(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態の着座状態判別装置の構成の概要を示したものである。本実施形態の着座状態判別装置は、計測結果取得手段1と、変化量算出手段2と、判断手段3を備えている。
【0012】
計測結果取得手段1は、シートベルトのウェビングを引き出す際に支点となるショルダーアンカーにおいて、ウェビングに平行な方向に存在する物体までの距離を計測するセンサから、センサが計測した距離のデータを取得する。変化量算出手段2は、取得したショルダーアンカーから物体までの距離のデータを基に引き出されているウェビングの長さの変化量を算出する。判断手段3は、引き出されているウェビングの長さの変化量を基にシートベルトを装着した乗員の状態を判断する。
【0013】
本実施形態の着座状態判別装置は、ショルダーアンカーからウェビングに平行な方向に存在する物体までの距離を計測結果取得手段1においてセンサから取得し、変化量算出手段2において距離の変化量をウェビングの長さの変化量として算出している。また、本実施形態の着座状態判別装置は、判断手段3において、引き出されているウェビングの長さの変化量を基にシートベルトを装着した乗員の状態を判断する。このように、ショルダーアンカーから物体までの距離の変化を基にウェビングの長さの変化量を算出することで、ウェビングの長さを計測するためのセンサはショルダーアンカーに取り付ければよいので、取り付けに複雑な作業を必要としない。その結果、本実施形態の着座状態判別装置を用いることで、複雑な取り付け作業を必要とすることなく、乗員の状態を判断することができる。
【0014】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図2は、本実施形態の着座状態判別システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の着座状態判別システムは、ショルダーアンカー11と、ウェビング12と、タング13と、バックル14とシートベルト巻き取り装置15を備えている。また、本実施形態の着座状態判別システムは、固定部21と、距離センサ22と、シートベルト検出センサ23と、着座状態判別装置24をさらに備えている。
【0015】
本実施形態の着座状態判別システムは、車体100に座席101とともに備えられている。本実施形態の着座状態判別システムは、座席101に着座した乗員が装着したシートベルトを監視することで乗員の状態として乗員の姿勢を判断し、状態に応じて乗員に警告を発する監視システムである。座席101は、シートベルトによって座っている人を固定する座席であれば、車両以外に取り付けられた座席であってもよい。
【0016】
ショルダーアンカー11は、車体100のピラー部等に固定され、ウェビング12を引き出す際のガイドおよびウェビング12を引き出した際のウェビング12の支持部として備えられている。また、ショルダーアンカー11には、距離センサ22を有する固定部21が取り付けられている。ショルダーアンカー11は、座席101に形成されていてもよい。
【0017】
ウェビング12は、乗員の身体を座席101に固定して保持するベルトとしての機能を有する。ウェビング12は、ストラップとも呼ばれる。
【0018】
タング13は、ウェビング12とともにシートベルトを構成し、シートベルトのバックル14への固定具として備えられている。
【0019】
バックル14は、タング13を脱着可能な構成を備え、ウェビング12およびタング13によって形成されるシートベルトを固定する。また、バックル14は、シートベルト検出センサ23を備えている。バックル14へのタング13の装着の有無を検出することで、シートベルトの装着の有無が検知される。
【0020】
シートベルト巻き取り装置15は、シートベルトのウェビング12を引き込むことによってウェビング12を収納する機能を有する。シートベルト巻き取り装置15は、ウェビング12を引き込むことで乗員の体を座席101に保持する。
【0021】
固定部21は、距離センサ22をショルダーアンカー11に取り付けるための治具である。固定部21には、距離センサ22が取り付けられている。ショルダーアンカー11が乗員の体形や身長にあわせて上下に可動であるとき、固定部21は、上下の動作を妨げない形状で形成され、上下の動作を妨げない位置に配置される。
【0022】
