して−70℃で保存する。増殖アッセイのために各患者からの治療前後の末梢血単核細胞を保存する。
【0129】
KOS HSV-1ウイルス(アメリカタイプカルチャーコレクション)をVERO細胞中での培養により増殖させ、回収する。ウイルスを3mlのシリンジに取り付けた45:mフィルターで滅菌クライオバイアル中に濾過する。ウイルスストックのタイターを決定する。次にウイルスを熱不活化し、増殖アッセイでのPBMC刺激に使用するため、−20℃で保存する。
【0130】
末梢血単核細胞を解凍し、生理食塩水/PBS中で2回洗浄し、RPMI/10%ヒトAB血清中に1mlあたり5×10個の細胞となるよう再懸濁する。1ウエルあたり200:lで細胞をプレーティングする。熱不活化KOS HSV-1粒子(1ウエル当たり2×10pfu)を実験ウエルに添加する。陽性対照として、他のウエルにコンカナバリンA(5 :g/ml)を添加する。陰性対照ウエルには添加は行わない。プレートを37℃、5%COで5日間培養した後、テトラゾリウム染料アッセイであるCell Counting Kit 8(メリーランド州、ゲイサーズバーグ、Dojindo Molecular Technologies)を用いて増殖についてアッセイする。
【0131】
結果は、各グループにおける複数のウエルの吸光度の平均を求めることで計算される。刺激インデックスは、陽性対照及び陰性対照と比較しての死滅単純ヘルペスウイルスにより刺激されたウエル中での増殖を反映するよう計算される。陽性対照の平均吸光度は刺激インデックス(SI)値100として設定され、陰性対照の平均吸光度はSI値0として設定される。
【0132】
結果
合計46人の患者が調査に登録し且つ脱落しなかった。グループは以下のようである。
【0133】
【表1-2】
【0134】
驚くべきことに、感作投与としてDMSO中の2%スクアリン酸ジブチルエステルを投与した治療グループB及び治療グループCのヒトでは、通常、調査期間中に後の発症がなかったが、プラセボグループAのヒトでは、通常、後の発症があった。このことは表1に示されている。
【0135】
【表1-3】
【0136】
p値は、フィッシャーの両側正確確率検定を用いて計算した。
【0137】
さらに、感作投与後30日〜120日の間に最初の発症があったヒトのグループAにおける割合は14人中4人であったが、グループB及びグループCをプールしたものにおける同割合は26人中5人であり、この差も統計的に有意であった(p<0.05)。
【0138】
感作投与後の最初の発症までの平均日数もまた測定した。患者が120日目まで発症しなかった場合には、120日という値を用いた。A:プラセボ、つまりDMSO中の0%スクアリン酸ジブチルエステル。
【0139】
【表2】
【0140】
グループA(プラセボ)と、グループB及びグループCをプールしたものとの間の平均日数の差は、統計的に有意であった(p=0.041)。
【0141】
表3は、各患者における感作投与(2%スクアリン酸ジブチルエステルまたはプラセボを上腕の内側面に適用)の日から最初の新たな発症までの日数を示す。
【0142】
【表3】
【0143】
プラセボ群における次の発症までのメジアン期間は42日間であったが、治療群では同メジアン期間は120日超であった。感作投与後21日目までに発症した場合を除外すると、感作投与の日から数えて、次の発症までのメジアン期間はプラセボ群で56日であり、治療群ではやはり120日超であった。感作投与の21日後から数えた次の発症までの平均期間は、プラセボ群で35日(56−21)であり治療群では99日超であった。
【0144】
したがって、DMSO中の2%スクアリン酸ジブチルエステルを上腕へ一回の感作投与することにより、発症までの期間、及び少なくとも120日間の期間において多少なりとも発症したヒトの割合が、大きく減少した。将来における発症も防止された。これは、発症中に唇に治療投与を行わなかった場合でも見られた。
【0145】
多くの対象者が感作投与により発疹(紅斑)を生じたが、このことは予測されたことではなかった。プラセボグループAでは13人中2人が発疹を生じ、グループB及びグループCをプールしたものにおいて28人中17人が発疹を生じた(ここでの対象者の合計人数は表1及び表2とは異なっているのは、全ての対象者が発疹を生じたか否かにつき報告したわけではないためである)。
【0146】
引用された全ての特許、特許出願、及び他の文献は、参照により取り込まれる。
本発明の態様は以下を含む。
付記1
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、若しくは、局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、又は、
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくは、リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において皮内注射すること、
を含む投与工程を含む、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部において皮内注射すること、をさらには含まず、
前記方法により、前記投与工程後の前記ヒトにおける単純ヘルペスウイルスの発症の頻度、継続期間、又は重症度が低減する、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法。
付記2
前記方法により前記投与工程の後の前記ヒトにおける新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減される、請求項1に記載の方法。
付記3
前記方法が、局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に投与すること、又は局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用することを含む、請求項1に記載の方法。
付記4
