特許第6761161号(P6761161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761161
(24)【登録日】2020年9月8日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】接続機構
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20200910BHJP
【FI】
   C12M1/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-199077(P2015-199077)
(22)【出願日】2015年10月7日
(65)【公開番号】特開2017-70238(P2017-70238A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年9月11日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 晴紀
(72)【発明者】
【氏名】須田 佳雅
【審査官】 伊達 利奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−195432(JP,A)
【文献】 特開昭57−160098(JP,A)
【文献】 特開昭51−049520(JP,A)
【文献】 特開2015−082939(JP,A)
【文献】 特開2013−054881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12M 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定する1以上の第1側壁及び前記第1側壁に形成された複数の第1開口部を有する第1筐体と、内部空間を画定する1以上の第2側壁及び前記第2側壁に形成された第2開口部を有する第2筐体とを、前記第1開口部と前記第2開口部とが連通するように接続する複数の接続部を備えた接続機構において、
前記接続部は、
厚み方向に貫通する第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔と前記第2開口部とを対向させた状態で前記第2筐体と接続するための第1フランジと、
前記第1貫通孔と前記第1開口部とが対向した状態で、前記第1フランジを前記第1側壁に取り付ける取付部とを備えており、
前記取付部は、前記第1フランジの前記第1側壁に対向する面とは反対側の面が垂直となる前記第1フランジの取付位置を調整する第1調整部、及び、前記第1貫通孔の中心を通って前記厚み方向に延びる水平軸周りにおける前記第1フランジの取付位置を調整する第2調整部を有していることを特徴とする接続機構。
【請求項2】
前記接続部は、前記第1貫通孔及び前記第1開口部の周囲をそれぞれ取り囲むように、前記第1フランジと前記第1側壁との間に配置された環状の弾性シール部材をさらに備えており、
前記第1調整部は、前記第1フランジの前記第1貫通孔の周囲に設けられ、前記シール部材の弾性変形可能な範囲内において、前記第1フランジと前記第1側壁との離隔距離の上限値を規定するための複数の第1ネジと、前記第1フランジの前記第1貫通孔の周囲に設けられ、前記複数の第1ネジで規定された前記離隔距離以下において、前記離隔距離を変化させて前記第1フランジの前記反対側の面が垂直となるように前記第1フランジの取付位置を調整するための複数の第2ネジとを有していることを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項3】
前記第2調整部は、前記第1開口部の内周面と前記第1貫通孔の内周面とに対向し且つ前記第1開口部の内周面に取付られたプレートと、前記プレートの前記第1貫通孔の内周面と対向する位置に設けられ、前記プレートと前記第1貫通孔の内周面との離隔距離を変化させて前記水平軸周りにおける前記第1フランジの取付位置を調整する調整ネジとを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続機構。
【請求項4】
前記第1フランジが円形形状を有しており、
前記接続部は、
前記第1フランジの周端部に沿って移動可能に前記周端部に支持された移動部材と、
厚み方向に貫通する第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔と前記第2開口部とを対向させた状態で前記第2筐体の前記第2側壁に取り付けられた円形形状の第2フランジとをさらに備えており、
前記第2フランジの外周側面には、前記第2フランジの直径方向に突出した複数の突出部が形成されており、
前記移動部材は、前記第1フランジの前記反対側の面よりも前記第1筐体から離れるように突出した突出部分を有しており、
前記突出部分には、前記第1フランジの前記反対側の面と前記第2フランジの前記第2側壁に対向する面とは反対側の面とが面するように突き合わせた状態で前記移動部材を前記周端部に沿って移動させたときに、前記突出部と係合することによって前記第2フランジを前記第1フランジに押圧する複数の押圧部を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の接続機構。
【請求項5】
前記接続部は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の周囲をそれぞれ取り囲むように、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に配置された環状の弾性シール部材をさらに備えていることを特徴とする請求項4に記載の接続機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間を有する筐体同士を接続させる複数の接続部を備えた接続機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外界と遮断する密閉空間を有する第一処理装置(第1筐体)と、外界と遮断する密閉空間を有する複数の第二処理装置(第2筐体)と、第一処理装置の側面に設けられ、第一処理装置に複数の第二処理装置を着脱するための複数の着脱手段(接続部)とを含む細胞培養処理システムについて記載されている。第一処理装置及び複数の第二処理装置は、着脱手段によって接続されることで、これら処理装置の密閉空間同士が連続した一つの密閉空間となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−147685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の細胞培養処理システムの第一処理装置には、複数の着脱手段が設けられている。上記特許文献1には、これら着脱手段の詳細の構成について記載されていないが、例えば、第一処理装置に一体的、すなわち、第一処理装置の筐体を構成する側壁と着脱手段の構成部材とが一つの部材から削り出されて形成される場合、個々の部品精度によるバラツキが押さえられるため、複数の着脱手段間の第一処理装置における設置誤差が極めて小さくなる。このため、第一処理装置の筐体を精度良く設置することで、複数の着脱手段間においてもばらつきが小さくなる。しかしながら、一つの部材からの削り出しで構成するためには、製造設備が大型化し、製造コストも非常に高くなる。
