(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6761221
(24)【登録日】2020年9月8日
(45)【発行日】2020年9月23日
(54)【発明の名称】波板を利用した支持体
(51)【国際特許分類】
A47G 7/02 20060101AFI20200910BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20200910BHJP
【FI】
A47G7/02 A
F21V33/00 400
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-260114(P2014-260114)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-119937(P2016-119937A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年12月7日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592018881
【氏名又は名称】金子 柳一
(74)【代理人】
【識別番号】100113169
【弁理士】
【氏名又は名称】今岡 憲
(72)【発明者】
【氏名】金子 柳一
【審査官】
遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−289405(JP,A)
【文献】
実開昭61−053199(JP,U)
【文献】
実開昭62−149941(JP,U)
【文献】
特開2005−131270(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3131403(JP,U)
【文献】
実開昭60−175181(JP,U)
【文献】
米国特許第04646209(US,A)
【文献】
特開2010−022352(JP,A)
【文献】
特開2001−224260(JP,A)
【文献】
中国実用新案第201227140(CN,Y)
【文献】
特開昭48−065781(JP,A)
【文献】
特開平11−144509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 7/02
A47G 7/04
A47G 29/00
F21V 33/00
B65D 6/00 − 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に載置面(5)を有する台座(2)と、
上記載置面(5)の上に下端部を載置するとともに、上端面で形成する支持面(14)を有する支持筒(10)と、
を具備し、
上記支持筒(10)は、稜線(R)を縦向きとした可撓性を有する波板(C)を曲げて、波板(C)の両側部を、一方側部(c1)の稜線(R)と他方側部(c2)の谷線(V)とが一致するように重ね合せてなる筒壁(12)と、
波板(C)の曲げ状態を保持するように波板(C)を囲む保持手段(16)と、
で構成した、波板を利用した支持体において、
上記波板(C)を透光材料で形成するとともに、上記隆起部(6)から発光する照明手段(8)を設けており、
上記台座(2)は、上面の中央部から隆起する隆起部(6)を有するとともに、隆起部(6)の周囲の環状の上面部分を載置面(5)とし、支持筒(10)の筒壁(12)下部が隆起部(6)を囲むようにし、
上記保持手段(16)は長さを調整可能な保持バンドとし、波板(C)の両側部(c1、c2)の重なりを波形のピッチ単位で変更することで支持筒(10)の直径を変更可能とし、
上記載置面(5)の寸法は、少なくとも一ピッチ分の長さだけ支持筒(10)の直径を変更しても、支持筒(10)の筒壁(12)を載置面(5)上に載置させることができるように設定された
ことを特徴とする、波板を利用した支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波板を利用した支持体、特に照明手段を組み込んだ、波板を利用した支持体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の支持体として、中心軸から放射方向へ延びる複数の垂直な連結板で支持された波板を、中心軸の回りに略周壁状に配置したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また照明ライトの支持台として、2基の支持台を隣接して配置し、両支持台の隣接する側壁を稜線が水平方向にある波板として、波板が重なり合うようにしてデザイン性を向上したものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−151928
