(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761002
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】データ管理装置、データ管理プログラム及びデータ管理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 11/34 20060101AFI20200910BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
G06F11/34 176
G06F11/30 189
G06F11/30 158
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-137748(P2018-137748)
(22)【出願日】2018年7月23日
(65)【公開番号】特開2020-16938(P2020-16938A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年12月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】飯島 一憲
【審査官】
多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】
特開2017−173321(JP,A)
【文献】
特開2018−106421(JP,A)
【文献】
特開2015−212677(JP,A)
【文献】
特開2009−015789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/07
G06F 11/28−11/36
G05B 19/04−19/05
G05B 23/02
G01M 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサデータに基づく評価指標を計算可能なデータ管理装置であって、
産業機械に設けられた1以上のセンサから取得したセンサデータを使用して評価指標を計算する評価指標計算部と、
前記センサデータを保存するセンサデータ記憶部と、
前記センサデータ記憶部において前記センサデータの総容量が上限値を超える場合に、前記センサデータ記憶部から前記センサデータを削除するセンサデータ削除部と、を有し、
前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定し、前記保存優先順位に応じて前記センサデータを削除することを特徴とする
データ管理装置。
【請求項2】
前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度として、所定期間における前記評価指標の分散又は前記評価指標の時間微分値を用いることを特徴とする
請求項1記載のデータ管理装置。
【請求項3】
前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度と、前記センサデータの保存密度と、に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定することを特徴とする
請求項1記載のデータ管理装置。
【請求項4】
前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度と、前記センサデータの取得時刻からの経過時間と、に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定することを特徴とする
請求項1記載のデータ管理装置。
【請求項5】
前記評価指標の時系列データを表示し、特定の時点の前記評価指標の選択を受け付け、前記選択された前記評価指標の計算根拠となった前記センサデータの時系列データを表示するユーザインタフェース部をさらに有し、
前記ユーザインタフェース部は、前記選択された前記評価指標の計算根拠となった前記センサデータが削除されている場合、前記削除された前記センサデータに最も近い時刻に取得された他の前記センサデータを表示することを特徴とする
請求項1記載のデータ管理装置。
【請求項6】
前記評価指標は異常度であることを特徴とする
請求項1記載のデータ管理装置。
【請求項7】
センサデータに基づく評価指標を計算する処理をコンピュータに実行させるデータ管理プログラムにおいて、
産業機械に設けられた1以上のセンサから取得したセンサデータを使用して評価指標を計算する第1ステップと、
前記センサデータをセンサデータ記憶部に保存する第2ステップと、
前記センサデータ記憶部において前記センサデータの総容量が上限値を超える場合に、前記センサデータ記憶部から前記センサデータを削除する第3ステップと、
をコンピュータに実行させるデータ管理プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記評価指標の変化度に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定し、前記保存優先順位に応じて前記センサデータを削除することを特徴とする
データ管理プログラム。
【請求項8】
センサデータに基づく評価指標を計算するデータ管理方法において、
