(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。また、以下では、
図1に示す方向を基準として説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫を示す外観斜視図である。
図1に示すように、冷蔵庫100は、冷蔵庫本体1と、冷蔵庫本体1内を冷却する冷気を生成する冷凍サイクルF(
図3参照)と、生成された冷気を冷凍室に供給する冷気供給部材(冷気供給路)R(
図3参照)と、を備えて構成されている。
【0011】
冷蔵庫100は、冷蔵庫本体1の正面に、冷蔵室左扉2と、冷蔵室右扉3と、製氷室扉4と、冷凍室上段扉5と、冷凍室下段扉6と、野菜室扉7と、を備えている。
【0012】
冷蔵室左扉2および冷蔵室右扉3は観音開き可能に構成され、これらと冷蔵庫本体1とにより形成される空間に、冷蔵室30が形成されている。
【0013】
また、製氷室扉4、冷凍室上段扉5、冷凍室下段扉6、および野菜室扉7は手前方向に引き出し可能に構成されている。そして、これらと冷蔵庫本体1とにより形成される空間に、それぞれ、製氷室(第1冷凍室、冷凍室)40、上段冷凍室(第2冷凍室、冷凍室)50、下段冷凍室60および野菜室70が形成されている。
【0014】
冷蔵室左扉2、冷蔵室右扉3、製氷室扉4、冷凍室上段扉5、冷凍室下段扉6および野菜室扉7は、断熱扉である。各扉2〜7は、例えば、表面に設けられた外板と、外板の周縁に設けられた扉枠と、扉枠の裏面(背面)に設けられた内板と、外板と扉枠と内板とで形成された空間に発泡液を充填することで形成された発泡断熱材と、を備えて構成されている。
【0015】
発泡断熱材は、硬質ウレタンフォームで形成されている。この硬質ウレタンフォームは、各扉2〜7の内側の空間内に注入したウレタンフォーム原液(発泡断熱材の原料液)が発泡した後、硬化して形成されるものである。ちなみに、ウレタンフォーム原液としては、例えば、ポリエーテルポリオールに、シクロペンタン、水などの発泡剤、さらには触媒、整泡剤などの助剤をプレミックスした液と、イソシアネート液とを混合した液体が挙げられる。
【0016】
冷蔵庫本体1は、内箱11(
図2、
図3参照)と外箱12とを組み合わせたものであり、その間に断熱部材や真空断熱材が挟まれ、断熱箱体を構成している。外箱12は、薄い鋼板を門型に折り曲げて形成された天板1aおよび左右の側板1b,1c(側板1cは、
図2参照)と、別部材で構成された背板(不図示)と、別部材で構成された底板(不図示)と、によって構成されている。
【0017】
また、真空断熱材は、天板1aの裏面(内壁面)、側板1b,1cの裏面(内壁面)、各扉2〜7の裏面(内壁面)に設けられている。真空断熱材は、その材質は特に限定されないが、一例を挙げると、多孔質構造のグラスウール等の芯材をラミネートフィルムで真空パックして内部を減圧して封止した断熱材から成る。気体熱伝導率が略ゼロであるため、優れた断熱性能を有している。また、真空断熱材は、平板状に形成され、天板1a、側板1b,1c、各扉2〜7の裏面側に接着固定されている。
【0018】
図2は、冷凍室の内部を示す正面図である。なお、
図2は、冷凍室(製氷室40、上段冷凍室50および下段冷凍室60)のみを示し、製氷室扉4、冷凍室上段扉5および冷凍室下段扉6を取り外した状態である。また、
図2は、下段冷凍室60に収納される下段収納容器61、中段収納容器62および上段収納容器63を図示し、製氷室40と上段冷凍室50の各収納容器の図示を省略している。
【0019】
図2に示すように、冷蔵庫本体1は、製氷室40および上段冷凍室50と、下段冷凍室60との間に、左右方向(幅方向)に延在して側板1b,1cに連結される枠体13を備えている。また、冷蔵庫本体1は、製氷室40および上段冷凍室50と、冷蔵室30(
図1参照)との間に、左右方向(幅方向)に延在して側板1b,1cと連結される枠体14を備えている。また、冷蔵庫本体1は、製氷室40と上段冷凍室50との間に、鉛直方向(上下方向)に延在する枠体15を備えている。また、枠体15は、枠体13と枠体14との間に位置している。また、冷蔵庫本体1は、下段冷凍室60と野菜室70(