距離センサ22は、ショルダーアンカー11から物体までの距離を計測する機能を有する。距離センサ22は、距離センサ22から最も近い物体までの距離を計測するセンサである。距離センサ22は、センサ位置から最も近い物体までの距離を計測する。シートベルトを正常に着用しているとき、距離センサ22は、センサ位置から最も近い物体までの距離として乗員の肩までの距離を計測する。距離センサ22には、例えば、超音波方式やレーザー方式のセンサを用いることができる。
【0023】
図3は、距離センサ22と計測対象となる乗員の関係を模式的に示した図である。
図3に示しように距離センサ22は、ウェビング12に平行な方向に存在する物体までの距離を計測する。本実施形態の距離センサ22は、ウェビング12の1方の平面側において長辺方向に沿った方向に存在する物体までの距離を計測する。本実施形態の距離センサ22は、ウェビング12の2つの平面のうち座席101側の平面に沿って物体の距離を計測するように設置されている。
【0024】
ショルダーアンカーから乗員の肩の位置は、数10センチメートルから1メートル程度であるため、距離センサ22は、最大でも約1メートルの距離を計測できるセンサであればよい。距離センサ22は、固定部21と一体の部材として形成されていてもよい。また、ショルダーアンカー11、固定部21および距離センサ22が一体の部材として形成されていてもよい。
【0025】
シートベルト検出センサ23は、バックル14に備えられ、タング13の有無を検出する機能を有する。シートベルト検出センサ23は、バックル14にタング13が装着されたときにオン状態となるスイッチ素子を備えている。シートベルト検出センサ23は、バックル14の装着を検知すると、シートベルトの装着を検出していることを示す信号を、着座状態判別装置24のシートベルト検出センサ入力部36に送る。
【0026】
着座状態判別装置24の構成について説明する。
図4は、着座状態判別装置24の構成の概要を示したものである。
図4に示す通り、着座状態判別装置24は、制御部31と、距離センサ入力部32と、記憶部33と、電源部34と、警告部35と、シートベルト検出センサ入力部36と、ギア信号入力部37を備えている。
【0027】
制御部31は、距離センサ22の計測結果を基に、乗員の状態を判断する機能を有する。制御部31は、距離センサ22が計測するショルダーアンカーから物体までの距離の変化量を算出し、算出した距離の変化量をウェビング12の引き出し量の変化量とみなして扱う。
【0028】
制御部31は距離の変化量があらかじめ設定された基準を超えたとき、乗員が前傾姿勢であるとみなす。制御部31は、乗員が前傾姿勢であるとみなしたとき、警告部35を介して前傾姿勢であることを乗員に警告する通知を発する。
【0029】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の半導体装置を用いて構成されている。また、本実施形態の制御部31の機能は、第1の実施形態の変化量算出手段2および判断手段3に相当する。
【0030】
距離センサ入力部32は、距離センサ22が出力した信号を受信するインターフェースとしての機能を有する。距離センサ入力部32は、距離センサ22から受信した信号を制御部31に送る。また、本実施形態の距離センサ入力部32の機能は、第1の実施形態の計測結果取得手段1に相当する。
【0031】
記憶部33は、制御部31が警告部35を介して警告する際の各条件を保存している。また、記憶部33は、ウェビング12の引き出し量の初期値等の計測データを保存する。記憶部33は、例えば、不揮発性の半導体記憶装置によって構成される。記憶部33は、ハードディスクドライブ等の半導体記憶装置以外の記憶装置またはそれらの記憶装置と半導体記記憶装置との組み合わせによって構成されていてもよい。
【0032】
電源部34は、着座状態判別システムの各部位および着座状態判別装置24の各部位に電源を供給する機能を有する。本実施形態の電源部34は、車両から電源供給を受け、各部位に電源を出力する。
【0033】
警告部35は、制御部31の制御に基づいて音声を出力する機能を有する。本実施形態の警告部35は、車内に音声を出力するスピーカを用いて構成されている。警告部35は、制御部31が乗員に警告の通知を行う際に、制御部31の制御に基づいて音声を車内に出力する。警告部35は、音声以外に光や振動によって乗員に警告の通知を行うようにしてもよい。警告部35は、カーナビゲーションシステムの表示画面や速度計等の計器類の表示部分に警告内容を表示する構成であってもよい。
【0034】
シートベルト検出センサ入力部36は、シートベルト検出センサ23が出力した信号を受信するインターフェースとしての機能を有する。シートベルト検出センサ入力部36は、シートベルト検出センサ23から受信した信号を制御部31に送る。