産業機械に設けられた1以上のセンサから取得したセンサデータを使用して評価指標を計算する第1ステップと、
前記センサデータをセンサデータ記憶部に保存する第2ステップと、
前記センサデータ記憶部において前記センサデータの総容量が上限値を超える場合に、前記センサデータ記憶部から前記センサデータを削除する第3ステップと、
を実行するデータ管理方法であって、
前記第3ステップでは、前記評価指標の変化度に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定し、前記保存優先順位に応じて前記センサデータを削除することを特徴とする
データ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ管理装置、データ管理プログラム及びデータ管理方法に関し、特にセンサデータの優先度を判断して保存方法を決定するデータ管理装置、データ管理プログラム及びデータ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等の産業機械(以下、機械という)に取付けたセンサデータを使用して機械の異常検知を行う技術が広く知られている。例えば、センサデータをそのまま使用するのではなく、センサデータの時系列値を機械の異常の度合いを表現する指標(以下、異常度という)に変換し、異常度をユーザに表示する装置(以下、データ管理装置)がある。ユーザは、データ管理装置が表示した異常度に基づいて部品交換の必要性等を判断する。
【0003】
このときユーザは、異常度算出の基になったセンサデータを参照し、判断の参考にすることがある。そのため、従来のデータ管理装置は異常度算出後もセンサデータを削除せず保存している。しかしながら、機械の寿命は一般に長く、全てのセンサデータを保存するとデータ量が膨大になるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、センサデータに基づいて異常度を計算し、異常度に基づいて異常頻度や余寿命を計算し、異常頻度や余寿命に基づいて保存対象とするセンサデータを決定するシステムが記載されている。特許文献2には、センサデータに基づいて異常度を計算した後、計測時期の古さなどの基準に従ってセンサデータを消去するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/199210号
【特許文献2】特開2017−173321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の手法は異常頻度や余寿命を計算できることが前提である。異常頻度や余寿命の計算を行うためには、あらかじめ機器の異常・故障についての知見が必要になる。特許文献2の手法では、保存されるセンサデータの量的上限が存在せず、記憶領域を使い尽くす可能性がある。また、記憶領域に十分な空きがある場合でも不必要にデータの間引きが行われることがある。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、センサデータの優先度を判断して保存方法を決定するデータ管理装置、データ管理プログラム及びデータ管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態にかかるデータ管理装置は、センサデータに基づく評価指標を計算可能なデータ管理装置であって、産業機械に設けられた1以上のセンサから取得したセンサデータを使用して評価指標を計算する評価指標計算部と、前記センサデータを保存するセンサデータ記憶部と、前記センサデータ記憶部において前記センサデータの総容量が上限値を超える場合に、前記センサデータ記憶部から前記センサデータを削除するセンサデータ削除部と、を有し、前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定し、前記保存優先順位に応じて前記センサデータを削除することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかるデータ管理装置は、前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度として、所定期間における前記評価指標の分散又は前記評価指標の時間微分値を用いることを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかるデータ管理装置は、前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度と、前記センサデータの取得時刻からの経過時間と、に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかるデータ管理装置は、前記センサデータ削除部は、前記評価指標の変化度と、前記センサデータの保存密度と、に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかるデータ管理装置は、前記評価指標の時系列データを表示し、特定の時点の前記評価指標の選択を受け付け、前記選択された前記評価指標の計算根拠となった前記センサデータの時系列データを表示するユーザインタフェース部をさらに有し、前記ユーザインタフェース部は、前記選択された前記評価指標の計算根拠となった前記センサデータが削除されている場合、前記削