【0005】
そこで本発明者らが、内部空間を画定する第1筐体の側壁に、第2筐体を接続するためのフランジであって当該側壁とは別に製造したフランジを取り付けて、製造コストを低下させることを検討したところ、以下の課題を知見した。第1筐体の側壁に複数のフランジを取り付ける際に、複数のフランジ間において取付誤差が生じる。このため、第1筐体を精度良く設置したとしても、フランジの貫通孔(内部空間と連通する貫通孔)の中心を通る水平軸周りにおけるフランジの取付位置、及び、フランジの第1筐体の側壁と対向する面とは反対側の面が垂直となるフランジの取付位置が複数のフランジ間においてばらつくという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明の目的は、第1フランジの取付位置を個別に調整することが可能な接続機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接続機構は、内部空間を画定する1以上の第1側壁及び前記第1側壁に形成された複数の第1開口部を有する第1筐体と、内部空間を画定する1以上の第2側壁及び前記第2側壁に形成された第2開口部を有する第2筐体とを、前記第1開口部と前記第2開口部とが連通するように接続する複数の接続部を備えた接続機構において、前記接続部は、厚み方向に貫通する第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔と前記第2開口部とを対向させた状態で前記第2筐体と接続するための第1フランジと、前記第1貫通孔と前記第1開口部とが対向した状態で、前記第1フランジを前記第1側壁に取り付ける取付部とを備えている。そして、前記取付部は、前記第1フランジの前記第1側壁に対向する面とは反対側の面が垂直となる前記第1フランジの取付位置を調整する第1調整部、及び、前記第1貫通孔の中心を通って前記厚み方向に延びる水平軸周りにおける前記第1フランジの取付位置を調整する第2調整部を有している。

【0008】
これによると、取付部が第1調整部を有している場合、第1筐体の設置時に第1フランジの反対側の面が垂直となっていなくても、第1フランジの反対側の面が垂直になるように、各接続部において調整することが可能となる。取付部が第2調整部を有している場合、第1筐体の設置時に第1フランジの水平軸周りの位置にずれが生じていても、各接続部において調整することが可能となる。これにより、第1フランジの取付位置を個別に調整することが可能となり、複数の接続部間における第1フランジの取付位置のばらつきが小さくなる。
【0009】
本発明において、前記接続部は、前記第1貫通孔及び前記第1開口部の周囲をそれぞれ取り囲むように、前記第1フランジと前記第1側壁との間に配置された環状の弾性シール部材をさらに備えている。そして、前記第1調整部は、前記第1フランジの前記第1貫通孔の周囲に設けられ、前記シール部材の弾性変形可能な範囲内において、前記第1フランジと前記第1側壁との離隔距離の上限値を規定するための複数の第1ネジと、前記第1フランジの前記第1貫通孔の周囲に設けられ、前記複数の第1ネジで規定された前記離隔距離以下において、前記離隔距離を変化させて前記第1フランジの前記反対側の面が垂直となるように前記第1フランジの取付位置を調整するための複数の第2ネジとを有していることが好ましい。これにより、第1フランジと第1側壁との間の気密を保ちつつ第1フランジの反対側の面が垂直となるように、第1フランジの取付位置を調整することが可能となる。
【0010】
また、本発明において、前記第2調整部は、前記第1開口部の内周面と前記第1貫通孔の内周面とに対向し且つ前記第1開口部の内周面に取付られたプレートと、前記プレートの前記第1貫通孔の内周面と対向する位置に設けられ、前記プレートと前記第1貫通孔の内周面との離隔距離を変化させて前記水平軸周りにおける前記第1フランジの取付位置を調整する調整ネジとを有していることが好ましい。これにより、水平軸周りにおける第1フランジの取付位置を調整することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記第1フランジが円形形状を有しており、前記接続部は、前記第1フランジの周端部に沿って移動可能に前記周端部に支持された移動部材と、厚み方向に貫通する第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔と前記第2開口部とを対向させた状態で前記第2筐体の前記第2側壁に取り付けられた円形形状の第2フランジとをさらに備えている。そして、前記第2フランジの外周側面には、前記第2フランジの直径方向に突出した複数の突出部が形成されており、前記移動部材は、前記第1フランジの前記反対側の面よりも前記第1筐体から離れるように突出した突出部分を有しており、前記突出部分には、前記第1フランジの前記反対側の面と前記第2フランジの前記第2側壁に対向する面とは反対側の面とが面するように突き合わせた状態で前記移動部材を前記周端部に沿って移動させたときに、前記突出部と係合することによって前記第2フランジを前記第1フランジに押圧する複数の押圧部を有していることが好ましい。これにより、第1筐体に第2筐体を接続する際に、移動部材を第1フランジの周端部に沿って移動させることで、両フランジ間を密着させて接続することが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記接続部は、前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の周囲をそれぞれ取り囲むように、前記第1フランジと前記第2フランジとの間に配置された環状の弾性シール部材をさらに備えていることが好ましい。