特許第6761180号(P6761180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761180
(24)【登録日】2020年9月8日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20200910BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 27/10 20060101ALI20200910BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20200910BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20200910BHJP
   G06K 19/077 20060101ALI20200910BHJP
   G11C 5/04 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
   H01L27/04 H
   H01L25/00 A
   H01L21/60 301L
   H01L29/78 371
   H01L27/10 495
   H01L27/04 E
   H01L21/82 P
   G06K19/07 200
   G06K19/077 192
   G06K19/077 164
   G11C5/04 210
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-254800(P2016-254800)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-107368(P2018-107368A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(74)【代理人】
【識別番号】100102716
【弁理士】
【氏名又は名称】在原 元司
(72)【発明者】
【氏名】中瀬 優
(72)【発明者】
【氏名】沖永 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】東 修一郎
(72)【発明者】
【氏名】真国 一起
(72)【発明者】
【氏名】小手川 剛
(72)【発明者】
【氏名】菅原 識介
【審査官】 市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第07781878(US,B2)
【文献】 特開2010−251762(JP,A)
【文献】 特開2008−235431(JP,A)
【文献】 特開2005−317830(JP,A)
【文献】 特開2004−235352(JP,A)
【文献】 特開2012−104707(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3148533(JP,U)
【文献】 特開2011−049412(JP,A)
【文献】 特表2013−522887(JP,A)
【文献】 特開2008−166430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
G06K 19/07
G06K 19/077
G11C 5/04
H01L 21/336
H01L 21/60
H01L 21/82
H01L 25/00
H01L 27/04
H01L 27/10
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一端部に複数の導電性パッドが所定の間隔を置いて列設された半導体チップを複数備えた半導体装置であって、
各々の前記半導体チップは、その前記導電性パッドが外方に露出するように積層され、さらに、上下に隣り合う一対の前記半導体チップの前記導電性パッドは、前記導電性パッドの列設方向に沿って重なり合わない位置になるように前記半導体チップが積層され、
さらに、前記半導体チップが積層された状態で、一つおきの複数の前記半導体チップの前記導電性パッドを電気的に接続し、前記導電性パッドの列設方向と異なる方向に直線状に延びる電気配線を備える半導体装置。
【請求項2】