【0035】
ギア信号入力部37は、車両の動作状態を示す信号を受信するインターフェースとしての機能を有する。ギア信号入力部37は、車両から受信した動作状態を示す信号を制御部31に送る。制御部31は、ギア信号入力部37から入力される信号を基に車両が走行や停止などの状態の情報を得ることができる。
【0036】
本実施形態の着座状態判別システムの動作について説明する。
図5および
図6は、本実施形態の着座状態判別装置の動作フローを示したものである。
図5は、本実施形態の着座状態判別装置の初期化動作のフローを示している。また、
図6は、本実施形態の着座状態判別装置による乗員の姿勢の監視動作のフローを示している。
【0037】
電源の投入や乗員のスイッチ操作等によって着座状態判別装置24が起動すると、着座状態判別装置24は、初期化の動作を開始する(ステップS11)。初期化の動作を開始すると、着座状態判別装置24の制御部31は、シートベルト検出センサ入力部36の入力状態を確認し、シートベルトの装着の有無を判断する。
【0038】
シートベルト検出センサ入力部36にシートベルトが装着されていることを示す信号が入力されているとき(ステップS12でYes)、制御部31は、シートベルトを元に戻す警告を警告部35を介して乗員に通知する(ステップS16)。
【0039】
シートベルト検出センサ入力部36にシートベルトが装着されていることを示す信号が入力されていないとき(ステップS12でNo)、制御部31は、シートベルトが未使用であり、ウェビング12が引き出されていないと判断する。
【0040】
ウェビング12が引き出されていないと判断すると、制御部31は、距離センサ入力部32を介して入力される距離センサ22の計測値を、ショルダーアンカー11から
タング13までの距離として取得する(ステップS13)。
タング13までの距離を取得すると、制御部31は、取得した距離の値をウェビング12の引き出し長の初期値L0として記憶部33に保存する(ステップS14)。このとき計測される初期値L0は、距離センサ22から一番近い、障害物までの距離、すなわち、距離センサ22から
タング13までの距離となる。初期値L0を保存すると、制御部31は、初期化の動作を完了する(ステップS15)。
【0041】
初期化の動作を完了すると、制御部31は、距離センサ入力部32を介して入力される距離センサ22の計測値Lmの値を取得する(ステップS21)。計測値Lmの値を取得すると、制御部31は、計測値Lmと初期値L0を比較する。
【0042】
計測値Lmの値が初期値L0以下のとき(ステップS22でYes)、制御部31は、シートベルト検出センサ入力部36の入力状態を確認し、シートベルトの装着の有無を判断する。シートベルト検出センサ入力部36にシートベルトが装着されていることを示す信号が入力されているとき(ステップS28でYes)、制御部31は、異物がバックル14に挿入されていることを示す警告を出力する。制御部31は、警告部35を介してシートベルトが異常な使用状態であることを示す警告を乗員に通知する(ステップS29)。
【0043】
シートベルト検出センサ入力部36にシートベルトが装着されていることを示す信号が入力されていないとき(ステップS28でNo)、制御部31は、ステップS21からの動作を再度、行う。
【0044】
計測値Lmの値が初期値L0よりも大きいとき(ステップS22でNo)、制御部31は、初期状態よりもウェビング12の引き出しが行われていると判断する。
【0045】
初期状態よりもウェビング12の引き出しが行われていると判断すると、制御部31は、シートベルト検出センサ入力部36に入力される信号を確認し、シートベルトが装着されているかを判断する。シートベルトの装着を示す信号を検出していないとき(ステップS23でNo)、制御部31は、シートベルトの装着を示す信号を検出するまで待機する。
【0046】
シートベルトの装着を示す信号を検出すると(ステップS23でYes)、制御部31は、装着を検知したときの計測値Lmを、装着時の初期値L1として記憶部33に保存する。装着時の初期値L1を保存すると、制御部31は、距離センサ22の計測値の変化量に基づく、乗員の状態の監視を開始する(ステップS24)。
【0047】
乗員の状態の監視を監視すると、制御部31は、計測値Lmの値を監視し、引き出し長の変化量LをL=Lm−L1として計算する。
【0048】