これにより、第1フランジと第2フランジとの間の気密を効果的に保つことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の接続機構によると、水平軸周りにおいて、第1側壁に取り付けた第1フランジの取付位置を調整することが可能な場合、第1筐体の設置時に第1フランジの水平軸周りの位置にずれが生じていても、各接続部において調整することが可能となる。また、第1フランジの反対側の面が垂直となるように、第1側壁に取り付けた第1フランジの取付位置を調整することが可能な場合、第1筐体の設置時に第1フランジの反対側の面が垂直となっていなくても、第1フランジの反対側の面が垂直になるように、各接続部において調整することが可能となる。これにより、第1フランジの取付位置を個別に調整することが可能となり、複数の接続部間における第1フランジの取付位置のばらつきが小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態である接続機構が採用された培養装置の概略構成を示す平面図である。
図2図1に示すII−II線に沿った断面図であり、移動部材がロック位置にあるときの状況を示す図である。
図3図2に示す移動部材がロック解除位置にあるときの状況を示す図である。
図4図3に示す接続部の第2フランジを取り外した状態を示す斜視図である。
図5図3に示す接続部の第2フランジを取り外した状態を示す図である。
図6図2に示すVI−VI線に沿った断面図である。
図7図2に示すVII−VII線に沿った断面図である。
図8】(a)は図3に示すVIIIa−VIIIa線に沿った断面図であり、(b)は図2に示すVIIIb−VIIIb線に沿った断面図である。
図9】回転治具の斜視図である。
図10】回転治具で接続部の移動部材をロック位置に回転させたときの状況を示す図である。
図11】フランジの水平軸周りにおける位置調整の状況を示す図である。
図12】フランジを垂直にするときの位置調整の状況を示す図である。
図13】垂直調整部の変形例を示す図である。
図14】回転調整部の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態である接続機構が採用された培養装置100について、図1図12を参照しつつ以下に説明する。
【0016】
培養装置100は、培養容器5(例えば、マイクロプレート)に細胞と培養液を入れ、細胞培養を行うための装置であり、図1に示すように、培養容器5を搬送するための搬送装置1と、2つの処理装置2と、これら搬送装置1と2つの処理装置2とを接続するための接続機構10とを含む。搬送装置1は、筐体1aを有する。筐体1aは、内部空間S1を画定する4つの側壁1a1〜1a4を含む。側壁1a1には、第1水平方向A(厚み方向)に貫通する2つの開口部1bが形成されている。これら開口部1bは、第1水平方向Aと直交する第2水平方向Bに並んで配置されている。また、側壁1a1の内面には、開口部1bを開閉可能な2つのゲート1cが設けられている。なお、ゲート1cによって開口部1bが閉じられている状態では、内部空間S1は密閉空間となる。
【0017】
各処理装置2は、接続機構10の各接続部11(後述する)を介して搬送装置1と着脱可能に接続されている。処理装置2は、筐体2aを有する。筐体2aは、内部空間S2を画定する4つの側壁2a1〜2a4を含む。側壁2a1には、第1水平方向Aに貫通する開口部2bが形成されている。開口部2bは、処理装置2が搬送装置1と接続された状態において、開口部1bと第1水平方向Aに対向可能な位置に配置されている。これにより、搬送装置1のスカラロボット21(後述する)で処理装置2に培養容器5を出し入れ可能となる。搬送装置1と各処理装置2の内部空間S1,S2は、搬送装置1と各処理装置2との接続後は、連続した1つの密閉空間となる。換言すると、接続機構10は、搬送装置1の2つの開口部1bと2つの処理装置2の開口部2bとが連通可能に、搬送装置1と各処理装置2とを接続する。
【0018】
処理装置2は、図1に示すように、筐体2aの側壁2a3の内面から突設して設けられた載置部2cを有する。載置部2cは、U字平面形状を有する板状部材から構成されており、培養容器5の幅方向(第2水平方向Bと平行な方向)の両端を支持する。なお、処理装置2は、載置部2cを有し、細胞培養の処理を行うための装置であれば、どのような装置であってもよい。また、載置部2cは、培養容器5をスカラロボット21で出し入れ可能に支持することが可能であれば、どのようなものであってもよい。
【0019】
搬送装置1は、図1に示すように、培養容器5を搬送する搬送機構20を含む。搬送機構20は、図1に示すように、スカラロボット21と、スカラロボット21を各処理装置2の並び方向(すなわち、第2水平方向B)に移動可能に支持する支持部22とを有する。スカラロボット21は、走行部31と、3つのアーム33〜35と、3つのアーム33〜35を昇降させる昇降部(不図示)と、支持プレート36と、走行部31、3つのアーム33〜35及び昇降部を駆動する駆動部(不図示)とを有する。支持部22は、第2水平方向Bに沿って長尺な直方体形状を有し、その上面にレール23が形成されている。レール23は、第2水平方向Bに沿って長尺に形成されている。
【0020】
走行部31は、レール23上に配置されている。また、走行部31は、駆動部によって駆動されることで、第2水平方向Bに沿ってレール23上を移動する。つまり、スカラロボット21全体が第2水平方向Bに沿って移動する。昇降部は、走行部31上に設けられており、アーム33と連結されている。昇降部は、駆動部によって駆動されることで、アーム33を上下方向に沿って昇降させる。つまり、昇降部は、3つのアーム33〜35及び支持プレート36を上下方向Cに沿って昇降させる。
【0021】
アーム33は、一端部が昇降部の上面に回転可能に連結されている。また、アーム33は、他端部がアーム34の一端部に回転可能に連結されている。アーム34は、他端部がアーム35の一端部に回転可能に連結されている。アーム35の他端部には、支持プレート36が固定されている。支持プレート36は、培養容器5を下方から支持する長尺な板状部材である。これら3つのアーム33〜35は、駆動部の駆動により、水平な回転方向に沿って回動し、支持プレート36を第1水平方向Aに平行な方向に移動させる。このような搬送機構20により、密閉空間内において、培養容器5を一方の処理装置2から他方の処理装置2へ搬送することが可能となる。
