特許第6761011号(P6761011)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761011
(24)【登録日】2020年9月7日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】エンコーダ及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/244 20060101AFI20200910BHJP
   G08C 15/06 20060101ALI20200910BHJP
   G08C 25/00 20060101ALI20200910BHJP
   G05B 19/19 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   G01D5/244 K
   G08C15/06 J
   G08C25/00 F
   G05B19/19 P
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-179479(P2018-179479)
(22)【出願日】2018年9月25日
(65)【公開番号】特開2020-51816(P2020-51816A)
(43)【公開日】2020年4月2日
【審査請求日】2020年2月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
【審査官】 菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−4013(JP,A)
【文献】 特開2007−322301(JP,A)
【文献】 特開2007−147465(JP,A)
【文献】 特開2016−1103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
5/39−5/62
G08C 13/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンコーダと、該エンコーダからシリアル通信で送信された情報を用いて対象物を制御する制御装置とを具備する制御システムであって、
前記エンコーダは、
被検知体の絶対位置データを含み、所定のデータ量からなる位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記データ量におけるシリアル通信時の前記絶対位置データの割合を表す構成情報を生成する構成情報生成部と、
前記位置情報及び前記構成情報をシリアルデータとして前記制御装置に送信する送信部と、を備え、
前記制御装置は、
前記エンコーダから送信された前記位置情報及び前記構成情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記構成情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶した前記構成情報が、次回に前記受信部が受信した前記構成情報と一致しないときに、構成不一致を報知する報知部と、を備える、
制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記報知部が前記構成不一致を報知するときに、対象物の制御を停止する、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記構成不一致を可視情報として表示する表示装置をさらに備える、請求項1又は2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記記憶部に記憶した前記構成情報を、次回に前記受信部が受信した前記構成情報に書き替える更新処理部をさらに備える、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項5】
前記位置情報生成部は、前記絶対位置データと被検知体の多回転データとを含む前記位置情報を生成し、前記構成情報生成部は、前記データ量におけるシリアル通信時の前記絶対位置データと前記多回転データとの配分を表す前記構成情報を生成する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制御システムに具備されるエンコーダであって、
前記送信部は、前記構成情報に対応する前記位置情報を前記制御装置に送信する、エンコーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンコーダ及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリアル通信を行うエンコーダを含む制御システムにおいて、エンコーダは制御装置から位置情報を要求する信号を受信し、あるタイミングで生成した位置情報をシリアルデータに載せて通信している。ここで、エンコーダが有する位置情報のデータ量、即ち、被検知体の多回転データ量及び一回転内位置データ量はエンコーダによって様々である。特に、被検知体が何回転したかを表す多回転データをエンコーダ単体でバックアップするバッテリレスエンコーダにおいては、方式やエンコーダサイズによって多回転データ量が変化する場合がある。
