(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
射出成形機の金型の型閉動作に連動し、前記金型に中子を設置するセット動作、および、前記金型の型開動作に連動し、前記金型から前記中子を取り外すプル動作を制御する射出成形機の制御装置であって、
前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件を設定する第1動作条件設定部と、
前記中子のセット動作の動作条件と、前記中子のセット動作の動作条件に対応する前記中子のプル動作の動作条件を対にして記憶する変換テーブルと、
前記第1動作条件設定部によって設定された、前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件に応じて、前記変換テーブルにしたがって、前記中子のプル動作、および、前記中子のセット動作の他方の動作条件を設定する第2動作条件設定部と、
前記第1動作条件設定部および前記第2動作条件設定部において設定された動作条件にしたがって、前記セット動作および前記プル動作を行うように前記射出成形機を駆動させる駆動指令を生成する駆動指令生成部と、
を有し、
前記変換テーブルは、
前記金型の型閉動作中に、任意の第1位置において前記金型を停止させて前記セット動作を行う停止セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記第1位置において前記金型を停止させて前記プル動作を行う停止プルモードとを対にした情報、
前記金型の型閉動作中に、前記金型が型閉開始位置から任意の第2位置に移動する間に前記セット動作を行う第1型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が前記第2位置から型開完了位置に移動する間に前記プル動作を行う第1型開中プルモードとを対にした情報、
前記金型の型閉動作中に、前記金型が任意の第3位置から型閉完了位置に移動する間に前記セット動作を行う第2型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が型開開始位置から前記第3位置に移動する間に前記プル動作を行う第2型開中プルモードとを対にした情報、
前記金型から成形品を取り外すエジェクタが完了したときに前記セット動作を行うエジェクタ完了セットモードと、前記エジェクタを開始するときに前記プル動作を行うエジェクタ開始プルモードとを対にした情報
のうち、少なくとも1つの情報を記憶する、射出成形機の制御装置。
射出成形機の金型の型閉動作に連動し、前記金型に中子を設置するセット動作、および、前記金型の型開動作に連動し、前記金型から前記中子を取り外すプル動作を制御する射出成形機の制御方法であって、
前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件を設定する第1動作条件設定ステップと、
前記第1動作条件設定ステップによって設定された、前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件に応じて、前記中子のセット動作の動作条件と、前記中子のセット動作の動作条件に対応する前記中子のプル動作の動作条件を対にして記憶する変換テーブルにしたがって、前記中子のプル動作、および、前記中子のセット動作の他方の動作条件を設定する第2動作条件設定ステップと、
前記第1動作条件設定ステップおよび前記第2動作条件設定ステップにおいて設定された動作条件にしたがって、前記セット動作および前記プル動作を行うように前記射出成形機を駆動させる駆動指令を生成する駆動指令生成ステップと、
を有し、
前記変換テーブルは、
前記金型の型閉動作中に、任意の第1位置において前記金型を停止させて前記セット動作を行う停止セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記第1位置において前記金型を停止させて前記プル動作を行う停止プルモードとを対にした情報、
前記金型の型閉動作中に、前記金型が型閉開始位置から任意の第2位置に移動する間に前記セット動作を行う第1型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が前記第2位置から型開完了位置に移動する間に前記プル動作を行う第1型開中プルモードとを対にした情報、
前記金型の型閉動作中に、前記金型が任意の第3位置から型閉完了位置に移動する間に前記セット動作を行う第2型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が型開開始位置から前記第3位置に移動する間に前記プル動作を行う第2型開中プルモードとを対にした情報、