【0022】
接続機構10は、図1に示すように、2つの接続部11を有する。これら接続部11は、いずれも同じ構成であるため、1つの接続部11について説明する。接続部11は、図2図7に示すように、2つの第1及び第2フランジ12,13と、移動部材14と、第1フランジ12を筐体1a(搬送装置1)の側壁1a1に取り付ける取付部15と、2つのシール部材16,17と、第2フランジ13を筐体2a(処理装置2)の側壁2a1に取り付ける取付部(不図示)とを含む。なお、本実施形態における第2フランジ13は、複数のネジからなる取付部によって筐体2aの側壁2a1に取り付けられている。
【0023】
第1フランジ12は、図4図7に示すように、円形の略平板形状を有する。図6に示すように、第1フランジ12の側壁1a1(部分壁部1a1a)と対向する面12bとは反対側の面12cには、第2フランジ13に向かって開口する凹部12dが形成されている。図5及び図6に示すように、凹部12dの底部であって、第1フランジ12の中央には、厚み方向(第1水平方向A)に貫通する貫通孔12aが形成されている。貫通孔12aは、図5に示すように、第2水平方向Bに長尺な長方形平面形状を有する。なお、側壁1a1に形成された開口部1bは、貫通孔12aと同形状、同サイズに形成されているが、多少サイズや形状が貫通孔12aと異なっていてもよい。
【0024】
また、第1フランジ12は、貫通孔12aと開口1bとが一致するように、取付部15によって側壁1a1の一部を構成する部分壁部1a1aに取り付けられている。部分壁部1a1aは、図2及び図6に示すように、略正方形の板状部材から構成されており、側壁1a1の本体1a1d(図1参照)に精度良く位置決めされた状態で複数のネジにより、本体1a1dに取り付けられるものである。また、部分壁部1a1aに開口部1bが形成されている。
【0025】
シール部材16は、図6及び図7に示すように、部分壁部1a1aの第1フランジ12と対向する面1a1cに形成された環状の凹部1a1bに配置されており、面1a1cと第1フランジ12の面12bとの間をシールする。凹部1a1bは、開口部1bを取り囲むように形成されている。シール部材16も、凹部1a1bと同様に環状に形成されている。シール部材16は、ゴムなどの弾性材料から構成されている。シール部材16は、部分壁部1a1aと第1フランジ12との間において、開口部1b及び貫通孔12aの周囲をそれぞれ取り囲むように、凹部1a1bに配置されている。また、シール部材16の厚み(第1水平方向Aの幅)は、凹部1a1bの深さよりも大きく、凹部1a1bに配置された状態で面1a1cよりも第1フランジ12側に突出する。本実施形態におけるシール部材16の弾性変形可能範囲は、シール部材16に押圧力をかけずに第1フランジ12の面12bが接触した位置から当該面12bが部分壁部1a1aの面1a1cにちょうど接触する位置までの範囲である。
【0026】
シール部材17は、図6及び図7に示すように、第1フランジ12の面12cに形成された環状の凹部12eに配置されており、面12cと第2フランジ13の面13dとの間をシールする。凹部12eは、貫通孔12a及び凹部12dを取り囲むように形成されている。シール部材17も、凹部12eと同様に環状に形成されている。シール部材17も、シール部材16と同様に、ゴムなどの弾性材料から構成されている。シール部材17は、図6に示すように、第1及び第2フランジ12,13間において、貫通孔12a及び貫通孔13a1(後述する)の周囲をそれぞれ取り囲むように、凹部12eに配置されている。また、シール部材17の厚み(第1水平方向Aの幅)は、凹部12eの深さよりも大きく、凹部12eに配置された状態で面12cよりも第2フランジ13側に突出する。このようなシール部材17が設けられていることで、第1フランジ12と第2フランジ13との間の気密を効果的に保つことが可能となる。
【0027】
第2フランジ13は、図2図3図6及び図7に示すように、円形平板形状を有するフランジ本体13aと、フランジ本体13aの外周側面13a2に形成された6つの突出部13bとを有する。フランジ本体13aには、厚み方向(第1水平方向A)に貫通する貫通孔13a1が形成されている。本実施形態における貫通孔13a1は、第1フランジ12の貫通孔12aよりも大きく形成されているが、貫通孔12aと同じ又は小さくてもよい。また、貫通孔13a1は、第2フランジ13を第1フランジ12に接続したときに、貫通孔12aの大部分と対向する位置に配置されている。なお、筐体2aの側壁2a1に形成された開口部2bは、貫通孔13a1と同形状、同サイズに形成されているが、多少サイズや形状が貫通孔13a1と異なっていてもよい。また、第2フランジ13は、貫通孔13a1と開口部2bとが一致するように、上述の取付部(複数のネジ)によって側壁2a1に取り付けられている。
【0028】
6つの突出部13bは、図3に示すように、フランジ本体13aの外周側面13a2からフランジ本体13aの直径方向に沿って外側に突出して形成されている。また、6つの突出部13bは、フランジ本体13aの外周側面13a2に沿って周方向に等間隔に配置されている。各突出部13bは、図8に示すように、第1フランジ12とは反対側の面に、傾斜面13b1と、接続面13b2と、規制面13b3とが形成されている。傾斜面13b1は、第1フランジ12から離れるに連れ且つ突出部13bの周方向の一端(図8中左端)から他端(図8中右端)に近づくに連れて、突出部13bの厚みが増大するように傾斜している。接続面13b2は、傾斜面13b1の右端と規制面13b3とを接続する周方向に沿って平坦な面である。規制面13b3は、接続面13b2の他端(図8中右端)から第1フランジ12から離れる方向(第1水平方向A)に延在する。規制面13b3は、移動部材14の押圧部14b(後述する)と当接することで、移動部材14の回転を規制するものである。
【0029】
フランジ本体13aの外周側面13a2には、図2に示すように、後述の回転規制機構40のフック41aを引っ掛けることが可能な引っ掛け部13cが形成されている。引っ掛け部13cは、フランジ本体13aの外周側面13a2に形成された凹部から構成されている。引っ掛け部13cは、移動部材14が後述のロック位置に回転したときに、フック41aが引っ掛け部13c内に侵入可能な位置に配置されている。