前記投与工程が、前記局所免疫増感剤を前記ヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又はリコール抗原を前記ヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射することを含む、請求項1に記載の方法。
付記5
前記投与工程が、前記局所免疫増感剤を前記ヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用することを含む、請求項4に記載の方法。
付記6
前記局所免疫増感剤が、スクアリン酸、スクアリン酸エステル、ジフェニルシクロプロぺノン(DPCP)、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)、又は1−クロロ−2,6−ジニトロベンゼンを含む、請求項3に記載の方法。
付記7
前記局所免疫増感剤がウルシオールを含む、請求項3に記載の方法。
付記8
前記局所免疫増感剤がスクアリン酸ジブチルエステル(SADBE)を含む、請求項6に記載の方法。
付記9
前記局所免疫増感剤がスクアリン酸ジブチルエステル又はスクアリン酸ジエステルを含む、請求項6に記載の方法。
付記10
前記局所免疫増感剤がスクアリン酸ジブチルエステルであり、DMSOを溶媒とする溶液として適用される、請求項9に記載の方法。
付記11
前記単純ヘルペスウイルスがHSV−1である、請求項1に記載の方法。
付記12
前記単純ヘルペスウイルスがHSV−2である、請求項1に記載の方法。
付記13
前記ヒトが口唇ヘルペスを患っている、請求項1又は2に記載の方法。
付記14
前記ヒトが性器ヘルペスを患っている、請求項1に記載の方法。
付記15
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、又はリコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において皮内注射することを含み、
前記リコール抗原が、ムンプス抗原、カンジダ抗原、又は白癬菌抗原を含む、請求項1に記載の方法。
付記16
前記方法により、工程(a)の後の、後の単純ヘルペスウイルス発症における病変の治癒時間が30%以上低減される、請求項1に記載の方法。
付記17
前記方法により、発症と発症との間の時間が2倍以上増加する、請求項1に記載の方法。
付記18
前記方法により、発症と発症との間の時間が4倍以上増加する、請求項17に記載の方法。
付記19
前記方法により、死滅単純ヘルペスウイルス粒子による増殖刺激を用いた増殖試験において、患者の末梢血単核細胞(PBMC)の刺激インデックスが、治療前の前記患者のPMBCの刺激インデックスと比較して、2倍以上になる、請求項1に記載の方法。
付記20
前記方法により、前記投与工程後の次の発症までのメジアン時間が2倍以上増加する、請求項1に記載の方法。
付記21
前記方法により、前記投与工程後21日目から前記投与工程の21日以上後に開始する次の発症までのメジアン時間が、2倍以上増加する、請求項1に記載の方法。
付記22
前記方法により、前記投与工程後21日目から前記投与工程の21日以上後に開始する次の発症までのメジアン時間が、4倍以上増加する、請求項1に記載の方法。
付記23
前記方法が、(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、若しくは、局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、又は
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくは、リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において皮内注射すること、
を含む第二の投与工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
付記24
前記第二の投与工程が、第一の投与工程の7日後〜30日後に行われる、請求項23に記載の方法。
付記25
前記第二の投与工程が第一の投与工程の7日後〜365日後に行われ、且つ前記ヒトに単純ヘルペスウイルスが発症している時に行われる、請求項23に記載の方法。
付記26
第一の投与工程及び前記第二の投与工程は、どちらも、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、又は局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において適用すること、
を含む、請求項23に記載の方法。
付記27
前記局所免疫増感剤がスクアリン酸ジブチルエステル又はスクアリン酸ジエステルを含む、請求項26に記載の方法。
付記28
前記投与工程により、投与部位において前記ヒトに紅斑が形成される、請求項1に記載の方法。
付記29
前記投与工程により、投与部位において前記ヒトに紅斑が形成されない、請求項1に記載の方法。
付記30
前記投与工程が、前記局所免疫増感剤を前記ヒトの脊椎上の皮膚若しくは前記ヒトの三叉神経節上の皮膚上に適用すること、又はリコール抗原を前記ヒトの脊椎上の皮膚若しくは前記ヒトの三叉神経節上の皮膚に皮内投与することを含む、請求項1に記載の方法。
付記31
(a)局所免疫増感剤を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に性器若しくは唇以外の部位において適用、若しくは前記ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に適用すること、又は、
(b)リコール抗原を、単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに性器若しくは唇以外の部位において皮内注射、若しくは前記ヒトが性器若しくは唇に単純ヘルペスウイルスを発症していない時に性器若しくは唇に皮内注射すること、
を含む投与工程を含む、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部において皮内注射すること、をさらには含まず、
前記方法により、前記投与工程後の前記ヒトにおける単純ヘルペスウイルスの発症の頻度、継続期間、又は重症度が低減される、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法。