前記電気配線は、前記半導体チップを上面視した状態で互いに所定間隔を置いて延びていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記導電性パッドは電源用導電性パッドと信号用導電性パッドとを備え、前記信号用導電性パッドは、前記導電性パッドの列設方向に沿って前記電源用導電性パッドに挾まれて配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電気配線は、前記電源用導電性パッドを電気的に接続する電源用電気配線と、前記信号用導電性パッドを電気的に接続する信号用電気配線とを備え、前記信号用電気配線は前記電源用電気配線に挾まれて配置されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記信号用電気配線は、並列動作させる複数の前記半導体チップの前記信号用導電性パッドを電気的に接続していることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップは四つの辺を有する矩形板状に形成され、前記導電性パッドは前記半導体チップの一つの前記辺に沿って列設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項7】
各々の前記半導体チップは、上面視した状態でその前記導電性パッドが前記半導体チップの一つ、またはつの前記辺の側に露出するように積層されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の導電性パッドが列設された半導体チップを複数備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(Hard Disc Drive)に代わる記憶装置として、主にNAND型フラッシュメモリを用いたSSD(Solid State Drive)があり、SSDは、NAND型フラッシュメモリの微細化に伴って大容量・低価格化が近年進んだこともあり、普及の速度が速くなっている。
【0003】
一方、NAND型フラッシュメモリは、大容量化及びパッケージの多様化が種類の増加を招き、一種類あたりの市場での流通量が少なくなることで単価が割高になる傾向がある。
【0004】
かかる事情を背景に、NAND型フラッシュメモリチップをチップの厚さ方向に積層してなるMCP(Multi Chip Package)と呼ばれるパッケージが近年実現されている。MCPにおいて、各々のチップの間、またはチップとパッケージが実装される基板との間はボンディングワイヤによりボンディングされることが多い(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−104707号公報
【特許文献2】特開2010−251762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MCP全体での動作の高速化を図るために、複数のNAND型フラッシュメモリを複数のチャンネルに分けてチャンネル毎に動作させてデータ転送幅を増加させるためには、チャンネル毎に信号用のボンディングワイヤを分けてボンディングすることが好ましい。この際、ボンディングワイヤが長くなるとこのワイヤに重畳されるノイズが増加するため、信号用のボンディングワイヤはできるだけ短くすることが望まれる。
【0007】
しかしながら、上述した従来のMCPに関する技術においては、かかる課題を考慮したワイヤボンディングについて提案はされていなかった。
【0008】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、パッケージを構成する半導体チップと基板との間の信号用電気配線に重畳されるノイズの低減を図ることの可能な半導体装置の提供を、その目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも一端部に複数の導電性パッドが所定の間隔を置いて列設された半導体チップを複数備えた半導体装置に適用される。そして、各々の半導体チップを、その導電性パッドが外方に露出するように積層し、さらに、上下に隣り合う一対の半導体チップの導電性パッドが、導電性パッドの列設方向に沿って重なり合わない位置になるように半導体チップを積層し、さらに、半導体チップが積層された状態で、一つおきの複数の半導体チップの導電性パッドを電気的に接続し、導電性パッドの列設方向と異なる方向に直線状に延びる電気配線を設けることにより、上述の課題の少なくとも一つを解決している。
【0010】
上下に隣り合う一対の半導体チップの導電性パッドが、この導電性パッドの列設方向に沿って重なり合わない位置になるように半導体チップを積層し、一つおきの複数の半導体チップの導電性パッドを電気的に接続する電気配線を、導電性パッドの列設方向と異なる方向に直線状に延びるように設けているので、この電気配線が半導体チップの積層方向から見て重複する箇所を少なくすることができる。
【0011】
ここで、電気配線は、半導体チップを上面視した状態で互いに所定間隔を置いて延びていることが好ましい。
【0012】