図1参照)との間に、左右方向(幅方向)に延在して側板1b,1cに連結される枠体19を備えている。
【0020】
製氷室40と上段冷凍室50は、左右に並んで配置されている。また、製氷室40の容積は、上段冷凍室50の容器よりも小さく構成されている。
【0021】
製氷室40には、製氷室扉4を前後方向にスライド可能に支持するレール部材41a,41bが設けられている。レール部材41aは、内箱11の左側の側面下部に設けられている。レール部材41bは、製氷室40の右側下部に設けられている。
【0022】
上段冷凍室50には、冷凍室上段扉5を前後方向にスライド可能に支持するレール部材51a,51bが設けられている。レール部材51aは、上段冷凍室50の左側下部に設けられている。レール部材51bは、内箱11の右側の側面下部に設けられている。
【0023】
下段冷凍室60には、下段収納容器61、中段収納容器62および上段収納容器63が収納される。下段収納容器61は、冷凍室下段扉6(
図1参照)の左右両側から後方に延びるアーム部(不図示)に保持される。冷蔵庫本体1は、下段収納容器61をスライド可能にするレール部材61a,61bが内箱11の左右側面に設けられている。また、冷蔵庫本体1は、レール部材61a,61bの手前側に、下段収納容器61のスライド動作を円滑にするためのローラ61c,61dが回転自在に支持されている。
【0024】
下段冷凍室60には、中段収納容器62をスライド可能に支持するレール部材62a,62bが内箱11の左右側面に設けられている。また、下段冷凍室60には、上段収納容器63をスライド可能に支持するレール部材63a,63bが内箱11の左右側面に設けられている。
【0025】
図3は、
図2のA−A線断面図である。
図3に示すように、製氷室40と上段冷凍室50(
図2参照)との間には、仕切部材(縦仕切部材)16が設けられている。この仕切部材16は、前後方向に沿って形成され、かつ、枠体15と前後方向において重なる位置に形成されている。
【0026】
仕切部材16は、枠体15の背面の下部から後方に向けて直線状に延びている。また、仕切部材16は、前記レール部材41b,51a(
図2参照)が一体に形成されたレール支持部16aと、レール支持部16aから上方に向けて延びる連結部16b,16c,16dと、を有して構成されている。なお、仕切部材16は、レール支持部16aと連結部16b,16c,16dが合成樹脂によって一体に形成されている。
【0027】
連結部16b,16cは、冷蔵室30(
図1参照)と冷凍室(製氷室40、上段冷凍室50)とを仕切る断熱仕切部材17の下面に固定されている。なお、連結部16dは、後記する冷気供給部材Rの第2冷気導入路22cの下面に固定されている。なお、本実施形態では、連結部16bと連結部16cとの間、連結部16cと連結部16dとの間、連結部16dと冷気供給部材Rとの間が、空間s1,s2,s3を介して製氷室40と上段冷凍室50とを連通している。しかし、製氷室40と上段冷凍室50とが連通せずに、壁で仕切られる構造であってもよい。
【0028】
また、製氷室40および上段冷凍室50と下段冷凍室60との間は、空間S4を介して連通している。
【0029】
下段冷凍室60に収納される下段収納容器61は、前端から後端まで延びる大容量のものである。中段収納容器62は、下段収納容器61よりも前後方向の奥行きが短くかつ薄型に形成されている。上段収納容器63は、中段収納容器62よりも前後方向の奥行きが長くかつ薄型に形成されている。
【0030】
冷凍サイクルFは、圧縮機(図示せず)、凝縮器(図示せず)、キャピラリチューブ(減圧手段)8および冷却器(エバポレータ、蒸発器)9を含んで構成されている。冷却器9は、下段冷凍室60の略背部に設けられた冷却器収納室9sに収納されている。なお、図示しない圧縮機は、断熱箱体の背面側の下部に設けられた機械室Q(
図1参照)に設置されている。機械室Qは、断熱箱体の外側に形成されている。
【0031】