【0030】
また、フランジ本体13aの下方であって、外周側面13a2には、当接部13eが形成されている。当接部13eも、フランジ本体13aの外周側面13a2からフランジ本体13aの直径方向に沿って外側に突出して形成されている。また、当接部13eは、下方にある1の突出部13bと一体的に形成されている。当接部13eは、第2フランジ13の筐体2aと対向する面とは反対側の面13dと、第1フランジ12の面12cとが面するように突き合わせたときに、後述のスイッチ61のレバー61aと当接するように形成されている。
【0031】
移動部材14は、図2図5に示すように、C型のリング形状を有する。移動部材14は、図4図6及び図7に示すように、第1フランジ12の外周端部に沿って移動可能なように当該外周端部に支持されている。より詳細には、移動部材14は、第1フランジ12の中心を回転中心として回転可能に第1フランジ12の外周端部に支持されている。また、移動部材14は、図2に示すロック位置と、図3に示すロック解除位置との間において、第1フランジ12の中心を回転中心として回転可能に構成されている。ロック位置は、第1フランジ12と第2フランジ13との接続を保持する位置である。ロック解除位置は、第1フランジ12と第2フランジ13との接続を解除する位置である。
【0032】
移動部材14は、図6及び図7に示すように、第1フランジ12の面12cよりも部分壁部1a1a(筐体1a)から離れるように、第1水平方向Aに沿って突出した突出部分14aを有する。この突出部分14aには、図4に示すように、内周面から内側に突出した6つの押圧部14bが形成されている。これら6つの押圧部14bは、図2に示すように、6つの突出部13bと同様に、突出部分14aの内周面に沿って周方向に等間隔に配置されている。これら押圧部14bは、第1フランジ12の面12cと第2フランジ13の面13dとが面するように突き合わせた状態で、移動部材14を図3に示すロック解除位置から図2に示すロック位置まで反時計回りに移動させたときに、突出部13bと係合し、第2フランジ13を第1フランジ12に押圧するように構成されている。
【0033】
より具体的には、図8(a)に示すように、移動部材14がロック解除位置にあるときは、押圧部14bと突出部13bとが周方向に離隔して配置されるものの、押圧部14bは周方向に沿って傾斜面13b1と重なる位置に配置されている。このため、図8(b)に示すように、移動部材14がロック位置まで回転するときに、押圧部14bの図8中右端が傾斜面13b1と当接し、第2フランジ13が第1フランジ12に向かって押圧される。このとき、シール部材17が弾性変形し、第2フランジ13と第1フランジ12とが近づいた状態で保持される。これにより、接続部11を介して筐体1aと筐体2aとを接続する際に、移動部材14を回転させることで、両フランジ12,13間を密着させて接続することが可能となる。なお、押圧部14bと突出部13bとが入れ替わって形成されていてもよい。つまり、押圧部14bに相当する部材が突出部13bに代えて第2フランジ13に、突出部13bに相当する部材が180度回転した状態で押圧部14bに代えて移動部材14に形成されていても上述と同様に、第1及び第2フランジ12,13が近づいた状態で保持される。
【0034】
移動部材14には、図2に示すように、回転規制機構40が設けられている。回転規制機構40は、第1水平方向Aに平行な軸43の軸周りに回動可能に移動部材14に支持された回動部41と、回動部41を付勢するコイルバネ42とを有する。回動部41は、一端に引っ掛け部13cと係合可能なフック41aを有する。コイルバネ42は、フック41aがフランジ本体13の外周側面13a2に近づくように、回動部41を付勢する。図4に示すように、移動部材14の回転規制機構40近傍には、第2フランジ13の直径方向に貫通した貫通孔14eが形成されている。貫通孔14eは、回動部41の他端と対向する位置に配置されている。
【0035】
移動部材14の外周側面には、図2図5に示すように、一対の突起14dが形成されている。この一対の突起14dは、図9に示す回転治具50の切り欠き部51a1に引っ掛けられるものである。回転治具50は、U字形状の引っ掛け部51と、引っ掛け部51に繋がった棒状の把持部52とを有する。把持部52は、直線状に延在する角管から構成されている。引っ掛け部51は、把持部52と平行に延在する一対の角管51aと、一対の角管51aを連結する連結部51bとを有する。一対の角管51aの先端には、切り欠き部51a1が形成されている。連結部51bには、一対の角管51aの延在に突出する突起51b1が形成されている。突起51b1は、回転治具50を移動部材14に取り付けたときに、貫通孔14eに挿入され、先端が回動部41の他端をフランジ本体13aに近づくように押圧可能に構成されている。
【0036】
このような回転治具50の切り欠き部51a1を、図10に示すように、突起14dに引っ掛けて、回転治具50を移動部材14に取り付ける。このとき、突起51b1によって回動部41が回動し、フック41aがフランジ本体13aから離隔する。この状態で回転治具50を図10中矢印方向Dに回転させることで、移動部材14がロック解除位置からロック位置に回転する。この後、回転治具50を移動部材14から取り外すことで、突起51b1と回動部41との係合が解除され、図2に示すように、フック41aが引っ掛け部13c内に挿入される。これにより、回転治具50を取り付けていない状態で移動部材14がロック位置からロック解除位置に回転しようとしても、フック41aが引っ掛け部13cが引っ掛かり、移動部材14の回転を規制する。なお、移動部材14に回転治具50を取り付けることで、フック41aを引っ掛け部13cの外に移動させることができる。このため、移動部材14をロック位置からロック解除位置に回転させる場合には、回転治具50を取り付けてから図10中矢印方向Dとは反対方向に回転させる。
【0037】
接続機構10は、図2に示すように、2つのスイッチ61,62を有する。スイッチ61は、第1位置と第2位置との間において回動可能なレバー61aを有する。第1位置は、図4に示す位置であり、レバー61aが第2フランジ13の当接部13eと当接していないときに配置される位置である。第2位置は、図6に示す位置であり、第2フランジ13が第1フランジ12と面するように突き合わされるときに、当接部13eと当接することでレバー61aが位置付けられる位置である。スイッチ61は、レバー61aが第2フランジ13の当接部13eと当接し第1位置から第2位置に移動する(図3及び図6参照)ことで、第2フランジ13が第1フランジ12と面するように突き合わされたことを示す信号を、培養装置100の制御部(不図示)に出力する。これにより、第2フランジ13の面13dと、第1フランジ12の面12cとが面するように突き合わされた状態であることを検知することが可能となる。