前記金型から成形品を取り外すエジェクタが完了したときに前記セット動作を行うエジェクタ完了セットモードと、前記エジェクタを開始するときに前記プル動作を行うエジェクタ開始プルモードとを対にした情報のうち、少なくとも1つの情報を記憶する、射出成形機の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第1の実施の形態〕
[射出成形機および制御装置の構成]
図1は、射出成形機10と、射出成形機10を制御する制御装置12の構成を示すブロック図である。射出成形機10は、スクリュ回転モータ14、射出モータ16、型開閉モータ18、エジェクタモータ20、中子動作アクチュエータ22および周辺装置通信部24を有している。
【0011】
スクリュ回転モータ14は、射出機構のスクリュを軸周りに回転駆動させるモータである。射出モータ16は、スクリュを軸方向に直線駆動させるモータである。スクリュが回転することにより、樹脂材料がシリンダ内をノズル方向に移動される。射出モータ16によりスクリュに背圧を掛けながら、スクリュ回転モータ14によりスクリュを回転させて、シリンダの先端に所定量の樹脂を供給する計量動作を行う。そして、射出モータ16によりスクリュをノズル方向に移動させて、シリンダ内の樹脂材料がノズルから金型内に射出される射出動作を行う。金型に樹脂材料が充填された後に、射出モータ16によりスクリュをノズル方向に押圧し続けることにより、ゲートが硬化するまで樹脂材料に圧力を加える保圧動作を行う。
【0012】
型開閉モータ18は、型締機構の可動プラテンを固定プラテンに対して駆動させるモータである。型開閉モータ18により、可動プラテンを固定プラテンに対して接近させる方向に移動させることにより金型を閉じる型閉動作、可動プラテンを固定プラテンに対して離間させる方向に移動させることにより金型を開く型開動作を行う。
【0013】
エジェクタモータ20は、可動プラテンに設けられたエジェクタピンを駆動するモータである。エジェクタモータ20によりエジェクタピンを前進する方向に駆動させて、可動プラテンに設けられた可動金型から成形品を取り外すエジェクタ動作を行う。可動金型からの成形品の取り外しが完了すると、エジェクタモータ20によりエジェクタピンを後退する方向に駆動させる。中子動作アクチュエータ22は、油圧シリンダ等であって、金型へ中子を設置するセット動作、金型から中子を取り外すプル動作を行うアクチュエータである。
【0014】
周辺装置通信部24は、成形品取出装置26や真空引き装置28等の周辺装置と通信を行う。周辺装置通信部24は、通信信号を制御装置12に出力する信号出力動作を行う。制御装置12は、周辺装置通信部24から出力された通信信号を、成形品取出装置26や真空引き装置28に転送する。また、制御装置12は、成形品取出装置26や真空引き装置28から出力された通信信号を、周辺装置通信部24に転送する。周辺装置通信部24は、制御装置12から送られた通信信号を入力する信号入力動作を行う。
【0015】
成形品取出装置26は、射出成形機10から成形品を取り出す取り出し動作を行う装置である。射出成形機10は、金型の型開が完了すると、周辺装置通信部24から取り出し動作を要求する通信信号を制御装置12に送信する。取り出し動作を要求する通信信号は、制御装置12から成形品取出装置26に転送される。成形品取出装置26は、取り出し動作を要求する通信信号を受け取ると、成形品の取り出し動作を開始する。成形品取出装置26は、成形品の取り出し動作が完了すると、取り出し動作の完了を通知する通信信号を制御装置12に送信する。取り出し動作の完了を通知する通信信号は、制御装置12から周辺装置通信部24に転送される。
【0016】
真空引き装置28は、金型内を真空引きする真空引き動作を行う装置である。射出成形機10は、金型の型閉が完了すると、周辺装置通信部24から真空引き動作を要求する通信信号を制御装置12に送信する。真空引き動作を要求する通信信号は、制御装置12から真空引き装置28に転送される。真空引き装置28は、真空引き動作を要求する通信信号を受け取ると、真空タンクと金型との間のバルブを開き、真空引き動作を開始する。
【0017】
真空引き装置28は、真空タンクと金型との間のバルブを開ききると、バルブの開放完了を通知する通信信号を制御装置12に送信する。バルブの開放完了を通知する通信信号は、制御装置12から周辺装置通信部24に転送される。
【0018】
[制御装置の構成]
制御装置12は、操作部30、表示部32、第1動作条件設定部34、第2動作条件設定部36、変換テーブル38、動作条件変更部40、表示順番設定部42、駆動指令生成部44、通信転送部46および表示制御部48を有している。
【0019】
操作部30は、タッチパネル、キーボード、マウス等であって、オペレータにより操作されることによって、制御装置12に情報を入力する。表示部32は、液晶ディスプレイ等であって、文字、記号、図等を表示する。