【特許文献2】特開平11−39905
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1の支持体は、構成が複雑であり、材料費がかかるとともに、製作に手間を要する。
引用文献2の照明ライトの支持台は、波板の形態を重ね合せの形態に利用しているだけであり、ある程度の装飾的効果はあるが、光を利用した装飾というアイディアはない。
【0006】
本発明の第1の目的は、可撓性を有する波板を利用して、稜線を縦にした波板の両側部を重ねて波板の曲げ状態を保持することで簡単で丈夫な支持体を提供することである。
本発明の第2の目的は、上記波板を透光材料で形成し、波板の内部に照明手段を組み込むことで装飾性の高い照明機能付きの支持体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段は、上面に載置面5を有する台座2と、
上記載置面5の上に下端部を載置するとともに、上端面で形成する支持面14を有する支持筒10と、
を具備し、
上記支持筒10は、稜線Rを縦向きとした可撓性を有する波板Cを曲げて、波板Cの両側部を、一方側部c1の稜線Rと他方側部c2の谷線Vとが一致するように重ね合せてなる筒壁12と、
波板Cの曲げ状態を保持するように波板Cを囲む保持手段16と、
で構成した、波板を利用した支持体において、
上記波板Cを透光材料で形成するとともに、上記隆起部6から発光する照明手段8を設けており、
上記台座2は、上面の中央部から隆起する隆起部6を有するとともに、隆起部6の周囲の環状の上面部分を載置面5とし、支持筒10の筒壁12下部が隆起部6を囲むようにし、
上記保持手段16は長さを調整可能な保持バンドとし、波板Cの両側部c1、c2の重なりを波形のピッチ単位で変更することで支持筒10の直径を変更可能とし、
上記載置面5の寸法は、少なくとも一ピッチ分の長さだけ支持筒10の直径を変更しても、支持筒10の筒壁12を載置面5上に載置させることができるように設定された
。
【0008】
本手段では、
図1〜
図3に示すように、稜線Rを縦向きにした状態で、可撓性を有する波板Cを曲げて波板Cの両側部を重ねて、支持筒10の筒壁12とし、波板Cの曲げ状態を保つように保持手段16を設けている。波板Cと保持手段16とで形成するから、低コストで製作することができ、製作の手間もかからない。本来支持力の強い波板を曲げて筒状にしているので、単なる円筒状の支持筒に比べて設置面が大きくなり、支持力を向上することができる。
また本手段では、図2に示すように、台座2の上面中央部から隆起する隆起部6を設け、この隆起部を支持筒10の下端部で囲むようにしている。
【0010】
また本手段では、保持手段16を、長さの調整可能な保持バンドとして、波板Cの両側部c1、c2の重なりを波形のピッチ単位で変更できるようにしている(
図3、
図5参照)。これにより支持される物のサイズに応じて、支持筒10の直径を変更できるようにしている。波板に代えて、通常の可撓性平板の両側部を重ねて、重なり幅を変化させても直径を変えることができるが、波板の構成では波形のピッチ単位で変えることができるので、波板の波形が位置決め手段となって、支持筒10の直径の調整が容易となる。
なお、
上記載置面5の寸法は、少なくとも一ピッチ分の長さだけ支持筒10の直径を変更しても、支持筒10の筒壁12を載置面5上に載置させることができるように設定された。
【0014】
さらにまた本手段では、
図2に示す如く、隆起部6に組み込まれた照明手段8から発する光が透光性の波板(透明板の他、乳白色の板等を含む)を通って散乱するようにしている。
【発明の効果】
【0015】
第1の手段に係る発明によれば、支持筒10は、稜線Rを縦向きとした可撓性を有する波板Cを曲げて、波板Cの両側部を重ね合せてなる筒壁12と、波板Cの曲げ状態を保持するように波板Cを囲む保持手段16とで構成したから、簡易に組み立てることができるとともに、支持筒10の支持力が高まる。
また第1の手段に係る発明によれば、支持筒10の筒壁12下部が台座2の隆起部6を囲むようにしたから、支持筒10が台座2の載置面5からずれることを防止できる。
さらにまた第1の手段に係る発明によれば、保持手段16は長さを調整可能な保持バンドとし、波板Cの両側部c1、c2の重なりを波形のピッチ単位で変更することで支持筒10の直径を変更可能としたから、使い勝手がよい。
また前記波板Cを透光材料で形成するとともに、上記隆起部6から発光する照明手段8を設けたから、波板Cの稜線及び谷線と平行な散乱光の帯が表れ、装飾的効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る波板を利用した支持体の正面図である。
【
図4】