【0003】
そこで、使用しているエンコーダのデータ転送フオーマットの種類をCNC(コンピューター数値制御装置)が自動的に判断して処理できるシリアルインターフェース方式が報告されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
しかしながら、ノイズや部品不良などによりエンコーダから送信される位置データ量の構成を読み間違えた場合、あるいは、エンコーダが交換されて位置データ量の構成が変わった場合、位置データの重みが変わることになるため、動作に影響を及ぼすという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−113809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、エンコーダから送信された位置データ量の構成が変わった場合であっても、動作への影響を回避可能なエンコーダ及び制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施例に係る制御システムは、エンコーダと、該エンコーダからシリアル通信で送信された情報を用いて対象物を制御する制御装置とを具備する制御システムであって、エンコーダは、被検知体の絶対位置データを含み、所定のデータ量からなる位置情報を生成する位置情報生成部と、データ量におけるシリアル通信時の絶対位置データの割合を表す構成情報を生成する構成情報生成部と、位置情報及び構成情報をシリアルデータとして制御装置に送信する送信部と、を備え、制御装置は、エンコーダから送信された位置情報及び構成情報を受信する受信部と、受信部が受信した構成情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶した構成情報が、次回に受信部が受信した構成情報と一致しないときに、構成不一致を報知する報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の実施例に係るエンコーダ及び制御システムによれば、エンコーダから送信された位置データ量の構成が変わった場合であっても、動作への影響を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る制御システムの構成図である。
図2A】実施例1に係る制御システムにおけるエンコーダの位置情報の構成を示す図である。
図2B】実施例1に係る制御システムにおけるエンコーダの位置情報の例を示す図である。
図2C】実施例1に係る制御システムにおけるエンコーダの位置情報の他の例を示す図である。
図2D】実施例1に係る制御システムにおけるエンコーダの位置情報のさらに他の例を示す図である。
図3】位置情報の構成を特定のフォーマットに固定した場合における各種エンコーダの位置情報の例を示す図である。
図4】実施例1に係る制御システムにおいて、制御装置が送信する位置情報要求信号及びエンコーダが送信する応答信号のタイミングチャートである。
図5】実施例2に係る制御システムの構成図である。
図6】実施例2に係る制御システムにおいて、制御装置が送信する位置情報要求信号または構成情報要求信号及びエンコーダが送信する応答信号のタイミングチャートである。
図7】実施例3に係る制御システムの構成図である。
図8】実施例1に係る制御システムにおいて、エンコーダから送信された構成情報が変化する例を示す図である。
図9A】実施例3に係る制御システムにおいて、エンコーダから最初に送信された構成情報を制御装置が記憶した状態を示す図である。
図9B】実施例3に係る制御システムにおいて、エンコーダから最初に送信された構成情報を記憶した後に、次回に送信された構成情報が変化した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係るエンコーダ及び制御システムについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0011】
まず、実施例1に係る制御システムについて説明する。図1に実施例1に係る制御システムの構成図を示す。実施例1に係る制御システム101は、エンコーダ1と、該エンコーダ1からシリアル通信で送信された情報を用いて対象物を制御する制御装置2とを具備する。
【0012】
実施例1に係る制御システム101に含まれるエンコーダ1は、位置情報生成部11と、構成情報生成部12と、送信部13と、センサ部14と、アナログ/デジタル(A/D)コンバータ15と、を有する。エンコーダ1は、被検知体としてのモータ10の近傍に設けられ、モータ10の回転軸(図示せず)の位置及び移動速度を検出する。
【0013】
センサ部14は、被検知体であるモータ10の回転軸の移動を検知し、回転軸の移動距離に応じたアナログ信号を出力する。A/Dコンバータ15は、センサ部14から出力されるアナログ信号をA/D変換してデジタル信号を出力する。