【0020】
図2は、表示部32に表示される、中子のセット動作の動作条件の設定画面50(以下、セット動作条件設定画面50と記載する。)、および、中子のプル動作の動作条件の設定画面52(以下、プル動作条件設定画面52と記載する。)を示す図である。
【0021】
オペレータにより操作部30が操作され、表示部32に表示されたセット動作条件設定画面50において4つの中子1〜中子4のセット動作の動作条件が選択される。第1動作条件設定部34は、選択された各中子のセット動作の動作条件に応じて、各中子のセット動作の動作条件を設定する。なお、オペレータの操作部30の操作により、各中子のセット動作の動作条件の選択がされなくても、第1動作条件設定部34において自動で各中子のセット動作の動作条件を設定するようにしてもよい。
【0022】
オペレータにより操作部30が操作され、表示部32に表示されたプル動作条件設定画面52において4つの中子1〜中子4のプル動作の動作条件が選択される。第2動作条件設定部36は、選択された各中子のプル動作の動作条件に応じて、各中子のプル動作の動作条件を設定する。また、第2動作条件設定部36は、第1動作条件設定部34において設定されたセット動作の動作条件にしたがって、自動で各中子のプル動作の動作条件を設定することもできる。
【0023】
変換テーブル38は、第2動作条件設定部36が自動で各中子のプル動作の動作条件を設定する際に使用される。変換テーブル38は、ハードディスク、メモリ等の記憶装置に記憶されている。変換テーブル38については、後に詳述する。
【0024】
動作条件変更部40は、第2動作条件設定部36において自動で設定された各中子のプル動作の動作条件を変更する。各中子のプル動作の動作条件を変更は、オペレータにより操作部30が操作され、表示部32に表示されたプル動作条件設定画面52において4つの中子1〜中子4のプル動作の動作条件の選択が変更されることにより行われる。なお、表示部32に表示されたプル動作条件設定画面52における4つの中子1〜中子4のプル動作の動作条件の選択の変更は、オペレータの操作によって行われればよく、操作部30が操作されて行われるものに限らない。
【0025】
表示順番設定部42は、セット動作条件設定画面50のセット動作確認部54に表示される各中子のセット動作を示す記号SA〜SD、および、プル動作条件設定画面52のプル動作確認部56に表示される各中子のプル動作を示す記号SE〜SHの表示の順番を設定する。
【0026】
駆動指令生成部44は、射出成形機10のスクリュ回転モータ14、射出モータ16、型開閉モータ18、エジェクタモータ20、中子動作アクチュエータ22を駆動させるための駆動指令を生成する。
【0027】
表示制御部48は、セット動作条件設定画面50およびプル動作条件設定画面52を表示させるように表示部32を制御する。
【0028】
通信転送部46は、射出成形機10から送られてきた通信信号を、成形品取出装置26や真空引き装置28に転送する。また、通信転送部46は、成形品取出装置26や真空引き装置28から送られてきた通信信号を、射出成形機10に転送する。
【0029】
[セット動作条件設定画面]
オペレータは、
図2に示すセット動作条件設定画面50において、4つの中子1〜中子4のセット動作の動作条件を設定する。セット動作条件設定画面50は、中子セットモード選択部58A〜58D、中子セット起動モード選択部60A〜60D、中子セットオプション設定部62A〜62D、逆順設定選択部65およびセット動作確認部54から構成されている。なお、
図2および後述の
図5、
図7において、点線で示す枠は、表示されない枠、または、実線で示す枠よりも薄い色で表示される枠であることを示す。
【0030】
オペレータは、操作部30を操作することにより、中子セットモード選択部58A〜58Dにおいて「停止セット(停止セットモード)」、「型閉中セットA(第1型閉中セットモード)」、「型閉中セットB(第2型閉中セットモード)」のいずれか1つの中子セットモードを選択することができる。
【0031】
オペレータは、操作部30を操作することにより、中子セット起動モード選択部60A〜60Dにおいて「型閉開始」、「射出開始」、「任意」、「エジェクタ完了(エジェクタ完了セットモード)」、「並列1」、「並列2」、「並列3」、「並列4」、「連続1」、「連続2」、「連続3」、「連続4」のいずれか1つの中子セット起動モードを選択することができる。
【0032】
中子セット起動モードとして「任意」が選択された場合には、オペレータは、操作部30を操作することにより、中子セットオプション設定部62A〜62Dにおいて可動金型の任意の位置を中子セットオプションとして指定することができる。
【0033】
オペレータは、操作部30を操作することにより、逆順設定選択部65において「ON」、「OFF」のいずれか1つを選択することができる。