引き出し長の変化量Lが、あらかじめ設定された基準値以下のとき(ステップS25でNo)、制御部31は、計測値Lmの値の監視を継続する。変化量Lが、あらかじめ設定された基準値を超えたとき(ステップS25でYes)、制御部31は、ギア信号入力部37を介して入力されるギア信号を確認する。ギア信号がドライブ状態を示すとき(ステップS26でYes)、制御部31は、走行中に乗員が前傾姿勢等の不適切な姿勢であると判断し、前傾姿勢であることを示す警告を警告部35を介して出力する。ギア信号がドライブ状態ではないとき(ステップS26でNo)、制御部31は、計測値Lmの監視を継続する。
【0049】
変化量Lを判断する際の基準値は、検出したい乗員の姿勢に応じてそれぞれ設定されていてもよい。例えば、カーナビゲーションシステムや空調装置の操作を行っている姿勢を検出したい場合には、変化量の基準値は、例えば、5cmから10cm程度の値として設定される。一方で、運転中に乗員がハンドルにしがみついているような姿勢を検出する場合には、変化量の基準値は、例えば、20cm程度に設定される。
【0050】
本実施形態の着座状態判別システムは、ウェビング12の引き出し量の変化量を、乗員の肩の位置までの距離の変化を基に算出している。そのため、本実施形態の着座状態判別システムは、ウェビング12の引き出し量を計測しなくても、乗員の運転中の姿勢を判断し、適切な警告を出力することができる。
【0051】
また、本実施形態の着座状態判別システムは、ウェビング12の引き出し量と、シートベルト検出センサの信号を基に、タング13への異物の挿入を検知することができる。そのため、本実施形態の着座状態判別システムは、シートベルトキャンセラー等が使用された場合に乗員に対する警告を発することができる。
【0052】
また、本実施形態の着座状態判別システムは、ショルダーアンカー11に距離センサ22を取り付けることで、通常のシートベルトに適用することができる。そのため、本実施形態の着座状態判別システムは、シートベルトのウェビング12に計測用の加工等を施す必要なく車両に容易に取り付けることができる。その結果、本実施形態の着座状態判別システムの着座状態判別装置を用いることで、複雑な取り付け作業を必要とすることなく、乗員の姿勢を判断することができる。
【0053】
また、本実施形態の着座状態判別システムは、ウェビング12に加工を施す必要がないため、ウェビング12の強度や湾曲性などの機能を低下させることなく、乗員の姿勢の判別を行うことができる。
【0054】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態について図を参照して詳細に説明する。
図7は、本実施形態の着座状態判別システムの構成の概要を示したものである。本実施形態の着座状態判別システムは、ショルダーアンカー11と、ウェビング12と、タング13と、バックル14とシートベルト巻き取り装置15を備えている。また、本実施形態の着座状態判別システムは、固定部21と、距離センサ22と、シートベルト検出センサ23と、着座状態判別装置40をさらに備えている。
【0055】
第2の実施形態の着座状態判別システムは、ギア信号を監視して車両の走行有無を考慮して乗員への警告の要否を判断していた。本実施形態の着座状態判別システムは、さらに車両の速度を考慮して乗員への警告の要否を判断することを特徴とする。
【0056】
本実施形態のショルダーアンカー11、ウェビング12、タング13、バックル14、シートベルト巻き取り装置15、固定部21、距離センサ22およびシートベルト検出センサ23の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。また、本実施形態の着座状態判別システムは、第2の実施形態と同様に、車体100に座席101とともに備えられている。
【0057】
着座状態判別装置40の構成について説明する。
図8は、本実施形態の着座状態判別装置40の構成の概要を示したものである。
【0058】
本実施形態の着座状態判別装置40は、制御部41と、距離センサ入力部42と、記憶部43と、電源部44と、警告部45と、シートベルト検出センサ入力部46と、ギア信号入力部47と、車速信号入力部48を備えている。
【0059】
本実施形態の距離センサ入力部42、記憶部43、電源部44、警告部45、シートベルト検出センサ入力部46およびギア信号入力部47の構成と機能は、第2の実施形態の同名称の部位と同様である。
【0060】