【0038】
スイッチ62は、第3位置と第4位置との間において回動可能なレバー62aを有する。第3位置は、図3に示す位置であり、レバー62aが移動部材14と当接していないときに配置される位置である。第4位置は、図2に示す位置であり、移動部材14がロック位置に移動したときに、移動部材14と当接することでレバー62aが位置付けられる位置である。スイッチ62は、レバー62aがロック位置に移動する移動部材14と当接し第3位置から第4位置に移動する(図2参照)ことで、移動部材14がロック位置にあることを示す信号を、培養装置100の制御部に出力する。これにより、移動部材14がロック位置にあるか否かを検知することが可能となる。
【0039】
取付部15は、図5に示すように、第1フランジ12の面12cを垂直に調整する垂直調整部60と、第1フランジ12の貫通孔12aの中心を通って第1水平方向Aに延びる水平軸H(図11参照)の軸周りにおいて、第1フランジ12を回転させて側壁1a1に対する取付位置を調整する回転調整部80とを有している。垂直調整部60は、8本の規定ネジ61〜68と、8本の調整ネジ71〜78とを有している。8本の規定ネジ61〜68及び8本の調整ネジ71〜78は、貫通孔12aの周囲において、互いに離隔して交互に配置されている。
【0040】
調整ネジ71〜78は、いずれも同じ構成であるため、図6を参照しつつ、調整ネジ72,76について説明する。図6に示すように、調整ネジ72,76は、第1フランジ12に形成された貫通孔12fに挿通され、先端が部分壁部1a1aに形成されたねじ穴1a1eに取り付けられている。調整ネジ71〜78は、第1フランジ12と部分壁部1a1aとの離隔距離を調整するとともに、第1フランジ12を部分壁部1a1aの取り付けるためのものである。
【0041】
規定ネジ61〜68は、いずれも同じ構成であるため、図7を参照しつつ、規定ネジ62,65について説明する。図7に示すように、規定ネジ62,65は、その先端が第1フランジ12の面12bから突出して部分壁部1a1aと当接可能なように、第1フランジ12に形成されたねじ穴12gに取り付けられている。本実施形態においては、第1水平方向Aにおいて、規定ネジ61〜68を第1フランジ12に一杯まで締め込んだ状態における規定ネジ61〜68の第1フランジ12の面12bからの最大突出長が、第1フランジ12の面12bによって押圧されていない状態におけるシール部材16の部分壁部1a1aの面1a1cからの突出長以下となるように構成されている。つまり、規定ネジ61〜68は、シール部材16の弾性変形可能な範囲内において、第1フランジ12と部分壁部1a1aとの離隔距離の上限を規定することが可能に構成されている。要するに、規定ネジ61〜68は、第1フランジ12と部分壁部1a1aとの間がシール部材16によって確実にシールすることが可能なように、第1フランジ12と部分壁部1a1aとの離隔距離を規定することができればよい。
【0042】
回転調整部80は、図4に示すように、プレート81と、調整ネジ82と、固定ネジ83とを有している。プレート81は、第1水平方向Aに長尺な長方形平面形状を有している。また、プレート81は、部分壁部1a1aの開口部1bの内周面(下方の長辺1b1部分(図11参照))と対向する位置、及び、第1フランジ12の貫通孔12aの内周面(下方の長辺12a1部分(図11参照))と対向する位置にそれぞれ貫通孔(不図示)が形成されている。これら貫通孔は、第1水平方向Aに並んで配置されている。固定ネジ83は、プレート81の貫通孔(開口部1bの内周面と対向する)に挿入され、開口部1bの内周面(下方の長辺1b1部分)に形成されたねじ穴(不図示)に取り付けられている。これにより、プレート81を開口部1bの内周面に固定することができる。調整ネジ82は、プレート81の貫通孔(貫通孔12aの内周面と対向する)に挿入され、貫通孔12aの内周面(下方の長辺12a1部分)に形成されたねじ穴(不図示)に取り付けられている。調整ネジ82は、ねじ穴に締め込むことでプレート81と貫通孔12aの内周面との離隔距離を変化させ、水平軸H周りにおける第1フランジ12の取付位置を調整するためのものである。
【0043】
続いて、第1フランジ12の筐体1a(側壁1a1)に対する取付位置の調整について、以下に説明する。第1フランジ12の筐体1aに対する取付位置の調整に先立って、取付部15によって側壁1a1(部分壁部1a1a)に第1フランジ12が取り付けられた筐体1a(搬送装置1)を設置する。このとき、筐体1aのアジャスタ(不図示)などを操作し設置状態を調整する。また、このとき、スカラロボット21の移動方向が第2水平方向となるように、筐体1aの設置状態が調整される。
【0044】
筐体1aの設置状態が調整された後、第1フランジ12の筐体1aに対する取付位置の調整が行われる。第1フランジ12の中心より上方の位置に2つの水平器(不図示)を取り付ける。第1の水平器は、第1フランジ12の面12cに垂直に延在するように取り付ける。これにより、第1フランジ12の面12cが垂直であるか否かを判断することができる。第2の水平器は、第1フランジ12の貫通孔12aの長辺12a1(図11参照、第2水平方向Bに延びる長辺)と平行に延在するように取り付ける。これにより、水平軸H周りにおける第1フランジ12の取付位置の状態(すなわち、長辺12a1が水平であるか否かの状態)を判断することができる。なお、このときには、回転調整部80が取り付けられていない。
【0045】
次に、調整ネジ71〜78を緩め、第1フランジ12を図11(a)に示すように時計回りに若干傾ける。これにより、開口部1bの下方にある長辺1b1と、貫通孔12aの下方にある長辺12a1とが若干ずれた状態となる。その後、回転調整部80のプレート81を固定ネジ83によって開口部1bに取り付ける。このとき、固定ネジ83を一杯まで締め込む。この後、調整ネジ82をプレート81の貫通孔に挿入し、貫通孔12aの内周面に形成されたねじ穴に軽くねじ込む。
【0046】