また、導電性パッドは電源用導電性パッドと信号用導電性パッドとを備え、信号用導電性パッドは、導電性パッドの列設方向に沿って電源用導電性パッドに挾まれて配置されていることが好ましい。この場合、電気配線は、電源用導電性パッドを電気的に接続する電源用電気配線と、信号用導電性パッドを電気的に接続する信号用電気配線とを備え、信号用電気配線は電源用電気配線に挾まれて配置されていることが好ましい。加えて、信号用電気配線は、並列動作させる複数の半導体チップの信号用導電性パッドを電気的に接続していることが好ましい。
【0013】
さらに、半導体チップは四つの辺を有する略矩形板状に形成され、導電性パッドは半導体チップの一つの辺に沿って列設されていることが好ましい。あるいは、各々の半導体チップは、上面視した状態でその導電性パッドが半導体チップの一つ、二つまたは四つの辺の側に露出するように積層されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パッケージを構成する半導体チップと基板との間の信号用電気配線に重畳されるノイズの低減を図ることの可能な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態である半導体装置の概略構成を示す平面図である。
図2】一実施形態の半導体装置の概略構成を示す側面図である。
図3】一実施形態の半導体装置の電気配線の配線状態の概略構成を示す平面図である。
図4】一実施形態の半導体装置の電気配線の配線状態の概略構成を示す斜視図である。
図5】一実施形態の半導体装置の導電性パッドの位置関係を説明するための図である。
図6】一実施形態の半導体装置の導電性パッドの位置関係を説明するための図である。
図7】一実施形態の半導体装置の導電性パッドと電気配線との位置関係を説明するための平面図である。
図8】比較例の半導体装置の導電性パッドと電気配線との位置関係を説明するための平面図である。
図9】一実施形態の半導体装置の導電性パッドと電気配線との位置関係を説明するための側面図である。
図10】比較例の半導体装置の導電性パッドと電気配線との位置関係を説明するための側面図である。
図11】一実施形態の半導体装置の配線ノイズを説明するための図である。
図12】比較例の半導体装置の配線ノイズを説明するための図である。
図13】一実施形態の半導体装置がパッケージされたNAND型フラッシュメモリを示す図である。
図14】一実施形態の半導体装置が適用されたSSD装置の一例を示す図である。
図15】一実施形態の半導体装置が適用されたSSD装置の他の例を示す図である。
図16】一実施形態の半導体装置が適用されたメモリカードの一例を示す図である。
図17】一実施形態の半導体装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(一実施形態)
以下、図1図7図9及び図11を参照して、本実施形態の半導体装置について説明する。図1は本発明の一実施形態である半導体装置の概略構成を示す平面図、図2は側面図、図3は一実施形態の半導体装置の電気配線の配線状態の概略構成を示す平面図、図4は斜視図、図5及び図6は一実施形態の半導体装置の導電性パッドの位置関係を説明するための図である。
【0017】
これら図において、1は本発明の一実施形態である半導体装置であり、より詳細には、本発明の半導体装置が適用されたNAND型フラッシュメモリ(以下、単にフラッシュメモリと称することがある)である。本実施形態のフラッシュメモリ1は、半導体チップであるNAND型フラッシュメモリチップ(以下、単にフラッシュメモリチップと称することがある)2が、その厚さ方向に複数積層されて構成されている。
【0018】
フラッシュメモリチップ2は、図1に最もよく示すように、上面視外形矩形板状に形成され、その一端部である図1において下辺端部に複数の導電性パッド3が、フラッシュメモリチップ2の図1における下辺に沿って列設されている。なお、図1においてフラッシュメモリチップ2は8つの導電性パッド3を備えているが、実際にはより多くの導電性パッド3が列設されうるものであり、図示の都合で8つの導電性パッド3のみ図示している。
【0019】
フラッシュメモリチップ2は、図1において上下方向、図2において左右方向に所定間隔だけそれぞれずらされて積層されている。これにより、フラッシュメモリチップ2は、その下辺端部に列設された導電性パッド3が外方に露出するように積層されている。
【0020】
さらに、上下に隣り合うフラッシュメモリチップ2は、図1において左右方向に所定間隔だけ交互にずらされて積層されている。これにより、上下に隣り合う一対のフラッシュメモリチップ2の導電性パッド3が、この導電性パッド3の列設方向である図1の下辺の延在方向に沿って重なり合わない位置になるようにフラッシュメモリチップ2が積層されている。