制御部41は、第2の実施形態の制御部31と同様の機能に加え、ウェビング12の引き出し量の変化、すなわち、ショルダーアンカー11から乗員の肩付近までの距離と車両の速度に基づいて乗員の姿勢を判断する機能を有する。制御部41は、ウェビング12の引き出し量が基準を超えたとき、車両の速度を確認し、低速時は警告を出力しない。低速時は、一時停止や徐行などの際に乗員が前傾姿勢等で周囲の確認を行うため不適切な姿勢の範囲には入らないためある。低速の基準は、例えば、時速5km以下または停止時として設定される。
【0061】
制御部41は、ウェビング12の引き出し量の変化量が基準以上のとき、車両の速度変化が基準以上であった場合に、警告を発しない構成であってもよい。急ブレーキ等によって運転姿勢と関係なく、ウェビング12の引き出し量が変化している可能性が高いからである。制御部41は、車両の速度変化が基準以上であった場合に、むち打ちなどに注意する警告を発するようにしてもよい。
【0062】
本実施形態の着座状態判別システムの動作について説明する。
図9は、本実施形態の着座状態判別装置による乗員の姿勢の監視動作のフローを示している。本実施形態の着座状態判別システムの初期化の動作は、第2の実施形態と同様である。
【0063】
また、本実施形態の着座状態判別システムの乗員の姿勢を監視する動作において、ステップS33においてシートベルトの装着を確認するまでの動作は、第2の実施形態と同様である。すなわち、本実施形態のステップS31、S32、S39およびS40において行われる処理は、第2の実施形態のステップS21、S22、S28およびS29において行われる処理と同様である。
【0064】
ステップS33でシートベルトの装着を示す信号を検出すると(ステップS33でYes)、制御部41は、装着を検知したときの計測値Lmを、装着時の初期値L1として記憶部33に保存する。装着時の初期値L1を保存すると、制御部41は、距離センサ22の計測値の変化量に基づく、乗員の状態の監視を開始する(ステップS34)。
【0065】
乗員の状態の監視を監視すると、制御部41は、計測値Lmの値を監視し、引き出し長の変化量LをL=Lm−L1として計算する。
【0066】
引き出し長の変化量Lが、あらかじめ設定された基準値以下のとき(ステップS35でNo)、制御部41は、計測値Lmの値の監視を継続する。変化量Lが、基準値を超えたとき(ステップS35でYes)、制御部41は、ギア信号を確認する。
【0067】
ギア信号がドライブ状態ではないとき(ステップS36でNo)、制御部41は、計測値Lmの監視を継続する。ギア信号がドライブ状態を示すとき(ステップS36でYes)、制御部41は、車速の変化量を確認する。車速の変化量が基準以上であるとき(ステップS37でYes)、制御部41は、計測値Lmの監視を継続する。
【0068】
車速の変化量が基準より小さいとき(ステップS37でYes)、制御部41は、走行中に乗員が不適切な前傾姿勢等であると判断し、警告を出力する(ステップS38)。
【0069】
本実施形態の着座状態判別システムは、第2の実施形態の着座状態判別システムと同様の効果を有する。また、本実施形態の着座状態判別システムは、車速の変化量も考慮して乗員への警告の有無を判断している。すなわち、本実施形態の着座状態判別システムは、車速の変化量があらかじめ設定された基準以上であるとき、ウェビング12の引き出し量の変化が乗員の責ではないと判断し、乗員への警告を行わない。このような構成とすることで、本実施形態の着座状態判別システムは、シートベルトを装着している乗員の姿勢に対する警告をより適切に発することができる。
【0070】
第2および第3の実施形態の着座状態判別システムは、1個の距離センサを備えているが、距離センサを複数、備えていてもよい。例えば、ウェビング12の両面に距離センサを配置することで、シートベルトの誤使用を検出することができる。通常、肩と座席は、ウェビングに対して同一面にあるが、乗員の身体の後ろに回して使用した場合には、両面の距離センサが物体を検出する。また、両面の距離センサが物体を検出した際に、着座状態判別装置の制御部が正しい着用を促す警告を乗員に発するようにしてもよい。そのような、両面の距離センサが物体を検出することで、着座状態判別装置は、より着座状態を正確に判断することができる。
【0071】
第2および第3の実施形態の着座状態判別システムは、運転席以外の座席用のシートベルトをそれぞれ検出する構成であってもよい。そのような構成とする場合には、運転席と他の座席等の特性に応じて、警告の要否を判断する際の基準値を異なった値としてもよい。座席の特性に合わせて警告の要否を判断することにより、乗員の姿勢をより正確に判断することができる。