次に、規定ネジ61〜68を一杯まで締め込む。このとき、規定ネジ61〜68の先端が部分壁部1a1aの面1a1cに突き当たって締め込めない場合は、第1フランジ12の面12bと部分壁部1a1aの面1a1cが離れるように、調整ネジ71〜78をさらに緩める。規定ネジ61〜68が一杯まで締め込まれた後、第1フランジ12の面12bと部分壁部1a1aの面1a1cが近づくように、調整ネジ71〜78を締め込む。このとき、規定ネジ61〜68の先端が部分壁部1a1aの面1a1cに軽く突き当たる程度まで、調整ネジ71〜78を締め込む。こうして、第1フランジ12の側壁1a1に対する取付位置の調整の準備動作が終了する。
【0047】
この準備動作の後、先ずは、第1フランジ12の水平軸H周りにおける位置調整を行う。つまり、筐体1aの設置状態を調整しても、第1フランジ12の水平軸H周りにおける位置が接続部11毎にばらつくことがある。先ず、調整ネジ71〜78を半回転ほど緩める。この後、調整ネジ82をねじ込んでいく。すると、水平軸H周りであって反時計回りに第1フランジ12が回転し、貫通孔12aの長辺12a1が上方に移動する。そして、第2の水平器における気泡が第2の水平器の延在方向のほぼ中央に位置するときに、調整ネジ82のねじ込みを停止させる。第2の水平器の中央に気泡があるときは、貫通孔12aの長辺12a1が水平であることを示す。これにより、図11(b)に示すように、貫通孔12aの長辺12a1と開口部1bの長辺1b1とが一致する。この後、規定ネジ61〜68の先端が部分壁部1a1aの面1a1cに軽く突き当たる程度まで、調整ネジ71〜78を締め込む。こうして、第1フランジ12の水平軸H周りにおける位置調整が終了する。
【0048】
次に、第1フランジ12の面12cを垂直になるように位置調整を行う。つまり、筐体1aの設置状態を調整しても、図12(a)に示すように、部分壁部1a1aが第1フランジ12と共に垂直線Vに対して傾くことがある。この場合、第1の水平器の気泡の位置から、第1フランジ12がどのように傾いているかの状態を確認する。図12(a)に示すように、第1フランジ12の上方が下方よりも垂直線Vから離れるように傾き、気泡が第1の水平器の中央よりも第1フランジ12から離れた端部側にある場合、8つの規定ネジ61〜68のうち6つの規定ネジ63〜68を調整する。つまり、6つの規定ネジ63〜68を1回転だけ緩め、規定ネジ63〜68の先端を部分壁部1a1aの面1a1cから若干離す。この後、調整ネジ75,77を少しずつ均等に締め込み、第1フランジ12の下方部分を部分壁部1a1aに近づけていく。そして、第1の水平器の気泡が第1の水平器の延在方向のほぼ中央に位置するときに、調整ネジ75,77の締め込みを停止させる。第1の水平器の中央に気泡があるときは、第1フランジ12の面12cが垂直であることを示す。これにより、図12(b)に示すように、第1フランジ12の面12cが垂直線Vとほぼ平行になる。なお、6つの規定ネジ63〜68を緩める動作と調整ネジ75,77を少しずつ均等に締め込む動作とが1回ずつでは、第1の水平器の気泡が中央に到達しない場合は、これらの動作を交互に繰り返し行う。
【0049】
一方、気泡が第1の水平器の中央よりも第1フランジ12に近い端部側にある場合、8つの規定ネジ61〜68のうち6つの規定ネジ61〜64,67,68を調整する。つまり、6つの規定ネジ61〜64,67,68を1回転だけ緩め、規定ネジ61〜64,67,68の先端を部分壁部1a1aの面1a1cから若干離す。この後、調整ネジ71,73を少しずつ均等に締め込み、第1フランジ12の上方部分を部分壁部1a1aに近づけていく。そして、第1の水平器の気泡が第1の水平器の延在方向のほぼ中央に位置するときに、調整ネジ71,737の締め込みを停止させる。これにより、第1フランジ12の面12cが垂直線とほぼ平行になる。なお、6つの規定ネジ61〜64,67,68を緩める動作と調整ネジ71,73を少しずつ均等に締め込む動作が1ずつでは、第1の水平器の気泡が中央に到達しない場合は、これらの動作を交互に繰り返し行う。
【0050】
こうして、第1フランジ12の面12cを垂直した後、緩めていた6つの規定ネジ63〜68(又は61〜64,67,68)を締め付け、先端を部分壁部1a1aの面1a1cに軽く突き当てる。この後、調整ネジを、71→75→73→77→72→76→78→74の順で3巡回以上かけて均等に締め付ける。この後、2つの水平器を取り外す。こうして、第1フランジ12の筐体1a(側壁1a1)に対する取付位置の調整が終了する。なお、このような第1フランジ12の筐体1a(側壁1a1)に対する取付位置の調整を、接続部11毎に行うことで、筐体1aに取り付けられる2つの第1フランジ12間におけるばらつきが小さくなる。
【0051】
上述の実施形態においては、取付部15が垂直調整部60を有しているため、筐体1aの設置時に第1フランジ12の面12cが垂直となっていなくても、第1フランジ12の面12cが垂直になるように、各接続部11において調整することが可能となる。取付部15が回転調整部80を有しているため、筐体1aの設置時にフランジの水平軸H周りの位置にずれが生じていても、各接続部11において調整することが可能となる。このように筐体1aに対する第1フランジ12の取付位置を個別に調整することが可能となり、2つの接続部11間における第1フランジ12の取付位置のばらつきが小さくなる。さらに、取付部15が垂直調整部60と回転調整部80の両方を有しているため、筐体1aに対する第1フランジ12の取付位置を効果的に調整することが可能となる。
【0052】
接続部11は、シール部材16を有し、垂直調整部60が、8つの規定ネジ61〜68及び8つの調整ネジ71〜78を有している。これにより、第1フランジ12と側壁1a1との間の気密を保ちつつ第1フランジ12の面12cが垂直となるように、第1フランジ12の筐体1aに対する取付位置を調整することが可能となる。
【0053】
回転調整部80が、プレート81と調整ネジ82とを有しているため、水平軸H周りにおける第1フランジ12の筐体1aに対する取付位置を調整することが可能となる。
【0054】