【0014】
エンコーダ1は、被検知体の位置情報を要求する位置情報要求信号を制御装置2から受信する。
【0015】
位置情報生成部11は、被検知体(例えば、モータ10)の絶対位置データを含み、所定のデータ量からなる位置情報を生成する。エンコーダ1がリニアエンコーダである場合は、位置情報は、絶対位置データから構成される。一方、エンコーダ1がロータリエンコーダである場合は、位置情報は多回転データ及び絶対位置データ(一回転内位置データ)から構成される。ここで、「データ量」とは、多回転データの量を表すビット数と絶対位置データの量を表すビット数の合計のビット数、即ち、総ビット数である。データ量は、エンコーダ1と制御装置2との間のシリアル通信のフォーマットとして予め決められている。
【0016】
図2Aに、実施例1に係る制御システムにおけるエンコーダの位置情報の構成を示す。図2Aでは、位置情報の所定のデータ量を28ビットとした例を示している。位置情報は、Xビットの多回転データ及びYビットの絶対位置データから構成される。図2Aに示した例ではXとYの和は28である。
【0017】
構成情報生成部12は、データ量におけるシリアル通信時の絶対位置データの割合を表す構成情報を生成する。ここで、割合は、多回転データの量及び絶対位置データの量の配分、あるいは、異種データ間の境界の位置等により表される。構成情報は、絶対位置データの量の情報を含む。図2Aに示した例では、構成情報は、所定のデータ量(28ビット)における多回転データの量(Xビット)、あるいは絶対位置データの量(Yビット)、あるいはその両方で表すことができる。例えば、構成情報は、(X=m)、あるいは(Y=n)、あるいは(X=m、Y=n)(m、nは正の整数)で表すことができる。この場合、mとnの和が位置情報のデータ量(m+n)となる。データ量(m+n)は既知であるので、構成情報として多回転データの量(X=m)を受信すれば絶対位置データの量(Y=m+n−X=n)を算出することができ、絶対位置データの量(Y=n)を受信すれば多回転データの量(X=m+n−Y=m)を算出することができる。
【0018】
このように、位置情報生成部11は、絶対位置データと被検知体の多回転データとを含む位置情報を生成し、構成情報生成部12は、データ量におけるシリアル通信時の絶対位置データと多回転データとの配分を表す構成情報を生成する。
【0019】
エンコーダ1の送信部13は、構成情報に対応する位置情報を構成情報と共に制御装置2に送信する。エンコーダ1の位置情報生成部11及び構成情報生成部12は、その機能を実装した回路等のハードウェアによって実現することができ、あるいは、それと同等の機能を実現するソフトウェアによって、CPU等の演算装置が実現することもできる。
【0020】
制御装置2は、受信部21と、制御部22と、を有する。
【0021】
受信部21は、エンコーダ1から送信された位置情報及び構成情報を受信する。図1に示した例では、エンコーダ1の送信部13が送信した位置情報及び構成情報を、制御装置2の受信部21が受信する。
【0022】
制御部22は、受信部21が受信した構成情報に基づいて、受信部21が受信した位置情報を処理する。
【0023】
ここで、構成情報の具体例について説明するために、図3に、位置情報の構成を特定のフォーマットに固定した場合における各種エンコーダにおける位置情報の例を示す。図3に示すように、所定のデータ量(28ビット)の位置情報のうち、多回転データ量が12ビット、絶対位置データ量が16ビットと指定されたシリアル通信のフォーマットを例に挙げて説明する。
【0024】
各データ量が通信のフォーマットで指定されている場合、エンコーダは上記のビット数を満たす必要がある。しかしながら、バッテリレスエンコーダ等では、バッテリレスの方式とエンコーダサイズによっては出力可能な多回転データ量が変動するため、フォーマット上のビット数を満たせない場合がある。
【0025】
図3に示すエンコーダAのように、多回転データ量が11ビットしかないバッテリレスエンコーダでは上記のフォーマットを満たすことができず不足ビットが生じ、そのままでは12ビット(4096)以上回転したときに問題が生じる。そのため、位置情報の受信側で多回転データ量の最上位ビットをマスクするような処置が必要となる。しかしながら、エンコーダが有する多回転データ量を自動判別できないと、手動で何らかのパラメータ設定を行う必要が生じる。
【0026】
これに対して、実施例1に係るエンコーダでは、シリアル通信のフォーマットにおける位置情報のうち、エンコーダ1が持つ多回転データ量と絶対位置データ量がどれほどかが分かる情報である構成情報をエンコーダから制御装置2にシリアル通信で送信することで、エンコーダ1に最適なフォーマットでの制御が可能となる。
【0027】