冷却器9は、銅製のフィン9aを厚み方向(左右方向)に微小間隔で並べた積層体を上下方向に5段並べた積層体群と、この積層体群の各積層体を貫通する冷媒管9bと、を備えて構成されている。
【0032】
また、冷却器9の下方には、除霜ヒータHが設けられている。除霜ヒータHによって除霜時に発生したドレン水は、樋(とい)9cに一旦落下し、ドレン孔9dを介して圧縮機(不図示)の上部に設けた蒸発皿(不図示)に溜められる。
【0033】
また、冷却器9の上方には、送風ファン18(プロペラファン、軸流ファン)が設けられている。この送風ファン18は、冷却器9で生成された冷気(低温の空気)を後方から吸い込んで前方に向けて吐出させる。送風ファン18にはファンカバー21が取り付けられており、送風ファン18から吐出された冷気を、上下左右方向に拡散させて、製氷室40、上段冷凍室50、下段冷凍室60などに供給するようになっている。
【0034】
また、送風ファン18の鉛直方向(上下方向)の下方には、下段収納容器61の後端61eが位置している。また、下段収納容器61の上端61fよりも冷却器9の上端9fが下方に位置している。また、製氷室40および上段冷凍室50よりも下方に、送風ファン18および冷却器9が収められている。
【0035】
図4は、冷気供給部材を示す分解斜視図である。
図4に示すように、冷気供給部材Rは、送風ファン18が取り付けられるファンベース(ベース部材)20と、ファンカバー21と、冷気導入部材22と、が組み合わされて構成されている。
【0036】
ファンベース20は、略五角形状(略ベース型)に形成された平坦状の基部20tを備えている。また、ファンベース20は、送風ファン18を基部20tに固定するファン固定部20aと、ファンカバー21を基部20tに係止させるカバー係止部20dと、を備えている。また、ファンベース20は、冷凍庫内の冷気を取り込む取込口20gを備えている。
【0037】
また、ファンベース20は、内箱11(
図2参照)の内壁に固定される。また、ファンベース20の背面側(裏側)には、冷却器9(冷凍室冷却器)が配置される。換言すると、冷却器9は、内箱11と外箱12との間に形成された冷却器収納室9sに収納される。
【0038】
ファン固定部20aは、送風ファン18を係止して固定する係止爪20b,20b,20c,20cを有している。送風ファン18は、羽根18aと、この羽根18aの中心を回転自在に支持する外形が四角形状のフレーム18bと、を有して構成されている。これら係止爪20b,20b,20c,20cによって、送風ファン18のフレーム18bが係止されている。
【0039】
カバー係止部20dは、ファンカバー21を位置決めする位置決めリブ20eと、ファンカバー21と係合してファンカバー21を保持する保持部20fと、を備えている。位置決めリブ20eは、基部20tから前方に突出して形成された複数のリブ20e1,20e2,20e3,20e4によって構成されている。
【0040】
リブ20e1は、正面視において送風ファン18の左側方に位置するとともに、鉛直方向に沿って延びて形成されている。リブ20e2は、リブ20e1に対して隙間s11を空けて形成され、鉛直方向に沿って水平方向(右方向)に延びてL字状に形成されている。リブ20e3は、リブ20e2に対して隙間s12を空けて形成され、水平方向に延びて直線状に形成されている。リブ20e4は、リブ20e3に対して隙間s13を空けて形成され、水平方向に沿って基部20tまで延びて形成されている。
【0041】
保持部20fは、リブ20e1と左右方向において重ならない位置に形成された爪部20f1と、それぞれの隙間s11,s12,s13に形成される爪部20f2,20f3,20f4と、を有している。また、爪部20f2は、リブ20e1とリブ20e2との間において外側に離間して配置されている。爪部20f3は、リブ20e2とリブ20e3との間において外側に離間して配置されている。爪部20f4は、リブ20e3とリブ20e4との間において外側に離間して配置されている。
【0042】