上述の実施形態における取付部15は、垂直調整部60と回転調整部80の両方を有しているが、いずれか一方のみを有していてもよい。取付部15が垂直調整部60を有している場合は、筐体1aの設置時に第1フランジ12の面12cが垂直となっていなくても、第1フランジ12の面12cが垂直になるように、各接続部11において調整することが可能となる。取付部15が回転調整部80を有している場合は、筐体1aの設置時にフランジの水平軸H周りの位置にずれが生じていても、各接続部11において調整することが可能となる。このように筐体1aに対する第1フランジ12の取付位置を個別に調整することが可能となり、上述と同様に、2つの接続部11間における第1フランジ12の取付位置のばらつきが小さくなる。なお、取付部が、回転調整部80だけを有している場合は、第1フランジ12を側壁1a1に取り付けるための、例えば、調整ネジ71〜78を有していることが好ましい。
【0055】
また、垂直調整部としては、図13に示すような垂直調整部260であってもよい。垂直調整部260は、第1フランジ12及び部分壁部1a1aを貫通する複数の棒状部材261と、棒状部材261に取り付けられた複数のコイルバネ262と、複数の楔部材263とを有する。棒状部材261の両端には、第1フランジ12及び部分壁部1a1aからの抜け止め部261a,261bが形成されている。コイルバネ262は、部分壁部1a1aと抜け止め部261bとの間に配置されており、第1フランジ12と部分壁部1a1aとが近づく方向に付勢する。複数の楔部材263は、第1フランジ12と部分壁部1a1aとの間において、上下に離隔して配置されており、第1フランジ12の直径方向に沿って内側に目一杯打ち込まれた状態でシール部材16が第1フランジ12と部分壁部1a1aとの間をシールすることが可能な状態となっている。このような垂直調整部260においては、第1フランジ12の面12cが垂直になっていない場合、所定の楔部材263を直径方向に沿って外側に移動させる。これにより、第1フランジ12が部分壁部1a1aに部分的に近づき、第1フランジ12の面12cを垂直に調整可能となる。このような垂直調整部260においても、上述と同様な効果を得ることができる。なお、この場合においても、取付部が、垂直調整部260だけを有している場合は、第1フランジ12を側壁1a1に取り付けるための、例えば、調整ネジ71〜78を有していることが好ましい。
【0056】
また、回転調整部としては、図14に示すような回転調整部280であってもよい。回転調整部280は、第1フランジ12を貫通する円形の貫通孔281と、部分壁部1a1aに回転可能に支持された円板カム282とで構成されていてもよい。円板カム282は、貫通孔281内に配置されている。また、円板カム282の回転中心が、円板カム282の中心よりも上方にずれた位置にある。このような回転調整部280によると、円板カム282を図14に示す位置から回転させることで、第1フランジ12が水平軸H周りに回転し、貫通孔12aの長辺12a1が上方に移動する。このため、上述の実施形態と同様に、貫通孔12aの長辺12a1と開口部1bの長辺1b1とを一致させることが可能となり、第1フランジ12の水平軸H周りにおける位置調整が可能となる。
【0057】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態における接続機構10は、培養装置100に採用されているが、特に培養装置100に限定するものではない。接続機構10は、内部空間を画定する1以上の側壁及び側壁に形成された複数の開口部を有する第1筐体と、内部空間を画定する1以上の側壁及び側壁に形成された開口部を有する第2筐体とを、接続部で両筐体の開口部同士が連通するように接続することが可能であれば、どのようなものにも採用することができる。
【0058】
筐体1a,2aは、1つの環状の側壁によって内部空間が画定されていてもよい。また、筐体1a,2aは、2つ、3つ、5つ以上の側壁を有していてもよい。また、上述の実施形態における接続部11は、筐体2aに取り付けられる第2フランジ13を有していたが、第2フランジ13を有していなくてもよい。この場合、移動部材14も有していなくてもよく、第1フランジ12を筐体2aの側壁2a1に直接、取り付ければよい。これにおいても、接続部11が垂直調整部60及び回転調整部80の少なくともいずれか一方を有しておれば、上述と同様の効果を得ることができる。また、第1フランジ12は、円形形状を有していなくてもよい。また、接続部11の第2フランジ13を筐体2aの側壁2a1に取り付ける取付部が、上述の垂直調整部60及び回転調整部80の少なくともいずれか一方を有していてもよい。こうすれば、接続部11の2つ第1及び第2フランジ12,13同士の接続の信頼性がより向上する。また、筐体1aには、3以上の開口部1bが形成されていてもよい。この場合、上述の接続機構10は、開口部1bの数に対応して、接続部11を3以上有していてもよい。
【0059】
垂直調整部60は、8つの規定ネジ61〜68を有しているが、規定ネジは、2以上7以下、9以上でもよい。垂直調整部60は、8つの調整ネジ71〜78を有しているが、調整ネジは、2以上7以下、9以上でもよい。
【0060】
第2フランジ13は、6つの突出部13bを有しているが、突出部13bは、2以上5以下、7以上でもよい。移動部材14は、6つの押圧部14bを有しているが、押圧部14bは、突出部13bの数に対応して、2以上5以下、7以上でもよい。
【0061】
シール部材16は、凹部1a1b内に配置されていなくてもよく、面1a1c又は面12bに接着剤などで取り付けられていてもよい。この場合、規定ネジ61〜68は、第1フランジ12と部分壁部1a1aとの離隔距離の上限値がシール部材16の第1水平方向Aの厚み以下であってシール部材16の弾性変形可能な範囲内(すなわち、面12bがシール部材16に接触した状態で移動可能な範囲)となるように、規定することが可能な構成とすればよい。
【符号の説明】
【0062】
1a 筐体(第1筐体)
1a1〜1a4 側壁(第1側壁)
1a1a 部分壁部
1b 開口部(第1開口部)
2a 筐体(第2筐体)
2a1〜2a4 側壁(第2側壁)
2b 開口部(第2開口部)
10 接続機構
11 接続部
12 第1フランジ
12a 貫通孔(第1貫通孔)
12b 面
12c 面
13 第2フランジ
13a1 貫通孔(第2貫通孔)
13b 突出部
14 移動部材
14a 突出部分
14b 押圧部
15 取付部
16 シール部材
17 シール部材
60 垂直調整部(第1調整部)
61〜68 規定ネジ(第1ネジ)
71〜78 調整ネジ(第2ネジ)
80 回転調整部(第2調整部)
81 プレート
82 調整ネジ
H 水平軸
S1 内部空間
S2 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14