即ち、実施例1に係るエンコーダによれば、エンコーダAの場合、位置情報28ビットのうち多回転データ量が11ビットであること、あるいは絶対位置データ量が17ビットであること、あるいはその両方を制御装置に送信することで、制御装置はエンコーダが送信した位置情報の構成を判断でき、手動でのパラメータ設定を実行しなくても最適な制御が可能となる。図2Bに実施例1に係る制御システムにおけるエンコーダの位置情報の例を示す。実施例1に係るエンコーダによれば、構成情報作成部12が、エンコーダAの多回転データ量を11ビットとし、絶対位置データ量を17ビットとする構成情報(X=11、Y=17)を生成する。この場合、絶対位置データの最下位ビットd0が不足するため、例えば値0を与えてもよい。d0は最下位ビットであるため、データの精度に大きな影響を与えることはない。
【0028】
また、図3のエンコーダBのように、多回転データよりも絶対位置データをより多く出力し、高分解能化したい場合もある。しかしながら、シリアル通信のフォーマットで絶対位置データ量が16ビットと決められていると、絶対位置データの下位のデータ5ビットは送信不可となり、高分解能なエンコーダの優位性が失われるという問題が生じる。
【0029】
図2Cに実施例1に係るエンコーダにおけるエンコーダの位置情報の構成の他の例を示す。図2Cに示すように、実施例1に係るエンコーダでは、エンコーダBの場合、データ量28ビットのうち多回転データ量を7ビット、絶対データ量を21ビットとする構成情報(X=7、Y=21)をエンコーダ側から指定できるため、エンコーダBの高分解能を活かすことが可能となる。
【0030】
また、図3のエンコーダCのように、多回転データを必要としないエンコーダ(主としてリニアエンコーダ)においては、多回転データが存在しないため、全て絶対位置データとして送信する必要がある。しかしながら、シリアル通信のフォーマットで位置情報の構成として多回転データが存在するものと指定されていては最適なデータの送信ができないという問題が生じていた。
【0031】
図2Dに実施例1に係るエンコーダにおけるエンコーダの位置情報の構成のさらに他の例を示す。図2Dに示すように、実施例1に係るエンコーダでは、エンコーダCの場合、データ量28ビットのうち多回転データ量を0ビット、絶対位置データ量を28ビットとする構成情報(X=0、Y=28)をエンコーダ側から指定できるため、最適なデータの送信を行うことができる。
【0032】
上記の説明においては、構成情報の例として、所定のデータ量(28ビット)のデータ量のうち、多回転データ量が12ビット、絶対位置データ量が16ビットといった配分を示す情報(例えば、X=12、Y=16)を示した。しかしながら、このような例には限られず、構成情報は、シリアル通信時の絶対位置データと多回転データとの境界を示す情報を含むようにしてもよい。具体的には、構成情報は、位置情報における、多回転データと絶対位置データの境界に隣接する、多回転データまたは絶対位置データの最下位ビット(LSB)の位置、あるいは、多回転データまたは絶対位置データの最上位ビット(MSB)の位置、あるいは、最下位ビット(LSB)の位置及び最上位ビット(MSB)の位置の両方、を表す情報を含んでいてもよい。例えば、図2BのエンコーダAの場合、矢印で示すように多回転データと絶対位置データとの境界が多回転データの最下位ビットの位置である11ビット、あるいは、絶対位置データの最上位ビットの位置である12ビットの間であるとの情報であってもよい。
【0033】
次に、エンコーダ1と制御装置2との間におけるシリアル通信について説明する。制御装置2は、位置情報の要求信号(位置情報要求信号)を所定の周期でエンコーダ1に送る。エンコーダ1は、制御装置2から要求信号を受ける都度、位置情報及び構成情報をシリアルデータとして制御装置2に送信する。構成情報は、絶対位置データ又は多回転データの量の情報を含むことが好ましい。図4に実施例1に係る制御システムにおいて、制御装置が送信する位置情報要求信号及びエンコーダが送信する応答信号のタイミングチャートを示す。例えば、エンコーダ1が位置情報要求信号を受信した時刻を位置情報要求信号のパルスの立下りの時刻r1、r2、r3とする。
【0034】
位置情報生成部11は、位置情報要求信号を受信してから所定時間後に位置情報を生成する。図1に示した例では、位置情報生成部11は、A/Dコンバータ15から出力されたデジタル信号に基づき、被検知体の位置情報を生成する。位置情報はXビットの多回転データとYビットの絶対位置データを含む。
【0035】
構成情報生成部12は、位置情報のデータ量における、多回転データの量(X=m)、あるいは絶対位置データの量(Y=n)、あるいはその両方を表す構成情報(X=m、Y=n)を生成する。構成情報は、絶対位置データの量の情報を含むことが好ましい。ただし、データ量(m+n)が既知であれば、多回転データの量(X=m)から絶対位置データの量(Y=n)を算出することができる。
【0036】