取込口20gは、冷気の戻り口であって、格子状に形成され、基部20tの下端に形成されている。また、取込口20gは、保持部20fの下方に位置するとともに、基部20tに対して幅方向(左右方向)に細長く形成されている。
【0043】
ファンカバー21は、ファンベース20から前方に突出して形成され、送風ファン18と対向する位置に正面部21aが形成されている。この正面部21aの裏面には、送風ファン18から吐出された冷気が当たるようになっている。また、正面部21aは、左右方向(幅方向)の中央に、送風ファン18と対向する円形の凹部21bが形成されている。この凹部21bは、後方に向けて突出するように(凹面が前方に向くように)形成されている(
図3参照)。この凹部21bを形成することで、送風ファン18から吐出された冷気を径方向外側に向けて円滑に向きを変えることができ、送風効率が損なわれるのを抑えることができる。
【0044】
また、正面部21aの外周縁部からファンベース20に向けて延びる外周部21cが形成されている。なお、外周部21cの長さは、ファンカバー21をファンベース20に取り付けたときに、送風ファン18と凹部21bとの間に所定の隙間s20(
図3参照)が形成できる程度である。また、所定の隙間s20とは、送風ファン18からの冷気を径方向外側に向けて吐出させることができる距離である。
【0045】
また、正面部21aは、凹部21bの上方に矩形状の切欠部21dが上向きに開口するように形成されている。また、正面部21aには、冷気が吐出される複数の吐出口21e1,21e2,21f,21g,21g,21h,21i,21iが形成されている。吐出口21e1,21e2は、互いに同じ高さ位置である。吐出口21f,21g,21gは、互いに同じ高さ位置である。吐出口21h,21i,21iは、互いに同じ高さ位置である。
【0046】
冷気導入部材22は、製氷室40(
図2参照)と上段冷凍室50(
図2参照)とに冷気を分配する冷気分配部22aを備えている。また、冷気導入部材22は、製氷室40(
図2参照)に冷気を導入する第1冷気導入路22bと、上段冷凍室50(
図2参照)に冷気を導入する第2冷気導入路22cと、を備えている。
【0047】
冷気分配部22aは、前記切欠部21dと接続される矩形状の筒体22a1と、筒体22a1の上端に製氷室40と上段冷凍室50とに冷気の向きを変えて分配する風向板22a2(冷気分配量設定板)とを有している。
【0048】
第1冷気導入路22bは、筒体22a1の上端から左側方(製氷室40側)に向けて延び、そして前方に向けて延びる冷気案内路22b1を有している。この冷気案内路22b1は、先端で二又に分岐し、幅広形状の風路22b2と、風路22b2よりも幅狭の風路22b3と、を有している。また、風路22b2の先端は、風路22b3の先端よりも高い位置に設定されている。また、風路22b2には、該風路22b2の先端よりも低く設定された風路22b4が分岐して形成されている。
【0049】
このように、風路22b2を構成することで、冷気が製氷室40の上端から前方に向けて吐出される。また、風路22b3,22b4によって、冷気が風路22b2よりも低い位置から製氷室40に向けて吐出される。
【0050】
第2冷気導入路22cは、筒体22a1の上端から前方(仕切部材16(
図3参照))に沿って延びる冷気案内路22c1を有している。この冷気案内路22c1の風路幅は、仕切部材16の幅とほぼ同じに形成されている。また、冷気案内路22c1には、上段冷凍室50(
図2参照)に対向する面に切欠き22c2が形成されている。すなわち、冷気案内路22c1は、該冷気案内路22c1の先端に冷気の流れを遮断する側壁22c3と、製氷室40(
図2参照)側への冷気の流れを遮断する側壁22c4と、が形成されている。このように、切欠き22c2によって、冷気案内路22c1の上段冷凍室50側の側壁が他の側壁22c3,22c4よりも低く形成されているので、冷気案内路22c1に導入された(分配された)冷気が、切欠き22c2を介して上段冷凍室50(
図2参照)に向けて吐出される。
【0051】
図5は、製氷室と上段冷凍室に冷気を分配する冷気導入部材を示す上面図である。