除された前記センサデータに最も近い時刻に取得された他の前記センサデータを表示することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかるデータ管理装置は、前記評価指標は異常度であることを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかるデータ管理プログラムは、センサデータに基づく評価指標を計算する処理をコンピュータに実行させるデータ管理プログラムにおいて、産業機械に設けられた1以上のセンサから取得したセンサデータを使用して評価指標を計算する第1ステップと、前記センサデータをセンサデータ記憶部に保存する第2ステップと、前記センサデータ記憶部において前記センサデータの総容量が上限値を超える場合に、前記センサデータ記憶部から前記センサデータを削除する第3ステップと、をコンピュータに実行させるデータ管理プログラムであって、前記第3ステップでは、前記評価指標の変化度に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定し、前記保存優先順位に応じて前記センサデータを削除することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかるデータ管理方法は、センサデータに基づく評価指標を計算するデータ管理方法において、産業機械に設けられた1以上のセンサから取得したセンサデータを使用して評価指標を計算する第1ステップと、前記センサデータをセンサデータ記憶部に保存する第2ステップと、前記センサデータ記憶部において前記センサデータの総容量が上限値を超える場合に、前記センサデータ記憶部から前記センサデータを削除する第3ステップと、を実行するデータ管理方法であって、前記第3ステップでは、前記評価指標の変化度に基づいて前記センサデータの保存優先順位を決定し、前記保存優先順位に応じて前記センサデータを削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、センサデータの優先度を判断して保存方法を決定するデータ管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】データ管理装置1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図2】データ管理装置1の機能構成の一例を示す図である。
【
図5】異常度の変化度と保存優先順位との関連を示す図である。
【
図6】データ管理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、データ管理装置1の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。データ管理装置1は、機械から取得したセンサデータを使用した各種処理を行う情報処理装置であり、例えばPC(パーソナルコンピュータ)や数値制御装置等が含まれる。データ管理装置1は、CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、入出力装置15、インタフェース16、バス10を有する。データ管理装置1には、1以上のセンサ60が接続される。
【0012】
CPU11は、データ管理装置1を全体的に制御するプロセッサである。典型的には、CPU11は、ROM12に格納されたシステム・プログラムをバス10を介して読み出し、システム・プログラムに従ってデータ管理装置1全体を制御する。
【0013】
ROM12は、システム・プログラムを予め格納している。
【0014】
RAM13は、一時的な計算データや表示データ、後述する入出力装置15を介してオペレータが入力したデータやプログラム等を一時的に格納する。
【0015】
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされており、データ管理装置1の電源が遮断されても記憶状態を保持する。例えば、不揮発性メモリ14は、入出力装置15から入力されるデータやプログラム等を格納する。不揮発性メモリ14に記憶されたプログラムやデータは、実行時及び利用時にはRAM13に展開されても良い。
【0016】
入出力装置15は、ディスプレイ等の表示装置、キーボード等の入力装置を含むデータ入出力装置である。例えば入出力装置15は、CPU11から受けた情報をディスプレイに表示する。また、キーボードから入力されたデータをCPU11に渡す。プレイに表示させ、ハードウェアキーにより編集することができる。
【0017】
センサ60は、機械の各所に取付けられたセンサであり、例えば温度センサ、速度センサ、加速度センサ等である。1以上のセンサ60が有線又は無線の通信手段によりインタフェース16に接続される。センサ60が出力するセンサデータは、インタフェース16を介してCPU11に渡される。
【0018】
図2は、データ管理装置1の概略的な機能構成を示すブロック図である。データ管理装置1は、センサデータ取得部101、評価指標計算部102、センサデータ記憶部103、センサデータ削除部104、評価指標記憶部105、ユーザインタフェース部106を有する。
【0019】