送信部13は、位置情報及び構成情報を一連のシリアルデータとして制御装置2に送信する。図4において、例えば、時刻r1においてエンコーダ1が1回目の位置情報要求信号を受信した場合、所定時間後の時刻t1において、送信部13が、位置情報及び構成情報を一連のシリアルデータとして制御装置2に送信する。同様に、時刻r2においてエンコーダ1が2回目の位置情報要求信号を受信した場合、所定時間後の時刻t2において、送信部13が、シ位置情報及び構成情報を一連のシリアルデータとして制御装置2に送信する。同様に、時刻r3においてエンコーダ1が3回目の位置情報要求信号を受信した場合、所定時間後の時刻t3において、送信部13が、位置情報及び構成情報を一連のシリアルデータとして制御装置2に送信する。
【0037】
上記のように、位置情報要求信号を受信する度に位置情報と構成情報の両者を送信することにより、エンコーダ1は、構成情報が変更された場合でも適正な位置情報を送信することができる。構成情報が変更される場合の例としては、位置情報の大きさに応じて位置情報の構成を変更する場合や、エンコーダを変更する場合等が挙げられる。
【0038】
実施例1に係る制御システムによれば、エンコーダからシリアルデータ上の位置データにおける多回転データ量及び絶対位置データ量の配分を表す構成情報を制御装置に送信することで、エンコーダに最適なフォーマットで位置データの通信が可能となる。
【0039】
次に、実施例2に係る制御システムについて説明する。図5に実施例2に係る制御システムの構成図を示す。実施例2に係る制御システム102が、実施例1に係る制御システム101と異なっている点は、送信部13は位置情報及び構成情報を一連のシリアルデータ又は別個のシリアルデータとして制御装置20に送信し、制御システム2は、受信部21が受信した構成情報を記憶する記憶部23をさらに備え、制御部22は、記憶部23に記憶した構成情報に基づいて、受信部21が受信した位置情報を処理する点である。実施例2に係る制御システム102におけるその他の構成は、実施例1に係る制御システム101における構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0040】
エンコーダ1の送信部13は、構成情報に対応する位置情報を制御装置20に送信する。構成情報は、絶対位置データの量の情報を含むことが好ましい。
【0041】
位置情報生成部11は、絶対位置データと被検知体の多回転データとを含む位置情報を生成する。構成情報生成部12は、データ量におけるシリアル通信時の絶対位置データと多回転データとの配分を表す構成情報を生成する。構成情報は、絶対位置データ又は多回転データの量の情報を含むことが好ましい。
【0042】
送信部13は、構成情報に対応する位置情報を制御装置20に送信する。
【0043】
制御装置20の受信部21は、エンコーダから送信された位置情報及び構成情報を受信する。制御装置20の記憶部23は、受信部21が受信した構成情報を記憶する。制御装置20の制御部22は、記憶部23に記憶した構成情報に基づいて、受信部21が受信した位置情報を処理する。エンコーダ1から送信されてきた構成情報を制御装置20側の記憶部23で記憶しておくことにより、エンコーダ1は構成情報を位置情報とともに常時送る必要がなくなる。
【0044】
次に、実施例2に係る制御システムにおいて送受信される位置情報と構成情報について説明する。図6に実施例2に係る制御システムにおいて、制御装置が送信する位置情報要求信号または構成情報要求信号及びエンコーダが送信する応答信号のタイミングチャートを示す。
【0045】
例えば、制御装置20が位置情報要求信号を送信した時刻を位置情報要求信号のパルスの立下りの時刻r1、r2、r3とする。
【0046】
位置情報生成部11は、位置情報要求信号を受信してから所定時間後に位置情報を生成する。図5に示した例では、位置情報生成部11は、A/Dコンバータ15から出力されたデジタル信号に基づき、被検知体の位置情報を生成する。位置情報はXビットの多回転データとYビットの絶対位置データを含む。
【0047】
構成情報生成部12は、位置情報のデータ量における、多回転データの量(X=mビット)、あるいは絶対位置データの量(Y=nビット)、あるいはその両方を表す構成情報(X=m、Y=n)を生成する。構成情報は、絶対位置データの量の情報を含むことが好ましい。ただし、データ量(m+n)が既知であれば、多回転データの量(X=m)から絶対位置データの量(Y=n)を算出することができる。
【0048】
構成情報は、シリアル通信時の絶対位置データと多回転データとの境界を示す情報を含むようにしてもよい。具体的には、構成情報は、位置情報における、多回転データと絶対位置データの境界に隣接する、多回転データまたは絶対位置データの最下位ビット(LSB)の位置、あるいは、多回転データまたは絶対位置データの最上位ビット(MSB)の位置、あるいは、最下位ビット(LSB)の位置及び最上位ビット(MSB)の位置の両方、を表す情報を含んでいてもよい。
【0049】
制御装置20は、シリアル通信の開始時に位置情報又は構成情報の第1要求信号をエンコーダ1に送る。ここで、「第1要求信号」とは、制御装置20がシリアル通信の開始時にエンコーダ1に送信する、位置情報又は構成情報を要求する信号である。図6において、例えば、シリアル通信の開始時である時刻r1においてエンコーダ1が位置情報又は構成情報を要求する第1要求信号を受信する。