図1の支持体の直径を変更した形態の断面図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る波板を利用した支持体の正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1から
図5は、本発明の第1の実施形態に係る波板を利用した支持体である。この支持体は、台座2と支持筒10とで構成されている。なお、100は、支持体により支持された植木鉢であり、その周壁102の上端に付設した鍔部104を支持体の上端面に載置している。
【0018】
台座2は、台板4の上面中央部から隆起部6を隆起させるとともに、隆起部6の回りの台板部分の上面を載置面5としている。また隆起部6内に照明手段8を組み込み、隆起部6から上方へ光を照射するように構成している。
【0019】
支持筒10は、筒壁12と保持手段16とで構成される。
【0020】
上記筒壁12は、可撓性を有する波板Cの稜線R及び谷線Vを縦向きにして、波板Cの一方側部c1と他方側部c2とを重ねるように波板Cを曲げて形成する。両側部は、その一方の稜線が他方の谷線に、また一方の谷線が他方の稜線にそれぞれ重なるように重ねる。また筒壁12の上端面は支持面14を形成する。
【0021】
本実施形態では、波板Cは透光材料で形成することができる。なお、本明細書において透光材料とは、透明材料の他、光を散乱して透過する材料(例えば乳白色の材料)を含むものとする。
【0022】
上記保持手段16は、波板Cの曲げ状態を保持するように波板Cを囲む機能を有する。本実施形態では、保持手段16は、波板Cを囲む周囲長を調整可能な保持ベルトで形成している。保持ベルトは、ベルト本体16aとベルト本体16aの基端部に付設した留め具16bとで形成し、ベルト本体16aの先端側を留め具に挿通させ、波形のピッチに対応した一定幅毎に留めることができるようにしている。
【0023】
上記保持手段16を周囲に装着した状態で支持筒10の筒壁12の下部は隆起部6を囲んでいる。筒壁12の下部は隆起部6の周囲に嵌合させるようにしてもよいが、筒壁12の下部と隆起部6との間に間隙があっても構わない。
【0024】
上記構成において、支持筒10の筒壁12は、曲げた波板Cの両側部c1、c2を重ねて保持手段16で留めることで形成しているので、大きな支持力を得られる。
【0025】
また照明手段8を図示しない電源に接続して、照明手段8をオンにすると、照明手段の光が透明な波板Cに入射し、波板Cの稜線R及び谷線Vで乱反射するので、縦方向の縞や輝線が出現し、支持筒10自体としても高い装飾効果が得られる。
【0026】
さらに支持体の上にフラワーアレンジメントを設置すると、そのフラワーアレンジメントを下から装飾光が照らすので、支持体の装飾効果と、フラワーアレンジメントなどの被支持物の装飾効果との相乗作用が得られるので、さらに装飾機能が高まる。また支持筒内に植物(生花や造花のいずれも含む)の幹や枝などを入れ、それを装飾物としてアレンジすることで装飾効果をもたせるようにしてもよい。
【0027】
図3の状態では、波板Cの両側部が波板の5ピッチ分だけ重なっているが、保持手段16を外して、
図5に示すように両側部の重なりを減らすと、支持筒10の直径を、
図3のD1から
図5のD2へと拡大することができる。この場合、隆起部6と支持筒10との間に隙間が生じてしまうが、図示例のように隆起部6と支持筒10との隙間を埋める筒状スペーサ18を設置して、支持筒10のがたつきを防止するようにしてもよい。
【0028】
植木鉢などのある種の物品には何号という大きさの規格がある。直径の被支持物には何ピッチ分の重なりとすればよいという対応関係が成立するように波板のピッチ数を設定しておくと、支持体の直径の変更がさらに容易となる。
【0029】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る波板を利用した支持台を示している。この支持体は、背の低い台(踏み台や腰掛用の座台など)として形成しており、支持筒10の上に載置する上蓋20を有する。上蓋20は、蓋板22の裏面から脚筒24を垂下しており、この脚筒24を支持筒10の筒壁12上端部内に挿入するようにしている。
【0030】
本実施形態の適用例としては、小物用の載置台としてもよい。さらに上記蓋板22の上面にブックスタンドを載せ、或いは蓋板22にスタンド手段を起立して、読書台としてもよい。図示例では、照明手段が記載されていないが、第1実施形態と同様に台座に照明手段を組み込んでもよい。
【符号の説明】
【0031】
2…台座 4…台板 5…載置面 6…隆起部 8…照明手段
10…支持筒 12…筒壁 14…支持面 16…保持手段 16a…ベルト本体
16b…留め具 18…スペーサ 20…上蓋 22…蓋板 24…脚筒
C…波板 c1…一方側部 c2…他方側部 R…稜線 V…谷線