センサデータ取得部101は、機械に設置された1以上のセンサ60との間で、典型的には一定時間おきに通信を行い、センサデータを取得する。センサデータ取得部101は、取得したセンサデータを後述のセンサデータ記憶部103に順次蓄積する。すなわち、センサデータ取得部101はセンサデータ記憶部103内に時系列のセンサデータを形成する。
【0020】
評価指標計算部102は、センサデータ記憶部103に蓄積されたセンサデータを使用して評価指標、典型的には異常度を計算する。異常度は、時系列のセンサデータに基づいて計算される、機械の異常の度合いを示す指標である。異常度には多くの種類があるが、各種異常度の算出方法については公知であるためここでは説明を省略する。典型的な例では、評価指標計算部102は、一定期間の複数のセンサデータ(通常、数キロバイト程度の時系列データ)を使用して1個の異常度データを算出する。すなわち、評価指標計算部102は、時系列のセンサデータに基づいて、よりデータサイズの小さい時系列の異常度データを生成する。
【0021】
センサデータ記憶部103は、センサデータ取得部101が取得する時系列のセンサデータを所定の記憶領域に記憶する。
【0022】
センサデータ削除部104は、センサデータ記憶部103に保存されたセンサデータの総容量が規定の上限値を超えた場合、次に述べる手法により決定される保存優先順位が低いものから順に、総容量が上限値以下となるまでセンサデータを削除する。すなわち本実施の形態のセンサデータ削除部104は、削除の必要が生じるまでは取得されたセンサデータをそのまま保存する。
【0023】
センサデータ削除部104は、評価指標計算部102が計算する評価指標(典型的には異常度)の変化度、センサデータの保存密度、センサデータの取得時刻からの経過時間の少なくとも1つに基づいて、センサデータの保存優先順位を決定する。これを数1に示す。
【数1】
Pr(x)は、測定点(すなわち測定時刻)xにおいて取得したセンサデータの保存優先順位、den(x)は測定点x周辺のセンサデータの保存密度(例:±12時間の保存点数)、dif(x)は測定点x周辺の評価指標の変化度(例:±12時間の異常度の分散又は異常度の時間微分値)、Ela(x)は測定点xから現在までの経過時間である。
【0024】
通常、機械の異常の有無を判断するためにユーザが参照するのは、センサデータそのものではなく、視認性の高い評価指標(例えば異常度の時間推移を示すグラフ)のほうである。とはいえ、ユーザは必要に応じ評価指標の計算根拠となったセンサデータを参照することがある。そのため、従来は例えば全てのセンサデータを保管しておくために膨大な記憶容量を費やしていた。この点、発明者は、多くのユーザは重要性の高い(ユーザの関心を引く)評価指標について、評価指標の計算根拠となったセンサデータを参照する傾向が強いことを発見した。重要性の高い(ユーザの関心を引く)評価指標とは、典型的には評価指標の動きが激しい、すなわち変化度の大きい時刻近傍における評価指標である。この知見に基づき、本実施の形態のセンサデータ削除部104は、異常度の変化度が大きい箇所ではセンサデータの保存優先順位を上げて削除されにくいようにし、異常度の変化度が小さい箇所ではセンサデータの保存優先順位を下げて削除されやすくする(
図5参照)。これにより、ユーザによって参照される機会の少ないセンサデータを優先的に削除することができる。
【0025】
一方、異常度の変化度が小さい箇所でも、ユーザによって参照される機会が少ないとはいえ、センサデータを一切削除してしまうと、必要が生じたときにセンサデータを参照できなくなる。少なくとも、異常度の変化度が小さい期間内に存在する幾つかの異常度データについては、その計算根拠であるセンサデータを保存しておくことが望まれる。この知見に基づき、本実施の形態のセンサデータ削除部104は、測定点周辺のセンサデータの保存密度(保存点数)が小さい場合ほど、センサデータの保存優先順位を上げて削除されにくくする。これにより、異常度の変化度が小さい箇所におけるセンサデータの間引き率を適正に維持し、必要なセンサデータを参照できるようにする。
【0026】
また発明者は、新しい評価指標ほどセンサデータの参照頻度が高くなり、古い評価指標ほどセンサデータの参照頻度が低くなる傾向があることを発見した。この知見に基づき、本実施の形態のセンサデータ削除部104は、測定点から現在までの経過時間の大きいセンサデータほど、保存優先順位を下げて削除されやすくする。これにより、ユーザによって参照される機会の少ないセンサデータを優先的に削除することができる。
【0027】
これらの知見を反映した、センサデータの保存優先順位の決定式の例を数2に示す。
【数2】
数2によれば、測定点xにおいて取得されたセンサデータの保存優先順位は、異常度の変化度に比例し、経過時間に反比例し、保存密度に反比例する。保存密度については、±12時間の保存点数が1になると優先順位は無限大になるように設定されている。
【0028】
評価指標記憶部105は、評価指標計算部102が算出する時系列の異常度データを所定の記憶領域に記憶する。
【0029】
ユーザインタフェース部106は、評価指標及びセンサデータをディスプレイ等に表示することによりユーザに提示する。またユーザインタフェース部106は、特定の評価指標の計算根拠となったセンサデータを表示するよう、データ管理装置1に対して指示するための手段を提供する。
【0030】
図3及び
図4は、ユーザインタフェース部106が表示する画面の一例である。