【0050】
エンコーダ1は、制御装置20から第1要求信号を受けたときに、構成情報を位置情報と共に一連のシリアルデータとして制御装置20に送信するか、又は構成情報を別個のシリアルデータとして制御装置に送信する。図6において、時刻t1において、送信部13が、シリアル通信により、構成情報を位置情報と共に一連のシリアルデータとして制御装置20に送信する。あるいは、構成情報を別個のシリアルデータとして制御装置に送信してもよい。
【0051】
制御装置20の記憶部23は、エンコーダ1から受信した構成情報を記憶する。従って、2回目以降に受信した位置情報における多回転データ及び絶対位置データの構成は、記憶部23に記憶した構成情報に基づいて決定することができる。
【0052】
エンコーダ1は、制御装置20から第1要求信号を受けたときに、エンコーダの仕様に関する仕様情報を構成情報と共に制御装置20に送信するようにしてもよい。エンコーダの仕様情報は、エンコーダ図番、型格、シリアルナンバー等に関する情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。エンコーダの仕様情報を送信することで、制御装置側でエンコーダが変更されたか否かを確認することができる。
【0053】
制御装置は、第1要求信号を送った後に所定の周期で位置情報の第2要求信号をエンコーダに送る。ここで、「第2要求信号」とは、制御装置20がエンコーダ1に第1要求信号を送った後に、所定の周期でエンコーダ1に送信する、位置情報を要求する信号である。図6に示すように、時刻r2においてエンコーダ1が2回目の要求信号として位置情報の第2要求信号を受信する。
【0054】
エンコーダ1は、制御装置20から第2要求信号を受ける都度(t=t2、t3、・・・)、位置情報を別個のシリアルデータとして制御装置20に送信する。図6に示すように、時刻t2において、送信部13が、位置情報を別個のシリアルデータとして制御装置20に送信する。以下同様に、エンコーダ1は、時刻t3以降に制御装置20から第3回目以降の要求信号として第2要求信号を受ける都度、位置情報を別個のシリアルデータとして制御装置20に送信する。
【0055】
このように、実施例2に係る制御システムにおいては、エンコーダが最初の位置情報要求信号を受信した際に、構成情報を1回だけ制御装置に送信し、制御装置が受信した構成情報を記憶する。このような構成により、エンコーダは構成情報を1回だけ送信し、2回目以降は位置情報のみを送信することができ、エンコーダが送信するシリアルデータに余裕を持たせることができる。
【0056】
上記の説明では、エンコーダが位置情報要求信号を受信した後に、構成情報を1回だけ送信する例を示したが、このような例には限られない。例えば、定期的に構成情報を送信することにより、位置情報の構成に変化がないことを確認することができる。また、エンコーダの位置情報の構成が変更された場合には、その都度、構成情報を送信するようにしてもよい。構成情報が変更される場合の例として、位置情報の大きさに応じて位置情報の構成を変更する場合や、エンコーダを変更する場合が挙げられる。
【0057】
次に、実施例3に係る制御システムについて説明する。図7に実施例3に係る制御システムの構成図を示す。実施例3に係る制御システム103は、エンコーダ1と、エンコーダ1からシリアル通信で送信された情報を用いて対象物を制御する制御装置200とを具備する。
【0058】
実施例3に係る制御システム103におけるエンコーダ1は、実施例1に係る制御システム101におけるエンコーダ1と同様な構成を有する。
【0059】
エンコーダ1の位置情報生成部11は、絶対位置データと被検知体の多回転データとを含む位置情報を生成する。エンコーダ1の構成情報生成部12は、データ量におけるシリアル通信時の絶対位置データと多回転データとの配分を表す構成情報を生成する。送信部13は、構成情報に対応する位置情報を制御装置200に送信する。
【0060】
実施例3に係る制御システム103における制御装置200は、受信部21と、記憶部23と、報知部24とを有する。
【0061】
受信部21は、エンコーダ1から送信された位置情報及び構成情報を受信する。記憶部23は、エンコーダ1から受信部21が受信した構成情報を記憶する。報知部24は、記憶部23に記憶した構成情報が、次回に受信部21が受信した構成情報と一致しないときに、構成不一致を報知する。
【0062】
次に、実施例3に係る制御システムにおいて、記憶部に記憶した構成情報とは異なる構成情報を制御装置200が受信した場合に警告等を行う手順について説明する。まず、エンコーダ1から送信された構成情報が、過去に制御装置200が受信した構成情報とは異なる構成情報に変化する場合について説明する。図8に実施例1に係る制御システム101において、エンコーダから送信された構成情報が変化する例を示す。図8において、エンコーダ1が送信した正常な構成情報d1が、多回転データが12ビット、絶対位置データが16ビットであることを示す情報であったとする。このとき、ノイズや部品不良などで構成情報が異常となってしまう場合や、エンコーダが交換されて構成情報が変わる場合がある。例えば、図8に示すように、シリアル通信回線上で、構成情報d1が、多回転データが11ビット、絶対位置データが17ビットであることを示す構成情報d2に変化したものとする。