【0034】
セット動作確認部54は、中子セットモード選択部58A〜58D、中子セット起動モード選択部60A〜60Dにおける選択結果に応じて、各中子のセット動作を示す記号SA〜SDを表示する。
【0035】
[プル動作条件設定画面]
オペレータは、
図2に示すプル動作条件設定画面52において、4つの中子1〜中子4のプル動作の動作条件を設定することができる。プル動作条件設定画面52は、中子プルモード選択部64A〜64D、中子プル起動モード選択部66A〜66Dおよび中子プルオプション設定部68A〜68Dから構成されている。
【0036】
オペレータは、操作部30を操作することにより、中子プルモード選択部64A〜64Dにおいて「停止プル(停止プルモード)」、「型開中プルA(第2型開中プルモード)」、「型開中プルB(第1型開中プルモード)」のいずれか1つの中子
プルモードを選択することができる。
【0037】
オペレータは、操作部30を操作することにより、中子プル起動モード選択部66A〜66Dにおいて「型開開始」、「型開完了」、「任意」、「
取り外し開始(
取り外し開始プルモード)」、「並列1」、「並列2」、「並列3」、「並列4」、「連続1」、「連続2」、「連続3」、「連続4」のいずれかを1つの中子プル起動モードを選択することができる。
【0038】
中子プル起動モードとして「任意」が選択された場合には、オペレータは、操作部30を操作することにより、中子プルオプション設定部68A〜68Dにおいて可動金型の任意の位置を中子プルオプションとして指定することができる。
【0039】
なお、セット動作条件設定画面50の逆順設定選択部65において、「ON」が選択された場合には、中子プルモード選択部64A〜64D、中子プル起動モード選択部66A〜66D、中子プルオプション設定部68A〜68Dには、第2動作条件設定部36において自動で設定された中子のプル動作の動作条件に応じて中子プルモード、中子プル起動モード、中子プルオプションが表示される。
【0040】
プル動作確認部56は、中子プルモード選択部64A〜64D、中子プル起動モード選択部66A〜66Dにおける選択結果に応じて、各中子のプル動作を示す記号SE〜SHを表示する。
【0041】
[中子セットモードおよび中子プルモードについて]
図3は、中子セットモードおよび中子プルモードについて説明する図である。
図3では、中子セットモードおよび中子プルモードについて6つの具体例を示している。また、
図3では、型閉開始時および型開完了時の可動金型の位置を150mmとし、射出開始時および型開開始時の可動金型の位置を0mmとしている。なお、以下では、型閉開始時および型開完了時の可動金型の位置を、型閉開始位置または型開完了位置と記載することがある。また、射出開始時または型開開始時の可動金型の位置を、射出開始位置、型閉完了位置または型開開始位置と記載することがある。
【0042】
図3の1番目の欄は、中子1に対して、中子セットモードが「停止セット」、中子セット起動モードが「任意」、中子セットオプションが「70mm」に設定されている状態を示している。この場合、型閉が開始された後に、可動金型は70mmとなる位置で停止され、中子1が金型に設置される。中子1が設置されたのちに、型閉が再開される。
【0043】
図3の2番目の欄は、中子1に対して、中子セットモードが「型閉中セットA」、中子セット起動モードが「任意」、中子セットオプションが「70mm」に設定されている状態を示している。この場合、可動金型が移動中であって、型閉開始位置から70mmとなる位置まで移動する間に中子1が金型に設置される。
【0044】
図3の3番目の欄は、中子1に対して、中子セットモードが「型閉中セットB」に、中子セット起動モードが「任意」、中子セットオプションが「70mm」に設定されている状態を示している。この場合、可動金型が移動中であって、70mmとなる位置から型閉完了位置まで移動する間に中子1が金型に設置される。
【0045】
図3の4番目の欄は、中子1に対して、中子プルモードが「停止プル」、中子プル起動モードが「任意」、中子プルオプションが「70mm」に設定されている状態を示している。この場合、型開が開始された後に、可動金型は70mmとなる位置で停止され、中子1が金型から取り外される。中子1が取り外されたのちに、型開が再開される。
【0046】
図3の5番目の欄は、中子1に対して、中子プルモードが「型開中プルA」、中子プル起動モードが「任意」、中子プルオプションが「70mm」に設定されている状態を示している。この場合、可動金型が移動中であって、型開開始位置から70mmとなる位置まで移動する間に中子1が金型から取り外される。
【0047】
図3の6番目の欄は、中子1に対して、中子プルモードが「型開中プルB」に、中子
プル起動モードが「任意」、中子