図5に示すように、冷気導入部材22は、第1冷気導入路22bの流路幅W1が、第2冷気導入路22cの流路幅W2よりも広く形成されている。このように、第1冷気導入路22bの流路幅W1を広くすることで、製氷室40への冷気の導入量を増やすことができる。なお、流路幅W1,W2の比率を変えることで、製氷室40と上段冷凍室50への冷気の分配量を容易に調整することができる。また、風向板22a2の形状を変更することで、製氷室40と上段冷凍室50への冷気の分配量を調整することができる。
【0052】
冷気分配部22aは、上面視(平面視)において、風向板22a2が筒体22a1の開口の略半分を覆い隠すように形成されている。風向板22a2は、板材22a3,22a4を折り曲げて形成したものである。板材22a3は、第1冷気導入路22bに向けて上昇するように傾斜して配置されている。板材22a4は、手前側に向けて上昇するように傾斜して配置されている。板材22a3によって、冷気が第1冷気導入路22bに向けて案内され、板材22a4によって、冷気が第2冷気導入路22cに向けて案内される。
【0053】
図6は、冷気導入部材の組立後の状態を示す斜視図である。
図6に示すように、ファンカバー21は、ファンベース20に、送風ファン18を覆うように取り付けられる。このとき、ファンカバー21の縁部(不図示)が、リブ20e1,20e2,20e3,20e4(
図4参照)と爪部20f1,20f2,20f3,20f4(
図4参照)とに挟まれてファンベース20に係止される。なお、図示していないが、ファンカバー21は、リブ20e1,20e2,20e3,20e4と爪部20f1,20f2,20f3,20f4が配置される部分を除いて、スポンジ状のパッキンを介して、ファンベース20に固定される。また、ファンベース20の裏面側の外周縁部は、同様のパッキンを介して、内箱11(
図3参照)に固定される。
【0054】
そして、冷気導入部材22がファンカバー21の上部に形成された切欠部21dに嵌め合わされ、
図6に示す状態に至る。また、冷気導入部材22の上端は、断熱仕切部材17(
図3参照)の下面に当接するようにして取り付けられる。
【0055】
図7は、冷気供給部材を示し、(a)は正面図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は(a)のC−C線断面図である。
図7(a)に示すように、ファンカバー21は、ファンベース20よりも平面視における面積が小さく形成されている。また、ファンカバー21の下端縁部21mは、爪部20f3,20f4によってファンベース20に固定されている。ファンカバー21の左側縁部21nは、爪部20f1,20f2によってファンベース20に固定されている。
【0056】
また、ファンカバー21の正面部21aの上端縁部は、凹部21bを挟んで左右対称な形状ではなく、凹部21bの右側に上端縁部21pが形成され、左側に上端縁部21qが形成されている。上端縁部21pは、凹部21bの上方から右方向に下るように傾斜した後に湾曲しながら下方に向けて延びるように形成されている。上端縁部21qは、凹部21bの中心と略同じ高さにおいて山型、かつ、上向きに凸形状となるように湾曲して形成されている。また、上端縁部21qは、左側の吐出口21e1の上方を覆うように山型に形成されている。また、ファンカバー21は、上端縁部21qの右端(凹部21b側の端部)から上方の筒体22a1に向けて延びるように形成されている。
【0057】
また、冷気分配部22aは、送風ファン18の鉛直方向上方の投影上に位置している。送風ファン18は、正面視において時計回り方向W10に回転する。この場合、送風ファン18と冷気分配部22aとの位置関係は、冷気分配部22aが送風ファン18に対して左寄りに配置されている。これにより、送風ファン18からの冷気が円滑に冷気分配部22aに向けて導入され、送風効率が向上する。
【0058】