【0063】
実施例1に係る制御システムにおいては、制御装置2は記憶部を備えていないため、構成情報の変化を認識することができず、正常な構成情報から変化した構成情報d2をそのまま使用してしまう。そのため、位置データの重み(多回転データと絶対位置データの配分)が変わることになるため、誤った位置情報に基づいて制御を実行してしまうこととなる。
【0064】
これに対して、実施例3に係る制御システム103においては、まず、記憶部23が、エンコーダ1から受信した正常な構成情報を記憶する。図9Aに実施例3に係る制御システムにおいて、エンコーダから最初に送信された正常な構成情報を制御装置200が記憶した状態を示す。エンコーダ1が送信した応答信号における正常な構成情報d1が、多回転データが12ビット、絶対位置データが16ビットであることを示す情報であったとする。記憶部23は、この正常な構成情報d1を記憶する。
【0065】
図9Bに実施例3に係る制御システムにおいて、エンコーダから最初に送信された構成情報を記憶した後に、次回に送信された構成情報が変化した例を示す。例えば、シリアル通信回線上で、正常な構成情報d1が、多回転データが11ビット、絶対位置データが17ビットであることを示す構成情報d2に変化したものとする。このように、構成情報を複数回送信する場合の例としては、エンコーダを変更した場合や、制御システムを再起動した場合や、構成情報に変更がないことを確認するために構成情報を複数回送信する場合等が挙げられる。
【0066】
報知部24は、記憶部23に記憶した正常な構成情報(X=12、Y=16)が、次回に受信部21が受信した構成情報(X=11、Y=17)と一致しないときに、構成不一致を報知する。制御装置200は、報知部24が構成不一致を報知するときに、制御装置200の制御対象である対象物(例えば、モータ10)の制御を停止するようにしてもよい。
【0067】
このように、実施例3に係る制御システムによれば、制御装置200内にエンコーダ1の構成情報(位置データの構成)を記憶しておくことで、再度送られてきた構成情報と比較し、変化が見られた場合に警告情報を生成したり、警告情報の生成とともに位置情報の処理を停止したりすることで動作異常を防ぐことができる。また、構成情報を読み間違えた場合でも、警告情報を生成したり、警告情報の生成とともに位置情報の処理を停止したりすることができるため動作異常を防ぐことができる。さらに、構成情報が変わったことでエンコーダが交換されたか否かを確認することができる。
【0068】
また、制御装置200は、構成不一致を可視情報として表示する表示装置25をさらに備えるようにしてもよい。報知部24が、警告情報を生成し、または位置情報の処理を停止する指令を生成した場合は、表示装置25にエンコーダが他のエンコーダに交換された可能性がある旨を表示するようにしてもよい。このような表示を行うことにより、ユーザはエンコーダが交換された可能性があることを容易に認識することができる。
【0069】
また、エンコーダ1の送信部13は、構成情報を送信する際にエンコーダ仕様情報を併せて送信するようにしてもよい。エンコーダ仕様情報は、エンコーダ図番、型格、シリアルナンバー等に関する情報のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。また、制御装置200がエンコーダ仕様情報を要求する信号を送信した場合は、送信部13はエンコーダ仕様情報を送信するようにしてもよい。エンコーダの仕様情報を送信することで、制御装置側でエンコーダが変更されたか否かを確認することができる。
【0070】
制御装置200は、記憶部23に記憶した構成情報を、次回に受信部21が受信した構成情報に書き替える更新処理部26をさらに備えるようにしてもよい。このような構成とすることにより、エンコーダが新たなエンコーダに交換された後に、新たなエンコーダの構成情報を用いて位置情報を処理することができる。
【0071】
制御装置200に備えられた、制御部22、報知部24、及び更新処理部26は、その機能を実装した回路等のハードウェアによって実現することができ、あるいは、それと同等の機能を実現するソフトウェアによって、CPU等の演算装置が実現することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1 エンコーダ
2 制御装置
11 位置情報生成部
12 構成情報生成部
13 送信部
14 センサ部
15 A/Dコンバータ
21 受信部
22 制御部
23 記憶部
24 報知部
25 表示装置
26 更新処理部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B