プルオプションが「70mm」に設定されている状態を示している。この場合、可動金型が移動中であって、70mmとなる位置から型開完了位置まで移動する間に中子1が金型から取り外される。
【0048】
[中子セット起動モードおよび中子プル起動モードについて]
中子セット起動モードのうち「型閉開始」、「射出開始」、「任意」の3つは、中子セットモードとともに設定され、可動金型の位置を指定する。同じく、中子プル起動モードのうち「型開開始」、「型開完了」、「任意」の3つは、中子プルモードとともに設定され、可動金型の位置を指定する。
【0049】
中子セット起動モードのうち「
取り外し完了」が選択されると、エジェクタ
ピンにより金型から成形品が取り外され、エジェクタ
ピンの後退が完了したときに、中子のセット動作が行われる。中子プル起動モードのうち「
取り外し開始」が選択されると、エジェクタ
ピンにより金型から成形品を取り外すために、
取り外し動作を開始するときに、中子のプル動作が行われる。
【0050】
中子セット起動モードおよび中子プル
起動モードのうち「並列1」、「並列2」、「並列3」または「並列4」が選択されると、他の中子のセット動作またはプル動作と並列してセット動作またはプル動作が行われる。例えば、中子1の中子セット起動モードとして「並列2」が選択されると、中子2のセット動作と並列して中子1のセット動作が行われる。
【0051】
中子セット起動モードおよび中子プル
起動モードのうち「連続1」、「連続2」、「連続3」または「連続4」が選択されると、他の中子のセット動作またはプル動作が完了した後に連続してセット動作またはプル動作が行われる。例えば、中子1の中子セット起動モードとして「連続2」が選択されると、中子2のセット動作が完了した後に連続して中子1のセット動作が行われる。
【0052】
[変換テーブル]
図4は、変換テーブル38を示す表である。変換テーブル38は、第2動作条件設定部36が自動で各中子のプル動作の動作条件を設定する際に使用される。変換テーブル38は、各中子セットモードと、各中子セットモードに対応する中子プルモードとをそれぞれ対にして記憶する。また、変換テーブル38は、各中子セット起動モードと、各中子セット起動モードに対応する中子プル起動モードとをそれぞれ対にして記憶する。
【0053】
例えば、
図4に示すように、中子セットモードの「型閉中セットA」と、中子プルモードの「型開中プルB」とが対にして記憶されている。また、
図4に示すように、中子セット起動モードの「型閉開始」と、中子プル起動モードの「型開完了」とが対にして記憶されている。
【0054】
変換テーブル38の中子セット起動モードの「並列Nc」の記載と、中子プル起動モードの「並列Nc」の記載は、例えば、中子セット起動モードの「並列1」に対応する中子プル起動モードは、「並列1」であることを示す。同様に、変換テーブル38の中子セット起動モードの「連続Nc」の記載と、中子プル起動モードの「連続Nc」の記載は、例えば、中子セット起動モードの「連続1」に対応する中子プル起動モードは、「連続1」であることを示す。
【0055】
[第2動作条件設定部について]
第2動作条件設定部36は、セット動作条件設定画面50の逆順設定選択部65において「ON」が選択されている場合には、自動で中子のプル動作の動作条件を設定する。第2動作条件設定部36は、セット動作が行われる各中子の順番に対して、プル動作が行われる各中子の順番が逆となるようにプル動作の動作条件を設定する。
【0056】
第2動作条件設定部36は、セット動作条件設定画面50において設定された中子セットモードおよび中子セット起動モードを、変換テーブル38にしたがって中子プルモードおよび中子プル起動モードに変換する。
図5は、セット動作条件設定画面50、および、プル動作条件設定画面52を示す図である。
図5のプル動作条件設定画面52には、セット動作条件設定画面50において設定された中子セットモードおよび中子セット起動モードを、変換テーブル38にしたがって変換した後の中子プルモードおよび中子プル起動モードが入力されている。なお、
図5は第2動作条件設定部36において行われる処理について説明するための図であって、実際には表示部32には表示されない。
【0057】
図5に示すように、セット動作条件設定画面50において設定された中子セットモードおよび中子セット起動モードを、変換テーブル38にしたがって中子プルモードおよび中子プル起動モードに変換しただけでは、セット動作が行われる各中子の順番に対して、プル動作が行われる各中子の順番が逆とはならない。変換後の中子プル起動モードに「連続1」、「連続2」、「連続3」または「連続4」が含まれるときには、第2動作条件設定部36は、セット動作が行われる各中子の順番に対して、プル動作が行われる各中子の順番が逆となるように、中子プルモードおよび中子プル起動モードを補正する。