また、送風ファン18からの冷気は、上端縁部21qを含む外周部21cに当たることで、吐出口21e1から冷気が吐出される。また、冷気分配部22aに向けて吐出される冷気よりも遅れて吐出された冷気は、上端縁部21pを含む外周部21cに当たり、吐出口21e2から吐出される。また、吐出口21e1,21e2において吐出されなかった冷気は、吐出口21e1,21e2の下方の吐出口21f,21g,21g,21h,21i,21iから適宜吐出される。
【0059】
吐出口21e1,21e2から吐出された冷気は、上段収納容器63(
図2参照)に吐出される。吐出口21f,21g,21gから吐出された冷気は、中段収納容器62(
図2参照)に吐出される。吐出口21h,21i,21iから突出された冷気は、下段収納容器61(
図2参照)に吐出される。
【0060】
図7(b)に示すように、ファンカバー21は、爪部20f3,20f4などを介してファンベース20に取り付けられている。ファンカバー21がファンベース20に取り付けられることで、ファンカバー21とファンベース20との間に空間が形成される。ところで、この空間において霜が発生して、霜が溶けて水が発生することが想定されるので、このような水も排出する必要がある。
【0061】
そこで、本実施形態では、ファンカバー21に水抜孔21s,21sが形成されている。この水抜孔21sは、爪部20f3,20f4と対向する位置に形成されている。
図7(b)は、ファンカバー21が爪部20f3,20f4によってファンベース20に係止されている状態をファンカバー21の内側から見たものである。このように、ファンカバー21の縁部の底面21tには、水抜孔(切欠き)21s,21sが形成されている。水抜孔21sは、ファンカバー21がファンベース20に取り付けられた状態で、爪部20f3,20f4の基端の左右両側に上下方向に貫通するように構成されている。
【0062】
図7(c)に示すように、ファンカバー21の正面部21aは、凹部21b(
図7(a)参照)が形成される面の下方にファンベース20に近づく方向に傾斜する傾斜面部21a1が形成されている。これにより、ファンカバー21とファンベース20との距離が下方に向けて短くなるように形成されている。
【0063】
また、ファンカバー21の底面21tは、爪部20f4と対向する位置において、ファンベース20に接触しないように切り欠くことで水抜孔21sが形成されている。また、底面21tには、爪部20f4の鉤状部が嵌る段差部21rが形成されている。
図7(c)に示す形状にすることで、ファンカバー21内で発生したドレン水を水抜孔21sを介してファンカバー21の外側に排出できる。
【0064】
また、ファンベース20の表面には、水抜孔21sの下方に、水抜孔21sから排出された水を案内する樋部20h(
図7(a)参照)が形成されている。この樋部20hは、水抜孔21sと取込口20gとの間に位置している。また、樋部20hは、ファンベース20の表面から凸条の部材で形成されるとともに、正面視において略Y字状に形成されている。また、樋部20hの幅方向(左右方向)の中央は、取込口20gの上端まで延びている。また、ファンベース20には、樋部20hの下端において、該ファンベース20を貫通する貫通孔20iが形成されている。
【0065】
これにより、水抜孔21sから排出された水は、ファンベース20の表面を伝って落下し、樋部20hで受け止められる。樋部20hで受け止めた水は、樋部20hの傾斜に沿って中央に集まり、貫通孔20iを介してファンベース20の裏面側に排出される。ファンベース20の裏側に排出された水は、冷却器9で発生したドレン水と同様にして、樋(とい)9c(
図3参照)に一旦落下し、ドレン孔9d(
図3参照)を介して圧縮機(不図示)の上部に設けた蒸発皿(不図示)に溜められる。
【0066】
冷気の流れについて説明すると、冷却器9(
図3参照)で生成された冷気は、送風ファン18によって背面から吸い込まれて、ファンカバー21の正面部21a(前方)に吐出される。そして、冷気は、ファンカバー21を通過して、冷気分配部22aに導入される。冷気分配部22aに導入された冷気は、第1冷気導入路22bと第2冷気導入路22cに分配される。第1冷気導入路22bに導入された冷気は、製氷室40の後方から製氷室40内に導入される。