【0021】
フラッシュメモリチップ2の導電性パッド3は、電気配線であるボンディングワイヤ4により電気的に接続されている。ボンディングワイヤ4によるフラッシュメモリチップ2の導電性パッド3の接続方法の概要について図3及び図4を参照して説明する。
【0022】
図3及び図4に示すように、本実施形態のフラッシュメモリチップ2には、導電性パッド3として電源用導電性パッド3a及び信号用導電性パッド3bがそれぞれ設けられている。図3及び図4においては、図3において下辺端部に設けられ、下辺に沿って左右方向に列設された導電性パッド3のうち、左側に信号用導電性パッド3bが、右側に電源用導電性パッド3aが設けられている。より詳細な電源用導電性パッド3a及び信号用導電性パッド3bの配置位置等については後述する。
【0023】
図3及び図4に示すフラッシュメモリ1は4枚のフラッシュメモリチップ2を備え、2チャンネル動作をするものである。電源用導電性パッド3aについてはチャンネル動作をさせる必要がないので、全てのフラッシュメモリチップ2の電源用導電性パッド3aをボンディングワイヤ4により電気的に接続すればよい。
【0024】
ここで、本実施形態では、フラッシュメモリチップ2が図3において左右方向に所定間隔だけ交互にずらされて積層されているので、一つおきの複数(図示例では2枚)のフラッシュメモリチップ2の電源用導電性パッド3aは、電源用導電性パッド3aの列設方向である図3における左右方向と異なる方向、より詳細には図3における上下方向に一列に配置されることになる。そこで、図3の上下方向に直線状に延びるボンディングワイヤ4により一つおきの複数のフラッシュメモリチップ2の電源用導電性パッド3aを電気的に接続することができる。そして、一つおきの複数のフラッシュメモリチップ2の電源用導電性パッド3aを電気的に接続するボンディングワイヤ4は、図3に最もよく示すように、互いに所定間隔を置いて延びている。さらに、図略の基板側に設けられた導電性パッド5にボンディングワイヤ4が接続されることで、これらフラッシュメモリチップ2に電源が供給される。
【0025】
一方、信号用導電性パッド3bについては、同一チャンネルで動作させるべきフラッシュメモリチップ2単位で(図示例では4枚のフラッシュメモリチップ2を2チャンネル動作させるので2枚単位で動作させる)ボンディングワイヤ4により電気的に接続する必要がある。
【0026】
ここで、本実施形態では、同一チャンネルで動作させるべきフラッシュメモリチップ2を、一つおきの複数(実際には2枚)のフラッシュメモリチップ2にしており、このように選択すると、フラッシュメモリチップ2が図3において左右方向に所定間隔だけ交互にずらされて積層されているので、同一チャンネルで動作させるべきフラッシュメモリチップ2の信号用導電性パッド3bは、電源用導電性パッド3aの列設方向である図3における左右方向と異なる方向、より詳細には図3における上下方向に一列に配置されることになる。そこで、図3の上下方向に直線状に延びるボンディングワイヤ4により、同一チャンネルで動作させるべき一つおきの複数(実際には2枚)のフラッシュメモリチップ2の信号用導電性パッド3bを電気的に接続することができる。さらに、図略の基板側に設けられた導電性パッド5にボンディングワイヤ4が接続されることで、これらフラッシュメモリチップ2と基板との間での信号の授受が行える。
【0027】
ボンディングワイヤ4によるフラッシュメモリチップ2の導電性パッド3の接続方法の詳細について図7及び図9を参照して説明する。
【0028】
本実施形態のフラッシュメモリチップ2においては、図7に最もよく示すように、信号用導電性パッド3bであるI/O用信号用導電性パッド3bは、導電性パッド3の列設方向である図7の左右方向に沿って、電源用導電性パッド3aであるVcc(5V等の電源供給)用電源用導電性パッド3a及び電源用導電性パッド3aであるVss(グラウンド電圧)用電源用導電性パッド3aに挾まれて配置されている。また、これらVcc用電源用導電性パッド3a、I/O(入出力)用信号用導電性パッド3b及びVss用電源用導電性パッド3aの組の間に、CE(Chip Enable)用信号用導電性パッド3bが配置されている。
【0029】