図2のプル動作条件設定画面52には、補正後の中子プルモードおよび中子プル起動モードが表示されている。
【0058】
図6は、
図2のセット動作条件設定画面50において設定された各中子のセット動作の動作条件と、プル動作条件設定画面52において設定された各中子のプル動作の動作条件にしたがって動作する各中子の動作を示すタイムチャートである。
図6に示すように、セット動作が行われる各中子の順番に対して、プル動作が行われる各中子の順番が逆になっている。
【0059】
図7および
図8を用いて、他の具体例を示す。
図7は、表示部32に表示されるセット動作条件設定画面50、および、プル動作条件設定画面52を示す図である。
図8は、
図7のセット動作条件設定画面50において設定された各中子のセット動作の動作条件と、プル動作条件設定画面52において設定された各中子のプル動作の動作条件にしたがって動作する各中子の動作を示すタイムチャートである。この例でも、
図8に示すように、セット動作が行われる各中子の順番に対して、プル動作が行われる各中子の順番が逆になっている。
【0060】
[中子の動作条件設定処理]
図9および
図10は、中子のセット動作およびプル動作の動作条件を設定する処理の流れを示すフローチャートである。この処理は、制御装置12に搭載されているプロセッサ、メモリ等により実施される。
【0061】
ステップS1において、第1動作条件設定部34は、セット動作条件設定画面50におけるオペレータによる操作部30の操作に応じて、中子のセット動作の動作条件を設定する。
【0062】
ステップS2において、表示順番設定部42は、第1動作条件設定部34において設定された中子のセット動作の動作条件に応じて、セット動作条件設定画面50のセット動作確認部54に表示される各中子のセット動作を示す記号SA〜SDの表示の順番を設定する。
【0063】
ステップS3において、表示制御部48は、表示順番設定部42において設定された各中子のセット動作を示す記号SA〜SDの表示の順番にしたがって、セット動作確認部54に記号SA〜SDを表示するように表示部32を制御する。
【0064】
ステップS4において、第2動作条件設定部36は、セット動作条件設定画面50の逆順設定選択部65において「ON」が選択されているか否かを判定する。セット動作条件設定画面50の逆順設定選択部65において「ON」が選択されている場合にはステップS5へ移行し、セット動作条件設定画面50の逆順設定選択部65において「OFF」が選択されている場合にはステップS13へ移行する。
【0065】
ステップS5において、第2動作条件設定部36は、変換テーブル38にしたがってプル動作の動作条件を設定する。
【0066】
ステップS6において、第2動作条件設定部36は、セット動作が行われる各中子の順番に対して、プル動作が行われる各中子の順番が逆となるように、ステップS5において設定したプル動作の動作条件を補正する。
【0067】
ステップS7において、表示順番設定部42は、第2動作条件設定部36において設定された中子のプル動作の動作条件に応じて、プル動作条件設定画面52のプル動作確認部56に表示される、各中子のプル動作を示す記号SE〜SHの表示の順番を設定する。
【0068】
ステップS8において、表示制御部48は、表示順番設定部42において設定された各中子のプル動作を示す記号SE〜SHの表示の順番にしたがって、プル動作確認部56に記号SE〜SHを表示するように表示部32を制御する。
【0069】
ステップS9において、動作条件変更部40は、オペレータによる操作部30の操作により、第2動作条件設定部36において設定された中子のプル動作の動作条件の変更が行われたか否かを判定する。中子のプル動作の動作条件の変更の操作が行われた場合にはステップS10へ移行し、中子のプル動作の動作条件の変更の操作が行われていない場合にはステップS16へ移行する。
【0070】
ステップS10において、動作条件変更部40は、プル動作条件設定画面52におけるオペレータによる操作部30の操作に応じて、中子のプル動作の動作条件を変更する。
【0071】
ステップS11において、表示順番設定部42は、動作条件変更部40において変更された中子のプル動作の動作条件に応じて、プル動作条件設定画面52のプル動作確認部56に表示される、各中子のプル動作を示す記号SE〜SHの表示の順番を設定する。
【0072】
ステップS12において、表示制御部48は、表示順番設定部42において設定された各中子のプル動作を示す記号SE〜SHの表示の順番にしたがって、プル動作確認部56に記号SE〜SHを表示するように表示部32を制御する。
【0073】
ステップS4の判定が「NO」であるときに移行するステップS13において、第2動作条件設定部36は、プル動作条件設定画面52におけるオペレータによる操作部30の操作に応じて、中子のプル動作の動作条件を設定する。
【0074】