【0067】
図8に示すように、第2冷気導入路22cに導入された冷気は、切欠部22c2によって上段冷凍室50の側面から吐出される。また、上段冷凍室50の背部には、内箱11A(11)の一部が露出している。これにより、上段冷凍室50の後部に、冷気を吐出させる風路(ダクト)を設ける必要がないので、上段冷凍室50の内容積を拡大することができる。
【0068】
また、製氷室40および上段冷凍室50を通過した冷気は、下段冷凍室60(
図3参照)を通過し、取込口20g(
図3、
図7参照)からファンベース20内に吸い込まれ(取り込まれ)、再び冷却器9(
図3参照)によって冷却される。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫100は、冷凍室として、左右に並んで配置される製氷室40(第1冷凍室)および上段冷凍室50(第2冷凍室)と、製氷室40と上段冷凍室50との間に配置される仕切部材16と、を備える。冷気供給部材R(冷気供給路)が、製氷室40に冷気を導入する第1冷気導入路22bと、上段冷凍室50に冷気を導入する第2冷気導入路22cと、第1冷気導入路22bと第2冷気導入路22cに冷気を分配する冷気分配部22aを、を備える。冷気分配部22a、および第2冷気導入路22c(第1冷気導入路と第2冷気導入路の少なくとも一方)は、仕切部材16の前後方向の投影上に位置している。これにより、製氷室40の背壁に、内箱11B,11(
図2参照)を露出させることができ、上段冷凍室50の背壁に、内箱11A(11)を露出させることができた。このように、仕切部材16の後に冷気分配部22aと第2冷気導入路22cを前後方向に重なるように収めたことで、上段冷凍室50の内容積を拡大することができ、食品収納スペースを拡大することが可能になる。仕切部材16は、製氷室40の収納容器や上段冷凍室50の収容容器をスライドさせるためのレール部材41b,51aが必ず必要になり、デッドスペースが生じるものであった。そのデッドスペースに冷気風路としての冷気分配部22aと第2冷気導入路22cとを配置することで、スペースを有効に活用することができるようになった。
【0070】
また、本実施形態では、冷気分配部22aは送風ファン18の鉛直方向上方の投影上に位置している(
図7(a)参照)。これにより、送風ファン18からの冷気を冷気分配部22aに円滑に導入できるので、送風効率を向上させることができる。
【0071】
また、本実施形態では、送風ファン18を収容するファンカバー21を備え、ファンカバー21が冷凍サイクルFから生成された水を排出する水抜孔21sを有する(
図7(b)、(c)参照)。これにより、冷気供給部材Rを構成するファンカバー21内において霜が発生して、霜が溶けて水が発生した場合でも、その水がファンカバー21内に溜るのを防止することができる。これにより、水が凍ることで、吐出口21h,21iなどが塞がれ、冷気の吐出が阻害されるのを防止することができる。
【0072】
また、本実施形態は、水抜孔21sが下段冷凍室60に収納される下段収納容器61(ケース)の後端61eよりも後方に位置している(
図3参照)。これにより、仮に水抜孔21sから排出された水滴が凝固して氷柱状になったとしても、それが下段収納容器61内に落下するのを防止することができる。よって、下段収納容器61内の食品が傷つくのを防止できる。
【0073】
図9は、冷蔵室と冷凍室に冷却器を備えた冷蔵庫を示す構成図である。
図9に示すように、冷蔵庫100は、冷凍サイクルとして、冷蔵室30を冷却する冷却器31(冷蔵室冷却器)と、冷凍室(製氷室40、上段冷凍室50および下段冷凍室60)を冷却する冷却器9と、を備えている。つまり、冷蔵室30は、冷却器31のみによって冷却され、冷凍室は、冷却器9のみによって冷却されるように構成されている。
【0074】
冷却器31は、冷却器9よりも小型に形成され、冷蔵室30の下端の背面に設けられている。また、冷却器31は、冷蔵庫100の幅方向の中央よりも右寄りに配置されている。このように、冷蔵室30用の冷却器31と、冷凍室用の冷却器9と、を分けることにより、冷却器9を小型(例えば、7段→5段)にすることができる。これにより、冷凍室内の背面における前方への出っ張りの容積を削減することができ、冷凍室内の容積を拡大することが可能になる。