そして、上述したように、一つおきのフラッシュメモリチップ2のVcc用電源用導電性パッド3a及びVss用電源用導電性パッド3aは、図7において上下方向に直線状に延びるボンディングワイヤ4により電気的に接続されている。また、同一チャンネルで動作させるべき一つおきの複数(実際には2枚)のフラッシュメモリチップ2のI/O用信号用導電性パッド3bは、同様に図7において上下方向に直線状に延びるボンディングワイヤ4により電気的に接続されている。そして、図7に最もよく示すように、I/O用信号用導電性パッド3bを電気的に接続するボンディングワイヤ4は、Vcc用電源用導電性パッド3aを電気的に接続するボンディングワイヤ4及びVss用電源用導電性パッド3aを電気的に接続するボンディングワイヤ4に挾まれて配置されている。一方、CE用信号用導電性パッド3bはフラッシュメモリチップ2単位で図略の基板に接続される必要があるので、各々のフラッシュメモリチップ2のCE用電源用導電性パッド3aはそれぞれ図略の基板側に設けられた導電性パッド5に電気的に接続されている。
【0030】
ここで、図8及び図10に示すように、フラッシュメモリチップを図8の左右方向にずらさずに積層した場合と比較して考える。また、同一チャンネルで動作させるべきフラッシュメモリチップ2を上下に隣り合う2枚のフラッシュメモリチップ2とする。この場合、それぞれのボンディングワイヤ4が重複してしまうとショートする可能性があるため、図8において上側に位置するチャンネルのフラッシュメモリチップ2のI/O用信号用導電性パッド3bと基板側の導電性パッド5を電気的に接続するボンディングワイヤ4(図中太線で示している)は、図8において下側に位置するチャンネルのフラッシュメモリチップ2のI/O用信号用導電性パッド3bと基板側の導電性パッド5とを電気的に接続するボンディングワイヤ4を避けるように配線する必要があるため、必然的に配線長が長くなる。
【0031】
なお、図9及び図11においては、本実施形態の作用を明確にするために、I/O用信号用導電性パッド3b及び導電性パッド5を接続するボンディングワイヤ4のみ図示している。
【0032】
このときのノイズとなる電圧変動をΔV、I/O用信号用導電性パッド3bと導電性パッド5とを接続するボンディングワイヤ4の実効インダクタンスをLeff、ボンディングワイヤ4に流れる電流をiとすると、電流iの時間変化率であるdi/dtと電圧変動ΔVとの間の関係は
【数1】
となる。また、I/O用信号用導電性パッド3bと導電性パッド5とを接続するボンディングワイヤ4の自己インダクタンスをL、相互インダクタンスをLとすると、
【数2】
となる。図12に示すように、I/O用信号用導電性パッド3bと導電性パッド5とを接続するボンディングワイヤ4の長さをle、隣接するVss用電源用導電性パッド3aまたはVcc用電源用導電性パッド3aを接続するボンディングワイヤ4と構成するループ面積をSとすると、
【数3】
の関係があるため、I/O用信号用導電性パッド3bと導電性パッド5とを接続するボンディングワイヤ4が長くなるほどLは増加し、Lは減少する。よってLeffは大きくなり、ノイズΔVが大きくなってしまう。
【0033】
一方、本実施形態のフラッシュメモリ1では、図7に最もよく示すように、I/O用信号用導電性パッド3bと導電性パッド5とを接続するボンディングワイヤ4は図7において上下方向に直線状に延び、異なるチャンネルのボンディングワイヤ4は重なり合わない位置にある。従って、図11に示すように、上述の式におけるleを短くすることができ、ノイズΔVを低減させることができる。
【0034】
ここで、フラッシュメモリチップ2の配置位置の条件について、図5及び図6を参照して説明する。4枚のフラッシュメモリチップ2を、図5に示すように、上下に隣り合うフラッシュメモリチップ2が左右方向に所定間隔だけ交互にずらされて積層したものとする。また、図5に示すように、フラッシュメモリチップ2の左右方向にX軸を、上下方向にY軸をとる。
【0035】
このとき図6に示すように、特定のフラッシュメモリチップ2、一例として図6において一番下に位置するフラッシュメモリチップ2において、導電性パッド3の列設方向(つまりX軸方向)に隣り合う導電性パッド3のX軸方向の中心間距離をXaとしたとき、この上に位置するフラッシュメモリチップ2の導電性パッド3の中心位置は、一番下のフラッシュメモリチップ2の導電性パッド3の中心位置から1/3Xa〜2/3Xaの範囲(図中ハッチングで示した範囲)内に位置することが好ましい。
【0036】
(一実施形態の効果)
以上説明したように、本実施形態のフラッシュメモリ1においては、ボンディングワイヤ4の配線長を短くすることができるので、このボンディングワイヤ4における電圧変動(上述の式におけるΔV)を抑制することができる。従って、本実施形態によれば、パッケージを構成する半導体チップと基板との間の信号用電気配線に重畳されるノイズの低減を図ることの可能な半導体装置を提供することができる。
【0037】
(一実施形態の適用例)
次に、図13図16を参照して、本実施形態のフラッシュメモリ1の適用例について説明する。
【0038】