図3は、時系列の異常度データをプロットしたグラフを表示した画面である。グラフの縦軸は異常度、横軸は時刻を示す。グラフ上でユーザが任意の点をポイントすると、ユーザインタフェース部106は、ポイントされた点に対応する異常度データ(又は時刻)を特定する。ユーザインタフェース部106は、センサデータ記憶部103を参照し、特定された異常度データ(又は時刻)に対応するセンサデータの取得を試行する。対応するセンサデータが存在する場合、センサデータを取得して
図4に示す画面を表示する。
図4は、時系列のセンサデータをプロットしたグラフを表示した画面である。グラフの縦軸はセンサデータ、横軸は時刻を示す。一方、対応するセンサデータが存在しない場合、ユーザインタフェース部106は、近傍の他の異常度データ(又は時刻)に対応するセンサデータの取得を、センサデータが取得できるまで繰り返し試行し、取得できたセンサデータを
図4の画面に表示する。
【0031】
図6のフローチャートを用いて、本実施の形態にかかるデータ管理装置1の動作について説明する。
S1:センサデータ取得部101が、1以上のセンサ60からセンサデータを取得し、センサデータ記憶部103に蓄積する。
その後任意のタイミングで、評価指標計算部102が、センサデータ記憶部103に蓄積された時系列のセンサデータを使用して評価指標すなわち異常度を計算する。
【0032】
S2:センサデータ削除部104は、センサデータ記憶部103に保存されたセンサデータの総容量を監視する。総容量が予め定められた上限値を超える場合、ステップS3に遷移する。総容量が上限値以下であれば処理を終了する。
【0033】
S3:センサデータ削除部104は、評価指標計算部102が計算した評価指標すなわち異常度の変化度、センサデータの保存密度、センサデータの取得時刻からの経過時間の少なくとも1つに基づいて、センサデータの保存優先順位を決定する。
【0034】
S4:センサデータ削除部104は、保存優先順位が最も低いセンサデータを削除する。
【0035】
本実施の形態によれば、評価指標すなわち異常度の変化度、センサデータの保存密度、センサデータの取得時刻からの経過時間の少なくとも1つに基づいて、センサデータの保存優先順位が決定される。そして、センサデータの総容量が規定の上限値を超えて削除の必要が生じた場合に、保存優先順位の低いセンサデータを削除する。これにより、不必要なセンサデータの削除、換言すれば間引きを行わずに済む。また、センサデータのサイズが所定の上限値以下であることを保証することができる。
【0036】
さらに、本実施の形態によれば、機器の異常・故障についての事前知識を必要とすることなく、取得されるセンサデータ及び異常度だけに基づいて、保存対象とするセンサデータを決定することができる。また、ある程度センサデータを保存してから削除の可否を判断するため、例えば異常度の分散などの統計値を当該判断に利用することができる。
【0037】
以上、本発明の主要な実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。例えば、上述の実施の形態では、センサデータ削除部104は、センサデータ記憶部103に保存された全てのセンサデータを対象に削除の可否を判定したが、例えば予め指定された除外期間のセンサデータについては当該判定の対象から除外する(すなわち削除対象としない)よう構成しても良い。例えばユーザは、外部環境の変化があった日時など、センサデータを間引くことなく恒久的に保存しておいたほうが良いと思われる時期を、上記除外期間として指定することができる。又はデータ管理装置1が、所定のイベントを検知したときに、イベント発生時刻に紐づく所定の期間を上記除外期間として指定しても良い。
【0038】
また、上述の実施の形態では、センサデータ削除部104が、センサデータを間引きしすぎることが無いよう、保存密度と保存優先順位とを反比例させた例を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば一定期間におけるセンサデータの保存点数や保存容量の下限を設けるなどの制約を更に加えても良い。
【0039】
また、上述の実施の形態では、ユーザインタフェース部106が評価指標及びセンサデータのグラフを表示する例を示したが、本発明はこれに限定されるものでなく、ユーザインタフェース部106は評価指標及びセンサデータを数値又は表などの任意の形式で表示しても良い。
【0040】
また、上述の実施の形態では、評価指標計算部102が評価指標として異常度を算出する例を主に説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、評価指標計算部102はセンサデータを使用しつつ任意の評価指標を算出するものであって良い。また、センサデータ削除部104もまた、この任意の評価指標に基づいてセンサデータの削除の有無を判断するものであって良い。
【符号の説明】
【0041】
1 データ管理装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15 入出力装置
16 インタフェース
10 バス
60 センサ
101 センサデータ取得部
102 評価指標計算部
103 センサデータ記憶部
104 センサデータ削除部
105 評価指標記憶部
106 ユーザインタフェース部