ステップS14において、表示順番設定部42は、第2動作条件設定部36において設定された中子のプル動作の動作条件に応じて、プル動作条件設定画面52のプル動作確認部56に表示される、各中子のプル動作を示す記号SE〜SHの表示の順番を設定する。
【0075】
ステップS15において、表示制御部48は、表示順番設定部42において設定された各中子のプル動作を示す記号SE〜SHの表示の順番にしたがって、プル動作確認部56に記号SE〜SHを表示するように表示部32を制御する。
【0076】
セット動作の動作条件、および、プル動作の動作条件が設定されたのちのステップS16において、駆動指令生成部44は、設定されたセット動作の動作条件、および、プル動作の動作条件にしたがって、射出成形機10のスクリュ回転モータ14、射出モータ16、型開閉モータ18、エジェクタモータ20、中子動作アクチュエータ22を駆動させるための駆動指令を生成する。
【0077】
なお、本実施の形態では、第2動作条件設定部36は、オペレータにより設定されたセット動作の動作条件にしたがって、自動でプル動作の動作条件を設定するようにしたが、オペレータにより設定されたプル動作の動作条件にしたがって、自動でセット動作の動作条件を設定するようにしてもよい。
【0078】
[作用効果]
従来、中子のセット動作の動作条件やプル動作の動作条件の設定は、オペレータにより手動で行われており、オペレータの負担が大きかった。
【0079】
そこで、本実施の形態では、中子のセット動作の動作条件の設定については、オペレータにより手動で行われるものの、中子のプル動作の動作条件の設定については、制御装置12により自動で行われるようにした。これにより、中子のセット動作の動作条件やプル動作の動作条件の設定において、オペレータの負担を低減することができる。
【0080】
また、本実施の形態では、変換テーブル38に基づいて、中子のセット動作の動作条件を中子のプル動作の動作条件に変換するようにした。これにより、制御装置12において行われる、中子のセット動作の動作条件に応じてプル動作の動作条件を設定する処理の負荷を低減することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、制御装置12により自動で設定された中子のプル動作の動作条件を、オペレータによる操作部30の操作に応じて変更する。これにより、自動で設定された中子のプル動作の動作条件をもとにして、オペレータは自由に中子のプル動作の動作条件を変更することができ、中子のプル動作の動作条件の設定の自由度を確保しつつ、オペレータの負担を低減することができる。
【0082】
〔実施の形態から得られる技術的思想〕
上記実施の形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0083】
射出成形機(10)の金型の型閉動作に連動し、前記金型に中子を設置するセット動作、および、前記金型の型開動作に連動し、前記金型から前記中子を取り外すプル動作を制御する射出成形機(10)の制御装置(12)であって、前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件を設定する第1動作条件設定部(34)と、前記中子のセット動作の動作条件と、前記中子のセット動作の動作条件に対応する前記中子のプル動作の動作条件を対にして記憶する変換テーブル(38)と、前記第1動作条件設定部(34)によって設定された、前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件に応じて、前記変換テーブル(38)にしたがって、前記中子のプル動作、および、前記中子のセット動作の他方の動作条件を設定する第2動作条件設定部(36)と、前記第1動作条件設定部(34)および前記第2動作条件設定部(36)において設定された動作条件にしたがって、前記セット動作および前記プル動作を行うように前記射出成形機(10)を駆動させる駆動指令を生成する駆動指令生成部(44)と、を有する。これにより、中子のセット動作の動作条件やプル動作の動作条件の設定において、オペレータの負担を低減することができる。
【0084】