図13は、本実施形態のフラッシュメモリ1を用いたパッケージを示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。図13に示すパッケージ10はいわゆるBGA(Ball Grid Array)であり、上面に本実施形態のフラッシュメモリ1を搭載した基板11の上部をフラッシュメモリ1ごとモールド材12でモールドし、さらに、基板11の裏面に略球状または略半球状のバンプ(はんだボール)13を設けたものである。これにより、大容量のNAND型フラッシュメモリパッケージ10を実現することができる。
【0039】
次に、図14は、本実施形態のフラッシュメモリ1を用いたSSD装置を示す図であり、(a)はハーフスリムSATA(Serial ATA)サイズの基板を用いたもの、(b)はmSATA(mini SATA)規格のコネクタ及びmSATAミニ規格の基板を用いたもの、(c)はm.2 SATA規格のコネクタ及び基板を用いたもの、(d)は(a)に示すSSD装置のコネクタ部分を拡大して示した側面図、(e)は(a)に示すSSD装置の基板の端部を拡大して示した側面図である。
【0040】
図14に示すSSD装置15は、上面に本実施形態のフラッシュメモリ1が複数搭載され、さらにコントローラ16、レギュレータ17が搭載された基板18の上部をこれらフラッシュメモリ1等ごとモールド材19でモールドし、さらに、基板18の一端部にSATA規格に準拠したコンタクト部20を形成して構成されている。これにより、System On ChipのSSD装置15を実現することができる。
【0041】
なお、(a)に示すハーフスリムSATAサイズのSSD装置15においては、基板18を直接コネクタ21に差し込める(直挿し)ように、(d)及び(e)に示すように、基板18の厚みをコネクタ21のコンタクト部の厚みと同じ厚み(規格上は1.2mm)とすることが好ましい。
【0042】
次に、図15は、例えば図14(a)に示すようなハーフスリムSATAサイズの基板を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は底面図である。図15において、基板31の上面及び下面はモールド材32によりモールドされ、さらに、裏面には本実施形態のフラッシュメモリ1、DRAM(Dynamic RAM)、レギュレータ及びスーパーキャパシタ(登録商標)等の電気二重層キャパシタが実装可能な拡張パッド33〜36が形成されている。従って、この拡張パッド33〜36を介してフラッシュメモリ1等を実装することで、図14に示すSSD装置15と同様のSSD装置を構成することができる。
【0043】
次に、図16は、本実施形態のフラッシュメモリ1を用いたメモリカードを示す図であって、(a)はUSB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリの平面図、(b)は側面図、(c)は底面図、(d)はSDカードの平面図、(e)は側面図、(f)は底面図、(g)はマイクロSDカードの平面図、(h)は側面図、(i)は底面図である。
【0044】
図16に示すUSBフラッシュメモリ40、SDカード41及びマイクロSDカード42は、上面に本実施形態のフラッシュメモリ1及びコントローラ43が搭載され、それぞれのメモリカードの規格に沿った形状を有する基板44の上部をこれらフラッシュメモリ1等ごとモールド材45でモールドし、さらに、基板44の一端部に各規格に準拠したコンタクト部46を形成して構成されている。
【0045】
(変形例)
なお、本発明の半導体装置は、その細部が上述の一実施形態に限定されず、種々の変形例が可能である。
【0046】
一例として、図1及び図17(a)に示すように、一実施形態のフラッシュメモリ1ではフラッシュメモリチップ2を一方向(図17(a)において上下方向)に所定間隔をおいてずらして積層して構成されていたが、その積層形態は図17(a)のそれに限定されず、一例として、図17(b)に示すように、上下方向の両方向に(つまり二方向に)ずらして積層してもよく、さらには、図17(c)に示すように、上下方向に加えて左右方向にも、つまり四方向にずらして積層してもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 フラッシュメモリ
2 フラッシュメモリチップ
3 導電性パッド
3a 電源用導電性パッド
3b 信号用導電性パッド
4 ボンディングワイヤ
5 導電性パッド
図1
図2
図3
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図5
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