【0075】
また、冷却器31の上方には、送風ファン32が設けられている。冷却器31および送風ファン32は、ダクト33内に収容されている。これにより、冷却器31で生成された冷気は、送風ファン32によって上方に運ばれ、ダクト33に形成された吐出口(不図示)から冷蔵室30内に吐出される。
【0076】
また、冷蔵庫100は、冷蔵室30と冷凍室とを断熱的に区画する断熱仕切部材17を備えている。この断熱仕切部材17は、冷却器31に付着した霜を溶かして処理するための樋(とい)部17aが一体に形成されている。樋部17aは、冷媒分配部22aの位置から右方向(冷却器31側)に向けて直線状に傾斜する傾斜面17a1が形成されている。この傾斜面17a1は、右側の側板1bの近傍まで延びている。なお、近傍とは、例えば、冷却器31の右側の端部と上下方向に重なる位置である。また、傾斜面17a1の下端には、ドレン管17bが接続されている。なお、ドレン管17bは、機械室Q(
図1参照)まで延びている。このように、ドレン管17bを内箱11の端部にすることで、傾斜面17a1の傾斜を緩やかにすることができ、冷凍室(製氷室40および上段冷凍室50)への樋部17aの下方への出っ張りを抑えることができる。よって、冷凍室の庫内容積が大きく削減されるのを抑制できる。また、樋部17aを右寄りに配置することで、製氷室40の庫内奥側の容積を大きく確保することができる。
【0077】
また、
図9に示すように、ファンカバー21は、野菜室70に通じるダクト21uが設けられている。このダクト21uは、下段冷凍室60と野菜室70とを断熱的に区画する断熱仕切体を貫通して、野菜室70内に延びている。また、ダクト21uの先端(下端)にはダンパ21xが設けられている。このダンパ21xが開くことで、冷気が野菜室70内に供給され、ダンパ21xが閉じることで、野菜室70への冷気の供給が遮断される。なお、野菜室70に供給された冷気は、図示しない取込口および配管を介して冷却器9に戻るように構成されている。
【0078】
このように、本実施形態では、冷凍サイクルFは、冷蔵室30を冷却する冷却器31と、冷凍室を冷却する冷却器9と、を備える。冷蔵室30と冷凍室とが断熱仕切部材17で仕切られている。断熱仕切部材17には、冷却器31からの排水を通流させる樋部17aが設けられている。例えば、従来のように、上段冷凍室の後方から冷気を吐出させる構造において、冷蔵室用と冷凍室用にそれぞれ冷却器を分けた場合、冷凍室に樋部17aの構造物が突出し、冷気の吐出口がさらに前方に突出することになるとともに風路の構造がさらに複雑になる。しかし、本実施形態のように、仕切部材16(
図8参照)の前後方向の投影上に冷気分配部22aおよび第2冷気導入路22cを設けて、上段冷凍室50の側面から冷気を吐出させることにより、樋部17aが設けられたものに対して特に有効である。
【0079】
以上、本実施形態について図面を参照しながら説明したが、本実施形態は前記の内容に何ら限定されるものではない。したがって、本発明には、様々な変形例が含まれる。すなわち、前記の実施形態は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0080】
例えば、本実施形態では、製氷室40に導入される冷気を後から、上段冷凍室50に導入される冷気を横からとしたが、前記とは逆に、製氷室40に導入される冷気を横から、上段冷凍室50に導入される冷気を後からとしてもよい。また、製氷室40と上段冷凍室50の一方において、冷気が横から突出されるように構成したが、製氷室40と上段冷凍室50の両方から冷気吐出させるようにしてもよい。
【0081】
また、本実施形態では、冷凍室を冷却する冷却器9と、冷蔵室30を冷却する冷却器31とを分割して構成した場合を例に挙げて説明したが、従来のように、冷凍室の背面に、冷蔵室30と冷凍室を冷却する冷却器を設ける構成であってよい。