上記の射出成形機(10)の制御装置(12)であって、前記変換テーブル(38)は、前記金型の型閉動作中に、任意の第1位置において前記金型を停止させて前記セット動作を行う停止セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記第1位置において前記金型を停止させて前記プル動作を行う停止プルモードとを対にした情報、前記金型の型閉動作中に、前記金型が型閉開始位置から任意の第2位置に移動する間に前記セット動作を行う第1型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が前記第2位置から型開完了位置に移動する間に前記プル動作を行う第1型開中プルモードとを対にした情報、前記金型の型閉動作中に、前記金型が任意の第3位置から型閉完了位置に移動する間に前記セット動作を行う第2型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が型開開始位置から前記第3位置に移動する間に前記プル動作を行う第2型開中プルモードとを対にした情報、前記金型から成形品を取り外すエジェクタが完了したときに前記セット動作を行うエジェクタ完了セットモードと、前記エジェクタを開始するときに前記プル動作を行うエジェクタ開始プルモードとを対にした情報のうち、少なくとも1つの情報を記憶してもよい。これにより、制御装置(12)において行われる、中子のセット動作の動作条件に応じてプル動作の動作条件を設定する処理の負荷を低減することができる。
【0085】
上記の射出成形機(10)の制御装置(12)であって、前記第2動作条件設定部(36)により設定された前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の他方の動作条件を、さらに、オペレータによる操作に応じて変更する動作条件変更部(40)を有してもよい。これにより、自動で設定された中子のプル動作の動作条件をもとにして、オペレータは自由に中子のプル動作の動作条件を変更することができ、中子のプル動作の動作条件の設定の自由度を確保しつつ、オペレータの負担を低減することができる。
【0086】
射出成形機(10)の金型の型閉動作に連動し、前記金型に中子を設置するセット動作、および、前記金型の型開動作に連動し、前記金型から前記中子を取り外すプル動作を制御する射出成形機(10)の制御方法であって、前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件を設定する第1動作条件設定ステップと、前記第1動作条件設定ステップによって設定された、前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の一方の動作条件に応じて、前記中子のセット動作の動作条件と、前記中子のセット動作の動作条件に対応する前記中子のプル動作の動作条件を対にして記憶する変換テーブル(38)にしたがって、前記中子のプル動作、および、前記中子のセット動作の他方の動作条件を設定する第2動作条件設定ステップと、前記第1動作条件設定ステップおよび前記第2動作条件設定ステップにおいて設定された動作条件にしたがって、前記セット動作および前記プル動作を行うように前記射出成形機(10)を駆動させる駆動指令を生成する駆動指令生成ステップと、を有する。これにより、中子のセット動作の動作条件やプル動作の動作条件の設定において、オペレータの負担を低減することができる。
【0087】
上記の記載の射出成形機(10)の制御方法であって、前記変換テーブル(38)は、前記金型の型閉動作中に、任意の第1位置において前記金型を停止させて前記セット動作を行う停止セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記第1位置において前記金型を停止させて前記プル動作を行う停止プルモードとを対にした情報、前記金型の型閉動作中に、前記金型が型閉開始位置から任意の第2位置に移動する間に前記セット動作を行う第1型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が前記第2位置から型開完了位置に移動する間に前記プル動作を行う第1型開中プルモードとを対にした情報、前記金型の型閉動作中に、前記金型が任意の第3位置から型閉完了位置に移動する間に前記セット動作を行う第2型閉中セットモードと、前記金型の型開動作中に、前記金型が型開開始位置から前記第3位置に移動する間に前記プル動作を行う第2型開中プルモードとを対にした情報、前記金型から成形品を取り外すエジェクタが完了したときに前記セット動作を行うエジェクタ完了セットモードと、前記エジェクタを開始するときに前記プル動作を行うエジェクタ開始プルモードとを対にした情報のうち、少なくとも1つの情報を記憶してもよい。これにより、制御装置(12)において行われる、中子のセット動作の動作条件に応じてプル動作の動作条件を設定する処理の負荷を低減することができる。
【0088】
上記の射出成形機(10)の制御方法であって、前記第2動作条件設定ステップにより設定された前記中子のセット動作、および、前記中子のプル動作の他方の動作条件を、さらに、オペレータによる操作に応じて変更する動作条件変更ステップを有してもよい。これにより、自動で設定された中子のプル動作の動作条件をもとにして、オペレータは自由に中子のプル動作の動作条件を変更することができ、中子のプル動作の動作条件の設定の自由度を確保しつつ、オペレータの負担を低減することができる。