付記32
前記方法により、前記投与工程の後の前記ヒトにおける新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減される、請求項31に記載の方法。
付記33
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又は
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射すること、
を含む投与工程を含む、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法であって、
前記方法により、前記投与工程後の前記ヒトにおける単純ヘルペスウイルスの発症の頻度、重症度、又は継続期間が低減される、
単純ヘルペスウイルス(HSV)感染の治療方法。
付記34
前記方法により、前記投与工程の後の前記ヒトにおける新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減される、請求項33に記載の方法。
付記35
前記投与工程が、(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用することを含む、請求項33に記載の方法。
付記36
(i)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部において皮内注射すること、をさらには含まない、請求項33に記載の方法。
付記37
単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染したヒトの皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に投与された場合に、又は単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において投与された場合に、単純ヘルペスウイルスに感染した患者における後の単純ヘルペスウイルス発症の頻度の低減に有効な医薬を調製するための、ヒトにおいて遅延型過敏(DTH)反応を誘発可能な物質の医学的使用。
付記38
前記物質が、局所的に投与された場合にヒトにおいて遅延型過敏反応を誘発可能な局所免疫増感剤である、請求項37に記載の医学的使用。
付記39
前記局所接触増感剤が、スクアリン酸ジブチルエステル、ジフェニルシクロプロぺノン(DPCP)、1−クロロ−2,4−ジニトロベンゼン(DNCB)、又は1−クロロ−2,6−ジニトロベンゼンである、請求項38に記載の医学的使用。
付記40
前記局所免疫増感剤がウルシオールである、請求項38に記載の医学的使用。
付記41
前記医薬がDMSOを溶媒とするスクアリン酸ジブチルエステル溶液である、請求項38に記載の医学的使用。
付記42
前記物質がリコール抗原である、請求項37に記載の医学的使用。
付記43
前記リコール抗原が、ムンプス抗原、カンジダ抗原、又は白癬菌抗原を含む、請求項42に記載の医学的使用。
付記44
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又は(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射することによって投与された場合に、単純ヘルペスウイルスに感染した患者における後の単純ヘルペスウイルス発症の頻度の低減に有効な医薬を調製するための、局所接触増感剤又はリコール抗原の医学的使用。
付記45
単純ヘルペスウイルス感染の治療方法において使用される、局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物であって、
前記方法は、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に適用すること、若しくは局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの皮膚に単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位おいて適用すること、又は
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症していない時に皮内注射すること、若しくはリコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに単純ヘルペスウイルスの発症の間に単純ヘルペスウイルス病変部以外の部位において皮内注射すること、
を含む投与工程を含み、
前記方法は、(i)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの単純ヘルペスウイルス病変上の皮膚に前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に適用すること、又は(ii)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトに前記ヒトが単純ヘルペスウイルスを発症している時に単純ヘルペスウイルス病変部において皮内注射することをさらには含まず、
前記方法により、前記投与工程の後の患者における新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減する、
局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物。
付記46
単純ヘルペスウイルス感染の治療方法において使用される、局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物であって、
前記方法は、
(a)局所免疫増感剤を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に適用すること、又は
(b)リコール抗原を単純ヘルペスウイルスに感染したヒトの上腕の内側面上の皮膚に皮内注射すること、
を含む投与工程を含み、
前記方法により、前記投与工程の後の患者における新たな単純ヘルペスウイルスの発症の頻度が低減する、
局所免疫増感剤又はリコール抗原を含む組成物。